JP2016085236A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 帯電部材の汚れ低減
【解決手段】 画像形成装置は、帯電部材に付着した付着物を像担持体に回収させる回収動作を非画像形成時に実施するものであり、回収動作において(1)帯電部材にはDC電圧とAC電圧が重畳して印加され、(2)帯電部材に印加されるDC電圧の値をVdc、像担持体の表面電位をVdrとしたとき、(Vdc−Vdr)が前記付着物の支配的極性と同一極性になるように設定され、(3)帯電部材に印加されるAC電圧のピーク間電圧が、帯電部材と像担持体の間の放電開始電圧の2倍を超えないように設定される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、画像形成装置に関するものである。ここで画像形成装置とは、記録媒体に画像を形成するもので、例えば、電子写真画像形成プロセスを用いた電子写真複写機、電子写真プリンターが含まれる。
(帯電部材の汚染)
帯電装置に備えられる帯電手段には様々な種類があり、かつては、コロナ帯電方式に代表される非接触帯電方式が主流であった。しかし、現在では、低コスト小型化、放電生成物による感光体汚染の低減の観点から、帯電部材を感光ドラム表面に当接させて、帯電を行う接触帯電方式が主流になっている。
一方で、接触帯電方式に関する課題の一つとして、付着物による汚染がある。付着物の多くは現像剤、現像剤から遊離した外添剤である。
本来、帯電部材の汚染防止の為に、帯電部材と感光ドラムのニップ部上流に感光ドラムのクリーニング部材が備えられる。帯電部材と接触する感光ドラム表面は清浄に保たれるべきなのだが、一部、クリーニングされずに付着物を連れまわった感光ドラムが、帯電部材に接触することがある。帯電部材と感光ドラムの接触部では、電位差や付着力の差があることから、帯電部材に付着物が転移することがある。こうして、汚染された帯電部材は、帯電部材の表面抵抗を変動させ、帯電不良を発生させることがある。
(帯電部材からの付着物吐き出し)
帯電部材を正常な状態に戻す方法として、汚染された帯電部材から付着物を、適切なタイミングで、感光ドラム上に吐き出す方法がある。付着物に電気極性がある場合、感光ドラムと帯電部材の間に電位差を設けることで、帯電部材上の付着物を戻すことができることは一般的である。
更には、特許文献1のように電位差として感光体と帯電部材間に正、負の電位差を交互に印加する技術がある。これは、帯電部材上に、正極性、負極性の両方の付着物が付着していることを想定し、どちらの極性の物質も吐き出すことを狙ったものである。
特開2006−189619
近年、高解像度化に対応するべく、現像剤の小粒径化、球形化が進められており、クリーニングの難易度は高まっている。これに加え小型化需要の増加から接触帯電方式も増加し、帯電部材の汚染リスクも高まっている。
また、近年高寿命化に対応するべく、帯電ローラを含めたパーツも、耐久を通して、低汚染のまま維持し続ける必要もある。
本発明の目的は、従来技術をさらに発展させ、帯電部材の付着物を像担持体で良好に回収することである。
記録媒体に画像形成装置において、
現像剤像を担持する為の回転可能な像担持体と
前記像担持体に当接し、前記像担持体を帯電する帯電部材と、
を備え、
前記画像形成装置は、前記帯電部材に付着した付着物を前記像担持体に回収させる回収動作を非画像形成時に実施するものであり、
前記回収動作において
(1)前記帯電部材にはDC電圧とAC電圧が重畳して印加され、
(2)前記帯電部材に印加されるDC電圧の値をVdc、前記像担持体の表面電位をVdrとしたとき、(Vdc−Vdr)が前記付着物の支配的極性と同一極性になるように設定され、
(3)前記帯電部材に印加されるAC電圧のピーク間電圧が、前記帯電部材と前記像担持体の間の放電開始電圧の2倍を超えないように設定されることを特徴とする。
本発明によれば、帯電部材の付着物を像担持体で回収することができる。
実施例1に係るシーケンスチャート 本件の画像形成装置の断面図 帯電ローラのピーク間電圧と電流量、放電電流量 実施例2に係るシーケンスチャート レーザー露光量と感光ドラムの露光後表面電位の寿命毎の対応 帯電ローラのピーク間電圧と帯電電流量の環境、寿命毎の対応 実施例4に係るシーケンスチャート 実施例5に係るシーケンスチャート 実施例1の変形例に係るシーケンスチャート 実施例1の変形例に係るシーケンスチャート 実施例2の変形例に係るシーケンスチャート
<実施例1>
以下にこの発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。但し、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施形態に限定する趣旨のものではない。
(画像形成装置全体概要)
本実施例に用いる画像形成装置の画像形成プロセスを、配置部材と共に説明する。図2を参照する。画像形成装置本体Aのシートカセット12から搬送ローラ(不図示)によって紙等のシートPを搬送し、このシート搬送と同期して、感光ドラム1を帯電手段である帯電ローラ2によって帯電した後、露光装置3により選択的な露光をして静電潜像を形成する。感光ドラムと帯電ローラは回転体であり、矢印の方向に回転する。露光装置3はレーザーをポリゴンミラーによって反射させ、感光ドラム1表面を主走査及び副走査方向に露光する。
磁性一成分現像剤Tは現像剤収容室4から撹拌部材5によって、現像剤担持体(以下現像スリーブと呼ぶ)6の近傍に供給される。現像スリーブ6は中空の回転体であり、内部に搬送部材であるマグネットローラ(不図示)を配置している。このマグネットローラの磁力によって表面に現像剤Tが担持搬送される。更に現像ブレード7により現像スリーブ6表面に所望の量の現像剤Tが薄層担持される。
次に、現像スリーブ6に現像バイアスを印加する事によって、現像剤Tを供給し感光ドラム1上に潜像に応じた現像剤像を現像する。この像を回転体である転写ローラ10へのバイアス印加によって、同期されたシートPに転写する。ここで転写ローラ10は被転写体であるシートPに現像剤像を転写する転写部材である。
シートPは定着装置11へ搬送され画像定着し、排紙ローラ(不図示)によって装置上部の排紙部13に排出される。
感光ドラム1は転写終了後転写残現像剤が残留する。この転写残現像剤をクリーニング手段として弾性を有するクリーニングブレード8によってクリーニングする。クリーニングされた現像剤は廃現像剤として、廃現像剤室9に貯留される。
以下に画像形成装置に使用されるパーツの中で本発明と関係が深いものに関して詳しく説明する。
(帯電ローラ)
帯電ローラ2は鉄、ステンレス(SUS)等の芯金上に、導電層としてヒドリンゴム等を用い、更に表層に保護層としてウレタンゴム等をコートした構成である。帯電ローラ2は、感光ドラム1表面に接触配置されており、感光ドラム1の回転に対して従動回転する(図中矢印方向)。帯電ローラ2には、帯電ローラ2に電圧を印加する帯電電源(帯電用の電圧印加装置2A)が接続されており、この電源からDC電圧にAC電圧とが重畳された電圧が印加されるように構成されている。帯電電圧として、このようなDC+AC重畳電圧を印加することにより、DC電圧を単独で印加した時に比べ感光ドラム1表面を安定して均一帯電することが可能になる。具体的には、−400VのDC電圧に対してピーク間電圧Vppが1600VのAC電圧を重畳した帯電電圧を帯電ローラ2に印加することにより、感光ドラム1表面を−400Vに均一帯電することが出来る。
図3を参照して、帯電ローラ2の帯電特性について説明する。図3(a)は、帯電ローラに印加する帯電AC電圧の大きさと、帯電ローラ2に流れる電流値(Iac)との関係を示すものである。ここでAC電圧の大きさとは、AC電圧の最小値と最大値の差であるピーク間電圧Vppの大きさのことである。
また、図3(b)は、帯電ローラ2に印加する帯電AC電圧の大きさ(ピーク間電圧Vppの大きさ)と、帯電ローラ2と感光ドラム1との間に生じた放電電流値(μA)の大きさとの関係を示すものである。
図3(a)に示すように、帯電ローラ2の帯電特性は、ピーク間電圧Vppが1100Vの点を変曲点とする曲線を描いた。変曲点より右側では帯電ローラ2に流れる電流値(Iac)が急激に上昇しているが、これは、ピーク間電圧が1100V以上のAC電圧を印加すると、帯電ローラ2と感光ドラム1との間で放電現象が起こり、それによりIacが増加することによる。なお、Isは、帯電ローラ2と感光ドラム1との間に流れる放電電流量の大きさを示している。
一般に、帯電ローラ2と感光ドラム1の電位差がある大きさを超えた場合、帯電ローラ2と感光ドラム1の間には放電が生じることになる。ここで感光ドラム1の電位は帯電ローラ2に印加されるDC電圧の値(帯電ローラ2に印加される電圧の平均値)によって規定される。したがって帯電ローラ2と感光ドラム1の電位差(すなわち、放電が生じる条件)は、帯電ローラ2に印加される電圧の振幅によって決まることになる。
帯電ローラ2に印加される電圧の振幅(DC電圧の値からの変動量)がVthを超えたときに放電が起きた場合、Vthを放電開始電圧と呼ぶ。つまり、帯電ローラ2に印加されるAC電圧のピーク間電圧が放電開始電圧Vthの2倍(2Vth)を超えると、帯電ローラ2に印加されるAC電圧がピーク(最大値または最小値)をとるとき、帯電ローラ2と感光ドラム1の間に放電が起きることになる。
この放電が生じている場合が、図3(a)においてピーク間電圧Vppの値が変曲点(Vpp=1100V)を超えた状態であり、放電が生じた分(Isの分)だけIacが増加する。
このように変曲点(Vpp=1100V)におけるピーク間電圧を境として、帯電ローラ2と感光ドラム1との間の放電現象の有無が分かれる。
図3(b)でも、Vppが「放電開始電圧の2倍(2Vth)」となる場合を境に、放電電流値Isが急激に増加することが示されている。帯電ローラ2に印加する帯電AC電圧のピーク間電圧Vppが1100V(閾値)より小さい場合は、放電電流値はほぼ0μAであり、感光ドラム1表面を所望の状態に帯電することが出来ない。
(感光ドラム)
感光ドラム1は、アルミシリンダ等の支持体の表面に、電気的バリア性を有する下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を積層させたものである。帯電ローラと接触する最表面である電荷輸送層は、ポリカーボネート樹脂等を用いる。図2中の矢印方向に200mm/sのプロセススピードで回転駆動し、同時に従動回転する帯電ローラの放電によって暗電位(−400V)に帯電される。そして露光装置により所望の画像パターンに露光され、露光された部分が明電位(−100V)になることで所望の静電潜像が、感光ドラム1に形成される。明電位となった領域に、現像スリーブ6から現像剤が転移することで、静電潜像がトナー像として現像される。
(転写ローラ)
転写ローラ10は、鉄、ステンレス(SUS)等の芯金上に、導電材としてカーボンを分散したEPDMを発泡させたスポンジ状の弾性体を設けたものである。転写ローラ10は、感光ドラム1と当接し、ニップを形成し、感光ドラム1の回転と従動して回転する。シートPが前記ニップ部に突入するのと同期し、画像形成中は1500Vのバイアス印加を行い、感光ドラム表面の現像剤像を転写する。尚画像形成後端通過後、800Vの弱バイアスに切り替える。これは感光ドラムへの転写ポジメモリという画像弊害を防ぐ為に行う(1500Vで発生、800Vで未発生)。
(現像剤)
現像剤Tは懸濁重合法により製造される重合トナーである。まず、スチレン系の重合性単量体及び着色剤(磁性粉体、重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、その他の添加剤)を均一に溶解又は分散させ、重合性単量体組成物とする。この重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有した連続層(例えば水相)中に適当な撹拌器を用いて分散させ、同時に重合反応を行わせ、重量平均粒径が8μmである現像剤を得る。こうして得られた現像剤表面には、流動性や荷電性を整える為に、数nm〜数十nmのシリカ等の粉末を外添する。本実施例の現像剤は、現像スリーブ6への薄層コートで負帯電するような材料を選択している。
(クリーニングブレード)
クリーニングブレード8は、支持板金とゴムブレードより構成されている。ゴムブレードの材質はポリウレタンゴム等の弾性ゴムであり、クリーニングブレード8は、感光ドラム1の回転方向に対してカウンター方向となるように、感光ドラム1表面に当接することで転写残現像剤をクリーニングする。
(帯電ローラの汚染過程)
背景技術でも言及したが改めて詳細に説明する。帯電ローラを汚染する付着物として考えられるものとして、現像剤や現像剤から遊離した外添剤がある。
感光ドラム表面の現像剤像の多くは、転写ローラによって、紙上に転写される。しかし一部、転写残と言われる転写できなかった現像剤が生じる。
また、本来白画像となるべき非画像形成部に現像剤が微量担持されるカブリと呼ばれる現象がある。このカブリ現像剤は、正極性が多いことがあり、紙に転写されることなく、転写ローラを通過するものもある。
転写残と、カブリ現像剤は転写ローラニップを通過後、クリーニングブレードによって、多くは掻き取られる。しかし一部はクリーニングブレードでクリーニングされずに通過し、帯電ローラと感光ドラムのニップ部に突入し汚染原因となる。
他に、クリーニングブレードを通過しうる物質として、外添剤がある。外添剤は数nm〜数十nmと現像剤より一ケタ以上小さい物質で、現像剤から一部遊離することが一般的である。この外添剤は現像剤に比べ、クリーニングブレードをすり抜け易い。現像剤と同様にすり抜けた外添剤は、帯電ローラと感光ドラムのニップ部に突入し汚染原因となる。
これらの現像剤、外添剤の極性付与は帯電ローラが汚染されるまでの過程で行われるものであり、ブレードと感光ドラム間の摺擦、帯電ローラと感光ドラムニップでの放電の過程でなされる。本実施例では、現像剤及び外添剤がブレードと摺擦されることで、負極性が支配的になることが確認されている。また、帯電ローラと感光ドラムのニップ部では、放電現象を起こしており、本実施例の場合、現像剤及び外添剤を負極性に帯電させている。これに伴い、感光ドラム、帯電ローラに挟まれた付着物は、負極性に偏りを持つ。以上のように本シーケンスでは、付着物が極性の偏りを持つことを利用して、帯電ローラから感光ドラムへ吐き出しを行うものである。
同時に感光ドラムから帯電ローラのニップ部で、非静電的に付着物は転移する。帯電ローラはヒドリン等を用いたゴムローラであり、感光ドラムはポリカーボネート等をコートした樹脂ドラムである。感光ドラムに比べ帯電ローラは、表面自由エネルギーが大きく、現像剤の付着性が高い為、帯電ローラに転移する。
ローラに付着した付着物は、一定量以上付着すると、帯電ローラ表面の抵抗値の上昇を起こし、適正な放電量を獲得できなくなり、帯電不良を起こすことがある。また、一定量以上付着した状態で、感光ドラムに押圧されたまま印刷を続けると、感光ドラム側に付着物が融着し広がることもある。このことによりレーザー露光を遮り、潜像が作れない為白ポチ状の画像不良を発生する。
従って帯電ローラ上の付着物は、適宜吐き出しを行い、帯電ローラを清浄な状態に保つことが望ましい。
(付着物の吐き出しシーケンス(付着物の回収動作))
本実施例に帯電ローラから付着物を吐き出す為のシーケンス(帯電ローラに付着した付着物を感光ドラムで回収する回収動作を行うシーケンス)を、図1を参照しながら説明する。なお以下では、付着物を帯電ローラから感光ドラムに移動させることを、付着物を帯電ローラから「吐き出し」、感光ドラムで「回収する」と称する。
露光のON、OFFの切り替え、帯電ローラへの帯電バイアス、転写ローラへの転写バイアスの切り替えタイミングを示している。平坦な部分の段差でON、OFFまたはバイアスの値を示す。それぞれの要素を橋渡すように矢印が書かれているが、これは、それぞれのタイミングを同期させることを示している。
本実施例では、現像剤を吐き出す動作は、画像形成を阻害しないタイミングで行うことが望ましく、画像形成動作前、紙間(連続する記録媒体の合間で画像を形成していないタイミング)、画像形成動作後などの非画像形成時が考えられる。いずれのタイミングでも吐き出しシーケンス(回収動作)は実施できるが、本実施例では画像形成動作後に動作するシーケンスを用いる。
初めに、画像形成動作直後の各パーツの状態について説明する。
感光ドラムはそれぞれのパーツの帯電、露光を受ける側であり、シーケンスチャートには登場しない。感光ドラムは、紙上へ現像剤像の転写を完了し回転し続ける。転写ローラ通過前の表面電位は静電潜像電位(本実施例であると暗電位が−400V、明電位が−100V)になっている。
帯電ローラは感光ドラムに対して従動回転しており、感光ドラム表面を帯電し暗電位にする為のバイアスが印加されている。ここではDC電圧の値を−400V(T201)、ピーク間電圧Vppの値を1600V(T301)としている。
この帯電バイアスは静電潜像形成が終了してもすぐにはOFFせず、転写ローラ面と直接接して正極性化した当接面を負極性化する為、印加し続ける。感光ドラム表面が正極性状態のままであると、転写ポジメモリと呼ばれる画像不良が発生する場合がある為である。転写ポジメモリとは、転写ローラによって感光ドラム1の表面が正規極性(ポジ)化した場合に、現像スリーブ6から感光ドラム1に向けてトナーが転移して、そのトナーが画像に現れる現象である。
転写ローラも感光ドラムに対して従動回転しており、画像形成まで所定のDC電圧(+1500V(T401))が印加される。画像後端が感光ドラム転写ローラニップを通過後、速やかに転写バイアスは下げられる。本実施例の場合、転写バイアスを+1500Vから、一端、+800V(T402)に下げる。+800Vは転写ポジメモリが起きないか、起きても許容できるバイアス設定である。+800Vに到達した後は速やかにOFFとする(T403)。
なお転写バイアスを+1500Vから+800Vに変化させたのちに、OFFするようにするのは転写バイアスの立下り時間を短くするためである。つまり、転写バイアスを+1500VからすぐにOFFしようとすると、転写バイアスが0Vに落ちるまでに時間がかかる(立下り時間が長くなる)。ただし、立下り時間が長くなってよければ、転写バイアスを+1500VからすぐにOFFしてもよい。
転写バイアス+800Vの感光ドラムの当接面以後は負極性にする為の放電を行う必要は無く、帯電バイアスは速やかに帯電ローラをクリーニングするためのクリーニングバイアス(付着物を吐き出すための吐き出しバイアス)に切り替えられる。このとき、DC電圧の値Vdcは−200V(T203)であり、Vpp(AC電圧のピーク間電圧)は700V(T303)である。
また、所定の吐き出しバイアスに切り替え完了する前に、帯電ローラ、感光ドラムのニップに突入する感光ドラムの表面を、予め露光しておく(OFF:T101→ON:T102)。二重線の矢印がそのタイミングである。
これを感光ドラム表面の電位を調整する調整動作と呼ぶ。この感光ドラム電位の調整動作(T102)によって、感光ドラム1の表面電位Vdrは−100Vとなる。すなわち、付着物を感光ドラムで回収する回収動作を実行する前に、感光ドラムの電位を均一化し、その電位を回収動作に適した所望の値に調整する調整動作が行われている。
今回は、感光ドラムの表面電位の調整を、露光装置を用いて行ったが、帯電部材による放電や、転写部材による放電を行うことで、調整動作を実行させてもよい(詳細は後述する)。
帯電ローラ上の負極性の付着物は、帯電ローラの−200Vと感光ドラムの表面電位Vdrとの電位差Δ100Vによって、感光ドラム表面に吐き出される。この吐き出しバイアス(T203、T303)は帯電ローラ一周分印加する。印加時間は付着物の付着具合によって、適宜調整されるべきものである。例えば、一周で不十分な場合は、二周、三周分のクリーニングを行う必要がある。これに応じて事前に露光を行う時間(調整動作を行う時間)も変更する。帯電ローラ一周分のクリーニングの場合、露光も帯電ローラ一周分行いOFFとする(T103)。また、クリーニングを終えた後、帯電バイアスはOFFにする(T204、T304)。
吐き出しバイアスにはAC成分も印加している。本件の発明者らは、AC成分の大きさによって、吐き出し量(帯電ローラから感光ドラムに移動する付着物の量)が変動することを見出した。以下の表1のようになる。DC成分のバイアス差によって吐き出しは行われるものの、放電しない程度のAC電圧を印加することで、吐き出しは促進される。
これは、振動電場によって、付着物が振動し、ほぐされ、帯電ローラ2に対する付着力が弱まる為だと考えられる。
一方放電開始電圧の2倍(2Vth)以上のピーク間電圧Vppを印加すると現像剤は吐き出されることはなかった。放電バイアスが印加されることによって、付着物が強ネガ化し(マイナスに強く帯電し)、帯電ローラに対する付着物の鏡映力が上昇してしまったことが理由と考えられる。したがって、吐き出しシーケンス(付着物の回収動作)の実行時には、帯電ローラに印加する電圧のピーク間電圧Vppは、放電開始電圧の2倍を下回るようにすることが好ましい。
Figure 2016085236
感光ドラムに吐き出された付着物は現像スリーブ6を通過する。このとき現像スリーブ6にはバイアスが印加のされておらず(現像スリーブの電位が0V)、また感光ドラムと現像スリーブは接触していない。
感光ドラムと当接する転写ローラには−1000V(T404)のバイアスを印加し、付着物と転写ローラが電気的に反発するような電位関係とする。これにより付着物を転写ローラに付着しないようにしたり、転写ローラに付着した付着物を感光ドラム1で回収したりする。
転写ローラに付着した付着物を感光ドラム1で回収するために、転写ローラ10に−1000Vの電圧を印加する印加時間は、転写ローラ1周分以上の長さであることが好ましい。また、転写ローラに−1000Vの電圧を印加するのをやめるタイミング(T405)は、感光ドラム上の吐き出し面(付着物が吐き出される感光ドラム上の領域)が、感光ドラムと転写ローラのニップ部に最後に到達するタイミングよりも後にする。図1に示したシーケンス中、帯電バイアス(AC)から転写バイアスに向けて伸ばした矢印がこのタイミングを示している。転写ローラのバイアスは付着物を転写ローラから反発させつつも、感光ドラムを帯電させないような値を選んだ。つまり転写ローラと感光ドラムの間で放電が起きないようにしている。感光ドラムの吐き出し面が転写ニップを通過後、転写バイアスはOFFとする(T405)。
転写ローラを通過した付着物はクリーニングブレードによって、ほぼ回収される。以上のようなシーケンスを画像形成後の画像形成装置を停止する前の動作(これを後回転とよぶ)中に、毎回実施することで適宜付着物を吐き出す。この結果本実施例では付着物による、帯電不良、感光ドラム上への融着を低減することができた。
本実施例の構成と作用効果をまとめると以下の通りである。
本実施例の画像形成装置は、現像剤像を担持する為の回転可能な感光ドラム1(像担持体)と、感光ドラム1に当接してこれを帯電する帯電ローラ2(帯電部材)を有する。帯電ローラ2へはDC電圧とAC電圧を重畳させた電圧が印加される。
画像形成装置は、帯電ローラ2に付着した付着物(トナー等)を感光ドラム1に回収させる回収動作を非画像形成時(画像形成前、画像形成後や、紙間)に実施するものである。ここで回収動作において(1)帯電ローラ2に印加する電圧をDC電圧とAC電圧を重畳したものとする。さらに(2)帯電ローラ2に印加するDC電圧の値(DC成分)Vdcと、ドラム電位Vdrの電位差である(Vdc−Vdr)が付着物の支配的極性と同一極性になるようにした。そしてさらに(3)AC電圧のピーク間電圧Vppを、放電がおきる閾値(放電開始電圧の2倍:2Vth)を超えないように設定する。すなわちVppを、帯電ローラ2と感光ドラム1の間に放電を起こさない値に設定する。
帯電ローラ2への付着物の帯電極性は、感光ドラム1や帯電ローラ2との摩擦や、帯電ローラ2と感光ドラム1の間に生じる放電によって偏りが発生する。本実施例ではマイナスに帯電する付着物が支配的である(多数を占める)。
このことから、感光ドラム1に対する付着物の支配的極性(本実例ではマイナス)と同一極性のDC電圧を帯電ローラに印加することで、付着物と帯電ローラ2とを電気的に反発させて、感光ドラム1に回収させるようなクーロン斥力を付着物に加える。本実施例では、回収動作において帯電ローラ2のDC電圧の値Vdcを、感光ドラム1の表面電位Vdrよりもマイナス側にした。つまり、Vdc−Vdr=(−200)−(−100)=−100となるように帯電ローラ2に印加する電圧を設定し、電位差(Vdc−Vdr)を、付着物と同極性(マイナス極性)としている。
更に、感光ドラム1と帯電ローラ2の間に放電を生じさせない程度のAC電圧(Vpp<2Vth)を帯電ローラ2に印加する。すなわち、放電開始電圧の2倍未満のピーク間電圧をもつAC電圧(Vpp<2Vth)を帯電ローラ2に印加している。本実施例では、Vppが−300V乃至−700Vとなるように設定した。
なおこれは、放電開始電圧Vthが−550V(2Vth=−1100)であることから設定されたピーク間電圧である。使用する帯電ローラ2や感光ドラム1、あるいは画像形成装置が使用される温湿度などの環境によっても放電開始電圧Vthは変化するので、それらの条件を踏まえて、回収動作時のピーク間電圧を定めればよい。
回収動作でAC電圧を帯電ローラ2に印加することより、帯電ローラ2と感光ドラム1の間に振動電界が生じて、帯電ローラ2表面上の付着物をほぐすことになる。その結果、帯電ローラ2から感光ドラム1への付着物の吐き出しを促進することができる。
従来はDC電圧によるクーロン斥力のみによって、帯電ローラ2から付着物を吐き出そうとしていたが、本実施例では更にAC電圧のほぐし効果によって、より高い吐き出し性能を帯電ローラに与えることができる。
なお、回収動作において帯電ローラ2に印加するAC電圧のピーク間電圧Vppを、放電開始電圧の2倍(2Vth)以上としてしまうと、帯電ローラ2と感光ドラム1との間に放電が生じて、付着物がチャージアップ(付着物の電荷が増加)してしまう。この現象がおきると、帯電ローラ2から付着物が吐き出されるのが抑制されてしまうので、回収動作時にはピーク間電圧Vppは放電開始電圧の2倍を下回るよう(Vpp<2Vth)に設定した。
更に本実施例では、回収動作の実行前に感光ドラム1の表面電位を所望の電位に均一化する電位の調整動作を行っている。具体的には、−100Vとなるように感光ドラム1の電位を調整している。
調整動作は必須ではないが、調整動作を行った方が回収動作において付着物の吐き出し効果(回収効果)が高まる。調整動作を行うことによって、感光ドラムの電位が均一となるので、回収動作において感光ドラム1と帯電ローラ2の間に一定の振動電界を形成することができ、付着物の回収が促進される。
<実施例1の変形例>
実施例1では、回収動作前に、感光ドラム1の表面電位の調整を露光装置による露光で行った(図1のT102参照)。しかし調整動作において帯電部材(帯電ローラ2)による放電や、転写部材(転写ローラ10)による放電によって感光ドラム1の表面電位を調整してもよい。以下にそのような変形例を示す。
帯電部材による表面電位調整を行う場合は、例えば図9のように、帯電バイアス(DC)をVdc=−100V(T202)に設定し、帯電バイアス(AC)のピーク間電圧VppをVpp=1600V(T301)のように設定する。帯電部材に画像形成時とは異なるDC電圧を印加することで、画像形成時とは異なる放電を起こし、感光ドラムの表面電位を−100Vになるように調整する。すなわち、帯電バイアスの設定を画像形成時とは異ならせることで、回収動作前に、感光ドラム1の表面電位を、回収動作前に均一にする。
また、転写部材(転写ローラ10)によって感光ドラム1の表面電位の調整を行う場合は、図10のように転写バイアスとして−1300V(T402)の直流電圧を印加し、感光ドラム1と転写ローラ10の間に放電を起こす。すなわち、転写ローラ2に画像形成時とは異なる電圧(転写バイアス)が印加されることで、感光ドラムの表面電位は−100Vになるように調整される。転写ローラ10には、感光ドラムの電位よりもマイナス側の電圧が印加されている。
この調整動作の実行時に転写ローラ10に印加される電圧の大きさは、パッシェンの法則および転写ローラ10の抵抗を勘案し、感光ドラム1と転写ローラ10の間に放電が起こる値に設定される。
<実施例2>
実施例2では、実施例1のシーケンスに改良を加え吐き出し効果を向上させた例を示す。実施例2では、吐き出し前の帯電ローラからの放電量を弱く設定し、付着物を弱極性化することで、吐き出し効果を向上させるものである。
つまり本実施例では、回収動作の実行前に、その準備動作として画像形成中よりも弱いVppを帯電ローラに印加している。そのうえで帯電ローラ2に印加するバイアスを吐き出しバイアスに切り替える。
なお、特に断りの無い事項は、実施例1と同じ構成とする。
(吐き出しシーケンス)
本実施例でのシーケンスを図4を参照しながら説明を行う。実施例1では、帯電バイアスは、画像形成終了後も、画像形成時と同様のバイアスを印加しておき、転写バイアスを+1500Vから+800Vに変更した後、速やかに、帯電バイアスを吐き出しバイアスに変更した。
これに対し本実施例では、帯電バイアスを画像形成終了後、速やかに放電する最低限のバイアスに切り替える。
つまり、実施例1では画像形成後しばらく帯電ローラに印加する電圧のDC電圧値が−400V(T201)であり、ピーク間電圧がVpp1600V(T301)のままであった。一方本実施例では画像形成後かつ吐き出しシーケンスの前に、DC電圧値を−400V(T202)、ピーク間電圧Vppを1200V(T302)に設定する回収準備動作を行う。
この回収準備動作中に、帯電ローラ2印加する電圧を以後、電荷調整バイアスと表記する。
表2に電荷調整バイアスを変更した際の検討結果を示す。
Vppを1600Vにするのが実施例1の設定に相当する。これは画像形成後も帯電バイアスを変化しない設定であって、回収準備動作を行わない設定に相当する。
表2のVppを1200Vにするのが本実施例の設定に相当する(回収準備動作を行う設定)。回収準備動作を行った方が、吐き出し効果が向上していることがわかる。
なお、回収準備動作では、ピーク間電圧は、画像形成時のVppである1600Vよりも小さい値(1200V)にしている。
画像形成時には、ピーク間電圧Vppは画質安定化の観点から1600V必要であるが、非画像形成時では、転写ポジメモリを防ぐ程度に印加されていればよいため1200Vあれば十分だからである。
そして画像形成時よりもピーク間電圧を下げるのは、画像形成時よりも弱い放電により、付着物を強負極性に帯電した状態から弱負極性化することを目的とする。言い換えると、付着物が強負極性化し、高鏡映力で帯電ローラと付着することを防ぐために、画像形成後は、帯電ローラ2と感光ドラム1の間に強い放電が生じるのを極力抑える。
Figure 2016085236
回収準備動作を行った後は実施例1と同様の吐き出しシーケンス(回収動作)で付着物の吐き出しとその回収を行う。
本実施例の構成をまとめると以下の通りである。
本実施例では、帯電ローラ2に電源2Aが電圧を印加する際の設定として少なくとも異なる3つの設定がある。
第1の設定:これは画像形成時に適応される電圧設定である。第1の設定で、帯電ローラ2に印加されるAC電圧のピーク間電圧を特にVpp(1)とすると、Vpp(1)=−1600Vである。Vpp(1)>2Vthとして、帯電ローラ2と感光ドラム1の間に放電を起こし感光ドラム1を帯電している。上記実施例ではVpp(1)=−1600、2Vth=−1100Vである。また第1の設定では、Vdc=−400Vである。
第2の設定:これは回収準備動作を実行する際(非画像形成時でかつ、回収動作の前の時点)で適用される電圧設定である。第2の設定で、帯電ローラ2に印加されるAC電圧のピーク間電圧を特にVpp(2)とすると、Vpp(1)>Vpp(2)≧2Vthである。第2の設定でも、帯電ローラ2と感光ドラム1の放電を起こすようにしているが、その放電電流量は第1の設定よりも小さくなるようにしている。本実施例ではVpp(2)=−1200Vである。なおDC電圧の値(DC成分)Vdcは、第1の設定と同様にした。第2の設定の電圧を帯電ローラ2に印加すると、帯電ローラ2に付着した付着物の帯電量を低減させることができる。つまり回収準備動作の前後で、付着物の電荷の極性は同一であるものの、その絶対値が低下する。
第3の設定:これは回収動作を実行する際に適用される電圧設定である。第3の設定で、帯電ローラ2に印加されるAC電圧のピーク間電圧を特にVpp(3)と表すと、2Vth>Vpp(3)である。すなわち、第3の設定では、帯電ローラ2と感光ドラム1の間に放電は生じない。またDC電圧の値は、Vdc=−200Vとした。
各ピーク間電圧の大小関係をまとめると、
Vpp(1)>Vpp(2)≧2Vth>Vpp(3)>0
である。
以上のような回収準備動作と回収動作を画像形成後に毎回実施することで、適宜付着物を吐き出す。この結果、本実施例では付着物による、帯電不良、感光ドラム上への融着を実施例1より更に低減させることができた。
つまり回収動作の直前で、画像形成時よりも弱いAC電圧(ピーク間電圧がVpp(2)となるAC電圧)を印加することで、付着物の帯電量を抑えた(付着物を強いネガ状態から弱ネガ状態へと化えた)。これにより付着物が帯電ローラ2に付着するための鏡映力を減じている。その結果、回収動作において吐き出し効果が高まった。
<実施例2の変形例>
なお本実施例でも、回収動作前に、感光ドラム1の電位を調整する調整動作を、帯電ローラ2を用いて行ってもよい。
この場合は図11のように、表面電位を調整する為に、帯電バイアス(DC)としてVdc=―100V(T202)を帯電部材に印加する。また、同時に、電荷を弱負極性化する為に帯電バイアス(AC)のピーク間電圧VppとしてVpp=1200V(T302)を印加する。つまり、感光ドラム1の電位を、回収動作に適した値に調整する調整動作と、付着物の電荷の絶対値を下げる回収準備動作を同時に行っている。つまり調整動作のために、帯電ローラ2に印加するDC電圧を画像形成時とは異ならせる一方、回収準備動作のために、帯電ローラ2に印加するAC電圧も画像形成時とは異ならせている。
<実施例3>
実施例3では吐き出しを実施する直前の感光ドラム表面の電位調整をより精細に行うことで、更に吐き出し性能を向上させる例を示す。特に断りの無い事項は実施例1と同じ構成とする。
(吐き出しシーケンス)
本実施例でのシーケンスを図1を参照しながら説明を行う。
実施例1では、所定の吐き出しバイアスに切り替え完了のタイミングに、帯電ローラ、感光ドラムのニップに突入する感光ドラムの表面は、予め露光をしておく(T102)と説明した。本実施例でもこの点では、同様であるが、露光光量を実施例1よりも詳細に調整する。本実施例での露光では明電位が−100Vになるように設定するが、感光ドラムは使用(回転数)と共に電荷輸送層が摩耗し、静電容量が増加する。これにより明電位の値は感光ドラムの使用回転数によって変化する。図5は感光ドラム回転数を振った時の暗電位−400Vからの露光量と明電位のグラフである。明電位−100Vを実現する為に、感光ドラム寿命初期は0.25μJ/cm2程度に対し、感光ドラム寿命末期は0.28μJ/cm2に最適値が変化する。これらに応じて露光光量を変更して一定の明電位を実現させる。
本実施例では表3のような対応表を参照して、適宜最適な露光光量を設定し、明電位−100Vを実現する。表3は画像形成が良好に行える限界の寿命膜厚まで、あとどれだけ感光ドラムが回転できるか(ドラム回転数残寿命)を横軸に取る。Initialを100%として、膜厚が減少して寿命到達した状態を0%とする。本体内に感光ドラムの回転数をカウントし、記憶するメモリを設け、その値に応じて所望の露光量を選ぶ。今回は本体内に感光ドラム回転数の記憶メモリを設けたが、感光ドラム及び帯電ローラ周りのパーツを着脱可能に一体化し、カートリッジとして装着することもできる。この場合カートリッジ内にメモリを持たせることで、カートリッジ交換にも追随して、最適な露光量を選択することができる。また、感光ドラムの回転数をカウントするのではなく、感光ドラムの膜厚を直接測定できるような機構を設けて露光量に反映させてもよい。
Figure 2016085236
以下は実施例1と同様のシーケンスを行う。
以上のようなシーケンスを画像形成後に毎回に実施することで、適宜付着物を吐き出す。この結果本実施例では耐久変動に依らず付着物による、帯電不良、感光ドラム上への融着を低減することができた。
<実施例4>
実施例1の表1に示したように吐き出し時のVppは300Vより、700Vの方が吐き出し効果が大きい。これは、放電しない範囲でなるべく大きなVppを設定することが、最も吐き出しし易い設定であることを示している。これを踏まえて、実施例4では吐き出しを実施する際の帯電ローラに印加するVppの設定をより精細に、放電しない範囲で最大の値を設定するように制御することで、更に吐き出し性能を向上させる例を示す。特に断りの無い限り実施例1と同じ構成とする。
(吐き出しシーケンス)
本実施例に帯電ローラから付着物を吐き出す為のシーケンスを図7を参照しながら説明する。実施例1では帯電ローラに印加する吐き出しバイアスとして、付着物の支配的極性と同極性のDC電位差、放電しない程度のピーク間電圧Vppを印加すると説明した。更には、本発明者らは、ピーク間電圧Vppが、放電しない範囲で大きい程、吐き出し性能が高いことを見出した。しかし、放電開始電圧Vthは温湿度環境、感光ドラムの使用回転数(感光ドラムの電荷輸送層の膜厚低減)により変動する。
図6には帯電ローラのピーク間電圧Vppと放電電流値の環境、画像形成装置の寿命推移を示す。このグラフは、放電開始となる立ち上がりのVppが低下する程低バイアスで放電し易くなることを表す。グラフから高温高湿、使用回転数が大きい程低バイアスで放電しやすい。
ここから、放電しない範囲で最も大きな、吐き出しバイアスのピーク間電圧Vppを選択した。図6の●(黒い丸)で示す点が選択したVppである。これらの値を線形補完して、導いた表が表4である。この表を用いて、環境温湿度、感光ドラムの回転数に応じて、適宜最適な(放電しないなるべく大きい)吐き出しバイアスのピーク間電圧Vppを設定する。図7のシーケンスチャートの吐き出しバイアス設定の領域をVpp=可変制御(T303)と表記し、表4に従った値を設定する。
表4は画像形成が良好に行える限界の寿命膜厚まで、あとどれだけ感光ドラムが回転できるか(ドラム回転数残寿命)を横軸に取る。Initialを100%として、膜厚が減少して寿命到達した状態を0%とする。
本体内に感光ドラムの回転数をカウントし、記憶するメモリを設ける。また本体内に温度センサーを設ける。これらの値に応じて所望のピーク間電圧Vppを選択する。今回は本体内に感光ドラム回転数の記憶メモリを設けたが、感光ドラム及び帯電ローラ周りのパーツを着脱可能に一体化し、カートリッジとして装着することもできる。
カートリッジ内にメモリを持たせることで、帯電装置のカートリッジ交換にも追随して、最適なピーク間電圧Vppを選択することができる。また、感光ドラムの回転数をカウントするのではなく、感光ドラムの膜厚を直接測定できるような機構を設けてピーク間電圧Vppに反映させてもよい。また縦軸に、温度を取ったが、湿度の情報を盛り込んでもよい。また、今回は最適なバイアスを選択するテーブルを用いたが、定電流制御と言われる高圧回路から帯電電流量Iacを検知できる構成にし、所望のIacを出力できるようにピーク間電圧Vppを設定することもできる。
Figure 2016085236
以下は実施例1と同様のシーケンスを行う。
以上のようなシーケンスを画像形成後に毎回に実施することで、適宜付着物を吐き出す。この結果本実施例では耐久変動、環境変動に依らず付着物による、帯電不良、感光ドラム上への融着を低減することができた。
<実施例5>
実施例1から4では、負極性が支配的な付着物を例に挙げてシーケンスを説明してきた。しかし、帯電ローラ上の付着物の極性は正極性が支配的な場合も考えられる。
以下に正極性の付着物が付着する過程を考える。先ず、転写ニップ通過後、転写バイアスは正バイアスの為、正極性の付着物が支配的である。実施例1では、摺擦により、付着物が負極性化すると説明したが、クリーニングブレード及び感光ドラムの付着物に対する仕事関数次第では、摺擦により、正極性化すると考えられる。また、実施例1では帯電ローラからの放電によって、負極性化すると説明したが、放電量が十分弱ければ、正極性化した付着物の極性は維持されると考えられる。
正極性化した付着物は、感光ドラムに対して帯電ローラの表面自由エネルギーが大きく、付着性が強いことに加えて、画像形成中は、感光ドラムに対して帯電ローラは負極性の為、電気的にも帯電ローラに付着する。以上のように正極性の付着物が支配的に帯電ローラに付着する場合も想定し、以下のようなシーケンスを用いる。
(吐き出しシーケンス)
本実施例でのシーケンスを図8を参照しながら説明を行う。実施例1と同様のタイミングで、帯電バイアスは吐き出しバイアスに下げられる。実施例1ではDCが−200V(T203)、Vppが700V(T303)なのに対し、実施例5では、DC0V(T203)、Vpp700V(T303)に設定する。所定の吐き出しバイアスに切り替え完了のタイミングに、帯電ローラ、感光ドラムのニップに突入する感光ドラムの表面は、予め露光を行っておく(T102)。本実施例での露光では明電位が−100Vとなる。
帯電ローラ上の正極性の付着物は、帯電ローラの0Vと感光ドラムの表面電位−100Vとの電位差Δ100Vによって、感光ドラム表面に吐き出される。この吐き出しバイアスは帯電ローラ一周分印加する。印加時間は付着物の付着具合によって、適宜調整されるべきものである。
今回吐き出しバイアスとしてDC成分を0Vに設定したのは、正極性の付着物を吐き出すのに、感光ドラムの表面電位との電位差がΔ100Vで十分であったからである。吐き出しバイアスのDC成分は、感光ドラムの表面電位との電位差が正極性の付着物を吐き出すバイアスであることが重要であり、求める電位差に応じて絶対値は決定される。例えば、より電位差を付ける為にDC成分を+100Vに設定し、電位差をΔ200にすることもできる。以上のように適宜吐き出しバイアスのDC成分は設定される。更には吐き出しバイアスには実施例1と同様の理由でAC成分も印加する。
以上のようなシーケンスを画像形成後に毎回実施することで、適宜付着物を吐き出す。この結果本実施例では付着物の極性が正極性が支配的な場合でも帯電不良、感光ドラム上への融着を低減することができた。
A 画像形成装置
T 現像剤
1 感光ドラム
2 帯電ローラ
3 露光装置
8 クリーニングブレード
10 転写ローラ

Claims (8)

  1. 記録媒体に画像形成装置において、
    現像剤像を担持する為の回転可能な像担持体と、
    前記像担持体に当接し、前記像担持体を帯電する帯電部材と、
    を備え、
    前記画像形成装置は、前記帯電部材に付着した付着物を前記像担持体に回収させる回収動作を非画像形成時に実施するものであり、
    前記回収動作において
    (1)前記帯電部材にはDC電圧とAC電圧が重畳して印加され、
    (2)前記帯電部材に印加されるDC電圧の値をVdc、前記像担持体の表面電位をVdrとしたとき、(Vdc−Vdr)が前記付着物の支配的極性と同一極性になるように設定され、
    (3)前記帯電部材に印加されるAC電圧のピーク間電圧が、前記帯電部材と前記像担持体の間に放電が起きない値に設定されることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記画像形成装置は、非画像形成時でかつ前記回収動作を行うまえに、前記像担持体の表面電位を調整する調整動作を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記画像形成装置は、前記像担持体の表面を露光して静電潜像を形成する露光装置を備え、
    前記露光装置は、前記調整動作として前記像担持体を露光することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記画像形成装置は、前記像担持体の表面に形成された現像剤像を被転写体へ転写する為の転写部材を備え、
    前記転写部材は、前記調整動作が実行される際に画像形成時とは異なる電圧が印加されて前記像担持体との間に放電を起こし、前記像担持体を帯電させることを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
  5. 前記帯電部材は、前記調整動作が実行される際に画像形成時とは異なるDC電圧が印加されて、前記像担持体との間に放電を起こし、前記像担持体を帯電させることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  6. 前記帯電部材へ印加される電圧設定として少なくとも異なる三つの設定があって、
    第一の設定は画像形成中に適用されるものであり、
    第二の設定は非画像形成時かつ前記回収動作前に実行される回収準備動作において適用されるものであり、
    第三の設定は前記回収動作時に適用されるものであり、
    前記第一乃至第三の設定が適用される際には、前記帯電部材にDC電圧とAC電圧が重畳され、
    前記第一の設定におけるAC電圧のピーク間電圧をVpp(1)、前記第二の設定におけるAC電圧のピーク間電圧をVpp(2)、前記第三の設定におけるAC電圧のピーク間電圧をVpp(3)と表し、像担持体と帯電部材との間に放電が生じるピーク間電圧の閾値を2Vthとすると、
    Vpp(1)>Vpp(2)≧2Vth>Vpp(3)>0
    が満たされることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  7. 前記回収準備動作の後における前記付着物の電荷の絶対値は、前記回収準備動作の前における前記付着物の電荷の絶対値より小さくなることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
  8. 前記回収準備動作の後における前記付着物の電荷と、前記回収準備動作の前における前記付着物の電荷は同極性であることを特徴とする請求項6または7に記載の画像形成装置。
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