JP2016085031A - ストーカ式焼却炉の取付け構造及びスクレーパ - Google Patents

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武裕 岡
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Yoshinobu Uragami
嘉信 浦上
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Abstract

【課題】ストーカ式焼却炉の内側であって火格子の上方から、火格子の設置や交換を行うことができるとともに、火格子の上方への変位自由度を確保しつつ必要以上に火格子が浮き上がることを確実に防止する。【解決手段】ストーカ式焼却炉の火格子の取り付け構造において、火格子6を載せて支持する火格子受け梁8に火格子6の後端を保持する保持部82を設け、火格子6の下側に軸ピン66、火格子受け梁8に係合凹部83をそれぞれ設け、且つ軸ピン66と係合凹部83は火格子6が上方へ変位したときに係合するように配置し、軸ピン66と係合凹部83の係合により火格子6の上方への変位を規制する。【選択図】図2

Description

本発明は、ストーカ式焼却炉の固定火格子と可動火格子を構成する火格子の取り付け構造と、火格子下部に装着されて火格子とともに摺動して火格子上の付着物を掻き取るスクレーパに関する。
可燃ごみの焼却処理とともに発生した有害物質の無害化処理を行うごみ焼却処理施設の焼却炉として、焼却炉の幅方向横列に沿って固定火格子列と可動火格子列を並置し、且つ焼却炉の長手方向(焼却処理対象物の移送方向)に前記固定火格子列と可動火格子列とを交互に階段状に配置してなる横列隔段往復動式のストーカ式焼却炉が広く利用されている。
近年、ごみ処理施設の多くは焼却処理としての機能に加え、熱回収施設としてボイラとタービン発電機を付設して発電を行う発電所の機能を有するようになってきている。発電所には長期に安定した電力供給機能が確保されている必要があり、焼却炉を停止させることなく、安定して連続運転ができるよう求められている。
かかるストーカ式焼却炉のストーカを構成する固定火格子100Aと可動火格子100Bとして、例えば図8に示されるように、固定フレーム101Aと可動フレーム101Bの上端にそれぞれ火格子受部材である火格子受け梁102が固定され、火格子受け梁102の先端に設けた突部102aにスクレーパ103の後部に設けた係合孔部103aを嵌め入れてスクレーパ103を取り付け、スクレーパ103が取り付けられた火格子受け梁102に火格子104を載せるとともに、火格子104の後部下面に設けた凹部104aを火格子受け梁102の後部に設けた突部102bに嵌合させて、火格子104が火格子受け梁102上に支持されるように構成されたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
また、固定フレームと可動フレーム上で支持される火格子の下方にばねなどの弾性体を設置し、この弾性体の一端を火格子の下部に連結して、火格子を常時下方へ弾圧付勢して設置する構成のものが知られている(例えば特許文献2、3参照)。
特開2002−323214号公報 特公昭50−4891号公報 特開2000−161642号公報
前記図8に示された構成のものは、火格子104を火格子受け梁102に設けた突部102bに嵌め込むことにより取り付けることができ、火格子104の装着は特殊な作業を必要とせずに容易であり、火格子104の交換も焼却炉の内側、すなわち火格子104の上側からから簡易に行うことができるという利点を有する。
然し乍ら、この構成のものでは、可動火格子100Bを固定火格子100A上で前後に往復動させて焼却処理対象物を移送する過程で、焼却処理対象物中の硬い異物がスクレーパ103と火格子104の先端間の隙間から火格子104の下側に楔状に押し入って、或いは小さな異物が火格子104の下側で堆積することにより、火格子104を火格子受け梁102から浮き上がらせ、火格子104が火格子受け梁102から脱落して破損したり、不燃焼状態の焼却処理対象物の塊が浮き上がった火格子104の下側を通り抜けて落下したりする虞があった。
また、火格子104の浮き上がりにより、火格子104の下側の焼却炉の風道から供給される一次燃焼空気が浮き上がり部に集中して炉内側へ噴出し、不均一燃焼と火格子104の部分的な高温酸化焼損をもたらし、火格子104の耐久性を著しく低下させてしまう。
この場合、火格子104を火格子受け梁102の上面に固定すれば火格子104が浮き上がることはないが、火格子104に鉛直上方へ変位するある程度の遊びがないと、固定火格子100Aと可能火格子100Bの摺動面が著しく摩耗してしまい、また、固定火格子100A上面を可動火格子100Bが摺動する際に、硬い異物が火格子104下面やスクレーパ103下面に楔状に噛み込むと、上方への曲げ応力により火格子104が折損することがある。
火格子104は、高温・腐食環境で使用され、形状が複雑であることから、通常、耐熱鋳鉄や耐熱鋳鋼が成形材料として用いられている。鋳造品は炭素鋼などの非鋳造品と比較して曲げ強さ、耐衝撃力が低く、前述の曲げ応力を回避する構造とする必要がある。
また、前記特許文献3には、火格子の下方に設けた弾性体で火格子を常時下方へ弾圧付勢して、火格子の先端側がある程度浮き上がるように構成することで、前記曲げ応力を回避することが提唱されているが、この構成では、火格子の設置や交換を、落下灰や溶融メタル、タール(乾留物)などが付着堆積した劣悪な作業環境の焼却炉の下側から行わなければならず、また、火格子の取り付けにも特殊な部材及び複雑な作業が必要となって、施工性及びメンテナンス性の点で劣り実用的でない。
本発明は従来技術の有するこのような問題点に鑑み、固定火格子上における可動火格子の前後摺動動作に支障を来さない程度に火格子の上方への変位自由度を確保しつつ必要以上に火格子が浮き上がることを確実に防止し、焼却炉の内側から火格子の設置や交換を、特殊な部品や工具を使用することなく、容易に行うことができるように構成することを課題とする。
また、前述の通り、ごみ処理施設は発電施設として長期に安定した運転が要求されていることから、焼却炉の停止機会を極力低減し、定期点検や整備も短期間で実施することが求められていることに鑑み、本発明が解決しようとする課題は、火格子の装着を安定化かつ簡素化することで火格子に起因する事故を低減し、点検整備を容易にすることにもある。
前記課題を解決するため本発明のストーカ式焼却炉の火格子の取り付け構造は、火格子を載せて支持する火格子受部材に火格子の後端を支持位置に保持する保持部が設けられているとともに、前記火格子の下側に係合部、前記火格子受部材に前記係合部が係合する部位である被係合部がそれぞれ設けられ、且つ前記係合部と被係合部は火格子受部材上に載せて支持された火格子が支持位置から上方へ変位したときに係合するように設けられており、
前記火格子受部材で支持された火格子がその前端側を上方へ変位させたときに前記係合部と被係合部が係合することにより、火格子の上方への変位が規制されるように構成されていることを特徴とする。
これによれば、火格子とこれを支持する火格子受部材に設けられた係合部と被係合部は、火格子受部材上に載せて支持された火格子が支持位置から上方へ変位したときに係合するように、つまり火格子受部材上に火格子を支持させた状態で鉛直方向に沿って所定の間隔を開けて対向するように設置されている。
火格子が前記係合部と被係合部が係合する位置まで上方へ変位可能な、いわゆる半固定状態で火格子受部材に取り付けられているので、固定火格子上で可動火格子が前後に摺動する際に、可動火格子の火格子はその後端を支点としてその前端側を上方へ僅かに変位させつつ固定火格子上をスムーズに摺動し、摺動面が著しく摩耗したり、焼却処理対象物中の硬い異物が火格子、或いは火格子とともに火格子受部材の前端に装着されるスクレーパの下面に楔状に噛み込んで火格子に曲げ応力が加わったりすることはない。
また、焼却処理対象物中の小さな異物を噛み込んで火格子の前端から異物が火格子の下側に入り込んだとしても、火格子の上方への変位に伴い前記係合部と被係合部が係合することで火格子の上方へのさらなる変位が規制され、これにより火格子の下側に大きな異物が入り込むことや、火格子の下側で小さな異物が堆積することが防止され、火格子が火格子受部材から浮き上がったり脱落したりすることを確実に防止することができる。
前記構成の火格子の取り付け構造において、火格子受部材上に載せられた火格子は、その後壁部を、火格子受部材の上面後部に突設された前側突部と後側突部の間に係入させ、且つ後側突部に設けられた固定具により前記前側突部に係合せしめられて支持位置に挟持され、この状態で前記係合部と被係合部は上下対向位置に配置されるとともに、前記固定具を取り外し、火格子受部材上に載せられた火格子が、その後壁部が前記後側突部に接合する位置まで移動した状態では、前記係合部と被係合部が前後互いにずれた配置となり、この状態で火格子を火格子受部材上から取り外すことができるように構成することができる。
これによれば、火格子の取り付けは、火格子受部材に火格子を載せ、火格子の後壁部を火格子受部材に設けられた前側突部と後側突部間に係入させ、前記後壁部が前記前側突部に接合する位置まで火格子を火格子受部材上で前方へスライドさせた状態で、火格子の後壁部を、前記前側突部と後側突部に設けられた固定具とで挟み込んで固定することにより行うことができる。また、固定具を取り外し、火格子を火格子受部材上で後方へスライドさせれば、前記係合部と被係合部が前後互いにずれた配置となり、そのまま火格子を上方へ持ち上げれば、火格子受部材上から取り外すことができる。
このように、火格子の着脱を、焼却炉の内側の火格子の上方における操作によって行うことができるので、火格子の設置にともなう焼却炉の施工を簡易な作業で行え、火格子を交換するなどのメンテナンスも手間をかけずに短期間で行うことが可能となる。
なお、前記固定具としては、前記火格子受部材の後側突部に着脱自在な部材であり、後側突部に装着することにより火格子の後壁部を前方へ押圧して前側突部との間に挟み込んでこれを固定するように機能する部材、例えばボルト、バネなどの弾性体などを用いることができる。
また、火格子を火格子受部材上で支持する別な態様して、前記構成の火格子の取り付け構造において、火格子受部材上に載せられた火格子は、その後壁部を、火格子受部材の上面後部に突設された前側突部と後側突部の間に係入させ、且つこの後壁部と前記後側突部との間に装填されたスペーサー部材により前記前側突部に係合せしめられて支持位置に挟持され、この状態で前記係合部と被係合部は上下対向位置に配置されるとともに、前記スペーサー部材を取り外し、火格子受部材上に載せられた火格子が、その後壁部が前記後側突部に接合する位置まで移動した状態では、前記係合部と被係合部が前後互いにずれた配置となり、この状態で火格子を火格子受部材上から取り外すことができるように構成することもできる。
これによる火格子の取り付けは、火格子受部材に火格子を載せ、火格子の後壁部を火格子受部材に設けられた前側突部と後側突部間に係入させた状態で、前記後壁部が前記前側突部に接合する位置まで火格子を火格子受部材上で前方へスライドさせ、前記後壁部と前記後側突部との間にスペーサー部材を装填し、このスペーサー部材と前記前側突部との間に火格子の後壁部を挟み込んで固定することにより行うことができる。また、スペーサー部材を装填位置から取り外し、火格子を火格子受部材上で後方へスライドさせれば、前記係合部と被係合部が前後互いにずれた配置となり、そのまま火格子を上方へ持ち上げれば、火格子受部材上から取り外すことができる。
この場合、スペーサー部材を前記後側突部に設けられた固定具により装填位置に固定し、固定具による固定を解除することにより火格子受部材からスペーサー部材を取り外せるように構成することが好ましい。スペーサー部材と固定具を用いることで、火格子受部材上の火格子のスライド可能な範囲を大きく確保することができるとともに、固定具でスペーサー部材を装填位置に固定することで、火格子の後壁部を火格子受部材の前側突部とスペーサー部材との間に挟み込んで固定状態を安定させることができる。
前記構成の火格子の取り付け構造において、係合部と被係合部は、火格子を火格子受部材に取り付けた状態では互いに離間しており、火格子を上方向に変位させたときに互いに係合することで、係合位置以上の火格子の上方向への変位を規制するように機能する部位をいう。前記係合部として火格子の下側に係合突部、前記被係合部として火格子受部材に断面がフック形の凹部を係合面とする係合凹部をそれぞれ設けた構成とすることができる。或いは、互いに係合する係合突部や係合凹部など適宜な係合態様のものを、それぞれの対応位置に設けて構成してもよい。
また、本発明のスクレーパは、火格子とともに火格子受部材に取り付けられるストーカ式焼却炉のスクレーパにおいて、火格子下面とスクレーパ上面間に入り込んだ焼却処理対象物中の異物をスクレーパ下方へ落下させるための切り欠け部がスクレーパ後部に設けられた構成を有することを特徴とする。
火格子とともに火格子受部材にスクレーパを装着して構成されるストーカ式焼却炉にあっては、このようにスクレーパの後部に切り欠け部が設けることで、火格子の下側に入り込んだ異物を、前記切り欠け部から焼却炉の下側に落下させることができ、異物は前記切り欠け部から逐次排出されて火格子下面とスクレーパ上面間で堆積するようなことはなく、堆積した異物の大きな塊により火格子が浮き上がったり脱落したりすることもない。
また、本発明のストーカ式焼却炉は、前記火格子の取り付け構造により火格子が取り付けられた構成を有することを特徴とし、さらに、火格子が取り付けられた被格子受部材の前端に、前記構成のスクレーパが取り付けられた構成を有することを特徴とする。
なお、本発明のスクレーパは、前記図8に示された従来の火格子とともに取り付けても、火格子の浮き上がりや脱落防止に効果を発揮するものである。
本発明の一実施形態におけるストーカ式焼却炉の炉床部分を示す構成図である。 図1のストーカ式焼却炉におけるストーカの固定火格子と可動火格子の構成を拡大して示した概略断面構成図である。 (A)、(B)はそれぞれ図2の火格子の上面側と下面側の斜視図である。 (A)、(B)はそれぞれ図2のスクレーパの上面側と下面側の斜視図である。 (A)〜(C)は火格子受け梁に火格子とスクレーパを取り付ける手順を説明するための固定火格子と可動火格子の概略断面構成図である。 (A)〜(C)は火格子受け梁上の火格子の位置の違いによる係合突部である軸ピンとフック形状の係合凹部の配置を説明するための図である。 本発明の他の形態における固定火格子と可動火格子の構成を拡大して示した概略断面構成図である。 従来の一例の火格子における固定火格子と可動火格子の構成を拡大して示した概略断面構成図である。
本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態のストーカ式焼却炉の炉床部を示す構成図であり、同図に示されるように、ストーカ式焼却炉1はその炉床部11に、焼却処理対象物の移送方向に沿って乾燥2a、燃焼I2b、燃焼II2c、後燃焼2dの各処理領域にストーカ2を多段に配列して構成されている。図中、符番12は風道であり、図示した炉床部11は、炉の幅方向中央に中間仕切り3を設けた左右二列のユニット構成としてある。
ストーカ2は、炉床部11の幅方向横列に沿って、図2に示す固定火格子4A列と可動火格子4B列を交互に並置し、且つ炉床部11の長手方向に固定火格子4A列と可動火格子4B列を階段状に配置してなる横列隔段往復動式を採用し、後述する火格子6間の間隙を均一に保ち、燃焼空気の吹き抜けや落塵を極力少なくするとともに、交互に配置した固定火格子4Aと可動火格子4Bにより効果的な燃焼処理対象物の移動、反転、撹拌を行えるように構成されている。
また、火格子6を約15〜20度の押し上げ角を持って支持し、ストーカ2全体として水平乃至約5度の傾斜角に設けることで、焼却処理対象物が一定層厚を保持して移送されようにし、火格子6は燃焼熱を直接受けにくい構造となっている。
ストーカ2を構成する固定火格子4Aと可動火格子4Bは、図2に示されるように、それぞれ固定フレーム5Aと可動フレーム5Bの上端に火格子受部材である火格子受け梁8が一体に固定され、それぞれの火格子受け梁8の前端にスクレーパ7を取り付け、このスクレーパ7と火格子受け梁8の上面に火格子6を重ねて取り付けた構成のものとしてある。
詳しくは、火格子6は、耐熱鋳鉄や耐熱鋳鋼を材質とする鋳造品であり、図3に示されるように、平面視矩形状の天面部61の前端に前壁部62、後端に後壁部63をそれぞれ垂下し、後壁部63の内側に凹部64を設けるとともに、前壁部62と凹部64の間に三つの内壁部65を並設し、前記天面部61と各内壁部65により区画される内部空間を空気流通路とした中空ブロック状に形成してある。
また、各内壁部65には、その中間部から若干後方寄りの位置に突面部65aを下方へ突設してあり、各突面部65aに形成された通孔65bに軸ピン66を通して一体に嵌着してある。
スクレーパ7は、火格子6と同様に、耐熱鋳鉄や耐熱鋳鋼を材質とする鋳造品であり、図4に示されるように、後部に下面を凹部71aとした脚部71を有するとともに、脚部71の後面端部に切り欠け部72を設けて脚部71を三つに区画するとともに、脚部71の前方に三本のアーム部73を突設し、各アーム部73の先端に帯状のヘラ部74を一体に設けて形成してある。
スクレーパ7は、火格子6よりも幅広に形成されており、一つのスクレーパ7に対して複数本の火格子6を一組として火格子受け梁8に取り付けられるようになっている。
火格子受け梁8は、図2及び図5に示されるように、その上面前端にスクレーパ7の凹部71aが嵌合する突部81を設け、その上面後部に、火格子6の後端を保持する保持部82を設けるとともに、前記突部81の後方に、上面及び前面を係合面としたフック形断面の係合凹部83を一体に設けて形成してある。
前記保持部82は、火格子受け梁8の上面後部に適宜な間隔を開けて平行に突設された前側突部82a、後側突部82bと、両突部間に装填されるスペーサー部材82cと、後側突部82bに形成された通孔に螺合して前記スペーサー部材82cを両突部間に固定するボルトなどの固着具82dとからなり、火格子受け梁8上に載せた火格子6の後壁部63を前記前側突部82aと後側突部82bの間に係入させ、さらに前記後壁部63と後側突部82bとの間にスペーサー部材82cを装填し、これを固着具82dで固定することにより、火格子6の後壁部63を前記前側突部82aとスペーサー部材82cの間に挟み込み、火格子6を支持位置に保持し固定するように構成されている。
また、係合凹部83は、火格子6の軸ピン66が係合する部位であり、図示されないが、火格子6の前記各突面部65a間の軸ピン66に係合するように複数の係合凹部83を列設した形態としてある。
なお、図示されないが、スペーサー部材82cを用いず、固着具82dで火格子6の後壁部63を前方へ押圧して火格子受け梁8の前側突部82aに押し付けて挟み込むことにより火格子6が支持位置に保持されるように設けてもよい。或いは、固着具82dを用いず、スペーサー部材82cの装填により、当該スペーサー部材82cが火格子6の後壁部63を前方へ押圧し、前記前側突部82aとの間で挟み込むように設けてもよい。
前記火格子6とスクレーパ7は、以下の手順で火格子受け梁8に取り付けて固定火格子4Aと可動火格子4Bを構成することができる。
先ず、図6(A)に示されるように、火格子受け梁8の前端上方にスクレーパ7を配置し、火格子受け梁8の突部81にスクレーパ7の凹部71aを嵌合してスクレーパ7を火格子受け梁8の前端に取り付ける。
次いで、火格子受け梁8の上方に火格子6を配置し、同図(B)に示されるように、火格子受け梁8の上面に火格子6を載せ、火格子6の後壁部63を火格子受け梁8に設けられた前側突部82aと後側突部82bの間に係入させる。
火格子受け梁8に載せた火格子6が火格子受け梁8の後方寄りに位置し、火格子6の後壁部63が火格子受け梁8の後側突部82bに接合した状態では、火格子6の下側に設けられた軸ピン66と火格子受け梁8に設けられた係合凹部83は、図6(A)に示されるように、前後互いにずれた配置となる。
そして、同図(C)に示されるように、前記火格子受け梁8の後方寄りに位置した火格子6を前方へスライドさせて、火格子6の後壁部63を火格子受け梁8の前側縁部82aに接合して係合させるとともに、当該後壁部63と前記後側突部82bの間にできた空間にスペーサー部材82cを装填し、これを後側突部82bの後方から螺合した固着具82dで固定することにより、火格子6とスクレーパ7の取り付けが完了する。
火格子6が火格子受け梁8に取り付けられた状態で、火格子6はその後端が火格子受け梁8の前記保持部82により固定されて支持位置に保持され、また、前記軸ピン66と係合凹部83は、図6(B)に示されるように、鉛直方向に沿って適宜な間隔を開けて上下対向位置に配置される。
なお、火格子6とスクレーパ7の取り外しは、上記と逆の手順で行うことができる。
このように構成された本形態の固定火格子4Aと可動火格子4Bによれば、図6(C)に示されるように、火格子6の軸ピン66が火格子受け梁8の係合凹部83に係合する位置まで、火格子6は上方への変位が可能であり、つまり火格子6は半固定状態で火格子受け梁8上に支持されている。
火格子6に上方へ変位する遊びが確保されていることから、固定火格子4A上で可動火格子4Bが前後に摺動する際に、可動火格子4Bの火格子6はその後端を支点としてその前端側を上方へ僅かに変位させつつ固定火格子4A上をスムーズに摺動し、摺動面が著しく摩耗したり、焼却処理対象物中の硬い異物が火格子6又はスクレーパ7の下面に楔状に噛み込み、火格子6に曲げ応力が加わったりすることはない。
また、焼却処理対象物中の小さな異物を噛み込んで火格子6とスクレーパ7の前端の隙間から異物が火格子6の下側に入り込んだとしても、火格子6の上方への変位に伴い前記軸ピン66と係合凹部83とが係合することで火格子6の上方へ変位が規制され、これにより火格子6の下側に大きな異物が入り込むことはなく、火格子6が火格子受け梁8から浮き上がったり脱落したりすることを確実に防止することができる。
また、スクレーパ7の後部に切り欠け部72aが設けてあり、火格子6とスクレーパ7の前端の隙間から火格子6の下側に入り込んだ異物は切り欠け部72から炉床部11の下方に落下させることができるので、異物が火格子6の下面とスクレーパ7の上面間で堆積するようなことはなく、堆積した異物の大きな塊により火格子6が浮き上がることを防止することが可能である。
図7は本発明の他の形態におけるストーカ2の固定火格子4Aと可動火格子4Bを示しており、これはスクレーパ7を装備せずに、火格子4を単独で火格子受け梁8に取り付け、固定フレーム5Aと可動フレーム5Bの内側に冷却気体流路を設けた構成のものである。火格子6の着脱は前記と同様の手順で行われる。
このような、火格子6を単独で火格子受け梁8に取り付けた形態のものにおいても、火格子6が上方へ変位した際に火格子6の下側に設けた軸ピン66と火格子受け梁8に設けた係合凹部83とが係合することで、当該係合位置以上に火格子6が上方へ変位することを規制し、火格子6の浮き上がりや脱落を確実に防止することが可能である。
なお、図示したストーカ式焼却炉1、固定火格子4A、可動火格子4B、火格子6、スクレーパ7、及び火格子受け梁8は、本発明の実施形態の一例を示すものであり、本発明はこれに限定されず、他の適宜な形態で構成することが可能である。
図示した形態では、火格子6に係合突部である軸ピン66を設け、火格子受け梁8にフック形断面の係合凹部83を設けたが、これとは逆に火格子6側に係合凹部、火格子受け梁8側に係合突部を設けてもよく、また、係合突部や係合凹部の他に他の係合態様の係合部と被係合部を設けてもよい。また、火格子受部材として火格子受け梁8を図示して説明したが、これとは異なる形態の部材を火格子受部材として用いてもよい。
本発明によれば、上記の如く構成したことにより、次のような効果を奏することができた。
火格子浮き上がりや脱落機会を著しく削減することで長期に安定した連続運転(8000時間以上)が可能となった。
火格子の浮き上がりが解消され、火格子の設置形態が安定するために、一次空気の部分噴き出しによる不均一燃焼と火格子の部分的な高温酸化焼損が抑制され、火格子の延命化が図られる。
火格子の取り付け取り外し作業が焼却炉内側から容易に行うことができるため、メンテナンス性、作業性が改善された。
火格子の整備機会が削減されることから、作業負荷の低減を図ることができた。
以上により、発電所の機能を有する焼却処理施設に要求される、長期安定運転と点検整備期間の短縮が可能となり、年間稼動率が向上し、安定した電力供給が可能なストーカ式焼却炉を提供できた。
1 ストーカ式焼却炉、2 ストーカ、3 中間仕切り、4A 固定火格子、4B 可動火格子、5A 固定フレーム、5B 可動フレーム、6 火格子、66 軸ピン、7 スクレーパ、71a 切り欠け部、8 火格子受け梁(火格子受部材)、82 保持部、83 係合凹部

Claims (2)

  1. 火格子を載せて支持する火格子受部材に火格子の後端を支持位置に保持する保持部が設けられているとともに、前記火格子の下側に係合部、前記火格子受部材に前記係合部が係合する部位である被係合部がそれぞれ設けられ、且つ前記係合部と被係合部は火格子受部材上に載せて支持された火格子が支持位置から上方へ変位したときに係合するように設けられており、
    前記火格子受部材で支持された火格子がその前端側を上方へ変位させたときに前記係合部と被係合部が係合することにより、火格子の上方への変位が規制されるように構成されていることを特徴とするストーカ式焼却炉の火格子の取り付け構造。
  2. 火格子とともに火格子受部材に取り付けられるストーカ式焼却炉のスクレーパにおいて、火格子下面とスクレーパ上面間に入り込んだ焼却処理対象物中の異物をスクレーパ下方へ落下させるための切り欠け部がスクレーパ後部に設けられた構成を有することを特徴とするストーカ式焼却炉のスクレーパ。

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