(第1の実施形態)
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明にかかる古紙処理装置を備えた再生処理装置の構成概略図である。再生処理装置1は、古紙10を離解して古紙パルプ液を製造し、得られた古紙パルプ液を抄紙して再生紙13を製造する。図1において、再生処理装置1は、古紙パルプ製造部3、脱墨部5、抄紙部6、仕上げ部7及び制御部8を備えている。
(古紙パルプ製造部)
図2は、古紙パルプ製造部3の斜視図、図3は、古紙パルプ製造部3の正面図、図4は、古紙パルプ製造部3の撹拌槽29の内部構造を示す縦断面図である。古紙パルプ製造部3は、古紙供給部21及び離解処理部22を備える。古紙供給部21は、古紙収容部24及び計量部25を備えている。古紙収容部24は、古紙パルプ製造部3を構成する撹拌槽29の上方に設置される。古紙収容部24は、上部開口を有する箱状に形成される。古紙収容部24は、図4に示すように、底板27が水平方向へスライド可能となっている。計量部25は、ロードセル等の重量計測機器により構成される。計量部25は、古紙収容部24に収容された古紙の重量を計測する。
離解処理部22は、古紙10を水とともに攪拌し、離解処理する古紙処理装置Fにより構成される。離解処理部22は、撹拌槽29、給水部28、撹拌手段31を備える。撹拌槽29の形状及び大きさは、特に限定されないが、攪拌効率が良好な点から有底で略円筒状または多角形筒状に形成されたものを用いることが好ましい。図2〜4では、一例として、撹拌槽29が正八角形筒状に形成された場合を示す。また、撹拌槽29は、離解処理効率及び装置の小型化の観点から、内径が30mm〜2000mm、より好ましくは300mm〜1500mm程度、容量が0.4L〜5000L、より好ましくは7L〜100L程度の大きさのものを用いることができる。
図2〜4に示すように、攪拌槽29の内壁面には、複数の邪魔板33を設けている。邪魔板33は、攪拌槽29内に貯留する液体を適正に攪拌し、撹拌翼41の空気を巻き込みながらの回転を抑制するものであれば、その形状及び設置位置、個数につき特に限定されない。図2〜4においては、一例として、三角柱状に形成された邪魔板33を撹拌槽29の高さ方向略中央部となる内壁面の複数箇所に突設してなるものを示している。
撹拌槽29の底部には、古紙パルプ液取出部34と、異物取出部37が設けられる。古紙パルプ液取出部34は、撹拌槽39の底部に設けられた開口部32に接続される。古紙パルプ液取出部34は、撹拌槽29の内部で古紙10を水とともに撹拌し、離解処理することにより製造された古紙パルプ、水等を含有する古紙パルプ液を、撹拌槽29の下方より取り出すためのものである。
古紙パルプ液取出部34には、配管35の一端部が接続されている。配管35の他端部は、ポンプ36に接続されている。ポンプ36の種類は、特に限定されないが、チューブポンプを用いることが好ましい。チューブポンプを用いることによってバルブを設置することなく、古紙パルプ液を所定のタイミングで下流側へ移送可能である。チューブポンプに替えて他のポンプを用いる場合には、配管35の途中にバルブを設ける構成とする。
古紙パルプ液取出部34には、撹拌槽29に混入した異物が下流側へ送られるのを抑制する異物流出抑制部38が設けられる。異物流出抑制部38は、円形に開口された古紙パルプ液取出部34の周縁上の一点より他点に架け渡される架設部材39を備える。架設部材39の形状は、特に限定されず、棒状、円柱状、角柱状、球状、塊状等に形成可能である。このうち、古紙パルプ液が異物流出抑制部38の設置された古紙パルプ液取出部34を容易に通過し、下流側へ移送できる点で、棒状、円柱状または角柱状に形成することが好ましい。
また、架設部材39の軸径が所定値より小さく形成されることが好ましい。架設部材39は、1本であってもよく複数設置されてもよい。架設部材39が複数設置される場合、これらを十字状に設置してもよく、所定角度で交差させ設置してもよく、更に平行としてもよい。これらのうち特に、架設部材39は、古紙パルプ液取出部34の開口部32の直径方向に配設されることが、異物を効率よく係止し、下流側への流出を抑制可能である点で好ましい。
異物取出部37は、撹拌槽29内に貯留する混合液中に、離解困難な異物が混入していた場合、そのような異物を取りだす。異物取出部37は、撹拌槽29の底部の古紙パルプ液取出部34設置箇所とは異なる位置に設けられた開口部30に接続される。異物取出部37の開口部30には、蓋体40が設けられる。蓋体40は、古紙10の離解処理中には、異物取出部37を閉塞するとともに、離解処理によって製造された古紙パルプ液が古紙パルプ液取出部34から取り出された後に、開口部30を開放し、異物と水との混合液を異物取出部37へと流入させることができる。異物取出部37は、異物回収部44に接続される。異物回収部44は、濾過部49を備える。濾過部49は、異物取出部37によって撹拌槽29から取り出した異物と水との混合液を濾過し、異物を回収する。
給水部28は、撹拌槽29の上部側壁に設けられている。該給水部28は、配管(図示省略)により、水道水等の上水の供給部(図示省略)、及び後述する抄紙部6の白水タンク(図示省略)の双方に接続され、これら上水または白水タンク内の白水のうち、いずれかの水を攪拌槽29内に供給するようになっている。
また、攪拌槽29の上部側壁の給水部28の隣には、後段の脱墨部5での脱墨処理の際に必要となる脱墨剤を供給する脱墨剤供給部26が設置される。
撹拌手段31は、撹拌軸42、駆動部43及び撹拌翼41を備える。撹拌軸42は、撹拌槽29の平面視略中心位置に設置される。そして、撹拌軸42の上部には、動力を伝達するためのプーリ46が設置され、ベルト47、プーリ48により駆動部43に連結されている。
駆動部43は、モータを備える。駆動部43は、ベルト47、プーリ46,48からなる動力伝達機構45を介して撹拌軸42を回転駆動し、これより撹拌翼41を正逆両方向に回転駆動する。
撹拌翼41は、撹拌槽29の下部に設置される。撹拌翼41は、古紙10を給水部28から供給された水とともに攪拌し離解する。撹拌翼41は、撹拌軸42の下部に固定されている。
攪拌翼41の撹拌槽29内における設置高さは、撹拌槽29の大きさにもよるが、撹拌槽29の底面から10mm〜100mm程度の位置に設けることが好ましい。撹拌翼41の位置を撹拌槽29の底面から10mmより高くすることで、離解処理の際、古紙10を、撹拌翼41の下方に容易に潜り込ませることができ、古紙10を撹拌翼41により切断できるので古紙パルプを容易に製造することができる。また、撹拌翼41の位置を撹拌槽29の底面から100mmより低くすることで、少量の古紙10を離解処理する際、撹拌翼41を古紙10及び給水部28からの水を含む混合液中に浸漬可能な高さとし、撹拌翼41の空気を巻き込みながらの回転を防止することができる。
撹拌翼41の厚さT(図5参照)は、0.3mm〜10mm程度が好ましく、0.5mm〜7mm程度とすることがより好ましい。攪拌翼41の厚さが0.3mm以上であることにより、攪拌槽29内に貯留する古紙10、水等の液体を十分に攪拌することができ、10mm以下であることより、古紙10を撹拌翼41によって効率よく切断し、古紙パルプ液を製造できる。
図5(a)に、撹拌翼41の平面図を、図5(b)に撹拌翼41の正面図を示す。撹拌翼41は、薄板により円盤状に形成された羽根部15を備える。羽根部15は、回転中心Cから撹拌槽29の内壁に向けて延在するとともに、周方向Eにおいて少なくとも一部が不連続に形成されている。羽根部15の少なくとも回転中心C近傍の所定範囲には、平面部16が設けられている。平面部16は、回転軸42の取り付け位置からの距離が、回転中心Cから撹拌翼41の外周縁に至る半径の8分の1乃至8分の7程度となる範囲に少なくとも設けることが望ましい。図5に示す撹拌翼41では、後述する異物係止部17を設けた範囲を除く羽根部15の全範囲に平面部16が設けられている。
撹拌翼41は、撹拌槽29内に混入した異物を係止するための異物係止部17が設けられる。異物係止部17は、羽根部15における径方向外周側位置に設けられている。図5では、異物係止部17が、羽根部15の径方向外周側に90°ずつ間隔をおいて4箇所に設けられる場合を示している。異物係止部17は、回転軸42の取り付け位置からの距離が、該回転中心Cから撹拌翼41の外周縁に至る半径の8分の1乃至8分の7程度の位置から、外周縁までの範囲に設けられる。
異物係止部17は、平面部16を切り欠いた切欠部18と、平面部16より上方に突出する突出部19とを備えている。切欠部18は、突出部19に隣接して設けられている。各切欠部18は、羽根部15の所定位置が平面視逆L字状に切り欠かれることで形成されている。
切欠部18は、逆L字状の各辺を構成する第一切欠縁75と第二縁76とを備える。図6は、図5(a)において羽根部15の下部に示す6時の位置の異物係止部171を拡大して示している。第一切欠縁75は、径方向に沿った折線72と平行な直線として形成される。第一切欠縁75は、羽根部15の径方向所定位置Pと外周縁近傍の所定位置Uとを結ぶ直線に沿って羽根部15が切り欠かれることで形成される。羽根部15の径方向所定位置Pを通る半径Rと、第一切欠縁75を構成する直線とは、所定角度θ2で交差している。
突出部19は、逆L字状の切欠部18によって区画される平面視略矩形状の折片71が、径方向に沿った折線72において上方に所定角度折り曲げられることで形成される。折片71の下方には、異物係止用開口部78が形成される。異物係止用開口部78は、折線72及び切欠部18によって囲まれ、周縁が規定される空間である。異物係止用開口部78の撹拌翼41における外周側縁は、開放されている。
突出部19は、折片71が上方に折り曲げられることにより、撹拌翼41の離解処理時とは逆方向D2の図5(a)、6において時計回りで示す回転方向前方に向けて上り勾配に形成された斜部74を備えている。水平面である平面部16に対する斜部74の傾斜角度θ1は、3°〜85°程度とすることが好ましく、20°〜60°程度とすることがより好ましい。斜部74の平面部16からの突出角度を3°以上とすることで、撹拌翼41が図5(a)において時計回りで示す離解処理時とは逆方向D2に回転した際、平面部16の上方を流通する古紙、水及び古紙パルプ等を含む混合液が、切欠部18から異物係止用開口部78を経て平面部16の下方へ流れ込みやすくなる。よって、該混合液中の異物が突出部19に係止されやすくなる。また、斜部74の平面部16からの傾斜角度θ1が、85°以下とされることで、撹拌槽29内に貯留する混合液を撹拌する際の撹拌抵抗を抑制可能であり、駆動部43の負荷を軽減できる。
突出部19の径方向の長さL1は、回転中心Cから撹拌翼41の外周縁に至る半径の8分の1乃至8分の7程度とされる。
異物係止部17は、羽根部15の不連続箇所である突出部19の径方向所定位置Sから、所定量外周側となる外周縁周辺までの範囲における離解処理時とは逆方向D2の回転方向前端縁と、前記所定位置Sにおける撹拌翼41の回転方向D3とのなす角θ3が110°以下で交差するよう形成される。即ち、突出部19の先端縁192は、撹拌翼41を離解処理時とは逆方向D2である図6において時計回りに回転した場合には、古紙パルプ液に対して、回転方向前端縁として接触する。これに対し、第一切欠縁75は、逆方向D2の回転方向後端縁となる。図6ではこの先端縁192と、所定位置Sにおける回転方向D3とのなす角度θ3は、約107°程度とした場合を示している。
第二切欠縁76は、所定位置Pにおいて第一切欠縁75に接続され、両者は略直交している。第二切欠縁76は、回転軸42の取り付け位置からの距離が、羽根部15の回転中心Cから撹拌翼41の外周縁に至る半径の8分の1乃至8分の7程度の範囲に形成される。第二切欠縁76は、周方向に略沿って直線状に形成される。
(脱墨部)
図7は、脱墨部5の平面図を示す。脱墨部5は、古紙パルプ製造部3で製造された古紙パルプ液を脱墨処理する脱墨装置Bにより構成される。脱墨部5は、脱墨槽51、ブレード53及び受泡槽55を備えている。脱墨槽51は、内部に複数の仕切り壁52が並設され、古紙パルプ液の流通路が蛇行して形成される。脱墨槽51の底面には、脱墨槽51内に空気を供給する空気供給部58が設けられる。また、図7における脱墨槽51の底面の左上隅及び右上隅に、古紙パルプ液を脱墨槽51内へ流入させる流入部56と、脱墨処理後の古紙パルプ液を流出させる流出部57とがそれぞれ設けられている。
ブレード53は、脱墨槽51の上方に設置され、図7おいて上下方向に移動可能である。ブレード53は、脱墨槽51の上部を浮遊する泡沫を、脱墨槽51の周壁から溢流させ掃き出す。受泡槽55は、脱墨槽51の外周を取り囲んで設けられる。受泡槽55は、ブレード53により掃き出された泡沫を受け止める。
(抄紙部)
図8は抄紙部6の構成概略図である。抄紙部6は、ヘッドボックス61、ワイヤー部62、脱水部63、乾燥部64を備えている。ヘッドボックス61は、箱状の貯留部611と、貯留部611の下部に配管613が接続されてなる古紙パルプ液の流入部614と、古紙パルプ液を貯留部611から溢流させ、ワイヤー部62へ流出させる流出部615とを備えている。
ワイヤー部62は、抄き網621を備えている。抄き網621は、無端状のメッシュベルトにより構成され、複数のローラ622に掛け渡される。図8において、右側のローラ622aは、ワイヤー駆動部623に連結され、ワイヤー駆動部623の駆動により抄き網621が周回走行する。
抄き網621の上面に、ヘッドボックス61の流出部615から古紙パルプ液を流出させ、抄き網621で水切りして繊維の層をなす湿紙12を形成する。抄き網621の内方には、上側を走行する抄き網621の網目から流下する水を受ける受水部624を設けている。受水部624は図示しない白水タンクに接続され、受水した水を白水タンクへ導くようになっている。
脱水部63は、吸水ベルト631を有する。吸水ベルト631は、フェルト等により構成され、複数のローラ632及びプレスローラ634bに掛け渡されている。この吸水ベルト631は、抄き網621から転移させた湿紙12を搬送するとともに、湿紙12を脱水する。
乾燥部64は、乾燥ベルト641、カンバス642、乾燥ローラ643を有する。乾燥ベルト641は、吸水ベルト631から転移された湿紙12を搬送する。この乾燥ベルト641は、ローラ645、プレスローラ634a及び乾燥ローラ643に掛け渡されている。
吸水ベルト631と乾燥ベルト641との接触部分に、脱水手段633を設けている。脱水手段633は一対のプレスローラ634a,634bからなり、該一対のプレスローラ634a,634bで、吸水ベルト631と乾燥ベルト641との間に挟んだ湿紙12を押圧して脱水する。脱水手段633を通過した湿紙12は、吸水ベルト631から乾燥ベルト641に転移される。
図8において、上側のプレスローラ634aは、プレス駆動部637に連結され、プレス駆動部637の駆動により回転し、下側のプレスローラ634bは上側のプレスローラ634aの回転に伴って従動回転する。そして、両プレスローラ634a,634bの回転に伴って、吸水ベルト631及び乾燥ベルト641を走行させる。
カンバス642は、網状をなす樹脂製であり、複数のローラ646に掛け渡され、展張されている。カンバス642は、乾燥ベルト641との間で湿紙12を挟持して搬送し、乾燥ベルト641を介して乾燥ローラ643に湿紙12を圧接させて乾燥させる。図8において、右側の上のローラ646aは、カンバス駆動部647に連結され、カンバス駆動部647の駆動によりカンバス642が周回走行する。
乾燥ローラ643は複数の支持軸650により回転自在に支持される。乾燥ローラ643の内部には加熱手段648を備えている。加熱手段648としては電熱ヒータ等を用いることができる。また、乾燥ローラ643には、接触式の温度センサ649を設けており、この温度センサ649により乾燥ローラ643の表面温度を検出する。
(仕上げ部)
図1に示す仕上げ部7は、図示しないカレンダー部及びカット部を有しており、カレンダー部は紙の平坦度を上げるための複数のプレスローラ(図示省略)を備え、カット部は紙を所定のシートサイズにカットする裁断刃(図示省略)を備えている。
(制御部8)
制御部8は、CPUやメモリ等を備え、古紙パルプ製造部3、脱墨部5、抄紙部6、仕上げ部7の動作を制御する。
本実施形態にかかる再生処理装置1の作用につき以下に説明する。原料としての古紙10が図4に示す古紙収容部24に収容されると、制御部8は、計量部25により古紙10の重量を計測する。そして、制御部8が底板27をスライドし、古紙収容部24の底部分を開放する。これより、古紙収容部24内の古紙10が下方の撹拌槽29の内部へ落下する。
制御部8は、計量部25の計測値に基づき、給水部28から攪拌槽29へ離解処理に必要な量の水を供給する。そして、制御部8が駆動部43を駆動することで、動力伝達機構45を介して、撹拌軸42が回転される。撹拌軸42の回転に伴って、撹拌翼41は、図5,6において、反時計回りで示す正方向D1に所定時間にわたり回転される。これより、撹拌槽29内に貯留する古紙10は水とともに撹拌され、離解処理が行われる。
離解処理の際、撹拌槽29内に貯留する古紙、水、離解処理により製造された古紙パルプ等を含む混合液中に離解困難な異物が混入していた場合、該異物は、容易に離解されることなく浮遊し、撹拌槽29内の混合液とともに撹拌される。離解困難な異物としては、古紙10に貼り付けられていたセロファンやビニール等の合成樹脂製テープ、粘着剤の塗布された付箋やクラフトテープ、防水剤、耐水剤、撥水剤、耐油剤や光沢付与剤、乳剤の保護層等のコーティング剤の塗布またはフィルムやアルミ箔等の貼付により表面加工処理の施された紙、印画紙、写真、インクジェットプリンター用の写真用紙、水への溶解性の低い原料により製造された紙、感熱紙、カーボン紙、圧着葉書等が挙げられる。
図9は、離解処理中、及びその後製造された古紙パルプ液を取出す際における撹拌翼41の異物係止部171周辺の態様を示した部分拡大断面図である。図9は、離解処理中及び古紙パルプ液の取出し時、撹拌翼41が正方向D1及び逆方向D2に回転する場合を示す。
図9(a)に示すように、離解処理中、撹拌翼41の正方向D1の回転により、撹拌槽29内の異物係止部171周辺の混合液は、撹拌翼41に対して相対的に矢印Y1で示す同図における右方より左方に向けて移動する。突出部19形成位置において、混合液は、平面部16から斜部74の斜面に沿って斜め上方へ案内される。そして、一部の混合液は、斜部74の上面から矢印Y2で示すように、上方へ向けて移動する。これより、撹拌翼41の上方に位置する混合液の一部は、斜部74から撹拌槽29の上部に向けて上昇する流れとなり、撹拌槽29内における上下方向の撹拌が促進される。よって、効率よく撹拌できることとなる。このように、斜部74により案内され撹拌槽29内で効率よく混合液が撹拌されるので、駆動部43の撹拌負荷を低減可能である。
一方、平面部16上の混合液の他の一部は、斜部74上面から、突出部19の正方向D1の回転における後端部、即ち逆方向D2においては前端部191を乗り越えて、撹拌翼41の正方向D1の回転に対し後方となる矢印Y3で示すように同図で左方へ相対的に移動される。
制御部8が、駆動部43を所定時間にわたり駆動し、撹拌翼41を正方向D1に所定時間回転することで、古紙10の離解処理が進行し、古紙パルプ液が製造される。離解処理終了後、図4に示す脱墨剤供給部26より古紙10の重量に応じた量の脱墨剤が、撹拌槽29内に供給され、製造された古紙パルプ液と混合される。そして、制御部8は、ポンプ36を駆動する。このとき、制御部8は、駆動部43の駆動を継続し、撹拌翼41を正方向D1に回転したままの状態とする。ポンプ36の駆動により、撹拌槽29内に貯留する古紙パルプ液は、古紙パルプ液取出部34から配管35内に流入し、ポンプ36を経て下流側の脱墨部5へ移送される。
撹拌槽29内の混合液中に混入していた異物は、撹拌翼41による撹拌で古紙10を構成する繊維成分から剥離され、あるいは繊維成分が除去され、離解処理後の古紙パルプ液中に単体で混入している。制御部8は、ポンプ36を駆動して古紙パルプ液を古紙パルプ液取出部34から取り出している間に、所定のタイミングで、駆動部43を制御し、撹拌翼41を離解処理時とは逆方向D2となる図5、6において時計回りに回転する。これより、古紙パルプ液中に混入している異物は、異物係止部17に係止される。
図9(b)は、古紙パルプ液を取り出す際、制御部8が撹拌翼41を離解処理時とは逆方向D2に回転したときの異物係止部171周辺の状態を拡大して示している。同図に示すように、撹拌槽29内の古紙パルプ液は、図中左方へ移動する撹拌翼41に対して相対的に矢印Y4で示す右方に移動する。そして、同図において突出部19より左側の平面部16の上方を流れる古紙パルプ液は、突出部19の逆方向D2の回転における前端部191によって流路が上下に分断される。
一部の古紙パルプ液は、矢印Y5で示すように突出部19の前端部191を乗り越え、斜部74上面に沿って斜め下方へ向けて流れ、逆方向D2の回転における更に後方となる同図で右方へと流れる。古紙パルプ液の他の一部は、矢印Y6で示すように突出部19前端部191から斜部74の下面に案内され、異物係止用開口部78に流入する。
このように、古紙パルプ液は、制御部8が撹拌翼41を離解処理時とは逆方向D2に回転することで、突出部19を境に分断されて流通される。すると、古紙パルプ液に混入している異物も、上下の流路に分かれて流通し、この結果、長尺や矩形状等といった所定形状の異物Jの複数の端部が、各々異なる流路に分かれて流通するとき図9(b)に示すように、異物係止部17に係止される。異物Jが一旦異物係止部17に係止されると、撹拌翼41が逆方向D2に回転している間中、突出部19の上方及び下方を流通する古紙パルプ液の流れによって異物Jの端部がそれぞれ後方に引っ張られることで、該異物Jは係止された状態が維持される。
突出部19は、古紙パルプ液の取出し時における撹拌翼41の回転方向である逆方向D2の回転について、前方に向けて上り勾配に形成された斜部74を備えているので、古紙パルプ液の取出し時には、撹拌翼41を離解処理時とは逆方向D2に回転することで異物係止部17に異物を係止することができる。一方、離解処理時には、撹拌翼41は、古紙パルプ液の取出し時とは逆の正方向D1に回転する。この状態では、斜部74は、撹拌翼41の正方向D1の回転について、前方でなく後方に向けて上り勾配に形成されることとなる。従って、離解処理時における撹拌槽29内の混合液は、斜部74に沿って効率よく円滑に撹拌されるので、駆動部43の負荷を低減することができる。
また、異物係止部17は、平面部16を切り欠いた切欠部18を備えるので、撹拌翼17の回転速度を上昇させたときでも撹拌翼17の下方に空気が入り込みにくくすることができ、騒音の発生を抑制できる。また、離解処理を行う古紙10の量が少なく、撹拌槽29内に貯留する古紙10、水及び古紙パルプ等の混合液の液位が低くい場合でも、混合液を適正に撹拌でき、離解処理することができる。更に、古紙パルプ液の取出し時、撹拌翼41を逆方向R2に回転した場合には、古紙パルプ液を切欠部18から異物係止用開口部78を経て平面部16の下方に流通させることができるので、異物Jを効率よく異物係止部17に係止させることができる。
切欠部18は、突出部19に隣接して設けられているので、突出部19によって流路が分断された古紙パルプ液の一部を、切欠部18に流入させることができ、異物Jを効率よく異物係止部17に係止することができる。また、このように古紙パルプ液を突出部19から切欠部18に至る流路を流通させることで、混合液の円滑な流れを形成可能であるので、駆動部43の負荷を低減可能である。
更に、異物係止部17は、羽根部15の不連続箇所である突出部19の径方向所定位置Sから所定量外周側となる外周縁周辺までの範囲における離解処理時とは逆方向D2の回転方向前端縁である先端縁192と、前記所定位置Sにおける撹拌翼41の回転方向D3とのなす角が110°以下で交差するよう形成されることで、突出部17の先端縁192に異物Jを容易に係止することができる。
制御部8が駆動部43を制御し、撹拌翼41を離解処理時とは逆方向D2に回転する所定のタイミングは、撹拌槽29に貯留する古紙パルプ液の液位が、離解処理時の液位より2分の1乃至3分の1程度の低い位置となったときすることが好ましい。これより、撹拌翼41の逆方向D2の回転に対し突出部19の前端部191に衝突した古紙パルプ液が、突出部19の上方へ移動して上昇流路を形成することは少なくなり、図9(b)において矢印Y5,Y6で示すように、ほとんどの古紙パルプ液が斜部74の上面及び下面に沿って撹拌翼41に対し相対的に後方へ移動されやすくなる。よって、異物Jをより確実に係止しやすくなる。
異物係止部17に係止されず、古紙パルプ液に混入したままで古紙パルプ液取出部34に至った異物は、古紙パルプ液取出部34に設けた異物流出抑制部38を構成する架設部材39に係止される。これより、下流側へ流出しようとする異物の配管35内への流入を抑制することができる。即ち、異物は、古紙パルプ液中の繊維が水とともに架設部材39の間を通過する際に該架設部材39に係止される。よって、配管35やポンプ36を詰まらせる不具合を抑制できる。
制御部8がポンプ36を制御し、撹拌翼41の逆方向D2への回転を開始した時点から所定時間経過すると、撹拌槽29内の大半の古紙パルプ液が古紙パルプ液取出部34から取り出される。しかし、撹拌槽29の下部には、一回のポンプ36の駆動のみでは撹拌槽29から古紙パルプ液取出部34を経て配管35内へ適正に移送できなかった繊維が、水を多く含んだ状態で残存している。
そこで、制御部8は、給水部28から所定量の水を撹拌槽29内に供給する。この結果、撹拌槽29内に残存している繊維は加水され、古紙パルプ液は希釈され、繊維濃度が低下し、粘度が低下する。古紙パルプ液は、撹拌翼41により適正に撹拌できる状態となり、ポンプ36の駆動による下流側へ更なる移送が可能となる。
このような給水部28から所定量の水を供給し、古紙パルプ液を希釈する際における撹拌翼41の回転は、逆方向D2から正方向D1へ変更してもよいし、逆方向D2のままとしてもよい。ただし、例えば少なくとも希釈後の古紙パルプ液の液位が徐々に低下し、撹拌翼41設置位置よりやや高い程度となる所定のタイミングより後には、離解処理時とは反対の逆方向D2とすることが好ましい。これより、正方向D1の回転によって異物Jが異物係止部17から外れることがあっても、その後の逆方向D2の回転によって異物Jを再度異物係止部17に係止できる。
制御部8は、撹拌翼41の回転を所定時間継続するとともに、ポンプ36の駆動を継続することで、撹拌槽29の下部に貯留する希釈後の古紙パルプ液を古紙パルプ液取出部34から配管35へ取り出す。制御部8は、このような給水部28から撹拌槽29への給水動作を所定時間毎に所定量ずつ複数回繰り返す。これより、制御部8は、撹拌槽29内に残存する繊維の量を少なくするよう制御する。給水部28からの給水後所定のタイミングで撹拌翼41を逆方向R2に回転することで、希釈後の古紙パルプ液が撹拌槽29から取り出された後には、異物Jが異物係止部17に係止された状態とすることができる。
制御部8が、撹拌槽29から略全ての繊維を取り出したと判断し、給水部28からの給水動作の繰り返しを終了した後、該制御部8は、ポンプ36を停止する。そして、異物係止部17に係止された異物を取り除く動作を開始する。異物係止部17から異物を取り除くには、制御部8は、給水部28から撹拌翼41が浸漬する程度の所定量の水を撹拌槽39内に供給し、駆動部43を制御して撹拌翼41を正方向D1に回転する。これより、異物は異物係止部17から外れる。また異物流出抑制部38に係止されていた異物についてもポンプ36による負圧がないために架設部材39から外れ、給水部28から供給された水の中で浮遊する。
次に制御部8は、異物取出部37を閉塞していた蓋体40をスライドさせ、異物取出部37を開放する。これより、撹拌槽29内の水、水中で浮遊する異物、及び場合によっては残存していた繊維等の混合液が、開口部30に流入し、異物取出部37から取り出される。取出された混合液は、異物回収部44に至り、濾過部49により液体分が濾過され、異物Jが回収される。その後、濾過部49上に濾宰として回収された異物は、作業者によって手作業で取り除かれる。
図7に示す脱墨部5では、古紙パルプ液が流入部56より脱墨槽51内に流入される。そして、脱墨槽51内に収容された古紙パルプ液中に、空気供給部58から空気が供給され、脱墨処理が行われる。脱墨処理により得られた脱墨後の古紙パルプ液は、流出部57より流出され、下流側の抄紙部6へ送られる。
図8に示す抄紙部6では、脱墨後の古紙パルプ液がヘッドボックス61へ流入され、流出部615から抄き網621上面へ供給され、均一な繊維の層である湿紙12が形成される。抄き網621から流下した水は、受水部624に受け止められ、白水タンクに収容される。
白水タンク内の白水は、必要により、フィルターによる微細な繊維の除去、インク、トナー等の分離、薬剤の添加、中和処理等が施された後、図1に示すように、古紙パルプ製造部3へ循環され、給水部28から攪拌槽29に給水されることで再度利用される。
図8に示す抄き網621上に形成された湿紙12は、抄き網621と吸水ベルト631との当接部分で吸水ベルト631へ転移され、吸水ベルト631により湿紙12に含まれる水分が吸収されて脱水される。湿紙12が脱水手段633の設置箇所に至ると、吸水ベルト631と乾燥ベルト641との間に該湿紙12が挟まれた状態で、一対のプレスローラ634a,634bにより両側より押圧され脱水されるとともに、吸水ベルト631から乾燥ベルト641へ転移される。
乾燥ベルト641に転移された湿紙12は、カンバス642との間に挟まれ、この状態で乾燥ローラ643に乾燥ベルト641を介して圧接され、乾燥される。乾燥ローラ643の表面温度は、温度センサ649によって検出され、検出結果を基に予め設定した所定温度に維持される。
乾燥部64を出た仕上げ前の再生紙13は図示しない複数のプレスローラの間に通され、これにより、仕上げ前の再生紙13の平坦度を向上させ、更に、裁断刃で所定のシートサイズに裁断して再生紙13が完成される。
(第2の実施形態)
図10(a)は、第2の実施形態にかかる撹拌翼41aの異物係止部171aの部分拡大断面図を示している。同図に示すように、本第2の実施形態にかかる撹拌翼41aは、突出部19aが湾曲して形成されている。この結果、この突出部19aに設けられる斜部74aは、上記第1の実施形態にかかる斜部74のように平面ではなく、曲面により構成される。そして、この曲面に形成された斜部74aが、古紙パルプ液の取出し時において離解処理時とは逆方向D2となる撹拌翼41aの回転方向前方に向けて上り勾配に形成されている。
この湾曲した突出部19aは、上記第1の実施形態の突出部19と同様に、羽根部15aに形成された切欠部18aにおいて、折片71aが径方向に沿った折線72aで上方に所定角度折り曲げられることで形成される。更に、この折り曲げられた折片71aが曲面に加工される。図示省略するが、折片71aの形状は、図5(a)に示す上記第1の実施形態と同様、平面視略矩形状としてもよく、これに替えて三角形や他の多角形、円形、楕円形、または不規則な形状としてもよい。
突出部19aが湾曲して形成されているので、異物が一旦異物係止部171aに係止されると、外れにくいという利点がある。
(第3の実施形態)
図10(b)は、第3の実施形態にかかる撹拌翼41bの部分拡大断面図を示している。第3の実施形態では、突出部19bが羽根部15bとは別の部材により形成される。そして、突出部19bの下端部が、羽根部15bの上面に螺子65により固定されている。図示省略するが、螺子65は、羽根部15bの径方向に複数設置される。
そして、羽根部15bの突出部19bが螺子65により固定された位置に隣接して、切欠部18bが設けられている。第3の実施形態にかかる切欠部18bは、例えば羽根部15bが所定形状に上下に打ち抜かれることで形成可能である。切欠部18bは、撹拌翼41bの離解処理時とは逆方向D2となる回転方向において、突出部19bの先端部191bより所定量Lbだけ奥まった突出部19bの下端部側の位置に設けられている。この結果、異物係止用開口部78bは、図9に示す第1の実施形態及び図10(a)に示す第2の実施形態にかかる異物係止用開口部78,78aより小さく形成される。
第3の実施形態では、突出部19bが羽根部15bとは別部材により構成されているので、突出部19bの下端部の羽根部15bへ固定した部分の厚さが、上記第1,2の実施形態のように、折片71、71aを折り曲げる場合に比較して厚くなる。よって、撹拌翼41bの耐久性が向上する。また、切欠部18bが、羽根部15bを所定形状に上下に打ち抜くことで形成される場合には、異物係止用開口部78bの大きさ及び形状を、突出部19bの大きさ及び形状とは無関係に自由に設定することができる。よって、切欠部18bを撹拌効率、異物係止効率等が最も良好な大きさ、形状に設定可能である。
(第4の実施形態)
図11(a)は、第4の実施形態にかかる撹拌翼41cの部分拡大断面図を示している。同図に示すように、第4の実施形態の突出部19cは、平面部16cより下方に突出している。この突出部19cの斜部74cは、離解処理時とは逆方向D2の回転方向前方に向けて下り勾配に形成される。このように、突出部19cが下方に突出した撹拌翼41cは、図4に示す第1の実施形態と同様に、撹拌槽29の下部に設置することが可能だが、撹拌槽29内における設置高さを下部に替えて、中部乃至上部の位置に設置してもよい。また、図11(a)に示す撹拌翼41cは、上記第1〜3の実施形態にかかる撹拌翼41〜41bに比較して、平面部16cに対する斜部74cの傾斜角度θcが大きく形成されている。
突出部19cが異物Jを係止する際には、古紙パルプ液が図11(a)において矢印Y7で示すように、平面部16cの下方を流通する古紙パルプ液の一部が、矢印Y8で示すように、異物係止用開口部78cを通って平面部16cの上方へ流通する。また、他の一部の古紙パルプ液は、矢印Y9で示すように、突出部19cの先端部191cの下方から斜部74cの下面に沿って流通する。このように異物係止部17cにより古紙パルプ液の流路が分断されることで、異物係止部17cに異物が係止される。
第4の実施形態にかかる撹拌翼41cは、突出部19cが下方に突出するので、撹拌翼41cの下方であって撹拌槽29の底部の上面に残存しがちな繊維を適正に撹拌可能である。また、斜部74cの上面に繊維が残存しにくくできる。
(第5の実施形態)
図11(b)は、第5の実施形態にかかる撹拌翼41dの部分拡大断面図を示している。同図に示すように、第5の実施形態にかかる撹拌翼41dの突出部19dは、平面部16dより上方及び下方の双方に突出している。このように、突出部19dが上下双方に突出することで、撹拌翼41dが離解処理時と同じ正方向D1及びその逆方向D2のいずれの方向に回転する場合であっても、異物係止部17dに異物を係止可能である。また、突出部19dが、平面部16dより上下双方に突出しているので、撹拌槽29内の液体を撹拌する際、大きな撹拌力を得ることができるという利点がある。
上方及び下方にそれぞれ突出した突出部19dの斜部74d1,74d2が、平面部16dに対して傾斜する角度θd1、θd2は、上方への突出と、下方への突出とで異なってもよく同じであってもよい。図11(b)に示す異物係止部17dでは、双方の斜部74d1,74d2が平面部16dより同じ傾斜角度で傾斜している場合を示している。この場合、対向する一対の斜部74d1,74d2は、互いに平行となる。すると、両突出部19dの間に古紙パルプ液を流通させやすいので、駆動部43の撹拌負荷を低減可能である。異物係止部17dから異物を除去する際は、撹拌翼41dの回転方向、回転速度及び回転量を調整し、例えば、速度が比較的早く角度を小さくして正逆方向R1,R2に反転を繰り返すといった小刻みな回転を、異物が外れるまでの間継続して行うといった方法がある。
(第6の実施形態)
図12は、第6の実施形態にかかる撹拌翼41eの平面図を示している。また、図13は、図12において下部に示す異物係止部171e周辺を拡大して示す。図12,13に示す第6の実施形態にかかる撹拌翼41eは、異物係止部17eが回転中心Ceから外周縁に向けて放射状に伸びる半径に沿って平行に形成されず、径方向に所定角度傾斜して形成される。
異物係止部17eの第一切欠縁75eは、羽根部15eの径方向所定位置Peから外周縁近傍の所定位置Ueまで平面視略直線状に形成される。第一切欠縁75eを構成する直線と、羽根部15eの径方向所定位置Peを通る半径Re1とは、所定角度θe1で交差している。
第二切欠縁76eは、第一切欠縁75eに略直交して形成される。第二切欠縁76eは、所定位置Peにおいて第一切欠縁75eに接続されている。第二切欠縁76は、所定位置Peを通る半径Re1に対し、平面視所定角度θe2で交差している。
また、この第二切欠縁76eは、羽根部15eの不連続箇所である切欠部18eの径方向所定位置Peから所定量外周側である所定位置Veまでの範囲における離解処理時とは逆方向D2となる回転方向前端縁を構成する。そして、該第二切欠縁76eと、該第二切欠縁76eの径方向中心側端部である前記所定位置Peにおける撹拌翼41eの回転方向D3とのなす角θe3が110°以下で交差するよう形成される。一例として図13では第二切欠縁76eと、所定位置Peにおける回転方向D3とのなす角度θe3が、約109°程度とした場合を示している。これより、第二切欠縁76eは、離解処理時とは逆方向D2となる反時計回りに回転した際、図13において太い実践及び破線で示すように、異物Jを容易に係止可能である。
折線72eは、第一切欠縁75eと平行に形成されている。折線72eは、該折線72eの外周縁側端部である所定位置Qeと回転中心Ceとを結ぶ半径Re3上に形成されず、前記半径Re3に対し所定角度θe4で交差している。
突出部19eは、羽根部15eの不連続箇所を構成する。また、突出部19eの先端縁192eは、径方向所定位置Seから、所定量外周側となる外周縁近傍の所定位置Weまでの範囲における離解処理時とは逆方向D2の回転方向前端縁を構成する。そして、前記所定位置Seにおける撹拌翼41eの回転方向D4とのなす角θe5が110°以下で交差するよう形成される。即ち、突出部19eの先端縁192eは、撹拌翼41eを離解処理時とは逆方向D2である図13において時計回りに回転した場合には、古紙パルプ液に回転方向前端縁として接触する。図13ではこの先端縁192eと、所定位置Seにおける回転方向D4とのなす角度θe5は、約25°程度とした場合を示している。これより、突出部17eの先端縁192eに異物Jを容易に係止することができる。
更に、異物係止部17eは、羽根部15eの不連続箇所の離解処理時とは逆方向D2の回転方向前端縁が、径方向における外周側が中心側より回転方向前方へ凸出した凸部77を備える。凸部77は、第6の実施形態では、突出部19eの先端縁192eにより構成される。突出部19の先端縁192eは、離解処理時とは逆方向D2の回転時、回転方向前端縁となる。そして、この先端縁192eは、撹拌翼41eの径方向における外周側端部近傍の所定位置Weが中心側端部近傍の所定位置Seより、離解処理時とは逆方向D2の回転方向において凸出して形成される。
これより、例えば、図14に示すように、古紙パルプ液の取出し時、一度凸部77に係止された異物Jは、撹拌翼41eの離解処理時とは逆方向D2の回転によって徐々に径方向中心側へ移動し、径方向中心側端部近傍にある所定位置Se周辺に集められるかまたは第二切欠縁76eに係止される。撹拌翼41eの外周側は中心側よりも、回転時の移動距離が長い。このため、外周側の方が中心側よりも異物Jを係止しやすい傾向にある。撹拌翼41eの外周側で一旦係止された異物Jは、回転に伴って徐々に径方向中心側に移動されるので、外周側の位置に異物Jが留まることなく外周側の位置から除去される。すると、別の異物Jが、外周側位置に更に係止されやすくなり、この結果多くの異物を係止できる。
(第7の実施形態)
図15は、第7の実施形態にかかる撹拌翼41fの平面図を示している。同図に示す撹拌翼41fは、異物係止部17fが羽根部15fの平面部16f上に多数設けられている。異物係止部17fは、羽根部15fの外周側に加え、径方向略中央部にも設けられている。図15では、外周側及び径方向略中央部双方の異物係止部17f1,17f2とも、それぞれ8箇所に設けられた場合を示している。径方向外周側に設けた異物係止部17f1は、回転中心Cfから外周縁に向けて放射状に伸びる半径に沿って平行に形成されている。一方、径方向略中央部に設けた異物係止部17f2は、回転中心Cfから外周縁に向けて放射状に伸びる半径に沿って平行に形成されず、径方向に所定角度傾斜して形成される。
各異物係止部17fを構成する突出部19fの径方向長さLfは、撹拌翼41fの回転中心Cfから外周縁までの長さの8分の1乃至3分の1程度に形成可能である。
径方向略中央部に設けられた切欠部18f2は、平面視コ字状に形成される。該切欠部18f2は2つの平行な第二切欠縁76f2と1つの第三切欠縁79とが略直交している。第三切欠縁79は、第二切欠縁76f2の離解処理時とは逆方向D2の回転方向前端部を接続するよう形成される。
異物係止部17fは、羽根部15fの不連続箇所の離解処理時とは逆方向D2の回転方向前端縁が、径方向における外周側が中心側より回転方向前方へ凸出した凸部77fを備える。凸部77fは、径方向略中央部に設けられた突出部19fの先端縁192eにより構成される。
また、異物係止部17fは、羽根部15eの不連続箇所である径方向外周側及び径方向略中央部双方の突出部19f1、19f2の先端縁192fについて、径方向所定位置Sf1、Sf2から、所定量外周側である所定位置Wf1,Wf2までの範囲における離解処理時とは逆方向D2の回転方向前端縁と、前記所定位置Sf1,Sf2における撹拌翼41fの回転方向D4fとのなす角θf2、θf3が110°以下で交差するよう形成される。これより、突出部17fの先端縁192fに異物Jを容易に係止することができる。
(第8の実施形態)
図16(a)は、第8の実施形態にかかる撹拌翼41gの平面図を、同図(b)は正面図を示している。同図に示す撹拌翼41gは、径方向外周側に設けた4箇所の突出部19gの間の切欠部18gが、上記第1〜7の実施形態の切欠部18、18a〜18fより大きく形成されている。そして、平面部16gは、回転中心Cg近傍の所定範囲に設けられ、第1〜7の実施形態より小さく形成される。このように、平面部16gを小さくすることで、撹拌翼41gの回転負荷を低減可能である。
(第9の実施形態)
図17は、第9の実施形態にかかる撹拌翼41hの平面図、図18は、図17におけるI-I線矢視断面図である。図17,18に示す撹拌翼41hは、図12に示した撹拌翼41eと同様に、異物係止部17hが回転中心Chから外周縁に向けて放射状に伸びる半径と平行に形成されず、径方向に対し所定角度傾斜して設けられる。
また、異物係止部17hを構成する突出部19hは、羽根部15hとは別の部材により構成されている。突出部19hは、断面が少なくとも1つの鈍角を有する五角形である柱状に形成される。突出部19hは、五角形の1つの鈍角を形成する1つの面が、羽根部15の上面の所定位置に設置され、下方より螺子65hにより固定される。そして、前記鈍角を構成するもう1の面が、図17において時計回りで示す離解処理時とは逆方向D2の回転方向前面に位置する。羽根部15h上の突出部19hを設置する箇所には、螺子65hが挿通される貫通穴66が幅方向に複数並設される。
突出部19hは、撹拌翼41hの離解処理時とは逆方向D2の回転方向前方に向けて上り勾配に形成された斜部74hを備えている。斜部74hは、突出部19hの離解処理時とは逆方向D2の回転方向で後方となる後斜部74h1と、前方となる前斜部74h2を有する。前斜部74h2は、上部が下部より逆方向D2の回転方向前方位置にある。これより、古紙パルプ液中に混入している異物Jを、前斜部74h2の前方に係止することができる。
そして、異物係止部17hは、羽根部15hの不連続箇所である突出部19hの回転方向前端縁が、径方向における外周側が中心側より回転方向前方へ凸出した凸部77hを備える。
また、異物係止部17hは、羽根部15hの不連続箇所である突出部19hの径方向所定位置Shから所定量外周側となる突出部19hの径方向外周側端部Uhまでの範囲における回転方向前端縁と、突出部19hの径方向中心側端部である所定値Shにおける撹拌翼41hの逆方向D2の回転方向とのなす角θhが110°以下で交差するよう形成される。
尚、図17,18に示す第9の実施形態にかかる撹拌翼41hは、切欠部18、18a〜18gが形成されていない。
(第10の実施形態)
図19(a)は、第10の実施形態にかかる撹拌翼41iの平面図を示す。同図に示す第10の実施形態にかかる撹拌翼41iは、回転中心Ciから撹拌槽29の内壁に向けて延在する羽根部15iが、円形の平板を周方向において少なくとも一部が不連続に切り欠いて形成される。このため羽根部15iは、回転中心Ciから径方向外周縁までの全範囲に平面部16iが設けられている。そして、撹拌翼41iの異物係止部17iは、平面部16iを切り欠いた切欠部18iのみにより構成され、突出部19,19a〜19hは設けられていない。
異物係止部17iは、羽根部15iの不連続箇所である切欠部18iの回転方向前端縁が、径方向における外周側が中心側より回転方向前方へ凸出した凸部77iを備える。これより、切欠部18iの凸部77iに係止された異物は、撹拌翼41iの回転に伴って、径方向中心側へ徐々に移動する。従って、一旦切欠部18iに係止された異物Jが羽根部15iの外周縁から撹拌翼41iの外方へ外れてしまうのを抑制でき、異物を確実に係止可能である。
また、異物係止部17iは、羽根部15iの不連続箇所である切欠部18iの径方向中心側端部である所定位置Piから所定量外周側である撹拌翼41iの外周縁までの範囲における回転方向前端縁と、切欠部18iの径方向中心側端部である所定位置Piにおける撹拌翼41iの離解処理時とは逆方向D2の回転方向とのなす角θiが110°以下で交差するよう形成される。図19(a)では、一例として、角度θiが45°程度となる場合を示している。これより、角度θiが110°より大きい角度で形成されている場合に比較して、異物係止部17iに異物を容易に係止できる。
(第11の実施形態)
図19(b)は、第11の実施形態にかかる撹拌翼41jの平面図を示す。同図に示す第11の実施形態にかかる撹拌翼41jは、上記第10の実施形態にかかる撹拌翼41iと同様に、羽根部15jが、回転中心Cjから径方向外周縁までの全範囲に平面部16jが設けられているとともに、撹拌翼41jの異物係止部17jは、平面部16jを切り欠いた切欠部18jのみにより構成されている。
しかし、図19(b)に示す撹拌翼41jの異物係止部17jは、図19(a)に示す異物係止部17iに比較して、羽根部15jの切欠部18jの形状が異なり、切欠部18jの径方向中心側端部である所定位置Pjから外周縁上の所定位置Ujまでの範囲における回転方向前端縁が、回転中心Cjから外周縁の所定位置に至る半径上に形成されている。これより、切欠部18jの径方向中心側端部における撹拌翼41jの逆方向D2の回転方向とのなす角θjが110°以下の約90°で交差している。尚、図19(b)では、回転方向前端縁部が、径方向における外周側が中心側より回転方向前方へ凸出した凸部77、77iは設けられていない。
(第12の実施形態)
図20(a)は、第12の実施形態にかかる撹拌翼41kの平面図を示す。第12の実施形態にかかる撹拌翼41kは、切欠部18kが撹拌翼41kの図20(a)における時計回りで示す離解処理時とは逆方向D2の回転方向前端縁が回転方向前方へ凸出した凸部77kが設けられている。凸部77kは、羽根部15kの径方向所定位置Pkから所定量外周側の所定位置Ukまでの範囲が逆方向D2の回転方向前方へ凸出し、所定位置Ukより外周縁までの範囲は、径方向に沿って形成されている。
更に、切欠部18kの後端縁について、図20(a)における時計回りで示す逆方向D2の回転方向後方へ凸出した凸部70が設けられている。これより、撹拌翼41kが正逆いずれの方向に回転した場合であっても、異物係止部17kに係止した異物が、撹拌翼41kの回転に伴って中心側へ移動するので、一旦異物係止部17kに係止した異物を遠心力等によって羽根部15kから撹拌翼41kの外方へ外れてしまうのを抑制し、異物係止部17kに係止し続けることができる。
(第13の実施形態)
図20(b)は、第13の実施形態にかかる撹拌翼41mの平面図を示す。第13の実施形態にかかる撹拌翼41mの羽根部15mは、平面視十字状に形成されている。羽根部15mは、全範囲に平面部16mが設けられる。十字状の羽根部15mの各先端部には、異物係止部17mがそれぞれ設けられている。異物係止部17mは、鈎状に湾曲して形成される。鈎状に湾曲した異物係止部17mは、羽根部15mの離解処理時とは逆方向D2の回転方向前端縁が、径方向における外周側が中心側より回転方向前方へ凸出した凸部77mを構成する。
異物係止部17mが、鈎状に形成されているので、古紙パルプ液に混入した異物を容易に係止することができる。また、羽根部15mは、図20(b)における反時計回りで示す古紙10の離解処理時の回転方向である正方向D1前端側が、回転中心Cm側端部から外周縁まで直線状に形成されるので、古紙10の離解処理の際、駆動部43の負荷を低減可能である。
(第14の実施形態)
図21は、第14の実施形態にかかる撹拌翼41nの平面図を示す。第14の実施形態にかかる撹拌翼41nは、図5、6に示す第1の実施形態にかかる撹拌翼41の切欠部18について該切欠部18nを外周縁まで延在させず、所定量内方位置までとすることで、切欠部18nを平面視コ字状に形成している。これより、撹拌翼41nの平面部16nが、外周縁で円状に繋がるので、撹拌翼41nの強度を向上可能である。
(第15の実施形態)
図22は、第15の実施形態にかかる撹拌翼41pの平面図、図23は、図22におけるII-II線矢視断面図である。第15の実施形態にかかる撹拌翼41pは、大略図17に示す第9の実施形態にかかる撹拌翼41hと、図21に示す第14の実施形態にかかる撹拌翼41nとを組み合わせた構成を有する。即ち、撹拌翼41pの切欠部18pは外周縁まで至っておらず、撹拌翼41p外周縁より所定量内方位置まで形成されている。切欠部18pの形状は平面視長方形で、羽根部15pの所定位置が鉛直方向に打ち抜かれて形成される。これより、平面部16pの外周縁が、周方向Eで連続に形成され、円状に繋がるので、撹拌翼41pの強度を向上でき、平面部15の切欠部18形成位置の端部が古紙の離解処理の際に機械的作用を受けて湾曲するといったことを抑制乃至防止できる。
図17に示す突出部19hは、回転中心Chから外周縁に向けて放射状に伸びる径方向に対し所定角度傾斜して形成されたが、図22に示す第15の実施形態に係る撹拌翼41pの突出部19pは、回転中心Cpから外周縁に向けて放射状に伸びる半径と平行に形成される。これより、撹拌翼41pを製造するとき、突出部19pを平面部16pの所定位置に固定する際容易に位置決めすることができる。
突出部19pは、羽根部15pとは別の部材により構成されている。図23に示すように、突出部19pは、上面及び下面が水平面と平行に形成される。図23に示す突出部19pの断面形状は、上部が離解処理時の回転方向とは逆方向D2に突出した台形に形成される。突出部19pは、羽根部15pの上面の所定位置に設置され、下方より螺子65pにより固定される。
突出部19pは、撹拌翼41pの離解処理時とは逆方向D2の回転方向前方に向けて上り勾配に形成された斜部74pを備えている。斜部74pは、突出部19hの離解処理時とは逆方向D2の回転方向で後方となる後斜部74p1と、前方となる前斜部74p2を有する。前斜部74p2は、上部が下部より逆方向D2の回転方向前方位置にある。これより、古紙パルプ液中に混入している異物Jを、前斜部74p2の前方に係止することができ、更に前斜部74p2によって係止された異物Jは、切欠部18pを通り抜けて羽根部15pの下方へ進入する。このように突出部19pと切欠部18pの双方が設けられ、これらが隣接して形成されているので、異物Jをより確実に係止することができる。
また、異物係止部17pは、羽根部15pの不連続箇所である突出部19pの径方向所定位置Sp1から所定量外周側となる突出部19pの径方向外周側端部Up1までの範囲における回転方向前端縁と、突出部19pの径方向中心側端部である所定値Sp1における撹拌翼41pの逆方向D2の回転方向とのなす角θpが110°以下で交差するよう形成される。
尚、上記実施形態では、撹拌翼41,41a〜41pは少なくとも回転中心近傍の所定範囲に平面部16、16a〜16pが設けられたが、平面部を設けず、全体的に立体的に構成してもよい。また、切欠部18,18a〜18pは、突出部19,19〜19pに隣接して設けられたが、突出部と切欠部を離間した位置に設けてもよい。
また、再生処理装置1は、脱墨部5を設けたが、脱墨部5を設けないこととし、古紙パルプ製造部3で製造した古紙パルプ液を脱墨することなく抄紙部6へ送り、抄紙することとしてもよい。