JP2016084010A - パネル部材の接合構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】電着塗装時に塗料を行き渡らせることができるパネル部材の接合構造を得る。【解決手段】ダッシュクロスメンバ20の上フランジ部28にはエア抜き部38が形成され、ダッシュパネル12にはエア抜き部38と交差するエア抜き用の横ビード18が形成されている。横ビード18は、車体正面視でエア抜き部38の側とは反対側の端部からエア抜き部38の側へ向けて車体上方側に傾斜している。横ビード18は、車体が前側から電着槽に入る場合の入槽姿勢で車体側面視のいずれの縦断面においても横ビード18の内側の面の最上部位置18Uが接着剤42の下端面の高さ位置よりも上方側の高さ位置となるように設定されている。【選択図】図1
Description
本発明は、パネル部材の接合構造に関する。
パネル部材のフランジと他のパネル部材の一部とが接着剤を介在してかつスポット溶接で接合された構造が知られている。このような構造では、スポット溶接による複数の溶接部の各々の周辺部では、スポットガンの圧力により接着剤が潰されてフランジの張出方向及びその反対方向に広がるが、複数の溶接部の各々の間では、スポットガンの圧力が作用しないか又は低いため、接着剤が広がりにくい。その結果、フランジの正面側から見て、複数の溶接部の各々の間では接着剤に括れ状の凹部(つまり、接着剤がフランジの延出方向及びその反対方向の各端部側に行き渡らない部分)が形成される虞がある。そして、この凹部が電着塗装時にエアポケットになると、塗料が行き渡らなくなってしまう。
ここで、下記特許文献1には、一対のパネル部材に形成された各フランジが接着剤及びスポット溶接により接合された構造が開示されている。簡単に説明すると、この構造では、上フランジと上壁部との間にビードが膨出形成されており、ビードの頂部はフランジに対して曲げ部を介して直角に配置されると共に排気穴が貫通形成されている。そして、電着塗装時にはエアをビードの頂部の排気穴から排出させることで接着剤の凹部の内側にも塗料を行き渡らせようとしている。
ところで、車体においては、例えば、車体前後方向に一般面を向けて略垂直に配置される平板状の第一パネル部材に対して、側面視の縦断面形状がハット状とされて上下にフランジを備えた第二パネル部材が車体前方側から接合されて閉断面構造を形成する構造が知られている。そして、その第二パネル部材に上記特許文献1記載の一対のパネル部材のうちの一方を適用した場合、例えば、車体が前側から電着槽に入っても上フランジの下端部側付近において接着剤の凹部の高さ位置がビードの排気穴の高さ位置がよりも上方側になってしまうとエアポケットができてしまう。この場合には、電着塗装時に塗料を行き渡らせることができない。
本発明は、上記事実を考慮して、電着塗装時に塗料を行き渡らせることができるパネル部材の接合構造を得ることが目的である。
請求項1に記載する本発明のパネル部材の接合構造は、車体において車体前後方向に一般面を向けて配置される平板状の第一パネル部材と、前記第一パネル部材の車体前方側に配置されて車体側面視の縦断面形状がハット状とされ、上下端部に前記第一パネル部材に接合される長尺状のフランジ部を備えると共に、前記第一パネル部材とで閉断面部を形成する第二パネル部材と、前記フランジ部と前記第一パネル部材の被接合部との間に介在されて前記フランジ部の長手方向に沿って配置された接着剤と、前記フランジ部の長手方向に間隔を開けて設定され、前記フランジ部と前記被接合部とをスポット溶接することにより形成された複数の溶接部と、前記第二パネル部材の上フランジ部と前記第一パネル部材との間の一部において前記閉断面部の内側空間と前記第二パネル部材の上方側の空間とを連通させるエア抜き部と、前記第一パネル部材において、前記上フランジ部の基端側の曲げ部に対向する部位を含む範囲で車体後方側に凸状に形成され、前記エア抜き部に対して交差しかつ内側空間が前記エア抜き部の通路に連通すると共に、車体正面視で前記エア抜き部の側とは反対側の端部から前記エア抜き部の側へ向けて車体上方側に傾斜する横ビードと、を有し、前記横ビードは、車体前方側に向く開口が前記接着剤の下端部の延在方向全域に臨みかつ前記車体が前側から電着槽に入る場合の入槽姿勢で車体側面視のいずれの縦断面においても前記横ビードの内側の面の最上部位置が前記接着剤の下端面の高さ位置よりも上方側の高さ位置となるように設定されている。
上記構成によれば、エア抜き部は、第二パネル部材の上フランジ部と第一パネル部材との間の一部において閉断面部の内側空間と第二パネル部材の上方側の空間とを連通させている。このため、電着塗装時に閉断面部の内側空間からエア抜き部の通路に流入したエアは、エア抜き部の通路内を流動して第二パネル部材の上方側の空間へ排出される。また、第一パネル部材において、上フランジ部の基端側の曲げ部に対向する部位を含む範囲で車体後方側に凸状に形成された横ビードは、エア抜き部に対して交差しかつ内側空間がエア抜き部の通路に連通すると共に、車体正面視でエア抜き部の側とは反対側の端部からエア抜き部の側へ向けて車体上方側に傾斜している。よって、電着塗装時に閉断面部の内側空間から横ビードの内側空間に流入したエアは、横ビードが延在する傾斜方向に沿って流動した後、エア抜き部の通路へ流出され、エア抜き部の通路から第二パネル部材の上方側の空間へ排出される。
ここで、横ビードは、車体前方側に向く開口が接着剤の下端部の延在方向全域に臨みかつ車体が前側から電着槽に入る場合の入槽姿勢で車体側面視のいずれの縦断面においても横ビードの内側の面の最上部位置が接着剤の下端面の高さ位置よりも上方側の高さ位置となるように設定されている。このため、車体が前側から電着槽に入る際に閉断面部の内側空間の上端側で接着剤の下端面側へ流動したエアは、横ビードの内側空間の最上部位置へ流動した後、横ビードの内側空間をその傾斜方向に沿って流動し、横ビードの内側空間からエア抜き部の通路を介して第二パネル部材の上方側の空間へ排出される。
請求項2に記載する本発明のパネル部材の接合構造は、請求項1記載の構成において、前記エア抜き部は、前記上フランジ部と、前記第一パネル部材において前記上フランジ部に対向する上フランジ対向部と、の少なくとも一方に形成された縦ビードを含んで構成され、前記縦ビードは、前記上フランジ部と前記上フランジ対向部との対向側とは反対側に凸状とされて車体上下方向に延在している。
上記構成によれば、エア抜き部の車体前後方向の通路幅を広く確保することができるので、エア抜き部の通路に流入したエアを一層スムーズに第二パネル部材の上方側の空間へ排出させることができる。
請求項3に記載する本発明のパネル部材の接合構造は、請求項2記載の構成において、前記縦ビードは、前記少なくとも一方における車体幅方向中央部にのみ設定され、前記横ビードは、車体幅方向外側の両端部から車体幅方向中央部へ向けて車体上方側に傾斜している。
上記構成によれば、車体上下方向に延在する縦ビードの数を最小限に抑えながら、電着塗装時には閉断面部の内側空間の上端側で接着剤の下端面側へ流動したエアを排出することができる。
以上説明したように、本発明のパネル部材の接合構造によれば、電着塗装時に塗料を行き渡らせることができるという優れた効果を有する。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係るパネル部材の接合構造について図1〜図4を用いて説明する。これらの図において適宜示される矢印FRは車体前方側を示しており、矢印UPは車体上方側を示しており、矢印Wは車体幅方向を示している。
本発明の第1の実施形態に係るパネル部材の接合構造について図1〜図4を用いて説明する。これらの図において適宜示される矢印FRは車体前方側を示しており、矢印UPは車体上方側を示しており、矢印Wは車体幅方向を示している。
図1には、本実施形態に係るパネル部材の接合構造10が斜視図で示されている。図中右側に示される第一パネル部材としてのダッシュパネル12は、車体においてパワーユニット室とキャビンとを隔成する平板状のパネル部材(車体客室前壁)であり、車体前後方向に一般面を向けて配置されている。このダッシュパネル12は、金属製とされている。
ダッシュパネル12の車体前方側には、金属製の第二パネル部材としてのダッシュクロスメンバ20が配置されている。ダッシュクロスメンバ20は、略車体幅方向に延在している。より具体的に説明すると、ダッシュクロスメンバ20は、車体の両サイド側に配置される車体幅方向外側の両端部から車体幅方向中央部へ向けて車体上方側に傾斜している。なお、図中では、ダッシュクロスメンバ20の車体幅方向中間部(車体幅方向中央部及びその付近)のみを示し、ダッシュクロスメンバ20の車体幅方向外側の両サイド側は図示を省略している。
ダッシュクロスメンバ20は、車体側面視の縦断面形状がハット状とされている。つまり、ダッシュクロスメンバ20は、車体上下方向に対向する上壁部22及び下壁部24と、この上壁部22及び下壁部24の各車体前方側の端部を連結する前壁部26と、上壁部22の車体後方側の端部から車体上側に向けて延出する上フランジ部28と、下壁部24の車体後方側の端部から車体下側に向けて延出する下フランジ部30とを備えている。また、上壁部22と上フランジ部28とを繋ぐ曲げ部32(つまり上壁部22の基端側(根元側)の部分)及び下壁部24と下フランジ部30とを繋ぐ曲げ部34(つまり下壁部24の基端側(根元側)の部分)は、それぞれR状(湾曲状)に形成されている。
上フランジ部28は、ダッシュクロスメンバ20の上端部を構成し、下フランジ部30は、ダッシュクロスメンバ20の下端部を構成している。なお、以下の説明においては、上フランジ部28及び下フランジ部30を区別して説明する必要がない場合には、単にフランジ部28、30とする。フランジ部28、30は、ダッシュクロスメンバ20の延在方向に沿って長尺状に形成され、車体幅方向外側の両端部から車体幅方向中央部へ向けて車体上方側に傾斜している。フランジ部28、30は、ダッシュパネル12に接合されている。これにより、ダッシュクロスメンバ20とダッシュパネル12とで閉断面部40が形成されている。
ダッシュクロスメンバ20のフランジ部28、30とダッシュパネル12の被接合部14、15との間には、接着剤42が介在されている。接着剤42は、ダッシュクロスメンバ20のフランジ部28、30の長手方向に沿って配置され、フランジ部28、30と被接合部14、15とを接着している。接着剤42は、上フランジ部28と被接合部14との間では、その車体幅方向中央部に対して両サイドに左右一対で配置され、各々の一端が車体幅方向中央部から若干車体幅方向外側にずれた位置に設定されると共に各々の他端が車体幅方向外側の端部に設定されている。また、本実施形態では、ダッシュクロスメンバ20のフランジ部28、30とダッシュパネル12の被接合部14、15とをスポット溶接することにより形成された複数の溶接部44がフランジ部28、30の長手方向に間隔を開けて設定されている。
なお、このスポット溶接による複数の溶接部44の各々の周辺部では、スポット溶接時に一対のスポットガン(図示省略)の圧力により接着剤42が潰されてフランジ部28、30の延出方向及びその反対方向に広がっている。ところが、複数の溶接部44の各々の間では、一対のスポットガンの圧力が作用しないか又は低いため、接着剤42が広がりにくい。このため、複数の溶接部44の各々の間では、接着剤42に括れ状の凹部42A、42B(つまり、接着剤42がフランジ部28、30の延出方向及びその反対方向の各端部側に行き渡らない部分)が形成されている。
ダッシュクロスメンバ20の上フランジ部28と、ダッシュパネル12において上フランジ部28に対向する上フランジ対向部16との間には、接着剤42が配置されていない部分が設定されている。そして、ダッシュクロスメンバ20の上フランジ部28とダッシュパネル12の上フランジ対向部16との間において接着剤42が配置されない部分で閉断面部40の内側空間とダッシュクロスメンバ20の上方側の空間とを連通させるエア抜き部38が形成されている。
エア抜き部38は、上フランジ部28に形成された縦ビード36を含んで構成されている。電着塗装時のエア抜き用として形成された縦ビード36は、上フランジ部28と上フランジ対向部16との対向側とは反対側(つまり車体前方側)に凸状とされて車体上下方向に延在している。縦ビード36は、ダッシュクロスメンバ20における車体幅方向中央部にのみ設定されている。
これに対して、ダッシュパネル12には、横ビード18が形成されている。横ビード18は、ダッシュパネル12においてダッシュクロスメンバ20の上フランジ部28の基端側の曲げ部32に対向する部位を含む範囲で車体後方側に凸状に形成され、エア抜き部38に対して交差しかつ内側空間がエア抜き部38の通路38Aに連通している。この横ビード18は、電着塗装時のエア抜き用とされ、車体後方側に半円筒状に膨出しており、車体前方側に向く開口18Aが接着剤42の下端部の延在方向全域に臨んでいる。
図2には、ダッシュパネル12の一部が正面図で示されると共に、図中手前側に配置される縦ビード36及び接着剤42の各外形が二点鎖線で示されている。また、車体幅方向に沿った水平線Sが二点鎖線で示されている。図2に示されるように、横ビード18は、車体正面視でエア抜き部38の側とは反対側の端部からエア抜き部38の側へ向けて車体上方側に傾斜している。すなわち、横ビード18は、車体幅方向外側の両端部から車体幅方向中央部へ向けて車体上方側に傾斜している。
図3には、車体が電着槽に入る場合の入槽姿勢での接着剤42の凹部42Bと横ビード18との位置関係が車体側面視の縦断面図で示されている。図3において、二点鎖線Xは車体が入槽姿勢にある場合の水平線を示し、二点鎖線Yは車体が入槽姿勢にある場合の鉛直線を示している。また、図3において、矢印Uは水平線Xに対して垂直上方側を示し、矢印Fは水平線Xに沿った方向でかつ車体前方側を示している。さらに、図3において角度θは車体が電着槽に入る場合の入槽角度を示している。この図3の車体の入槽姿勢の理解を容易にするために、図4を用いて車体50が電着塗装される場合について簡単に説明する。
図4には、車体50を電着塗装する場合の工程が模式的な側面図で示されている。図4に示される電着槽52には、電着塗装用の塗料液54が入っている。電着槽52は、入槽側(図中右側)及び出槽側(図中左側)が徐々に浅くなっている。電着槽52の上方側には、電着槽52の底部52Aの側面視形状(図4に示す形状)に沿うように搬送機構56が設けられている。この搬送機構56には、所定間隔で配置されたハンガー58を介して車体50が吊り下げられる。すなわち、搬送機構56が作動することで車体50が搬送されるようになっている。図中では搬送方向を矢印D1、D2、D3で示す。
入槽工程では、図中右側に示されるように、車体50は前端部50F側から順に電着槽52に入れられる。この入槽時に、車体50は、前端部50F側が後端部50R側よりも低い入槽姿勢50Xとなる。次の塗装工程では、図中の中央部に示されるように、車体50は、塗料液54に全没され、通電によって電着塗装がなされる。この塗装時に、車体50は、水平に配置された水平姿勢50Yとなる。次の出槽工程では、図中左側に示されるように、車体50は前端部50F側から順に電着槽52から出される。この出槽時に、車体50は、前端部50F側が後端部50R側よりも高い出槽姿勢50Zとなる。
図3に示される横ビード18は、車体が前側から電着槽に入る場合の入槽姿勢で車体側面視のいずれの縦断面においても横ビード18の内側の面の最上部位置18Uが接着剤42の下端面42Dの高さ位置よりも上方側の高さ位置となるように設定されている。
(接合方法)
次に、図1に示されるダッシュパネル12とダッシュクロスメンバ20との接合方法について概説する。
次に、図1に示されるダッシュパネル12とダッシュクロスメンバ20との接合方法について概説する。
まず、ダッシュクロスメンバ20のフランジ部28、30に、その長手方向に沿って接着剤42を塗布する(接着剤塗布工程)。このとき、上フランジ部28に対しては、縦ビード36の両側に接着剤42が塗布される。上フランジ部28に塗布される接着剤42の上端位置は、上フランジ部28の上端よりも若干下方側の位置に設定され、上フランジ部28に塗布される接着剤42の下端位置は、上フランジ部28と曲げ部32との境界位置又はその付近に設定される。
続いて、ダッシュパネル12に対してダッシュクロスメンバ20のフランジ部28、30を接着剤42により接着する(接着工程)。そして、ダッシュクロスメンバ20のフランジ部28、30とダッシュパネル12の被接合部14、15とを一対のスポットガン(図示省略)により互いに接近する方向に押圧し、この一対の前記スポットガンを用いたスポット溶接により複数の溶接部44を形成する(溶接工程)。以上により、ダッシュパネル12とダッシュクロスメンバ20とが接合される。
(作用・効果)
次に、上記実施形態の作用及び効果について説明する。
次に、上記実施形態の作用及び効果について説明する。
上記構成によれば、エア抜き部38は、ダッシュクロスメンバ20の上フランジ部28とダッシュパネル12との間の一部において閉断面部40の内側空間とダッシュクロスメンバ20の上方側の空間とを連通させている。このため、電着塗装時に閉断面部40の内側空間からエア抜き部38の通路38Aに流入したエアは、エア抜き部38の通路38A内を流動して、ダッシュクロスメンバ20の上方側の空間へ排出される。
また、ダッシュパネル12において上フランジ部28の基端側の曲げ部32に対向する部位を含む範囲で車体後方側に凸状に形成された横ビード18は、エア抜き部38に対して交差しかつ内側空間がエア抜き部38の通路38Aに連通している。そして、この横ビード18は、車体正面視でエア抜き部38の側とは反対側の端部からエア抜き部38の側へ向けて車体上方側に傾斜している。よって、電着塗装時に閉断面部40の内側空間から横ビード18の内側空間に流入したエアは、横ビード18が延在する傾斜方向に沿って車体幅方向内側斜め上方側へ流動した後、エア抜き部38の通路38Aへ流出され、エア抜き部38の通路38Aからダッシュクロスメンバ20の上方側の空間へ排出される。
ここで、横ビード18は、車体前方側に向く開口18Aが接着剤42の下端部の延在方向全域に臨みかつ車体が前側から電着槽に入る場合の入槽姿勢で車体側面視のいずれの縦断面においても図3に示される横ビード18の内側の面の最上部位置18Uが接着剤42の下端面42Dの高さ位置よりも上方側の高さ位置となるように設定されている。このため、車体が前側から電着槽に入る際に図1に示される閉断面部40の内側空間の上端側で接着剤42の下端面側へ流動したエアは、横ビード18の内側空間の最上部位置へ流動した後、横ビード18の内側空間をその傾斜方向に沿って車体幅方向内側斜め上方側へ流動する。そして、前記エアは、横ビード18の内側空間からエア抜き部38の通路38Aを介してダッシュクロスメンバ20の上方側の空間へ排出される。以上により、閉断面部40の内側空間において車体幅方向のいずれの位置にエアが存在していても、当該エアはエア抜き部38の通路38Aに集められて排出される。
また、本実施形態では、エア抜き部38は、ダッシュクロスメンバ20の上フランジ部28に形成された縦ビード36を含んで構成され、縦ビード36は、上フランジ部28と上フランジ対向部16との対向側とは反対側に凸状とされて車体上下方向に延在している。これにより、エア抜き部38の車体前後方向の通路幅を広く確保することができるので、エア抜き部38の通路38Aに流入したエアを一層スムーズにダッシュクロスメンバ20の上方側の空間へ排出させることができる。
また、接着剤42の下端面に対する横ビード18の内側の面の高さ位置の設定が、車体の通常時の(水平面に置かれた)姿勢ではなく入槽姿勢での上下位置関係によるものとされることで、ダッシュパネル12の被接合部14の車体後方側へ向いた面に対する横ビード18の車体上方側へ向いた面の曲げ角度が90°よりも若干大きくなっても、エアポケットの存在しない構成にすることができる。よって、横ビード18をプレスで容易に成形することができる。
また、本実施形態では、縦ビード36は、ダッシュクロスメンバ20における車体幅方向中央部にのみ設定され、図2に示されるように、横ビード18は、車体幅方向外側の両端部から車体幅方向中央部へ向けて車体上方側に傾斜している。このため、図1に示されるように、車体上下方向に延在する縦ビード36の数を最小限に抑えながら、電着塗装時には閉断面部40の内側空間の上端側で接着剤42の下端面側へ流動したエアを排出することができる。
以上説明したように、本実施形態のパネル部材の接合構造10によれば、電着塗装時に塗料を行き渡らせることができる。
なお、横ビード18は、車体正面視で車体幅方向外側の両端部から車体幅方向中央部へ向けて車体上方側に傾斜しているので、例えば、横ビード18に代えて車体幅方向に水平方向に延在するビードを設定したような対比構造に比べ、ダッシュパネル12に対する車体上下方向の引っ張り荷重に対する剛性は高くなっている。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係るパネル部材の接合構造について、図5及び図6を用いて説明する。図5には、本実施形態に係るパネル部材の接合構造60が斜視図(第1の実施形態における図1に相当する図)で示され、図6には、図5の6−6線に沿った拡大断面図が示されている。また、図6では、図5の6−6線よりも車体幅方向左側に若干ずれた位置に沿った拡大断面の一部を二点鎖線で重ねて図示している。
次に、本発明の第2の実施形態に係るパネル部材の接合構造について、図5及び図6を用いて説明する。図5には、本実施形態に係るパネル部材の接合構造60が斜視図(第1の実施形態における図1に相当する図)で示され、図6には、図5の6−6線に沿った拡大断面図が示されている。また、図6では、図5の6−6線よりも車体幅方向左側に若干ずれた位置に沿った拡大断面の一部を二点鎖線で重ねて図示している。
本実施形態のパネル部材の接合構造60は、図1に示されるダッシュクロスメンバ20に形成された縦ビード36に代えて、図5及び図6に示される第一パネル部材としてのダッシュパネル62に形成された縦ビード64を備える点で、第1の実施形態に係るパネル部材の接合構造10(図1参照)とは異なる。他の構成は、第1の実施形態と実質的に同様の構成となっている。よって、第1の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
図5に示されるように、第二パネル部材としてのダッシュクロスメンバ70は、図1に示される縦ビード36が形成されていない点を除き、第1の実施形態のダッシュクロスメンバ20と同様の構成とされている。図5に示されるように、ダッシュクロスメンバ70において、第1の実施形態の上フランジ部28(図1)に代えて設けられた長尺状の上フランジ部72は、車体幅方向の一端側から車体幅方向の他端側まで平坦な縦壁状に形成されている。
ダッシュクロスメンバ70の上フランジ部72は、下フランジ部30と共にダッシュパネル62に接合され、ダッシュパネル62とダッシュクロスメンバ70とで第1の実施形態と同様の閉断面部40が形成されている。上フランジ部72及び下フランジ部30と、ダッシュパネル62との接合状態は、図1(第1の実施形態)に示される上フランジ部28及び下フランジ部30と、ダッシュパネル12との接合状態と同様とされている。
また、図5に示されるダッシュパネル62は、縦ビード64が形成されている点を除き、第1の実施形態のダッシュパネル12(図1参照)と同様の構成とされている。縦ビード64は、エア抜き部68の一部を構成している。エア抜き部68は、ダッシュクロスメンバ70の上フランジ部72とダッシュパネル62との間において接着剤42が配置されない部分で閉断面部40の内側空間とダッシュクロスメンバ70の上方側の空間とを連通させている。
図6に示されるように、電着塗装時のエア抜き用とされた縦ビード64は、ダッシュパネル62において上フランジ部72に対向する上フランジ対向部66に形成され、上フランジ部72と上フランジ対向部66との対向側とは反対側(つまり車体後方側)に凸状とされて車体上下方向に延在している。縦ビード64の車体後方側への突出頂部と上フランジ部72との車体前後方向の間隔は車体上方側へ向けて徐々に小さくなるように設定されている。この縦ビード64は、ダッシュパネル62における車体幅方向中央部にのみ設定されている。
また、エア抜き部68に対しては横ビード18が交差している。横ビード18の内側空間は、エア抜き部68の通路68Aに連通している。
本実施形態の構成によっても、前述した第1の実施形態と実質的に同様の作用及び効果が得られる。
[実施形態の補足説明]
なお、上記実施形態の変形例として、図5等に示される第2の実施形態のダッシュパネル62に対して、図1等に示される第1の実施形態のダッシュクロスメンバ20のフランジ部28、30が、第1、第2の実施形態に示される接合形態で接合された構成も採り得る。換言すれば、図5等に示される第2の実施形態のダッシュパネル62の縦ビード64と図1等に示される第1の実施形態のダッシュクロスメンバ20の縦ビード36とを併存させてもよい。
なお、上記実施形態の変形例として、図5等に示される第2の実施形態のダッシュパネル62に対して、図1等に示される第1の実施形態のダッシュクロスメンバ20のフランジ部28、30が、第1、第2の実施形態に示される接合形態で接合された構成も採り得る。換言すれば、図5等に示される第2の実施形態のダッシュパネル62の縦ビード64と図1等に示される第1の実施形態のダッシュクロスメンバ20の縦ビード36とを併存させてもよい。
また、上記実施形態の変形例として、図1等に示される第1の実施形態のダッシュパネル12に対して、図5等に示される第2の実施形態のダッシュクロスメンバ70が、第1、第2の実施形態に示される接合形態で接合された構成も採り得る。換言すれば、図5等に示される第2の実施形態のダッシュパネル62の縦ビード64が形成されずかつ図1等に示される第1の実施形態のダッシュクロスメンバ20の縦ビード36も形成されない構成とし、接着剤42が配置されない領域をエア抜き部の通路とするような構成とすることも可能である。
また、上記実施形態では、第一パネル部材がダッシュパネル12、62とされ、第二パネル部材がダッシュクロスメンバ20、70とされているが、第一パネル部材及び第二パネル部材は、これら以外の部材であってもよい。
また、上記実施形態の変形例として、縦ビードが、例えば、第二パネル部材の上フランジ部と第一パネル部材の上フランジ対向部との少なくとも一方における車体幅方向外側の両サイドに設定され、横ビードが、車体幅方向中央部から車体幅方向外側の両端部へ向けて車体上方側に傾斜しているような構成とすることも可能である。この場合、第二パネル部材の上フランジ部は、横ビードと同様の方向に延在していてもよいし、部分的に水平に延在する部分を含むもののその他は概ね横ビードと同様の方向に延在するようなものでもよい。
また、上記実施形態の他の変形例として、例えば、横ビードが車体正面視でW字状に設定されると共に、横ビードの各傾斜部の上端に対応する位置に縦ビードが設定されるような構成も採り得る。
なお、上記実施形態及び上述の複数の変形例は、適宜組み合わされて実施可能である。
以上、本発明の一例について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
10 パネル部材の接合構造
12 ダッシュパネル(第一パネル部材)
14 被接合部
15 被接合部
16 上フランジ対向部
18 横ビード
18A 開口
18U 横ビードの内側の面の最上部位置
20 ダッシュクロスメンバ(第二パネル部材)
28 上フランジ部(フランジ部)
30 下フランジ部(フランジ部)
32 上フランジ部の基端側の曲げ部
36 縦ビード
38 エア抜き部
38A エア抜き部の通路
40 閉断面部
42 接着剤
42D 接着剤の下端面
44 溶接部
50 車体
52 電着槽
60 パネル部材の接合構造
62 ダッシュパネル(第一パネル部材)
64 縦ビード
66 上フランジ対向部
68 エア抜き部
68A エア抜き部の通路
70 ダッシュクロスメンバ(第二パネル部材)
72 上フランジ部(フランジ部)
12 ダッシュパネル(第一パネル部材)
14 被接合部
15 被接合部
16 上フランジ対向部
18 横ビード
18A 開口
18U 横ビードの内側の面の最上部位置
20 ダッシュクロスメンバ(第二パネル部材)
28 上フランジ部(フランジ部)
30 下フランジ部(フランジ部)
32 上フランジ部の基端側の曲げ部
36 縦ビード
38 エア抜き部
38A エア抜き部の通路
40 閉断面部
42 接着剤
42D 接着剤の下端面
44 溶接部
50 車体
52 電着槽
60 パネル部材の接合構造
62 ダッシュパネル(第一パネル部材)
64 縦ビード
66 上フランジ対向部
68 エア抜き部
68A エア抜き部の通路
70 ダッシュクロスメンバ(第二パネル部材)
72 上フランジ部(フランジ部)
Claims (3)
- 車体において車体前後方向に一般面を向けて配置される平板状の第一パネル部材と、
前記第一パネル部材の車体前方側に配置されて車体側面視の縦断面形状がハット状とされ、上下端部に前記第一パネル部材に接合される長尺状のフランジ部を備えると共に、前記第一パネル部材とで閉断面部を形成する第二パネル部材と、
前記フランジ部と前記第一パネル部材の被接合部との間に介在されて前記フランジ部の長手方向に沿って配置された接着剤と、
前記フランジ部の長手方向に間隔を開けて設定され、前記フランジ部と前記被接合部とをスポット溶接することにより形成された複数の溶接部と、
前記第二パネル部材の上フランジ部と前記第一パネル部材との間の一部において前記閉断面部の内側空間と前記第二パネル部材の上方側の空間とを連通させるエア抜き部と、
前記第一パネル部材において、前記上フランジ部の基端側の曲げ部に対向する部位を含む範囲で車体後方側に凸状に形成され、前記エア抜き部に対して交差しかつ内側空間が前記エア抜き部の通路に連通すると共に、車体正面視で前記エア抜き部の側とは反対側の端部から前記エア抜き部の側へ向けて車体上方側に傾斜する横ビードと、
を有し、
前記横ビードは、車体前方側に向く開口が前記接着剤の下端部の延在方向全域に臨みかつ前記車体が前側から電着槽に入る場合の入槽姿勢で車体側面視のいずれの縦断面においても前記横ビードの内側の面の最上部位置が前記接着剤の下端面の高さ位置よりも上方側の高さ位置となるように設定されている、パネル部材の接合構造。 - 前記エア抜き部は、前記上フランジ部と、前記第一パネル部材において前記上フランジ部に対向する上フランジ対向部と、の少なくとも一方に形成された縦ビードを含んで構成され、
前記縦ビードは、前記上フランジ部と前記上フランジ対向部との対向側とは反対側に凸状とされて車体上下方向に延在している、請求項1記載のパネル部材の接合構造。 - 前記縦ビードは、前記少なくとも一方における車体幅方向中央部にのみ設定され、
前記横ビードは、車体幅方向外側の両端部から車体幅方向中央部へ向けて車体上方側に傾斜している、請求項2記載のパネル部材の接合構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014217648A JP2016084010A (ja) | 2014-10-24 | 2014-10-24 | パネル部材の接合構造 |
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JP2016084010A true JP2016084010A (ja) | 2016-05-19 |
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ID=55973001
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JP2014217648A Pending JP2016084010A (ja) | 2014-10-24 | 2014-10-24 | パネル部材の接合構造 |
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JP (1) | JP2016084010A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018090022A (ja) * | 2016-11-30 | 2018-06-14 | トヨタ自動車株式会社 | 車両用カウル構造 |
-
2014
- 2014-10-24 JP JP2014217648A patent/JP2016084010A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2018090022A (ja) * | 2016-11-30 | 2018-06-14 | トヨタ自動車株式会社 | 車両用カウル構造 |
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