本発明は、例えば自動車のドアなどの開閉体または車体に取り付けられ、開閉体を閉める際に異物が開閉体と車体との間、あるいは開閉体と開閉体との間に挟まれたときに、これを検出するための挟み込み検出センサーを備えた自動車用成形体に関する。
自動車には、スライドドアを例えばモーターの力で開閉するパワースライドドア装置が設けられることがある。パワースライドドア装置を備えた自動車においてはスライドドアの前端部に挟み込み検出センサーを配設し、スライドドアを閉める際に異物がスライドドアと車体との間、あるいは前側のドアと後側のスライドドアとの間に挟まれたときに、これを検出してパワースライドドア装置の安全性を高めることが行われている。
この種の挟み込みセンサーをスライドドアに配設する場合には、ゴムまたは樹脂からなる自動車用成形体に挟み込みセンサーを組み込み、この自動車用成形体をスライドドアの前端部に取り付ける構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。挟み込みセンサーは、異物に接触したときに上昇する圧力を検出する検出部と、検出部が接続される制御部としての抵抗ボックスとを備えている。自動車用成形体には、検出部を挿入する検出部挿入部と、抵抗ボックスを収容するように形成された保護カバーとが設けられている。そして、自動車用成形体をスライドドアに取り付ける際には、自動車用成形体をスライドドアのフランジ部に差し込み、スライドドアのフランジ部を自動車用成形体が弾性力によって挟持するようになっている。
特許文献1のものでは、当該文献の図7に開示されているように、保護カバーを閉断面空間としており、その下方から抵抗ボックスを押し込むようにしている。また、当該文献には、保護カバーの側面にスリットを形成することも開示されている。
ところで、特許文献1の保護カバーに抵抗ボックスを組み付ける際には、当該文献の図7の構成の場合、保護カバーの上方から抵抗ボックスを保護カバー内に押し込んで行く必要がある。このとき、保護カバー内面と抵抗ボックス外面との滑りが悪いと組付作業性を悪くすることがある。
そこで、保護カバーの側面にスリットを形成し、そのスリットから抵抗ボックスを内部に挿入する組み付け方法が考えられる。こうすると抵抗ボックスの組付作業性が良好になるものの、次のような組付不具合が発生する懸念がある。
すなわち、保護カバーの側面にスリットを形成した場合、抵抗ボックスの組付後にそのスリットが存在したままになる。この状態で自動車用成形体をスライドドアのフランジ部に差し込んでいくと、形成したスリットの位置によってはフランジ部がスリットに誤って挿入されてしまい、ひいては保護カバー内に達し、抵抗ボックスがフランジ部に当たり、抵抗ボックスが保護されない状態になってしまう。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、制御部を自動車用成形体に容易に組み付けることができるようにしながら、自動車用成形体を開閉物や車体へ組み付ける際に組付不具合が起こりにくくすることにある。
上記目的を達成するために、第1の発明は、
自動車の開閉物の端部または車体側部材の端部に沿うように配置されて該開閉物を閉める際の異物の挟み込みによる圧力上昇を検出する検出部と、該検出部が接続される制御部とを有する挟み込み検出センサーを備えており、
上記開閉物の端部または上記車体側部材の端部に設けられたフランジ部が差し込まれた状態で、該開閉物または該車体側部材に取り付けられるように構成された自動車用成形体において、
上記検出部が挿入される検出部挿入部と、
上記制御部が収容される制御部収容空間部と、
上記制御部収容空間部に収容された上記制御部と上記フランジ部を隔てて上記制御部を覆う保護カバーとを備え、
上記保護カバーは、上記フランジ部の根元側から該フランジ部の先端方向に向かって延出し、該保護カバーの延出方向先端部は、上記制御部収容空間部をその側方に開放するように形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、制御部を自動車用成形体に組み付ける際に制御部収容空間部に収容する場合、保護カバーの延出方向先端部が制御部収容空間部を側方に開放するように形成されているので、その開放した部分から制御部を制御部収容空間部に容易に収容することが可能になる。よって、制御部を自動車用成形体に容易に組み付けることができる。
そして、自動車用成形体を例えばドアなどの開閉物や車体へ組み付ける際には、開閉物の端部または車体側部材の端部のフランジ部に自動車用成形体を差し込んでいく。このとき、保護カバーがフランジ部の根元側から先端方向に延出しているので、該フランジ部は、制御部収容空間部に誤って挿入されてしまうことはなく、保護カバーの延出方向に沿うように差し込まれていく。よって、自動車用成形体を開閉物や車体へ組み付ける際に組付不具合が起こりにくくなる。
尚、制御部は、例えば、抵抗ボックスや、他の電気回路等で構成された部品で構成することができる。
第2の発明は、第1の発明において、
上記保護カバーの延出方向先端側には、上記フランジ部の側面に沿って延び、該フランジ部の側面に当接する当接部が設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、保護カバーの当接部がフランジ部に面接触するので、第1の発明の構成において安定して固定されやすくシール性も十分に確保される。
第3の発明は、第2の発明において、
上記保護カバーにおける上記当接部よりも延出方向基端側には、上記当接部と垂直な垂直壁部が設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、制御部が制御部収容空間部内で移動しようとした際、垂直壁部によってその移動が抑制されるので、制御部の位置ずれが抑制される。
第4の発明は、第3の発明において、
上記保護カバーにおける上記垂直壁部よりも延出方向基端側には、弾性変形する変形部が設けられていることを特徴とする。
すなわち、開閉物や車体側部材のフランジ部に自動車用成形体を差し込む際に、フランジ部の先端部が垂直壁部に当たって引っ掛かるようになることが考えられるが、この構成によれば、フランジ部が垂直壁部に引っ掛かったときに、保護カバーの垂直壁部よりも基端側の変形部が変形して引っ掛かりを解消し、フランジ部を所定位置まで差し込むことが可能になる。
第5の発明は、第1から4のいずれか1つの発明において、
上記保護カバーの延出方向とは反対側へ延びる延出板部を備え、
上記延出板部には、上記開閉物または車体側部材に固定される固定部が設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、自動車用成形体における保護カバーの延出方向とは反対側を開閉物または車体側部材に固定することが可能になるので、保護カバーの位置では車両前側がフランジ部に差し込まれた状態で固定されていることと合わさって保護カバーの位置ずれが強く抑制され、制御部収容空間部に収容された制御部が保護カバーで確実に保護される。よって、自動車が悪路を走行しても自動車用成形体がずれ動くことはなく、またこれに内袋されている制御部がフランジ部に直接に当たるのを回避して異音の発生が未然に防止される。
第6の発明は、第5の発明において、
上記自動車用成形体は上記開閉物に取り付けられるものであり、
上記延出板部は、上記開閉物に形成された水抜き孔を塞ぐためのフラップ部を有しており、
上記固定部は、上記フラップ部と上記保護カバーとの間に位置付けられていることを特徴とする。
この構成によれば、フラップ部と保護カバーとを同一の固定部によって動かないようにすることが可能になり、フラップ部の機能と保護カバーの機能とを確実に発揮させることが可能になる。
第1の発明によれば、保護カバーの延出方向先端部が制御部収容空間部を側方に開放するように形成されているので、制御部を自動車用成形体に容易に組み付けることができる。そして、保護カバーがフランジ部の根元側から該フランジ部の先端方向に延出しているので、該フランジ部が制御部収容空間部に誤って挿入されてしまうことはなく、自動車用成形体を開閉物や車体へ組み付ける際に組付不具合が起こりにくくなる。
第2の発明によれば、保護カバーの当接部がフランジ部の側面に沿って延びているので、保護カバーの当接部をフランジ部に面接触させて安定して固定しやすくシール性を十分に確保できる。
第3の発明によれば、保護カバーの延出方向基端側に当接部と垂直な垂直壁部を設けたので、制御部の位置ずれを抑制することができる。
第4の発明によれば、保護カバーにおける垂直壁部よりも延出方向基端側に変形部を設けたので、フランジ部が垂直壁部に引っ掛かったときにその引っ掛かりを解消することができ、フランジ部を所定位置まで確実に差し込むことができる。
第5の発明によれば、保護カバーの延出方向とは反対側へ延びる延出板部を備え、延出板部に開閉物または車体側部材に固定される固定部を設けたので、保護カバーの位置ずれを抑制して制御部を保護カバーで確実に保護でき、車両の振動によって制御部がフランジ部に当たるのを回避して異音の発生を未然に防止できる。
第6の発明によれば、延出板部が開閉物の水抜き孔を塞ぐためのフラップ部を有しており、固定部は、フラップ部と保護カバーとの間に位置付けられているので、フラップ部と保護カバーとを固定部によって動かないようにしてフラップ部の機能と保護カバーの機能とを確実に発揮させることができる。
実施形態に係る挟み込み検出センサーを備えた自動車用成形体が取り付けられた車両用スライドドアの側面図である。
車両用スライドドアの前側の下部(図1において一点鎖線の円で囲んだ部分)を車室内側から見た図である。
図2におけるIII−III線断面図である。
自動車用成形体の下部を車室内側から見た斜視図である。
挟み込み検出センサーが取り付けられた自動車用成形体の図4相当図である。
図5におけるVI−VI線断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1は、本発明の実施形態に係る挟み込み検出センサーを備えた自動車用成形体10を備えた車両用スライドドア(開閉物)Dを車室外側から見た側面図である。この車両用スライドドアDは、図示しないが、自動車の側部に配設され、前後方向にスライド可能にスライド機構を介して取り付けられている。また、自動車には、電動モーター等による動力源によって車両用スライドドアDをスライドさせるためのパワースライドドア装置(図示せず)も設けられている。
尚、この実施形態の説明では、車両前側を単に「前」といい、車両後側を単に「後」というものとする。
車両用スライドドアDは、その略下半部を構成するドア本体D1と、ドア本体D1の上端から上方へ突出するサッシュD2とを備えている。図2に示すように、車両用スライドドアDの前端部には、前側へ突出して該スライドドアDの上端から下端まで上下方向に延びるフランジ部D3が設けられている。また、図3にも示すように、車両用スライドドアDの車室内面には、フランジ部D3近傍の下部に略矩形の水抜き孔D4が開口している。この水抜き孔D4は、ドア本体D1の内部に連通しており、ドア本体D1の内部に浸入した水を外部に排出するためのものである。また、車両用スライドドアDの車室内面には、水抜き孔D4よりも上方に、自動車用成形体10を固定するための略円形の固定孔D5が形成されている。
また、図示しないが、閉状態にある車両用スライドドアDの前側には、上下方向に延びるピラー(車体側部材)が位置している場合があるとともに、ピラーの無いピラーレス車両ではフロントドアの後端部が位置している場合がある。ピラーがある場合には、車両用スライドドアDを閉める際に車両用スライドドアDの前端部とピラーとで物などの異物が挟まれることが想定され、また、ピラーレス車両やピラーがある車両でも、車両用スライドドアDを閉める際に車両用スライドドアDの前端部とフロントドア(開閉体)の後端部とで異物が挟まれることが想定される。このことに対して、本自動車では、挟み込み検出センサー20(図5に一部を示す)を車両用スライドドアDの前端部に取り付けている。
挟み込みセンサー20は、従来から周知の構造であり、車両用スイドドアDの前端部に沿うように配置されて該車両用スライドドアDを閉める際に物などの挟み込みによる圧力上昇を検出する感圧センサーからなる検出部21と、検出部21が接続される抵抗ボックス(制御部)22と、抵抗ボックス22から延びて車両側の回路(図示せず)に接続されるハーネス23とを有している。検出部21は、細長いハーネス状のものである。抵抗ボックス22は、図示しない抵抗体を収容したものであり、検出部21やハーネス23は抵抗ボックス22から上方へ延びている。図5において細かい点を打っている部分が抵抗ボックス22である。本実施形態では、抵抗ボックス22を設けているが、これに限らず、電気回路等で構成された部品からなる制御部であってもよい。
自動車用成形体10は、例えばゴムや樹脂材等からなる弾性材を成形してなるゴム様弾性体である。ゴムは例えばEPDMを主体としたゴム材料が適し、樹脂材は例えばオレフィン系熱可塑性エラストマーやスチレン系熱可塑性エラストマーなどが適するが、これらと類似なゴム様弾性を有する材料であればよく、特に制限されない。
図1に示すように、自動車用成形体10は、車両用スライドドアDのフランジ部D3の上端部から下端部近傍まで延びる長尺状部12と、長尺状部12の下端部に一体に成形された下側成形部13とを備えている。図4及び図5に示すように、長尺状部12の前端部には、上下方向に延びる管状部(検出部挿入部)12aが形成されている。この管状部12aの内部に検出部21が挿入されるようになっている。
長尺状部12は、後側に開放されて上下方向に延びる溝部Sを有している。溝部Sには、車両用スライドドアDのフランジ部D3が挿入されるようになっている。長尺状部12における管状部12aよりも後側部分は、その車室内側において後方へ延びる内側平板部12bと、車室外側において後方へ延びる外側平板部12cとを有しており、内側平板部12bと外側平板部12cとの間に溝部Sが形成されている。溝部Sに挿入されたフランジ部D3は、内側平板部12bと外側平板部12cとで挟持されるようになっている。尚、図示しないが、図4で示している部分よりも車両の上部では内側平板部12bと外側平板部12cから複数の断面リップ状片が突出され、フランジ部D3へ組み付けるとそれらリップ状片が撓んだ状態となって強くフランジ部D3を挟持している。特に内側平板部12bから長いリップ状片を突出させることで外側平板部12cの内面(室内側)がフランジ部D3の車室外側に側面に当接して固定される。
長尺状部12における内側平板部12bよりも後側部分には、前側へ開放するC字状断面を有するように湾曲した湾曲形成部12dが設けられている。湾曲形成部12dの内部には、図5に示すハーネス23が挿入されるようになっている。
外側平板部12cの後端部には、車室外側へ突出する突出部12eが設けられている。この突出部12eは、車両用スライドドアDの前端面に当接するようになっている。突出部12eの先端部(車室外側の端部)には、前側へ向かって延び、前側へ行くほど車室内側に位置するように湾曲した円弧状部12fが設けられている。この円弧状部12fは、スライドドアDを閉じた際にピラーやフロントドアに接触するようになっている。
下側成形部13は、抵抗ボックス22が収容される抵抗ボックス収容空間部(制御部収容空間部)Rと、抵抗ボックス収容空間部Rに収容された抵抗ボックス22を覆う保護カバー14とを備えている。図6に示すように、抵抗ボックス収容空間部Rは、車室内側に位置して前後方向に延びる内側壁部13aと、内側壁部13aの前端部から車室外側へ延びる前端壁部13bと、前端壁部13bの車室外側の端部から後側へ延びる外側壁部13cとで囲まれた空間で構成されている。また、図4に示すように、抵抗ボックス収容空間部Rの底部には、底壁部13fが設けられている。図4に示す管状部12aの下端部は、抵抗ボックス収容空間部Rの前端壁部13bの内面に開口して抵抗ボックス収容空間部Rに連通している。
図6に示す内側壁部13aの上端部は、図4に示す長尺状部12の内側平板部12bの下端部と連続しており、内側壁部13aは内側平板部12bから下へ向かうにつれて車室内側へ徐々に膨出して車室内外方向の寸法(空間)を大きくしている。また、図6に示すように、内側壁部13aの後端部は、車室外側へ向けて延びるように湾曲しており、この後端部には、延出板部15が設けられている。
また、外側壁部13cの後端部には、車室外側へ延びる縦板部13dが形成されている。縦板部13dは、車室外側へ行くほど後に位置するように傾斜しており、該縦板部13dの後面が車両用スライドドアDの前端面に接触するようになっている。縦板部13dの車室外側の端部には、上記円弧状部12f(図4に示す)と同様に湾曲して延びる下側円弧状部13eが設けられている。この下側円弧状部13eは、上記円弧状部12fの下端部と連続しており、ピラーやフロントドアに接触するようになっている。
外側壁部13cの内面には、段部13gが形成されている。段部13gは、外側壁部13cの前後方向中間部においてその後側が前側よりも車室外側に位置するように形成されている。段部13gにフランジ部D3の先端部が当接するようになっている。また、外側壁部13cの内面は、段部13gよりも後側がフランジ部D3の車室外側の側面に当接するようになっている。なお、外側壁部13cの後側の上端部は、図4に示す長尺状部12の外側平板部12cの下端部と連続しており、また段部13gは図4に示す外側平板部12cと管状部12aを連結している段部12gと連続している。
保護カバー14は、抵抗ボックス収容空間部Rを形成する内側壁部13aの後端部から一体成形されており、フランジ部D3の根元側(図6の後側)から該フランジ部D3の先端方向(前側)に向かって延出した板状に形成されている。そして、保護カバー14の延出方向先端部(前端部)は、外側壁部13cの段部13gから後側に離れて位置している。つまり、保護カバー14の延出方向先端部は、抵抗ボックス収容空間部Rをその側方に開放するように形成されており、保護カバー14の延出方向先端部を延長させると段部13gに連結される位置にある。また、この開放される保護カバー14の延出方向先端部と外側壁部13cの段部13gとの離間距離は、取り付けられる抵抗ボックス22の車両前後方向の幅よりも狭ければよい。また、図4に示すように、保護カバー14の延出方向先端部と、長尺状部12の外側平板部12cの後端部との間には、所定寸法Aの隙間が存在している。
保護カバー14の延出方向先端側には、フランジ部D3の車室内側の側面に沿って延び、該フランジ部D3の側面に当接する当接部14aが設けられている、当接部14aによって、抵抗ボックス収容空間部Rに収容されている抵抗ボックス22と該フランジ部D3を隔てて抵抗ボックス22の車室外側の面が覆われるようになっている。この当接部14aが抵抗ボックス22とフランジ部D3との間に介在することで抵抗ボックス22がフランジ部D3に当たらなくなり、異音の発生が抑制される。
保護カバー14における当接部14aよりも延出方向基端側(後側)には、当接部14aと垂直な垂直壁部14bが設けられている。すなわち、垂直壁部14bは、当接部14aの後端部から車室内側へ延びており、抵抗ボックス収容空間部Rに収容されている抵抗ボックス22の後面と対向している。したがって、抵抗ボックス22が後方へ移動しようとすると、抵抗ボックス22の後面が垂直壁部14bに当接して支持され、それ以上後方へ移動するのが阻止される。また、垂直壁部14bは、図4に示すように、下側へ行くほど車室内外方向の寸法が短くなっている。
保護カバー14における垂直壁部14bよりも延出方向基端側(後側)には、弾性変形する変形部14cが設けられている。変形部14cは、垂直壁部14bの車室内側の端部から内側壁部13aの後端部まで延びており、これにより図6に示すように内側壁部13aとの間に小空間部RSを設けることができ、例えば、垂直壁部14bが車室内外方向又は前後方向に押された場合に容易に撓み変形して垂直壁部14bを変位させることができるようになっている。
図4に示すように、上記延出板部15は、後側へ延出しているので、保護カバー14の延出方向(前側)とは反対側へ延びることになる。延出板部15には、車両用スライドドアDに固定される固定部16が設けられている。また、延出板部15は、車両用スライドドアDの水抜き孔D4を塞ぐためのフラップ部17も有している。
固定部16は、保護カバー14よりも後側に離れた部位に設けられており、前後方向においてフラップ部17と保護カバー14との間に位置付けられている。固定部16は、延出板部15の車室外側の面から突出する2つの凸部16a、16bで構成されている。凸部16a及び凸部16bの間には隙間が形成され、これら凸部16a、16bが互いに接近する方向に変形可能である。図3に示すように、固定孔D5に挿入された凸部16a、16bの先端側が固定孔D5の周縁部に係止するようになっている。
また、フラップ部17は、水抜き孔D4を車室内側から覆うように構成されている。フラップ部17と水抜き孔D4の前縁部及び後縁部との間には隙間ができるようになっており、フラップ部17で水抜き孔D4を塞いだ状態でも水は排出可能である。
フラップ部17の車室外側の面には、フック部18が設けられている。フック部18は上方へ突出して水抜き孔D4に挿入された状態で該水抜き孔D4の上縁部に係合するようになっている。
次に、上記のように構成された自動車用成形体10を車両用スライドドアDに取り付ける要領について説明する。まず、自動車用成形体10に挟み込み検出センサー20を組み付ける。この場合、検出部21を抵抗ボックス収容空間部R内から管状部12aに挿入する。また、ハーネス23は抵抗ボックス収容空間部R内から湾曲形成部12d内に挿入する。さらに、保護カバー14の延出方向先端部が抵抗ボックス収容空間部Rを側方に開放するように形成されているので、抵抗ボックス22は、抵抗ボックス収容空間部Rの開放した部分から抵抗ボックス収容空間部Rに収容する。これにより、抵抗ボックス22を自動車用成形体10に容易に組み付けることができる。抵抗ボックス22の車室外側の面は保護カバー14によって覆われた状態となる。
その後、自動車用成形体10を車両用スライドドアDへ組み付ける際には、車両用スライドドアDのフランジ部D3に自動車用成形体10を差し込んでいく。このとき、保護カバー14が抵抗ボックス22よりも後側に位置するフランジ部D3の根元側から該フランジ部D3の先端方向(前側)に延出しているので、該フランジ部D3は、保護カバー14の車室外側に沿って移動することになり、抵抗ボックス収容空間部Rに誤って挿入されてしまうことはない。そして、フランジ部D3は、保護カバー14の延出方向に沿うように差し込まれていくので、自動車用成形体10を車両用スライドドアDへ組み付ける際に組付不具合が起こりにくくなる。
また、フランジ部D3に差し込む途中で、フランジ部D3の先端部が垂直壁部14bに当たることが考えられる。この場合、垂直壁部14bが前側へ押されることになるが、垂直壁部14bは変形部14cに連続しているので、垂直壁部14bの先端側(車室外側)が前側へ変位しながら車室内側へも回転するように変形部14cが変形する。これにより、フランジ部D3の先端部が垂直壁部14bに引っ掛かって取付けできなくなるのが解消されて所定位置まで差し込むことができる。フランジ部D3が所定位置まで差し込まれると、変形部14cの形状が復元して垂直壁部14b及び当接部14aは所定位置に戻る。
次いで、延出板部15の固定部16を車両用スライドドアDの固定孔D5に固定する。このとき、固定部16の凸部16a、16bを車両用スライドドアDの固定孔D5に挿入していくと、凸部16a、16bが互いに接近する方向に弾性変形して凸部16a、16bの先端側が固定孔D5を通過し、その後、凸部16a、16bの形状が復元することで凸部16a、16bの先端側が固定孔D5の周縁部に係止する。これにより、固定部16が車両用スライドドアDに固定されるので、保護カバー14の位置ずれが抑制され、抵抗ボックス収容空間部Rに収容された抵抗ボックス22が保護カバー14で確実に保護される。よって、抵抗ボックス22がフランジ部D3に当たるのを回避して異音の発生が未然に防止される。
ここで、自動車用成形体10を車両用スライドドアDへ組み付けるには、先に下側成形体13の延出板部15にある固定部16を車両用スライドドアDの車室内側にある固定孔D5に固定して位置決めしてもよい。この場合は、位置決めした後に車両用スライドドアDの車室内側に残された下側成形部13の外側壁部13cをフランジ部D3の延出方向先端を超えて車室外側へ出し、段部13gへ当接させることもできる。この場合でも保護カバー14はフランジ部D3の根元側(後側)から該フランジ部D3の先端方向(前側)に向かって延出しているため、取付ける際にフランジ部D3の延出方向先端が垂直壁部14bに引っ掛かることはない。また、保護カバー14はゴム様弾性体からなり、そして当接部14a、垂直壁部14b及び変形部14cが各々に角度をなして連結されているため、角度の変化やそれら壁自体の撓みによって保護カバー14は前後方向、及び車室内外方向に大きく撓み変形し、フランジ部D3の挿入を阻害せず、所望の固定位置とする段部13gへ誘い込むことができる。残された下側成形部13よりも上の部位は順次にフランジ部D3へ挿入させていくことができる。
フック部18の取付けは、例えば固定部16を固定しただけでは、図3に仮想線で示すようにフック部18の存在によって延出板部15の固定部16よりも下側が車室内側へ曲がることもあるが、延出板部15を下方へ引っ張りながらフック部18を水抜き孔D4に挿入し、水抜き孔D4の上縁部に引っ掛けて係合させることができる。これにより、水抜き孔D4がフラップ部17によって覆われるので、水抜き孔D4から車室内に直接侵入してくる騒音を低減することができる。また、フラップ部17を自動車用成形体10に一体成形しているので、部品点数を少なくすることができるとともに、組付工程も少なくことができる。
以上説明したように、この実施形態によれば、保護カバー14の延出方向先端部が抵抗ボックス収容空間部Rを側方に開放するように形成されているので、抵抗ボックス22を自動車用成形体10に容易に組み付けることができる。そして、保護カバー14が抵抗ボックス22よりも後側に位置するフランジ部D3の根元側から該フランジ部D3の先端方向(前側)に延出しているので、該フランジ部D3が抵抗ボックス収容空間部Rに誤って挿入されてしまうことはなく、自動車用成形体10を車両用スライドドアDへ組み付ける際に組付不具合が起こりにくくなる。
また、保護カバー14の当接部14aが車両用スライドドアDのフランジ部D3の側面に沿って延びているので、保護カバー14の当接部14aをフランジ部D3に面接触させて安定して固定されやすく、シール性も十分に確保できる。
また、保護カバー14の延出方向基端側に当接部14aと垂直な垂直壁部14bを設けたので、抵抗ボックス22の位置ずれを垂直壁部14bによって抑制することができる。
また、保護カバー14における垂直壁部14bよりも延出方向基端側に変形部14cを設けたので、フランジ部D3が垂直壁部14bに引っ掛かったときにその引っ掛かりを解消することができ、フランジ部D3を所定位置まで確実に差し込むことができる。
また、保護カバー14の延出方向とは反対側へ延びる延出板部15に、車両用スライドドアDに固定される固定部16を設けたので、保護カバー14の位置ずれを抑制して抵抗ボックス22を確実に保護カバー14で保護でき、抵抗ボックス22がフランジ部D3に当たるのを回避して異音の発生を未然に防止できる。
また、延出板部15が車両用スライドドアDの水抜き孔D4を塞ぐためのフラップ部17を有しており、固定部16は、フラップ部17と保護カバー14との間に位置付けられているので、フラップ部17と保護カバー14とを固定部16によって動かないようにしてフラップ部17の機能と保護カバー14の機能とを確実に発揮させることができる。
尚、上記実施形態では、自動車用成形体10を車両用スライドドアDに取り付ける場合について説明したが、これに限らず、図示しないが、例えばヒンジを介して取り付けられたバックドア(開閉体)のフランジ部や、ピラーのフランジ部、フロントドアのフランジ部に取り付けるようにしてもよい。また、上記実施形態では、自動車用成形体のフランジ部への固定方法としてフランジ部の先端を挟持する構造を示したが、これに限定されず、例えば車室内外のどちらか一方又は両方の壁がなく、テープ等によって固定される構造であってもよい。ピラーのフランジ部に取り付ける場合には、固定部16をピラーに形成された固定孔に固定することもできる。
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
以上説明したように、本発明に係る挟み込み検出センサーを備えた自動車用成形体は、例えばスライドドアやバックドア、ピラー等に取り付けることができる。
10 自動車用成形体
14 保護カバー
14a 当接部
14b 垂直壁部
14c 変形部
16 固定部
17 フラップ部
20 挟み込み検出センサー
21 検出部
22 抵抗ボックス(制御部)
D 車両用スライドドア
D3 フランジ部
D4 水抜き孔
D5 固定孔
R 抵抗ボックス収容空間部(制御部収容空間部)
本発明は、例えば自動車のドアなどの開閉体または車体に取り付けられ、開閉体を閉める際に異物が開閉体と車体との間、あるいは開閉体と開閉体との間に挟まれたときに、これを検出するための挟み込み検出センサーを備えた自動車用成形体に関する。
自動車には、スライドドアを例えばモーターの力で開閉するパワースライドドア装置が設けられることがある。パワースライドドア装置を備えた自動車においてはスライドドアの前端部に挟み込み検出センサーを配設し、スライドドアを閉める際に異物がスライドドアと車体との間、あるいは前側のドアと後側のスライドドアとの間に挟まれたときに、これを検出してパワースライドドア装置の安全性を高めることが行われている。
この種の挟み込みセンサーをスライドドアに配設する場合には、ゴムまたは樹脂からなる自動車用成形体に挟み込みセンサーを組み込み、この自動車用成形体をスライドドアの前端部に取り付ける構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。挟み込みセンサーは、異物に接触したときに上昇する圧力を検出する検出部と、検出部が接続される制御部としての抵抗ボックスとを備えている。自動車用成形体には、検出部を挿入する検出部挿入部と、抵抗ボックスを収容するように形成された保護カバーとが設けられている。そして、自動車用成形体をスライドドアに取り付ける際には、自動車用成形体をスライドドアのフランジ部に差し込み、スライドドアのフランジ部を自動車用成形体が弾性力によって挟持するようになっている。
特許文献1のものでは、当該文献の図7に開示されているように、保護カバーを閉断面空間としており、その下方から抵抗ボックスを押し込むようにしている。また、当該文献には、保護カバーの側面にスリットを形成することも開示されている。
ところで、特許文献1の保護カバーに抵抗ボックスを組み付ける際には、当該文献の図7の構成の場合、保護カバーの上方から抵抗ボックスを保護カバー内に押し込んで行く必要がある。このとき、保護カバー内面と抵抗ボックス外面との滑りが悪いと組付作業性を悪くすることがある。
そこで、保護カバーの側面にスリットを形成し、そのスリットから抵抗ボックスを内部に挿入する組み付け方法が考えられる。こうすると抵抗ボックスの組付作業性が良好になるものの、次のような組付不具合が発生する懸念がある。
すなわち、保護カバーの側面にスリットを形成した場合、抵抗ボックスの組付後にそのスリットが存在したままになる。この状態で自動車用成形体をスライドドアのフランジ部に差し込んでいくと、形成したスリットの位置によってはフランジ部がスリットに誤って挿入されてしまい、ひいては保護カバー内に達し、抵抗ボックスがフランジ部に当たり、抵抗ボックスが保護されない状態になってしまう。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、制御部を自動車用成形体に容易に組み付けることができるようにしながら、自動車用成形体を開閉物や車体へ組み付ける際に組付不具合が起こりにくくすることにある。
上記目的を達成するために、第1の発明は、
自動車の開閉物の端部に沿うように配置されて該開閉物を閉める際の異物の挟み込みによる圧力上昇を検出する検出部と、該検出部が接続される制御部とを有する挟み込み検出センサーを備えており、
上記開閉物の端部に設けられたフランジ部が差し込まれた状態で、該開閉物に取り付けられるように構成された自動車用成形体において、
上記検出部が挿入される検出部挿入部と、
上記制御部が収容される制御部収容空間部と、
上記制御部収容空間部に収容された上記制御部と上記フランジ部を隔てて上記制御部を覆う保護カバーと、
上記保護カバーの延出方向とは反対側へ延びる延出板部とを備え、
上記保護カバーは、上記フランジ部の根元側から該フランジ部の先端方向に向かって延出し、該保護カバーの延出方向先端部は、上記制御部収容空間部をその側方に開放するように形成され、
上記延出板部は、上記開閉物に形成された水抜き孔を塞ぐためのフラップ部を有しており、
上記延出板部には、上記開閉物に固定される固定部が設けられ、該固定部は上記フラップ部と上記保護カバーとの間に位置付けられていることを特徴とする。
この構成によれば、制御部を自動車用成形体に組み付ける際に制御部収容空間部に収容する場合、保護カバーの延出方向先端部が制御部収容空間部を側方に開放するように形成されているので、その開放した部分から制御部を制御部収容空間部に容易に収容することが可能になる。よって、制御部を自動車用成形体に容易に組み付けることができる。
そして、自動車用成形体を例えばドアなどの開閉物や車体へ組み付ける際には、開閉物の端部または車体側部材の端部のフランジ部に自動車用成形体を差し込んでいく。このとき、保護カバーがフランジ部の根元側から先端方向に延出しているので、該フランジ部は、制御部収容空間部に誤って挿入されてしまうことはなく、保護カバーの延出方向に沿うように差し込まれていく。よって、自動車用成形体を開閉物や車体へ組み付ける際に組付不具合が起こりにくくなる。
尚、制御部は、例えば、抵抗ボックスや、他の電気回路等で構成された部品で構成することができる。
また、自動車用成形体における保護カバーの延出方向とは反対側を開閉物または車体側部材に固定することが可能になるので、保護カバーの位置では車両前側がフランジ部に差し込まれた状態で固定されていることと合わさって保護カバーの位置ずれが強く抑制され、制御部収容空間部に収容された制御部が保護カバーで確実に保護される。よって、自動車が悪路を走行しても自動車用成形体がずれ動くことはなく、またこれに内袋されている制御部がフランジ部に直接に当たるのを回避して異音の発生が未然に防止される。
また、フラップ部と保護カバーとを同一の固定部によって動かないようにすることが可能になり、フラップ部の機能と保護カバーの機能とを確実に発揮させることが可能になる。
第2の発明は、
自動車の開閉物の端部または車体側部材の端部に沿うように配置されて該開閉物を閉める際の異物の挟み込みによる圧力上昇を検出する検出部と、該検出部が接続される制御部とを有する挟み込み検出センサーを備えており、
上記開閉物の端部または上記車体側部材の端部に設けられたフランジ部が差し込まれた状態で、該開閉物または該車体側部材に取り付けられるように構成された自動車用成形体において、
上記検出部が挿入される検出部挿入部と、
上記制御部が収容される制御部収容空間部と、
上記制御部収容空間部に収容された上記制御部と上記フランジ部を隔てて上記制御部を覆う保護カバーとを備え、
上記保護カバーは、上記フランジ部の根元側から該フランジ部の先端方向に向かって延出し、該保護カバーの延出方向先端部は、上記制御部収容空間部をその側方に開放するように形成され、
上記保護カバーの延出方向先端側には、上記フランジ部の側面に沿って延び、該フランジ部の側面に当接する当接部が設けられ
上記保護カバーにおける上記当接部よりも延出方向基端側には、上記当接部と垂直な垂直壁部が設けられ、
上記保護カバーにおける上記垂直壁部よりも延出方向基端側には、弾性変形する変形部が設けられ、
上記制御部収容空間部を形成する壁部と上記変形部との間には、該制御部収容空間部よりも小さい小空間部が設けられていることを特徴とする。
第3の発明は、第1の発明において、
上記保護カバーの延出方向先端側には、上記フランジ部の側面に沿って延び、該フランジ部の側面に当接する当接部が設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、保護カバーの当接部がフランジ部に面接触するので、第1の発明の構成において安定して固定されやすくシール性も十分に確保される。
第4の発明は、第3の発明において、
上記保護カバーにおける上記当接部よりも延出方向基端側には、上記当接部と垂直な垂直壁部が設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、制御部が制御部収容空間部内で移動しようとした際、垂直壁部によってその移動が抑制されるので、制御部の位置ずれが抑制される。
第5の発明は、第4の発明において、
上記保護カバーにおける上記垂直壁部よりも延出方向基端側には、弾性変形する変形部が設けられていることを特徴とする。
すなわち、開閉物や車体側部材のフランジ部に自動車用成形体を差し込む際に、フランジ部の先端部が垂直壁部に当たって引っ掛かるようになることが考えられるが、この構成によれば、フランジ部が垂直壁部に引っ掛かったときに、保護カバーの垂直壁部よりも基端側の変形部が変形して引っ掛かりを解消し、フランジ部を所定位置まで差し込むことが可能になる。
第1の発明によれば、保護カバーの延出方向先端部が制御部収容空間部を側方に開放するように形成されているので、制御部を自動車用成形体に容易に組み付けることができる。そして、保護カバーがフランジ部の根元側から該フランジ部の先端方向に延出しているので、該フランジ部が制御部収容空間部に誤って挿入されてしまうことはなく、自動車用成形体を開閉物や車体へ組み付ける際に組付不具合が起こりにくくなる。
また、保護カバーの延出方向とは反対側へ延びる延出板部を備え、延出板部に開閉物または車体側部材に固定される固定部を設けたので、保護カバーの位置ずれを抑制して制御部を保護カバーで確実に保護でき、車両の振動によって制御部がフランジ部に当たるのを回避して異音の発生を未然に防止できる。
また、延出板部が開閉物の水抜き孔を塞ぐためのフラップ部を有しており、固定部は、フラップ部と保護カバーとの間に位置付けられているので、フラップ部と保護カバーとを固定部によって動かないようにしてフラップ部の機能と保護カバーの機能とを確実に発揮させることができる。
第3の発明によれば、保護カバーの当接部がフランジ部の側面に沿って延びているので、保護カバーの当接部をフランジ部に面接触させて安定して固定しやすくシール性を十分に確保できる。
第4の発明によれば、保護カバーの延出方向基端側に当接部と垂直な垂直壁部を設けたので、制御部の位置ずれを抑制することができる。
第5の発明によれば、保護カバーにおける垂直壁部よりも延出方向基端側に変形部を設けたので、フランジ部が垂直壁部に引っ掛かったときにその引っ掛かりを解消することができ、フランジ部を所定位置まで確実に差し込むことができる。
実施形態に係る挟み込み検出センサーを備えた自動車用成形体が取り付けられた車両用スライドドアの側面図である。
車両用スライドドアの前側の下部(図1において一点鎖線の円で囲んだ部分)を車室内側から見た図である。
図2におけるIII−III線断面図である。
自動車用成形体の下部を車室内側から見た斜視図である。
挟み込み検出センサーが取り付けられた自動車用成形体の図4相当図である。
図5におけるVI−VI線断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1は、本発明の実施形態に係る挟み込み検出センサーを備えた自動車用成形体10を備えた車両用スライドドア(開閉物)Dを車室外側から見た側面図である。この車両用スライドドアDは、図示しないが、自動車の側部に配設され、前後方向にスライド可能にスライド機構を介して取り付けられている。また、自動車には、電動モーター等による動力源によって車両用スライドドアDをスライドさせるためのパワースライドドア装置(図示せず)も設けられている。
尚、この実施形態の説明では、車両前側を単に「前」といい、車両後側を単に「後」というものとする。
車両用スライドドアDは、その略下半部を構成するドア本体D1と、ドア本体D1の上端から上方へ突出するサッシュD2とを備えている。図2に示すように、車両用スライドドアDの前端部には、前側へ突出して該スライドドアDの上端から下端まで上下方向に延びるフランジ部D3が設けられている。また、図3にも示すように、車両用スライドドアDの車室内面には、フランジ部D3近傍の下部に略矩形の水抜き孔D4が開口している。この水抜き孔D4は、ドア本体D1の内部に連通しており、ドア本体D1の内部に浸入した水を外部に排出するためのものである。また、車両用スライドドアDの車室内面には、水抜き孔D4よりも上方に、自動車用成形体10を固定するための略円形の固定孔D5が形成されている。
また、図示しないが、閉状態にある車両用スライドドアDの前側には、上下方向に延びるピラー(車体側部材)が位置している場合があるとともに、ピラーの無いピラーレス車両ではフロントドアの後端部が位置している場合がある。ピラーがある場合には、車両用スライドドアDを閉める際に車両用スライドドアDの前端部とピラーとで物などの異物が挟まれることが想定され、また、ピラーレス車両やピラーがある車両でも、車両用スライドドアDを閉める際に車両用スライドドアDの前端部とフロントドア(開閉体)の後端部とで異物が挟まれることが想定される。このことに対して、本自動車では、挟み込み検出センサー20(図5に一部を示す)を車両用スライドドアDの前端部に取り付けている。
挟み込みセンサー20は、従来から周知の構造であり、車両用スイドドアDの前端部に沿うように配置されて該車両用スライドドアDを閉める際に物などの挟み込みによる圧力上昇を検出する感圧センサーからなる検出部21と、検出部21が接続される抵抗ボックス(制御部)22と、抵抗ボックス22から延びて車両側の回路(図示せず)に接続されるハーネス23とを有している。検出部21は、細長いハーネス状のものである。抵抗ボックス22は、図示しない抵抗体を収容したものであり、検出部21やハーネス23は抵抗ボックス22から上方へ延びている。図5において細かい点を打っている部分が抵抗ボックス22である。本実施形態では、抵抗ボックス22を設けているが、これに限らず、電気回路等で構成された部品からなる制御部であってもよい。
自動車用成形体10は、例えばゴムや樹脂材等からなる弾性材を成形してなるゴム様弾性体である。ゴムは例えばEPDMを主体としたゴム材料が適し、樹脂材は例えばオレフィン系熱可塑性エラストマーやスチレン系熱可塑性エラストマーなどが適するが、これらと類似なゴム様弾性を有する材料であればよく、特に制限されない。
図1に示すように、自動車用成形体10は、車両用スライドドアDのフランジ部D3の上端部から下端部近傍まで延びる長尺状部12と、長尺状部12の下端部に一体に成形された下側成形部13とを備えている。図4及び図5に示すように、長尺状部12の前端部には、上下方向に延びる管状部(検出部挿入部)12aが形成されている。この管状部12aの内部に検出部21が挿入されるようになっている。
長尺状部12は、後側に開放されて上下方向に延びる溝部Sを有している。溝部Sには、車両用スライドドアDのフランジ部D3が挿入されるようになっている。長尺状部12における管状部12aよりも後側部分は、その車室内側において後方へ延びる内側平板部12bと、車室外側において後方へ延びる外側平板部12cとを有しており、内側平板部12bと外側平板部12cとの間に溝部Sが形成されている。溝部Sに挿入されたフランジ部D3は、内側平板部12bと外側平板部12cとで挟持されるようになっている。尚、図示しないが、図4で示している部分よりも車両の上部では内側平板部12bと外側平板部12cから複数の断面リップ状片が突出され、フランジ部D3へ組み付けるとそれらリップ状片が撓んだ状態となって強くフランジ部D3を挟持している。特に内側平板部12bから長いリップ状片を突出させることで外側平板部12cの内面(室内側)がフランジ部D3の車室外側に側面に当接して固定される。
長尺状部12における内側平板部12bよりも後側部分には、前側へ開放するC字状断面を有するように湾曲した湾曲形成部12dが設けられている。湾曲形成部12dの内部には、図5に示すハーネス23が挿入されるようになっている。
外側平板部12cの後端部には、車室外側へ突出する突出部12eが設けられている。この突出部12eは、車両用スライドドアDの前端面に当接するようになっている。突出部12eの先端部(車室外側の端部)には、前側へ向かって延び、前側へ行くほど車室内側に位置するように湾曲した円弧状部12fが設けられている。この円弧状部12fは、スライドドアDを閉じた際にピラーやフロントドアに接触するようになっている。
下側成形部13は、抵抗ボックス22が収容される抵抗ボックス収容空間部(制御部収容空間部)Rと、抵抗ボックス収容空間部Rに収容された抵抗ボックス22を覆う保護カバー14とを備えている。図6に示すように、抵抗ボックス収容空間部Rは、車室内側に位置して前後方向に延びる内側壁部13aと、内側壁部13aの前端部から車室外側へ延びる前端壁部13bと、前端壁部13bの車室外側の端部から後側へ延びる外側壁部13cとで囲まれた空間で構成されている。また、図4に示すように、抵抗ボックス収容空間部Rの底部には、底壁部13fが設けられている。図4に示す管状部12aの下端部は、抵抗ボックス収容空間部Rの前端壁部13bの内面に開口して抵抗ボックス収容空間部Rに連通している。
図6に示す内側壁部13aの上端部は、図4に示す長尺状部12の内側平板部12bの下端部と連続しており、内側壁部13aは内側平板部12bから下へ向かうにつれて車室内側へ徐々に膨出して車室内外方向の寸法(空間)を大きくしている。また、図6に示すように、内側壁部13aの後端部は、車室外側へ向けて延びるように湾曲しており、この後端部には、延出板部15が設けられている。
また、外側壁部13cの後端部には、車室外側へ延びる縦板部13dが形成されている。縦板部13dは、車室外側へ行くほど後に位置するように傾斜しており、該縦板部13dの後面が車両用スライドドアDの前端面に接触するようになっている。縦板部13dの車室外側の端部には、上記円弧状部12f(図4に示す)と同様に湾曲して延びる下側円弧状部13eが設けられている。この下側円弧状部13eは、上記円弧状部12fの下端部と連続しており、ピラーやフロントドアに接触するようになっている。
外側壁部13cの内面には、段部13gが形成されている。段部13gは、外側壁部13cの前後方向中間部においてその後側が前側よりも車室外側に位置するように形成されている。段部13gにフランジ部D3の先端部が当接するようになっている。また、外側壁部13cの内面は、段部13gよりも後側がフランジ部D3の車室外側の側面に当接するようになっている。なお、外側壁部13cの後側の上端部は、図4に示す長尺状部12の外側平板部12cの下端部と連続しており、また段部13gは図4に示す外側平板部12cと管状部12aを連結している段部12gと連続している。
保護カバー14は、抵抗ボックス収容空間部Rを形成する内側壁部13aの後端部から一体成形されており、フランジ部D3の根元側(図6の後側)から該フランジ部D3の先端方向(前側)に向かって延出した板状に形成されている。そして、保護カバー14の延出方向先端部(前端部)は、外側壁部13cの段部13gから後側に離れて位置している。つまり、保護カバー14の延出方向先端部は、抵抗ボックス収容空間部Rをその側方に開放するように形成されており、保護カバー14の延出方向先端部を延長させると段部13gに連結される位置にある。また、この開放される保護カバー14の延出方向先端部と外側壁部13cの段部13gとの離間距離は、取り付けられる抵抗ボックス22の車両前後方向の幅よりも狭ければよい。また、図4に示すように、保護カバー14の延出方向先端部と、長尺状部12の外側平板部12cの後端部との間には、所定寸法Aの隙間が存在している。
保護カバー14の延出方向先端側には、フランジ部D3の車室内側の側面に沿って延び、該フランジ部D3の側面に当接する当接部14aが設けられている、当接部14aによって、抵抗ボックス収容空間部Rに収容されている抵抗ボックス22と該フランジ部D3を隔てて抵抗ボックス22の車室外側の面が覆われるようになっている。この当接部14aが抵抗ボックス22とフランジ部D3との間に介在することで抵抗ボックス22がフランジ部D3に当たらなくなり、異音の発生が抑制される。
保護カバー14における当接部14aよりも延出方向基端側(後側)には、当接部14aと垂直な垂直壁部14bが設けられている。すなわち、垂直壁部14bは、当接部14aの後端部から車室内側へ延びており、抵抗ボックス収容空間部Rに収容されている抵抗ボックス22の後面と対向している。したがって、抵抗ボックス22が後方へ移動しようとすると、抵抗ボックス22の後面が垂直壁部14bに当接して支持され、それ以上後方へ移動するのが阻止される。また、垂直壁部14bは、図4に示すように、下側へ行くほど車室内外方向の寸法が短くなっている。
保護カバー14における垂直壁部14bよりも延出方向基端側(後側)には、弾性変形する変形部14cが設けられている。変形部14cは、垂直壁部14bの車室内側の端部から内側壁部13aの後端部まで延びており、これにより図6に示すように内側壁部13aとの間に小空間部RSを設けることができ、例えば、垂直壁部14bが車室内外方向又は前後方向に押された場合に容易に撓み変形して垂直壁部14bを変位させることができるようになっている。
図4に示すように、上記延出板部15は、後側へ延出しているので、保護カバー14の延出方向(前側)とは反対側へ延びることになる。延出板部15には、車両用スライドドアDに固定される固定部16が設けられている。また、延出板部15は、車両用スライドドアDの水抜き孔D4を塞ぐためのフラップ部17も有している。
固定部16は、保護カバー14よりも後側に離れた部位に設けられており、前後方向においてフラップ部17と保護カバー14との間に位置付けられている。固定部16は、延出板部15の車室外側の面から突出する2つの凸部16a、16bで構成されている。凸部16a及び凸部16bの間には隙間が形成され、これら凸部16a、16bが互いに接近する方向に変形可能である。図3に示すように、固定孔D5に挿入された凸部16a、16bの先端側が固定孔D5の周縁部に係止するようになっている。
また、フラップ部17は、水抜き孔D4を車室内側から覆うように構成されている。フラップ部17と水抜き孔D4の前縁部及び後縁部との間には隙間ができるようになっており、フラップ部17で水抜き孔D4を塞いだ状態でも水は排出可能である。
フラップ部17の車室外側の面には、フック部18が設けられている。フック部18は上方へ突出して水抜き孔D4に挿入された状態で該水抜き孔D4の上縁部に係合するようになっている。
次に、上記のように構成された自動車用成形体10を車両用スライドドアDに取り付ける要領について説明する。まず、自動車用成形体10に挟み込み検出センサー20を組み付ける。この場合、検出部21を抵抗ボックス収容空間部R内から管状部12aに挿入する。また、ハーネス23は抵抗ボックス収容空間部R内から湾曲形成部12d内に挿入する。さらに、保護カバー14の延出方向先端部が抵抗ボックス収容空間部Rを側方に開放するように形成されているので、抵抗ボックス22は、抵抗ボックス収容空間部Rの開放した部分から抵抗ボックス収容空間部Rに収容する。これにより、抵抗ボックス22を自動車用成形体10に容易に組み付けることができる。抵抗ボックス22の車室外側の面は保護カバー14によって覆われた状態となる。
その後、自動車用成形体10を車両用スライドドアDへ組み付ける際には、車両用スライドドアDのフランジ部D3に自動車用成形体10を差し込んでいく。このとき、保護カバー14が抵抗ボックス22よりも後側に位置するフランジ部D3の根元側から該フランジ部D3の先端方向(前側)に延出しているので、該フランジ部D3は、保護カバー14の車室外側に沿って移動することになり、抵抗ボックス収容空間部Rに誤って挿入されてしまうことはない。そして、フランジ部D3は、保護カバー14の延出方向に沿うように差し込まれていくので、自動車用成形体10を車両用スライドドアDへ組み付ける際に組付不具合が起こりにくくなる。
また、フランジ部D3に差し込む途中で、フランジ部D3の先端部が垂直壁部14bに当たることが考えられる。この場合、垂直壁部14bが前側へ押されることになるが、垂直壁部14bは変形部14cに連続しているので、垂直壁部14bの先端側(車室外側)が前側へ変位しながら車室内側へも回転するように変形部14cが変形する。これにより、フランジ部D3の先端部が垂直壁部14bに引っ掛かって取付けできなくなるのが解消されて所定位置まで差し込むことができる。フランジ部D3が所定位置まで差し込まれると、変形部14cの形状が復元して垂直壁部14b及び当接部14aは所定位置に戻る。
次いで、延出板部15の固定部16を車両用スライドドアDの固定孔D5に固定する。このとき、固定部16の凸部16a、16bを車両用スライドドアDの固定孔D5に挿入していくと、凸部16a、16bが互いに接近する方向に弾性変形して凸部16a、16bの先端側が固定孔D5を通過し、その後、凸部16a、16bの形状が復元することで凸部16a、16bの先端側が固定孔D5の周縁部に係止する。これにより、固定部16が車両用スライドドアDに固定されるので、保護カバー14の位置ずれが抑制され、抵抗ボックス収容空間部Rに収容された抵抗ボックス22が保護カバー14で確実に保護される。よって、抵抗ボックス22がフランジ部D3に当たるのを回避して異音の発生が未然に防止される。
ここで、自動車用成形体10を車両用スライドドアDへ組み付けるには、先に下側成形体13の延出板部15にある固定部16を車両用スライドドアDの車室内側にある固定孔D5に固定して位置決めしてもよい。この場合は、位置決めした後に車両用スライドドアDの車室内側に残された下側成形部13の外側壁部13cをフランジ部D3の延出方向先端を超えて車室外側へ出し、段部13gへ当接させることもできる。この場合でも保護カバー14はフランジ部D3の根元側(後側)から該フランジ部D3の先端方向(前側)に向かって延出しているため、取付ける際にフランジ部D3の延出方向先端が垂直壁部14bに引っ掛かることはない。また、保護カバー14はゴム様弾性体からなり、そして当接部14a、垂直壁部14b及び変形部14cが各々に角度をなして連結されているため、角度の変化やそれら壁自体の撓みによって保護カバー14は前後方向、及び車室内外方向に大きく撓み変形し、フランジ部D3の挿入を阻害せず、所望の固定位置とする段部13gへ誘い込むことができる。残された下側成形部13よりも上の部位は順次にフランジ部D3へ挿入させていくことができる。
フック部18の取付けは、例えば固定部16を固定しただけでは、図3に仮想線で示すようにフック部18の存在によって延出板部15の固定部16よりも下側が車室内側へ曲がることもあるが、延出板部15を下方へ引っ張りながらフック部18を水抜き孔D4に挿入し、水抜き孔D4の上縁部に引っ掛けて係合させることができる。これにより、水抜き孔D4がフラップ部17によって覆われるので、水抜き孔D4から車室内に直接侵入してくる騒音を低減することができる。また、フラップ部17を自動車用成形体10に一体成形しているので、部品点数を少なくすることができるとともに、組付工程も少なくことができる。
以上説明したように、この実施形態によれば、保護カバー14の延出方向先端部が抵抗ボックス収容空間部Rを側方に開放するように形成されているので、抵抗ボックス22を自動車用成形体10に容易に組み付けることができる。そして、保護カバー14が抵抗ボックス22よりも後側に位置するフランジ部D3の根元側から該フランジ部D3の先端方向(前側)に延出しているので、該フランジ部D3が抵抗ボックス収容空間部Rに誤って挿入されてしまうことはなく、自動車用成形体10を車両用スライドドアDへ組み付ける際に組付不具合が起こりにくくなる。
また、保護カバー14の当接部14aが車両用スライドドアDのフランジ部D3の側面に沿って延びているので、保護カバー14の当接部14aをフランジ部D3に面接触させて安定して固定されやすく、シール性も十分に確保できる。
また、保護カバー14の延出方向基端側に当接部14aと垂直な垂直壁部14bを設けたので、抵抗ボックス22の位置ずれを垂直壁部14bによって抑制することができる。
また、保護カバー14における垂直壁部14bよりも延出方向基端側に変形部14cを設けたので、フランジ部D3が垂直壁部14bに引っ掛かったときにその引っ掛かりを解消することができ、フランジ部D3を所定位置まで確実に差し込むことができる。
また、保護カバー14の延出方向とは反対側へ延びる延出板部15に、車両用スライドドアDに固定される固定部16を設けたので、保護カバー14の位置ずれを抑制して抵抗ボックス22を確実に保護カバー14で保護でき、抵抗ボックス22がフランジ部D3に当たるのを回避して異音の発生を未然に防止できる。
また、延出板部15が車両用スライドドアDの水抜き孔D4を塞ぐためのフラップ部17を有しており、固定部16は、フラップ部17と保護カバー14との間に位置付けられているので、フラップ部17と保護カバー14とを固定部16によって動かないようにしてフラップ部17の機能と保護カバー14の機能とを確実に発揮させることができる。
尚、上記実施形態では、自動車用成形体10を車両用スライドドアDに取り付ける場合について説明したが、これに限らず、図示しないが、例えばヒンジを介して取り付けられたバックドア(開閉体)のフランジ部や、ピラーのフランジ部、フロントドアのフランジ部に取り付けるようにしてもよい。また、上記実施形態では、自動車用成形体のフランジ部への固定方法としてフランジ部の先端を挟持する構造を示したが、これに限定されず、例えば車室内外のどちらか一方又は両方の壁がなく、テープ等によって固定される構造であってもよい。ピラーのフランジ部に取り付ける場合には、固定部16をピラーに形成された固定孔に固定することもできる。
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
以上説明したように、本発明に係る挟み込み検出センサーを備えた自動車用成形体は、例えばスライドドアやバックドア、ピラー等に取り付けることができる。
10 自動車用成形体
14 保護カバー
14a 当接部
14b 垂直壁部
14c 変形部
16 固定部
17 フラップ部
20 挟み込み検出センサー
21 検出部
22 抵抗ボックス(制御部)
D 車両用スライドドア
D3 フランジ部
D4 水抜き孔
D5 固定孔
R 抵抗ボックス収容空間部(制御部収容空間部)