JP2016083679A - ガスシールドアーク溶接方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガスシールドアーク溶接で混合イナートガスを使用する理由は、分子が原子に解離する際の分子解離熱にてアーク電圧を上昇するためであるが、従来のガス混合方式ではがスの比重差のため十分に混合できずアーク電圧上昇効果が低かった。又、銅の溶接では、溶接電流を上げてアーク温度を上げることにより溶接入熱を上げる必要があるが、現状のガスシールドアーク溶接法では溶接電流値のアップは限界であった。
【解決手段】シールドガスを帯電装置に通して帯電せしめて生成した帯電シールドガスと、シールドガスを液体フラックスが充填された気化装置に吹き込んで生成した気化フラックスを、混合器で混合して、フラックス含有シールドガスを生成し、該フラックス含有シールドガスを溶接トーチに導いて溶接することにより、シールドガスやKやBなどのフラックス成分をプラズマ化してアーク電圧のアップや溶接性状の向上を具現化する。
【選択図】図1
【解決手段】シールドガスを帯電装置に通して帯電せしめて生成した帯電シールドガスと、シールドガスを液体フラックスが充填された気化装置に吹き込んで生成した気化フラックスを、混合器で混合して、フラックス含有シールドガスを生成し、該フラックス含有シールドガスを溶接トーチに導いて溶接することにより、シールドガスやKやBなどのフラックス成分をプラズマ化してアーク電圧のアップや溶接性状の向上を具現化する。
【選択図】図1
Description
本発明はガスシールドアーク溶接法において、帯電装置でシールドガスに帯電して、帯電シールドガスを生成するとともに、気化装置に充填した液体フラックスにシールドガスを吹き込んで気化フラックスを生成し、帯電シールドガスと気化フラックスを混合して生成したフラックス混合シールドガスを溶接トーチに導いて溶接するガスシールドアーク溶接法に関するものである。シールドガスや気化フラックスを帯電させることによりアーク電圧やアーク温度が上昇することから、スパッタの発生低減や溶接速度の向上、溶接性状の向上を具現化できる。また従来銅の溶接は500℃程度の高温予熱が必要であるが本発明により200℃前後に低減できるので作業者の熱負荷が抑制され作業効率が向上する。
強磁場の中に溶接シールドガスを強制的に送り出すと電界磁場を作るため電磁誘導起電力を帯びる。つまり多量の静電気を帯びることになる。電流が多く流れると磁気も強くなり、磁気の変化が大きくなると電流も多く流れる。このことを電磁誘導という。発電機やモータやトランスなど様々にこの原理は利用されており、本発明では溶接用シールドガスを帯電させるのに応用したものである。
溶接の難易度は材料の入熱量と放熱量の差に左右される。例えば、銅は放熱量が大きいため500℃近い予熱を必要とする。銅の溶接は通常TIG溶接やMIG溶接で行うことから、シールドガスがArやHeのような原子ガスに限定されるため、シールドガスの分子解離熱によるアーク電圧、アーク温度をアップすることができない。従って、銅溶接の場合は放熱量をカバーするため予熱温度を高めることでアーク入熱量不足を補いながら溶接している。このため溶接作業者への熱負荷が大きく作業環境改善が望まれていた。
通常ガスシールドアーク溶接及びレーザ溶接に使用されるシールドガスはAr、He、N2、CO2などである。例えば、TIG溶接ではArやHeが使用される。炭酸ガスアーク溶接ではCO2が使用される。MAG溶接ではAr+CO2が使用される。レーザ溶接やレーザ切断では、H2+N2+CO2+Heの4種又はH2+N2+Ar+CO2+O2+Heの6種類の混合ガスが使用される。原子ガスとしてのイナートガスはArやHeである。分子ガスのイナートガスとしてはN2とCO2であるが主力はCO2溶接である。CO2溶接は、(1)アーク安定化に優れている、(2)垂降特性が強く出るため溶け込みが深い、(3)安価である、(4)分子ガスの解離を利用できるため予熱を抑えかつ電流電圧を抑えることができる利点がある。しかしながらCO2溶接はスパッタが多く発生する問題があり溶接欠陥や溶接後手入れに多大な労力を要している。
CO2溶接は自動溶接法としてばかりでなく、半自動アーク溶接としても簡便に適用され、溶接速度が速く、しかも溶接部の諸性質が優れコストが安いので、生産性向上とコスト低減に効果的な溶接法である。しかしながら、裸電極鋼線を用いる方法においては、スパッタの著しいことがその大なる欠点とされている。そのスパッタの発生機構としては、溶滴が非接触移行する場合に、(1)アーク力の押し上げによって溶接棒溶融金属がスパッタとなるもの、(2)溶接棒端から離脱した溶滴が再度アーク中に突入して電極−溶滴−母材間に直列アークを形成してスパッタとなるもの、(3)溶滴が接触移行する場合に、瞬間的短絡が破れる際のフェーズ作用によってスパッタとなるもの、(4)大塊となった溶接棒溶融金属が短絡しアーク再生時の大電流によるアーク力によって移行金属がスパッタとなるもの、(5)いわゆる埋もれアーク状態において短絡してアークが再生し溶融池全体が大きく盛り上がってスパッタとなるものなどがあげられる。
このような種々の発生機構を有するスパッタを抑止するため、従来方法としては、適当な動的特性の溶接機を用い、細径電極鋼線(直径0.8mm〜1.2mm)でアーク電圧(17〜20V)を著しく下げてアーク長を精密にコントロールして溶接するものがある。この溶接は、電極鋼線の溶融金属滴が溶融池に接触して重力と表面張力で適当にくびれた時に短絡電流が流れ、溶融金属滴が溶融池に移行し、アークが再点弧するという短絡移行のサイクルをスムースに繰り返しスパッタを抑止しているものである。しかし、この方法は細径電極鋼線を用いた低電圧の条件のもとでのみスパッタ抑止が達せられるものでその適用範囲は極めて制限されていた。
分子ガス配合比80%Ar+20%CO2のアタールガスは、ArとCO2の比重が比較的近似しているため一緒にボンベ充填しても分離しにくいので多用されている。アタールガスはある程度の溶け込みも確保でき、スパッタが少なく溶接後の手入れの時間が省けるメリットがある。HeやH2を混合した複合シールドガスは比重差が大きすぎるためボンベ内分離が発生しそれぞれのガス特性を生かせない問題がある。Ar、He、N2の3種混合ガスはアーク電圧を高くできるが、Heを1とした場合の比重差は、Arが10、N2が7となり、従来市場に出回っているガス混合器ではこれらのガスを完全に混合するのは困難である。この大きな比重差のあるガスを均一に混合して、分子状態からプラズマ状態にするのは100%無理である。そのため銅のTIG溶接では、100%He又は100%Arを使って、500℃近傍まで予熱温度を高めて溶接していた。
表1にシールドガスごとの比重、密度、20℃における熱伝導率を示す。
表1 シールドガスの物性値
表1 シールドガスの物性値
分子イナートガスのN2は銅の溶接に使用されるが、銅の場合は含有炭素があっても焼きが入らないためである。N2→N+Nと分離する際、解離エネルギは15eVから30eVとなり2倍となる。一方原子イナートガスのHeの解離エネルギは25eVである。N2はHeと比較すると安価であるも100%電離は困難なためHeとN2は50:50の割合で混合して使用する場合がある。この混合割合でようやくHeの電離エネルギ25eVが20%アップして30eVとなる。逆に、N2を単独でシールドガスとして使用する場合は、N2の電離エネルギを20%アップするのに、99.999%の高純度のN2が必要となり、高価なシールドガスとなる。分子ガスは原子ガスとなる際の分子解離エネルギを放出するためアーク電圧がアップすることは明白であるが、分子ガスを100%分離することは不可能であり、アーク温度を5000℃から7000℃に高めるのは容易ではない。このように、従来の溶接法では分子イナートガス、原子イナートガスによる解離エネルギでアーク電圧やアーク温度をアップするのは限界があった。
アーク電圧を高めアーク温度を高めるためにはアークプラズマの活性化が必要である。プラズマとは正電気を帯びた粒子と負電気を帯びた電子とがほぼ同じ密度で、ほぼ電気的中性を保って分布している粒子集団のことである。プラズマは荷電粒子と中性粒子とにより構成され、集団的ふるまいをする。気体エネルギを加えて気体中の分子を原子に解離し、原子をさらに陽イオンと電子に電離することによってプラズマをつくることができる。そのため、プラズマを活性化するにはイオン化しやすい元素をアーク柱に注入する必要がある。NaやKのようなアルカリ金属は最外殻の電子が不安定のため電離が起こりやすいが気体として取り扱うのは困難である。また、フッ素(F)のようなハロゲンガスは単体ではイオン化しやすいガスであるが、簡単に他の電子と結合し化合物体の中に組み込まれてしまうので陰イオンとして取り扱うことは困難である。また、ホウ素(B)のような半金属は単体で使用されることは少なく、化合物や合金の形で使用される。このようなアルカリ金属、半金属、ハロゲンなどの元素を混合してガス体として溶接フラックスに使用する技術はなかった。不活性ガスの元素Ar、He、Neなどは常温でも単原子として電子が安定のため高温でも電離は起こりにくいが、NaやKなどのアルカリ金属やハロゲンや半金属などの元素をシールドガスと混合して使用できれば溶接特性の向上だけでなくアーク電圧アップとなり、銅溶接においては予熱温度を低減できることになる。
原子間結合はイオン結合と共有結合と金属結合に種別される。これらの原子間結合における原子解離エネルギは、イオン結合で140〜250kcal/mol、共有結合で15〜170kcal/mol、金属結合で27〜83kcal/molである。従来のHe、Ar、Neなどは不活性ガスであるため分子間エネルギは変化しない。分子ガス(CO2とN2)を混入したシールドガス中に、化学結合したフラックスをイオン結合の形で入れることで、アーク電圧はガスの熱解離エネルギを与えられる。アーク電圧(20〜30eV)で加速されたシールドガスの平均エネルギは15〜25eVであり、このエネルギはアーク中で分子ガスを解離する際熱エネルギとして吸収され、溶接面で再び分子ガスにもどる際に熱解離エネルギとして一瞬にして吐出されるためアーク電圧はアップする。MAG溶接でArやHeなどの原子イナートガスにCO2を混合する理由は熱解離エネルギを増大させるためである。
同様な原理で、シールドガスアーク溶接においても熱解離エネルギを増大するために、ArやHeなどの原子イナートガスにN2、CO2、O2などの分子イナートガスを入れているのである。熱解離エネルギを増大するために、シールドガス中にフッ化水素やフッ化ナトリウムのようにイオン結合したフラックス成分を混入できれば、アーク電圧やアーク温度をアップすることができることから、スパッタの減少、予熱温度の低減、溶接性状の向上など多くの効果を享受できる。
本発明者は、特開63−123571号広報「ガスシールドアーク溶接法」において、シールドガスとして帯電ガスを用いたガスシールドアーク溶接法を提案している。この方法においては、K、Na、Bなどの金属原子を含有した気化フラックスを使用していないので、アーク電圧アップ、アーク温度アップの効果は小さく、又、清浄作用、表面張力除去作用、酸化防止作用などのフラックス機能がなくスパッタ低減、溶接性状の向上はできなかった。
本発明者は、特開2009−090368号広報「ガス切断用気化フラックス」において、ロウ付けなどに使用するフラックスを適宜混合して前処理した混合フラックスを、アルコールやアセトンの溶媒に8〜25重量%混合して、超臨界装置内において温度300〜400℃、圧力34.3〜44.1MPaで溶解し液体フラックスとし、該液体フラックスに気体を吹き込んで気化させるガス切断用気化フラックスを発明した。
本発明者は、特開2009−233741号広報「液体フラックス気化装置」において、ロウ付け及びガス切断などに使用するフラックスをアルコールやアセトンあるいはこれらを混合した液体に溶解した液体フラックス中に、アセチレンやプロパンなどの燃焼ガスを吹き込んで、前記液体フラックスを気化せしめて気化フラックスを生成する液体フラックス気化装置において、周りに複数の回転筒用ネオジ磁石が配設してある回転筒を設け、該回転筒を毎分60〜200回、回転させながら前記気化フラックスを通過せしめて、該気化フラックスを取り出す液体フラックス気化装置を発明した。
本発明者は、特開2009−297782号広報「液体フラックスの製造方法及びその装置」において、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン、B、C、N、O、Si、P、S、Cl、Zn、Seなどの原子の内、少なくとも2種類以上の原子が結合してできている電解質をアルコールやアセトンなどの溶媒中で磁場をかけるとともに、該溶媒を攪拌しながら溶解する液体フラックスを発明した。
本発明者は、特開2010−100441号広報「液体フラックスの製造方法と製造装置及び液体フラックス」において、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン、B、C、N、O、Si、P、S、Znの原子の内、少なくとも2種類以上の原子が結合してできている電解質をアルコールなどの溶媒を入れた容器中で、磁場をかけるとともに該溶媒を回転しながら溶解する液体フラックスの製造方法において、溶媒中に電極を挿入し電圧を付加するとともにパルス電圧を付加する液体フラックスを発明した。
本発明者は、特開2010−269370号広報「厚板材の切断方法」において、中継器を発明した。中継器には少なくとも30kガウス以上の磁力を有するように複数のネオジ磁石を配置し、気化装置から切断トーチまでの配管中に気化フラックスが析出しないようにしたものである。
本発明者は、特開2011−088180号広報「溶接用フラックスと溶接法」において、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン、B、C、N、O、Si、P、S、Cl、Zn、Seなどの原子の内少なくとも2種類以上の原子が結合してできている電解質をアルコールやアセトンなどの溶媒に溶解して生成した液体フラックスを発明した。
本発明者は、特開2011−098367号広報「溶接肉盛り用フラックスと溶接肉盛り法」において、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン、B、C、N、O、Si、P、S、Cl、Zn、Seの原子の内少なくとも2種類以上の原子が結合してできている電解質をアルコールやアセトンの溶媒に溶解して生成した液体フラックスを発明するとともに、該液体フラックスの溶質を適宜析出せしめて生成した析出フラックスに接種剤を混入してゲル状フラックスとして、該ゲル状フラックスを溶接母材に塗布した後に前記ゲル状フラックスの溶媒を乾燥もしくは燃焼させて固形フラックスとして肉盛り母材に固定した後に、該固形フラックスの上から前記肉盛り母材に肉盛する溶接肉盛方法を発明した。
本発明者は、特開2012−024804号広報「液体フラックス」において、フッ素化合物を溶解せしめた液体フラックスを生成し、この液体フラックス中にシールドガスを通すことでシールドガス中にフッ素成分を含有させることに成功した。フッ素化合物は固形フラックスとして被覆溶接棒や複合ワイヤやロウ付け用に応用されているがTIG溶接、MIG溶接、MAG溶接、CO2溶接などのシールドガス中に混合する技術はなかった。
本発明者は、特開2013−255895号広報「帯電装置」を発明した。この帯電装置はガス帯電を効率化するためのものであり、ネオジ磁石を回転円板と固定円板に取り付け、お互いに相対運動させることにより磁力線の交差回数を増加させたり、ガスを強力に撹拌したりしてガスの帯電効率を向上させるものである。この帯電装置でシールドガスや気化フラックスに帯電させることによりアーク電圧やアーク温度をアップできることから銅の溶接においても予熱温度を低減できるようになった。
本発明者は、特開2013−103224号広報「半自動アーク溶接」において、磁石を配設した容器からなる液体フラックスの製造装置でアルコールやアセトンの溶媒を回転しながら電解質を溶解させて生成した液体フラックスを、溶接ワイヤに塗布機にて塗布したり、液体フラックスを気化装置に充填し、該気化装置にシールドガスを吹き込んで気化せしめた気化フラックスを溶接部分に吹き付けたりしながら溶接する半自動アーク溶接法を発明した。
本発明者は、特開2013−150992号広報「TIG溶接による肉盛り方法」において、硬化肉盛り材をTIG溶接する方法において、シールドガスはCO2を50〜80v%含有し、残りはAr又はHe又はN2又はこれらを混合器で混合したガスを20〜50v%含有した混合シールドガスを気化装置に充填した液体フラックスに吹き込んで、気化フラックスを生成し、該気化フラックスをトーチに導いて溶接面に吹き付けながら溶接するTIG溶接方法を発明した。気化装置から溶接トーチまで気化フラックスを気送する間に、気化フラックスが配管内に析出しないようにネオジ磁石を組み込んだ中継器を配設している。
本発明者は、特開2014−004621号広報「銅の溶接肉盛り方法」において、複数のシールドガスを混合器で混合し、混合シールドガスを生成し、該混合シールドガスを、液体フラックスを充填した気化装置に吹き込んで、液体フラックスを気化せしめて気体フラックスとし、該気体フラックスと混合シールドガスが混合した気化フラックスを、帯電装置に通し帯電せしめた後に、溶接トーチに導いて溶接する銅の溶接肉盛り方法を発明した。本発明は、上記の特開63−123571号広報、特開2009−090368号広報、特開2009−233741号広報、特開2009−297782号広報特開2010−100441号広報特開2010−269370号広報、特開2011−088180号広報、特開2011−098367号広報特開2012−024804号広報、特開2012−150992号広報、特開2013−103224号広報に示した発明をもとにさらに新規に発展させた技術である。しかしながら、この方法においては、混合シールドガスの全量を気化装置に吹き込むので、気化フラックスとシールドガスの流量調整ができない問題があった。
分子の世界、(株)化学同人
先端溶接工学、共立出版(株)
触媒の働き、(株)化学同人
電波読本、(株)クリエイト・クルーズ
アーク溶接の物理、(株)アグネ
溶接接合技術入門、産報出版(株)
CO2溶接、MIG溶接、MAG溶接、TIG溶接、レーザ切断などはArやHeのような原子イナートガス、もしくはN2、H2、O2、CO2のような分子イナートガス、もしくはこれらの混合ガスを使用する。イナートガスは溶滴を大気から遮断し酸化を防止することで溶接強度や外観を向上するものであるが、混合イナートガスを使用する理由は、分子が原子に解離する際の分子解離熱にてアーク電圧を上昇できるからである。通常数種のシールドガスを同じボンベに入れて貯蔵すると比重の差にて分離する欠点がある。また、従来のガス混合方式ではがスの比重差のため十分に混合できずアーク電圧上昇効果が低かった。又、銅の溶接においては、500℃以上の予熱温度が必要であり、輻射熱が大きく溶接作業者が耐熱服を着ていても20〜30分間が限界であり、作業者は高温にひたすら耐えて溶接するしかなかった。銅の予熱温度を低減して溶接するには、溶接電流を上げてアーク温度を上げることにより溶接入熱を多くする必要があるが、現状のガスシールドアーク溶接法では溶接電流値は400Aが限界であった。又、イナートガスはフラックスを含有していないので、溶融金属の表面張力除去、清浄性向上、発生酸素の除去などの機能はなかった。
溶接電流値を上げることなくアーク温度をアップするための課題は以下である。(1)帯電性がよくプラズマになりやすい液体フラックスにイナートガスを吹き込んで気化フラックスを生成し、イナートガスと均一に混合してフラックス含有シールドガスとして使用する。(2)イナートガスに帯電せしめアーク電圧をアップする。(3)帯電せしめたイナートガスを液体フラックスに吹き込むことにより気化フラックス生成効率を高める。(4)気化装置出側での液体フラックスの液切れを向上し、液体フラックスの液滴が下流に流入しないようにする。(5)気化装置からトーチまでの配管内に気化フラックスが析出しないようにする。本発明は以上の課題を解決し、アーク電圧、アーク温度を上昇させることにより、スパッタの低減、溶接速度の向上、銅の予熱温度低減などを実現することにある。
第1の解決手段は特許請求項1に示すように、ガスシールドアーク溶接法において、ライン1のシールドガスを帯電装置に通して帯電せしめて生成した帯電シールドガスと、ライン2のシールドガスを液体フラックスが充填された気化装置に吹き込んで生成した気化フラックスを、混合器で混合して、フラックス含有シールドガスを生成し、該フラックス含有シールドガスを溶接トーチに導いて溶接するガスシールドアーク溶接方法である。
第2の解決手段は特許請求項2に示すように、前記ライン2のシールドガスを前記帯電装置に通して帯電せしめて前記帯電シールドガスを生成し、該帯電シールドガスを液体フラックスが充填された気化装置に吹き込んで前記気化フラックスを生成するガスシールドアーク溶接方法である。
第3の解決手段は特許請求項3に示すように、前記ライン1の帯電装置出側配管を気化装置入側配管に分岐し、前記帯電シールドガスを、前記気化装置入側配管を経由して前記液体フラックスが充填された前記気化装置に吹き込んで前記気化フラックスを生成し、該気化フラックスと前記混合器入側配管で前記混合器に送られた帯電シールドガスを、前記混合器で混合して、前記フラックス混合シールドガスを生成し、該フラックス混合シールドガスを前記溶接トーチに導いて溶接することを特徴とするガスシールドアーク溶接方法である。
第4の解決手段は特許請求項4に示すように、前記気化装置の入側配管にメイン電磁弁を設け、該メイン電磁弁は、前記溶接トーチにアーク電流が流れているときのみ開になり、前記シールドガスもしくは前記帯電シールドガスを前記気化装置に吹き込んで前記気化フラックスを生成するガスシールドアーク溶接法である。
第5の解決手段は特許請求項5に示すように、前記気化装置の入側配管に前記メイン電磁弁を設けるとともに、前記気化装置の上部空間にサブ電磁弁を設けたシールドガス配管を取り付けて、前記メイン電磁弁が閉になり前記気化装置へのシールドガスが遮断されると同時に前記サブ電磁弁が開になり、前記気化装置の前記上部空間にパージ用シールドガスを流入せしめ、前記気化装置から前記混合器に至る気化フラックス供給配管内部をパージするガスシールドアーク溶接法である。
第6の解決手段は特許請求項6に示すように、前記気化装置にはサイクロンが設けられており、気化フラックスは前記サイクロンを経由して排出されるガスシールドアーク溶接法である。
第1の解決手段による効果は以下である。(1)シールドガスと気化フラックスの流量をそれぞれ単独に調整できるので、最適な溶接条件を設定できる。従来は、全シールドガスを気化装置に吹き込んで気化フラックスを生成していたので、シールドガスと気化フラックスの流量調整が不可能であった。(2)混合器内で乾燥したシールドガスと気化フラックスを混合するので、気化フラックスの再結晶化が発生しない。(3)シールドガスに静電気を帯電せしめることによりアーク電圧をアップできるので溶接速度が向上する、(4)シールドガスが静電気を帯電しているのでアーク柱のピンチ力がアップしスパッタが減少する。
第2の解決手段による効果は以下である。(1)液体フラックスに帯電シールドガスを吹き込むことにより、液体フラックスを帯電させることができる。(2)液体フラックスの気化を促進するので気体フラックスの生成効率が向上する。(3)液体フラックスが気化した気体フラックスと帯電シールドガスの混合が促進され均一な気化フラックスを生成できる。(4)帯電シールドガスと気化フラックスの流量をそれぞれ単独に調整して混合器で混合できるので、最適な溶接条件を設定できる。
第3の解決手段による効果は以下である。(1)シールドガスを帯電させた後に分岐しているので帯電装置を兼用できることから配管系統を簡素化できる。(2)帯電シールドガスを気化装置に吹き込むので、液体フラックスの気化を効率化できる。(3)シールドガスが帯電しているので気化フラックスの帯電が効率化できる。
第4の解決手段による効果は以下である。(1)アーク電流が流れているときだけ気化フラックスが出るので、液体フラックスの原単位を節減できる。(2)電磁弁が気化装置の上流側に設けてあるので、気化フラックス中のフラックス成分が電磁弁に析出しないので、電磁弁の円滑な作動を持続できる。
第5の解決手段による効果は、気化装置からトーチまでの配管中をシールドガスでパージできるので、配管中に気化フラックス中に含まれるフラックスが析出しないことである。
第6の解決手段による効果は以下である。(1)サイクロンを経由して気化フラックスが排出されるので、気化フラックス中に含有される液滴をサイクロン内部で分離できる。(2)サイクロン中にパージ用シールドガスを吹き込めるのでサイクロン内部にフラックス成分が析出しない。
本発明の実施形態を、図1、図2、図3、図4、図5、図6、図7、図8に基づいて説明する。
第1の解決手段は特許請求項1に示すように、ガスシールドアーク溶接法において、ライン1のシールドガスを帯電装置10に通して帯電せしめて生成した帯電シールドガスと、ライン2のシールドガスを液体フラックスが充填された気化装置20に吹き込んで生成した気化フラックスを、混合器30で混合して、フラックス含有シールドガスを生成し、該フラックス含有シールドガスを溶接トーチ40に導いて溶接するガスシールドアーク溶接方法である。
図1は第1の手段による溶接系統図である。図1において、シールドガスはガスタンク100やガス基地(図示せず)からライン1に供給される。ライン1のシールドガスにはAr、He、N2、CO2などを使用できる。ライン1のシールドガスは1種類でもよいし、例えば、ガスタンク102などを増設して、複数のシールドガスを混合した混合シールドガスを使用してもよい。ライン1のシールドガスは帯電装置入側配管200を通って帯電装置10に送られ、帯電シールドガスは帯電装置出側配管201を通って混合器30に送られる。ライン1のシールドガスの流量はバルブ103で調整できる。
ライン2のシールドガスはガスタンク102やガス基地からライン2に供給される。ライン2のシールドガスにはAr、He、N2、CO2などを使用できる。ライン2のシールドガスは1種類でもよいし、ライン1のようにガスタンク102を増設して複数のシールドガスを混合した混合シールドガスを使用してもよい。ライン2のシールドガスは気化装置入側配管203を通って液体フラックスを充填した気化装置20に吹き込まれる。液体フラックスは気化装置20で気化して気体フラックスとなりシールドガスと混合して気化フラックスとなる。気化フラックスは気化装置出側配管204を通って混合器30に導かれる。ライン2のシールドガス流量はバルブ104で調整できる。混合器30でライン1の帯電シールドガスとライン2の気化フラックスは混合されてフラックス含有シールドガスとなり混合器出側配管202により溶接トーチ40に導かれる。溶接トーチ40には電源装置60からケーブル61を経由して電流が供給される。又、ワイヤドラム70からワイヤ71が供給され母材41にアーク溶接する。帯電シールドガスと気化フラックスの混合割合は、帯電シールドガスが10〜30リットル/分、気化フラックスが1〜3リットル/分である。ライン1とライン2のシールドガスは同一種類でもよいし、異なる種類でもよい。
帯電装置10は、例えば図6に示すように特開2013−255895号広報や特開2014−004621号広報に開示された方法で製造されたものを使用できる。帯電装置10はネオジ磁石50を例えば1000個以上配設して強磁場を形成している。ネオジ磁石50は回転円板11と固定円板12に配設されている。モータ16で回転円板11が回転することにより、シールドガスが強力に撹拌されると同時に、回転円盤11と固定円盤12に向かい合わせに取り付けられたネオジ磁石50が次々にシールドガスの分子を断ち切りながら荷電するので効率的に帯電できる。シールドガス中の分子ガスを溶接トーチに導く前にあらかじめ原子状態とすることでアーク電圧を強制的にアップさせることができる。ネオジ磁石50の総数は800〜1200個である。ネオジ磁石50は例えば、3.5kガウス/個である。回転円板11の回転数は10〜1800回転である。モータ16は速度可変モータで変速できるのが望ましいが、減速機とプーリなどの変速機構の組み合わせで変速することができる。いずれにしても、回転円板11を10〜1800rpmの範囲内で所定の回転数で回転できる方法であればよい。回転円板11や固定円板12はAL2017−T4高力アルミニウム板やステンレス、チタン、鋼板などが使用できる。回転円板11は高速回転するので軽量化してGD2を軽減するのがよい。
アーク溶接は通常交流、直流のいずれかによって行われるがその極性によって溶接に少なからぬ影響を与える。電極(溶接棒)側を−とし母材側を+とする正極性はアーク集中性がよく溶け込み深さも深いため厚板の溶接に有効である。また陰極から熱電子が放出される時、離脱に必要なエネルギをとるため電極の発熱が少なく消耗しにくい特性があるため一般のCO2溶接やMIG溶接に適している。対して逆極性は溶接棒が+で母材が−である。溶け込みが浅いため比較的薄板の溶接に向いている。溶融幅は広く交流の+、−のサイクル変換は母材表面の酸化膜の浮上作用として働くためアルミニウム合金の溶接に用いられる。電極は陽極となり加熱されやすくホットワイヤになりやすいため消耗が早い。TIG溶接のように交流でアルミニウムやアルミニウム合金を溶接する場合は+、−の反転による磁気風の原因を作るため酸化膜の浮上が簡単となる。交流は直流と比較すると正極性と逆極性が常に反転するためすべて中間程度の溶け込みとビード幅となる。本発明による帯電装置10は、シールドガスを+や−に自由に変化できるので、正極性(溶接棒)の場合はシールドガスを−に、逆極性(溶接棒)の場合はシールドガスを+にしてアーク電圧と溶接速度をアップしスパッタの少ない溶接ができる。シールドガスは帯電装置20の中に入り、回転円板11と固定円板12のネオジ磁石50が相対運動することによりフレミングの左手の法則で静電気が溜まっていく。帯電装置10の出口固定円板15のネオジ磁石50のN−Sの向きにて正極、逆極が決まる。固定円板12の極と出口固定円板15の極をN―Nとすることで逆極性となり、溶接棒ワイヤ71が+でシールドガスが+のため反磁場によるピンチ効果にてスパッタ発生が極端に減少し、溶け込みの深い溶接面を得ることができる。また、固定円板12の極と出口固定円板15の極をN−Sとすることで正極性となり、溶接棒ワイヤ71が−でシールドガスが−となり反磁場のピンチ効果にてスパッタが減少する。出口固定円板15の表と裏を反転させることで正極性と逆極性に対応可能である。
帯電装置10の中に、帯電装置入側配管200からシールドガスが強制的に供給されると、シールドガスがネオジ磁石50のS極、N極の強磁場を直角に横切り、磁界が分子ガスのCO2、N2、O2の分子間に割って入ることで分子結合力を寸断し、CO2→CO+O、N2→N+N、O2→O+Oの原子ガスとなる。帯電したシールドガスがアーク柱で再び分子ガスとなる際に分子解離エネルギを放出してアーク電圧を上昇させる。CO2、N2、O2などの分子ガスとArやHeの原子ガスと混合をさせることで、比重差による強制対流効果が生まれ、アークを強制的に冷却してアーク柱を絞る作用により熱的ピンチ効果が発生し一段とアーク電圧は上昇する。回転円板11はシールドガスに回転力を付与するので、シールドガスは遠心力によりケーシング13側に飛ばされる。さらに、固定円板12が邪魔板となりケーシング13側に飛ばされたシールドガスは回転軸14側に押し戻され次の間隙10aに入る。このような運動を繰り返しながらシールドガスは強力に撹拌されながら帯電して帯電装置出側配管201から排出される。表2に解離反応と各エネルギ値を示す。
表2 解離反応と各エネルギ値 (eV)
静電気を帯電装置10で帯電した後、導体に接触して静電気が逃げないようにすることにより帯電効果を高めることができる。そのため帯電装置10の内面や帯電装置10から混合器30までの帯電装置出側配管201、混合器30から溶接トーチ40までの混合器出側配管202内面を絶縁体で被覆するのがよい。絶縁体は絶縁性のある塗料でもよい。電気絶縁塗料にはJISC2350(1983)で規定されているエナメル導線用ワニスWS40や変性エポキシ樹脂を主成分とするEP−21などがある。帯電装置出側配管201、混合器出側配管202はゴムホースや樹脂ホースなどの絶縁体材料を用いることも可能である。帯電装置10の回転板11や固定板12の表面にも絶縁塗料を塗布することでさらにシールドガスの帯電率をアップできる。
ライン1のシールドガスはAr、Heなどの原子シールドガスもしくはN2、CO2などの分子ガスをそれぞれ単独で使用してもよいし、これらを複数種類混合した混合シールドガスを使用してもよい。一般的なシールドガスの使用法としては、100%CO2、80%Ar+20%CO2(アタールガス)、Ar+N2、He+N2、100%Ar、100%Heなどがある。レーザ切断ガスとして、N2+CO2+N2+He+O2などがあるが分子ガスを使うのはアーク電圧をアップさせるためである。分子ガスを原子に解離するためには、表3のように大きなエネルギを要する。ArやHeは単独で使用する場合でもアーク電離が高いため溶接性はよいが、銅やアルミなどのように比熱の大きい材料の溶接は熱伝導率が高いので溶接時の抜熱を補うためにさらにアーク電圧を上昇させたいニーズがある。そのために混合シールドガスとして、原子ガスに分子ガスを混合してアーク電圧アップを図っている。
例えば、シールドガスの混合比をN2:60%、Ar:20%、He:20%とすると、各ガスの粘性率は、N2→1665×0.6=999、Ar→2085×0.2=417、He→1860×0.2=372であり、シールドガス全体としては、999+417+372=1788となり比較的粘性率が高い。そのため高磁場、高速回転中での帯電が比較的簡単である。シールドガスの粘性率を表3に示す。
表3 シールドガスの粘性 P(ポアズ)=gcm−1s−1
各種シールドガスの自己拡散係数は温度が一定ならば密度と圧力に反比例する。シールドガスの混合比をN2:60%、Ar:20%、He:20%として、(1)T/Kを計算する。N2→298.2×0.6=178.9、Ar→298.2×0.2=59.6、He→296×0.2=59.2であり、T/K=178.9+59.6+59.2=297.74である。(2)自己拡散係数D/cm2s−1を計算する。N2→0.212×0.6=0.1272、Ar→0.178×0.2=0.0356、He→1.56×0.2=0.312であり、自己拡散係数D/cm2s−1=0.1272+0.0356+0.312=0.4748となる。表4に気体の自己拡散係数を示す。
表4 気体の自己拡散係数 760mmHg=101325Pa
溶接シールドガスは溶接アーク柱を周囲の空気からシールドし、かつ熱伝導体となって相手溶接金属の熱保持を図る。水素は熱伝導率が高いことから良好な熱伝導体となるが、溶接金属に侵入すると水素脆性などの水素特有の欠陥を生じるので使用できない。水素を100%還元反応できないため溶融金属への侵入を遮断するのは極めて困難なことから、Heがシールドガスの主力として使用される。3種混合のシールドガスの熱伝導率は約600でありArやCO2の約3倍である。3種混合ガスでは、N2を60%、Heを20%、Arを20%混合したものが多用される。従って、325.2×0.6(N2)+1794×0.2+223.3×0.2=598.78→約600K/10−4Wm−1K−1となる。
各種ガス単体の気体の熱伝導率を表5に示す。
各種ガス単体の気体の熱伝導率を表5に示す。
表5 各種ガス単体の熱伝導率(K/10−4Wm−1K−1)
液体フラックスは、本発明者が発明した各種液体フラックスを使用することができる。液体フラックスはアルコールやアセトンの溶媒に磁界かけ電流を流しながら電解質を溶解したものであり、溶接母材、溶接棒、溶接方法など様々な溶接条件に応じて作り分けることが可能である。
液体フラックスは、例えば、特開2009−090368号広報「ガス切断用気化フラックス」における、「ロウ付けなどに使用するフラックスを適宜混合して前処理した混合フラックスを、アルコールやアセトンの溶媒に8〜25重量%混合して、超臨界装置内において温度300〜400℃、圧力34.3〜44.1MPaで溶解し液体フラックスとし、該液体フラックスに気体を吹き込んで気化させるガス切断用気化フラックス」を使用できる。切断と溶接は金属を溶融させる点で共通しており、冶金的な表面張力の低減や清浄化作用、酸化防止作用が必要であることから、切断用気化フラックスは溶接用気化フラックスにも応用可能である。特開2009−297782号広報「液体フラックスの製造方法及びその装置」における、「アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン、B、C、N、O、Si、P、S、Cl、Zn、Seなどの原子の内、少なくとも2種類以上の原子が結合してできている電解質をアルコールやアセトンなどの溶媒中で磁場をかけるとともに、該溶媒を攪拌しながら溶解する液体フラックス」を使用できる。特開2010−100441号広報「液体フラックスの製造方法と製造装置及び液体フラックス」における、「アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン、B、C、N、O、Si、P、S、Znの原子の内、少なくとも2種類以上の原子が結合してできている電解質をアルコールなどの溶媒を入れた容器中で、磁場をかけるとともに該溶媒を回転しながら溶解する液体フラックスの製造方法において、溶媒中に電極を挿入し電圧を付加するとともにパルス電圧を付加する液体フラックス」を使用できる。特開2011−088180号広報「溶接用フラックスと溶接法」における、「アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン、B、C、N、O、Si、P、S、Cl、Zn、Seなどの原子の内少なくとも2種類以上の原子が結合してできている電解質をアルコールやアセトンなどの溶媒に溶解して生成した液体フラックス」を使用できる。特開2011−098367号広報「溶接肉盛り用フラックスと溶接肉盛り法」における、「前記液体フラックスはアルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン、B、C、N、O、Si、P、S、Cl、Zn、Seの原子の内少なくとも2種類以上の原子が結合してできている電解質をアルコールやアセトンの溶媒に溶解して生成した液体フラックス」を使用できる。特開2012−024804号広報「液体フラックス」における、「カリウム(K)、ホウ素(B)、ナトリウム(Na)、カルシウム(Ca)、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、窒素(N)のいずれかを含むフッ化物の中から1種もしくは2種以上の前記フッ化物を選択し、フッ素(F)含有量が30〜70重量%となるように調合した調合フッ化物をアルコールもしくはアセトンの溶媒に溶解した液体フラックス」を使用できる。
帯電シールドガスや気化フラックスがガスシールドアーク溶接において最大の効果を発揮するのはガスアーク電圧をアップすることである。以下に各ガスの電子をはぎ取る際の解離エネルギを示す。eV1は電子1個をはぎ取る際の必要なエネルギ、eV2は電子2個をはぎ取る際に必要なエネルギである。He:25eV1、54eV2、Ar:16eV1、28eV2、N:15eV1、30eV2、C:11eV1、24eV2、O:14eV1、35eV2、B:8eV1、25eV2、Na:5eV1、47eV2、K:4eV1、32eV2、Li:75eV2、F:17eV1、35eV2である。各種溶接金属毎に最適なフラックスを液体フラックスとして作ることが可能であるが、1種類の液体フラックスですべての溶接に対応するのは不可能であり、金属の主成分や融点を考慮して含有成分を調整する必要がある。液体フラックスの基本的な構成はメタノールやアセトン中にH、B、C、O、K、Na、Liなどの入った電解質を最大濃度35wt%で溶解したものである。液体フラックスにシールドガスを吹き込んで液体フラックスを気化装置せしめて気体フラックスし、気体フラックスとシールドガスが混合したものが気化フラックスである。
気化装置20の断面図を図7に示す。気化装置20は特開2009−233741号広報「液体フラックス気化装置」や特願2011−246151号広報「半自動アーク溶接」に開示しているものと同じ原理である。気化装置20は気化容器21と気化容器21にシールドガスを供給する気化装置入側配管203と、生成した気化フラックスを取り出す気化装置出側配管204及び複数のネオジ磁石50を配設した構成である。気化装置出側配管204はゴムホースや金属パイプが使用できる。ゴムホースは絶縁体であることから、気化装置20で帯電した気化フラックスのイオンを保持したまま混合器30に送ることができる。金属パイプを使用する場合は内面に絶縁塗装するのがよい。気化装置20に充填したネオジ磁石50は、気化フラックスの流れに抵抗を付与して帯電効果をアップするためにランダムに配置されている。気化容器21には複数の貫通孔22aが設けられた整流板22が取り付けられ、気化装置20に吹き込まれたシールドガスや、液体フラックスが蒸発してシールドガスと混合した気化フラックスを整流する役割を有する。又、整流板22はネオジ磁石50を保持する役割もある。下段整流板22Aに載置されたネオジ磁石50は液体フラックスに浸漬され、液体フラックスを磁化して気化促進の機能を有する。上段整流板22Bに載置されたネオジ磁石50は気化フラックスだけが通過し、気化フラックスを励起し帯電する機能を有する。液体フラックスは補充口23から充填される。気化容器21に残留した液体フラックスはドレン抜き管24から排出する。気化装置20にはレベル計、温度計、圧力計、ヒーターなどを使用状況に応じて付加してもよい。
気化フラックスはシールドガス中に、液体フラックスが気化した気体フラックスを最大5v%混合している。気体フラックス中のNaやKは最外殻に1個の電子を持ち不安定なため、ネオジ磁石50の中を通ることで簡単に電離が起こり、Na:5.1eV、K:4.3eVのように電離エネルギをシールドガス中に出す。原子イナートガスのArやHeは単体のシールドガスとしての電離エネルギは高いが、分子が原子になるときのような電離エネルギはない。そこで、ArやHeにN2、CO2、H2、O2などの分子ガスを入れ混合シールドガスとして気化装置20に吹き込んで液体フラックスを気化せしめることで、解離誘導起電力を与えられ積乱雲状態の気化フラックスとなる。また、混合シールドガスと気体フラックス(NaやKなどの元素を含有)が混合した気化フラックスがネオジ磁石50を通過する途中で、解離誘導起電力により気体フラックスの溶媒であるアルコールに含有されているラジカル水酸基OHがO+Hに再分離する際、H→15.4eVの解離エネルギを放出する。
混合器30は例えば、特開2014−004621号広報に示した混合器を応用して製造できる。例として、混合器30の断面図を図8に示す。混合器基部31にはベンチュリー部30aが設けられており、帯電シールドガスはベンチュリー部30aで高速となり静圧が低下し気化フラックスを吸引する。帯電シールドガスと気化フラックスは乱流を形成するので激しく撹拌され均一に混合されフラックス含有シールドガスとなる。混合器30の基部31には帯電シールドガスが給気される流路32a、フラックス含有シールドガスが排気される流路33a、気化フラックスが給気される流路34aが設けられている。流路32aは取付け金具32によって帯電装置出側配管201と連結される。流路33aは取付け金具33によって混合器出側配管202と連結される。流路33aは取付け金具34によって気化装置出側配管204と連結される。
帯電装置20で帯電させた気化フラックスを吹き付けながら溶接することにより従来の溶接の問題点を解決できる。(1)液体フラックスはAL、Si、Ti、Bなどの脱酸機能を有する元素を含有するため溶接中の金属酸化と脱炭を低減できる、(2)銅と炭素鋼、ステンレスと炭素鋼などの異種金属の溶接性が向上する。(3)液体フラックスはPH7の中性にすることも可能であり溶接部を酸やアルカリで脆化することを防止できる。(4)フッ化物などの添加により溶融金属の表面張力除去ができるため肉盛り厚みを薄く平滑に出来る効果が生まれる。(5)シールドガスの帯電による磁気力アップによるピンチ効果、気化フラックス吹き付け効果で表面張力除去による円滑なスプレイ移行となるためスパッタが低減するとともに、落降中の溶滴一粒ずつにフラックスコーティングされるため美しくビードが重なり欠陥のない溶接ビードとなる。(6)複合ワイヤには脱酸剤としてAL、Si、Mnを含有しているため、通常のCO2溶接では、CO2が分解して酸素が発生しテルミット反応が促進する。又、溶接ワイヤに電流が流れると中心に向かって電磁力(ピンチ力)が発生し、溶接ワイヤが溶融すると、ピンチ力や内部の圧力差によって、ワイヤ溶滴に変形や流体の移行が起こる。この現象が電磁的ピンチ効果であるが、CO2溶接ではアーク反力がピンチ力より強いため、溶滴にくびれが生じるまでは引きちぎられず、大粒のグロビュラー移行となりスパッタを生じやすい。即ち、テルミット反応や大きなアーク反力のためスパッタが生じやすくなる。しかしながら、本発明によるCO2溶接では、気化フラックス中のホウ酸(H3BO3)が溶滴を瞬時にガラスコーティングし、酸化防止するとともにテルミット反応を抑えスパッタを低減する。(7)厚板溶接ではフラックス巻き込みによる欠陥が出ないようにするため、第1層〜第3層目までは通常TIG溶接やMIG溶接を使用するが、気化フラックスを吹きつけながら炭酸ガス溶接することでフラックスを巻き込まない無欠陥溶接が可能とり、TIG溶接やMIG溶接の代用が可能である。しかもTIG溶接やMIG溶接に比べて溶接速度を数倍に向上させることができる。(8)CO2溶接でTIG溶接やMIG溶接の代用が可能となるので、イナートガスに高価なアルゴンガスを使用する場合に比べて炭酸ガス溶接で代用することにより大幅なコスト削減となる。(9)腐食環境にあるボイラチューブにインコネルやハステロイの肉盛りをすると3〜4年の寿命が10〜12年となるように極めて効果が大きいが、このような肉盛り溶接では上り溶接が多いため溶接効率が極めて悪くなる。しかしながら、帯電シールドガスと気化フラックスを混合したフラックス混合シールドガスを溶接面に吹きつけながら溶接することにより作業能率が15〜20%向上する。(10)帯電装置10でネオジ磁石50を高速回転させシールドガスを強力に混合、撹拌しながら、電磁誘導起電力を分子や原子ガスに乗せることにより、シールドガスが同極電子を帯びて互いに反発しあい、励起エネルギとなって溶接トーチ40先端部まで流れる。溶接ワイヤ側マイナス(−)に対して、シールドガスや気化フラックスにプラス(−)の電子を印加するとスプレイ移行溶滴となりかつ溶接電圧をアップさせるため溶接棒71の溶け込み率や溶接スピードがアップしスパッタの少ない溶接ができる。従来のように高価なArやHeのように第18族のイナートガスを大量に使用する必要はなく、安価なCO2に+αとしてHeやArを加算するだけで溶接効率がアップしスパッタが低減できるので品質向上に繋がり溶接コストを低減できる。多層肉盛りなどの際の酸化スケールの浮き上がりを磁気風で効果的に浮上させることが可能となった。
溶接性指数が最も大きい部類の銅の溶接は従来、予熱500℃前後、シールドガスはHeかN2であった。これはアーク電圧を高くできるためであるが、アーク電圧を高くしても、N2→15.6eV→29.6eV、He→24.3eV→54.4eV、Ar→15.7eV→27.6eVとすることは100%無理である。原子シールドガスに分子シールドガスが入ってもプラズマ状態となるのは10〜15%である。アーク温度は500〜7000℃の高温中であるが、太陽のように高温、高圧、高磁場でようやく分子は100%原子となる。通常使用している最大15%のプラズマ原子ガスではアーク電圧は分子ガスを入れてもHe単独で24.3×1.15=27.9eV(約28eV)である。予熱温度を500℃から425℃に下げられる程度である。予熱温度を300℃以下とするためにはHe+N2の混合ガスを用いて34eVまで上昇させる必要がある。3.5kG/個のネオジ磁石を800〜1200個使用して、1800rpmの高速回転にて初めて可能になった。市販の静電電位測定器(春日電気、KSD−1000、測定範囲±0.1kv〜50kv)で測定した帯電装置10によるシールドガスへの帯電量は48kVであった。アーク電圧をアップするにはシールドガスの帯電量は10kV以上あれば十分であるが安定的に30kV以上の静電気を帯電するのが望ましい。
第2の解決手段は特許請求項2に示すように、前記ライン2のシールドガスを前記帯電装置10に通して帯電せしめて前記帯電シールドガスを生成し、該帯電シールドガスを液体フラックスが充填された気化装置20に吹き込んで前記気化フラックスを生成するガスシールドアーク溶接方法である。
図2は第2の手段による溶接系統図である。ライン2に帯電装置10を設けて、シールドガスを通して帯電せしめた帯電シールドガスを気化装置20に吹き込んで気化フラックスを生成する方法である。液体フラックスは気化装置20内で気体フラックスとなりシールドガスと混合され気化フラックスとなる。気化フラックスは気化装置出側配管204を経由して混合器30に送られ、ライン1の帯電シールドガスと混合し、フラックス含有シールドガスとして溶接トーチ40に送られる。ライン1の帯電装置10とライン2の帯電装置10を兼用する方法もあるが、ライン1のシールドガスとライン2のシールドガスの種類が異なる場合は、帯電装置10はそれぞれのラインに取り付けるのがよい。
特開2014−004621号広報に開示された発明において、液体フラックスを充填した気化装置にシールドガスを吹き込んで生成した気化フラックスを帯電装置に通して帯電した後、溶接トーチに導いて溶接する方法が開示されている。この方法においては、気化フラックス全量を帯電装置に通すので、配管全体の圧力損失が大きくなる問題があった。又、気化フラックスが帯電装置を経由すると、気化フラックスを生成してから溶接トーチまでの距離が長くなり、気化フラックスが帯電装置や配管内に析出するなどの問題があった。本発明では、気化装置20の直近もしくは気化装置20に混合器30を取り付けることで、気化装置出側配管204の長さを短くできるので気化フラックスが析出する問題はない。又、混合器30と溶接トーチ40の距離を短くすることで気化フラックスの析出を防止できる。
一般的に液体中に帯電したガスを吹き込むことにより機能水を生成できる。機能水の特長としては、(1)液体の分子集団であるクラスターの大きさや構造を変化させる、(2)ラジカルな(OH)が生成する、(3)ラジカルと溶解ガス(HやO)との反応により活性化学種が生成される、(4)酸化還元電位が変化する、(5)液体の解離定数が変化するなどがあげられる。このような機能水としての作用により液体フラックスの気化効率が向上し、シールドガスに大量の気体フラックスを含有させることができる。
第3の解決手段は特許請求項3に示すように、前記ライン1の帯電装置出側配管201を気化装置入側配管203に分岐し、前記帯電シールドガスを、前記気化装置入側配管203を経由して前記液体フラックスが充填された前記気化装置20に吹き込んで前記気化フラックスを生成し、該気化フラックスと前記混合器入側配管201で前記混合器30に送られた帯電シールドガスを、前記混合器30で混合して、前記フラックス混合シールドガスを生成し、該フラックス混合シールドガスを前記溶接トーチ40に導いて溶接することを特徴とするガスシールドアーク溶接方法である。
図3は第3の手段による溶接系統図である。ライン1の帯電装置出側配管201を気化装置入側配管203に分岐する。帯電装置出側配管201及び気化装置入側配管203にはそれぞれバルブ104、バルブ105を設けて、混合器30と気化装置20への帯電シールドガスの流量を調整する。帯電装置出側配管と気化装置入側配管に分岐することにより帯電装置10が兼用できるのでシステムを簡素化できる。
第4の解決手段は特許請求項4に示すように、前記気化装置入側配管203にメイン電磁弁106を設け、該メイン電磁弁106は、前記溶接トーチ40にアーク電流が流れているときのみ開になり、前記シールドガスもしくは前記帯電シールドガスを前記気化装置20に吹き込んで前記気化フラックスを生成するガスシールドアーク溶接法である。
図4は第4の手段による溶接系統図である。図4に示すように気化装置入側配管203にメイン電磁弁106を設けている。溶接電流が流れていないときには、溶接トーチ40への気化フラックスの供給を止める必要がある。溶接電源60でアーク電流のオンオフ信号を検知して、信号線62によりメイン電磁弁106に信号を送り、アーク電流が流れているときだけメイン電磁弁106を開にし、アーク電流が遮断されたらメイン電磁弁106を閉にする。
メイン電磁弁106が気化装置入側配管203に設けられているので、気化フラックスに含有されるフラックスがメイン電磁弁106内に析出して固着し、メイン電磁弁106を作動不良にすることがない。
第5の解決手段は特許請求項5に示すように、前記気化装置入側配管203に前記メイン電磁弁106を設けるとともに、前記気化装置20の上部空間20aにサブ電磁弁107を設けたパージガス配管205を取り付けて、前記メイン電磁弁106が閉になり前記気化装置20へのシールドガスが遮断されると同時に前記サブ電磁弁107が開になり、前記気化装置20の前記上部空間20aにパージ用シールドガスを流入せしめ、前記気化装置20から前記混合器30に至る気化装置出側配管204内部をパージするガスシールドアーク溶接法である。
図5は第5の手段による溶接系統図である。図5によりシステムを説明する。ライン1の帯電装置入側配管200に帯電装置10が配設されている。帯電装置10を出た帯電シールドガスは、バルブ104を設けた帯電装置出側配管201とバルブ105を設けた気化装置入側配管203に分岐される。気化装置入側配管203にはメイン電磁弁106が設けられている。帯電装置出側配管201から分岐してパージガス配管205を取付け、気化装置20の上部空間20aに連通させている。パージガス配管205にはサブ電磁弁107が設けられている。溶接電源60でアーク電流のオンオフ信号を検知して、信号線62によりメイン電磁弁106に信号を送り、アーク電流が流れているときだけメイン電磁弁106を開にし、アーク電流が遮断されたらメイン電磁弁106を閉にする。又、信号線63によりサブ電磁弁107に信号を送り、アーク電流が流れているときはサブ電磁弁107を閉にし、アーク電流が遮断されたらサブ電磁弁107を開にして、パージガス配管205から気化装置20の上部空間20aに帯電シールドガスを吹き込み、気化装置20内部や気化装置出側配管204内の気化フラックスをパージして、気化フラックスに含有されているフラックス成分が析出するのを防止する。
第6の解決手段は特許請求項6に示すように、前記気化装置20にはサイクロン21が設けられており、前記気化フラックスは前記サイクロン21を経由して気化装置出側配管204に排出されるガスシールドアーク溶接法である。
図6は気化装置20の断面図である。サイクロン80はサポート85によって気化装置20の上部空間20aに取り付けられている。上部空間20aに上昇してきた気化フラックスはパイプ82を通じてコニカル81に導かれる。気化フラックスに含まれる液滴は遠心力によりよってコニカル81に衝突し液体となって排出パイプ83によって液体フラックス内に回収される。排出パイプ下端83aは液体フラックスに浸漬しており、排出パイプ下端83aから気化フラックスがコニカル内81に侵入しないようにしている。排出パイプ83を気化装置20に取り付けるさいにネオジ磁石が障害にならないように、排出パイプ83をガイドするためのガイドパイプ84を設けている。
電磁弁106を閉にして、電磁弁107を開にするとパージ配管205からパージガスが気化装置20内に吹き込まれる。パージガスは上部空間20aを充満して気化フラックスをパージした後、パイプ82を通ってコニカル81内に入り、コニカル81内の気化フラックスをパージし、気化装置出側配管204を通って混合器30に入り、帯電シールドガスと合流して溶接トーチ40に導かれる。アーク電流が流れているときは、溶接トーチにはフラックス含有シールドガスが流れているが、アーク電流が遮断されるとフラックス含有シールドガスは遮断され帯電シールドガスだけが供給される。
パージ配管205からパージガスを気化装置20の上部空間20aに吹き込み、溶接トーチ40までの気化フラックスをパージすることにより、気化フラックスのフラックス成分が析出することによる閉塞を防止する。
10:帯電装置
10a:隙間
11:回転円板
12:固定円板
13:ケーシング
14:回転軸
15:出口固定円板
16:モータ
20:気化装置
21:気化容器
22:整流板
22a:貫通孔
22A:下段整流板
22B:上段整流板
23:補充口
24:ドレン抜き管
30:混合器
30a:ベンチュリー部
31:混合器基部
32:取付け金具
32a:流路
33:取付け金具
33a:流路
34:取付け金具
34a:流路
40:溶接トーチ
41:母材
50:ネオジ磁石
60:電源装置
61:ケーブル
70:ワイヤドラム
71:溶接ワイヤ
80:サイクロン
100:(ライン1の)ガスタンク
101:(ライン2の)ガスタンク
102:(ライン1の)ガスタンク
103:バルブ
104:バルブ
200:帯電装置入側配管
201:帯電装置出側配管
202:混合器出側配管
203:気化装置入側配管
204:気化装置出側配管
205:パージ配管
10a:隙間
11:回転円板
12:固定円板
13:ケーシング
14:回転軸
15:出口固定円板
16:モータ
20:気化装置
21:気化容器
22:整流板
22a:貫通孔
22A:下段整流板
22B:上段整流板
23:補充口
24:ドレン抜き管
30:混合器
30a:ベンチュリー部
31:混合器基部
32:取付け金具
32a:流路
33:取付け金具
33a:流路
34:取付け金具
34a:流路
40:溶接トーチ
41:母材
50:ネオジ磁石
60:電源装置
61:ケーブル
70:ワイヤドラム
71:溶接ワイヤ
80:サイクロン
100:(ライン1の)ガスタンク
101:(ライン2の)ガスタンク
102:(ライン1の)ガスタンク
103:バルブ
104:バルブ
200:帯電装置入側配管
201:帯電装置出側配管
202:混合器出側配管
203:気化装置入側配管
204:気化装置出側配管
205:パージ配管
Claims (6)
- ガスシールドアーク溶接法において、ライン1のシールドガスを帯電装置に通して帯電せしめて生成した帯電シールドガスと、ライン2のシールドガスを液体フラックスが充填された気化装置に吹き込んで生成した気化フラックスを、混合器で混合して、フラックス含有シールドガスを生成し、該フラックス含有シールドガスを溶接トーチに導いて溶接することを特徴とするガスシールドアーク溶接方法。
- ガスシールドアーク溶接法において、ライン1のシールドガスを帯電装置に通して帯電せしめて生成した帯電シールドガスと、前記ライン2に帯電装置を設け、前記ライン2のシールドガスを該帯電装置に通して帯電せしめて帯電シールドガスを生成し、該帯電シールドガスを前記液体フラックスが充填された前記気化装置に吹き込んで生成した前記気化フラックスを、前記混合器で混合して、フラックス含有シールドガスを生成することを特徴とする請求項1記載のガスシールドアーク溶接方法。
- 前記ライン1の帯電装置出側配管を気化装置入側配管に分岐し、前記帯電シールドガスを、前記気化装置入側配管を経由して前記液体フラックスが充填された前記気化装置に吹き込んで前記気化フラックスを生成し、該気化フラックスと前記混合器入側配管で前記混合器に送られた帯電シールドガスを、前記混合器で混合して、前記フラックス混合シールドガスを生成し、該フラックス混合シールドガスを前記溶接トーチに導いて溶接することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のガスシールドアーク溶接方法。
- 前記気化装置入側配管にメイン電磁弁を設け、該メイン電磁弁は、前記溶接トーチにアーク電流が流れているときのみ開になり、前記シールドガスもしくは前記帯電シールドガスを前記気化装置に吹き込んで前記気化フラックスを生成することを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載のガスシールドアーク溶接法。
- 前記気化装置入側配管に前記メイン電磁弁を設けるとともに、前記気化装置の上部空間にサブ電磁弁を設けたシールドガス配管を取り付けて、前記メイン電磁弁が閉になり前記気化装置へのシールドガスが遮断されると同時に前記サブ電磁弁が開になり、前記気化装置の前記上部空間にパージ用シールドガスを流入せしめ、前記気化装置から前記混合器に至る気化フラックス供給配管内部をパージすることを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4記載のガスシールドアーク溶接法。
- 前記気化装置にはサイクロンが設けられており、前記気化フラックスは前記サイクロンを経由して気化装置出側配管に排出されることを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4又は請求項5記載のガスシールドアーク溶接法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014217881A JP2016083679A (ja) | 2014-10-26 | 2014-10-26 | ガスシールドアーク溶接方法 |
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JP2014217881A JP2016083679A (ja) | 2014-10-26 | 2014-10-26 | ガスシールドアーク溶接方法 |
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JP (1) | JP2016083679A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN112589236A (zh) * | 2019-10-02 | 2021-04-02 | 林肯环球股份有限公司 | 定制的保护气体的焊接设备和方法 |
-
2014
- 2014-10-26 JP JP2014217881A patent/JP2016083679A/ja active Pending
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