JP2014014830A - 二相ステンレス鋼の溶接方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 窒素の含有量が少ないSUS329J1などの二相ステンレス鋼に対して、溶接金属の組織の改善によって、溶接割れ、および耐食性低下の発生を抑制することができる溶接方法を提供する。
【解決手段】 本発明は、窒素含有量が質量%で0.08%未満の二相ステンレス鋼を母材1とした二相ステンレス鋼の溶接方法である。この溶接方法では、母材1と溶接材料2との間に電圧を印加し、その間隙にアークを発生させる。このように、母材1と溶接材料2との間にアークが発生すると、そのアークの強い熱によって溶接材料2が溶融し、溶滴となって母材1に溶着し、質量%で0.17〜0.40%の窒素を含有する溶接金属4が母材1に形成される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、二相ステンレス鋼の溶接方法に関し、詳しくは、二相ステンレス鋼の被覆アーク溶接方法に関する。
オーステナイト系ステンレス鋼は、孔食や隙間腐食などの腐食に対して優れた耐食性を有するが、応力腐食割れが発生しやすいという欠点を有する。これに対して、フェライト系ステンレス鋼は、応力腐食割れに対して高い耐性を示すが、オーステナイト系ステンレス鋼に比べて靭性が劣る。
このようなオーステナイト系ステンレス鋼およびフェライト系ステンレス鋼の問題点を解決し、耐食性、応力腐食割れに対する耐性、および靭性に優れたステンレス鋼として、フェライトとオーステナイトの二相が混在した組織を有する二相ステンレス鋼がある。
二相ステンレス鋼は、上記のような特性を有する材料であるので、たとえば、SUS329J1などの二相ステンレス鋼が、化学工業などのプラントにおいて配管などに多く使用されている。
しかしながら、SUS329J1などの二相ステンレス鋼は、溶接時に溶接金属部にてフェライト単相組織を形成する場合がある。フェライト単相組織を形成した場合、フェライト単相組織部での溶接割れ(低温割れ)、および耐食性の低下が懸念される。このような問題点を解決する方法として、たとえば、特許文献1には、窒素(N)などを含有する、特定の組成の二相ステンレス鋼が提案されている。
特開平2−19448号公報
特許文献1に記載される二相ステンレス鋼は、溶接性に優れた材料であると記載されているが、化学工業などのプラントの配管などには、一般にSUS329J1などの二相ステンレス鋼が多く使用されており、これらの溶接性に劣る二相ステンレス鋼に対する溶接金属の組織の改善が求められる。
したがって本発明の目的は、窒素の含有量が少ないSUS329J1などの二相ステンレス鋼に対して、溶接金属の組織の改善によって、溶接割れ、および耐食性低下の発生を抑制することができる溶接方法を提供することである。
本発明は、窒素含有量が0.08質量%未満の二相ステンレス鋼を母材とした、二相ステンレス鋼の溶接方法であって、
前記二相ステンレス鋼からなる母材に対向して溶接材料を配置し、母材と溶接材料との間に交流または直流の電圧を印加してアークを発生させることで溶接材料を溶融させ、該溶接材料が溶融した溶滴を母材に溶着させて、窒素含有量が0.17〜0.40質量%の溶接金属を母材に形成することを特徴とする二相ステンレス鋼の溶接方法である。
また本発明の溶接方法において、前記溶接材料は、金属心線と、該金属心線を被覆する被覆剤であって、窒素含有量が15質量%以上の被覆剤とを有することを特徴とする。
また本発明の溶接方法において、前記金属心線は、窒素含有量が0.08〜0.35質量%であることを特徴とする。
本発明によれば、窒素含有量が質量%で0.08%未満の二相ステンレス鋼を母材とした二相ステンレス鋼の溶接方法である。この溶接方法では、母材と溶接材料との間に電圧を印加し、その間隙にアークを発生させる。このように、母材と溶接材料との間にアークが発生すると、そのアークの強い熱によって溶接材料が溶融し、溶滴となって母材に溶着し、質量%で0.17〜0.40%の窒素を含有する溶接金属が母材に形成される。
溶接金属は、溶接材料が溶融した溶滴が母材に溶着し、母材の一部と融合して形成される。たとえばSUS329J1などのように、窒素含有量が0.08%未満の二相ステンレス鋼が母材であるときには、フェライト単相組織の溶接金属が母材に形成されてしまう場合があり、このような場合に溶接割れ、および耐食性低下が発生してしまう。
これに対して、本発明に係る二相ステンレス鋼の溶接方法では、母材に形成される溶接金属は、窒素含有量が質量%で0.17〜0.40%である。窒素にはオーステナイトを安定化し、オーステナイトの析出をしやすくする作用があるので、0.17〜0.40%の窒素が含有された溶接金属は、フェライト単相組織の生成が抑制された、フェライトとオーステナイトの二相が混在した組織を有するものとなり、溶接割れ、および耐食性低下が発生するのを抑制することができる。
また本発明によれば、金属心線に被覆剤が被覆された溶接材料を用いる。この溶接材料において被覆剤は、質量%で15%以上の窒素を含有する。被覆剤は、溶接時のアーク熱で分解してアークを安定にするとともに、発生したガスあるいはスラグによって溶接金属を外気から保護して酸化を防止するほか、溶接金属に合金元素の添加も可能となる。このような機能を有する被覆剤として、15%以上の窒素を含有する被覆剤を用いることによって、溶接金属に窒素を効率よく添加することができ、前述した0.17〜0.40%の窒素が含有された溶接金属を母材に形成することができる。したがって、フェライト単相組織の生成が抑制された、フェライトとオーステナイトの二相が混在した組織を有する溶接金属を母材に形成することができ、溶接割れ、および耐食性低下が発生するのを抑制することができる。
また本発明によれば、溶接材料を構成する金属心線が、質量%で0.08〜0.35%の窒素を含有する。金属心線は、溶接によって母材に形成される溶接金属の構成成分となる。このような機能を有する金属心線として、0.08〜0.35%の窒素を含有する金属心線を用いることによって、溶接金属に窒素を効率よく添加することができ、前述した0.17〜0.40%の窒素が含有された溶接金属を母材に形成することができる。したがって、フェライト単相組織の生成が抑制された、フェライトとオーステナイトの二相が混在した組織を有する溶接金属を母材に形成することができ、溶接割れ、および耐食性低下が発生するのを抑制することができる。
本発明の一実施形態に係る溶接方法を説明するための図である。
図1は、本発明の一実施形態に係る溶接方法を説明するための図である。本実施形態の溶接方法は、窒素含有量が質量%で0.08%未満の二相ステンレス鋼を母材1とした二相ステンレス鋼の溶接方法である。
溶接方法としては、後述のように、母材1に形成される溶接金属4が、質量%で0.17〜0.40%の窒素を含有するような方法であれば、特に限定されるものではなく、たとえば、被覆アーク溶接、イナートガスアーク溶接などを挙げることができる。以下では、被覆アーク溶接について説明する。
なお、母材1に形成される溶接金属4における窒素含有量(質量%)は、不活性ガス搬送融解法(熱伝導法)による測定結果に基づいて算出することができる。
この方法では、溶接金属4を機械加工して切り粉とし、採取された切り粉(試料)を黒鉛坩堝にセットして、He(ヘリウム)ガス等の不活性ガス雰囲気下で加熱融解する。このようにして加熱融解して生じた気体中に含まれる二酸化炭素および水分を吸収分離し、吸収分離後に残った気体の熱伝導度を、熱伝導度検出器にて測定することにより窒素ガス量を求めて、溶接金属4中の窒素含有量に換算する。このようにして、母材1に形成される溶接金属4における窒素含有量を算出することができる。
なお、加熱融解して生じた気体中に含まれる、吸収分離した二酸化炭素の量を、赤外線検出器にて測定することにより、溶接金属4中の酸素含有量を求めることもできる。
母材1としての、窒素含有量が質量%で0.08%未満の二相ステンレス鋼としては、たとえば、表1に示す組成を有するSUS329J1、UNS S31110(XM−26)などが挙げられる。なお、表1の数値は、質量%を示す。
Figure 2014014830
本実施形態の二相ステンレス鋼の溶接方法では、母材1と溶接材料2との間に直流または交流の電圧を印加し、その間隙にアークを発生させる。このように、母材1と溶接材料2との間にアークが発生すると、そのアークの強い熱によって溶接材料2が溶融し、溶滴となって溶融池3に溶着され、そこで母材1の一部と融合して溶接金属4が母材1に形成される。本実施形態では、母材1に形成される溶接金属4が、質量%で0.17〜0.40%の窒素を含有する。
溶接金属4は、前述のように、溶接材料2が溶融した溶滴が母材1に溶着し、母材1の一部と融合して形成される。たとえばSUS329J1などのように、窒素含有量が0.08%未満の二相ステンレス鋼が母材1であるときには、フェライト単相組織の溶接金属4が母材1に形成されてしまう場合があり、このような場合に溶接割れ、および耐食性低下が発生してしまう。
これに対して、本実施形態に係る二相ステンレス鋼の溶接方法では、母材1に形成される溶接金属4は、窒素含有量が質量%で0.17〜0.40%である。窒素にはオーステナイトを安定化し、オーステナイトの析出をしやすくする作用があるので、0.17〜0.40%の窒素が含有された溶接金属4は、フェライト単相組織の生成が抑制された、フェライトとオーステナイトの二相が混在した組織を有するものとなり、溶接割れ、および耐食性低下が発生するのを抑制することができる。
また、溶接材料2としては、金属心線21に被覆剤22が被覆された材料を用いることが好ましい。金属心線21は、質量%で0.08〜0.35%の窒素を含有する金属材料から形成され、たとえば、表2に示す組成を有する、SUS329J4L、UNS S32750(SAF2507)の二相ステンレス鋼に相当する金属材料から形成される。
Figure 2014014830
金属心線21は、溶接によって母材1に形成される溶接金属4の構成成分となる。このような機能を有する金属心線21として、0.08〜0.35%の窒素を含有する金属心線21を用いることによって、溶接金属4に窒素を効率よく添加することができ、前述した0.17〜0.40%の窒素が含有された溶接金属4を母材1に形成することができる。したがって、フェライト単相組織の生成が抑制された、フェライトとオーステナイトの二相が混在した組織を有する溶接金属4を母材1に形成することができ、溶接割れ、および耐食性低下が発生するのを抑制することができる。
また、溶接材料2において被覆剤22は、質量%で15%以上、好ましくは15〜40%の窒素を含有することが好ましい。なお、被覆剤22は、たとえば、主成分が酸化チタンおよび石灰石で、窒素を含むガス発生材が含有されたものである。
被覆剤22は、溶接時のアーク熱で分解してアークを安定にするとともに、発生したガスあるいはスラグ5によって溶接金属4を外気から保護して酸化を防止するほか、溶接金属4に合金元素の添加も可能となる。このような機能を有する被覆剤22として、15%以上の窒素を含有する被覆剤22を用いることによって、溶接金属4に窒素を効率よく添加することができ、前述した0.17〜0.40%の窒素が含有された溶接金属4を母材1に形成することができる。したがって、フェライト単相組織の生成が抑制された、フェライトとオーステナイトの二相が混在した組織を有する溶接金属4を母材1に形成することができ、溶接割れ、および耐食性低下が発生するのを抑制することができる。
二相ステンレス鋼の溶接方法において、母材1と溶接材料2との間に直流電圧を印加したまま両者を一度接触させてから少し引き離すと、アークが発生する。このアークを通して大きい電流が流れるが、この電流は金属蒸気やそのまわりの各種の気体成分が解離して、正電気を帯びた陽イオンと負電気を帯びた電子に分かれ、これらがそれぞれ負と正の電極に向かって高速度で走る結果、いわゆるアーク電流が生じる。
直流アークの中の電圧分布は一様ではなく、陽極電圧降下、陰極電圧降下、およびアーク柱電圧の3種の領域に分かれる。両極の電圧降下は、電極の表面のきわめて短い長さの空間に生じる大きい電圧降下であって、その値は主として電極物質の種類で決まり、アークの長さやアーク電流には無関係にほぼ一定である。アーク柱では、気体および金属原子が正負のイオンに解離して運動しており、その中の電圧(アーク柱電圧)は、電極からの距離にほぼ比例して変化するが、その比例定数は主として被覆剤22の種類やアーク電流の大きさに影響される。アーク柱の電圧はアークの長さにほぼ比例して増加するので、アーク電圧は、両極での一定の電圧降下とアーク柱電圧との和になる。
被覆アーク溶接において、直流の溶接電源を用いた場合を直流溶接と呼び、交流の溶接電源を用いた場合を交流溶接と呼ぶ。直流溶接において、溶接材料2を溶接電源の負極に連結した場合を正極性と呼び、これに対して正極に連結した場合を逆極性と呼ぶ。一般に電子の衝撃を受ける陽極のほうが陰極よりも発熱が大きいので、正極性のほうが溶接材料2の溶融が遅く母材1側の溶込みは深くなり、これに対して逆極性では溶接材料2の溶融速度が速くかつ母材1の溶込みは浅くなる傾向がある。したがって、母材1が薄板の溶接には、溶落ちを避けるために逆極性のほうがよい。直流溶接の極性は、溶接材料2の金属心線21の材質、被覆剤22の種類などに応じて適宜選定される。
交流溶接の場合には、電流の方向が1秒間に商用周波数だけ変化するので、極性も周波数に等しい回数で瞬間的に変化する。アークの維持と発生にはある程度の電圧が必要であるが、交流溶接では1秒間に商用周波数の2倍の回数だけアーク電圧が零になるので、被覆剤22が形成されていない溶接材料2を用いた場合にはアークが明滅して安定性が悪く溶接できない。しかし、被覆剤22が形成された溶接材料2を用いた場合には、高温に加熱された被覆剤22からイオンを発生しやすく、それがアークの維持を容易にするので、交流溶接でも安定なアークが得られる。
母材1に溶接金属4が形成される溶接部に、外部より与えられる熱量を溶接入熱という。被覆アーク溶接において、アークが溶接の単位長(1cm)あたりに発生する電気的熱エネルギーH(J)は、アーク電圧E(V)、アーク電流I(A)、溶接速度v(cm/min)とすれば、下記式(1)で与えられる。
H(J)=60EI/v …(1)
実際には、被覆アーク溶接における溶接入熱としては、この電気的熱エネルギーHのほかに被覆剤22の分解に伴う化学的熱エネルギーが加算される。
本実施形態では、被覆アーク溶接で用いられるアーク電流は70〜220A、アーク電圧は4〜14V、溶接速度は3.9〜45cm/minに設定され、これらの設定に応じて溶接入熱は370〜48000Jに設定される。なお、溶接入熱は溶接時間によって制御可能であり、上記の溶接入熱の設定範囲に応じて溶接時間は2〜50secに設定される。
たとえば、アーク電流が144A、アーク電圧が9V、溶接速度が15cm/minのときは、溶接の単位長1cmあたりの溶接入熱は5184Jとなる。このように算出される溶接入熱の何%が母材1に吸収されたかの比率をアークの熱効率という。この熱効率は、多くの因子、たとえば、母材1の板厚、溶接前の母材1の予熱温度、溶接材料2の直径、溶接速度、アークの長さ、アーク電流、被覆剤22の種類、母材1と溶接材料2の熱伝導率や温度拡散率などに影響される。本実施形態では、溶接前の母材1の予熱温度は、たとえば、50〜150℃に設定される。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、実施例は本発明の一実施態様であり、本発明を限定するものではない。
<水冷ショートビード試験>
冷却水中に母材を半浸漬した状態(溶接部は接液していない状態)で溶接を行い、溶接後、冷却水中に全体を浸漬させた。
<空冷ショートビード試験>
ガスバーナーで予熱温度が100℃となるように母材を予熱した後、溶接を行い、溶接後、空冷した。
(実施例1)
母材、溶接材料、アーク電流、アーク電圧、溶接入熱を以下の条件とし、被覆アーク溶接にて、水冷ショートビード試験および空冷ショートビード試験を行った。
[水冷ショートビード試験]
・母材:SUS329J1によって形成された、外径50mm、肉厚10mmの円筒管を母材とした。
・溶接材料:RNY329J4Lを溶接材料として用いた。このRNY329J4Lは、直径4.0mmの円柱状に形成された溶接材料であり、金属心線がSUS329J4Lに相当する二相ステンレス鋼(質量%で0.267%の窒素を含有)からなり、被覆剤が質量%で18.5%の窒素を含有した材料から構成されたものである。なお、被覆剤は、主成分が酸化チタンおよび石灰石で、窒素を含むガス発生材が含有されたものである。
・アーク電流:144A
・アーク電圧:9V
・溶接入熱:溶接時間で制御し、溶接時間が2〜7秒間の入熱小の条件と、溶接時間が6〜23秒間の入熱大の条件との2条件で溶接入熱を行った。
[空冷ショートビード試験]
・母材:SUS329J1によって形成された、外径50mm、肉厚10mmの円筒管を母材とした。
・溶接材料:RNY329J4Lを溶接材料として用いた。このRNY329J4Lは、直径4.0mmの円柱状に形成された溶接材料であり、金属心線がSUS329J4Lに相当する二相ステンレス鋼(質量%で0.267%の窒素を含有)からなり、被覆剤が質量%で18.5%の窒素を含有した材料から構成されたものである。なお、被覆剤は、主成分が酸化チタンおよび石灰石で、窒素を含むガス発生材が含有されたものである。
・アーク電流:144A
・アーク電圧:9V
・溶接入熱:溶接時間で制御し、溶接時間が5秒間の入熱小の条件と、溶接時間が20秒間の入熱大の条件との2条件で溶接入熱を行った。
(比較例1)
母材、溶接材料、アーク電流、アーク電圧、溶接入熱を以下の条件とし、イナートガスタングステンアーク溶接(TIG溶接)にて、水冷ショートビード試験、空冷ショートビード試験を行った。比較例1において用いた溶接材料は、被覆剤が設けられておらず、窒素含有量が質量%で0.0931%のSUS329J1からなる金属心線のみの構成である。
(比較例2)
母材、溶接材料、アーク電流、アーク電圧、溶接入熱を以下の条件とし、イナートガスタングステンアーク溶接(TIG溶接)にて、水冷ショートビード試験および空冷ショートビード試験を行った。
[水冷ショートビード試験]
・母材:SUS329J1によって形成された、外径50mm、肉厚10mmの円筒管を母材とした。
・溶接材料:TG329J4Lを溶接材料として用いた。このTG329J4Lは、直径2.4mmの円柱状に形成された溶接材料であり、金属心線がSUS329J4Lに相当する二相ステンレス鋼(質量%で0.178%の窒素を含有)からなり、被覆剤が設けられていないものである。
・アーク電流:115A
・アーク電圧:14.6V
・シールドガス:アルゴン(Ar)
・溶接入熱:溶接時間で制御し、溶接時間が2〜7秒間の入熱小の条件と、溶接時間が6〜23秒間の入熱大の条件との2条件で溶接入熱を行った。
[空冷ショートビード試験]
・母材:SUS329J1によって形成された、外径50mm、肉厚10mmの円筒管を母材とした。
・溶接材料:TG329J4Lを溶接材料として用いた。このTG329J4Lは、直径2.4mmの円柱状に形成された溶接材料であり、金属心線がSUS329J4Lに相当する二相ステンレス鋼(質量%で0.178%の窒素を含有)からなり、被覆剤が設けられていないものである。
・アーク電流:115A
・アーク電圧:14.6V
・シールドガス:アルゴン(Ar)
・溶接入熱:溶接時間で制御し、溶接時間が9秒間の入熱小の条件と、溶接時間が36秒間の入熱大の条件との2条件で溶接入熱を調整した。
(評価結果)
実施例1および比較例1,2について、母材に形成された溶接金属中の窒素含有量、溶接金属組織を評価した。その評価結果を表3に示す。なお、母材に形成された溶接金属中の窒素含有量は、前述した「不活性ガス搬送融解法」による測定結果に基づいて算出された値である。
Figure 2014014830
表3の評価結果から明らかなように、実施例1では、水冷ショートビード試験および空冷ショートビード試験のいずれの試験においても、窒素含有量が質量%で0.17〜0.40%の溶接金属を母材に形成することができた。この結果、実施例1では、フェライトとオーステナイトとが混在した二相からなる組織を有する溶接金属が母材に形成された。
これに対して、比較例1,2では、水冷ショートビード試験および空冷ショートビード試験のいずれの試験においても、フェライト単相からなる組織を有する溶接金属が母材に形成された。このように比較例1,2においてフェライト単相組織の溶接金属が形成されたのは、溶接金属中に添加される窒素の量が少ないため、オーステナイトの安定化が促進されなかったためであると考えられる。
1 母材
2 溶接材料
3 溶融池
4 溶接金属
5 スラグ
21 金属心線
22 被覆剤

Claims (3)

  1. 窒素含有量が0.08質量%未満の二相ステンレス鋼を母材とした、二相ステンレス鋼の溶接方法であって、
    前記二相ステンレス鋼からなる母材に対向して溶接材料を配置し、母材と溶接材料との間に交流または直流の電圧を印加してアークを発生させることで溶接材料を溶融させ、該溶接材料が溶融した溶滴を母材に溶着させて、窒素含有量が0.17〜0.40質量%の溶接金属を母材に形成することを特徴とする二相ステンレス鋼の溶接方法。
  2. 前記溶接材料は、金属心線と、該金属心線を被覆する被覆剤であって、窒素含有量が15質量%以上の被覆剤とを有することを特徴とする請求項1に記載の二相ステンレス鋼の溶接方法。
  3. 前記金属心線は、窒素含有量が0.08〜0.35質量%であることを特徴とする請求項2に記載の二相ステンレス鋼の溶接方法。
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