JP2016083676A - スポット溶接方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】例えば狭い部位同士を接合するような場合でも、継手強度をさらに高めることが可能なスポット溶接方法を提供する。【解決手段】2枚以上重ねた金属板3の両面から当接して該重ね合わせ部に電流を流す一対の電極であって、金属板3との当接面1aの平面形状が、その図心を通る最短径DLと、DLに直交する最長径DHとの比DH/DLが1.2〜5.0の楕円形状である電極1,1と、該電極1の当接面1aの外周からの距離が5mm以内で、当接面1aの外周のうち、DLの両端を各々含み、当接面1aの全外周長のそれぞれ10%以上ずつを占める領域にて、前記重ね合わせ部を加圧する加圧部材2と、を備えたスポット溶接装置を用いて、前記重ね合わせ部を、電極1,1にて100N以上の荷重で挟み込むとともに、加圧部材2にて電極1の周りを電極1,1による荷重の5〜1000%の荷重で加圧し、電極1から前記重ね合わせ部に溶接電流を通電して接合する。【選択図】図1

Description

本発明は、スポット溶接方法に関し、詳しくは、2枚以上重ねた金属板の両面を一対の電極で挟み込んで通電することにより金属板を接合するスポット溶接方法に関する。
スポット溶接は、一般に2枚以上の金属板を重ねたのち、その重ね合わせ部の両面から一対の電極で挟み込み、電流を流して抵抗発熱により金属板の接合界面を溶融させて接合するものである。
スポット溶接では、電極を金属板に押し付ける加圧力、電流値、通電時間が主要な3つの制御因子である。
このうち、電流値は特に重要な因子である。電流値が低すぎると、溶融して形成されるナゲットの径が小さく、接合強度が不足する。一方、電流値が高すぎると、チリが発生しナゲット径は大きくなるが、継手強度がばらつくため好ましくない。このため、ナゲット径が確保できる電流値から、チリが発生し始める電流値までが、スポット溶接の適正電流範囲となる。この適正電流範囲を広げることができると、スポット溶接が容易となるとともに、継手強度を高めることが可能となる。
スポット溶接の適正電流範囲を広げ、継手強度を高めるために、従来種々の提案がなされている(例えば、特許文献1〜4参照)。
[従来技術1]
例えば、特許文献1には、高張力鋼板をスポット溶接する高張力鋼板のスポット溶接方法であって、上記高張力鋼板への通電電流を漸変的に上昇させることによりナゲット生成を行なう第1ステップと、上記第1ステップの後に電流下降させる第2ステップと、上記第2ステップ後に電流上昇させて本溶接すると共に、漸変的に通電電流を下降させる第3ステップとを備えた工程によりスポット溶接を行なう高張力鋼板のスポット溶接方法が開示されている。
[従来技術2]
また、特許文献2には、2枚以上重ねた被溶接部材に溶接電流を流すスポット溶接方法において、前記被溶接部材の被溶接部に当接して、前記被溶接部材に電流を流す電極と、前記被溶接部から一定距離はなれた位置において、2枚以上重ねた前記被溶接部材の前記被溶接部が互いに離れないように保持する保持部材とを備えたスポット溶接装置を用いて、前記電極及び前記保持部材を前記被溶接部材に当接して加圧し、前記電極から前記被溶接部材に溶接電流を通電後、前記被溶接部の硬度を得るための冷却時間経過後に、前記電極を前記被溶接部材から離し、前記電極を前記被溶接部材から離してから所定時間経過後に、前記保持部材を前記被溶接部材から離すスポット溶接方法が開示されている。
[従来技術3]
また、特許文献3には、薄板、該薄板より板厚が大きい第1厚板、第2厚板を順に重ね合わせた被溶接部材をスポット溶接するスポット溶接方法において、上記第2厚板に当接する第1溶接電極と該第1溶接電極と対向して上記薄板に当接する第2溶接電極及び該第2溶接電極に隣接して上記薄板に当接する制御加圧付与手段とによって上記被溶接部材を挟持加圧し、該挟持加圧状態で上記第2溶接電極と第1溶接電極との間で通電してスポット溶接するスポット溶接方法が開示されている。
[従来技術4]
また、本発明者らは、特許文献4に開示されるように、電極の外周部の一部を電極とは別の加圧部材を用いて加圧制御することで溶接電流を高めてもチリ発生を抑制し、大きなナゲット径を実現することが可能となるスポット溶接方法を提案した。
これらの技術を用いることで、適正電流範囲が広がり、スポット溶接の継手強度を高めることが可能となるが、近年、高強度鋼板の接合強度をさらに高める要望が高まっているため、更なる継手強度向上技術が求められている。
しかしながら、そのような課題に対応するためには、平面形状が真円である従来の電極を用いたスポット溶接では限界があると考えられる。すなわち、例えば、フランジ部同士のような幅の狭い部位同士をスポット溶接で接合する場合、平面形状が真円である従来の電極では、スポット溶接しようとする部位の幅が狭いため電極先端径の拡大に制約が生じ、1スポット当りの継手強度を十分に高められない問題があった。一方、フランジ部の長手方向にスポット点数を増やして全体の接合強度を高めることが考えられるが、その場合は生産性が低下し、溶接コストが上昇する問題が生じる。
特開2003−236674号公報 特開2012−55941号公報 特開2006−55924号公報 特開2014−28392号公報
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、例えば狭い部位同士を接合するような場合でも、継手強度をさらに高めることが可能なスポット溶接方法を提供することにある。
本発明に係るスポット溶接方法は、
2枚以上重ねた金属板の重ね合わせ部に溶接電流を通電して接合するスポット溶接方法であって、
前記重ね合わせ部の両面から当接して該重ね合わせ部に電流を流す一対の電極であって、前記金属板との当接面の平面形状が、その図心を通過する最短径をDLとし、その最短径に直交する最長径をDHとするとき、前記最長径と前記最短径との比DH/DLが1.2〜5.0となる楕円形状をしてなる一対の電極と、
該電極の前記当接面の外周からの距離が5mm以内で、当該当接面の外周のうち、前記最短径の両端を各々含み、当該当接面の全外周長のそれぞれ10%以上ずつを占める領域において、前記重ね合わせ部を加圧する加圧部材と、
を備えたスポット溶接装置を用いて、
前記重ね合わせ部を、前記一対の電極にて100N以上の荷重で挟み込むとともに、前記加圧部材にて前記電極の周りを前記一対の電極による荷重の5〜1000%の荷重で加圧し、前記電極から前記重ね合わせ部に溶接電流を通電して接合することを特徴とする。
ただし、「前記金属板との当接面」とは、前記電極の先端部が平坦面を有する場合には、その平坦面を意味し、該電極の先端部が電極最先端方向に向かう凸状曲面で構成される場合には、その電極最先端位置から0.25mmだけ電極後端方向までの曲面部分を意味する。
本発明に係るスポット溶接方法によれば、電極先端部における金属板との当接面の平面形状を所定のアスペクト比(最長径/最短径)を有する楕円形状とするとともに、電極による加圧に加えて、電極とは別の加圧部材で前記当接面の外周近傍のうち最短径の両端を各々含む一定領域ずつを所定の荷重で加圧した状態にて通電することで、前記当接面の幅の狭い側の領域から優先的に溶融部が金属板の間から飛び出すのを阻止することにより中チリの発生を防止するとともに、電極周囲から冷却することにより表チリの発生を防止することができ、真円でない、楕円形状の平面形状を有する異型の電極を用いてもスポット溶接の適正電流範囲を十分に拡大できるようになり、1スポット当りの継手強度をさらに高めることが可能になった。この結果、例えば幅の狭い部位同士の接合の場合でも、それらの部位の長手方向に沿って、最長径DHを該長手方向に合わせて複数のスポット溶接を施すことで、スポット点数を増やすことなく、すなわち生産性を低下させることなく、さらに高い接合強度が実現できるようになった。
本発明に用いるスポット溶接装置の一実施形態に係る電極および加圧部材の概略構成を示す図であり、(a)は縦断面図、(b)は電極先端方向から見た平面図である。 本発明に用いるスポット溶接装置の別の実施形態に係る電極および加圧部材の概略構成を示す図であり、(a)は縦断面図、(b)は電極先端方向から見た平面図である。 本発明に用いるスポット溶接装置のさらに別の実施形態に係る電極および加圧部材の概略構成を示す図であり、(a)は縦断面図、(b)は電極先端方向から見た平面図である。 実施例で用いた試験装置の概略構成を示す部分縦断面図である。
上記課題を解決するため、本発明者らは、まず、電極先端部の平面形状が楕円形状の場合(すなわち、真円でない場合)におけるチリ発生のメカニズムについて検討を行った。すなわち、チリの種類には、重ね合わせた板間から発生する「中チリ」と、金属板の表面から発生する「表チリ」とがある。このうち、「中チリ」は、2枚以上重ねた金属板の重ね合わせ部を表裏から一対の電極で押さえ込んで通電した際に、金属板の重ね合わせ部の電極中心に相当する位置から同心円状に溶融領域が広がり、その溶融領域が電極幅の狭い側に達した際に、溶融物の一部がその板間から外に飛び出すことで発生する。一方、「表チリ」は、金属板の表面(重ね合わせ面でない面)まで溶融領域が広がることで発生する。
したがって、本発明者らは、楕円形状(すなわち、非真円)の平面形状を有する電極先端部の外周のうち、電極幅の狭い側の外周を優先的に加圧しつつ通電することで形成される溶融領域の周囲を加圧することで、形成される溶融領域が電極幅の狭い側へ成長することを抑制して、溶融物の一部が板間から飛び出すのを阻止することにより中チリの発生を防止することができ、一方、電極周囲から冷却することで、電極周囲の金属板表面まで溶融領域が広がることを阻止することにより表チリの発生を防止することができるのではないかと考えた。
そして、上記溶融物の板間からの飛び出し阻止および金属板表面までの溶融領域の拡大阻止という2種類の相異なる作用を同時に奏させるためには、具体的には、電極先端部の外周面のうち電極幅の狭い側の両側のごく近傍に電極とは別に加圧部材を設けておき、電極により金属板の重ね合わせ部を加圧しつつ通電する際に、加圧部材で電極周りの重ね合わせ部を加圧することで実現できると考えた。
そこで、後記[実施例]にて説明する実証試験を行った結果、確証が得られたので、さらに検討を加え、本発明を完成するに至った。
本発明に係るスポット溶接方法は、2枚以上重ねた金属板の重ね合わせ部に溶接電流を通電して接合するスポット溶接方法であって、前記重ね合わせ部の両面から当接して該重ね合わせ部に電流を流す一対の電極であって、前記金属板との当接面の平面形状が、その図心を通過する最短径をDLとし、その最短径に直交する最長径をDHとするとき、前記最長径と前記最短径との比DH/DLが1.2〜5.0となる楕円形状をしてなる一対の電極と、該電極の前記当接面の外周からの距離が5mm以内で、当該当接面の外周のうち、前記最短径の両端を各々含み、当該当接面の全外周長のそれぞれ10%以上ずつを占める領域において、前記重ね合わせ部を加圧する加圧部材と、を備えたスポット溶接装置を用いて、前記重ね合わせ部を、前記一対の電極にて100N以上の荷重で挟み込むとともに、前記加圧部材にて前記電極の周りを前記一対の電極による荷重の5〜1000%の荷重で加圧し、前記電極から前記重ね合わせ部に溶接電流を通電して接合することを特徴とする。
ただし、「前記金属板との当接面」とは、前記電極の先端部が平坦面を有する場合には、その平坦面を意味し、該電極の先端部が電極最先端方向に向かう凸状曲面で構成される場合には、その電極最先端位置から0.25mmだけ電極後端方向までの曲面部分を意味する。
以下、本発明について図面を参照しつつさらに詳細に説明する。
図1に、本発明に用いるスポット溶接装置の一実施形態に係る電極および加圧部材の概略構成を示す。ここに、符号1は電極を示し、先端部に楕円形状の平坦面(金属板との当接面1aに相当)を有する先端平滑型電極を例示している。また、符号2,2は加圧部材を示し、当接面1aの全外周のa1(%),a2(%)をそれぞれ占める、扇形断面を有する瓦状の部材2枚からなる例を示している。この2枚の加圧部材2は、電極先端方向からの平面視で、当接面1aの外周から距離cだけ間を空けるとともに、当接面1aの外周のうち最短径DLの両端を各々含む所定領域をそれぞれ外から囲むように配置されている。なお、電極1および2枚の加圧部材2は、本例では、それぞれ上下一対ずつで構成されているが、いずれも上下対称に配置されているので、図1(a)では、上半分のみの配置を示し、下半分は図示を省略した。
[電極]
まず、電極1は、上下一対で構成され、2枚以上重ねた金属板の重ね合わせ部の両面(本例では上下)から当接して該重ね合わせ部に電流を流すものである。電極1の縦断面形状としては、平面形状が真円である従来の電極と同様、先端平滑型、DR型など、スポット溶接で一般的に用いられる電極形状を基本とする。一方、当該電極1と前記金属板との当接面1aの平面形状は、図1(b)に示すように、その平面形状が真円である従来の電極と異なり、当該平面形状の図心Oを通過する最短径をDLとし、その最短径に直交する最長径をDHとするとき、前記最長径と前記最短径との比DH/DL(いわゆるアスペクト比に相当)が1.2〜5.0となる楕円形状をしてなるものとする。
<前記金属板との当接面1a>
「前記金属板との当接面1a」は、図1(a)に例示するように、前記電極1の先端部が平坦面を有する先端平滑型などの場合には、その平坦面そのものに相当する。一方、図2(a)に別の実施形態として例示するように、該電極1の先端部が電極最先端方向に向かう凸状曲面で構成されているDR型などの場合には、「前記金属板との当接面1a」は、その電極最先端位置から0.25mmだけ電極後端方向までの曲面部分に相当するものとみなした。ここで、電極先端部が曲面で構成されている場合に、電極最先端位置から0.25mmだけ電極後端方向までの曲面部分を前記金属板との当接面1aとみなしたのは、以下の理由による。すなわち、従来、自動車業界で一般的に使用されている、電極径16mm、ドーム部R8mm、先端部のみ径6mm、R40mmのDR型電極においては、該先端部は、電極最先端位置から0.113mmだけ電極後方方向までの曲面部分に相当する。しかしながら、上記寸法のDR型電極を用いて実際に2枚重ねの鋼板をスポット溶接した場合、溶接部の断面観察より、電極が鋼板と当接する部位(当接面)は、上記先端部だけに留まらず、R8mmのドーム部の一部も含まれ、この鋼板との当接面は、電極最先端位置から0.25mm程度電極後端方向までの曲面部分に相当することがわかった。本発明に係る電極にもおいても同様の結果が得られると想定し、電極先端部が曲面で構成されている場合には、電極最先端位置から0.25mmだけ電極後端方向までの曲面部分を前記金属板との当接面1aとみなすこととした。
<前記最長径と前記最短径との比DH/DLが1.2〜5.0>
DH/DLを1.2〜5.0としたのは以下の理由による。すなわち、DH/DLを1.0に近づけすぎると、当接面1aの平面形状が真円に近づくので、上述の従来技術4などを適用すればよく、本発明を適用するまでないため、その下限は、本発明の効果を有効に発揮し得る1.2、好ましくは1.4、さらに好ましくは1.6とした。一方、DH/DLを大きくしすぎると、上下の電極1,1が片当りしやすくなり継手強度が低下する原因になるため、その上限は5.0、好ましくは4.0、さらに好ましくは3.0とした。
<楕円形状>
ここに、当接面の平面形状における「楕円形状」とは、図1(b)に示すような、数学的な定義による厳密な意味での「楕円形」の他、図2(b)に別の実施形態として例示するような、長方形の両側に半円をそれぞれ結合したような枕形の形状や、図示しないが、長方形の四隅をR状に丸めた形状などをも含むものとする。また、図1(b)および図2(b)では、図心O周りに点対称な楕円形状のみを例示したが、これに限定されるものではなく、上下および/または左右で非対称な楕円形状であってもよい。このように非対称な楕円形状の場合には、最長径DHは、最短径DLに直交するものの図心Oを通過しない場合がある。なお、電極1の先端部を除く後端側の横断面形状は、既存の溶接機に取り付けて使用できるように、従来の電極と同様、真円としておくとよい。
また、電極1の材料としては、純銅、クロム銅、アルミナ分散銅など、スポット溶接で一般的に用いられる電極材料を用いることができる。なお、本発明に係るスポット溶接方法で接合される、2枚以上重ねた金属板としては、すべてが鋼板の場合が代表的であるが、すべてがアルミニウム合金板の場合や、鋼板とアルミニウム合金板とを混合した場合なども挙げられる。
[加圧部材]
つぎに、加圧部材2は、当接面1aの外周からの距離cが5mm以内で、当接面1aの外周のうち、最短径DLの両端を各々含み、当接面1aの全外周長のそれぞれ10%以上ずつの領域〔a1,a2〕において前記重ね合わせ部を加圧するように構成する。
<当接面1aの外周からの距離cが5mm以内を加圧>
加圧部材2を電極1に可能な限り近接して配置し、通電中において当接面1aの外周のごく近傍を加圧部材2により冷却することで、溶融領域が金属板の表面まで拡がることを阻止し、表チリの発生を防止するためである。このような効果を有効に発揮させるためには、距離cを5mm以内とする。加圧部材2の材料としては、通電時の高温状態における耐荷重強度を必要とするため、電極1と同様の純銅、クロム銅の他、チタン、窒化アルミニウム、窒化珪素などが挙げられる。なお、加圧部材2は電極1の先端外周(当接面1a)と接する状態(すなわち、距離c=0mm)としてもよいが、その場合には、加圧部材2を介して金属板に電流が流れないように、加圧部材2自体をセラミックスなどの絶縁材料で製作するか、電極1の先端外周と接する側の加圧部材2表面に絶縁材料を被覆するなどの方策が必要となる。加圧部材2の厚みは、通電時の高温状態における荷重に耐えるように、該加圧部材2の種類や荷重の大きさに応じて0.1〜2.0mmの範囲で適宜設定すればよい。
<当接面1aの外周のうち、最短径DLの両端を各々含み、当接面1aの全外周長のそれぞれ10%以上ずつの領域〔a1,a2〕を加圧>
電極1先端部の幅の狭い側の両側を所定範囲加圧することで、接合面1aの図心Oからの距離が小さい領域の周囲を押さえ付けて中チリの発生を防止すると同時に、電極1周囲を冷却して表チリの発生を防止するためである。上記効果を有効に発揮させるためには、加圧領域〔a1,a2〕を全周囲のそれぞれ10%以上ずつ、好ましくはそれぞれ12%以上ずつ、さらに好ましくはそれぞれ15%以上ずつ占めるようにする。なお、a1とa2とは必ずしも一致させる必要はなく、例えば当接面1aの平面形状が左右で非対称であるような場合には、a1=10%、a2=15%のように異なる割合としてもよい。また、加圧領域に特に上限はなく、図3(b)に例示するように、合計(a1+a2)で全周囲の100%としてもよいが、電極1先端部の幅の狭い側をより確実にしっかりと押えるため、加圧領域は合計で全周囲の70%以下、さらには50%以下に制限するのがより好ましい。なお、加圧領域を合計で全周囲の100%とする場合、図3(b)に例示するように、加圧部材2は、周方向に切れ目のない、環状断面を有する部材1つだけで構成されることとなる。
<前記一対の電極1にて100N以上の荷重Fで挟み込むとともに、前記加圧部材2にて前記電極の周りを前記一対の電極による荷重Fの5〜1000%の荷重Fで加圧>
スポット溶接後に十分な継手強度が得られるように、一対の電極1による荷重Fは100N以上とする。そして、加圧部材2によるFは、中チリの発生を防止するため、前記一対の電極による荷重Fの5%以上とする。加圧部材2による荷重Fは、中チリ発生防止の観点からは大きければ大きいほど好ましいが、その上限は、スポット溶接機の設備能力で制約され、荷重Fの1000%とした。
本発明に係るスポット溶接方法の適用性について確証するため、スポット溶接機を用いて以下の模擬実験を行った。
図4に実験装置の概略を示す。接合対象の金属板3,3としては、板厚1.0mmの980MPa級鋼板を2枚重ねしたものを用いた。電極1としては、ベース条件として用いた、電極の縦断面形状がDR型で、金属板との当接面の平面形状が、最短径DL=6mm、最長径DH=12mmの楕円形であり、電極材料がクロム銅製のものを例示した。そして、加圧部材2としては、その荷重調整機能を模擬するため、2枚の厚鋼板21,21のおのおのについて、中央部に電極1が通過する電極通過孔22を設け、その電極通過孔22の周囲に厚み1mmで、電極1の当接面の外周から距離cだけ間を空けた位置に互いに向き合うように平面視で環状または複数の扇形の突起23を溶接して設け、さらに、電極通過孔22から四方離れた位置にそれぞれボルト穴24を設けておき、2枚の厚鋼板21,21の対向するボルト穴24,24にボルト25を貫通させてナット26で締結したものを用いた。
そして、電極1による荷重Fはスポット溶接機の加圧力調整機能を用いて設定した。また、加圧部材2による荷重Fは、ボルト25とナット26の締結力をトルクメータで測定しながら調整することで設定した。
そして、電極1の形状および材料、加圧部材2(突起)の材料、電極1からの距離c、および加圧領域の範囲、ならびに、電極1による荷重Fおよび加圧部材2による荷重Fのそれぞれを種々変更した各条件下にて、溶接電流を低電流側から順次増加させてスポット溶接を行い、チリが発生し始める限界電流(チリ限界電流)を求めた。また、そのチリが発生した試験で得られた継手を断面観察してチリの種類を特定した。
継手強度の評価には、板厚1.0mm×長さ150mm×幅30mmの鋼板サンプル2枚を長さ20mmずつ重ね合わせ、この重ね合わせ部の中心に電極のDH方向が鋼板サンプルの長手方向に直角になるようにセットして、上記各加圧条件下で上記で求めた各チリ限界電流にてスポット溶接を行い、溶接継手サンプルを作製した。そして、各溶接継手サンプルについて、JIS Z3136に基づき、せん断引張試験を行い、継手強度を測定した。
下記表1に試験条件および測定結果を示す。
同表において、試験No.1は、加圧部材を設けず、横断面形状が真円の電極を用いた、従来のスポット溶接に相当する参考例である。この参考例のチリ限界電流は6.0kAであり、せん断継手強度は12.5kNであった。また、試験No.2は、横断面形状は本発明の要件を満たすものの、加圧部材を設けていない電極を用いた標準条件のスポット溶接である。この標準条件のスポット溶接におけるチリ限界電流は6.0kAであり、せん断継手強度は15.3kNであった。
そして、試験No.3〜7、9、13、14は、本発明の要件を全て満たす発明例である。なお、試験No.6、7は、加圧部材が電極の先端外周と接する状態となる(c=0mm)ため、加圧部材として、絶縁材料である、窒化珪素や窒化アルミニウムまたは電極より電気伝導度の低いSUS304等を用いた。いずれの発明例も、チリ限界電流は7.5kA以上に達しており、上記標準条件のスポット溶接におけるチリ限界電流よりも大幅に上昇しており、せん断継手強度も17.3kN以上が得られており、上記標準条件のスポット溶接で得られるせん断継手強度よりも大幅に上昇していることがわかる。
これに対して、試験No.8、10〜12、15は、本発明の要件のいずれかを満たさない比較例である。なお、試験No.10は、加圧領域a1、a2を、最短径DLの両端を含む領域でなく、最長径DHの両端を含む領域とした例である。これらの比較例のチリ限界電流は5.0〜6.0kAであり、上記標準条件のスポット溶接におけるチリ限界電流と同等ないし劣っており、また、せん断継手強度も13.1〜14.7kNであり、上記標準条件のスポット溶接で得られるせん断継手強度よりも劣っており、改善効果が得られないことがわかる。
以上の結果より明らかなように、本発明に係るスポット溶接方法を適用することで、電極先端部の当接面の平面形状を楕円形状とした場合であっても、容易かつ確実にチリの発生を防止することができるようになり、その結果、チリ限界電流が大幅に上昇し、スポット溶接の適正電流範囲を拡大でき、継手強度をさらに向上しうることが確認された。
1…電極
1a…当接面(平坦面)
2…加圧部材
3…金属板(鋼板)
21…厚鋼板
22…電極通過孔
23…突起
24…ボルト穴
25…ボルト
26…ナット

Claims (1)

  1. 2枚以上重ねた金属板の重ね合わせ部に溶接電流を通電して接合するスポット溶接方法であって、
    前記重ね合わせ部の両面から当接して該重ね合わせ部に電流を流す一対の電極であって、前記金属板との当接面の平面形状が、その図心を通過する最短径をDLとし、その最短径に直交する最長径をDHとするとき、前記最長径と前記最短径との比DH/DLが1.2〜5.0となる楕円形状をしてなる一対の電極と、
    該電極の前記当接面の外周からの距離が5mm以内で、当該当接面の外周のうち、前記最短径の両端を各々含み、当該当接面の全外周長のそれぞれ10%以上ずつを占める領域において、前記重ね合わせ部を加圧する加圧部材と、
    を備えたスポット溶接装置を用いて、
    前記重ね合わせ部を、前記一対の電極にて100N以上の荷重で挟み込むとともに、前記加圧部材にて前記電極の周りを前記一対の電極による荷重の5〜1000%の荷重で加圧し、前記電極から前記重ね合わせ部に溶接電流を通電して接合することを特徴とするスポット溶接方法。
    ただし、「前記金属板との当接面」とは、前記電極の先端部が平坦面を有する場合には、その平坦面を意味し、該電極の先端部が電極最先端方向に向かう凸状曲面で構成される場合には、その電極最先端位置から0.25mmだけ電極後端方向までの曲面部分を意味する。
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