JP2016083676A - スポット溶接方法 - Google Patents
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例えば、特許文献1には、高張力鋼板をスポット溶接する高張力鋼板のスポット溶接方法であって、上記高張力鋼板への通電電流を漸変的に上昇させることによりナゲット生成を行なう第1ステップと、上記第1ステップの後に電流下降させる第2ステップと、上記第2ステップ後に電流上昇させて本溶接すると共に、漸変的に通電電流を下降させる第3ステップとを備えた工程によりスポット溶接を行なう高張力鋼板のスポット溶接方法が開示されている。
また、特許文献2には、2枚以上重ねた被溶接部材に溶接電流を流すスポット溶接方法において、前記被溶接部材の被溶接部に当接して、前記被溶接部材に電流を流す電極と、前記被溶接部から一定距離はなれた位置において、2枚以上重ねた前記被溶接部材の前記被溶接部が互いに離れないように保持する保持部材とを備えたスポット溶接装置を用いて、前記電極及び前記保持部材を前記被溶接部材に当接して加圧し、前記電極から前記被溶接部材に溶接電流を通電後、前記被溶接部の硬度を得るための冷却時間経過後に、前記電極を前記被溶接部材から離し、前記電極を前記被溶接部材から離してから所定時間経過後に、前記保持部材を前記被溶接部材から離すスポット溶接方法が開示されている。
また、特許文献3には、薄板、該薄板より板厚が大きい第1厚板、第2厚板を順に重ね合わせた被溶接部材をスポット溶接するスポット溶接方法において、上記第2厚板に当接する第1溶接電極と該第1溶接電極と対向して上記薄板に当接する第2溶接電極及び該第2溶接電極に隣接して上記薄板に当接する制御加圧付与手段とによって上記被溶接部材を挟持加圧し、該挟持加圧状態で上記第2溶接電極と第1溶接電極との間で通電してスポット溶接するスポット溶接方法が開示されている。
また、本発明者らは、特許文献4に開示されるように、電極の外周部の一部を電極とは別の加圧部材を用いて加圧制御することで溶接電流を高めてもチリ発生を抑制し、大きなナゲット径を実現することが可能となるスポット溶接方法を提案した。
2枚以上重ねた金属板の重ね合わせ部に溶接電流を通電して接合するスポット溶接方法であって、
前記重ね合わせ部の両面から当接して該重ね合わせ部に電流を流す一対の電極であって、前記金属板との当接面の平面形状が、その図心を通過する最短径をDLとし、その最短径に直交する最長径をDHとするとき、前記最長径と前記最短径との比DH/DLが1.2〜5.0となる楕円形状をしてなる一対の電極と、
該電極の前記当接面の外周からの距離が5mm以内で、当該当接面の外周のうち、前記最短径の両端を各々含み、当該当接面の全外周長のそれぞれ10%以上ずつを占める領域において、前記重ね合わせ部を加圧する加圧部材と、
を備えたスポット溶接装置を用いて、
前記重ね合わせ部を、前記一対の電極にて100N以上の荷重で挟み込むとともに、前記加圧部材にて前記電極の周りを前記一対の電極による荷重の5〜1000%の荷重で加圧し、前記電極から前記重ね合わせ部に溶接電流を通電して接合することを特徴とする。
ただし、「前記金属板との当接面」とは、前記電極の先端部が平坦面を有する場合には、その平坦面を意味し、該電極の先端部が電極最先端方向に向かう凸状曲面で構成される場合には、その電極最先端位置から0.25mmだけ電極後端方向までの曲面部分を意味する。
ただし、「前記金属板との当接面」とは、前記電極の先端部が平坦面を有する場合には、その平坦面を意味し、該電極の先端部が電極最先端方向に向かう凸状曲面で構成される場合には、その電極最先端位置から0.25mmだけ電極後端方向までの曲面部分を意味する。
まず、電極1は、上下一対で構成され、2枚以上重ねた金属板の重ね合わせ部の両面(本例では上下)から当接して該重ね合わせ部に電流を流すものである。電極1の縦断面形状としては、平面形状が真円である従来の電極と同様、先端平滑型、DR型など、スポット溶接で一般的に用いられる電極形状を基本とする。一方、当該電極1と前記金属板との当接面1aの平面形状は、図1(b)に示すように、その平面形状が真円である従来の電極と異なり、当該平面形状の図心Oを通過する最短径をDLとし、その最短径に直交する最長径をDHとするとき、前記最長径と前記最短径との比DH/DL(いわゆるアスペクト比に相当)が1.2〜5.0となる楕円形状をしてなるものとする。
「前記金属板との当接面1a」は、図1(a)に例示するように、前記電極1の先端部が平坦面を有する先端平滑型などの場合には、その平坦面そのものに相当する。一方、図2(a)に別の実施形態として例示するように、該電極1の先端部が電極最先端方向に向かう凸状曲面で構成されているDR型などの場合には、「前記金属板との当接面1a」は、その電極最先端位置から0.25mmだけ電極後端方向までの曲面部分に相当するものとみなした。ここで、電極先端部が曲面で構成されている場合に、電極最先端位置から0.25mmだけ電極後端方向までの曲面部分を前記金属板との当接面1aとみなしたのは、以下の理由による。すなわち、従来、自動車業界で一般的に使用されている、電極径16mm、ドーム部R8mm、先端部のみ径6mm、R40mmのDR型電極においては、該先端部は、電極最先端位置から0.113mmだけ電極後方方向までの曲面部分に相当する。しかしながら、上記寸法のDR型電極を用いて実際に2枚重ねの鋼板をスポット溶接した場合、溶接部の断面観察より、電極が鋼板と当接する部位(当接面)は、上記先端部だけに留まらず、R8mmのドーム部の一部も含まれ、この鋼板との当接面は、電極最先端位置から0.25mm程度電極後端方向までの曲面部分に相当することがわかった。本発明に係る電極にもおいても同様の結果が得られると想定し、電極先端部が曲面で構成されている場合には、電極最先端位置から0.25mmだけ電極後端方向までの曲面部分を前記金属板との当接面1aとみなすこととした。
DH/DLを1.2〜5.0としたのは以下の理由による。すなわち、DH/DLを1.0に近づけすぎると、当接面1aの平面形状が真円に近づくので、上述の従来技術4などを適用すればよく、本発明を適用するまでないため、その下限は、本発明の効果を有効に発揮し得る1.2、好ましくは1.4、さらに好ましくは1.6とした。一方、DH/DLを大きくしすぎると、上下の電極1,1が片当りしやすくなり継手強度が低下する原因になるため、その上限は5.0、好ましくは4.0、さらに好ましくは3.0とした。
ここに、当接面の平面形状における「楕円形状」とは、図1(b)に示すような、数学的な定義による厳密な意味での「楕円形」の他、図2(b)に別の実施形態として例示するような、長方形の両側に半円をそれぞれ結合したような枕形の形状や、図示しないが、長方形の四隅をR状に丸めた形状などをも含むものとする。また、図1(b)および図2(b)では、図心O周りに点対称な楕円形状のみを例示したが、これに限定されるものではなく、上下および/または左右で非対称な楕円形状であってもよい。このように非対称な楕円形状の場合には、最長径DHは、最短径DLに直交するものの図心Oを通過しない場合がある。なお、電極1の先端部を除く後端側の横断面形状は、既存の溶接機に取り付けて使用できるように、従来の電極と同様、真円としておくとよい。
つぎに、加圧部材2は、当接面1aの外周からの距離cが5mm以内で、当接面1aの外周のうち、最短径DLの両端を各々含み、当接面1aの全外周長のそれぞれ10%以上ずつの領域〔a1,a2〕において前記重ね合わせ部を加圧するように構成する。
加圧部材2を電極1に可能な限り近接して配置し、通電中において当接面1aの外周のごく近傍を加圧部材2により冷却することで、溶融領域が金属板の表面まで拡がることを阻止し、表チリの発生を防止するためである。このような効果を有効に発揮させるためには、距離cを5mm以内とする。加圧部材2の材料としては、通電時の高温状態における耐荷重強度を必要とするため、電極1と同様の純銅、クロム銅の他、チタン、窒化アルミニウム、窒化珪素などが挙げられる。なお、加圧部材2は電極1の先端外周(当接面1a)と接する状態(すなわち、距離c=0mm)としてもよいが、その場合には、加圧部材2を介して金属板に電流が流れないように、加圧部材2自体をセラミックスなどの絶縁材料で製作するか、電極1の先端外周と接する側の加圧部材2表面に絶縁材料を被覆するなどの方策が必要となる。加圧部材2の厚みは、通電時の高温状態における荷重に耐えるように、該加圧部材2の種類や荷重の大きさに応じて0.1〜2.0mmの範囲で適宜設定すればよい。
電極1先端部の幅の狭い側の両側を所定範囲加圧することで、接合面1aの図心Oからの距離が小さい領域の周囲を押さえ付けて中チリの発生を防止すると同時に、電極1周囲を冷却して表チリの発生を防止するためである。上記効果を有効に発揮させるためには、加圧領域〔a1,a2〕を全周囲のそれぞれ10%以上ずつ、好ましくはそれぞれ12%以上ずつ、さらに好ましくはそれぞれ15%以上ずつ占めるようにする。なお、a1とa2とは必ずしも一致させる必要はなく、例えば当接面1aの平面形状が左右で非対称であるような場合には、a1=10%、a2=15%のように異なる割合としてもよい。また、加圧領域に特に上限はなく、図3(b)に例示するように、合計(a1+a2)で全周囲の100%としてもよいが、電極1先端部の幅の狭い側をより確実にしっかりと押えるため、加圧領域は合計で全周囲の70%以下、さらには50%以下に制限するのがより好ましい。なお、加圧領域を合計で全周囲の100%とする場合、図3(b)に例示するように、加圧部材2は、周方向に切れ目のない、環状断面を有する部材1つだけで構成されることとなる。
スポット溶接後に十分な継手強度が得られるように、一対の電極1による荷重FCは100N以上とする。そして、加圧部材2によるFEは、中チリの発生を防止するため、前記一対の電極による荷重FCの5%以上とする。加圧部材2による荷重FEは、中チリ発生防止の観点からは大きければ大きいほど好ましいが、その上限は、スポット溶接機の設備能力で制約され、荷重FCの1000%とした。
1a…当接面(平坦面)
2…加圧部材
3…金属板(鋼板)
21…厚鋼板
22…電極通過孔
23…突起
24…ボルト穴
25…ボルト
26…ナット
Claims (1)
- 2枚以上重ねた金属板の重ね合わせ部に溶接電流を通電して接合するスポット溶接方法であって、
前記重ね合わせ部の両面から当接して該重ね合わせ部に電流を流す一対の電極であって、前記金属板との当接面の平面形状が、その図心を通過する最短径をDLとし、その最短径に直交する最長径をDHとするとき、前記最長径と前記最短径との比DH/DLが1.2〜5.0となる楕円形状をしてなる一対の電極と、
該電極の前記当接面の外周からの距離が5mm以内で、当該当接面の外周のうち、前記最短径の両端を各々含み、当該当接面の全外周長のそれぞれ10%以上ずつを占める領域において、前記重ね合わせ部を加圧する加圧部材と、
を備えたスポット溶接装置を用いて、
前記重ね合わせ部を、前記一対の電極にて100N以上の荷重で挟み込むとともに、前記加圧部材にて前記電極の周りを前記一対の電極による荷重の5〜1000%の荷重で加圧し、前記電極から前記重ね合わせ部に溶接電流を通電して接合することを特徴とするスポット溶接方法。
ただし、「前記金属板との当接面」とは、前記電極の先端部が平坦面を有する場合には、その平坦面を意味し、該電極の先端部が電極最先端方向に向かう凸状曲面で構成される場合には、その電極最先端位置から0.25mmだけ電極後端方向までの曲面部分を意味する。
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