以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。本実施形態では、遊技機1の一例としてパチンコ遊技機を例にとって説明を行うが、本発明の対象となる遊技機1としては、このようなパチンコ遊技機以外に、スロット遊技機等、各種遊技機を採用することが可能である。まず、遊技機1の全体の構成について説明する。図1は遊技機1を正面からみた正面図である。図1の右下に、遊技機1に関する座標系を定義しておく。遊技機1を正面からみたとき、左方向をX軸正の方向、上方向をY軸正の方向、手前から奥に貫く方向をZ軸正の方向である。定義した座標系は、図11、図12、図18で説明する遊技機1の座標系と同一である。
遊技機1は、縦長の方形状に形成された外枠(図示せず)と、外枠の内側に開閉可能に取り付けられた遊技枠とで構成される。また、遊技機1は、遊技枠に開閉可能に設けられている額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。遊技枠は、外枠に対して開閉自在に設置される前面枠(図示せず)と、機構部品等が取り付けられる機構板(図示せず)と、それらに取り付けられる種々の部品(後述する遊技盤6を除く)とを含む構造体である。
ガラス扉枠2の下部表面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4や、打球を発射する打球操作ハンドル5(操作ノブ)が設けられている。また、ガラス扉枠2の背面には、遊技盤6が着脱可能に取り付けられている。なお、遊技盤6は、それを構成する板状体と、その板状体に取り付けられた種々の遊技用部品とを含む構造体である。また、遊技盤6の前面には、打ち込まれた遊技球が流下可能な遊技領域7が形成されている。
遊技領域7の中央付近には、液晶表示装置(LCD)で構成された遊技用部品としての演出表示装置9が設けられている。演出表示装置9の表示画面には、特別図柄の可変表示に同期した飾り図柄の可変表示を行う飾り図柄表示領域がある。よって、演出表示装置9は、飾り図柄の可変表示を行う可変表示装置に相当する。飾り図柄表示領域には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの装飾用(演出用)の識別情報を、例えば上から下に移動するように可変表示する。飾り図柄表示領域には「左」、「中」、「右」の各図柄表示エリア9L,9C,9R(図柄表示ライン)があるが、図柄表示エリア9L,9C,9Rの位置は、演出表示装置9の表示画面において固定的でなくてもよいし、図柄表示エリア9L,9C,9Rの3つ領域が離れてもよい。演出表示装置9は、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ100によって制御される。演出制御用マイクロコンピュータ100が、特別図柄表示器8で特別図柄の可変表示が実行されているときに、その可変表示に伴って演出表示装置9で演出表示を実行させるので、遊技の進行状況を把握しやすくすることができる。
遊技盤6における下部の左側には、識別情報としての特別図柄を可変表示する特別図柄表示器8が設けられている。この実施の形態では、特別図柄表示器8は、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、特別図柄表示器8は、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。小型の表示器は、例えば方形状に形成されている。また、この実施の形態では、特別図柄表示器8は、例えば、00〜99の数字(または、2桁の記号)を可変表示する等、各種表示形態を採用することが可能である。
演出表示装置9の下方には、第1始動入賞口13(第1始動口)を有する入賞装置が設けられている。第1始動入賞口13に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第1始動口スイッチ13aによって検出される。また、第1始動入賞口13を有する入賞装置の下方には、遊技球が入賞可能な第2始動入賞口14(第2始動口)を有する可変入賞球装置15が設けられている。第2始動入賞口14に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2始動口スイッチ14aによって検出される。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開放状態とされる。可変入賞球装置15が開いた状態になることによって、遊技球が第2始動入賞口14に入賞可能になり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になる。また、可変入賞球装置15が閉じた状態では、遊技球は第2始動入賞口14に入賞しない。なお、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態において、入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。
以下、第1始動入賞口13と第2始動入賞口14とを総称して始動入賞口または始動口ということがある。可変入賞球装置15が開放状態に制御されているときには可変入賞球装置15に向かう遊技球は第2始動入賞口14に極めて入賞しやすい。なお、この実施の形態では、図1に示すように、第2始動入賞口14に対してのみ開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられているが、第1始動入賞口13および第2始動入賞口14のいずれについても開閉動作を行う可変入賞球装置が設けられている構成であってもよい。
特別図柄表示器8の側方には、始動入賞口に入った有効入賞球数すなわち保留記憶数(保留記憶を、始動記憶または始動入賞記憶ともいう。)を表示する4つの表示器からなる特別図柄保留記憶表示器18が設けられている。遊技球が第1始動入賞口13または第2始動入賞口14に入り、第1始動口スイッチ13aまたは第2始動口スイッチ14aで検出されると、保留記憶数が上限値に達していないことを条件として(有効始動入賞であることを条件として)、保留記憶数を1増やす。また、特別図柄保留記憶表示器18において点灯する表示器の数を1増やす。そして、特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、開始条件が成立したこと)、特別図柄表示器8において特別図柄の可変表示が開始される。すなわち、特別図柄の可変表示は、始動入賞口への入賞に対応する。なお、特別図柄表示器8での可変表示が開始される毎に、特別図柄保留記憶表示器18において点灯する表示器の数を1減らす。
また、演出表示装置9の表示画面には、保留記憶数を表示する領域(以下、保留記憶表示部18cという。)が設けられている。
特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である始動条件が成立(例えば、遊技球が第1始動入賞口13または第2始動入賞口14に入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことに基づいて開始され、可変表示時間が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。なお、入賞とは、入賞口などのあらかじめ入賞領域として定められている領域に遊技球が入ったことである。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示(確定)させることである。
特別図柄表示器8において、特別図柄の可変表示が開始された後、所定時間(変動時間)が経過すると、特別図柄の可変表示結果である停止図柄を停止表示(導出表示)する。大当りにすることに決定されている場合には、特定の特別図柄(大当り図柄)が停止表示される。はずれにすることに決定されている場合には、大当り図柄以外の特別図柄が停止表示される。大当り図柄が導出表示された場合には、遊技状態が、特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。この実施の形態では、一例として、「3」、「7」を示す数字を大当り図柄とし、「−」を示す記号をはずれ図柄にする。
特別図柄表示器8に大当り図柄が停止表示された場合には、特別可変入賞球装置20における開閉板が、所定期間(例えば、29秒間)または所定個(例えば、10個)の入賞球が発生するまでの期間、開放状態になって、特別可変入賞球装置20を遊技者にとって有利な第1状態に変化させるラウンドが開始される。ラウンドの回数は、例えば15である。
また、大当り遊技状態が終了した後、遊技状態が時短状態に制御される。時短状態では、通常状態(確変状態や時短状態ではない状態)に比べて特別図柄の可変表示における特別図柄の変動時間が短縮される。時短状態は、例えば、所定回数(例えば、100回)の特別図柄の可変表示が実行されることと、可変表示結果が「大当り」となることのうち、いずれかの条件が先に成立したときに終了する。なお、大当り状態が終了した後に、時短状態にせずに通常状態になるようにしてもよい。
遊技状態を確変状態に制御することに決定されている場合には、大当り遊技状態が終了した後、遊技状態が確変状態に制御される。確変状態は、例えば、次に可変表示結果として大当り図柄が導出表示されるまで継続する。遊技状態を大当り遊技状態に制御することに決定されている場合に導出表示される特別図柄の停止図柄を、大当り図柄という。そして、遊技状態を大当り状態に制御しないことに決定されている場合に導出表示される特別図柄の停止図柄を、はずれ図柄という。
また、確変状態では、低確率状態(通常状態)に比べて、大当りに決定される確率が高くなっている。例えば、10倍になっている。具体的には、確変状態では、大当り判定用乱数の値と一致すると大当りにすることに決定される判定値の数が、通常状態に比べて10倍になっている。また、普通図柄表示器10の停止図柄が当り図柄になる確率が高められている。すなわち、第2始動入賞口14が開放しやすくなって、始動入賞が生じやすくなっている。具体的には、確変状態は、普通図柄当り判定用乱数の値と一致すると当りにすることに決定される判定値の数が、通常状態に比べて多い。また、普通図柄表示器10の停止図柄が当り図柄になる確率を高めることに加えて、可変入賞球装置15の開放回数または開放時間を多くしたり、可変入賞球装置15の開放回数および開放時間を多くしたりしてもよい。また、時短状態でも、普通図柄表示器10の停止図柄が当り図柄になる確率を高めたり、可変入賞球装置15の開放回数または開放時間を多くしたり、可変入賞球装置15の開放回数および開放時間を多くしたりしてもよい。
演出表示装置9は、特別図柄表示器8による特別図柄の可変表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての飾り図柄の可変表示を行う。特別図柄表示器8における特別図柄の可変表示と、演出表示装置9における飾り図柄の可変表示とは同期している。同期とは、可変表示の開始時点および終了時点が同じであって、可変表示の期間が同じであることをいう。特別図柄表示器8において大当り図柄が停止表示されるときと、演出表示装置9において大当りを想起させるような飾り図柄の組み合わせが停止表示される。
演出表示装置9の表示領域では、開始条件が成立したことにもとづいて、「左」、「中」、「右」の各図柄表示エリアにおいて飾り図柄の変動が開始され、例えば、「左」→「右」→「中」の順序で飾り図柄の停止図柄が停止表示(導出表示)される。
飾り図柄の可変表示が開始されてから「左」、「中」、「右」の各図柄表示エリアにおいて停止図柄が導出表示されるまでの期間(可変表示期間=変動時間)で、飾り図柄の可変表示状態が所定のリーチ状態となることがある。リーチ状態は、演出表示装置9の表示領域において停止表示された飾り図柄が大当り組み合わせの一部を構成しているときに未だ停止表示されていない飾り図柄の変動が継続している表示状態、または、全部もしくは一部の飾り図柄が大当り組み合わせの全部または一部を構成しながら同期して変動している表示状態である。リーチ状態における表示演出が、リーチ演出表示(リーチ演出)である。
また、図1に示すように、可変入賞球装置15の下方には、特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は開閉板を備え、特別図柄表示器8に特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって開閉板が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態になる。大入賞口に入賞した遊技球はカウントスイッチ23で検出される。
遊技領域7には、遊技球の入賞にもとづいてあらかじめ決められている所定数の景品遊技球の払出を行うための入賞口(普通入賞口)29、30、33、39も設けられている。入賞口29、30、33、39に入賞した遊技球は、入賞口スイッチ29a、30a、33a、39aで検出される。
遊技盤6の右側方には、普通図柄表示器10が設けられている。普通図柄表示器10は、普通図柄と呼ばれる複数種類の識別情報(例えば、「○」および「×」)を可変表示する。遊技球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の表示の可変表示が開始される。この実施の形態では、上下のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって可変表示が行われ、例えば、可変表示の終了時に下側のランプが点灯すれば当りとなる。そして、普通図柄表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)である場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ開放状態になる。すなわち、可変入賞球装置15の状態は、普通図柄の停止図柄が当り図柄である場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口14に遊技球が入賞可能な状態)に変化する。
普通図柄表示器10の近傍には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つのLEDによる表示部を有する普通図柄保留記憶表示器41が設けられている。ゲート32への遊技球の通過がある毎に、すなわちゲートスイッチ32aによって遊技球が検出される毎に、普通図柄保留記憶表示器41は点灯するLEDを1増やす。そして、普通図柄表示器10の可変表示が開始される毎に、点灯するLEDを1減らす。さらに、通常状態に比べて大当りとすることに決定される確率が高い状態である確変状態では、普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、可変入賞球装置15の開放時間と開放回数が高められる。また、確変状態ではないが図柄の変動時間が短縮されている時短状態(特別図柄の可変表示時間が短縮される遊技状態)でも、可変入賞球装置15の開放時間と開放回数が高められる。
遊技盤6の遊技領域7の左右周辺には、遊技中に点滅表示される装飾LED25(ランプでもよい。)が設けられ、下部には、入賞しなかった打球が取り込まれるアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上部には、所定の音声出力として効果音や音声を発声する2つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、前面枠に設けられた枠LED(ランプでもよい。)28が設けられている。
遊技機1には、遊技者が打球操作ハンドル5を操作することに応じて駆動モータを駆動し、駆動モータの回転力を利用して遊技球を遊技領域7に発射する打球発射装置(図示せず)が設けられている。打球発射装置から発射された遊技球は、遊技領域7を囲むように円形状に形成された打球レールを通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。遊技球が第1始動入賞口13または第2始動入賞口14に入り、第1始動口スイッチ13aまたは第2始動口スイッチ14aで検出された後、特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば、特別図柄表示器8において特別図柄の可変表示が開始されるとともに、演出表示装置9において飾り図柄の可変表示が開始される。
図2は、主基板31(遊技制御基板)における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図2は、払出制御基板37および演出制御基板80等、主基板31の周囲構成も含めて示されている。主基板31には、プログラムに従って遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ560が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施の形態では、ROM54およびRAM55は遊技制御用マイクロコンピュータ560に内蔵されている。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ560は1チップマイクロコンピュータとして構成されている。なお、1チップマイクロコンピュータには、少なくともCPU56のほかRAM55が内蔵されていればよく、ROM54は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は外付けであってもよい。遊技制御用マイクロコンピュータ560には、さらに、ハードウェア乱数(ハードウェア回路が発生する乱数)を発生する乱数回路503が内蔵されている。
RAM55は、その一部または全部が電源基板(図示せず)において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグなど)と未払出賞球数を示すデータはRAM55に保存される。遊技制御手段の制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータにもとづいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。また、制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータとを遊技の進行状態を示すデータと定義する。なお、この実施の形態では、RAM55の全部が、電源バックアップされているとする。
なお、遊技制御用マイクロコンピュータ560においてCPU56がROM54に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ560(またはCPU56)が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的には、CPU56がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
乱数回路503は、特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路503は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
また、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23、入賞口スイッチ29a、30a、33a、39aからの検出信号を遊技制御用マイクロコンピュータ560に与える入力ドライバ回路58も主基板31に搭載されている。また、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、および大入賞口を形成する特別可変入賞球装置20を開閉するソレノイド21を遊技制御用マイクロコンピュータ560からの指令に従って駆動する出力回路59も主基板31に搭載されている。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、特別図柄を可変表示(変動表示)する特別図柄表示器8、普通図柄を可変表示する普通図柄表示器10、特別図柄保留記憶表示器18および普通図柄保留記憶表示器41の表示制御を行う。
本実施形態では、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータで構成される。)が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ560から演出内容を指示する演出制御コマンドを受信し、飾り図柄を可変表示する演出表示装置9の表示制御を行う。
また、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段が、ランプドライバ基板35を介して、遊技盤に設けられている装飾LED25や枠側に設けられている枠LED28等の表示制御を行うとともに、音声出力基板70を介してスピーカ27からの音出力の制御を行う。
また、主基板31には、ホール管理コンピュータと通信可能な通信部42が接続されている。通信部42は、ホール管理コンピュータと通信接続され、大当り遊技状態等、各種遊技状態を示す情報を、通信部42を介してホール管理コンピュータに送信することが可能である。また、通信部42は、磁気検出器130により、磁石を使用した不正検出が判定された場合にも、不正を示す情報をホール管理コンピュータに送信する。
また、主基板31には、中継基板60を介して磁気検出器130が接続されている。本実施形態の中継基板60は、磁気検出部130の出力に基づいて、外部磁気の有無を検出する機能(後述する検出部189)と、磁気検出器130に電源を供給する機能を備えている。磁気検出器130は、遊技機1の外部から磁石をあてがう等、外部磁気による不正操作を検出するためのセンサであって、不正操作による外部磁界により発生した信号を検出部189に出力する。検出部189は、磁気検出器130からの信号に基づいて、外部磁気を検出した場合、遊技制御用マイクロコンピュータ560にエラー信号を出力する。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、エラー信号を受信した場合、演出表示装置9、スピーカ27、通信部42を使用してホールスタッフ等の管理者に対し、遊技機1に異常があったことを報知する異常報知処理を実行する。
本実施形態では、中継基板60に、外部磁気の有無を検出する検出部189を設けた形態としているが、検出部189は、磁気検出器130内部に設ける形態、あるいは、主基板560に設ける形態とすることも可能である。
図3は、中継基板77、演出制御基板80、ランプドライバ基板35および音声出力基板70の回路構成例を示すブロック図である。なお、図3に示す例では、ランプドライバ基板35および音声出力基板70には、マイクロコンピュータは搭載されていないが、マイクロコンピュータを搭載してもよい。また、ランプドライバ基板35および音声出力基板70を設けずに、演出制御に関して演出制御基板80のみを設けてもよい。演出制御基板80のみを設けた場合には、図3に示すランプドライバ基板35および音声出力基板70に搭載されている回路等も、演出制御基板80に搭載される。
演出制御基板80は、演出制御用CPU101、および演出制御プロセスフラグ等の演出に関する情報を記憶するRAMを含む演出制御用マイクロコンピュータ100を搭載している。なお、RAMは外付けであってもよい。本実施形態では、演出制御用マイクロコンピュータ100におけるRAMは電源バックアップされていない。演出制御基板80において、演出制御用CPU101は、内蔵または外付けのROM(図示せず)に格納されたプログラムに従って動作し、中継基板77を介して入力される主基板31からの取込信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバ102および入力ポート103を介して演出制御コマンドを受信する。また、演出制御用CPU101は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)109に演出表示装置9の表示制御を行わせる。
本実施形態では、演出制御用マイクロコンピュータ100と共動して演出表示装置9の表示制御を行うVDP109が演出制御基板80に搭載されている。VDP109は、演出制御用マイクロコンピュータ100とは独立したアドレス空間を有し、そこにVRAMをマッピングする。VRAMは、画像データを展開するためのバッファメモリである。そして、VDP109は、VRAM内の画像データを、フレームメモリを介して演出表示装置9に出力する。
演出制御用CPU101は、受信した演出制御コマンドに従ってCGROM(図示せず)から必要なデータを読み出すための指令をVDP109に出力する。CGROMは、演出表示装置9に表示されるキャラクタ画像データや動画像データ、具体的には、人物、文字、図形や記号等(飾り図柄を含む)、および背景画像のデータをあらかじめ格納しておくためのROMである。VDP109は、演出制御用CPU101の指令に応じて、CGROMから画像データを読み出す。そして、VDP109は、読み出した画像データにもとづいて表示制御を実行する。
演出制御コマンドおよび演出制御INT信号は、演出制御基板80において、まず、入力ドライバ102に入力する。入力ドライバ102は、中継基板77から入力された信号を演出制御基板80の内部に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80の内部から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路でもある。なお、図3に示す出力ポート571は、図2に示されたI/Oポート部57の一部である。
さらに、演出制御用CPU101は、出力ポート105を介してランプドライバ基板35に対してLEDを駆動する信号を出力する。また、演出制御用CPU101は、出力ポート104を介して音声出力基板70に対して音番号データを出力する。
ランプドライバ基板35において、LEDを駆動する信号は、入力ドライバ351を介してLEDドライバ352に入力される。LEDドライバ352は、LEDを駆動する信号にもとづいて枠LED28などの枠側に設けられている発光体に電流を供給する。また、遊技盤側に設けられている装飾LED25に電流を供給する。
音声出力基板70において、音番号データは、入力ドライバ702を介して音声合成用IC703に入力される。音声合成用IC703は、音番号データに応じた音声や効果音を発生し、増幅回路705に出力する。増幅回路705は、音声合成用IC703の出力レベルを、ボリューム706で設定されている音量に応じたレベルに増幅した音声信号をスピーカ27に出力する。音声データROM704には、音番号データに応じた制御データが格納されている。音番号データに応じた制御データは、所定期間(例えば飾り図柄の変動期間)における効果音または音声の出力態様を時系列的に示すデータの集まりである。
例えば、音番号データに応じた制御データとして、所定の期間内の効果音(音声および楽曲を含む。)のディジタルデータが音声データROM704に格納されている。ディジタルデータとして、例えばPCMデータが使用される。その場合には、1秒間の効果音が8ビット×8k(8000)=64kビットで表される。なお、ここでは、PCMデータを用いる場合を例にするが、ADPCMデータ等の他の形式のデジタル音声データを用いてもよい。
次に、遊技機1の動作について説明する。図4は、主基板31における遊技制御用マイクロコンピュータ560が実行するメイン処理を示すフローチャートである。遊技機1に対して電源が投入され電力供給が開始されると、リセット信号が入力されるリセット端子の入力レベルがハイレベルになり、遊技制御用マイクロコンピュータ560(具体的には、CPU56)は、プログラムの内容が正当か否か確認するための処理であるセキュリティチェック処理を実行した後、ステップS1以降のメイン処理を開始する。メイン処理において、CPU56は、まず、必要な初期設定を行う。
初期設定処理において、CPU56は、まず、割込禁止に設定する(ステップS1)。次に、割込モードを第2モードに設定し(ステップS2)、スタックポインタにスタックポインタ指定アドレスを設定する(ステップS3)。そして、内蔵デバイスの初期化(内蔵デバイス(内蔵周辺回路)であるCTC(カウンタ/タイマ)およびPIO(パラレル入出力ポート)の初期化など)を行った後(ステップS4)、RAM55をアクセス可能状態に設定する(ステップS5)。なお、第2モードとは、CPU56が内蔵する特定レジスタ(Iレジスタ)の値(1バイト)と内蔵デバイスが出力する割込ベクタ(1バイト:最下位ビット0)とから合成されるアドレスが、割込番地を示すモードである。
次いで、CPU56は、入力ポートを介して入力されるクリアスイッチ(例えば、電源基板に搭載されている。)の出力信号の状態を確認する(ステップS6)。その確認においてオンを検出した場合(ステップS6:Y)には、CPU56は、通常の初期化処理を実行する(ステップS10〜S13)。
クリアスイッチがオンの状態でない場合(ステップS6:N)には、遊技機1への電力供給が停止したときにバックアップRAM領域のデータ保護処理(例えばパリティデータの付加等の電力供給停止時処理)が行われたか否か確認する(ステップS7)。そのような保護処理が行われていないことを確認したら(ステップS7:N)、CPU56は初期化処理を実行する。バックアップRAM領域にバックアップデータがあるか否かは、例えば、電力供給停止時処理においてバックアップRAM領域に設定されるバックアップフラグの状態によって確認される。
電力供給停止時処理が行われたことを確認したら(ステップS7:Y)、CPU56は、バックアップRAM領域のデータチェックを行う(ステップS8)。この実施の形態では、データチェックとしてパリティチェックを行う。よって、ステップS8では、算出したチェックサムと、電力供給停止時処理で同一の処理によって算出され保存されているチェックサムとを比較する。不測の停電等の電力供給停止が生じた後に復旧した場合には、バックアップRAM領域のデータは保存されているはずであるから、チェック結果(比較結果)は正常(一致)になる。チェック結果が正常でないということは、バックアップRAM領域のデータが、電力供給停止時のデータとは異なっていることを意味する。そのような場合(ステップS8:N)には、内部状態を電力供給停止時の状態に戻すことができないので、電力供給の停止からの復旧時でない電源投入時に実行される初期化処理を実行する。
チェック結果が正常(ステップS8:Y)であれば、CPU56は、遊技制御手段の内部状態と演出制御手段等の電気部品制御手段の制御状態を電力供給停止時の状態に戻すための遊技状態復旧処理(ステップS41〜S43の処理)を行う。具体的には、ROM54に格納されているバックアップ時設定テーブルの先頭アドレスをポインタに設定し(ステップS41)、バックアップ時設定テーブルの内容を順次作業領域(RAM55内の領域)に設定する(ステップS42)。作業領域はバックアップ電源によって電源バックアップされている。バックアップ時設定テーブルには、作業領域のうち初期化してもよい領域についての初期化データが設定されている。ステップS41およびS42の処理によって、作業領域のうち初期化してはならない部分については、保存されていた内容がそのまま残る。初期化してはならない部分とは、例えば、電力供給停止前の遊技状態を示すデータ(特別図柄プロセスフラグ、確変フラグ、時短フラグなど)、出力ポートの出力状態が保存されている領域(出力ポートバッファ)、未払出賞球数を示すデータが設定されている部分などである。また、CPU56は、電力供給復旧時の初期化コマンドとしての停電復旧指定コマンドを演出制御基板80に送信する(ステップS43)。そして、ステップS47に移行する。
初期化処理(ステップS10〜S13)では、CPU56は、まず、RAMクリア処理を行う(ステップS10)。なお、RAMクリア処理によって、所定のデータ(例えば大当り判定用乱数を生成するためのカウンタのカウント値のデータ)は0に初期化されるが、任意の値またはあらかじめ決められている値に初期化するようにしてもよい。また、RAM55の全領域を初期化せず、所定のデータ(例えば大当り判定用乱数を生成するためのカウンタのカウント値のデータ)をそのままにしてもよい。また、ROM54に格納されている初期化時設定テーブルの先頭アドレスをポインタに設定し(ステップS11)、初期化時設定テーブルの内容を順次RAM55における作業領域に設定する(ステップS12)。ステップS11およびステップS12の処理によって、特別図柄プロセスフラグなど制御状態に応じて選択的に処理を行うためのフラグに初期値が設定される。
そして、CPU56は、サブ基板(主基板31以外のマイクロコンピュータが搭載された基板。)を初期化するための初期化指定コマンド(遊技制御用マイクロコンピュータ560が初期化処理を実行したことを示すコマンドでもある。)を演出制御基板80に送信する(ステップS13)。例えば、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ100は、初期化指定コマンドを受信すると、演出表示装置9において、遊技機の制御の初期化がなされたことを報知するための画面表示、すなわち初期化報知を行う。なお、初期化処理において、CPU56は、客待ちデモンストレーション指定(デモ指定)コマンドも送信する。
そして、CPU56は、乱数回路503を初期設定する乱数回路設定処理を実行する(ステップS47)。CPU56は、例えば、乱数回路設定プログラムに従って処理を実行することによって、乱数回路503にランダムRの値を更新させるための設定を行う。
そして、CPU56は、所定時間(例えば2ms)毎に定期的にタイマ割込がかかるように遊技制御用マイクロコンピュータ560に内蔵されているCTCのレジスタの設定を行なう(ステップS48)。すなわち、初期値として例えば2msに相当する値が所定のレジスタ(時間定数レジスタ)に設定される。この実施の形態では、2ms毎に定期的にタイマ割込がかかるとする。
CPU56は、メイン処理で、表示用乱数更新処理(ステップS50)および初期値用乱数更新処理(ステップS51)を繰り返し実行する。表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理を実行するときには割込禁止状態に設定し(ステップS49)、表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理の実行が終了すると割込許可状態に設定する(ステップS52)。
この実施の形態では、表示用乱数とは、変動パターン等を決定するための乱数であり、表示用乱数更新処理とは、表示用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。また、初期値用乱数更新処理とは、初期値用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。この実施の形態では、初期値用乱数とは、普通図柄の当りとするか否か決定するための乱数を発生するためのカウンタ(普通図柄当り判定用乱数発生カウンタ)等のカウント値の初期値を決定するための乱数である。後述する遊技の進行を制御する遊技制御処理(遊技制御用マイクロコンピュータ560が、遊技機1に設けられている可変表示装置、可変入賞球装置、球払出装置等の遊技用の装置を、自身で制御する処理、または他のマイクロコンピュータに制御させるために指令信号を送信する処理、遊技装置制御処理ともいう)において、大当り判定用乱数発生カウンタ等のカウント値が1周(乱数の取りうる値の最小値から最大値までの間の数値の個数分歩進したこと)すると、そのカウンタに初期値が設定される。
タイマ割込が発生すると、CPU56は、図5に示すステップS20〜ステップS35のタイマ割込処理を実行する。タイマ割込処理において、まず、電源断信号が出力されたか否か(オン状態になったか否か)を検出する電源断検出処理を実行する(ステップS20)。電源断信号は、例えば電源基板に搭載されている電源監視回路が、遊技機に供給される電源の電圧の低下を検出した場合に出力する。そして、電源断検出処理において、CPU56は、電源断信号が出力されたことを検出したら、必要なデータをバックアップRAM領域に保存するための電力供給停止時処理を実行する。次いで、入力ドライバ回路58を介して、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23、および入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aの検出信号を入力し、それらの状態判定を行う(スイッチ処理:ステップS21)。
次に、CPU56は、特別図柄表示器8、普通図柄表示器10、特別図柄保留記憶表示器18、普通図柄保留記憶表示器41の表示制御を行う表示制御処理を実行する(ステップS22)。特別図柄表示器8および普通図柄表示器10については、ステップS32、ステップS33で設定される出力バッファの内容に応じて各表示器に対して駆動信号を出力する制御を実行する。
また、遊技制御に用いられる普通当り図柄決定用の乱数等の各判定用乱数を生成するための各カウンタのカウント値を更新する処理を行う(判定用乱数更新処理:ステップS23)。CPU56は、さらに、初期値用乱数および表示用乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する処理を行う(初期値用乱数更新処理,表示用乱数更新処理:ステップS24、S25)。
なお、この実施の形態では、大当り判定用乱数(ランダムR)は遊技制御用マイクロコンピュータ560に内蔵されたハードウェアが生成する乱数であるが、大当り判定用乱数として、遊技制御用マイクロコンピュータ560によってプログラムに基づいて生成されるソフトウェア乱数を用いてもよい。
さらに、CPU56は、特別図柄プロセス処理を行う(ステップS26)。特別図柄プロセス処理では、特別図柄表示器8および大入賞口を所定の順序で制御するための特別図柄プロセスフラグに従って該当する処理を実行する。CPU56は、特別図柄プロセスフラグの値を、遊技状態に応じて更新する。
次いで、普通図柄プロセス処理を行う(ステップS27)。普通図柄プロセス処理では、CPU56は、普通図柄表示器10の表示状態を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグに従って該当する処理を実行する。CPU56は、普通図柄プロセスフラグの値を、遊技状態に応じて更新する。
また、CPU56は、演出制御用マイクロコンピュータ100に演出制御コマンドを送出する処理を行う(演出制御コマンド制御処理:ステップS28)。
さらに、CPU56は、ホール管理用コンピュータに供給される大当り情報、始動情報、確率変動情報等のデータを出力する情報出力処理を行う(ステップS29)。
また、CPU56は、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23および入賞口スイッチ29a、30a、33a、39aの検出信号にもとづく賞球個数の設定などを行う賞球処理を実行する(ステップS30)。具体的には、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23および入賞口スイッチ29a、30a、33a、39aのいずれかがオンしたことにもとづく入賞検出に応じて、払出制御基板37に搭載されている払出制御用マイクロコンピュータに賞球個数を示す払出制御コマンド(賞球個数信号)を出力する。払出制御用マイクロコンピュータは、賞球個数を示す払出制御コマンドに応じて球払出装置97を駆動する。
この実施形態では、出力ポートの出力状態に対応したRAM領域(出力ポートバッファ)が設けられているのであるが、CPU56は、出力ポートの出力状態に対応したRAM領域におけるソレノイドのオン/オフに関する内容を出力ポートに出力する(ステップS31:出力処理)。
また、CPU56は、特別図柄プロセスフラグの値に応じて特別図柄の演出表示を行うための特別図柄表示制御データを特別図柄表示制御データ設定用の出力バッファに設定する特別図柄表示制御処理を行う(ステップS32)。CPU56は、例えば、特別図柄プロセス処理でセットされる開始フラグがセットされると終了フラグがセットされるまで、変動速度が1コマ/0.2秒であれば、0.2秒が経過する毎に、出力バッファに設定される表示制御データの値を+1加算する。また、CPU56は、出力バッファに設定された表示制御データに応じて、ステップS22において駆動信号を出力することによって、特別図柄表示器8における特別図柄の可変表示を実行する。
さらに、CPU56は、普通図柄プロセスフラグの値に応じて普通図柄の演出表示を行うための普通図柄表示制御データを普通図柄表示制御データ設定用の出力バッファに設定する普通図柄表示制御処理を行う(ステップS33)。CPU56は、例えば、普通図柄の変動に関する開始フラグがセットされると終了フラグがセットされるまで、普通図柄の変動速度が0.2秒ごとに表示状態(「○」および「×」)を切り替えるような速度であれば、0.2秒が経過する毎に、出力バッファに設定される表示制御データの値(例えば、「○」を示す1と「×」を示す0)を切り替える。また、CPU56は、出力バッファに設定された表示制御データに応じて、ステップS22において駆動信号を出力することによって、普通図柄表示器10における普通図柄の演出表示を実行する。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、ステップS34の不正検出処理において、中継基板60からのエラー信号が異常状態(磁石を検出した状態)を示しているか否か確認し、エラー信号が異常状態を示していた場合、演出表示装置9、スピーカ27、通信部42等を使用して、ホールスタッフ等の管理者に対して異常を通知する異常報知処理を実行する。本実施形態では、この異常報知処理を遊技制御用マイクロコンピュータ560で実行することとしているが、異常報知処理は、演出制御用マイクロコンピュータ100等、遊技制御用マイクロコンピュータ560以外の構成を使用して実行することとしてもよい。一連の処理を実行した後、割込許可状態に設定し(ステップS35)、タイマ割込処理を終了する。
この実施形態では、遊技制御処理は2ms毎に起動されることになる。なお、遊技制御処理は、タイマ割込処理におけるステップS21〜S34(ステップS29を除く。)の処理に相当する。また、この実施の形態では、タイマ割込処理で遊技制御処理を実行しているが、タイマ割込処理では例えば割込が発生したことを示すフラグのセットのみがなされ、遊技制御処理はメイン処理において実行されるようにしてもよい。
次に、演出制御手段の動作を説明する。図6は、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段としての演出制御用マイクロコンピュータ100(具体的には、演出制御用CPU101)が実行するメイン処理を示すフローチャートである。演出制御用CPU101は、電源が投入されると、メイン処理の実行を開始する。メイン処理では、まず、RAM領域のクリアや各種初期値の設定、また演出制御の起動間隔(例えば、2ms)を決めるためのタイマの初期設定等を行うための初期化処理を行う(ステップS701)。その後、演出制御用CPU101は、所定の乱数を生成するためのカウンタのカウンタ値を更新する乱数更新処理を実行する(ステップS702)。そして、タイマ割込フラグの監視(ステップS703)を行う。タイマ割込フラグがセットされていない場合(ステップS703:N)には、ステップS702に移行する。なお、タイマ割込が発生すると、演出制御用CPU101は、タイマ割込処理においてタイマ割込フラグをセットする。タイマ割込フラグがセットされていたら(ステップS703:Y)、演出制御用CPU101は、そのフラグをクリアし(ステップS704)、ステップS705〜S706の演出制御処理を実行する。
演出制御処理において、演出制御用CPU101は、まず、受信した演出制御コマンドを解析し、受信した演出制御コマンドに応じたフラグをセットする処理等を行う(コマンド解析処理:ステップS705)。次いで、演出制御用CPU101は、演出制御プロセス処理を行う(ステップS706)。演出制御プロセス処理では、制御状態に応じた各プロセスのうち、現在の制御状態(演出制御プロセスフラグ)に対応した処理を選択して演出表示装置9の表示制御を実行する。
図7は、図6に示されたメイン処理における演出制御プロセス処理(ステップS706)を示すフローチャートである。演出制御用CPU101は、演出制御プロセス処理では、演出制御プロセスフラグの値に応じてステップS800〜S807のうちのいずれかの処理を行う。各処理において、以下のような処理が実行される。
変動パターンコマンド受信待ち処理(ステップS800):演出制御プロセスフラグの値が変動パターンコマンド受信待ち処理(ステップS800)に対応した値である場合に実行される。変動パターンコマンド受信待ち処理では、遊技制御用マイクロコンピュータ560から変動パターンコマンドを受信しているか否か確認する。具体的には、コマンド解析処理でセットされる変動パターンコマンド受信フラグがセットされているか否か確認する。変動パターンコマンドを受信している場合には、そして、演出制御プロセスフラグの値を飾り図柄変動開始処理(ステップS801)に対応した値に更新する。
飾り図柄変動開始処理(ステップS801):演出制御プロセスフラグの値が飾り図柄変動開始処理(ステップS801)に対応した値である場合に実行される。飾り図柄変動開始処理では、飾り図柄および飾り図柄の変動が開始されるように制御する。そして、演出制御プロセスフラグの値を飾り図柄変動中処理(ステップS802)に対応した値に更新する。
飾り図柄変動中処理(ステップS802):演出制御プロセスフラグの値が飾り図柄変動中処理(ステップS802)に対応した値である場合に実行される。飾り図柄変動中処理では、変動パターンを構成する各変動状態(変動速度)の切り替えタイミング等を制御するとともに、変動時間の終了を監視する。そして、変動時間が終了したら、演出制御プロセスフラグの値を飾り図柄変動停止処理(ステップS803)に対応した値に更新する。
飾り図柄変動停止処理(ステップS803):演出制御プロセスフラグの値が飾り図柄変動停止処理(ステップS803)に対応した値である場合に実行される。飾り図柄変動停止処理では、全図柄停止を指示する演出制御コマンド(図柄確定指定コマンド)を受信したことにもとづいて、飾り図柄(および飾り図柄)の変動を停止し表示結果(停止図柄)を導出表示する制御を行う。そして、演出制御プロセスフラグの値を大当り表示処理(ステップS804)または変動パターンコマンド受信待ち処理(ステップS800)に対応した値に更新する。
大当り表示処理(ステップS804):演出制御プロセスフラグの値が大当り表示処理(ステップS804)に対応した値である場合に実行される。大当り表示処理では、変動時間の終了後、演出表示装置9に大当りの発生を報知するための画面を表示する制御を行う。そして、演出制御プロセスフラグの値をラウンド中処理(ステップS805)に対応した値に更新する。
ラウンド中処理(ステップS805):演出制御プロセスフラグの値がラウンド中処理(ステップS805)に対応した値である場合に実行される。ラウンド中処理では、ラウンド中の表示制御を行う。そして、ラウンド終了条件が成立したら、最終ラウンドが終了していなければ、演出制御プロセスフラグの値をラウンド後処理(ステップS806)に対応した値に更新する。最終ラウンドが終了している場合には、演出制御プロセスフラグの値を大当り終了演出処理(ステップS807)に対応した値に更新する。
ラウンド後処理(ステップS806):演出制御プロセスフラグの値がラウンド後処理(ステップS806)に対応した値である場合に実行される。ラウンド後処理では、ラウンド間の表示制御を行う。そして、ラウンド開始条件が成立したら、演出制御プロセスフラグの値をラウンド中処理(ステップS805)に対応した値に更新する。
大当り終了演出処理(ステップS807):演出制御プロセスフラグの値が大当り終了演出処理(ステップS807)に対応した値である場合に実行される。大当り終了演出処理では、演出表示装置9において、大当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知する表示制御を行う。そして、演出制御プロセスフラグの値を変動パターンコマンド受信待ち処理(ステップS800)に対応した値に更新する。
図8は、磁気検出器130の外観を示す斜視図である。本実施形態の磁気検出器130は、6面を有する直方体形状の筐体131を有している。図8の右下に、磁気検出器130に関する座標系を定義しておく。図8のように磁気検出器130をみたとき、右方向をz軸正の方向、上方向をy軸正の方向、奥行き方向をx軸正の方向である。定義した座標系は、図9、図11、図13、図16〜図18で説明する磁気検出器130の座標系と同一である。磁気検出器130の筐体131には、中継基板60と接続するためのケーブル134を外部に導出するためのケーブル導出穴133が設けられている。本実施形態の磁気検出器130は、重力を利用する形態であるため、遊技機1内に設置する際の取付方向が重要である。そのため筐体131の側面(4面)には、取付方向マーカ132a〜132d(図中、132cと132dは見えない側面に位置している)が表示されている。この取付方向マーカ132a〜132dは、矢印形状を有しており、矢印の方向が重力方向と平行になるように遊技機1に取り付けられる。なお、取付方向を示すマーキングとしては、このように重力方向を矢印で示した取付方向マーカ132a〜132d以外に、ドットや、会社のロゴの位置等、各種形態を採用することが可能である。
図9には、図8で説明した磁気検出器130の内部を示す断面図が示されている。図9(A)は、磁気検出器130の側面中心位置について、yz平面内での断面を示したものである。図9(B)は、磁気検出器130の側面中心位置について、xy平面内での断面を示したものである。図9(C)は、図9(A)に示すB−B間の位置で切断した際、上方向から眺めたときの断面を示したものである。
本実施形態では、筐体131内部に隔壁135を設けることで、筐体131の内部を上室と下室に分離している。上室には、球形の永久磁石136が配置され、下室には、永久磁石136の位置を検出するための光センサ181、基板137等が配置されている。永久磁石136は、上室内で自由に移動可能であり、外部磁気の影響を受けて移動する。本実施形態では、永久磁石136の形状を球形としたが、永久磁石136は、移動(転がり)可能な形状であれば、円筒形状等、各種形状を採用することが可能である。隔壁135は、その中心が、凹んだすり鉢形状となっている。したがって、磁気検出器130を水平に設置し、かつ外部磁気の影響を受けない状態(通常状態という)では、永久磁石136は、場の作用力(重力)により、隔壁135の中心(基準位置)に位置する。また、隔壁135の中心位置には、穴135aが設けられており、下室に設置された光センサ181により、永久磁石136の位置を検出することが可能となっている。基準位置では、球形の永久磁石136は、その下面一部を穴135aに嵌った状態とすることで、安定して保持することが可能となっている。このように、通常状態において、永久磁石136を基準位置に位置させる隔壁135(本発明における「保持手段」に相当)の形状は、すり鉢形状のみならず、通常状態において、重力による場の採用によって、永久磁石136を基準位置に位置させる傾斜を有する形状であれば、各種形状を採用することが可能である。また、図9に示す形態では、図9(c)を見て分かるように、永久磁石136は、xz平面内において自由に移動可能となっているが、隔壁135の形状をU字状の溝形状とすることで、一方向に移動可能(例えば、z軸方向には移動可能とし、x軸方向については移動できないような形状とする)こととしてもよい。また、永久磁石136の形状は、球形に限定されるものではなく、円筒形状等、各種形状を採用することが可能であることは、先に述べたが、使用する永久磁石136の形状に合わせて、隔壁135の形状も適宜選択される。例えば、永久磁石136の形状を円筒形状とした場合、U字状の溝形状とすることで、通常状態では、場の作用力(重力)により、永久磁石136を基準位置に位置させ、外部磁気が作用しているときには、基準位置と異なる位置に移動させることが可能となる。
このように場の作用力(重力)を使用する場合、隔壁135の傾斜が、永久磁石136の移動しやすさに関係することになる。すなわち、隔壁135の傾斜を緩くすることで、永久磁石136は、外部磁気の作用によって移動しやすくなる。一方、隔壁135の傾斜をきつくすることで、永久磁石136は、外部磁気の作用によって移動しにくくなる。したがって、隔壁135の傾斜によって、外部磁気による永久磁石136の移動のしやすさ、ついては、磁気検出器130による外部磁気の検出感度を変更することが可能である。隔壁135の傾斜は、このような検出感度を考慮して決定される。また、隔壁135の傾斜は、機械的に変更可能とすることとしてもよい。隔壁135の傾斜を機械的に変更することで、使用する遊技機1の機種や、磁気検出器130の取り付け状態等にあった感度に調整することが可能となる。さらに、図9の実施形態のように筐体131の、4つの側面を取り付け可能とする場合、隔壁135の中心位置から、各方向に対する隔壁135の傾斜を異ならせることで、磁気検出器130の各方向に対する感度を変更することも可能となる。磁気検出器130を遊技機1に取り付ける際には、所望の感度を有する側面を遊技機1に沿わせて取り付けることで、外部磁気を検出する感度に変更することが可能となる。このような形態では、筐体131の表面には、取付方向マーカ132a〜132dと同様に、取付状態に対応する感度を示す表示を行うことが好ましい。
さらに、穴135aの上面には、穴135aの周囲を切り欠いたザグリ135bが設けられており、通常状態において永久磁石136をさらに安定して保持するようなっている。遊技機1の機種によっては、磁気検出器130を平行に設置できない、すなわち、多少傾いて設置しなくてはならない場合がある。このよう、にザグリ135bを設けることで、磁気検出器130が多少傾いて設定された場合においても、永久磁石136を初期位置に安定して保持することが可能となっている。永久磁石136を安定して保持する手法としては、このようにザグリ135bを設ける形態以外に、穴135aの周囲に突起を設けることとしてもよい。永久磁石136が初期位置から移動するには、突起を乗り越える必要があるため、多少の傾きにおいても永久磁石136を初期位置に保持することが可能となる。
筐体131の下室には、永久磁石136の位置を検出するための各種構成が配置されている。穴135aの直下には、永久磁石136の位置を検出するための光センサ181が配置されている。光センサ181は、LED等の発光素子182と、受光素子183を有している。通常状態では、図9(A)〜(C)に示すように、永久磁石136は初期位置に位置しており、穴135aを塞いだ状態となっている。このような状態において、発光素子182から放射された光は、永久磁石136の底面で反射し、反射光が受光素子183にて検出されることになる。一方、外部磁気の影響を受け、上室内で永久磁石136が移動した状態(外部磁気作用状態)では、穴135aは開放状態となる。したがって、発光素子182から放射された光は、そのまま戻ってくることなく、受光素子183では反射光が検出されないことになる。このように本実施形態では、永久磁石136での光の反射により、永久磁石136の位置を検出している。なお、反射光以外の誤検出を抑制するため、筐体131は外部光が侵入しないように密閉状態とすることが好ましい。また、発光素子182から放射された光が、永久磁石136以外で反射することを抑制するため、筐体131の内面は、黒色に塗装するなど遮光性を持たせることが好ましい。
光を使用して永久磁石136の位置を検出する形態としては、永久磁石136を挟んで、発光素子182と受光素子183を設置する形態も考えられる。このような形態では、受光素子183は、永久磁石136が初期位置にある場合、発光素子182からの光を受光せず、永久磁石136が移動し、穴135aが開放されることで、発光素子182からの光を受光することで、永久磁石136が移動したことを検出することになる。このような形態では、永久磁石136を挟んで発光素子182と受光素子183を設置する必要がるため筐体131が大きくなることが考えられる。本実施形態のように永久磁石136の反射光を利用することで、発光素子182と受光素子183を同じ側に位置させることが可能となり、筐体131の小型化を図ることが可能となっている。
筐体131の下室には、光センサ181の他、光センサ181の信号を処理するための各種回路を設置する基板137が配置されている。図10には磁気検出器130の基板137、及び、中継基板60の回路構成が示されている。磁気検出器130は、筐体131の外部に設置された中継基板60とケーブル134を介して接続される。中継基板60には電源電圧が印加され、ケーブル134を介して磁気検出器130に電源供給を行う。光センサ181では、発光素子182に対して、抵抗185を介して適切な電圧が印加され発光素子182を点灯させる。通常状態では、受光素子183は、永久磁石136の反射光を受光し、増幅器184に電流を流す。増幅器184は、スイッチとしてのトランジスタ186を導通状態とし、A/D変換器188に負荷187で分配された電源電圧を印加する。一方、外部磁気影響状態では、発光素子182から放射された光は、受光素子側には戻ってこないため、トランジスタ186は非導通状態となり、A/D変換器188には電源電圧が印加されない状態となる。
A/D変換器188では、永久磁石136の位置によって変化する電圧値を2値化して出力する。本実施形態では、永久磁石136が初期位置にあるときの値を「1」、初期位置から外れたときの値を「0」として出力する。A/D変換器188の出力値は、ケーブル134を介して中継基板60へと出力される。中継基板60に設置された検出部189では、A/D変換器188の出力値に基づいて外部磁気の発生の有無を検出し、主基板31に出力する。本実施形態では、検出部189を中継基板60に設置することとしているが、検出部189は磁気検出器130内部に設けることとしてもよい。あるいは、主基板31に検出部189の機能を持たせることとしてもよい。
図11は、遊技機1に対する磁気検出器130の取付形態を示す図である。本実施形態では遊技盤6の背面に磁気検出器130を配置する形態としている。図9(C)から分かるように、本実施形態の永久磁石136は、zx平面内で自由に移動することが可能である。したがって、筐体131のどの側面を遊技盤6の背面に沿わせても外部磁気を検出することが可能となっている。また、通常状態で永久磁石136を初期位置に位置させるため、磁気検出器130は、取付方向マーカ132aを重力方向(Y軸負の方向)に向けて配置される。なお、本実施形態では、磁気検出器130を遊技盤6の裏面に取り付けているが、磁気検出器130は小型であるため、遊技盤6の前面に設置することも可能である。その場合、遊技盤6の装飾物内に、磁気検出器130を組み込むことが考えられる。前面に磁気検出器130を設置することで、外部磁気検出感度の向上を図ることが可能である。
図12は、図11の磁気検出器130の設置状態における外部磁気の有効検出範囲を示す図であり、遊技機1を前面から見たときの図である。有効検出範囲Dは、磁気検出器130を中心として所定半径の外部磁気を検出することが可能である。本実施形態では、アウト口26周辺の外部磁気を検出するように、磁気検出器130が配置されている。磁石を使用した不正行為としては、アウト口26周辺で遊技球を磁石で吸引することで、アウト口26に入らせないようにし、アウト口26周囲に複数の遊技球を積み重ねることで、入賞口に遊技球を投入させる行為がある。本実施形態の磁気検出器130は、このようなアウト口26周辺での不正行為を検出するため、アウト口26周辺の外部磁気を検出するように配置されている。本実施形態の磁気検出器130は、コイル等を使用した磁気検出器と比較して、有効検出範囲は小範囲であるものの、部品点数の少なさ、構成の簡単さ等により、安価、小型に製造することが可能であり、このようなアウト口26周辺の外部磁気検出に適している。
磁気検出器130を使用した不正検出処理について説明する。図13は、外部磁気が作用している際の磁気検出器130の断面図である。図9(A)の通常状態では、永久磁石136は、初期位置(穴135aの直上)に位置しており、受光素子183は、永久磁石136からの反射光を受光する。すなわち、図9(A)の通常状態では、A/D変換器188の出力は「1」である。一方、図13に示すように、外部磁石Mが接近することで、永久磁石136が外部磁石Mに吸い寄せられ、初期位置から移動した場合、穴135aは開放状態となり、発光素子182から放射された光は、受光素子183に戻ってこない状態となる。このように外部磁石Mによる外部磁気作用状態では、A/D変換器188の出力は「0」となる。このように本実施形態の磁気検出器130は、筐体131内部に封入された永久磁石136の移動により、外部磁気を検出することが可能となっている。
図14には、不正検出処理を示すフローチャートが示されている。この不正検出処理は、図5で説明した主基板31で行われるタイマ割込処理中、ステップS34にて実行される処理であり、外部磁気による不正行為を検出するための処理である。主基板31は、中継基板60(検出部189)からの出力信号を監視し、中継基板60からエラー信号が磁気検出に対応する状態(例えば、ハイレベル)になっているか否かを確認する(ステップS901)。なお、以下、エラー信号が磁気検出(磁石検出)に対応する状態になっていることをエラー信号が出力されているといい、エラー信号が磁界未検出(磁石未検出)に対応する状態(例えば、ローレベル)になっていることをエラー信号が出力されていないという。
エラー信号が出力されている場合(ステップS901:Y)には、異常が検知されたことを報知するための異常報知処理(ステップS902〜S904)を実行する。本実施形態では、異常報知処理として、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、演出制御基板80に対し、例えば「磁石発見」を示す画像や異常検出の旨を示す画像を演出表示装置9に表示する制御を行う(ステップS902)。また、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、演出制御基板80に対し、異常報知音に対応する音番号データを音声出力基板70に出力させ、スピーカ27から異常報知音が出力させる(ステップS903)。また、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、異常が検知された遊技機1の識別情報等を含む情報を、通信部42を介してホール管理コンピュータに送信する(ステップS904)。そして、異常報知中フラグをセットする(ステップS905)。なお、セットされた異常報知中フラグは、ホールスタッフ等の管理者の操作等により解除されるまで、セットされた状態が維持される。
以上のような異常報知処理によって、遊技球をアウト口26周辺に留まらせる等の不正行為に使用される可能性がある外部磁石検出された場合には、遊技機1において、演出表示装置9において異常を示す状態が表示されるとともに、スピーカ27から異常報知音が出力される。そして、ホール管理コンピュータに対しても通報が行われる。
なお、磁気検出器130からエラー信号が出力されたときに実行する異常報知処理としては、演出表示装置9のみを用いて異常報知を行うことや、スピーカ27のみを用いて異常報知を行う等、適宜形態を採用することが可能である。また、他の演出装置(例えば、LED等の発光体)を用いて異常報知を行うことや、演出表示装置9やスピーカ27と、他の演出装置(例えば、LED等の発光体)とを併用してもよい。
また、この実施の形態では、磁気検出器130からエラー信号が出力されると、ホールスタッフ等の管理者の操作により異常報知中フラグが解除されるまで、異常報知処理は継続して実行される。異常報知処理は、この他、遊技機1に対する電力供給が停止されるまで継続して実行する、あるいは、磁気検出器130からのエラー信号の出力が無くなると(エラー信号が磁界未検出(磁石未検出)に対応する状態になると)、異常報知を終了する等、各種継続の形態を採用することが可能である。
磁気検出器130の出力値に基づく外部磁気発生の検出について説明する。図15は、各種状態における磁気検出器130(A/D変換器188)の出力値の時間変化を示す図である。図15(A)は、通常状態、すなわち、永久磁石136が初期位置に位置しているときのA/D変換器188の出力値を示した図である。通常状態では、発光素子182から放射された光は、永久磁石136で反射して受光素子183で受光される。したがって、A/D変換器188の出力値は、常に「1」となる。図15(B)は、外部磁石M等を近づけたときの外部磁気影響状態である。外部磁気により永久磁石136が、筐体131の上室内を移動することで、隔壁135に形成された穴135aが開放状態となり、受光素子183にて反射光を受光しなくなることで、A/D変換器188の出力値を「0」にする。
中継基板60の検出部180では、A/D変換器188の出力値に基づいて、外部磁気の有無を検出する。ところで永久磁石136は、外部磁気以外の要因、例えば振動等によって、初期位置から移動することが考えられる。そのため、検出部180では、A/D変換器188の出力値が「0」となった時間長Tに基づいて、外部磁気の検出を行うこととしている。振動等、外部磁気以外の要因によって永久磁石136が移動する場合、外部磁気の場合と比較して、短時間であることが予想される。本実施形態では、このような特徴に基づき、検出部180は、A/D変換器188の出力値が「0」となった時間長Tが閾値Aを上回ったことを条件として、外部磁気が発生している、すなわち、外部磁石を使用した不正処理が行われていることを検出する。一方、A/D変換器188の出力値が「0」となった時間長Tが閾値Aを下回っている場合には、振動等、外部磁気以外の要因である可能性が高いため、外部磁気が発生しているとは検出しないこととしている。このような形態では、外部磁気が発生していることを検出するための閾値Aを変更することで、磁気検出器130の感度を調整することが可能となる。図10の回路例では、検出部189に感度設定用のつまみを設ける、あるいは、検出部189に感度調整用の信号を入力することにより、閾値Aを変更することが考えられる。また、主基板31に検出部189を設ける、あるいは、検出部189の機能を持たせる場合、主基板560で実行されるプログラムで閾値Aをあらかじめ設定しておくことが考えられる。あるいは、主基板560で実行されるプログラムにより閾値Aを変更可能なようにしてもよい。
図15(B)の場合、T1(あるいはT2)>閾値Aとなっている場合、検出部189は、主基板31に対して、外部磁気が発生している旨を示すエラー信号を出力する。一方、図15(C)のように、T3〜T6のいずれもが閾値Aを下回っている場合、検出部189は、主基板31に対して、外部磁気が発生している旨のエラー信号を出力しない。なお、A/D変換器188の出力値が「0」となった時間長Tが閾値Aを下回っている場合、検出部189は、振動が発生している旨のエラー信号を、主基板31に出力することとしてもよい。エラー信号を受け取った主基板31では、外部磁気の発生、もしくは、振動の発生を分別して報知することが可能となる。振動を検出することで、遊技者が、故意に遊技機1を叩く等の行為を検出することが可能となる。なお、振動を検出する際には、A/D変換器188の出力値が「0」となった時間長Tが、閾値Aが所定期間内に所定回数(例えば、B回)以上発生したことを条件とすることとしてもよい。
以上、本実施形態の磁気検出器130では、永久磁石136の位置を検出するという簡単な構成によって、外部磁気の検出を行うことが可能である。このような形態では、外部磁気を検出可能とする有効検出範囲は、コイルを使用した磁気検出器と比較して小範囲となるものの、部品点数の少なさ、構成の簡単さによって、小型で安価な外部磁気の検出手段とすることが可能である。本実施形態では、すり鉢形状の隔壁135上に載置することで、球形の永久磁石136を初期位置に保持する形態としているが、永久磁石136の保持形態としては、各種形態としてはこのような形態以外に各種形態を採用することが考えられる。
図16は、他の実施形態における磁気検出器130の内部を示す断面図である。磁気検出器130の外観は、図8と同様である。図16(A)は、磁気検出器130の側面中心位置について、yz平面内での断面を示したものである。図16(B)は、図16(A)に示すB−B間の位置で切断した際、上方向から眺めたときの断面を示したものである。図9の実施形態では、永久磁石に作用する重力(場の作用力)によって、永久磁石136を初期位置に位置させていた。それに対し、図16に示す実施形態では、永久磁石136に接続された付勢手段(この場合、弾性体139a〜139d)によって、永久磁石136を初期位置に位置させている。4つの弾性体139a〜139dは、永久磁石136と筐体131の内面に接続されており、永久磁石136に外部磁気が影響しない状態では、永久磁石136は、穴138aを塞いだ状態となる。一方、永久磁石136に外部磁気が影響することで、永久磁石136は、破線で示すように移動し、穴138aを開放する。穴138aが開放された状態では、前の実施形態と同様、受光素子183により反射光を受光しない状態となることで、永久磁石136が移動したことを検出する。
前述の実施形態では、永久磁石136は、スムースな転がりを必要とするため球形としていたが、本実施形態の永久磁石136は円筒形状となっている。図16(B)に示すように、永久磁石136を上方から見たときに円形形状とすることで、どの方向に対して永久磁石136が移動した場合においても、穴138aを開放するために必要な永久磁石136の移動量を一定にしており、永久磁石136がどの方向に移動した場合においても、穴138aを開放するための感度を一定に保つことを可能としている。
図17は、他の実施形態における磁気検出器130の内部を示す断面図である。磁気検出器130の外観は、図8と同様である。図17(A)は、磁気検出器130の側面中心位置について、yz平面内での断面を示したものである。図17(B)は、図17(A)に示すB−B間の位置で切断した際、上方向から眺めたときの断面を示したものである。また、図16の実施形態では、弾性体139a〜139dに作用する弾性力(付勢手段による作用力)によって、永久磁石136を初期位置に位置させていた。図17に示す実施形態は、図9の実施形態と同様、永久磁石136に作用する重力(場の作用力)によって、永久磁石136を初期位置に位置させるものであり、永久磁石136を振り子状に吊り下げることで、初期位置に位置させることとしている。永久磁石136は、筐体131の上面と吊り下げ部141を介して接続されている。吊り下げ部141には、糸やワイヤ等が使用され、永久磁石136を振り子状に移動させることが可能である。永久磁石136に外部磁気が影響しない状態では、永久磁石136は、穴138aの上方に位置し、穴138aを塞いだ状態となる。一方、永久磁石136に外部磁気が影響することで、永久磁石136は、破線で示すように移動し、穴138aを開放する。穴138aが開放された状態では、前の実施形態と同様、受光素子183により反射光を受光しない状態となることで、永久磁石136の移動したことを検出する。
以上、磁気検出器130において永久磁石136を初期位置に保持する保持手段としては、図9、図17で説明したような重力などの場の作用力、あるいは、図16の実施形態で説明したような弾性力などの付勢手段による作用力を使用することが可能である。
図12で説明したように、本実施形態の磁気検出器130は、コイルを使用した磁気検出器と比較して、有効検出範囲が小範囲であるため、アウト口26周辺などでの不正行為検出に有効である。また、有効検出範囲が小範囲であるため、遊技盤6の全域における不正行為検出には役不足となる場合がある。したがって、コイル等を使用した他のタイプの磁気検出器と組み合わせることで、他のタイプの磁気検出器が検出できない範囲を補助する構成としてもよい。
図18には、複数の磁気検出器を併用した場合の有効検出範囲を説明するための図が示されている。図18(A)は遊技機1を前面から見たときの図であり、図18(B)は遊技機1を背面から見たときの図である。図18(B)に示すように、背面には、本実施形態の磁気検出器130と、コイルなどを使用した本実施形態とは異なるタイプの磁気検出器140a、140bが配置されている。磁気検出器140a、140bは、それぞれ外部磁気の有効検出範囲E1、E2を有している。また、磁気検出器130は、外部磁気の有効検出範囲Dを有している。磁気検出器140a、140bは、磁気検出器130と比較して広い有効検出範囲を有するが、構成の複雑さ等を理由として高価となることが予想される。図18(A)から分かるように、2つの磁気検出器140a、140bの配置では、ちょうどアウト口26近傍が有効検出範囲E1、E2から外れることになる。本実施形態では、2つの磁気検出器140a、140が検出できないアウト口26周辺の外部磁気を検出するため、磁気検出器130を補助的に使用することとしている。
このような配置形態では、磁気検出器140a、140bの有効検出範囲内に磁気検出器130が位置することになる。磁気検出器130は、永久磁石136を有しているため、永久磁石136から発生した磁気が磁気検出器140a、140bに作用することが考えられる。このような場合、遊技機1の電源投入時において、磁気検出器140a、140bは、磁気検出器130の永久磁石136による磁気を、地磁気等と同様、設置環境に基づく初期値として設定することで、永久磁石136による誤検出を防止することが可能となる。また、永久磁石136に作用する僅かな外部磁気を検出することも可能である。すなわち、永久磁石136に外部磁気が作用した場合、永久磁石136が穴138aを開放しない程度に移動する、あるいは、永久磁石136が回転することが考えられる。このような場合、永久磁石136の移動、回転などに基づく磁界変化を磁気検出器140a、140bで検出することが可能となる。このように、磁気検出器140a、140bの有効検出範囲E1、E2内に磁気検出器130を位置させることで、間接的に外部磁気を検出することが可能となる。
以上、各種実施形態について説明を行ったが、本実施形態の磁気検出器130、また、磁気検出器130を備えた遊技機1では、永久磁石136の位置を検出するという簡単な構成で、不正行為などによる外部磁気の発生を検出することが可能である。したがって、従来のコイル等を使用したタイプの磁気検出器と比較して、コストを抑えるとともに、小型化を図ることが可能である。
本実施形態では、永久磁石136の位置を検出するため、光センサ181を使用しているが、永久磁石136の位置を検出する手段には各種形態を採用することが可能である。例えば、永久磁石136が接触するスイッチなど、機械的手段を使用することとしてもよい。なお、機械的手段と比較して、光センサ181は、非接触で永久磁石136の位置を検出できるため、耐久性において有利である。また、非接触で永久磁石136の位置を検出する手段としては、光センサ181のように光を使用する形態以外に、超音波など音を使用する形態も考えられる。なお、音を使用する形態においては、磁気検出器130の筐体131の内面に遮音性を持たせ、誤検出を抑制することが好ましい。