JP2016082161A - 気相成長装置および均熱板 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板の温度分布を均一とすることができる気相成長装置の実現。【解決手段】気相成長装置には、基板6をフェイスダウンに保持するためにトレイ2が設けられている。均熱板1の基板6側となる表面1aには、その表面1aに対して垂直方向に突出した3つの突起部10が設けられている。突起部10は均熱板1の外周に沿って120°間隔で配置されていて、均熱板1の中心に対して3回対称な配置となっている。基板6上には、突起部10のみを接触させて均熱板1が置かれている。よって、均熱板1と基板6との間に空間が生じている。また、トレイ2と均熱板1とは接触させていない。【選択図】図2
Description
本発明は、フェイスダウン型の気相成長装置に関する。特に、均等に基板を加熱するための均熱板に特徴を有する。
基板上にIII 族窒化物半導体などの薄膜を形成する方法として、MOCVD(有機金属気相成長)法などの気相成長法が広く用いられている。気相成長装置として、基板の成長面が鉛直下方となるように保持して成長させるフェイスダウン型の気相成長装置が知られている。
フェイスダウン型の気相成長装置では、基板上に均熱板を接触させて配置し、加熱装置によって均熱板を介して基板を加熱することで、基板の面内温度分布が均一になるようにしている。これにより成長させる薄膜の均質性を高めている。
特許文献1では、基板を保持するトレイに段差を設けてそこに均熱板を配置し、均熱板と基板との間に空間が生じるようにしている。また、均熱板にストライプ状に溝を設けることで基板の面内温度分布が均一となるようにしている。
しかし、基板上に均熱板を接触させて置くと、基板と均熱板との間に雑晶などの異物が入ったり、加熱による基板や均熱板の変形などにより、基板と均熱板が接触しない領域が生じ、均熱板から基板への熱伝導にばらつきが生じる問題があった。その結果、基板の面内温度分布が均一とならず、基板に成膜する半導体薄膜の品質も均一とならなかった。
また、特許文献1では、トレイと均熱板が接触しているため、トレイや均熱板の形状の誤差や、サセプタと均熱板の接触部分に異物(雑晶などのゴミ)が入ることなどにより、均熱板と基板の距離にばらつきを生じることがある。そのようなばらつきがあると、基板の面内温度分布が均一とならないため調整が必要となる。しかし、特許文献1の方法では、均熱板と基板の距離を一定とするために調整を必要とする部分が多く、容易に調整することができなかった。また、均熱板にストライプ状に溝を形成する方法も同様に調整が容易でない。
そこで本発明は、基板の面内温度分布を均一とすることができる気相成長装置を実現することである。
本発明は、基板の成長面側を鉛直下方にしてその成長面を露出した状態で保持するトレイと、基板の上部に配置され、基板の温度分布の均一化を図る均熱板と、均熱板の上部に配置された加熱装置と、を有した気相成長装置において、均熱板は、単一または複数の突起部の集合である突起構造を3つ以上有し、基板上に突起構造を接触させて均熱板を置いた、ことを特徴とする気相成長装置である。
本発明の他の態様は、フェイスダウン型の気相成長装置において用いられ、基板上に配置して基板を均等に加熱する均熱板であって、基板側の表面に3つの突起構造を有し、突起構造は、均熱板の中心に対して3回対称に配置されている、ことを特徴とする均熱板である。
突起構造を構成する突起部の形状は、円錐台、角錐台、円柱、角柱などである。基板上に突起構造を介して均熱板を安定して載せることのできるのであれば、突起部の形状は任意の形状であってよい。
突起構造は、均熱板の中心に対して対称な配置とするのがよい。基板の面内温度分布の均一性を高めるとともに、基板上の均熱板の姿勢の安定性を高めるためである。特に、n個(nは3以上の自然数)の突起構造を均熱板の中心に対してn回対称に配置することが望ましい。特に、3つの突起構造を均熱板の中心に対して3回対称に配置する(つまり正三角形の頂点位置に対応するような配置とする)ことが最も望ましい。基板上に均熱板を安定して配置するために必要な最小の数となり、突起構造と基板との接触面積の総計が最も少なくなるためである。
突起部の高さは、100μm以上とすることが望ましい。100μm以上とすると、基板の面内温度分布を1℃以下とすることができ、基板に成膜する薄膜の均質性を大きく改善することができる。また、突起部の高さが300μmより大きいと加熱効率が低下し、基板上の均熱板の安定性も低下するので300μm以下とすることが望ましい。より望ましくは200μm以下、さらに望ましくは120μm以下である。なお、各突起部の高さは必ずしも等しくなくてもよく、基板の面内温度分布が均一となるように各突起部の高さが調整されていればよい。
突起部の上面の直径(上面が円以外の形状である場合にはその外接円)は、なるべく小さくすることが好ましい。上面の直径が大きいと基板との接触面積が大きくなり、加熱時にその接触領域は基板の他の領域よりも温度が高くなり、基板の面内温度分布の均一性が悪くなるためである。特に、上面の直径は400μm以下とすることが望ましい。突起部の接触する位置と基板の中央部との温度差を1℃以下とすることができ、基板に成膜する薄膜の均質性を大きく改善することができる。より望ましくは300μm以下である。ただし、上面の直径が小さすぎると、突起部の欠けなどのおそれがあり、また基板に対して均熱板の位置が不安定となる可能性があるため、100μm以上とすることが望ましい。より望ましくは200μm以上である。
均熱板とトレイは接触していてもよいが、非接触とするのが望ましい。均熱板をトレイに接触させて配置すると、トレイの加工誤差などに起因して均熱板と基板との距離に誤差が生じ、基板の面内温度分布の均一性の調整が難しくなるためである。
突起構造は、1つの主たる突起部に隣接して予備の突起部が1つないし複数設けられた構造であってもよい。予備の突起部を設けることで、主たる突起部が破損等した場合でも基板上に均熱板をそのまま保持することができる。また、突起構造は、1つの突起部のみからなる構造であってもよい。
本発明は、有機金属気相成長装置に特に有効である。有機金属気相成長装置によってIII 族窒化物半導体などを成膜する際、組成比や結晶性は成長温度に対して敏感に変わるため、本発明を用いれば組成比等の面内ばらつきをより抑制できる。
本発明の気相成長装置によれば、突起部を介して基板上に均熱板を配しているため、均熱板と基板との間に空間が生じ、基板を均一に加熱することができる。その結果、基板の面内温度分布を均一にすることができる。また、突起部の高さにより基板と均熱板の距離を容易に調整することができる。また、本発明の均熱板をフェイスダウン型の気相成長装置に用いれば、基板を均一に加熱することができる。
以下、本発明の具体的な実施例について図を参照に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
図1は、実施例1の気相成長装置の構成を示した図である。図1のように、実施例1の気相成長装置は、均熱板1と、トレイ2と、ヒータ3と、サセプタ4と、フローチャンネル5と、を有している。また、図2はトレイ2部分を拡大して示した図である。
図1、2のように、実施例1の気相成長装置はフェイスダウン型である。すなわち、基板6は成長させる側の面(成長面6a)が鉛直下方となるように保持されている。基板6をフェイスダウンに保持するためにトレイ2が設けられており、複数のトレイ2がサセプタ4に配置されている。そして、その基板6の成長面6a側下方にフローチャンネル5によってガス流路8が形成されている。ヒータ3によって均熱板1を介して基板6を加熱しながら、成長面6a側にキャリアガスと原料ガスとの混合ガスを流すことにより、基板6の成長面6aに種々の半導体薄膜を形成することができる。
次に、実施例1の気相成長装置の各構成について、より詳細に説明する。
まず、均熱板1の構成について詳細に説明する。図3は、均熱板1の構成を示した図である。図3(b)は均熱板1の断面図、図3(a)は均熱板1の基板6側から見た平面図である。図3のように、均熱板1は、SiCからなる厚さ5mm、直径160mmの円盤状である。
均熱板1の材料はSiC以外にもBN、AlN、Al2 O3 、カーボン、などを用いることができる。それらをカーボンなどの表面にコーティングした部材であってもよい。また、ヒータ3によって均熱板1を介して効率的に基板6を加熱するためには、均熱板1の厚さを4〜6mmとするのがよい。
均熱板1の基板6側となる表面1aには、その表面1aに対して垂直方向に突出した3つの突起部10が設けられている。突起部10は、均熱板1の表面1aを削り出して形成したものである。したがって、均熱板1と同一材料であり、均熱板1と突起部10は一体化している。これにより、均熱板1に容易に突起部10を設けることができる。ただし、突起部10を均熱板1とは異なる材料によって構成してもよい。たとえば、均熱板1よりも熱伝導率の小さな材料により突起部10を構成することで、均熱板1から突起部10を介して基板6へ熱伝導するのを抑制することができ、基板6の面内温度分布をより均一にすることができる。
突起部10は、図3(b)のように、均熱板1の外周に沿って120°間隔で配置されていて、均熱板1の中心に対して3回対称な配置となっている。つまり、正三角形の頂点位置に対応して配置されている。均熱板1の中心から突起部10までの距離は68mmである。
図4は、突起部10の構成を示した図である。突起部10は円錐台状であり、高さHは100μm、下面(均熱板1と接する側の面)10aが直径600μmの円、上面(均熱板1と接する側とは反対側の面)10bが直径300μmの円である。
均熱板1は、基板6上に突起部10の上面10bを接触させて載せられている。均熱板1の他の領域は基板6に接触していない。これにより、突起部10によって均熱板1と基板6との間に空間が生じ、均熱板1と基板6との距離はほぼ一定となっている。また、平面視において均熱板1の中心と基板6の中心がおよそ一致するように配置されている。
なお、突起部10の高さHや上面10bの直径r(言い換えれば基板6との接触面積)は、実施例1に示した値に限るものではなく、任意の値とすることができるが、以下のような範囲とすることが望ましい。
突起部10の高さHは、80μm以上とすることが望ましい。80μm以上とすると、基板6の面内温度分布を1℃以下とすることができるためである。1℃以下とすると、III 族窒化物半導体からなる発光素子を製造する際に歩留りを大きく改善することができる。より望ましくは100μm以上である。また、突起部10の高さHが300μmより大きいと加熱効率が低下し、基板6上の均熱板1の姿勢の安定性も低下するので300μm以下とすることが望ましい。より望ましくは200μm以下、さらに望ましくは120μm以下である。各突起部10の高さHは必ずしも等しくなくてもよい。基板6の面内温度分布が均一となるように各突起部10の高さHが調整されていればよい。
また、上面10bの直径rは、なるべく小さくすることが好ましい。上面10bの直径rが大きいと基板6との接触面積が大きくなり、加熱時にその接触領域は基板6の他の領域よりも温度が高くなり、基板6の面内温度分布の均一性が悪くなるためである。特に、上面10bの直径rは400μm以下とすることが望ましい。突起部10の接触する位置と基板6の中央部との温度差を1℃以下とすることができ、基板6の面内温度分布の均熱性が高まるからである。より望ましくは300μm以下である。ただし、上面10bの直径rが小さすぎると、突起部10の欠けなどのおそれがあり、また基板6に対して均熱板1の位置が不安定となる可能性があるため、100μm以上とすることが望ましい。より望ましくは200μm以上である。
また、突起部10の形状は、実施例1では円錐台としたが、角錐台、円柱、角柱などの形状であってもよい。要は、基板6上に均熱板1を安定して配置できるような形状であれば任意の形状であってよい。角錐台や角柱とする場合には、上記「上面10bの直径r」は、多角形である上面の外接円の直径と考えればよい。
また、突起部10は、基板6上に均熱板1を安定して配置するためには3つ以上必要であるが、3つ以上であれば任意の数でよい。また、3つ以上の突起部10が一直線状に配置される場合を除いて任意の配置としてよい。ただし、なるべく対称な配置とするのが好ましい。面内温度分布の均一性を高めるとともに、基板6上の均熱板1の安定性を高めるためである。特に、n個の突起部10を均熱板1の中心に対してn回対称(nは3以上の自然数)な配置とすることが望ましい。たとえば、実施例1に示した正三角形の他、正方形、正六角形など正多角形の頂点位置に対応して突起部10を配置とすることが望ましい。特に、実施例1の均熱板1のように、3つの突起部10を均熱板1の中心に対して3回対称に配置することが最も望ましい。突起部10の数が基板6上に均熱板1を安定して支持するために必要な最小の数となり、突起部10と基板6との接触面積の総計が最も少なくなるためである。
また、突起部10は均熱板1の中心からなるべく離れた位置に設けるのがよい。突起部10を介して均熱板1から基板6へ伝導する熱の影響をなるべく低減するためである。たとえば、中心から突起部10までの距離が、均熱板1の半径の0.8倍以上0.95倍以下の位置とする。
次に、トレイ2の構成について説明する。トレイ2は、図2に示すように、基板6をフェイスダウンに保持するための保持具である。つまり、基板6の成長面6aが鉛直下方を向き、かつ成長面6aが露出した状態に保持する。トレイ2の中央には基板6よりも一回りほど大きな円形の貫通孔が設けられており、その下部には、貫通孔の内側に向かって突出した爪20が設けられている。この爪20に基板6の成長面6aの端部を引っかけることで基板6をフェイスダウンに保持している。爪20は3カ所に設けられており、貫通孔の円周に沿って120°間隔で、つまり各爪20が正三角形の頂点位置となるような配置となっている。
爪20と基板6との接触面積の総計は、基板6が脱落しない範囲でなるべく小さい方が望ましい。基板6の接触領域からは薄膜が成長しないためである。
均熱板1は、このトレイ2に保持された基板6の成長面6aとは反対側の面上に、突起部10を介して載せられているが、トレイ2とは非接触となるように配置されている。均熱板1とトレイ2とを接触させると、均熱板1やトレイ2の加工誤差や、均熱板1とトレイ2との間にゴミが入ることなどにより均熱板1と基板6との距離に誤差が生じるため、トレイ2の加工形状や加工精度などを調整しなければならなくなるからである。なお、均熱板1の外周部に凸部あるいは凹部を設け、トレイ2にそれとかみ合う凹部あるいは凸部を設け、均熱板1の凸部あるいは凹部とトレイ2の凹部あるいは凸部とをかみ合わせて配置することにより、均熱板1の回転を防止するようにしてもよい。また、均熱板1にそのような凸部あるいは凹部を設けることで、基板6のオリエンテーションフラットの位置を把握する目安とすることもできる。
次に、ヒータ3の構成について説明する。ヒータ3は、均熱板1の上方に配置されている。ヒータ3によって均熱板1を加熱し、さらに均熱板1によって基板6を加熱する。このように均熱板1を介して間接的に基板6を加熱することにより、基板6の面内温度分布の均一性を高めている。加熱方式は、誘電加熱方式、抵抗加熱方式、ランプ加熱方式などを用いることができる。ヒータ3自体の温度ばらつきが小さい加熱方式が望ましい。あるいは温度ばらつきを調整できるものが望ましい。
次にサセプタ4の構成について説明する。サセプタ4は、カーボンからなる円盤状である。カーボン以外にもSiCなどを用いることができる。また、サセプタ4には、トレイ2をはめ込んで保持するための円形の貫通孔がサセプタ4の円周に沿って等間隔で複数設けられている。この貫通孔にトレイ2をはめ込むと、サセプタ4の下部に基板6の成長面6aが露出した状態で保持されることとなる。また、サセプタ4は中央部で回転機構7に接続されており、その回転機構7によってサセプタ4は回転可能となっている。回転させながら成膜することで均一な膜成長を可能としている。
次に、フローチャンネル5の構成について説明する。フローチャンネル5は、石英からなり、サセプタ4の下部にガス流路8が形成されるように設けられている。サセプタ4の一方の端部側からガス流路8内に原料ガスを導入し、他方の端部側からガスを排出する構成となっている。なお、サセプタ4の中央部から原料ガスを導入してサセプタ4の端部側から排出するように構成してもよい。基板6はトレイ2によってフェイスダウンに保持されているため、基板6の成長面6aはガス流路8側に露出している。したがって、ヒータ3によって均熱板1を介して基板6を加熱しつつ、このガス流路8に原料ガスを流すことで、基板6の成長面6aに半導体などの薄膜を成長させることができる。
実施例1の均熱板1を用いると、基板6を均等に加熱することができ、基板6の面内温度分布の均一性を高めることができる。その理由を説明する。
均熱板1と基板6とを接触させて加熱していた従来の場合には、基板6上のごみや基板6の反り、均熱板1の表面の凹凸などによって、均熱板1と基板6とが接触しない領域が生じていた。そのため、均熱板1から基板6への熱伝導に面内ばらつきが生じ、基板6が均一に加熱されなかった。
実施例1では、均熱板1に突起部10を設け、基板6上に突起部10を介して均熱板1を載せている。したがって、均熱板1は突起部10の上面10bのみが基板6に接触しており、均熱板1の他の領域は基板6に接触しておらず、均熱板1と基板6との間に空間が生じている。
ここで、均熱板1と基板6とは突起部10の上面10bのみが接触しているため、接触面積が小さく、また均熱板1と基板6とは空間によって十分に離れている。そのため、均熱板1から基板6への熱伝導は小さく、ヒータ3による均熱板1を介した基板6の加熱は、均熱板1からの熱放射が支配的である。なお、基板6の均熱板1側の面にゴミが付着していたり、基板6に反りが生じたとしても、均熱板1と基板6とが十分に離れているため、均熱板1と基板6との間に接触領域と非接触が生じてしまうことはない。よって、実施例1では従来のような均熱板1と基板6との間の接触領域と非接触による熱伝導の差がなく、均一に基板6を加熱することができ、基板6の面内温度分布の均一性が高い。
また、実施例1では、均熱板1は突起部10の上面10bでのみ基板6に接触し、他の領域は基板6に接触していない。また、均熱板1はトレイ2とも接触していない。したがって、均熱板1やトレイ2の加工誤差や、均熱板1とトレイ2との間にゴミが入るなどの影響がなく、突起部10の高さHの調整のみによって均熱板1と基板6の距離を調整して、基板6の面内温度分布の均一性を高めることができる。
次に、実施例1の均熱板1の突起部10に関する各種シミュレーション結果について説明する。
図5は、均熱板1と基板6との距離(突起部10の高さH)と、基板6の面内温度分布のばらつきΔT(面内温度分布のピークの半値幅)との関係を、シミュレーションにより求めた結果を示したグラフである。
図5のように、均熱板1と基板6との距離が100μmまではばらつきΔTが大きく減少するが、100μmを超えるとばらつきΔTの減少は非常にゆるやかになることがわかった。また、ばらつきΔTが1℃以下となるのは80μm以上であることがわかった。したがって、基板6の面内温度分布の均一性を高めるためには突起部10の高さHを80μm以上とするのがよく、さらには100μm以上とするのが望ましいことがわかった。
図6は、突起部10の上面10bの直径rと、基板6における突起部10の接触部と基板6の中央部との温度差との関係を、シミュレーションにより求めた結果を示したグラフである。突起部10の高さHは100μmとした。
図6のように、突起部10の上面10bの直径rと温度差はおよそ比例していることがわかった。また、温度差を1℃以下とするためには接触領域の直径rを400μm以下とする必要があるとわかった。このことから、基板6と突起部10の接触面積の総計が大きくなるほど基板6面内の温度差が大きくなることがわかった。
実施例2の気相成長装置は、実施例1の均熱板1を均熱板200に置き換えたものであり、他の構成は実施例1と同様である。
図7に示すように、均熱板200は、均熱板1の各突起部10に隣接して、突起部10と同一形状の2つの予備の突起部210を設けたものである。予備の突起部210は、突起部10に対して円周方向に±5°の位置に設けられていて、均熱板1の中心からの距離は、突起部10と予備の突起部210とで同一である。
実施例2のように、予備の突起部210を各突起部10に隣接して設けることにより、突起部10が欠けたり折れたりなど破損した場合であっても、予備の突起部210が均熱板1を支えることができ、基板6上の均熱板1の姿勢に影響を与えないようにすることができる。そのため、基板6の面内温度分布の均一性が安定し、基板6に成長する薄膜の品質も安定する。
なお、実施例2では、予備の突起部210を突起部10と同一形状としているが、高さHが同じであれば同一形状でなくともよい。また、実施例2では予備の突起部210を各突起部10に対して2つ設けているが、1つ以上であればよい。また、突起部10に対する予備の突起部210の位置は、基板6上の均熱板1の姿勢の安定性に大きな影響のない範囲で隣接した位置であればよい。
[各種変形例]
この実施例1、2の気相成長装置は、基板に任意の材料の成膜を行うのに利用できるが、本発明を有機金属気相成長装置(MOCVD装置)とし、化合物半導体、特に、III 族窒化物半導体を成膜するのに有用である。III 族窒化物半導体の組成比や結晶性は成長温度に対して敏感なためである。実施例1の気相成長装置をIII 族窒化物半導体の成膜に使用する場合には、基板6として、サファイア、Si、GaN、SiC、などを用いる。ガス流路8に導入する原料ガスは、窒素源として、アンモニア(NH3 )、Ga源として、トリメチルガリウム(TMG;Ga(CH3 )3 )、In源として、トリメチルインジウム(TMI;In(CH3 )3 )、Al源として、トリメチルアルミニウム(TMA;Al(CH3 )3 )、n型ドーピングガスとして、シラン(SiH4 )、p型ドーピングガスとしてビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2 Mg;Mg(C2 H5 )2 )などを用いる。またキャリアガスとして水素(H2 )、窒素(N2 )などを用いる。
この実施例1、2の気相成長装置は、基板に任意の材料の成膜を行うのに利用できるが、本発明を有機金属気相成長装置(MOCVD装置)とし、化合物半導体、特に、III 族窒化物半導体を成膜するのに有用である。III 族窒化物半導体の組成比や結晶性は成長温度に対して敏感なためである。実施例1の気相成長装置をIII 族窒化物半導体の成膜に使用する場合には、基板6として、サファイア、Si、GaN、SiC、などを用いる。ガス流路8に導入する原料ガスは、窒素源として、アンモニア(NH3 )、Ga源として、トリメチルガリウム(TMG;Ga(CH3 )3 )、In源として、トリメチルインジウム(TMI;In(CH3 )3 )、Al源として、トリメチルアルミニウム(TMA;Al(CH3 )3 )、n型ドーピングガスとして、シラン(SiH4 )、p型ドーピングガスとしてビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2 Mg;Mg(C2 H5 )2 )などを用いる。またキャリアガスとして水素(H2 )、窒素(N2 )などを用いる。
また、実施例1、2の気相成長装置において、トレイ2をサセプタ4と一体として、サセプタ4がトレイ2を兼ねるように構成してもよい。また、実施例1、2の気相成長装置は、基板6が設置されたトレイ2を複数個サセプタ4に配置する構成であるが、単数のトレイ2をサセプタ4に配置する構成など、フェイスダウン型の気相成長装置として従来知られている種々の構成に対して本発明は適用可能である。
本発明の気相成長装置は、III 族窒化物半導体からなる半導体素子の製造などに用いることができる。
1、200:均熱板
2:トレイ
3:ヒータ
4:サセプタ
5:フローチャンネル
6:基板
7:回転機構
8:ガス流路
10:突起部
210:予備の突起部
2:トレイ
3:ヒータ
4:サセプタ
5:フローチャンネル
6:基板
7:回転機構
8:ガス流路
10:突起部
210:予備の突起部
Claims (14)
- 基板の成長面側を鉛直下方にしてその前記成長面を露出した状態で保持するトレイと、前記基板の上部に配置され、前記基板の温度分布の均一化を図る均熱板と、前記均熱板の上部に配置された加熱装置と、を有した気相成長装置において、
均熱板は、単一または複数の突起部の集合である突起構造を3つ以上有し、
前記基板上に前記突起構造を接触させて均熱板を置いた、
ことを特徴とする気相成長装置。 - 前記均熱板は、3つの突起構造を有し、
前記突起構造は、前記均熱板の中心に対して3回対称に配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の気相成長装置。 - 前記突起構造は、1つの主たる突起部に隣接して予備の突起部が1つないし複数設けられた構造であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の気相成長装置。
- 前記突起構造は、1つの突起部のみからなる構造である、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の気相成長装置。
- 前記均熱板と前記トレイは非接触である、ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の気相成長装置。
- 前記突起部の高さは、100μm以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の気相成長装置。
- 前記突起部の前記基板と接触する上面の直径は、400μm以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の気相成長装置。
- 有機金属ガスを供給して前記基板の成長面にIII 族窒化物半導体を成膜する装置であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の気相成長装置。
- フェイスダウン型の気相成長装置において用いられ、基板上に配置して前記基板を均等に加熱する均熱板であって、
前記基板側の表面に単一または複数の突起部の集合である突起構造を3つ以上有し、
前記突起構造は、前記均熱板の中心に対して3回対称に配置されている、
ことを特徴とする均熱板。 - 前記突起構造は、1つの主たる突起部に隣接して予備の突起部が1つないし複数設けられた構造であることを特徴とする請求項9に記載の均熱板。
- 前記突起構造は、1つの突起部のみからなる構造である、ことを特徴とする請求項9に記載の気相成長装置。
- 前記突起部の高さは100μm以上であることを特徴とする請求項9ないし請求項11のいずれか1項に記載の均熱板。
- 前記突起部の前記基板と接触する上面の直径は、400μm以下であることを特徴とする請求項9ないし請求項12のいずれか1項に記載の均熱板。
- 前記気相成長装置は、有機金属気相成長装置であることを特徴とする請求項9ないし請求項13のいずれか1項に記載の均熱板。
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CN112670826A (zh) * | 2020-12-23 | 2021-04-16 | 苏州长光华芯光电技术股份有限公司 | 一种改善半导体激光器掺杂均匀性的方法 |
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2014
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CN112670826A (zh) * | 2020-12-23 | 2021-04-16 | 苏州长光华芯光电技术股份有限公司 | 一种改善半导体激光器掺杂均匀性的方法 |
CN112670826B (zh) * | 2020-12-23 | 2023-07-28 | 苏州长光华芯光电技术股份有限公司 | 一种改善半导体激光器掺杂均匀性的方法 |
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