JP2016080655A - テラヘルツ波計測装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】小型で安価、且つ分解能の高いテラヘルツ波計測装置を実現する。【解決手段】テラヘルツ波計測装置は、レーザ光が照射されることでテラヘルツ波を発生させる発生手段(210)と、レーザ光が照射されることで、対象物(500)によって反射された又は対象物を透過したテラヘルツ波を検出する検出手段(220)と、発生手段及び対象物間又は検出手段及び対象物間に配置されており、テラヘルツ波を通過させる開口部(350)を有したフィルタ手段(300)と、検出手段に照射されるレーザ光の光路長を、開口部の開口径に応じて調整する光学遅延手段(400)とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、対象物で散乱されたテラヘルツ波を利用して、対象物に関する各種計測を実行するテラヘルツ波計測装置の技術分野に関する。
近年、テラヘルツ波イメージングの研究開発が活発化しており、例えば非破壊検査やセキュリティー分野等への応用に期待が寄せられている。非破壊検査には、例えば特許文献1に記載されているテラヘルツイメージング装置を利用することができる。
非破壊検査で用いられるテラヘルツ波発生検出装置としては、光伝導アンテナをフェムト秒パルス光で励起するものがある。その励起光源として発振波長0.78μmのチタンサファイヤレーザが挙げられるが、これは比較的大型で高価な装置である。一方で、例えば非特許文献1では、発振波長1.55μmのエルビウムドープファイバを利用した小型で安価な装置が開示されている。
特開2004−28618号公報 Laser Focus World Japan 2009.6 p53-55
しかしながら、発振波長1.55μmの励起光源で発生検出されるテラヘルツ波は、発振波長励起波長0.78μmの励起光源で発生検出されるテラヘルツ波と比べるとパルス幅が広い。このため、非特許文献1に記載のテラヘルツ波発生装置(即ち、発振波長1.55μmのエルビウムドープファイバ)を、特許文献1のようなテラヘルツイメージング装置に適用すると、分解能が低下してしまうという技術的問題点が生ずる。
本発明が解決しようとする課題には上記のようなものが一例として挙げられる。本発明は、小型で安価、且つ分解能の高いテラヘルツ波計測装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するテラヘルツ波計測装置は、レーザ光が照射されることでテラヘルツ波を発生させる発生手段と、前記レーザ光が照射されることで、対象物によって散乱された前記テラヘルツ波を検出する検出手段と、前記発生手段及び前記対象物間又は前記検出手段及び前記対象物間に配置されており、前記テラヘルツ波を通過させる開口部を有したフィルタ手段と、前記検出手段に照射される前記レーザ光の光路長を、前記開口部の開口径に応じて調整する光学遅延手段とを備える。
実施例に係るテラヘルツ波計測装置の全体構成を示す概略構成図である。 スペイシャルフィルタの構成を示す正面図である。 発生素子において発生したテラヘルツ波の周波数特性を示すグラフである。 NA0.3のレンズで集光した場合のテラヘルツ波のスポットサイズを、周波数成分ごとに示す表である。 テラヘルツ波の透過率とピンホールサイズとの関係を、周波数成分ごとに示す表である。 ピンホールを透過したテラヘルツ波のパルス幅及び信号振幅を、ピンホールサイズ毎に示す表である。 ピンホールがない場合のテラヘルツ波の形状を示す波形図である。 0.8mmのピンホールを透過したテラヘルツ波の形状を示す波形図である。 テラヘルツ波の周波数特性をノイズと共に示すグラフである。 ダイナミックレンジ(実測値及び計算値)と平均回数との関係を示す表である。
<1>
本実施形態に係るテラヘルツ波計測装置は、レーザ光が照射されることでテラヘルツ波を発生させる発生手段と、前記レーザ光が照射されることで、対象物によって反射された又は前記対象物を透過した前記テラヘルツ波を検出する検出手段と、前記発生手段及び前記対象物間又は前記検出手段及び前記対象物間に配置されており、前記テラヘルツ波を通過させる開口部を有したフィルタ手段と、前記検出手段に照射される前記レーザ光の光路長を、前記開口部の開口径に応じて調整する光学遅延手段とを備える。
本実施形態のテラヘルツ波計測装置によれば、その動作時には、例えば光伝導アンテナ(PCA:Photo Conductive Antenna)等として構成される発生手段にレーザ光が照射される。これにより、発生手段ではテラヘルツ波が発生する。なお、テラヘルツ波とは、1テラヘルツ(1THz=1012Hz)前後の周波数領域(つまり、テラヘルツ領域)に属する電磁波である。
発生手段で発生したテラヘルツ波は、対象物(即ち、テラヘルツ波による計測対象)に照射される。そして、対象物において反射された又は対象物を透過したテラヘルツ波は、例えば光伝導アンテナ等として構成される検出手段において検出される。なお、検出手段にも、発生手段と同様にレーザ光が照射されている。検出手段は、照射されるレーザ光に応じたタイミングでテラヘルツ波の検出を行う。レーザ光は、例えば同一の光源から照射されたものを分離させて、発生手段及び検出手段の各々に照射される。また、後述するように、検出手段に照射されるレーザ光は、光学遅延手段において遅延させられる。
本実施形態では、上述した発生手段と対象物との間、又は検出手段と対象物との間にフィルタ手段が配置される。このため、発生手段において発生したテラヘルツ波は、対象物に照射される前、又は対象物で反射されてから若しくは対象物を透過してから検出手段で検出されるまでのいずれかのタイミングで、フィルタ手段に照射されることになる。フィルタ手段は、テラヘルツを通過させる開口部を有しており、部分的にテラヘルツを通過させる。
ここで特に、テラヘルツ波を集光した場合のスポットサイズは、テラヘルツ波に含まれる周波数成分毎に異なる(具体的には、周波数が高いほどスポットサイズは小さくなる)。このため、複数の周波数成分を含むテラヘルツ波がフィルタ手段を通過しようとする場合、周波数毎に通過できる割合が異なる。これを利用すれば、フィルタ手段により、テラヘルツ波に含まれる周波数成分を調整することができる。
具体的には、テラヘルツ波は、周波数が低い成分であるほどフィルタ手段を通過し難くなる。また、このような傾向は開口部の開口径が小さいほど顕著となり、周波数の低い成分の割合は、開口部の開口径が小さいほど少なくなる。言い換えれば、開口径が小さいほど周波数の高い成分の割合が多くなる。この結果、フィルタ手段通過後のテラヘルツ波は、開口部の開口径に応じてパルス幅が狭くなる。
テラヘルツ波を利用して対象物に関する計測を行う場合、テラヘルツ波のパルス幅が広いと分解能が低下してしまう。このため、分解能だけを考慮するのであれば、テラヘルツ波の中心発振波長は短い(言い換えれば、周波数が高い)ことが好ましい。しかしながら、中心発振波長が短いテラヘルツ波を発生させる装置(例えば、発振波長0.78μmのチタンサファイヤレーザを利用した装置)は、中心発振波長が長いテラヘルツ波を発生させる装置(例えば、発振波長1.55μmのエルビウムドープファイバを利用した装置)と比べると、大型で高価である。このため、装置の小型化及びコストの低減を図るためには、発振波長が長いテラヘルツ波を利用することが望まれる。
しかるに本実施形態では、上述したように、フィルタ手段によってテラヘルツ波のパルス幅を狭めることができる。よって、中心発振波長の長いテラヘルツ波(即ち、パルス幅の広いテラヘルツ波)を利用した場合でも、分解能の低下を抑制することができる。従って、装置の小型化及びコストの低減を図りつつも、高い分解能を実現することができる。
他方で、フィルタ手段を通過したテラヘルツ波は、部分的にフィルタ手段を通過できなかった成分が存在するが故に、通過前とくらべると振幅が小さくなる。このため、フィルタ手段は、装置のダイナミックレンジ(即ち、有効な信号レベルとノイズレベルとの比)を狭くし、結果として計測品質を低下させる原因となり得る。なお、ダイナミックレンジは、計測回数を増やすことで大きくできるが、その場合には計測時間が長くなってしまう。
このため本実施形態では、例えばレーザ光を再帰反射可能なミラー等を含んで構成される光学遅延手段により、検出手段に照射されるレーザ光の光路長が開口部の開口径に応じて調整される。具体的には、光学遅延手段は、開口部の開口径が小さいほど(即ち、振幅が小さくされるほど)光路長を短く調整する(即ち、遅延量を小さくする)。これにより、振幅が小さくなるような場合である程、検出手段における単位時間あたりの計測回数が増加される。よって、計測時間が長くなることを防止しつつも、ダイナミックレンジを保つことができる。従って、フィルタ手段を配置することによる計測品質の低下を好適に抑制できる。
以上説明したように、本実施形態に係るテラヘルツ波計測装置によれば、装置の小型化及びコストの低減を図りつつ、高品質な計測を実現することができる。
<2>
本実施形態に係るテラヘルツ波計測装置の一態様では、前記テラヘルツ波を集光する集光手段を備え、前記フィルタ手段は、前記集光手段により前記テラヘルツ波が集光される位置に配置されている。
この態様によれば、テラヘルツ波は、例えば集光レンズ等として構成された集光手段により集光され、集光された位置においてフィルタ手段を通過する。よって、フィルタ手段によるテラヘルツ波の周波数成分の調整を、効率よく正確に行うことができる。
なお、ここでの「集光される位置」とは、テラヘルツ波が集光手段により最も集光される位置(即ち、焦点)に限定されるものではなく、焦点から多少ずれた位置であっても上述した効果は相応に得られる。
<3>
本実施形態に係るテラヘルツ波計測装置の他の態様では、前記フィルタ手段は、前記開口部の開口径が可変とされており、前記光学遅延手段は、可変後の前記開口部の開口径に応じて、前記検出手段に照射される前記レーザ光の光路長を調整する。
この態様によれば、フィルタ手段における開口部の開口径が可変であるため、計測時の各種条件に応じて適宜パルス幅を調整することができる。よって、計測条件が変化した場合であっても、所望の分解能を実現することができる。
また本態様では、可変後の開口径に応じてレーザ光の光路長が調整されるため、開口径の変化により振幅に変動が生じた場合であっても、適切なダイナミックレンジが維持され、高品質な計測を実現できる。
本実施形態に係るテラヘルツ波計測装置の作用及び他の利得については、以下に示す実施例において、より詳細に説明する。
以下では、図面を参照して本発明の実施例について詳細に説明する。
<装置構成>
先ず、図1を参照しながら、本実施例のテラヘルツ波計測装置の全体構成について説明する。ここに図1は、実施例に係るテラヘルツ波計測装置の全体構成を示す概略構成図である。
図1において、本実施例に係るテラヘルツ波計測装置は、テラヘルツ波を測定試料500に照射すると共に、測定試料500から反射したテラヘルツ波を検出する。このように、本実施例に係るテラヘルツ波計測装置は、所謂反射型の装置として構成されているが、測定試料500を透過したテラヘルツ波を検出する透過型の装置として構成されてもよい。
テラヘルツ波は、1テラヘルツ(1THz=1012Hz)前後の周波数領域(つまり、テラヘルツ領域)に属する電磁波である。テラヘルツ領域は、光の直進性と電磁波の透過性を兼ね備えた周波数領域である。テラヘルツ領域は、様々な物質が固有の吸収スペクトルを有する周波数領域である。従って、テラヘルツ波計測装置は、測定試料500に照射されたテラヘルツ波の周波数スペクトルを解析することで、測定試料500の特性を分析することができる。
測定試料500に照射されたテラヘルツ波の周波数スペクトルを取得するために、テラヘルツ波計測装置10は、テラヘルツ時間領域分光法を採用している。テラヘルツ時間領域分光法は、テラヘルツ波を測定試料500に照射すると共に、測定試料500を透過した又は計測対象物から反射したテラヘルツ波の時間波形をフーリエ変換することで、当該テラヘルツ波の周波数スペクトル(つまり、周波数毎の振幅及び位相)を取得する方法である。
ここで、テラヘルツ波のパルス幅(繰り返し周期は数十ピコ秒)は、サブピコ秒のオーダーのパルス幅であるがゆえに、当該テラヘルツ波の時間波形を直接的に検出することが技術的に困難である。そこで、テラヘルツ波計測装置は、時間遅延走査に基づくポンプ・プローブ法を採用して、テラヘルツ波の時間波形を間接的に検出する。
図1に示すように、本実施例に係るテラヘルツ波計測装置は、エルビウムドープファイバーレーザ110と、ファイバービームスプリッタ120と、複数のレンズ131〜135と、発生素子210と、検出素子220と、スペイシャルフィルタ300と、光学遅延機構400とを備えて構成されている。以下では、各部の具体的な構成を、その動作と共に説明する。
テラヘルツ波計測装置の動作時には、発振波長1.55μmで超短パルスレーザ光を繰り返し出力可能なエルビウムドープファイバーレーザ110からレーザ光が発振される。発振されたレーザ光は、ファイバービームスプリッタ120に送られ、ポンプ光とプローブ光の2光路に分けられる。
ポンプ光は、レンズ131により集光され、発生素子210に入射される。発生素子210は、半絶縁性GaAs(Gallium Arsenide)等で形成された半導体基板上にダイポールアンテナ等を有する光伝導アンテナを備えている。そして、アンテナ中央部に配設されたギャップ部には、バイアス電圧が印加されている。バイアス電圧が印加された状態でギャップ部にポンプ光が照射されると、光励起により半導体中にキャリアが生成されサブピコ秒オーダーの電流が発生する。すると、発生した電流の時間微分に比例した振幅を持つ、パルス状のテラヘルツ波が放射される。
発生素子210から発生したテラヘルツ波は、レンズ132により集光され、スペイシャルフィルタ300に入射される。ここで、スペイシャルフィルタ300の具体的な構成について、図2を参照して説明する。図2は、スペイシャルフィルタの構成を示す正面図である。
図2において、スペイシャルフィルタ300は、可動絞り310を備えて構成されている。この可動絞りが駆動されることにより、スペイシャルフィルタ300が有するピンホール350の大きさが変化する。スペイシャルフィルタ300に入射されたテラヘルツ波は、ピンホール350を部分的に透過することで周波数成分が調整される。周波数成分の調整については後に詳述する。
図1に戻り、スペイシャルフィルタ300のピンホール350を透過したテラヘルツ波は、レンズ133により集光され、測定試料500に照射される。測定試料500で反射したテラヘルツ波は、レンズ134を介して、検出素子220に入射される。検出素子220は、発生素子210と同様の光伝導アンテナを備えている。
一方、ファイバービームスプリッタ120で分岐されたプローブ光は、光学遅延機構400に入射される。光学遅延機構400は、プローブ光の光路長を変化させるためにリフレクタやミラー等の反射体を駆動する駆動機構を有する。駆動機構は、例えば反射体の光軸方向での位置が変化するような駆動を行い、その結果プローブ光の光路長が変更される。例えば、光路長を空気中で0.3mm延ばすと、プローブ光が検出素子220に到着する時間が1ps遅くなる。このように光学遅延機構400によれば、プローブ光が検出素子220に入射するタイミングを時間走査することができる。
なお、本実施例に係る光学遅延機構400は特に、スペイシャルフィルタ300のピンホール350の大きさに応じて、プローブ光の光路長を調整可能に構成されている。このような光路長の調整方法については、後に具体的に説明する。
光学遅延機構400を経由したレーザ光は、レンズ135で集光され、検出素子220に入射される。検出素子220にプローブ光が入射するとキャリアが生成され、その瞬間に入射したテラヘルツ波の振幅に比例した電流が発生する。発生した電流は、例えば図示せぬI−V変換部等において電流電圧変換が行われ、検出信号として出力される。検出信号には、図示せぬ信号処理部において各種処理が施され、例えば測定試料500の断面を示す画像として出力される。
<テラヘルツ波の周波数特性>
次に、図3及び図4を参照しながら、テラヘルツ波の周波数特性について説明する。ここに図3は、発生素子において発生したテラヘルツ波の周波数特性を示すグラフである。また図4は、NA0.3のレンズで集光した場合のテラヘルツ波のスポットサイズを、周波数成分ごとに示す表である。
図3において、発生素子210で発生したテラヘルツ波には、広い周波数の成分が含まれる。なお、図を見ても分かるように、テラヘルツ波に含まれる周波数成分は、1.7THzよりも低い周波数では、周波数が高くなるほど小さくなる傾向にある。また、1.7THzよりも高い周波数では、周波数によらず概ね一定となっている。
図4において、テラヘルツ波をレンズで集光した際のスポットサイズ(1/e2全幅)は、テラヘルツ波の周波数とレンズの開口数(NA)で決定される。例えば、NA0.3のレンズでテラヘルツ波を集光した際のスポットサイズは、図の表で示される値になる。ここで、各値を見ると分かるように、テラヘルツ波の周波数が高くなるほど、スポットサイズは小さくなる傾向にある。本実施例では、この特性を利用して、テラヘルツ波の周波数成分調整を実現している。
<テラヘルツ波の周波数成分調整>
次に、図5から図8を参照しながら、テラヘルツ波の周波数成分調整について具体的に説明する。ここに図5は、テラヘルツ波の透過率とピンホールサイズとの関係を、周波数成分ごとに示す表であり、図6は、ピンホールを透過したテラヘルツ波のパルス幅及び信号振幅を、ピンホールサイズ毎に示す表である。また図7は、ピンホールがない場合のテラヘルツ波の形状を示す波形図であり、図8は、0.8mmのピンホールを透過したテラヘルツ波の形状を示す波形図である。
図5において、テラヘルツ波のスポットサイズは周波数に依存しているため(図4参照)、複数の周波数成分を含むテラヘルツ波がスペイシャルフィルタ300のピンホール350を透過する際には、周波数毎に透過できる割合が異なる。具体的には、テラヘルツ波は、周波数が低い成分であるほどピンホール350を透過し難くなる。また、このような傾向はピンホールサイズが小さいほど顕著となり、周波数の低い成分の割合は、ピンホールサイズが小さいほど少なくなる。言い換えれば、ピンホールサイズが小さいほど周波数の高い成分の全体に占める割合が多くなる。
図6において、上述した結果、スペイシャルフィルタ300を透過したテラヘルツ波は、ピンホールサイズに応じてパルス幅が狭くなる。具体的には、ピンホールサイズが小さくなるほど、テラヘルツ波のパルス幅が狭くなる。なお、ピンホールサイズが小さくなると、スペイシャルフィルタ300を透過できるテラヘルツ波の全体としての割合が小さくなるため、信号振幅も減少する。
図7及び図8において、ピンホールなしの場合のテラヘルツ波と、0.8mmのピンホールを透過したテラヘルツ波とを比べると、ピンホールを透過したテラヘルツ波の方が、ピンホールを透過していないテラヘルツよりもパルス幅が狭いことが分かる。また、ピンホールを透過したテラヘルツ波の方が、ピンホールを透過していないテラヘルツよりも振幅が小さいことが分かる。
本実施例に係るテラヘルツ波計測装置は、その構成上、テラヘルツ波のパルス幅が広いと分解能が低下してしまう。このため、分解能だけを考慮するのであれば、テラヘルツ波の中心発振波長は短い(言い換えれば、周波数が高い)ことが好ましい。しかしながら、中心発振波長が短いテラヘルツ波を発生させる装置(例えば、発振波長0.78μmのチタンサファイヤレーザを利用した装置)は、中心発振波長が長いテラヘルツ波を発生させる装置(例えば、本実施例の発振波長1.55μmのエルビウムドープファイバを利用した装置)と比べると、大型で高価である。このため、装置の小型化及びコストの低減を図るためには、中心発振波長が長いテラヘルツ波を利用することが望まれる。
これに対し本実施例では、スペイシャルフィルタ300が発生素子210と測定試料500との間に配置されているため、測定試料500に照射されるテラヘルツ波のパルス幅がピンホールサイズに応じて狭められる。よって、中心発振波長の長いテラヘルツ波(即ち、パルス幅の広いテラヘルツ波)を利用した場合でも、分解能の低下を抑制することができる。従って、装置の小型化及びコストの低減を図りつつも、高い分解能を実現することができる。
なお、スペイシャルフィルタ300の配置位置は、発生素子210と検出素子220との間(即ち、テラヘルツ波が発生されてから検出されるまでの間)であれば特に限定されない。このため、スペイシャルフィルタ300を、測定試料500と検出素子220との間に配置した場合でも同様の効果が得られる。
<レーザ光の光路長調整>
次に、図9及び図10を参照しながら、レーザ光(プローブ光)の光路長調整について具体的に説明する。ここに図9は、テラヘルツ波の周波数特性をノイズと共に示すグラフである。また図10は、ダイナミックレンジ(実測値及び計算値)と平均回数との関係を示す表である。
上述したように、スペイシャルフィルタ300を配置すれば、テラヘルツ波のパルス幅を狭めることができるが、それに伴い信号振幅が小さくなる(図6参照)。このため、スペイシャルフィルタ300は、装置のダイナミックレンジ(即ち、有効な信号レベルとノイズレベルとの比)を狭くし、結果として計測品質を低下させる原因となり得る。
図9において、テラヘルツ波の周波数特性上、ダイナミックレンジは周波数によっても異なる。具体的には、周波数の高い成分ではテラヘルツ波強度も小さくなるため、ダイナミックレンジが小さくなる。例えば、図に示す例では、周波数0.5THzでのダイナミックレンジが50dB、周波数1THzでのダイナミックレンジが43dBである。このため、スペイシャルフィルタ300により、周波数が高い成分の割合が多くされると、それだけでダイナミックレンジは劣化してしまう。
一方、図10に示すように、計測回数を増やして平均化する(即ち、平均回数を増加させる)ことで、ダイナミックレンジを大きくすることができる。ただし、単に計測回数を増やしただけでは計測時間が長くなってしまう。このため本実施例では、光学遅延機構400によりプローブ光の光路長を調整して、単位時間あたりの計測回数を増加させる。ここで、ダイナミックレンジは、スペイシャルフィルタ350のピンホールサイズが小さくなるほど劣化すると考えられる。よって、ダイナミックレンジを保つためには、ピンホールサイズが小さくなるほど、プローブ光の光路長を短くすればよい。
具体的には、スペイシャルフィルタ300なしの場合の信号振幅をA0、スペイシャルフィルタ300を配置した場合の信号振幅をA1とすると、スペイシャルフィルタ300を配置することによるダイナミックレンジの劣化量△DRは、以下の数式(1)のようになる。
△DR=20×log(A1/A0) ・・・(1)
またダイナミックレンジDRと、平均化回数Nとの間には、以下の数式(2)の関係が成立する。
DR∝20×log(N) ・・・(2)
よって、スペイシャルフィルタ300を配置した場合に、スペイシャルフィルタ300がない場合と同等のダイナミックレンジを得るための平均化回数Nは、以下の数式(3)で表される。
N=(A1/A0) ・・・(3)
ここで、光学遅延機構400での遅延距離を1/Nとすれば測定時間が長くならないため、スペイシャルフィルタ300なしでの遅延距離をL0、スペイシャルフィルタ300を配置した場合の遅延距離をL1とすると、両者には以下の数式(4)の関係が成立する。
L1=L0×(A0/A1) ・・・(4)
以上のようにして算出された遅延距離L1に基づいて光学遅延機構400を制御すれば、計測時間が長くなることを防止しつつも、ダイナミックレンジを保つことができる。従って、スペイシャルフィルタ300を配置することによる計測品質の低下を好適に抑制できる。
なお、ピンホールサイズとA0/A1との関係は、発生素子210を構成する光伝導アンテナのアンテナ形状や、光伝導膜のキャリア寿命によって異なるため、使用する光伝導アンテナ毎に測定しておくことが好ましい。
以上説明したように、本実施例に係るテラヘルツ波計測装置によれば、スペイシャルフィルタ300によるパルス幅の制御、及びダイナミックレンジを維持するための遅延距離の制御により、装置の小型化及びコストの低減を図りつつ、高品質な計測を実現することができる。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うテラヘルツ波計測装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
110 エルビウムドープファイバーレーザ
120 ファイバービームスプリッタ
131〜135 レンズ
210 発生素子
220 検出素子
300 スペイシャルフィルタ
310 可動絞り
350 ピンホール
400 光学遅延機構
500 測定試料

Claims (3)

  1. レーザ光が照射されることでテラヘルツ波を発生させる発生手段と、
    前記レーザ光が照射されることで、対象物によって反射された又は前記対象物を透過した前記テラヘルツ波を検出する検出手段と、
    前記発生手段及び前記対象物間又は前記検出手段及び前記対象物間に配置されており、前記テラヘルツ波を通過させる開口部を有したフィルタ手段と、
    前記検出手段に照射される前記レーザ光の光路長を、前記開口部の開口径に応じて調整する光学遅延手段と
    を備えることを特徴とするテラヘルツ波計測装置。
  2. 前記テラヘルツ波を集光する集光手段を備え、
    前記フィルタ手段は、前記集光手段により前記テラヘルツ波が集光される位置に配置されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のテラヘルツ波計測装置。
  3. 前記フィルタ手段は、前記開口部の開口径が可変とされており、
    前記光学遅延手段は、可変後の前記開口部の開口径に応じて、前記検出手段に照射される前記レーザ光の光路長を調整する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のテラヘルツ波計測装置。
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JP2019045355A (ja) * 2017-09-04 2019-03-22 日本信号株式会社 検出装置

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JP2019045355A (ja) * 2017-09-04 2019-03-22 日本信号株式会社 検出装置
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