以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[第1実施形態]
(1)草刈機1の構成
図1に示すように、本実施形態の草刈機1は、メインパイプ2と、制御ユニット3と、駆動ユニット4と、ハンドル6とを備えている。メインパイプ2は、長尺かつ中空の棒状に形成されている。メインパイプ2の後端側に制御ユニット3が設けられ、メインパイプ2の前端側に駆動ユニット4が設けられている。
駆動ユニット4は、モータハウジング16と、刈刃17とを備えている。刈刃17は、草や小径木などの刈り取り対象物(以下「草等」ともいう)を刈り取るための作業要素である。刈刃17は、金属製であって、円板状の形状をなしており、外周全体に渡って鋸刃状の歯が形成されている。メインパイプ2の前端側には、カバー5が設けられている。このカバー5は、刈刃17により刈り取られた草等が作業者(草刈機1の使用者)に飛んでくることを抑止するために設けられている。
モータハウジング16の内部には、刈刃17を回転駆動させるためのモータ50(図4参照)が搭載されている。モータ50が回転すると、その回転が減速機構(不図示)を介して刈刃17に伝達され、刈刃17が回転する。刈刃17がモータ50によって回転駆動されているときに、刈刃17の外周部分を草等に当接させることで、草等を切断することができ、草等の刈り取り作業を行うことができる。なお、本実施形態のモータ50は、ブラシレスモータである。
ハンドル6は、U字状に形成されており、メインパイプ2の長さ方向における中間位置近傍でメインパイプ2に接続されている。ハンドル6の両端のうち一端側には作業者が右手で把持する右グリップ7が設けられ、他端側には作業者が左手で把持する左グリップ8が設けられている。
右グリップ7の先端側には、正逆切替レバー9、ロックオフボタン10、及びトリガ引金11が設けられている。正逆切替レバー9は、モータ50の回転方向、つまり刈刃17の回転方向を、正回転又は逆回転の何れかに切り替えるためのスイッチである。正逆切替レバー9には、例えばロッカースイッチが採用されている。作業者が正逆切替レバー9の一方側(例えば左側)を押すと刈刃17の回転方向は正回転(例えば左回転)に設定され、作業者が正逆切替レバー9の他方側(例えば右側)を押すと刈刃17の回転方向は逆回転(例えば右回転)に設定される。なお、正回転は、草等を刈り取る際に設定すべき回転方向であり、逆回転は、刈刃17に絡まった草等を取り除く際に設定すべき回転方向である。
トリガ引金11は、刈刃17の回転又は停止を指示するための操作部材である。右グリップ7の内部には、トリガ引金11と連動して動作するトリガスイッチ67が内蔵されている。トリガスイッチ67は、トリガ引金11が操作されるとオンしてトリガ引金11の非操作時にはオフし、そのオン、オフ状態を示すトリガスイッチ信号を出力する。
後述するメインスイッチ24がオンされて草刈機1が起動(詳しくは後述するメインコントローラ30が起動)した状態で、作業者がトリガ引金11を引き操作することによりトリガスイッチ67がオンすると、モータ50への通電が行われ、モータ50が回転(ひいては刈刃17が回転)する。
トリガ引金11は、ロックオフボタン10を押した状態でなければオンすることはできない。ロックオフボタン10は、刈刃17の誤動作を防止するためのボタンである。ロックオフボタン10が押されていない状態では、ロックオフボタン10がトリガ引金11に機械的に係合することにより、トリガ引金11の動きが規制され、オンされない。
右グリップ7の下端と制御ユニット3の前端の間には、制御配線パイプ12が設けられている。制御配線パイプ12は、中空の棒状に形成されており、内部には、トリガスイッチ67及び正逆切替レバー9と制御ユニット3とを電気的に接続するための配線である制御用ハーネス39(図2参照)が配設されている。
制御ユニット3は、後端ハウジング21と、バッテリパック22とを備えている。バッテリパック22は、後端ハウジング21に対してその後端部において着脱可能に構成されている。
バッテリパック22には、バッテリ60が内蔵されている。バッテリ60は、後端ハウジング21内の各部及びモータ50へ電力を供給するための、繰り返し充電可能な電源である。本実施形態のバッテリ60はリチウムイオン2次電池により構成されているが、これはあくまでも一例である。また、バッテリ60の定格電圧は、本実施形態では例えば18Vであるが、これもあくまでも一例である。
後端ハウジング21の上面における前端側には、変速ダイヤル23及びメインスイッチ24が、作業者が操作可能な状態で設けられており、さらに異常表示灯25及び残容量表示灯26が、作業者が視認可能な状態で設けられている。
メインスイッチ24は、草刈機1を使用可能な状態にするためのスイッチである。作業者がメインスイッチ24をオンすると、バッテリ60から、後端ハウジング21内のメインコントローラ30及びセンサユニット40(いずれも図4参照)へバッテリ電圧VBが供給され、メインコントローラ30内のメイン制御部61及びセンサユニット40内のセンサ制御部71が起動する。そして、メイン制御部61の起動後、作業者がトリガ引金11を引き操作すると、刈刃17が回転して草等の刈り取り作業が可能となる。
なお、メインスイッチ24の近傍には、メイン制御部61の起動中に点灯する表示灯も設けられているが、この表示灯については図示を省略している。
変速ダイヤル23は、メインコントローラ30がモータ50への通電を制御する際の通電デューティ比の目標値である目標デューティ比を設定するために作業者により回転操作される。目標デューティ比は、変速ダイヤル23の設定位置に応じた値に設定される。作業者が変速ダイヤル23を回すと、目標デューティ比が所定の調整範囲内で連続的又は段階的に変化する。作業者は、変速ダイヤル23によって、目標デューティ比を上記調整範囲内における所望の値に調整することができる。つまり、変速ダイヤル23によってモータ50の回転速度(ひいては刈刃17の回転速度)を可変設定することができる。
異常表示灯25は、センサユニット40によって異常が検出された場合にその異常の発生を作業者に知らせるためのランプであり、例えばLEDにより構成されている。異常表示灯25の点灯及び消灯は、センサユニット40によって制御される。センサユニット40が検出可能な異常状態には、少なくとも、草刈機1のキックバック、及び作業者の転倒(転倒に伴う草刈機1の後端側の落下)が含まれる。
残容量表示灯26は、バッテリ60の残容量を表示するためのランプであり、例えばLEDにより構成されている。
次に、後端ハウジング21の内部の構成について、図2及び図3を用いて説明する。なお、図2及び図3は、いずれも、バッテリパック22が後端ハウジング21に装着されていない状態の後端ハウジング21を図示している。
図2に示すように、後端ハウジング21の前端側には、第1パイプ挿入口31及び第2パイプ挿入口32が形成されている。第1パイプ挿入口31には、メインパイプ2の後端側が挿入されている。メインパイプ2は、その後端が、後端ハウジング21内において第1パイプ支持部33により支持されている。第2パイプ挿入口32には、制御配線パイプ12の後端側が挿入されている。制御配線パイプ12は、その後端側が、後端ハウジング21内において第2パイプ支持部34により支持されている。
後端ハウジング21内における略中心部には、図2及び図3に示すように、メインコントローラ30が配置されている。メインコントローラ30は、図2に示すように、コントローラ支持部35上に載置され、このコントローラ支持部35により位置決めされて支持されている。メインコントローラ30の主な機能は、モータ50への通電を制御することによりモータ50の回転を制御するモータ制御機能である。
また、後端ハウジング21内における後端下部側には、図2及び図3に示すように、センサユニット40が配置されている。センサユニット40の主な機能は、草刈機1に生じる加速度を検出して異常状態の有無を判断し、その判断結果に基づく各種の処理を行う異常状態検知機能である。
センサユニット40は、ケース41と、ケース側固定部42と、センサ基板43と、加速度センサ44とを備えている。加速度センサ44を含め、後述する図4におけるセンサユニット40内の各ブロックは、いずれも、センサ基板43に形成、配置されている。
ケース41とケース側固定部42は例えば樹脂素材により一体成形されている。ケース41は、中空直方体形状の箱の各面のうち1面側が開口された形状となっている。ケース側固定部42には、ユニット固定ネジ45を挿入させるためのネジ挿入孔が形成されている。ケース41の内部、即ちケース側固定部42が形成された外面側とは反対側の内面側には、センサ基板43が配置されている。センサ基板43は、複数のネジによってケース41に固定されている。
センサ基板43には、加速度センサ44が実装されている。本実施形態の加速度センサ44は、互いに直交する3軸(X軸、Y軸、Z軸)の加速度を独立して検出可能に構成された、3軸加速度センサである。即ち、加速度センサ44は、X軸方向の加速度を検出するX軸検出部と、Y軸方向の加速度を検出するY軸検出部と、Z軸方向の加速度を検出するZ軸検出部とを有している。各軸検出部はそれぞれ、対応する軸方向の加速度に応じた検出電圧を出力する。
ここで、草刈機1に対し、左右方向Dx、上下方向Dy、及び前後方向Dzの3つの方向を規定する。即ち、図1〜図3に示すように、メインパイプ2の軸心2aと平行な方向を前後方向Dzとする。また、前後方向Dzに垂直な方向であって且つ刈刃17の回転面に平行な方向を左右方向Dxとする。また、左右方向Dx及び前後方向Dzの双方に垂直な方向を上下方向Dyとする。
センサユニット40は、加速度センサ44のX軸検出部の検出軸(X検出軸)が草刈機1の左右方向Dxと一致するよう、且つ、加速度センサ44のY軸検出部の検出軸(Y検出軸)が草刈機1の上下方向Dyと一致するように、後端ハウジング21内に固定される。
具体的には、図2及び図3に示すように、後端ハウジング21内における後端下部側に、ハウジング側固定部28が形成されている。このハウジング側固定部28には、ユニット固定ネジ45を挿入するためのネジ穴が形成されている。このネジ穴の開口面にセンサユニット40のケース側固定部42を当接させてユニット固定ネジ45にてネジ締めすることで、後端ハウジング21に対してセンサユニット40を固定(延いては加速度センサ44を固定)することができる。
加速度センサ44内の各軸検出部はそれぞれ、対応する軸方向の加速度に応じた検出電圧を出力可能であるが、本実施形態のセンサユニット40は、各軸検出部からの各検出電圧のうち2軸分の検出電圧を用いて、後述する異常検知を行う。具体的には、センサユニット40内のセンサ制御部71(図4参照)が、加速度センサ44内のX軸検出部から出力されるX軸検出電圧Vsx、及び加速度センサ44内のY軸検出部から出力されるY軸検出電圧Vsyに基づいて、異常検知を行う。
つまり、本実施形態の草刈機1では、加速度センサ44によって、左右方向Dxの加速度と上下方向Dyの加速度を検出するように構成されている。これは、草刈機1を用いた作業中に生じる可能性のある異常状態のうち、少なくとも、草刈機1のキックバック、及び作業者の転倒(転倒に伴う草刈機1の後端側の落下)を独立して検知できるようにするためである。
草刈機1を用いて刈り取り作業をしている作業者が作業中に転倒すると、草刈機1に対して上下方向Dyに大きな衝撃が生じ、上下方向Dyに大きな加速度が生じる。一方、刈り取り作業中にキックバックが生じると、左右方向Dxに大きな衝撃が生じ、左右方向Dxに大きな加速度が生じる。
そこで本実施形態の草刈機1では、左右方向Dxと上下方向Dyの加速度を個別に検出すべく、加速度センサとして、直交する3の加速度を独立して検出可能な加速度センサ44を採用している。そして、この加速度センサ44を、X検出軸が左右方向Dxと平行、且つY軸検出軸が上下方向Dyと平行となるように、後端ハウジング21内に固定して設置している。これにより、加速度センサ44からのX軸検出電圧Vsx及びY軸検出電圧Vsyに基づいて、草刈機1に生じる左右方向Dxの加速度及び上下方向Dyの加速度をそれぞれ独立して検出可能となっている。
図2及び図3に示すように、後端ハウジング21の後端面には、バッテリ装着部27が設けられている。バッテリパック22は、このバッテリ装着部27に対して着脱可能に構成されている。また、後端ハウジング21内において、バッテリ装着部27とメインコントローラ30の間には、バッテリパック22とメインコントローラ30とを電気的に接続するためのバッテリ用ハーネス37が配設されている。
バッテリパック22がバッテリ装着部27に装着されると、バッテリパック22とメインコントローラ30がバッテリ用ハーネス37によって電気的に接続され、バッテリパック22内のバッテリ60の電力をメインコントローラ30へ供給可能な状態となる。
また、図2に示すように、制御配線パイプ12内に配設される制御用ハーネス39の一端が、メインコントローラ30に接続されている。この制御用ハーネス39の他端は、右グリップ7に設けられたトリガスイッチ67及び正逆切替レバー9に接続されている。
また、メインパイプ2の内部には、駆動用ハーネス38が配設されている。この駆動用ハーネス38の一端は、図2に示すように、メインコントローラ30に接続されている。駆動用ハーネス38の他端は、モータハウジング16内のモータ50に接続されている。つまり、モータ50を回転させるためのモータ50への通電は、メインコントローラ30から駆動用ハーネス38を介して行われる。
また、図2に示すように、センサユニット40とメインコントローラ30との間には、センサ用ハーネス36が配設されている。このセンサ用ハーネス36により、センサユニット40とメインコントローラ30とが電気的に接続されている。メインコントローラ30からセンサユニット40への電源供給や、センサユニット40とメインコントローラ30との間で行われる各種信号の送受は、センサ用ハーネス36を介して行われる。
(2)草刈機1の電気的構成
次に、草刈機1の電気的構成について、図4のブロック図を用いて具体的に説明する。図4に示すように、草刈機1は、メインコントローラ30と、センサユニット40とを備えている。バッテリ60から供給されるバッテリ電圧VBは、直接的には、メインコントローラ30に入力される。
メインコントローラ30には、メインスイッチ24から、メインスイッチ24のオン、オフ状態を示すメインスイッチ信号が入力される。また、メインコントローラ30には、トリガスイッチ67からのトリガスイッチ信号が入力される。なお、図1に示した変速ダイヤル23及び正逆切替レバー9も、メインコントローラ30と電気的に接続されているが、図4では図示を省略している。
メインコントローラ30は、メイン制御部61と、レギュレータ62と、給電スイッチ63と、信号出力部64と、信号入力部65と、駆動回路66とを備えている。
メイン制御部61は、メインコントローラ30の主機能であるモータ制御機能を担う主要要素である。メイン制御部61は、本実施形態では、マイクロコンピュータ(以下「マイコン」と略す)により構成されている。具体的に、メイン制御部61は、CPU61aと、ROM61bと、RAM61cと、フラッシュメモリ61dと、A/D変換器61eとを備えている。
ROM61b及びフラッシュメモリ61dには、モータ制御機能を含む各種機能を実現するための各種プログラムやデータなどが記憶されている。CPU61aは、ROM61b及びフラッシュメモリ61dに記憶されている各種プログラムやデータに基づいて各種処理を実行することで、モータ制御機能を含む各種機能を実現する。RAM61cは、CPU61aが各種処理を実行する際の、プログラムの展開エリアや演算用のワークエリアなどとして用いられる。A/D変換器61eは、メイン制御部61に入力される各種アナログ信号をデジタルデータに変換してCPU61aへ出力する。
給電スイッチ63は、バッテリ60からメインコントローラ30のレギュレータ62へのバッテリ電圧VBの供給経路(以下「電源供給経路」ともいう)上に設けられている。給電スイッチ63は、メインスイッチ24がオンされるとオンし、メインスイッチ24がオフされるとオフするように構成されている。給電スイッチ63がオフしている間は、バッテリ60のバッテリ電圧VBは、レギュレータ62側(給電スイッチ63の下流側)には供給されない。
給電スイッチ63がオンすると、電源供給経路が導通して、バッテリ60からのバッテリ電圧VBが給電スイッチ63の下流側へ供給され、これによりレギュレータ62にバッテリ電圧VBが入力される。また、給電スイッチ63がオンすると、バッテリ60からのバッテリ電圧VBが給電スイッチ63を介して駆動回路66にも供給される(この供給経路については図4では図示略)。
レギュレータ62は、バッテリ60から給電スイッチ63を介してバッテリ電圧VBが入力されている間、そのバッテリ電圧VBを降圧して直流の所定電圧値(例えば5V)の制御電源電圧Vcc1を生成する。レギュレータ62で生成された制御電源電圧Vcc1は、メインコントローラ30内の各部の動作用電源として用いられる。
メインコントローラ30内の各部は、レギュレータ62で制御電源電圧Vcc1が生成されている間、その制御電源電圧Vcc1により動作する。よって、メインスイッチ24がオンされると、レギュレータ62が動作して制御電源電圧Vcc1が生成され、メイン制御部61に供給されることにより、メイン制御部61が起動する。なお、メイン制御部61が起動するとは、メイン制御部61のCPU61aが起動することを意味する。
メイン制御部61は、メインスイッチ24のオンにより動作を開始した後、その動作中に変速ダイヤル23が操作された場合は、その操作状態に応じて(つまり変速ダイヤル23の設定位置に応じて)目標デューティ比を設定する。また、メイン制御部61は、その動作中に正逆切替レバー9が操作されたら、その操作状態に応じてモータ50の回転方向を設定する。また、メイン制御部61は、バッテリ電圧VBに基づいてバッテリ60の残容量を演算し、その演算結果に応じて、バッテリ60の残容量を示す残容量表示信号を残容量表示灯26へ出力する。
また、メイン制御部61は、その動作中にトリガ引金11が引き操作されることによりトリガスイッチ67がオンしたら、モータ50を回転させるための通電電流のデューティ比である制御デューティ比を演算して、その制御デューティ比を示す制御信号を駆動回路66へ出力する。
駆動回路66は、例えば、6つの半導体スイッチング素子を用いた三相ブリッジ回路を備えている。駆動回路66は、メイン制御部61から入力される制御信号が示す制御デューティ比に従って三相ブリッジ回路の各スイッチング素子をスイッチング動作させることで、制御デューティ比に応じた電流(本実施形態では三相交流電流)をモータ50へ供給する。
メイン制御部61は、トリガスイッチ67のオン、オフ状態を示すトリガ信号を、信号出力部64を介してセンサユニット40へ出力する。このトリガ信号により、センサユニット40は、トリガスイッチ67がオンされているか否かを認識することができる。
また、センサユニット40にて異常が検出された場合、センサユニット40からメインコントローラ30へモータ停止信号が入力される。メインコントローラ30に入力されたモータ停止信号は、信号入力部65を介してメイン制御部61に入力される。メイン制御部61は、センサユニット40からモータ停止信号が入力された場合は、センサユニット40において異常が検知された状態であると判断して、トリガスイッチ67のオン、オフ状態にかかわらず、モータ50への通電を停止させてモータ50の回転を強制停止させる。
次に、センサユニット40の電気的構成について説明する。センサユニット40は、センサ制御部71と、給電スイッチ77と、レギュレータ72と、信号入力部73と、信号出力部74と、EEPROM75と、加速度センサ44とを備えている。
給電スイッチ77は、バッテリ60からセンサユニット40のレギュレータ72へのバッテリ電圧VBの供給経路(電源供給経路)上に設けられている。給電スイッチ77は、メインスイッチ24がオンされるとオンし、メインスイッチ24がオフされるとオフするように構成されている。給電スイッチ77がオフしている間は、バッテリ60のバッテリ電圧VBは、レギュレータ72側(給電スイッチ77の下流側)には供給されない。
給電スイッチ77がオンすると、電源供給経路が導通して、バッテリ60からのバッテリ電圧VBが給電スイッチ77の下流側へ供給され、これによりレギュレータ72にバッテリ電圧VBが入力される。
なお、センサユニット40のレギュレータ72へのバッテリ電圧VBは、メインコントローラ30を経由して直接供給されてもよい。つまり、メインコントローラ30の給電スイッチ63がオンすると、バッテリ60からのバッテリ電圧VBが、その給電スイッチ63を介して、メインコントローラ30のレギュレータ62及びセンサユニット40のレギュレータ72の双方に供給される構成であってもよい。
センサ制御部71は、センサユニット40の主機能である異常状態検知機能を担う主要要素である。センサ制御部71は、本実施形態では、マイコンにより構成されている。具体的に、センサ制御部71は、CPU71aと、ROM71bと、RAM71cと、フラッシュメモリ71dと、A/D変換器71eとを備えている。
ROM71b及びフラッシュメモリ71dには、異常状態検知機能を含む各種機能を実現するための各種プログラムやデータなどが記憶されている。後述する各加速度閾値Ax,Ayや補正値は、フラッシュメモリ71dに記憶されている。
センサユニット40において、CPU71aは、ROM71b及びフラッシュメモリ71dに記憶されている各種プログラムやデータに基づいて各種処理を実行することで、異常状態検知機能を含む各種機能を実現する。なお、CPU71aは、必要に応じて、EEPROM75に対するデータの読み書きも行う。RAM71cは、CPU71aが各種処理を実行する際の、プログラムの展開エリアや演算用のワークエリアなどとして用いられる。
センサユニット40のA/D変換器71eは、センサ制御部71に入力される各種アナログ信号をデジタルデータに変換してCPU71aへ出力する。A/D変換器71eによりAD変換されるアナログ信号には、少なくとも、加速度センサ44から入力されるX軸検出電圧Vsx及びY軸検出電圧Vsyが含まれる。
加速度センサ44からセンサ制御部71に入力されたX軸検出電圧Vsx及びY軸検出電圧Vsyは、それぞれ、A/D変換器71eでAD変換される。センサ制御部71のCPU71aは、A/D変換器71eにてAD変換された各軸検出電圧Vsx,Vsyの各デジタルデータに基づいて、後述する図7の加速度計測処理を含む各種の処理を実行する。
センサユニット40のレギュレータ72は、バッテリ60からセンサユニット40内の給電スイッチ77を介してバッテリ電圧VBが入力されている間、そのバッテリ電圧VBを降圧して直流の所定電圧値(例えば5V)の制御電源電圧Vcc2を生成する。レギュレータ72で生成された制御電源電圧Vcc2は、センサユニット40内の各部の動作用電源として用いられる。
メインコントローラ30のレギュレータ62及びセンサユニット40のレギュレータ72は、入力されるバッテリ電圧VBにばらつきがあっても一定の制御電源電圧Vcc1,Vcc2を生成可能である。本実施形態では、各レギュレータ62,72は、例えば5V〜72Vまでのバッテリ電圧VBに対応可能であり、この範囲内のバッテリ電圧VBであれば、一定の制御電源電圧Vcc1,Vcc2を生成可能である。また、メインコントローラ30とセンサユニット40を別体にしているため、センサユニット40のレギュレータ72は、メインコントローラ30の要求仕様やメインコントローラ30の有無によらず、センサユニット40の仕様に応じて適宜搭載することが可能である。なお、本実施形態では、各レギュレータ62,72は、例えばシリーズレギュレータとして構成されている。
センサユニット40内の各部は、レギュレータ72で制御電源電圧Vcc2が生成されている間、その制御電源電圧Vcc2により動作する。よって、メインスイッチ24がオンされると、センサユニット40のレギュレータ72が動作して制御電源電圧Vcc2が生成され、センサ制御部71に供給されることにより、センサ制御部71が起動する。センサ制御部71が起動するとは、センサ制御部71のCPU71aが起動することを意味する。
なお、センサユニット40の各部の動作に必要な電源として、センサユニット40のレギュレータ72が生成する制御電源電圧Vcc2ではなく、メインコントローラ30のレギュレータ62で生成される制御電源電圧Vcc1を代用してもよい。即ち、メインコントローラ30のレギュレータ62で生成された制御電源電圧Vcc1がセンサユニット40にも供給されるように構成し、センサユニット40内の各部がその制御電源電圧Vcc1で動作できるようにしてもよい。その場合、センサユニット40からレギュレータ72を省いてもよい。
センサユニット40において、センサ制御部71には、メインコントローラ30からのトリガ信号が、信号入力部73を介して入力される。センサ制御部71は、このトリガ信号に基づいて、トリガスイッチ67のオン、オフ状態を認識できる。
センサ制御部71は、メインスイッチ24のオンにより動作を開始すると、加速度センサ44からの各軸検出電圧Vsx,Vsyに基づいて後述する図7の加速度計測処理を実行することで、草刈機1の異常状態の判定や、各軸検出電圧Vsx,Vsyのゼロ点補正用の補正値算出を行う。
センサ制御部71は、加速度センサ44からの各軸検出電圧Vsx,Vsyに基づいて異常状態の判定を行った結果、異常状態が発生していると判定した場合は、信号出力部74を介してモータ停止信号を出力する。モータ停止信号は、メインコントローラ30に入力され、既述の通り、メインコントローラ30内において信号入力部65を介してメイン制御部61に入力される。
また、センサ制御部71は、異常状態が発生していると判定した場合は、異常状態が発生していることを作業者に知らせるために、異常表示灯25を点灯させ、且つ、ブザー76を鳴動させる。つまり、作業者に対し、異常状態が発生していることを視覚的及び聴覚的に知らせる。
(3)加速度に基づく異常判定方法の概要
センサ制御部71は、加速度センサ44からのX軸検出電圧Vsxに基づいてX軸方向の加速度を演算し、加速度センサ44からのY軸検出電圧Vsyに基づいてY軸方向の加速度を演算する。演算されたX軸方向の加速度は、草刈機1に生じる左右方向Dxの加速度と捉えることができる。また、演算されたY軸方向の加速度は、草刈機1に生じる上下方向Dyの加速度と捉えることができる。
なお、加速度は、その発生方向によって、正の加速度と負の加速度が発生し得る。そのため、X軸方向及びY軸方向のいずれも、加速度の発生方向に応じて、正の加速度が演算されることもあれば、負の加速度が演算されることもある。ただし、本実施形態では、センサ制御部71は、加速度の向きは考慮せず、加速度の絶対値に基づいて、異常状態の有無を判定する。そのため、以下の説明では、加速度というときは、特にことわりのない限り、加速度の絶対値を意味しているものとする。
キックバックが発生した場合と転倒が発生した場合の加速度を比較すると、X軸方向の加速度については、キックバック発生時の方が比較的大きな加速度が生じるのに対し、転倒時に発生する加速度は低い。逆に、Y軸方向の加速度については、転倒発生時の方がキックバック発生時よりも非常に高い加速度が生じる。
そのため、本実施形態では、X軸方向の加速度に基づいてキックバックを、Y軸方向の加速度に基づいて転倒を、それぞれ検知するように構成されている。具体的には、X軸方向の加速度に対してX軸加速度閾値Axを設定し、X軸方向の加速度がX軸加速度閾値Axを超えた場合に、キックバックが発生したと判定する。また、Y軸方向の加速度に対してY軸加速度閾値Ayを設定し、Y軸方向の加速度がY軸加速度閾値Ayを超えた場合に、キックバックが発生したと判定する。
なお、草刈機1においては、異常状態が発生した場合に限らず、正常な使用状態でも発生しうる。そのため、各加速度閾値Ax,Ayは、対応する異常状態を精度良く検知できる値であって、且つ、正常な使用状態で生じる加速度に基づいて誤って異常状態が発生したと判定しないような値に、設定されている。
(4)ゼロ点補正の説明
次に、加速度センサ44から出力される各検出電圧Vsx,Vsyに対してセンサ制御部71で行われるゼロ点補正について説明する。なお、以下の説明では、X軸検出電圧VsxとY軸検出電圧Vsyを特に区別しない場合は、両者をまとめて「加速度検出電圧Vs」と称することがある。また、X軸加速度閾値AxとY軸加速度閾値Ayを特に区別しない場合は、両者をまとめて「加速度閾値A」と称することがある。
本実施形態の草刈機1では、既述の通り、センサ制御部71において、加速度閾値Aが設定されている。センサ制御部71は、加速度センサ44から入力された加速度検出電圧VsをAD変換し、そのAD変換後の値(以下「AD値」ともいう)に基づいて加速度を演算して、対応する加速度閾値Aと比較する。なお、本実施形態では、既述の通り、加速度の正負は考慮せず、加速度の絶対値と加速度閾値Aとを比較する。そして、加速度が加速度閾値Aを超えたら、異常状態が発生したと判定し、異常状態に対する所定の処理(モータ50の強制停止など)を実行するように構成されている。
一方、加速度閾値Aに基づいて比較される比較対象の加速度は、加速度センサ44から出力された加速度検出電圧Vsに基づく値である。一般に、加速度センサには、加速度検出電圧Vsの出力値に個体間のばらつきがある。即ち、理想的には、個体の違いにかかわらず同じ加速度に対しては同じ値の加速度検出電圧Vsが出力されるべきであるが、実際には、同じ加速度に対する加速度検出電圧Vsの値は、加速度センサの個体差によってばらつく。
例えば、図5Aに例示するように、加速度が0Gのときに出力される加速度検出電圧(以下「ゼロ点」ともいう)の、設計上の真の値が、V0であるとする。この設計上の真のゼロ点を、以下、基準ゼロ点という。なお、「G」とは、重力加速度の単位を示し、1G≒9.8m/s2である。
この場合、加速度センサの個体差にかかわらず、ゼロ点が基準ゼロ点V0と一致することが望ましい。しかし実際には、加速度センサによっては、0Gのときに例えば基準ゼロ点V0よりも高い加速度検出電圧Vsが出力されたり、0Gのときに例えば基準ゼロ点V0よりも低い加速度検出電圧Vsが出力されたりするなど、程度の差はあるものの、実際のゼロ点が基準ゼロ点V0からずれる場合が多い。
そこで、本実施形態の草刈機1では、センサ制御部71が、加速度センサ44から入力された加速度検出電圧VsのAD値に対してゼロ点補正を行い、ゼロ点補正後のAD値に基づいて加速度を演算するようにしている。
即ち、図5Bに例示するように、予め、X軸検出電圧Vsx及びY軸検出電圧VsyそれぞれのAD値について、加速度センサ44の実際のゼロ点(実ゼロ点)V0fから基準ゼロ点V0を減算することにより求められるオフセットを実測し、その実測値を補正値として保持しておく。各軸の基準ゼロ点の保持は、フラッシュメモリ71d(又はROM71b)に記憶することにより行う。
そして、実際に加速度センサ44から入力される加速度検出電圧Vsに基づいて加速度を演算する際は、加速度センサ44から入力される加速度検出電圧VsのAD値を、対応する軸の補正値で補正する。
例えば、加速度センサ44から図6Aに例示するような加速度検出電圧Vsが入力されたとする。この加速度検出電圧VsのAD値の実ゼロ点は、基準ゼロ点V0よりも高いV0fとなっている。センサ制御部71は、図6Bに例示するように、その入力された加速度検出電圧VsのAD値から、対応する軸の補正値を減算することで、ゼロ点補正を行う。そして、そのゼロ点補正後の値に基づいて加速度を演算する。
各軸毎にゼロ点補正の手順をより具体的に説明する。X軸方向のゼロ点補正については、まず、センサユニット40を規定の向きで静止させる。規定の向きとは、加速度センサ44におけるX検出軸及びY検出軸の双方が重力方向に略垂直となるような方向である。この、規定の向きで静止した状態を、以下「規定静止状態」ともいう。センサユニット40を規定静止状態とするのは、センサユニット40の加速度が0の状態でオフセットの実測を行うためである。
センサユニット40を規定静止状態にした後、加速度センサ44から出力されたX軸検出電圧VsxをA/D変換器71eでAD変換する。このAD変換後の値が、X軸検出電圧の実際のゼロ点であるX軸実ゼロ点V0fxである。一方、真のゼロ点である基準ゼロ点V0は、予めフラッシュメモリ71d(又はROM71b)に記憶されている。
そこで、X軸実ゼロ点V0fxから基準ゼロ点V0を減算した値であるX軸オフセット値を算出し、そのX軸オフセット値を、X軸補正値としてフラッシュメモリ71dに記憶する。このようにしてX軸補正値が記憶されたら、以後、加速度センサ44からのX軸検出電圧Vsxに基づいてX軸方向の加速度を演算する際は、X軸検出電圧VsxのAD変換後の値(X軸センサAD値Vsxd)を、フラッシュメモリ71dに記憶されているX軸補正値を用いてゼロ点補正する。具体的には、X軸センサAD値VsxdからX軸補正値を減算することで、X軸補正電圧Vxを算出する。そして、このX軸補正電圧Vxに基づいて、X軸方向の加速度を演算する。
Y軸方向のゼロ点補正についても同様である。具体的に、まず、センサユニット40を規定静止状態にする。そして、その、規定静止状態で、加速度センサ44から出力されたY軸検出電圧VsyをA/D変換器71eでAD変換する。このAD変換後の値が、Y軸検出電圧の実際のゼロ点であるY軸実ゼロ点V0fyである。
そこで、Y軸実ゼロ点V0fyから基準ゼロ点V0を減算した値であるY軸オフセット値を算出し、そのY軸オフセット値を、Y軸補正値としてフラッシュメモリ71dに記憶する。このようにしてY軸補正値が記憶されたら、以後、加速度センサ44からのY軸検出電圧Vsyに基づいてY軸方向の加速度を演算する際は、Y軸検出電圧VsyのAD変換後の値(Y軸センサAD値Vsyd)を、フラッシュメモリ71dに記憶されているY軸補正値を用いてゼロ点補正する。具体的には、Y軸センサAD値VsydからY軸補正値を減算することで、Y軸補正電圧Vyを算出する。そして、このY軸補正電圧Vyに基づいて、Y軸方向の加速度を演算する。
本実施形態では、上記の手順により、センサユニット40単体でゼロ点補正用の各軸補正値の算出及びフラッシュメモリ71dへの記憶が行われた上で、そのセンサユニット40が、草刈機1に組み付けられる。
(5)加速度計測処理の説明
センサ制御部71で実行される加速度計測処理について、図7を用いて説明する。上述したゼロ点補正は、図7の加速度計測処理の中で行われる。センサ制御部71のCPU71aは、メインスイッチ24のオンにより起動すると、ROM71b又はフラッシュメモリ71dから図7の加速度計測処理のプログラムを読み込んで実行する。
センサ制御部71のCPU71aは、図7の加速度計測処理を開始すると、S110で、フラッシュメモリ71dから各軸の補正値(X軸補正値及びY軸補正値)を読み込む。読み込んだ各軸の補正値は、RAM71cに展開しておく。
S120では、センサ制御部71が計測モードに設定されているか否か判断する。計測モードへの設定は、本実施形態では、基本的には、草刈機1の出荷前に草刈機1のメーカ側で行われる。草刈機1の出荷後も、草刈機1の保守点検時や修理時などの必要なタイミングで、草刈機1のメーカ側で計測モードに設定されることもある。
また、計測モードに設定する目的は、ゼロ点補正用の補正値をフラッシュメモリ71dに記憶させることであるため、計測モードに設定する際には、センサユニット40を例えば水平な作業台の上に置くなどして、センサユニット40を規定静止状態にする必要がある。高精度のゼロ点補正を実現するためには、そもそも、ゼロ点補正用の補正値を高精度に演算する必要がある。そのためには、補正値を演算,記憶させるための計測モード時には、センサユニット40を確実に規定静止状態にすることが望ましい。
計測モードの設定方法は種々考えられる。例えば、センサユニット40に、計測モードに設定するためのボタンを設けて、そのボタンを押下することで計測モードに設定できるようにしてもよい。また例えば、外部ツールをセンサ制御部71に接続して設定指令を送ることで、計測モードに設定できるようにしてもよい。なお、計測モードに設定できるタイミングや設定方法は上記例に限定されない。
センサ制御部71が計測モードに設定されている場合は(S120:YES)、S130で、加速度センサAD値を取得する。加速度センサAD値とは、加速度センサ44から入力された加速度検出電圧Vsの、A/D変換器71eによるAD変換後のAD値(X軸センサAD値Vsxd,Y軸センサAD値Vsyd)である。
S140では、基準ゼロ点V0に基づいて、加速度センサAD値のオフセット値(X軸オフセット値及びY軸オフセット値)を算出する。S150では、S140で算出した各軸のオフセット値を、それぞれ対応する軸の補正値(X軸補正値,Y軸補正値)として、フラッシュメモリ71dに書き込む。S160では、S150における、各軸補正値のフラッシュメモリ71dへの書き込みが正常に行われたか否かをチェックする。S160の処理後は、S110に戻る。
S120で、センサ制御部71が計測モードに設定されていない場合は(S120:NO)、S170で、S130と同様に加速度センサAD値(X軸センサAD値Vsxd,Y軸センサAD値Vsyd)を取得する。S180では、S170で取得した加速度センサAD値を、補正値を用いて補正する。具体的には、X軸センサAD値VsxdについてはX軸補正値を用いてゼロ点補正し、Y軸センサAD値VsydについてはY軸補正値を用いてゼロ点補正する。
S190では、X,Y各軸それぞれ、S180によるゼロ点補正後の値に基づいて、加速度を演算する。S200では、S190で演算された各軸の加速度に基づいて、異常状態の有無を判定する。具体的には、X軸方向の加速度に対しては、そのX軸方向の加速度がX軸加速度閾値Axを超えているか否か判断し、超えている場合に、X軸方向に大きな加速度が発生するような異常状態(例えばキックバック)が発生したことを判定する。Y軸方向の加速度に対しても、そのY軸方向の加速度がY軸加速度閾値Ayを超えているか否か判断し、超えている場合に、Y軸方向に大きな加速度が発生するような異常状態(例えば転倒)が発生したことを判定する。S200の判定処理後は、S120に戻る。なお、異常状態が発生したことを判定した場合は、既述の通り、所定の処理(モータ50の強制停止など)も実行する。
(6)第1実施形態の効果
以上説明した本実施形態の草刈機1によれば、加速度センサ44が規定静止状態に置かれた状態で実測された実ゼロ点に基づいて、その実ゼロ点から予め設定された基準ゼロ点V0を減算した値(減算値)を示すパラメータが算出され、保持される。具体的には、オフセット値が算出され、そのオフセット値がゼロ点補正用の補正値として(即ちパラメータとして)保持される。さらに、その補正値の保持は、フラッシュメモリ71dに記憶されることにより実現される。
そして、加速度センサ44から出力される加速度検出電圧VsのAD値は、フラッシュメモリ71dに記憶されている補正値に基づいて補正される。そのため、加速度センサ44から出力される加速度検出電圧Vsのゼロ点にばらつきがあっても、そのばらつきを簡素な方法で補正でき、これにより草刈機1に生じる加速度を精度良く検出することができる。よって、草刈機1にキックバックや転倒が生じた場合に、これらを精度良く検知することができる。
特に、本実施形態では、加速度検出電圧VsがA/D変換器71eによってAD変換された後のAD値に基づいて補正値が演算、設定されており、その補正値を用いたゼロ点補正も、加速度検出電圧VsのAD値に対して行われる。そのため、加速度センサ44の個体差に起因するばらつきだけでなく、加速度センサ44の電源電圧のばらつきやA/D変換器71eによるAD変換性能のばらつきなどの、加速度検出電圧VsのAD値に含まれている各種のばらつき要素をまとめてキャンセルすることができる。
また、本実施形態では、加速度センサ44から出力されるX,Y各軸の加速度検出電圧Vsに対して個別に補正値が設定され、個別にゼロ点補正が行われる。そのため、X軸方向に大きな加速度が生じるキックバック、及びY軸方向に大きな加速度が生じる転倒を、それぞれ高精度に検知することができる。
また、本実施形態では、補正値をフラッシュメモリ71dに記憶するようにしている。このようにフラッシュメモリ71dに記憶するようにすれば、補正値を記憶させるために別途特別な回路を用意する必要がなくなり、その分、コストアップを抑制することができる。
なお、本実施形態において、草刈機1は本発明の作業機の一例に相当する。規定静止状態は本発明の「規定の向きに静止された状態」の一例に相当する。X軸方向は本発明の第1方向の一例に相当し、Y軸方向は本発明の第2方向の一例に相当する。フラッシュメモリ71dは本発明のパラメータ保持部及び記憶部の一例に相当する。フラッシュメモリ71dに記憶される各軸の補正値は本発明のパラメータの一例に相当する。図7のS130〜S150の処理は本発明のパラメータ保持部が実行する処理の一例に相当し、このうち特に、S130の処理は本発明の検出値取得部が実行する処理の一例に相当し、S140の処理は本発明のパラメータ算出部が実行する処理の一例に相当する。図7のS180の処理は本発明の補正部が実行する処理の一例に相当する。
[第2実施形態]
第2実施形態の草刈機は、センサ制御部で行われるゼロ点補正の方法が異なること以外は、基本的に第1実施形態の草刈機1と同じ構成である。そのため、本第2実施形態では、第1実施形態の草刈機1と共通する構成については図示及び説明を省略する。そして、第1実施形態との相違点を中心に、図8及び図9を用いて説明する。
本実施形態の草刈機は、図8に示すように、センサユニット100に、X軸用ポテンショメータ102及びY軸用ポテンショメータ103が搭載されている。X軸用ポテンショメータ102は、センサユニット40が規定静止状態にされているときに加速度センサ44から出力されるX軸検出電圧Vsxと同じ値をX軸設定値として設定するために設けられている。Y軸用ポテンショメータ103は、センサユニット40が規定静止状態にされているときに加速度センサ44から出力されるY軸検出電圧Vsyと同じ値をY軸設定値として設定するために設けられている。
X軸ポテンショメータ102は、制御電源電圧Vcc2を抵抗R1と可変抵抗Rxとで分圧し、その分圧値をX軸設定値Vpxとして出力するように構成されている。可変抵抗Rxの抵抗値はユーザ操作によって任意に設定変更できる。Y軸ポテンショメータ103は、制御電源電圧Vcc2を抵抗R1と可変抵抗Ryとで分圧し、その分圧値をY軸設定値Vpyとして出力するように構成されている。可変抵抗Ryの抵抗値はユーザ操作によって任意に設定変更できる。各設定値Vpx,Vpyは、それぞれ対応する軸のゼロ点補正に用いられる。なお、以下の説明では、X軸設定値VpxとY軸設定値Vpyを特に区別しない場合は、両者をまとめて「ポテンショメータ設定値Vp」と称することがある。
ポテンショメータ設定値Vpは、各ポテンショメータ102,103の各可変抵抗Rx,Ryの抵抗値を調整することにより行われるが、この調整は、基本的には、草刈機の出荷前に草刈機のメーカ側で行われる。
本実施形態の草刈機は、図8に示すように、X軸設定スイッチ111と、Y軸設定スイッチ112と、設定終了スイッチ113とを備えている。各スイッチ111,112,113の操作状態を示す操作信号は、センサユニット100のセンサ制御部101に入力される。センサ制御部101は、第1実施形態のセンサ制御部71と同様、CPU106,ROM107,RAM108,A/D変換器109などを備える。
ポテンショメータ設定値Vpの設定作業を行う設定作業者は、ポテンショメータ設定値Vpを正しく設定するためには、まず、センサユニット40を規定静止状態にする必要がある。そして、X軸設定値Vpxを設定する際は、X軸設定スイッチ111を押下する。X軸設定スイッチ111を押下すると、センサ制御部101の動作モードがX軸調整モードとなり、X軸設定値Vpxの設定が可能となる。また、Y軸設定値Vpyを設定する際は、Y軸設定スイッチ112を押下する。Y軸設定スイッチ112を押下すると、センサ制御部101の動作モードがY軸調整モードとなり、Y軸設定値Vpyの設定が可能となる。
センサ制御部101の動作モードがX軸調整モード又はY軸調整モードになると、センサ制御部101のCPU106は、図9Aに示すポテンショメータ設定処理を開始する。このポテンショメータ設定処理のプログラムは、例えばROM107に記憶されている。
CPU106は、図9Aのポテンショメータ設定処理を開始すると、S310で、加速度センサAD値を取得する。具体的に、X軸調整モードの場合は、X軸検出電圧VsxのAD値であるX軸センサAD値Vsxdを取得し、Y軸調整モードの場合は、Y軸検出電圧VsyのAD値であるY軸センサAD値Vsydを取得する。
S320では、現在の調整モードに対応したポテンショメータのポテンショメータ設定値VpをAD値として取得する。例えば、X軸調整モードに設定されている場合は、X軸ポテンショメータ102のX軸設定値VpxがA/D変換器109でAD変換された値を取得する。
S330では、S310で取得した加速度センサAD値とS320で取得したポテンショメータ設定値が一致するか否か判断する。例えばX軸調整モード中の場合は、S310で取得したX軸センサAD値VsxdとS320で取得したX軸調整値VpxのAD値が一致するか否かを判断する。一致しない場合は(S330:NO)、S350に進む。一致した場合は(S330:YES)、S340で、報知処理を行う。具体的には、報知部114(図8参照)に報知指令を出力することで、報知部114に、一致したことを示す報知動作を実行させる。
報知動作としては、例えばランプを点灯させたり、ブザーを鳴動させたりすることが考えられる。報知部114の報知動作によって、設定作業者は、ポテンショメータ設定値が加速度センサから出力されている実際の検出電圧と一致したことを認識することができる。
S350では、ポテンショメータ設定値Vpの設定が終了したか否かを判断する。設定作業者は、ポテンショメータ設定値Vpを確定させて設定作業を終了させたい場合は、設定終了スイッチ113を押下する必要がある。S350の判断は、設定終了スイッチ113が押下されたか否かを判断することにより行う。
設定終了スイッチ113が押下されていない場合は、まだ設定作業が終了していないと判断し(S350:NO)、S310に戻る。設定終了スイッチ113が押下された場合は、設定作業が終了したと判断し(S350:YES)、ポテンショメータ設定処理を終了する。
従って、設定作業者は、例えばX軸ポテンショメータ102のX軸設定値Vpxを設定したい場合は、まずセンサユニット40を規定静止状態にする。そして、X軸設定スイッチ111を押下して動作モードをX軸調整モードにした後、X軸ポテンショメータ102の可変抵抗Rxの抵抗値を調整する。具体的には、報知部114による報知動作が行われるように調整する。報知部114による報知動作が行われたら、そこで抵抗値の調整を停止し、その時点での抵抗値で確定させる。このとき、X軸設定値VpxのAD値は、X軸センサAD値Vsxdと一致しており、これによりX軸設定値Vpxが正しく設定されたことになる。Y軸ポテンショメータ103のY軸設定値Vpyを設定したい場合も、上記の手順で行うことができる。
センサ制御部101のCPU106は、動作モードがX軸調整モード及びY軸調整モードのいずれにも設定されていない通常モード時には、図9Bに示す加速度計測処理を実行する。
センサ制御部101のCPU106は、図9Bの加速度計測処理を開始すると、S410で、各ポテンショメータ102,103のポテンショメータ設定値Vp(Vpx,Vpy)のAD値を取得する。S420では、X,Y各軸それぞれ、ゼロ点補正用の補正値(X軸補正値、Y軸補正値)を算出する。具体的には、X軸補正値については、X軸設定値Vpxから基準ゼロ点V0を減算することで、X軸補正値を算出する。Y軸補正値については、Y軸設定値Vpyから基準ゼロ点V0を減算することで、Y軸補正値を算出する。
S430では、加速度センサAD値(X軸センサAD値Vsxd,Y軸センサAD値Vsyd)を取得する。S440では、S430で取得した加速度センサAD値を、対応する軸の補正値を用いてゼロ点補正する。
S450では、X,Y各軸それぞれ、S440によるゼロ点補正後の値に基づいて、加速度を演算する。S460では、S450で演算された各軸の加速度に基づいて、異常状態の有無を判定する。この判定の具体的内容は図7のS200と同じである。S460の判定処理後は、S430に戻る。
[第3実施形態]
第3実施形態の草刈機は、センサ制御部で行われるゼロ点補正の方法が異なること以外は、基本的に第1実施形態の草刈機1と同じ構成である。そのため、本第3実施形態では、第1実施形態の草刈機1と共通する構成については図示及び説明を省略する。そして、第1実施形態との相違点を中心に、図10〜図12を用いて説明する。
本実施形態の草刈機は、図10に示すように、X軸用ロータリスイッチ130及びY軸用ロータリスイッチ132が搭載されている。X軸用ロータリスイッチ130は、X軸加速度検出電圧Vsxに対するゼロ点補正用のX軸補正値を設定するために設けられている。Y軸用ロータリスイッチ132は、Y軸加速度検出電圧Vsyに対するゼロ点補正用のY軸補正値を設定するために設けられている。
X軸用ロータリスイッチ130は、本実施形態では、0からFまでの16段階のデジタルデータを選択的に設定可能である。X軸ロータリスイッチ130の設定値であるX軸設定値は、ダイヤル131を回すことにより行うことができる。X軸ロータリスイッチ130には、X軸設定値を出力するための4つの出力ポートがあり、各出力ポートには、抵抗Rを介して制御電源電圧Vcc2が印加されている。また、各出力ポートの電圧レベル(Hレベル又はLレベル)が、それぞれ、X軸設定値を示す4桁の出力データDx1,Dx2,Dx3,Dx4としてセンサ制御部120に入力される。
各出力ポートは、ダイヤル131による設定状態に応じて(即ち現在設定されているX軸設定値に応じて)、接地電位又はハイインピーダンスの何れかに切り替わる。例えば、ダイヤルが「5」に設定されている場合は、出力データDx1の出力ポート及び出力データDx3の出力ポートはハイインピーダンスとなって制御電源電圧Vcc2と同等の電圧レベル(Hレベル)となり、出力データDx2の出力ポート及び出力データDx4の出力ポートは接地電位(Lレベル)となる。これにより、X軸設定値が「5」に設定されていることが、デジタルデータとしてセンサ制御部120に伝達される。
Y軸用ロータリスイッチ132も、X軸用ロータリスイッチ130と全く同じ構成である。即ち、ダイヤル133によってY軸設定値を16段階に設定できる。そして、Y軸設定値を出力するための4つの出力ポートから、それぞれ、設定されているY軸設定値を示す4桁の出力データDy1,Dy2,Dy3,Dy4がセンサ制御部120に入力される。
本実施形態のセンサ制御部120は、第1実施形態のセンサ制御部71と同様、CPU121、ROM122、RAM123、A/D変換器124、フラッシュメモリ125などを備える。さらに、本実施形態のセンサ制御部120は、入力部126を備える。入力部126には、各ロータリスイッチ130,132からの各設定値を示す各出力データ(4桁分のデータ)が入力される。CPU121には、入力部126を介して、各ロータリスイッチ130,132で設定されている各設定値(0〜Fまでの16段階の設定値の何れか)を取得する。
各ロータリスイッチ130,132の各設定値の設定は、基本的には、草刈機の出荷前に草刈機のメーカ側で行われる。各設定値の設定作業を行う設定作業者は、各設定値を正しく設定するためには、まず、センサユニット40を規定静止状態にする必要がある。そして、規定静止状態に置かれた状態で、加速度センサ44から実際に出力されているX軸検出電圧Vsx及びY軸加速度検出電圧Vsyをそれぞれ計測器140を用いて実測する。
一方、本実施形態の草刈機に対しては、設定作業者向けに、図11Aに示すダイヤル設定テーブルが予め用意されている。このダイヤル設定テーブルは、加速度検出電圧Vsの計測値とロータリスイッチのダイヤル値との対応関係を示すテーブルである。設定作業者は、計測した加速度検出電圧Vsと図11Aのダイヤル設定テーブルとを照らし合わせることで、ロータリスイッチのダイヤル値を決定する。なお、本実施形態では、加速度センサ44が例えば5Vの制御電源電圧Vcc2で動作するよう構成され、基準ゼロ点V0が2.5Vであるものとする。
例えば、X軸検出電圧Vsxの計測値が2.5V(即ちオフセットがなく基準ゼロ点V0と同じ値)であった場合は、図11Aのダイヤル設定テーブルに基づき、X軸用ロータリスイッチ130のダイヤル131を「8」に設定すればよい。また例えば、Y軸検出電圧Vsyの計測値が2.8V(即ち基準ゼロ点V0よりも0.3V高い値)であった場合は、図11Aのダイヤル設定テーブルに基づき、Y軸用ロータリスイッチ132のダイヤル133を「E」に設定すればよい。
このように、各ロータリスイッチ130,132の各ダイヤル131,133の設定は、規定静止状態での加速度センサ44からの加速度検出電圧Vsを実際に計測し、その計測値に対応したダイヤル値を図11Aのダイヤル設定テーブルから探し出して設定することにより行うことができる。そして、各ロータリスイッチ130,132で設定されている各設定値が、センサ制御部120において各軸のゼロ点補正に用いられる。
センサ制御部120のCPU121は、起動すると、図12に示す加速度計測処理を実行する。 センサ制御部120のCPU121は、図12の加速度計測処理を開始すると、S510で、各ロータリスイッチ130,132の各設定値を取得する。
S520では、X,Y各軸それぞれ、ゼロ点補正用の補正値(X軸補正値、Y軸補正値)を取得する。具体的には、図11Bに示す補正値設定テーブルを用いて、ロータリスイッチ130,132の各ダイヤル値に対応した補正値を取得する。図11Bの補正値設定テーブルは、ROM122又はフラッシュメモリ125に予め記憶されている。
例えば、X軸用ロータリスイッチ130のダイヤル値が「8」である場合は、図11Bの補正値設定テーブルに基づき、X軸補正値として0Vを取得する。つまり、X軸補正値を0Vに設定する。また例えば、Y軸用ロータリスイッチ132のダイヤル値が「E」である場合は、図11Bの補正値設定テーブルに基づき、Y軸補正値として+0.3Vを取得する。つまり、Y軸補正値を+0.3Vに設定する。
S530では、加速度センサAD値(X軸センサAD値Vsxd,Y軸センサAD値Vsyd)を取得する。S540では、S530で取得した加速度センサAD値を、S520で取得した補正値を用いてゼロ点補正する。
S550では、X,Y各軸それぞれ、S540によるゼロ点補正後の値に基づいて、加速度を演算する。S560では、S550で演算された各軸の加速度に基づいて、異常状態の有無を判定する。この判定の具体的内容は図7のS200と同じである。S560の判定処理後は、S510に戻る。
なお、本実施形態において、各ロータリスイッチ130,132は本発明のデジタル値出力部の一例に相当する。図11Bの補正値設定テーブルは本発明のパラメータ設定テーブルの一例に相当する。
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得る。
(1)第1実施形態では、ゼロ点補正に用いるパラメータとして補正値をフラッシュメモリ71dに記憶させる例を示したが、パラメータとして補正値を記憶させることは必須ではない。補正値を直接又は間接的に示す値である限り(つまり結果的に補正値を取得できる限り)、あらゆる情報をパラメータとして記憶させることができる。例えば、補正値ではなく、加速度センサAD値をそのままパラメータとして記憶させるようにしてもよい。その場合、ゼロ点補正を行う際に、フラッシュメモリ71dからパラメータである加速度センサAD値を取得し、その加速度センサAD値から基準ゼロ点V0を減算して補正値を算出し、その補正値を用いてゼロ点補正を行うことができる。
また、パラメータを記憶させておく記憶媒体は、フラッシュメモリ71dに限定されない。例えば、EEPROM75に記憶させてもよい。
(2)第2実施形態における各ポテンショメータ102,103の設定は、第3実施形態のロータリスイッチの設定と同じように、規定静止状態で加速度検出電圧Vsを実測してその実際値に合わせて設定作業者が設定するようにしてもよい。また、各ポテンショメータ102,103の各ポテンショメータ設定値Vpは、規定静止状態での加速度検出電圧Vsの実測値ではなく、その実測値から基準ゼロ点V0を減算した値であるオフセット値であってもよい。つまり、設定作業者が、実測した加速度検出電圧Vsからオフセット値を計算し、その計算したオフセット値をポテンショメータに設定するようにしてもよい。
(3)図12に示した第3実施形態の加速度計測処理において、S560の処理後はS530に戻るようにしてもよい。つまり、S510〜S520の、ロータリスイッチの設定値を取得して補正値を設定する処理は、加速度計測処理の開始後に1回だけ行うようにしてもよい。逆に、図9Bに示した第2実施形態の加速度計測処理において、S460の処理後はS410に戻るようにしてもよい。つまり、S410〜S420の処理も含めて、S410〜S460の処理全体を繰り返し行うようにしてもよい。
(4)第3実施形態において、ロータリスイッチの段階数(出力ビット数)は適宜決めることができる。また、ロータリスイッチ以外の設定手段を用いてもよい。例えば、ロータリスイッチに代えてディップスイッチを用いてもよい。
(5)ゼロ点補正をAD変換後のAD値に対して行うことは必須ではなく、加速度検出電圧VsをAD変換する前のアナログ信号に対して行うようにすることもできる。
(6)本発明を適用可能な加速度センサは、上述した3軸の加速度センサに限定されない。加速度センサが有する検出軸の数にかかわらず、検出軸毎に本発明を適用してゼロ点補正を行うことができる。
(7)上記実施形態では、後端ハウジング21にバッテリパック22を着脱可能に構成された草刈機1を示したが、草刈機の各部への電力供給方法は、バッテリパック22を後端ハウジング21に直接装着して供給する方法に限定されない。例えば、後端ハウジング21内にバッテリ60が内蔵された草刈機であってもよい。また例えば、草刈機とは別のバッテリユニットから電源コードを介して草刈機へバッテリ電力を供給するように構成された草刈機であってもよい。また例えば、商用交流電源から電源コードを介して交流電力が供給され、その交流電力によってモータが駆動される構成の草刈機であってもよい。
(8)上記実施形態では、モータ50がブラシレスモータである例を示したが、モータ50は、ブラシレスモータ以外の各種のモータであってもよい。また、上記実施形態では、刈刃17がモータ50で駆動される構成の草刈機1を示したが、刈刃17の動力源はモータ50に限定されない。例えば、内燃機関を動力源として刈刃17を回転させるよう構成された草刈機に対しても本発明を適用可能である。
(9)本発明は、草刈機への適用に限らず、例えばチェーンソー、ヘッジトリマ、バリカンなど、動力源によって作業要素が駆動されるよう構成された各種の作業機に対して適用可能である。
(10)その他、上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合させたりしてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。