JP2016080431A - 光プローブ、測定装置及び測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】測定精度に対する温度変化による影響をより小さくすることができる光プローブ、この光プローブを含む測定装置及び測定方法の提供を目的とする。
【解決手段】測定装置1は、光源10からの近赤外光を測定部25に照射することで、測定部25内の測定対象物からの透過光又は散乱光を入射して、分析器30のセンサ部33において受光する。分析器30の解析部38において、熱電対35により計測された測定対象物Oの温度情報に基づいて、センサ部33により取得されたスペクトル情報を補正した上で、スペクトルの評価を行う構成とする。これにより、測定対象物の温度変化による測定装置1の測定精度への影響を小さくすることができる。
【選択図】図2
【解決手段】測定装置1は、光源10からの近赤外光を測定部25に照射することで、測定部25内の測定対象物からの透過光又は散乱光を入射して、分析器30のセンサ部33において受光する。分析器30の解析部38において、熱電対35により計測された測定対象物Oの温度情報に基づいて、センサ部33により取得されたスペクトル情報を補正した上で、スペクトルの評価を行う構成とする。これにより、測定対象物の温度変化による測定装置1の測定精度への影響を小さくすることができる。
【選択図】図2
Description
本発明は、光プローブ、この光プローブを含む測定装置及び測定方法に関する。
例えば懸濁液のような凝集物が含まれる液体試料に対して近赤外光を照射して、測定対象物の近赤外光の反射率及び透過率を測定するための光プローブを備えた測定装置が知られている(例えば、特許文献1,2等)。
ここで、液体試料に含まれる測定対象物が温度によってスペクトル特性が変化しやすいものである場合、液体試料の温度変化によって測定精度が低下する可能性がある。
本発明は上記を鑑みてなされたものであり、測定精度に対する温度変化による影響をより小さくすることができる光プローブ、この光プローブを含む測定装置及び測定方法の提供を目的とする。
本願発明は、
(1)測定対象物から出射される透過光又は散乱光を入射して分析器まで導波する入射部と、
前記測定対象物の温度を測定して当該温度の情報を分析器まで伝達する温度測定部と、
前記入射部及び前記温度測定部の前記測定対象物側の端部が内部に収容された筺体部と、
を備える光プローブ、
である。
(1)測定対象物から出射される透過光又は散乱光を入射して分析器まで導波する入射部と、
前記測定対象物の温度を測定して当該温度の情報を分析器まで伝達する温度測定部と、
前記入射部及び前記温度測定部の前記測定対象物側の端部が内部に収容された筺体部と、
を備える光プローブ、
である。
また、本願発明は、
(2)測定対象物から出射される透過光又は散乱光を入射して導波すると共に、前記測定対象物の温度を測定する光プローブと、
前記光プローブに入射させた前記透過光又は前記散乱光を分析する分析器と、
を備える測定装置であって、
前記光プローブは、
前記透過光又は前記散乱光を入射して前記分析器まで導波する入射部と、
前記測定対象物の温度を測定して当該温度に係る情報を前記分析器まで伝達する温度測定部と、
前記入射部及び前記温度測定部の前記測定対象物側の端部が内部に収容された筺体部と、
を備え、
前記分析器は、
前記入射部を導波した前記透過光又は散乱光を受光するセンサ部と、
前記温度測定部により測定された前記測定対象物の温度に基づいて、前記センサ部により受光した光の強度を補正して解析に使用する解析部と、
を備える測定装置、
である。
(2)測定対象物から出射される透過光又は散乱光を入射して導波すると共に、前記測定対象物の温度を測定する光プローブと、
前記光プローブに入射させた前記透過光又は前記散乱光を分析する分析器と、
を備える測定装置であって、
前記光プローブは、
前記透過光又は前記散乱光を入射して前記分析器まで導波する入射部と、
前記測定対象物の温度を測定して当該温度に係る情報を前記分析器まで伝達する温度測定部と、
前記入射部及び前記温度測定部の前記測定対象物側の端部が内部に収容された筺体部と、
を備え、
前記分析器は、
前記入射部を導波した前記透過光又は散乱光を受光するセンサ部と、
前記温度測定部により測定された前記測定対象物の温度に基づいて、前記センサ部により受光した光の強度を補正して解析に使用する解析部と、
を備える測定装置、
である。
また、本願発明は、
(3)測定対象物から出射される透過光又は散乱光を入射すると共に、前記測定対象物の温度を測定する光プローブと、
前記光プローブに入射させた前記透過光又は前記散乱光を分析する分析器と、
を備える測定装置による測定方法であって、
前記光プローブに入射した前記透過光又は前記散乱光を前記分析器で受光する受光ステップと、
前記光プローブにおいて測定された温度に係る情報を前記分析器にて取得する温度測定ステップと、
前記温度測定ステップにおいて測定された前記測定対象物の温度に基づいて、前記受光ステップにおいて受光された光の強度を補正して解析に使用する解析ステップと、
を備える測定方法、
である。
(3)測定対象物から出射される透過光又は散乱光を入射すると共に、前記測定対象物の温度を測定する光プローブと、
前記光プローブに入射させた前記透過光又は前記散乱光を分析する分析器と、
を備える測定装置による測定方法であって、
前記光プローブに入射した前記透過光又は前記散乱光を前記分析器で受光する受光ステップと、
前記光プローブにおいて測定された温度に係る情報を前記分析器にて取得する温度測定ステップと、
前記温度測定ステップにおいて測定された前記測定対象物の温度に基づいて、前記受光ステップにおいて受光された光の強度を補正して解析に使用する解析ステップと、
を備える測定方法、
である。
本発明によれば、測定精度に対する温度変化による影響をより小さくすることができる光プローブ、この光プローブを含む測定装置及び測定方法が提供される。
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施態様を列記して説明する。
最初に本願発明の実施態様を列記して説明する。
本願発明の光プローブは、(1)測定対象物から出射される透過光又は散乱光を入射して分析器まで導波する入射部と、前記測定対象物の温度を測定して当該温度の情報を分析器まで伝達する温度測定部と、前記入射部及び前記温度測定部の前記測定対象物側の端部が内部に収容された筺体部と、を備えることを特徴とする。
上記の光プローブによれば、測定対象物の温度を測定して分析器まで伝達する構成を備えることにより、分析器において、当該温度の情報を利用して測定対象物の分析を行うことができる。したがって、測定精度に対する温度変化による影響をより小さくすることができる。また、温度測定部と入射部とが一の筺体部に収容された構成とすることで、取り回しがしやすくなる。
(2)前記測定対象物に対して、光源からの近赤外光を導波して出射する照射部をさらに備え、前記入射部は、前記照射部からの前記近赤外光の出射によって前記測定対象物から出射される透過光又は散乱光を入射し、前記筺体部は、前記照射部の前記測定対象物側の端部を内部に収容する態様とすることができる。
光プローブが照射部をさらに備えている場合、光源からの近赤外光の測定対象物への照射も一の筺体部に収容された構成とすることで、取り扱い性がより向上する。
本願発明の測定装置は、(3)測定対象物から出射される透過光又は散乱光を入射して導波すると共に、前記測定対象物の温度を測定する光プローブと、前記光プローブに入射させた前記透過光又は前記散乱光を分析する分析器と、を備える測定装置であって、前記光プローブは、前記透過光又は前記散乱光を入射して前記分析器まで導波する入射部と、前記測定対象物の温度を測定して当該温度に係る情報を前記分析器まで伝達する温度測定部と、前記入射部及び前記温度測定部の前記測定対象物側の端部が内部に収容された筺体部と、を備え、前記分析器は、前記入射部を導波した前記透過光又は散乱光を受光するセンサ部と、前記温度測定部により測定された前記測定対象物の温度に基づいて、前記センサ部により受光した光の強度を補正して解析に使用する解析部と、を備える態様とすることができる。
上記の測定装置によれば、光プローブにおいて測定対象物の温度を測定して分析器まで伝達する構成を備えることにより、分析器の解析部では、センサ部において受光された光の強度に関して、測定対象物の温度の情報を利用して補正を行った後に、測定対象物の分析を行うことができる。したがって、測定精度に対する温度変化による影響をより小さくすることができる。また、温度測定部と入射部とが一の筺体部に収容された構成とすることで、取り回しがしやすくなる。
(4)前記測定対象物の特定の温度における特定の波長の光に対する吸光度を示す基準吸光度と、前記測定対象物の温度変化に対応する前記基準吸光度からの吸光度変化を示す変化情報と、を格納するデータベースを備え、前記解析部は、前記データベースに格納された前記基準吸光度と前記変化情報とに基づいて、前記測定対象物の温度に応じた補正を行う態様とすることができる。
このように、基準吸光度と変化情報とに基づいて、センサ部において受光された光の強度に関して、測定対象物の温度に応じた補正を行う構成とすることで、温度変化に応じた補正を好適に行うことができる。
本願発明の測定方法は、(5)測定対象物から出射される透過光又は散乱光を入射すると共に、前記測定対象物の温度を測定する光プローブと、前記光プローブに入射させた前記透過光又は前記散乱光を分析する分析器と、を備える測定装置による測定方法であって、前記光プローブに入射した前記透過光又は前記散乱光を前記分析器で受光する受光ステップと、前記光プローブにおいて測定された温度に係る情報を前記分析器にて取得する温度測定ステップと、前記温度測定ステップにおいて測定された前記測定対象物の温度に基づいて、前記受光ステップにおいて受光された光の強度を補正して解析に使用する解析ステップと、を備えることを特徴とする。
上記の測定方法によれば、測定対象物の温度に基づいて、受光ステップにおいて受光された光の強度を補正した上で、解析が行われる。したがって、測定精度に対する温度変化による影響をより小さくすることができる。
[本願発明の実施形態の詳細]
本発明に係る光プローブ及び測定装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
本発明に係る光プローブ及び測定装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る測定装置の概略構成と主な使用方法を説明する図である。図1に示すように、測定装置1は、光源10と、光プローブ20と、分析器30と、を含んで構成される。測定装置1による測定対象物Oは液体であり、特に凝集物等の懸濁物質が含まれる懸濁液に用いることができる。このような懸濁液としては、例えば、サトウキビ搾汁からエタノールを生成するプロセスにおける発酵液等が挙げられる。測定装置1は、測定対象物Oに含まれる懸濁物質ではなく、液体部分の分析を目的として用いられる。
図1は、第1実施形態に係る測定装置の概略構成と主な使用方法を説明する図である。図1に示すように、測定装置1は、光源10と、光プローブ20と、分析器30と、を含んで構成される。測定装置1による測定対象物Oは液体であり、特に凝集物等の懸濁物質が含まれる懸濁液に用いることができる。このような懸濁液としては、例えば、サトウキビ搾汁からエタノールを生成するプロセスにおける発酵液等が挙げられる。測定装置1は、測定対象物Oに含まれる懸濁物質ではなく、液体部分の分析を目的として用いられる。
光源10は、液体の測定対象物に対して照射する近赤外光を出射する。本実施形態に係る測定装置1で用いられる近赤外光とは、700nm〜2500nmの波長帯域の光を指す。光源10は近赤外光を出射可能であれば特に限定されず、例えば、ハロゲンランプ等を用いることができる。また、光源10は、パルス光を出射するような構成であってもよい。さらに、光源10としてスーパーコンティニューム(Supercontinuum)光源を用いることもできる。この場合、広帯域の近赤外光を効率よくプローブに結合できるため、エネルギーのロスは小さくなる。その他、LED光源やSLD光源を用いることも可能である。この場合、波長帯域が重なるLEDやSLDを複数個組み合わせて出射光の強度を大きくした構成でもよいし、波長帯域の異なるLEDやSLDを組み合わせて出射光の帯域を広げた構成でもよい。これらの場合、光源の低消費電力化や長寿命化が期待できる。
光プローブ20は、コネクタ等により光源10に対して接続され、光源10からの近赤外光を導波して測定対象物の液体に対して近赤外光を出射する。また、光プローブ20は、近赤外光を照射した測定対象物からの透過光又は散乱光を入射して分析器30に導波する機能を有する。図1に示すように、測定対象物O内に光プローブ20の先端を導入することで、測定が行われる。光プローブ20内では、光ファイバによって光が導波されるが、その具体的な構成については後述する。また、光プローブ20は、測定対象物の液体の温度を測定するための熱電対を備える。その具体的な構成についても後述する。
分析器30は、光プローブ20からの光を受光して測定を行う機能を有する。分析器30は、光プローブ20の光ファイバを導波した透過光又は散乱光を波長に応じて分光する分光部と、2次元配列された複数の受光センサから構成され、分光部により分光された光を受光するセンサ部と、を含んで構成される。また、分析器30は、光プローブ20の熱電対により測定された温度情報を取得する機能を有する。測定対象物の液体の温度は、センサ部により受光した光の情報の補正に用いられる。
次に、測定装置1のうち、特に光プローブ20及び分析器30について、図2及び図3を参照しながら説明する。図2は、測定装置1の各部の構成を示す概略構成図である。また、図3は、光プローブ20の先端部の構成を説明する斜視図である。
図2に示すように、光プローブ20は、光源10に対してその一方の端部21aが接続する第1光ファイバ21(照射部)と、分析器30に対してその一方の端部22aが接続する第2光ファイバ22(入射部)と、第1光ファイバ21の光源10側とは逆側の端部21b及び第2光ファイバ22の分析器30側とは逆側の端部22bが収容される筺体部23を含んで構成される。第1光ファイバ21及び第2光ファイバ22は、筺体部23側の端部では、略同一の方向に延び、筺体部23は、2つの光ファイバの光軸方向に沿って延びる略円筒形状をなしている。
第1光ファイバ21及び第2光ファイバ22は、石英ガラス光ファイバを含んだ構成とすることができる。この場合、光源10から出射される近赤外光を導波させることによる損失を低減することができる。特に、分析器30と接続された第2光ファイバ22は、石英ガラスファイバであることが望ましい。この場合には、近赤外光の長波長側となる波長2.5μmまでの光を低損失で伝送することが可能となる。また、第1光ファイバ21及び第2光ファイバ22は、所謂OHフリーファイバであることが好ましい。OHフリーファイバは、1.4μm前後及び1.9μm前後にあるOH由来の大きな吸収を回避出来ることから、スペクトル解析において近赤外の波長帯を広く有効に活用できる。
第1光ファイバ21の端部21b及び第2光ファイバ22の端部22bは、フィルタ部24によって外部から区画された測定部25と対向している。
さらに、光プローブ20は、分析器30に対してその一方の端部が接続する熱電対35を備える。熱電対35は、第1光ファイバ21及び第2光ファイバ22と同様に筺体部23内に配置される。そして熱電対35の端部35bは、フィルタ部24によって外部から区画された測定部25と対向している。熱電対35は、測定部25の温度を測定するための温度測定部として用いられる。温度測定部として、熱電対35に代えて、サーミスタやサーモパイルを用いてもよい。
図3に示すように、第1実施形態に係る光プローブ20では、測定部25は、略円筒状のフィルタ部24によって外部から区画されている。フィルタ部24は、貫通孔が複数配置されたものであるため、フィルタ部24によって区画された測定部25と、外部との間で液体部分Aは移動可能とされる。ただし、外部の測定対象物に含まれる相応の大きさを有する固体は、フィルタ部24によって捕捉されて、測定部25内に侵入できない構成とされる。
フィルタ部24は、例えばセラミクスを含む材料から構成される。セラミクスを含む材料をフィルタ部24に用いることで、例えば、光プローブ20を測定対象物O中に長時間浸した場合でも、フィルタ部24が劣化することを防止することができる。また同様の理由から、筺体部23についてもセラミクスを用いることができる。また、筺体部23としては、ステンレス、アルミ、及び樹脂等の材料を用いてもよい。
フィルタ部24は、直径10μm以上の粒子を90%以上捕捉可能である態様が好ましい。また、フィルタ部24は、孔径が1μm以下であると、測定対象物に含まれる固体の大半を除去できるため、測定部25において液体部分Aの測定を好適に行うことができる。フィルタ部24は浸透膜フィルタを含んで構成されていてもよい。この場合には、0.1μm以下の小さな異物又はクラスタ等の除去も可能となるため、より純粋な液体の計測が可能になる。
なお、フィルタ部24の形状を維持するために、フィルタ部24を挟んで筺体部23とは逆側に先端部27が設けられ、筺体部23と先端部27との間の一部を柱状の支持部材等によって支持する態様とすることができる。
また、フィルタ部24は、筺体部23及び先端部27から取り外し可能(分離可能)とすることができる。この場合、例えば、非使用時にフィルタ部24を取り外して洗浄することが可能となる。また、測定部25に対して外部から直接アクセスできるように、フィルタ部24の一部を開閉可能な構成とすることもできる。
分析器30は、第2光ファイバ22の端部22aから出射した光をコリメートするレンズ31と、レンズ31からの光を波長毎に分離する分光部32と、分光部32によって分光された光を受光する複数の受光センサが2次元に配列されたセンサ部33とを含んで構成される。その他、調整用のレンズ等が設けられていてもよい。
センサ部33としては、MCT、InSb、InGaAs、InGaAs/GaAsSbの量子井戸型センサ等を用いることができる。また、分光部32と、センサ部33とを備える構成とした場合、従来のポイントセンサを用いる場合と比較して、短時間での測定が可能となる。また、InGaAs/GaAsSbの量子井戸型センサをセンサ部33に適用した場合、比較的安価且つ高精度の計測性能を実現することができる。
分析器30は、熱電対35の電圧を計測するための電圧モニタ36をさらに備えている。電圧モニタ36は、熱電対35の端部35bにおいて計測された測定部25の温度に係る情報を、電圧を測定することで取得する。電圧モニタ36において取得された測定部25の温度に係る情報は、センサ部33において受光された光の強度の補正に用いられる。
分析器30は、電圧モニタ36において取得された測定部25の温度に係る情報に基づいてセンサ部33にて受光された光の強度を補正するための補正用データベース37をさらに備える。補正用データベース37には、所定の温度の水の吸収スペクトルが、当該温度に対応付けられて格納されている。この水の吸収スペクトルは、事前に取得されたものである。
分析器30は、センサ部33により取得されたスペクトルを、補正用データベース37に格納された情報に基づいて補正した後に定量等の解析を行う解析部38をさらに備える。解析部38において、測定対象物Oの温度に基づいて選択される補正用データベース37の情報に基づいてスペクトルを補正した後に解析を行う。
このような測定装置1では、光源10からの近赤外光は、光プローブ20の第1光ファイバ21内に端部21aから導入され、第1光ファイバ21内を伝搬した後、端部21bから測定部25内に出射される。測定部25内には、光プローブ20の測定対象物Oのうちフィルタ部24を通過可能な液体部分Aが滞留するため、光源10からの近赤外光は、測定部25内の測定対象物O(液体部分A)に対して照射される。
近赤外光の照射によって、測定部25内の測定対象物O(液体部分A)から出射される散乱光は、レンズ26を介して、第2光ファイバ22の端部22bに入射する。散乱光は、第2光ファイバ22内を伝搬して、第2光ファイバ22の端部から分析器30に入射する。その後、レンズ31でコリメートされた後に、分光部32で波長分光され、分光された各成分の光が、センサ部33を構成する互いに異なるセンサによって受光される(受光ステップ)。その後、センサ部33において受光された波長毎の光の強度に基づいたスペクトル情報を取得することができる。
また、熱電対35の端面35aでは、測定部25内の測定対象物O(液体部分A)の温度が計測される(温度測定ステップ)。熱電対35の端面35aで計測された、測定対象物O(液体部分A)の温度に係る情報は、分析器30の電圧モニタ36において取得される。その後、電圧モニタ36にて取得された液体部分Aの温度に対応する水の吸収スペクトルが、補正用データベース37から取得される。
分析器30の解析部38では、センサ部33において受光されたスペクトル情報を、補正用データベース37から選択された水の吸収スペクトルに基づいた補正を行った後に、補正スペクトルを用いて定量等の解析を行う(解析ステップ)。
上記の測定装置1、光プローブ20及び測定装置1を用いた測定方法では、測定部25がフィルタ部24によって外部から区画されている。したがって測定対象物Oが凝集物等を含む懸濁液の場合であっても、フィルタ部24によって捕捉され、フィルタ部24を通過可能な液体部分Aが測定部25に貯留する。したがって、測定部25に対して近赤外光を照射して、測定部25における測定対象物からの散乱光を計測する構成とすることで、懸濁液中の液体部分を対象とした分析を好適に行うことができる。
また、温度測定部として機能する熱電対35と入射部たる第2光ファイバ22とが一の筺体部23に収容された構成とすることで、取り回しがしやすくなり、取り扱い性が向上する。従来は、温度測定は、光学測定とは別の装置を用いて行われることが多かったため、複数の装置を測定対象物O中に投入する必要があった。これに対して、本実施形態に係る測定装置1の光プローブ20では、照射部としての第1光ファイバ21、入射部としての第2光ファイバ22、及び、温度測定部としての熱電対35が一体的に構成されているため、1つの光プローブ20を用いて温度測定と光学測定とを同時に行うことができる。
また、分析器30の解析部38において、熱電対35により計測された温度の情報を利用して測定対象物の分析を行うことができる。具体的には、解析部38において、補正用データベース37に格納された温度に対応付けられた水の吸収スペクトルを用いて、センサ部33により取得されたスペクトル情報を補正した上で、スペクトルの評価を行う構成とする。これにより、測定対象物の温度変化による測定装置1の測定精度への影響を小さくすることができる。
ここで、測定対象物の温度を測定し、これに基づいてスペクトル情報を補正することで測定精度が向上することについて、図4〜8を参照して説明する。
まず、図4では、水温と水の吸収スペクトルとの関係を示す。本実施形態に係る測定装置1の測定対象物は、主に水溶液であり、水が主成分である。したがって、温度変化によって変化する水の吸収スペクトルの形状が、測定結果に影響を与える可能性が大きい。そこで、本実施形態では、水の吸収スペクトルの温度変化に基づいた補正を行った場合について説明する。なお、測定対象物の主成分が水ではない場合には、水に代えて、主成分の液体の吸収スペクトルの温度変化に基づいた補正を行うことが好ましい。
図4では、水温を23℃〜27℃まで1℃ずつ変化させながら、水の吸収スペクトルを測定し、水温25℃における吸収スペクトルを基準とした差分をプロットした結果を示す。水は、温度変化に伴って水の振動状態が変化する。このため、図4に示すように、各波長における吸光度に変化が生じ、スペクトル形状が変化することが確認できた。また、図4によれば、温度が上昇するにつれて吸光度が上昇する箇所(波長1900nm付近)と吸光度が下降する箇所(波長1500nm付近)があることが確認された。
図5では、図4のプロットに用いた水の吸収スペクトルを用いて、波長1500nmの光に関する、水温と吸光度との関係を示した図である。図5に示すように、水温に対する吸光度の変化には、線形関係があることが確認された。図4を参照すると、水温に対する吸光度の変化は、波長1500nm以外の他の近赤外光波長域でも線形関係にあることが推測できる。そこで、各波長における水温と吸光度との線形関係を算出して、水温が1℃上昇した場合にスペクトル形状がどのように変わるか(吸光度がどのように変化するか)を求めたものを図6に示す。
測定装置1の補正用データベース37において、図4に示す情報、すなわち、各水温における水の吸収スペクトルを保持している場合、熱電対35によって測定し、電圧モニタ36によって取得された、測定対象物Oの温度に対応した水の吸収スペクトルを利用して、センサ部33にて取得されたスペクトルの補正を行うことができる。
また、測定装置1の補正用データベース37において、図4に示す情報を保持していないとしても、基準温度(例えば25℃)の水の吸収スペクトル(基準吸光度)と、図6に含まれる情報、すなわち、温度が1℃上昇した場合に、各波長において水の吸収がどれくらい変化するかを示す情報(変化情報)と、を保持しておくことで、水温に対応した水の吸収スペクトルを生成することができ、これに基づいて、センサ部33にて取得されたスペクトルの補正を行うことができる。なお、測定対象物Oの種類が既定であって、測定対象物Oの評価に用いる波長が決まっている場合には、基準吸光度として特定の波長の光に対する吸光度の情報を保持すると共に、変化情報として、当該波長における水の吸収スペクトルの水温に対応する変化を示す補正式を補正用データベース37で保持する構成としてもよい。このようなスペクトル補正を実施することにより、測定精度の向上が期待できる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る測定装置2について説明する。第2実施形態に係る測定装置2では、近赤外光を照射された測定対象物Oからの散乱光のみならず透過光についても分析器で受光及び分析が可能な構成を有することを特徴とする。図7に示すように、測定装置2は、光源10と、光プローブ20Aと、分析器30Aと、を含んで構成される。
次に、第2実施形態に係る測定装置2について説明する。第2実施形態に係る測定装置2では、近赤外光を照射された測定対象物Oからの散乱光のみならず透過光についても分析器で受光及び分析が可能な構成を有することを特徴とする。図7に示すように、測定装置2は、光源10と、光プローブ20Aと、分析器30Aと、を含んで構成される。
光プローブ20Aは筺体部23に収容される光ファイバの本数が増加する。すなわち、光プローブ20Aは、光源10からの近赤外光を導波して測定部25に対して出射する第1光ファイバ21は、第1実施形態の光プローブ20と同様の機能を有する。また、光プローブ20Aは、第2光ファイバ22に代えて、2本の光ファイバである第3光ファイバ220と第4光ファイバ221とを有する。
このうち、第3光ファイバ220は、第2光ファイバ22と同様に、測定部25の測定対象物Oからの散乱光を入射して導波し、分析器30Aに対して出力する機能を有する。一方、第4光ファイバ221は、測定部25の測定対象物Oからの透過光を入射して導波し、分析器30Aに対して出力する機能を有する。このため、光プローブ20Aの形状も第1実施形態の光プローブ20とは異なる。
また、光プローブ20Aでは、測定部25の形状が異なる。熱電対35は、第1実施形態と同様に端面が測定部25に対して露出して測定部25の温度を計測可能な配置とされている。このように、熱電対35の配置は、光プローブ20Aの形状に応じて適宜変更できる。
図8に示すように、光プローブ20Aでは、測定部25が光プローブ20Aの全周に沿ったものではなく、筺体部23の一部を切り欠いたような構成とされる。そして、測定部25と外部とを区画するフィルタ部24も円筒状ではなく、筺体部23の外径に沿って帯状に形成される。このような構成であっても、光プローブ20と同様に、フィルタ部24を介して測定対象物Oが移動可能であり、特に液体部分Aが測定部25に貯留可能である。なお、図8では、熱電対35は図示省略している。
また、第4光ファイバ221の端部221bは、第1光ファイバ21の端部21b、第3光ファイバ220の端部220bと略同一面に配置される。そして、測定部25を透過した透過光が第4光ファイバ221の端部221bに対して入射するように、先端部27には導波光学系が準備される。すなわち、測定部25側の端面から、先端部27に対して透過光を入射すると共に、反射用のミラー29を2つ配置することで、先端部27へ入射した透過光Lの進路を変更させて、測定部25が形成されていない先端部27に透過光Lを導波させた後に第4光ファイバ221の端部221bに対して透過光Lを入射させる構成としている。
このように、第2実施形態に係る光プローブ20Aでは、先端部27は導波光学系として機能するから、先端部27は、環境変化や振動等の外部要因などに起因する光軸ずれに対して強い特徴を有しており、石英ガラス、ステンレスの他温度依存性の小さい金属や環境体制のある樹脂等の材料で構成されることが好ましい。
なお、第3光ファイバ220及び第4光ファイバ221は、それぞれ分析器30Aに対して端部220a及び端部221aが接続されて、第3光ファイバ220を導波した光及び第4光ファイバ221を導波した光が分析器30Aで検出される。分析器30Aでは、分析器30の分光部32に代えて、センサ部33の前段に波長可変フィルタ34が設けられている。このように分析器の構成も適宜変更することができる。
第2実施形態に係る測定装置2の光プローブ20Aでは、第3光ファイバ220が第2光ファイバ22と同様に測定対象物Oからの拡散反射光を検出する構成としている。さらに、光プローブ20Aは、第4光ファイバ221及び先端部27に形成された導波光学系によって、測定対象物Oからの透過光を検出する構成としている。したがって、測定対象物Oの液体部分Aについてより高い精度で測定することができる。
また、光プローブ20Aのように、熱電対35を備えることで、熱電対35によって測定部25内の測定対象物Oの温度を測定することができ、これに基づいて、分析器30Aにおいて補正を行うことができるため、温度変化による精度が低下することを防ぐことができる(なお、図7では、補正用データベース37及び解析部38の図示を省略している)。
なお、第2実施形態に係る光プローブ20Aの変形例として、第3光ファイバ220を備えない構成、すなわち、透過光のみを検出する構成とすることもできる。この場合でも、フィルタ部24を通過して測定部25に滞留する測定対象物Oに対して近赤外光を照射した場合の透過光を測定する構成とし、且つ、熱電対35によって測定部25内の測定対象物Oの温度を測定して補正を行う構成とすることで、温度変化による測定精度に対する影響を小さくすることができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る光プローブについて説明する。第3実施形態に係る光プローブでは、光源からの近赤外光を出射する光ファイバと、近赤外光を照射された測定対象物Oからの透過光を入射する光ファイバとが測定部を挟んで対向配置する構成を有する。
次に、第3実施形態に係る光プローブについて説明する。第3実施形態に係る光プローブでは、光源からの近赤外光を出射する光ファイバと、近赤外光を照射された測定対象物Oからの透過光を入射する光ファイバとが測定部を挟んで対向配置する構成を有する。
具体的には、図9に示すように、第3実施形態に係る光プローブ20Bは光源10と接続された第1光ファイバ21と、分析器30に接続されて、第1光ファイバ21から出射されて測定対象物Oを透過した光を入射させる第2光ファイバ22と、が測定部25を挟んで対向配置されている。そして、測定部25は、フィルタ部24によって外部から区画された形状を有している。また、熱電対35は、第2光ファイバ22が配置された端面側に配置されている。
このように、近赤外光を出射する側の光ファイバ(照射部)と透過光又は散乱光を入射する側の光ファイバ(入射部)との配置は、適宜変更することができる。また、筺体部の形状についても、測定部25の形状等に応じて適宜変更することができる。併せて、熱電対35の配置についても適宜変更することができる。
以上、本発明の実施形態に係る光プローブ、測定装置及び測定方法について説明したが、本発明に係る光プローブ及び測定装置は上記実施形態に限定されず、種々の変更を行うことができる。
例えば、本発明に係る測定方法では、光学測定と温度測定を行った後に、温度測定結果に基づいて、光学測定の結果を補正した上で解析を行うことを特徴としている。したがって、上記の解析が実施可能な範囲でその構成は適宜変更することができる。
1,2…測定装置、10…光源、20,20A,20B…光プローブ、30,30A…分析器、21…第1光ファイバ、22…第2光ファイバ、23…筺体部、24…フィルタ部、25…測定部、35…熱電対、36…電圧モニタ、37…補正用データベース、38…解析部。
Claims (5)
- 測定対象物から出射される透過光又は散乱光を入射して分析器まで導波する入射部と、
前記測定対象物の温度を測定して当該温度の情報を分析器まで伝達する温度測定部と、
前記入射部及び前記温度測定部の前記測定対象物側の端部が内部に収容された筺体部と、
を備える光プローブ。 - 前記測定対象物に対して、光源からの近赤外光を導波して出射する照射部をさらに備え、
前記入射部は、前記照射部からの前記近赤外光の出射によって前記測定対象物から出射される透過光又は散乱光を入射し、
前記筺体部は、前記照射部の前記測定対象物側の端部を内部に収容する請求項1記載の光プローブ。 - 測定対象物から出射される透過光又は散乱光を入射して導波すると共に、前記測定対象物の温度を測定する光プローブと、
前記光プローブに入射させた前記透過光又は前記散乱光を分析する分析器と、
を備える測定装置であって、
前記光プローブは、
前記透過光又は前記散乱光を入射して前記分析器まで導波する入射部と、
前記測定対象物の温度を測定して当該温度に係る情報を前記分析器まで伝達する温度測定部と、
前記入射部及び前記温度測定部の前記測定対象物側の端部が内部に収容された筺体部と、
を備え、
前記分析器は、
前記入射部を導波した前記透過光又は散乱光を受光するセンサ部と、
前記温度測定部により測定された前記測定対象物の温度に基づいて、前記センサ部により受光した光の強度を補正して解析に使用する解析部と、
を備える測定装置。 - 前記測定対象物の特定の温度における特定の波長の光に対する吸光度を示す基準吸光度と、前記測定対象物の温度変化に対応する前記基準吸光度からの吸光度変化を示す変化情報と、を格納するデータベースを備え、
前記解析部は、前記データベースに格納された前記基準吸光度と前記変化情報とに基づいて、前記測定対象物の温度に応じた補正を行う請求項3記載の測定装置。 - 測定対象物から出射される透過光又は散乱光を入射すると共に、前記測定対象物の温度を測定する光プローブと、
前記光プローブに入射させた前記透過光又は前記散乱光を分析する分析器と、
を備える測定装置による測定方法であって、
前記光プローブに入射した前記透過光又は前記散乱光を前記分析器で受光する受光ステップと、
前記光プローブにおいて測定された温度に係る情報を前記分析器にて取得する温度測定ステップと、
前記温度測定ステップにおいて測定された前記測定対象物の温度に基づいて、前記受光ステップにおいて受光された光の強度を補正して解析に使用する解析ステップと、
を備える測定方法。
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