JP2016080407A - 制御装置 - Google Patents

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Keisuke Fukuda
圭佑 福田
若原 啓二
Keiji Wakahara
啓二 若原
崇生 三島
Takao Mishima
崇生 三島
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Abstract

【課題】ガスセンサの起電力特性を適正にシフトさせる。
【解決手段】O2センサ16は、固体電解質層32と、固体電解質層32を挟む位置に設けられる一対の電極33,34とを含むセンサ素子31を有し、エンジンの排気を検出対象として該排気の空燃比に応じた起電力の信号を出力する。マイコン41は、センサ素子31に印加される印加電流の要求値に基づいて定電流回路43による電流印加を実施し、センサ素子31の起電力特性をシフトさせる特性制御手段と、定電流回路43による電流印加状態で、起電力特性のシフト量のズレが生じているか否かを判定するズレ判定手段と、シフト量のズレが生じていると判定された場合に、当該ズレを解消すべく定電流回路43による印加電流の増減補正を実施する印加電流補正手段と、を備える。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ガスセンサの検出信号に基づいて空燃比の検出を行う制御装置に関するものである。
例えば車両用エンジンでは、同エンジンから排出される排気を検出対象として酸素濃度を検出する起電力出力型のガスセンサ(いわゆるO2センサ)が一般に用いられている。このガスセンサは、排気の空燃比がリッチかリーンかで異なる起電力信号を出力する起電力セルを有するものであり、具体的には、空燃比がリッチであれば約0.9Vの起電力信号を出力し、空燃比がリーンであれば約0Vの起電力信号を出力する。
また、こうしたガスセンサにおいて、固体電解質層を挟む位置に設けられる一対の電極間に電流を流し、それにより当該ガスセンサの起電力特性(出力特性)をリーン側又はリッチ側にシフトさせるようにした技術が提案されている。例えば特許文献1のガスセンサ制御装置では、ガスセンサの起電力特性を変更する変更要求が有ると判定された場合に、その変更要求に基づいて、一対の電極間に印加する定電流の向きを決定するとともに、該決定した向きで定電流が流れるように定電流回路を制御するようにしている。そして、その定電流の供給により、ガスセンサの起電力特性を好適に制御するようにしている。
特開2012−63345号公報
しかしながら、ガスセンサの一対の電極間に電流を印加して起電力特性をシフトさせる場合において、電流印加状態での起電力特性のシフト量が本来のシフト量に対してずれることがあると考えられ、起電力特性のシフト量のズレが生じることで、燃費性能や排気エミッション性能に影響が及ぶことが懸念される。例えば、センサ温度が変動したり、ガスセンサの経時変化が生じたりすると特性シフト量と印加電流との関係が崩れ、空燃比制御に影響が及ぶことになる。
また近年では、ガスセンサの起電力特性をリーン側又はリッチ側にシフトさせて、空燃比フィードバック制御での制御中心(目標値)をリーン側又はリッチ側にシフトさせることが検討されており、かかる場合には、やはり排気エミッション性能に大きく影響が及ぶことが懸念される。以上から、ガスセンサの起電力特性をシフトさせる技術に関して改善余地があると考えられる。
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、ガスセンサの起電力特性を適正にシフトさせることができる制御装置を提供することにある。
本発明の制御装置は、固体電解質体(32)と、該固体電解質体を挟む位置に設けられる一対の電極(33,34)とを含む起電力セル(31)を有し、内燃機関(10)の排気を検出対象として該排気の空燃比に応じた起電力の信号を出力するガスセンサ(16)に適用される。また、前記起電力セルの前記一対の電極間に対しては通電手段(43)による所定電流の印加が可能になっている。そして、制御装置は、前記起電力セルに印加される印加電流の要求値に基づいて前記通電手段による電流印加を実施し、前記起電力セルの起電力特性をシフトさせる特性制御手段と、前記通電手段による電流印加状態で、前記起電力特性のシフト量のズレが生じているか否かを判定するズレ判定手段と、前記ズレ判定手段により前記シフト量のズレが生じていると判定された場合に、当該ズレを解消すべく前記通電手段による印加電流の増減補正を実施する印加電流補正手段と、を備えることを特徴とする。
起電力セルに電流を印加して起電力特性(λ変曲点)をシフトさせる場合、センサ温度の変動や経時的要因等に応じて特性シフト量と印加電流との関係が崩れることが考えられ、結果として、特性シフトの誤差が生じることに起因して所望の空燃比制御が実施できなくことが懸念される。この点、上記構成では、起電力セルに電流を印加した状態で、起電力セルにおける起電力特性のシフト量のズレが生じているか否かを判定するとともに、シフト量のズレが生じていると判定された場合に印加電流の増減補正を実施するため、起電力特性のシフト量のズレを解消することが可能となる。その結果、ガスセンサの起電力特性を適正にシフトさせることができる。
エンジン制御システムの全体を示す概略構成図。 センサ素子の断面構成とセンサ制御部の概略構成とを示す図。 空燃比とセンサ素子の起電力との関係を示す起電力特性図。 センサ素子の限界電流特性を示す図。 センサ素子におけるガス成分の反応を説明するための概略図。 センサ素子の印加電流と特性変曲点のA/Fとの関係を示す図。 空燃比とセンサ素子の起電力との関係を示す起電力特性図。 特性シフトの処理手順を示すフローチャート。 印加電流補正の処理手順を示すフローチャート。 起電力特性の要求シフト量と印加電流との相関を示す図。 印加電流と目標値FAFtgとの相関を示す図。 起電力特性のシフトズレ補正を具体的に説明するためのタイムチャート。 第2実施形態において印加電流補正の処理手順を示すフローチャート。 印加電流と吸入空気量のシフト量との相関を示す図。 第3実施形態において印加電流補正の処理手順を示すフローチャート。 印加電流と目標比率Rtgとの相関を示す図。
(第1実施形態)
以下、本発明の制御装置を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、車載エンジン(内燃機関)の排気管に設けられたガスセンサを用い、そのガスセンサの出力に基づいてエンジンの各種制御等を実施するエンジン制御システムについて説明する。当該制御システムにおいては、電子制御ユニット(以下、ECUという)を中枢として燃料噴射量の制御や点火時期の制御等を実施する。図1は、本システムの全体概要を示す構成図である。
図1において、エンジン10は、例えばガソリンエンジンであり、電子制御式のスロットルバルブ11や、燃料噴射弁12、点火装置13等を備えている。エンジン10の排気管14(排気部)には排気浄化装置としての触媒15a,15bが設けられている。触媒15a,15bは、例えばいずれも三元触媒よりなり、そのうち触媒15aが上流側触媒としての第1触媒、触媒15bが下流側触媒としての第2触媒である。三元触媒は、周知のとおり排気の有害三成分であるCO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、NOx(NO等の窒素酸化物)を浄化するものであり、ハニカム状、格子状等をなすセラミックス製の担体に白金、パラジウム、ロジウム等の金属を担持させることで構成されている。この場合、三元触媒ではリッチ成分であるCO、HCが酸化作用により浄化され、リーン成分であるNOxが還元作用により浄化される。
第1触媒15aの上流側と、触媒15a,15bの間(第1触媒15aの下流側でかつ第2触媒15bの上流側)とにはそれぞれO2センサ16,17が設けられている。O2センサ16,17は、排気の空燃比がリッチかリーンかに応じて異なる起電力信号を出力する。
その他、本システムには、スロットルバルブ11の開度を検出するスロットル開度センサ21や、エンジンの所定クランク角毎に(例えば30°CA周期で)矩形状のクランク角信号を出力するクランク角センサ22、エンジン10の吸入空気量を検出する空気量センサ23、エンジン冷却水の温度を検出する冷却水温センサ24等の各種センサが設けられている。
ECU25は、周知のCPU、ROM、RAM等よりなるマイクロコンピュータ(マイコン)を主体として構成されており、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで、都度のエンジン運転状態に応じてエンジン10の各種制御を実施する。すなわち、ECU25は、上記各種センサ等から各々信号を入力し、それらの各種信号に基づいて燃料噴射量や点火時期を演算して燃料噴射弁12や点火装置13の駆動を制御する。
特に燃料噴射量制御に関して、ECU25は、第1触媒上流側及び下流側のO2センサ16,17の検出信号に基づいて空燃比フィードバック制御を実施することとしている。この場合、ECU25は、上流側O2センサ16により検出されたフロント空燃比が目標空燃比(例えば理論空燃比)になるようにメインフィードバック制御を実施するとともに、フロント空燃比がリッチ又はリーンに変化してから実際にリッチ判定又はリーン判定がなされるまでの遅延時間を、下流側O2センサ17により検出されたリア空燃比に基づいて可変に設定するサブフィードバック制御を実施する。このメインフィードバック制御及びサブフィードバック制御を以下に簡単に説明する。
ECU25は、上流側O2センサ16の出力値V1(フロント空燃比に相当)が基準値(例えば0.45V)よりもリッチになってからリッチ遅延時間が経過した時点で、空燃比がリッチになったとのリッチ判定を行い、V1が基準値よりもリーンになってからリーン遅延時間が経過した時点で、空燃比がリーンになったとのリーン判定を行う。そして、ECU25は、リッチ/リーンの判定結果に基づいて、スキップ及び積分によりフィードバック補正値(噴射補正値)を増減させ、そのフィードバック補正値により燃料噴射量を補正する。かかる制御がメインフィードバック制御に該当する。また、ECU25は、サブフィードバック制御として、下流側O2センサ17の出力値V2(リア空燃比に相当)がリッチかリーンかに応じてリッチ遅延時間及びリーン遅延時間を可変に制御する。この場合、出力値V2が基準値よりも大きければ(リア空燃比がリッチであれば)、リッチ遅延時間の短縮、及びリーン遅延時間の延長のうち少なくともいずれかを実施する。また、出力値V2が基準値よりも小さければ(リア空燃比がリーンであれば)、リッチ遅延時間の延長及びリーン遅延時間の短縮の少なくともいずれかを実施する。
また、空燃比フィードバック制御の実施に際しては空燃比学習を実施することとしており、フィードバック補正値に基づいて空燃比学習値を算出し、その空燃比学習値をEEPROM等、バックアップ用のメモリに記憶する。この場合、エンジン回転速度やエンジン負荷により区分した複数の運転領域が定められており、その運転領域ごとに空燃比学習値の算出及び記憶が実施されるようになっている。空燃比学習においては、噴射装置の個体差や経年変化等に起因する定常的なフィードバック補正値のズレが算出され、それが空燃比補正値として記憶される。
次に、O2センサ16,17についてその構成を説明する。O2センサ16,17はいずれも同様の基本構成を有するものであるが、ここでは特にO2センサ16について説明する。O2センサ16はコップ型構造のセンサ素子31を有しており、図2にはセンサ素子31の断面構成を示す。実際には当該センサ素子31は素子全体がハウジングや素子カバー内に収容される構成となっており、エンジン排気管内に配設されている。センサ素子31が起電力セルに相当する。
センサ素子31において、固体電解質層32は断面コップ状に形成されており、その外表面には排気側電極33が設けられ、内表面には大気側電極34が設けられている。これら各電極33,34は固体電解質層32の表面に層状に設けられている。固体電解質層32は、ZrO2、HfO2、ThO2、Bi2O3等にCaO、MgO、Y2O3、Yb2O3等を安定剤として固溶させた酸素イオン伝導性酸化物焼結体からなる。また、各電極33,34は共に白金等の触媒活性の高い貴金属からなり、その表面には多孔質の化学メッキ等が施されている。各電極33,34が一対の対向電極(センサ電極)となっている。固体電解質層32にて囲まれる内部空間は、基準ガスである大気が導入される大気室35(基準室)となっており、その大気室35内にはヒータ36が収容されている。ヒータ36は、センサ素子31を活性化するに十分な発熱容量を有しており、その発熱エネルギによりセンサ素子全体が加熱される。O2センサ16の活性温度は、例えば500〜650℃程度である。なお、大気室35は、基準ガスとしての大気が導入されることでその内部が所定酸素濃度に保持されている。
上記センサ素子31では、固体電解質層32の外側(電極33側)が排気雰囲気、同内側(電極34側)が大気雰囲気となっており、これら双方の酸素濃度の差(酸素分圧の差)に応じて電極33,34間で起電力が発生する。つまり、空燃比がリッチかリーンかで異なる起電力が発生する。この場合、基準側電極である大気側電極34からすれば、排気側電極33の側は酸素が低濃度であり、センサ素子31において大気側電極34を正側、排気側電極33を負側として起電力が発生する。これにより、O2センサ16は、排気の酸素濃度(すなわち空燃比)に応じた起電力信号を出力する。
図3は、排気の空燃比とセンサ素子31の起電力との関係を示す起電力特性図である。図3において、横軸は空気過剰率λであり、λ=1がストイキ(理論空燃比)である。センサ素子31は、空燃比がリッチかリーンかで異なる起電力を発生し、ストイキ付近で起電力が急変する特性を有する。具体的には、リッチ時のセンサ起電力は約0.9Vであり、リーン時のセンサ起電力は約0Vである。
また、本実施形態のO2センサ16においては、一般的なO2センサに対して構成の一部を変更しており、図2に示すセンサ素子31では、固体電解質層32の排気側及び大気側のうち排気側に、排気の拡散を制限するガス拡散抵抗層37が設けられている。ガス拡散抵抗層37は、アルミナ、スピネル、ジルコニア等の多孔質体よりなり、排気側電極33を覆うようにしてセンサ素子31の外表面に設けられている。これにより、排気は、所定の透過率でガス拡散抵抗層37を通過して排気側電極33に到達するものとなっている。
上記構成のセンサ素子31は、基本的には起電力出力を行う起電力セルであるものの、一対の電極33,34間に電圧を印加することで酸素濃度に応じた限界電流を出力する限界電流特性を有するものとなっている。そして詳しくは、ガス拡散抵抗層37の形態(例えば層厚さやピンホール径)に応じて、限界電流出力が可能なA/F域(酸素濃度域)が変わり、例えばガス拡散抵抗層37の厚さが大きくなるほど、限界電流出力が可能なA/Fがリーン側に拡張されるようになっている。具体的には、図4(a)に示すように、ガス拡散抵抗層37の厚さが100μmの場合には、A/F=15をリーン側の最大値として限界電流の出力が可能となる。図4(b)に示すように、ガス拡散抵抗層37の厚さが200μmの場合には、A/F=16をリーン側の最大値として限界電流の出力が可能となる。また、図4(c)に示すように、ガス拡散抵抗層37の厚さが300μmの場合には、A/F=18をリーン側の最大値として限界電流の出力が可能となる。
また、図2に示すように、センサ素子31(O2センサ16)にはセンサ制御部40が接続されており、排気の空燃比(酸素濃度)に応じてセンサ素子31にて起電力が発生すると、その起電力に相当するセンサ検出信号(起電力信号)がセンサ制御部40内のマイコン41に対して出力される。マイコン41は、センサ素子31から出力される起電力信号をA/D変換器等を介して取り込み、その起電力信号に基づいて排気の空燃比(特に触媒下流の空燃比)を算出する。センサ制御部40は、図1に示すECU25内に設けられている。なお、ECU25においては、エンジン制御機能とセンサ制御機能とを有する演算手段としてマイコン41が設けられている。この場合、マイコン41は、上述した各種センサの検出結果に基づいて、エンジン回転速度や吸入空気量を算出する。ただし、ECU25において、エンジン制御用のマイコンとセンサ制御用のマイコンとが別々に設けられる構成であってもよい。
また、マイコン41は、センサ素子31の活性状態の判定を行うとともに、その判定結果に基づき、ヒータ駆動回路42を通じてヒータ36の駆動を制御する。
また本実施形態では、O2センサ16の出力特性(起電力特性)を変更すべく、センサ素子31において一対の電極33,34の間に所定の定電流を供給する構成(酸素ポンピングを実施する構成)としており、その出力特性の変更により空燃比フィードバック制御における制御性の向上を図るようにしている。排気側→大気側の向きに定電流を流した場合においてセンサ出力特性が変更される原理は以下のとおりである。
図5に示すように、O2センサ16の排気側電極33の付近には、CO、HC、NOx、O2がそれぞれ存在しており、その状況下で、固体電解質層32を通じて大気側電極34から排気側電極33に酸素イオンが移動するように、センサ素子31に電流を流す。すなわち、センサ素子31において酸素ポンピングを実施する。この場合、排気側電極33では、固体電解質層32を通じて排気側電極33の側に移動した酸素がCO、HCと反応し、CO2やH2Oが生成される。これにより、排気側電極33の付近におけるCO、HCが除去され、O2センサ16の排気側電極付近におけるガス反応の平衡点がリッチ側にシフトする。つまり、空気過剰率λと起電力との関係を示すセンサ起電力特性が全体的にリッチ側にシフトし、それに伴い、起電力がストイキ値(0.45V)となるλ点、すなわちリッチ/リーン変曲点がリッチ側にシフトする。
図2に示すように、センサ制御部40においては、センサ素子31の大気側電極34とマイコン41とを電気的に接続する電気経路の途中に通電手段としての定電流回路43が接続されている。定電流回路43は、センサ素子31において固体電解質層32を通じて排気側電極33から大気側電極34の向き、及び大気側電極34から排気側電極33の向きの少なくともいずれかで定電流を流すことを可能とするものである。また、定電流回路43は、PWM駆動部を有し、PWM制御(デューティ制御)による電流調整が可能となる構成であってもよい。この場合、定電流回路43によれば、センサ素子31において固体電解質層32を通じて排気側→大気側の向き、又は大気側→排気側の向きのいずれかで電流が流れることになり、それに伴い固体電解質層32において酸素イオンが移動する。本実施形態では、マイコン41の指令に基づいて定電流回路43が定電流の供給を行うようにしている。
ここで、上記のとおりガス拡散抵抗層37を有するセンサ素子31では、定電流を供給することによる起電力特性のシフト量の拡張が可能となっている。つまり、起電力特性のリーンシフト量及びリッチシフト量の拡張が可能となっている。これを図4で説明した事項と照らし合わせると、以下のとおりである。
図4(a)のようにガス拡散抵抗層37の厚さを100μmにして、A/F=15までの限界電流出力を可能とした場合には、センサ素子31に定電流を流すことによって、リッチ/リーンの変曲点がA/F=15になるように起電力特性をリーンシフトさせることが可能となる。図4(b)のようにガス拡散抵抗層37の厚さを200μmにして、A/F=16までの限界電流出力を可能とした場合には、センサ素子31に定電流を流すことによって、リッチ/リーンの変曲点がA/F=16になるように起電力特性をリーンシフトさせることが可能となる。また、図4(c)のようにガス拡散抵抗層37の厚さを300μmにして、A/F=18までの限界電流出力を可能とした場合には、センサ素子31に定電流を流すことによって、リッチ/リーンの変曲点がA/F=18になるように起電力特性をリーンシフトさせることが可能となる。
また、センサ素子31では、ガス拡散抵抗層37の厚さを大きくすることで、シフト量を大きくできることに加え、印加電流を大きくすることで、シフト量を大きくできることが確認されている。図6には、センサ素子31の印加電流と、起電力特性をシフトさせた状態での特性変曲点のA/Fとの関係を示す。なお、図6では、ガス拡散抵抗層37の厚さを100μm、200μm、300μmとする場合について印加電流と特性変曲点のA/Fとの関係を示している。
図6によれば、リッチ/リーンの変曲点がA/F=15となるようにリーンシフトさせる場合において、ガス拡散抵抗層37の厚さが300μmであれば印加電流を2.5mA程度とし、ガス拡散抵抗層37の厚さが200μmであれば印加電流を3.4mA程度とし、ガス拡散抵抗層37の厚さが100μmであれば印加電流を5.8mA程度とすればよいことが分かる。
触媒上流側に設けられたO2センサ16では、触媒下流側のO2センサ17に比べて、起電力特性のリッチシフト又はリーンシフトとして要求されるシフト量が大きくなる。また一方で、起電力出力を可能とし、かつ固体電解質層32の排気側にガス拡散抵抗層37を有するセンサ素子31では、所定の電圧印加状態下での限界電流出力が可能となっており、こうした構成を採用することで、起電力特性のシフト量を拡張することが可能となる。かかる場合、ガス拡散抵抗層37を有するセンサ素子31を用いることで、起電力特性のリッチシフト又はリーンシフトの要求量が大きくなっても好適なる対処が可能となっている。
センサ素子31に定電流を供給する場合には、起電力特性の電圧レベルを詳細に示すと、図7のように起電力特性がシフトすると考えられる。つまり、センサ素子31の一対の電極33,34の間において排気側→大気側の向きに定電流を流すと(負の電流を印加すると)、センサ素子31の起電力特性がリッチ側にシフトし、逆に、一対の電極33,34の間において大気側→排気側の向きに定電流を流すと(正の電流を印加すると)、センサ素子31の起電力特性がリーン側にシフトする。この場合、上述のとおりガス拡散抵抗層37を有するセンサ素子31では、起電力特性(λ)をリッチ側及びリーン側に最大20%ほど(例えば3〜10%ほど)シフトさせることが可能となる。
ところで、センサ素子31に電流を印加して起電力特性(λ変曲点)をシフトさせる場合、センサ温度や経時的要因等に応じて特性シフト量と印加電流との関係が崩れることが考えられ、結果として、特性シフトの誤差が生じることに起因して所望の空燃比制御が実施できなくことが懸念される。
そこで本実施形態では、センサ素子31に印加電流を印加した状態で、起電力特性のシフト量のズレが生じているか否かを判定し、シフト量のズレが生じていると判定された場合に、当該ズレを解消すべく印加電流の増減補正を実施することとしている。特に実施形態では、所定の電流印加状態で算出したフィードバック補正値に基づいて起電力特性のシフト量のズレが生じているか否かを判定する手法を採用することとしている。
次に、マイコン41により実施される特性シフト処理、及び印加電流補正処理について詳しく説明する。図8は、特性シフトの処理手順を示すフローチャートであり、図9は、印加電流補正の処理手順を示すフローチャートである。これら各処理は、マイコン41により所定周期で繰り返し実施される。
図8において、ステップS11では、センサ素子31について起電力特性(λ変曲点)をシフトする要求の有無を判定し、要求有りの場合に後続のステップS12に進む。本実施形態では、起電力特性をリーンシフトさせる場合とリッチシフトさせる場合とをそれぞれ想定しており、都度のエンジン運転状態に基づいて、リーンシフト及びリッチシフトのいずれかの要求が生じているか否かを判定する。例えば、エンジン10の冷間始動時や、燃費向上を図るべく低燃費走行を実施する際には、リーンシフトの要求が生じていると判定され、高負荷時において触媒等の保護のための高負荷増量を実施する際には、リッチシフトの要求が生じていると判定される。なお、要求無しの場合には、そのまま本処理を終了する。
ステップS12では、今現在のエンジン運転領域において空燃比学習が完了しているか否かを判定する。そして、空燃比学習が完了していなければ、ステップS13に進み、空燃比学習を実施する。本実施形態では、例えば車両の1トリップに1回の頻度で各運転領域の空燃比学習を実施することとしている。
また、空燃比学習が完了していれば、ステップS14に進み、今回の特性シフトにおける要求シフト量を設定する。このとき、今現在のエンジン運転状態に基づいてリーンシフト側又はリッチシフト側のλシフト量を要求シフト量として設定する。続くステップS15では、要求シフト量に基づいて印加電流の値を決定する。ここで、図10に示すように、起電力特性の要求シフト量と印加電流との相関はあらかじめ定められており、その相関に基づいて印加電流の値が求められる。
その後、ステップS16では、定電流回路43に対して電流印加の指令信号を出力し、ステップS15で決定した印加電流を、定電流として定電流回路43から供給させるようにする。その後、ステップS17では、空燃比学習を禁止する。
また、図9において、ステップS21では、今現在、特性シフトの実施状態下であるか否かを判定する。そして、特性シフトの実施状態下であれば後続のステップS22に進み、特性シフトの実施状態下でなければそのまま本処理を終了する。
ステップS22では、フィードバック補正値の平均値FAFavを取得し、続くステップS23では、フィードバック補正値の目標値FAFtgを取得する。具体的には、平均値FAFavはFAFの移動平均、なまし演算、積分演算等、周知の手法にて求められているとよい。また、目標値FAFtgは、今現在の印加電流(又は要求シフト量)に基づいて求められているとよい。ここで、図11に示すように、印加電流と目標値FAFtgとの相関はあらかじめ定められており、その相関に基づいて目標値FAFtgが求められる。図11では、印加電流が0である場合にFAFtg=1であり、正の印加電流が大きくなるほどFAFtgを1に対して小さくする一方、負の印加電流が大きくなるほどFAFtgを1に対して大きくするような関係が定められている。
その後、ステップS24では、フィードバック補正値の平均値FAFavと目標値FAFtgとから補正値偏差ΔFAFを算出し(ΔFAF=FAFav−FAFtg)、続くステップS25では、補正値偏差ΔFAFの絶対値が所定値の閾値K1以上であるか否かに基づいて、起電力特性のシフト量のズレが生じているか否かを判定する。このとき、起電力特性のシフト量のズレが生じていなければ、フィードバック補正値の平均値FAFtgは目標値FAFtg又はその付近の値になり、|ΔFAF|<K1となる。これに対して、起電力特性のシフト量のズレが生じていれば、|ΔFAF|≧K1となる。そして、ステップS25がYESであれば、後続のステップS26に進む。
ステップS26では、ΔFAFが正であるか否かに基づいて、フィードバック補正値の平均値FAFavが増量側にずれているか、減量側にずれているかを判定する。このとき、ΔFAF>0であれば、平均値FAFavが増量側にずれているとみなしてステップS27に進む。また、ΔFAF<0であれば、平均値FAFavが減量側にずれているとみなしてステップS28に進む。
ステップS27では、今現在の印加電流に所定値αを加算する(現電流+αにする)。詳しくは、今現在がリーンシフト時であれば、リーンシフト量を大きくすべく、印加電流としての正の電流を大きくする。これにより、リーンシフト時のλ変曲点がストイキ点とは逆側にシフトし、フィードバック補正値が減量側にシフトすることでFAFavの増量ズレが是正される。また、今現在がリッチシフト時であれば、リッチシフト量を小さくすべく、印加電流としての負の電流を小さくする。これにより、リッチシフト時のλ変曲点がストイキ点の側にシフトし、フィードバック補正値が減量側にシフトすることでFAFavの増量ズレが是正される。
また、ステップS28では、今現在の印加電流から所定値αを減算する(現電流−αにする)。詳しくは、今現在がリーンシフト時であれば、リーンシフト量を小さくすべく、印加電流としての正の電流を小さくする。これにより、リーンシフト時のλ変曲点がストイキ点の側にシフトし、フィードバック補正値が増量側にシフトすることでFAFavの減量ズレが是正される。また、今現在がリッチシフト時であれば、リッチシフト量を大きくすべく、印加電流としての負の電流を大きくする。これにより、リッチシフト時のλ変曲点がストイキ点とは逆側にシフトし、フィードバック補正値が増量側にシフトすることでFAFavの減量ズレが是正される。
ステップS27,S28は、ステップS25がNOになるまで所定周期で繰り返し実施される。
図12は、起電力特性のシフトズレ補正を具体的に説明するためのタイムチャートである。ここでは、リーンシフトを行う場合を例示している。
図12において、タイミングt1以前には、λ=1を目標λとしてストイキフィードバック制御が実施されており、フィードバック補正値は1又は1付近を変動中心として変動している(FAFav≒1となっている)。そして、タイミングt1で起電力特性をリーンシフトする要求が生じると、ストイキフィードバック制御からリーンフィードバック制御への切り替えが実施される。このとき、センサ素子31の印加電流として正の電流が設定され、その設定値による電流印加が開始される。センサ素子31の起電力特性がリーンシフトされることで、目標λがリーン化されることになる。これにより、フィードバック補正値が減量側に一気に変化し、タイミングt1以降は、減量側の値を変動中心としてフィードバック補正値が変動する(FAFav<1となっている)。
ここで、起電力特性の要求シフト量に対して、特性シフト(リーンシフト)が適正に実施されていないと、すなわち起電力特性のシフト量のズレが生じていると、フィードバック補正値の目標値FAFtgに対する平均値FAFtgのズレ量(ΔFAFの絶対値)が大きくなる。かかる場合、印加電流の補正が実施される。図12では、リーンシフトの実施時であって、かつΔFAF<0(FAFav<FAFtg)であることから、タイミングt2で正の印加電流を小さくする側に電流補正が実施されている。これにより、フィードバック補正値が減量側にシフトすることでFAFavの増量ズレが是正されている。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
センサ素子31に電流を印加して起電力特性(λ変曲点)をシフトさせる場合、センサ温度の変動や経時的要因等に応じて特性シフト量と印加電流との関係が崩れること等が考えられ、結果として、特性シフトの誤差が生じることに起因して所望の空燃比制御が実施できなくことが懸念される。この点、上記構成では、センサ素子31に電流を印加した状態で、センサ素子31における起電力特性のシフト量のズレが生じているか否かを判定するとともに、シフト量のズレが生じていると判定された場合に印加電流の増減補正を実施するため、起電力特性のシフト量のズレを解消することが可能となる。その結果、O2センサ16の起電力特性を適正にシフトさせることができる。
印加電流(要求シフト量)とフィードバック補正値の目標値FAFtgとの相関を定めておき、都度のフィードバック補正値(FAFav)と、相関により求めたFAFtgとに基づいて、起電力特性のシフト量のズレが生じているか否かを判定するようにした。センサ素子31において起電力特性のシフト量のズレが生じると、フィードバック補正値が、都度の要求シフト量に対応する目標値FAFtgよりも過大又は過小となる。これを利用することで、起電力特性のシフト量のズレを適正に判定できる。
FAFavがFAFtgに対して燃料増量側にずれている場合に、印加電流を正側にずらし(αを加算し)、起電力特性のリーンシフト量を大きくする側又はリッチシフト量を小さくする側に印加電流を補正した。また、FAFavがFAFtgに対して燃料減量側にずれている場合に、印加電流を負側にずらし(αを減算し)、起電力特性のリーンシフト量を小さくする側又はリッチシフト量を大きくする側に印加電流を補正した。かかる構成によれば、起電力特性のシフト量のズレの反映としてフィードバック補正値のズレが生じた場合に、そのズレ(ΔFAF)に基づいて適正に起電力特性のシフト量のズレ分を補正できる。
センサ素子31の起電力特性をシフトさせた状況下では空燃比学習を禁止する構成にしたため、誤った空燃比学習の実施が禁止される。これにより、センサ素子31(O2センサ16)の起電力特性を適正にシフトさせつつも、信頼性の高い空燃比学習を実施できる。
センサ素子31の特性シフトと空燃比学習とは重複して実施されない方がよいものの、空燃比学習の実施の機会は確保されるべきである。この点、センサ素子31の特性シフトの要求が生じた場合に、現時点の運転領域における空燃比学習が未完了であるか否かを判定し、空燃比学習が未完了であれば、特性シフトよりも優先して空燃比学習を実施する構成にしたため、センサ素子31の起電力特性をシフトさせる要求が生じる状況下でも、空燃比学習を確実に実施できる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。本実施形態では、センサ素子31に電流を印加した状態で、エンジン10のトルク相当値に基づいて、起電力特性のシフト量のズレが生じているか否かを判定するものである。ここでは、センサ素子31の起電力特性のリーンシフト又はリッチシフトが実施された場合にそれに応じてエンジントルクが減少又は増加することを見込み、吸入空気量や点火時期といった、エンジントルクを反映するパラメータであるトルク相当値に基づいて、起電力特性のシフトズレの有無を判定するものとしている。
本実施形態では、起電力特性のシフト時におけるトルク相当値として吸入空気量(実空気量Qa)を算出するとともに、その吸入空気量について、要求シフト量との相関を用いて算出した目標値(目標空気量Qtg)との偏差ΔQを算出する。そして、偏差ΔQの大きさに基づいて、起電力特性のシフト量のズレの有無を判定する。
図13は、本実施形態における印加電流補正の処理手順を示すフローチャートであり、本処理は、上述の図9に置き換えて実施される。
図13において、ステップS31では、今現在、特性シフトの実施状態下であるか否かを判定する。そして、特性シフトの実施状態下であれば後続のステップS32に進み、特性シフトの実施状態下でなければそのまま本処理を終了する。
ステップS32では、トルク相当値としてエンジン10の実空気量Qaを取得し、続くステップS33では、目標空気量Qtgを取得する。このとき、実空気量Qaは空気量センサ23の検出信号から算出される値である。また、目標空気量Qtgは、特性シフト時における吸入空気量の目標値であり、今現在のエンジン運転状態に基づいて求められるベース空気量と、今現在の印加電流(又は要求シフト量)に基づいて求められる吸入空気量のシフト量(トルクシフト量に相当)とから算出されているとよい。ここで、図14に示すように、印加電流と吸入空気量のシフト量との相関はあらかじめ定められており、その相関に基づいて吸入空気量のシフト量が求められる。図14では、印加電流が0である場合にシフト量=0であり、正の印加電流が大きくなるほどシフト量を小さくする一方、負の印加電流が大きくなるほどシフト量を大きくするような関係が定められている。
その後、ステップS34では、実空気量Qaと目標空気量Qtgとの偏差ΔQを算出し(ΔQ=Qa−Qtg)、続くステップS35では、偏差ΔQの絶対値が所定値の閾値K2以上であるか否かに基づいて、起電力特性のシフト量のズレが生じているか否かを判定する。このとき、起電力特性のシフト量のズレが生じていなければ、実空気量Qaは目標空気量Qtg又はその付近の値になり、|ΔQ|<K2となる。これに対して、起電力特性のシフト量のズレが生じていれば、|ΔQ|≧K2となる。そして、ステップS35がYESであれば、後続のステップS36に進む。
ステップS36では、ΔQが正であるか否かに基づいて、今現在の発生トルクが過大であるか否か、すなわち燃料噴射量が増量側にずれているか減量側にずれているかを判定する。このとき、ΔQ>0であれば、トルク過大であるとみなしてステップS37に進む。また、ΔQ<0であれば、トルク過小であるとみなしてステップS38に進む。
ステップS37では、今現在の印加電流に所定値αを加算する(現電流+αにする)。詳しくは、今現在がリーンシフト時であれば、リーンシフト量を大きくすべく、印加電流としての正の電流を大きくする。これにより、リーンシフト時のλ変曲点がストイキ点とは逆側にシフトし、フィードバック補正値が減量側にシフトすることでトルクの過大側のズレが是正される。また、今現在がリッチシフト時であれば、リッチシフト量を小さくすべく、印加電流としての負の電流を小さくする。これにより、リッチシフト時のλ変曲点がストイキ点の側にシフトし、フィードバック補正値が減量側にシフトすることでトルクの過大側のズレが是正される。
また、ステップS38では、今現在の印加電流から所定値αを減算する(現電流−αにする)。詳しくは、今現在がリーンシフト時であれば、リーンシフト量を小さくすべく、印加電流としての正の電流を小さくする。これにより、リーンシフト時のλ変曲点がストイキ点の側にシフトし、フィードバック補正値が増量側にシフトすることでトルクの過小側のズレが是正される。また、今現在がリッチシフト時であれば、リッチシフト量を大きくすべく、印加電流としての負の電流を大きくする。これにより、リッチシフト時のλ変曲点がストイキ点とは逆側にシフトし、フィードバック補正値が増量側にシフトすることでトルクの過小側のズレが是正される。
ステップS37,S38は、ステップS35がNOになるまで所定周期で繰り返し実施される。
以上第2実施形態によれば、以下の効果を奏する。
印加電流(要求シフト量)と吸入空気量のシフト量(トルクシフト量に相当)との相関を定めておき、実空気量Qaと、相関を用いて求めた目標空気量Qtgとに基づいて、起電力特性のシフト量のズレが生じているか否かを判定するようにした。センサ素子31において起電力特性のシフト量のズレが生じると、エンジン10での発生トルクに相当する実空気量Qa(実際のトルク相当値)が、都度の要求シフト量に対応するトルクシフト量よりも過剰に大きくなる又は小さくなる。これを利用することで、起電力特性のシフト量のズレを適正に判定できる。
センサ素子31に電流印加した状態での実空気量Qaが、要求シフト量との相関を用いて算出した目標空気量Qtgに対して過大である場合に、印加電流を正側にずらし(αを加算し)、起電力特性のリーンシフト量を大きくする側又はリッチシフト量を小さくする側に印加電流を補正した。また、実空気量Qaが目標空気量Qtgに対して過小である場合に、印加電流を負側にずらし(αを減算し)、起電力特性のリーンシフト量を小さくする側又はリッチシフト量を大きくする側に印加電流を補正した。かかる構成によれば、起電力特性のシフト量のズレの反映として吸入空気量(トルク相当値)のズレが生じた場合に、そのズレ分(ΔQ)に基づいて適正に起電力特性のシフト量のズレ分を補正できる。
なお、トルク相当値として点火時期を用いる場合には、起電力特性をシフトさせている状態下で、その時の実点火時期を取得するとともに、印加電流(又は要求シフト量)に対応する目標点火時期を取得し、実点火時期と目標点火時期との偏差が生じないようにして印加電流の増減補正を実施するとよい。
その他、トルク相当値として、エンジン出力軸に生じるトルクをセンサ等により検出したトルク検出値を用いることも可能である。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。本実施形態では、センサ素子31に電流を印加した状態で、エンジン10の吸入空気量及び燃料噴射量の比(=吸入空気量/燃料噴射量)に基づいて、起電力特性のシフト量のズレが生じているか否かを判定するものである。つまり、センサ素子31の起電力特性のリーンシフト又はリッチシフトが実施された場合にそれに応じて吸入空気量及び燃料噴射量の比が減少又は増加することを見込み、その比に基づいて、起電力特性のシフトズレの有無を判定するものとしている。
図15は、本実施形態における印加電流補正の処理手順を示すフローチャートであり、本処理は、上述の図9に置き換えて実施される。
図15において、ステップS41では、今現在、特性シフトの実施状態下であるか否かを判定する。そして、特性シフトの実施状態下であれば後続のステップS42に進み、特性シフトの実施状態下でなければそのまま本処理を終了する。
ステップS42では、今現在の吸入空気量及び燃料噴射量の比である実比率Raを取得し、続くステップS43では、目標比率Rtgを取得する。このとき、実比率Raは、空気量センサ23の検出信号から算出した吸入空気量を、今現在の燃料噴射量で除算した値として算出される(Ra=吸入空気量/燃料噴射量)。また、目標比率Rtgは、今現在の印加電流(又は要求シフト量)に基づいて求められるとよい。ここで、図16に示すように、印加電流と目標比率Rtgとの相関はあらかじめ定められており、その相関に基づいて目標比率Rtgが求められる。図16では、印加電流が0である場合にRtg=所定値(例えば目標空燃比)であり、正の印加電流が大きくなるほど目標比率Rtgを大きくする一方、負の印加電流が大きくなるほど目標比率Rtgを小さくするような関係が定められている。
その後、ステップS44では、実比率Raと目標比率Rtgとの偏差ΔRを算出し(ΔR=Ra−Rtg)、続くステップS45では、偏差ΔRの絶対値が所定値の閾値K3以上であるか否かに基づいて、起電力特性のシフト量のズレが生じているか否かを判定する。このとき、起電力特性のシフト量のズレが生じていなければ、実比率Raは目標比率Rtg又はその付近の値になり、|ΔR|<K3となる。これに対して、起電力特性のシフト量のズレが生じていれば、|ΔR|≧K3となる。そして、ステップS45がYESであれば、後続のステップS46に進む。
ステップS46では、ΔRが正であるか否かに基づいて、燃料過多の側にずれているか燃料過少の側にずれているかを判定する。このとき、ΔR<0であれば、燃料過多の側にずれているとみなしてステップS47に進む。また、ΔR>0であれば、燃料過少の側にずれているとみなしてステップS48に進む。
ステップS47では、今現在の印加電流に所定値αを加算する(現電流+αにする)。詳しくは、今現在がリーンシフト時であれば、リーンシフト量を大きくすべく、印加電流としての正の電流を大きくする。これにより、リーンシフト時のλ変曲点がストイキ点とは逆側にシフトし、フィードバック補正値が減量側にシフトすることで燃料過多の側のズレが是正される。また、今現在がリッチシフト時であれば、リッチシフト量を小さくすべく、印加電流としての負の電流を小さくする。これにより、リッチシフト時のλ変曲点がストイキ点の側にシフトし、フィードバック補正値が減量側にシフトすることで燃料過多の側のズレが是正される。
また、ステップS48では、今現在の印加電流から所定値αを減算する(現電流−αにする)。詳しくは、今現在がリーンシフト時であれば、リーンシフト量を小さくすべく、印加電流としての正の電流を小さくする。これにより、リーンシフト時のλ変曲点がストイキ点の側にシフトし、フィードバック補正値が増量側にシフトすることで燃料過少の側のズレが是正される。また、今現在がリッチシフト時であれば、リッチシフト量を大きくすべく、印加電流としての負の電流を大きくする。これにより、リッチシフト時のλ変曲点がストイキ点とは逆側にシフトし、フィードバック補正値が増量側にシフトすることで燃料過少の側のズレが是正される。
ステップS47,S48は、ステップS45がNOになるまで所定周期で繰り返し実施される。
以上第3実施形態によれば、以下の効果を奏する。
印加電流(要求シフト量)と、特性シフト時におけるエンジン10の吸入空気量及び燃料噴射量の目標比率Rtgとの相関を定めておき、実比率Raと、相関により求めた目標比率Rtgとに基づいて、起電力特性のシフト量のズレが生じているか否かを判定するようにした。センサ素子31において起電力特性のシフト量のズレが生じると、エンジン10の吸入空気量及び燃料噴射量の比率(=吸入空気量/燃料噴射量)が、都度の要求シフト量に対応する目標値よりも過大又は過小となる。これを利用することで、起電力特性のシフト量のズレを適正に判定できる。
エンジン10の吸入空気量及び燃料噴射量の実比率Ra(=吸入空気量/燃料噴射量)が目標比率Rtgに対して燃料過多である側にずれている場合に、印加電流を正側にずらし(αを加算し)、起電力特性のリーンシフト量を大きくする側又はリッチシフト量を小さくする側に印加電流を補正した。また、実比率Raが目標比率Rtgに対して燃料過少である側にずれている場合に、印加電流を負側にずらし(αを減算し)、起電力特性のリーンシフト量を小さくする側又はリッチシフト量を大きくする側に印加電流を補正した。かかる構成によれば、起電力特性のシフト量のズレの反映として実比率Raのズレが生じた場合に、そのズレ分(ΔR)に基づいて適正に起電力特性のシフト量のズレ分を補正できる。
(他の実施形態)
上記実施形態を例えば次のように変更してもよい。
・起電力特性のシフト量のズレが生じた場合において印加電流の補正値を電流学習値としてメモリに記憶する構成としてもよい。この場合、センサ素子31への電流印加を行う際には、電流学習値を用いてセンサ素子31への印加電流を設定するとよい。
・ガス拡散抵抗部を有するO2センサとして、所定厚さのガス拡散抵抗層を有する構成に代えて、所定径のピンホールを有する構成であってもよい。
・ガスセンサは、上記構成のO2センサ以外に、起電力セルとポンプセルとを備える、いわゆる2セル構造のガスセンサであってもよい。この場合、2セル式ガスセンサの起電力セルについても起電力特性を好適に変更できるとともに、適正なる空燃比検出を実現できるものとなる。また、起電力セル(センサ素子)として、コップ型構造のもの以外に、積層型構造のものを用いることも可能である。
10…エンジン(内燃機関)、16…O2センサ(ガスセンサ)、31…センサ素子(起電力セル)、32…固体電解質層、33…排気側電極、34…大気側電極、41…マイコン(特性制御手段、ズレ判定手段、印加電流補正手段)、43…定電流回路(通電手段)。

Claims (9)

  1. 固体電解質体(32)と、該固体電解質体を挟む位置に設けられる一対の電極(33,34)とを含む起電力セル(31)を有し、内燃機関(10)の排気を検出対象として該排気の空燃比に応じた起電力の信号を出力するガスセンサ(16)に適用される制御装置(41)であって、
    前記起電力セルの前記一対の電極間に対して通電手段(43)による所定電流の印加が可能になっており、
    前記起電力セルに印加される印加電流の要求値に基づいて前記通電手段による電流印加を実施し、前記起電力セルの起電力特性をシフトさせる特性制御手段と、
    前記通電手段による電流印加状態で、前記起電力特性のシフト量のズレが生じているか否かを判定するズレ判定手段と、
    前記ズレ判定手段により前記シフト量のズレが生じていると判定された場合に、当該ズレを解消すべく前記通電手段による印加電流の増減補正を実施する印加電流補正手段と、
    を備えることを特徴とする制御装置。
  2. 前記ガスセンサにより検出された検出空燃比と目標空燃比とに基づいてフィードバック補正値を算出するとともに、そのフィードバック補正値を用いて燃料噴射量をフィードバック制御する制御装置であって、
    前記印加電流の要求値又は前記起電力特性の要求シフト量と前記フィードバック補正値との相関が定められており、
    前記ズレ判定手段は、前記通電手段による電流印加状態で算出した前記フィードバック補正値と、前記相関により求めた前記フィードバック補正値の目標値とに基づいて、前記起電力特性のシフト量のズレが生じているか否かを判定する請求項1に記載の制御装置。
  3. 前記印加電流補正手段は、
    前記通電手段による電流印加状態で算出した前記フィードバック補正値が前記フィードバック補正値の目標値に対して燃料増量側にずれている場合に、前記起電力特性のリーンシフト量を大きくする側又はリッチシフト量を小さくする側に前記印加電流を補正し、
    前記通電手段による電流印加状態で算出した前記フィードバック補正値が前記フィードバック補正値の目標値に対して燃料減量側にずれている場合に、前記起電力特性のリーンシフト量を小さくする側又はリッチシフト量を大きくする側に前記印加電流を補正する請求項2に記載の制御装置。
  4. 前記内燃機関で実際に生じたトルクに相当するトルク相当値を取得する手段を備える制御装置であって、
    前記印加電流の要求値又は前記起電力特性の要求シフト量と、当該起電力特性のシフト時におけるトルク相当値との相関が定められており、
    前記ズレ判定手段は、前記通電手段による電流印加状態で取得した前記トルク相当値の実際値と、前記相関により求めたトルク相当値の目標値とに基づいて、前記起電力特性のシフト量のズレが生じているか否かを判定する請求項1に記載の制御装置。
  5. 前記印加電流補正手段は、
    前記通電手段による電流印加状態で取得した前記トルク相当値の実際値が、前記トルク相当値の目標値に対して過大である場合に、前記起電力特性のリーンシフト量を大きくする側又はリッチシフト量を小さくする側に前記印加電流を補正し、
    前記通電手段による電流印加状態で取得した前記トルク相当値の実際値が、前記トルク相当値の目標値に対して過小である場合に、前記起電力特性のリーンシフト量を小さくする側又はリッチシフト量を大きくする側に前記印加電流を補正する請求項4に記載の制御装置。
  6. 前記印加電流の要求値又は前記起電力特性の要求シフト量と、前記内燃機関の吸入空気量及び燃料噴射量の比との相関が定められており、
    前記ズレ判定手段は、前記通電手段による電流印加状態で取得した吸入空気量及び燃料噴射量から算出した前記比の実際値と、前記相関により求めた前記比の目標値とに基づいて、前記起電力特性のシフト量のズレが生じているか否かを判定する請求項1に記載の制御装置。
  7. 前記印加電流補正手段は、
    前記通電手段による電流印加状態で算出した前記比の実際値がその目標値に対して燃料過多である側にずれている場合に、前記起電力特性のリーンシフト量を大きくする側又はリッチシフト量を小さくする側に前記印加電流を補正し、
    前記通電手段による電流印加状態で算出した前記比の実際値がその目標値に対して燃料過少である側にずれている場合に、前記起電力特性のリーンシフト量を小さくする側又はリッチシフト量を大きくする側に前記印加電流を補正する請求項6に記載の制御装置。
  8. 前記ガスセンサにより検出された検出空燃比と目標空燃比とに基づいてフィードバック補正値を算出するとともに、そのフィードバック補正値により空燃比学習を実施する制御装置であって、
    前記通電手段による電流印加状態では、前記空燃比学習を禁止する請求項1乃至7のいずれか1項に記載の制御装置。
  9. 前記空燃比学習は、前記内燃機関の運転領域を複数の領域に区分し、その領域ごとに前記フィードバック補正値に基づいて学習値を算出するものであり、
    前記起電力セルへの電流印加の要求が生じた場合に、現時点の運転領域における空燃比学習が未完了であるか否かを判定する手段と、
    前記空燃比学習が未完了であると判定された場合に、前記起電力セルへの電流印加よりも優先して前記空燃比学習を実施し、その学習後に電流印加を実施する手段と、
    を備える請求項8に記載の制御装置。
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