JP2016003571A - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】排気通路内の空燃比雰囲気にかかわらず適正なる空燃比制御を実施する。【解決手段】上流側O2センサ16は、エンジンの排気管において触媒の上流側に設けられている。マイコン41は、上流側O2センサ16の検出結果に基づき、燃料噴射弁の燃料噴射量について空燃比フィードバック制御する。また、マイコン41は、エンジン運転状態が、排気の空燃比がリッチ及びリーンのいずれかで継続する特定状態となり、その後に当該特定状態が解除されたことを判定するとともに、特定状態が解除されたと判定された場合においてその解除に伴う空燃比フィードバック制御の開始当初に、特定状態がリッチ継続であったかリーン継続であったかに基づいて、上流側O2センサ16の変曲点をリーン側及びリッチ側のいずれかに変更する。【選択図】 図2
Description
本発明は、内燃機関の空燃比制御装置に関するものである。
内燃機関の空燃比制御装置として、排気管に起電力出力式の酸素濃度センサ(いわゆるO2センサ)を設け、その酸素濃度センサの検出結果に基づいて空燃比フィードバック制御を実施する技術が各種知られている(例えば特許文献1参照)。なお、特許文献1に記載の技術では、酸素濃度センサの検出値に基づき算出した空燃比フィードバック補正量について制御周波数と制御振幅とを算出し、さらにその制御周波数の目標値との偏差と、制御振幅の目標値との偏差とに基づいて、酸素濃度センサの出力値と目標値との偏差を変更する構成としている。
ところで、内燃機関においては燃料カットが実施される場合や、加速増量が実施される場合等があり、これらが実施される状況下では排気管内の空燃比がリーン又はリッチで保持される。かかる場合、例えば燃料カットからの復帰時には、センサ検出値のリーン→リッチの変化に遅れが生じ、それに起因して燃料噴射量が過剰に増量補正されることが懸念される。また、加速増量からの復帰時には、センサ検出値のリッチ→リーンの変化に遅れが生じ、それに起因して燃料噴射量が過剰に減量補正されることが懸念される。こうした不都合は、上記の特許文献1をはじめ、既存の先行技術において未解決の課題であり、改善の余地があると考えられる。
本発明は、排気通路内の空燃比雰囲気にかかわらず適正なる空燃比制御を実施することができる内燃機関の空燃比制御装置を提供することを主たる目的とするものである。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について説明する。
本発明の空燃比制御装置は、燃料を噴射する燃料噴射手段(12)と、固体電解質体(32)及び一対の電極(33,34)を有し内燃機関の排気がリッチかリーンかを検出する起電力出力式の酸素濃度センサ(16)とを備える内燃機関(10)に適用され、前記酸素濃度センサの検出結果に基づき、前記燃料噴射手段の燃料噴射量について空燃比フィードバック制御する。そして、前記内燃機関の運転状態が、排気の空燃比がリッチ及びリーンのいずれかで継続する特定状態となり、その後に当該特定状態が解除されたことを判定する判定手段と、前記特定状態が解除されたと判定された場合においてその解除に伴う空燃比フィードバック制御の開始当初に、前記特定状態がリッチ継続であったかリーン継続であったかに基づいて、前記酸素濃度センサの出力がリッチとリーンとで反転する変曲点をリーン側及びリッチ側のいずれかに変更するセンサ特性制御手段と、を備えることを特徴とする。
内燃機関では、排気の空燃比がリッチ及びリーンのいずれかで継続する特定状態となることがあり、例えば燃料カットが実施される場合や加速増量が実施される場合である。この場合、特定状態の解除に伴い空燃比フィードバック制御が開始される当初には、その特定状態での排気空燃比に依存してセンサ出力の変化が遅れることから、燃料噴射量の過不足の発生が懸念される。この点、上記構成では、特定状態の解除に伴い空燃比フィードバック制御が開始される当初に、特定状態がリッチ継続であったかリーン継続であったかに基づいて、酸素濃度センサの変曲点がリーン側及びリッチ側のいずれかに変更される。そのため、空燃比フィードバック制御の開始当初に、特定状態での排気空燃比に依存してセンサ出力の変化が遅れることを抑制でき、燃料噴射量の過不足を解消することが可能となる。その結果、排気通路内の空燃比雰囲気にかかわらず適正なる空燃比制御を実施することができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、車載エンジン(内燃機関)の排気管に設けられた酸素濃度センサを用い、その酸素濃度センサの出力に基づいてエンジンの各種制御等を実施するエンジン制御システムについて説明する。当該制御システムにおいては、電子制御ユニット(以下、ECUという)を中枢として燃料噴射量の制御や点火時期の制御等が実施される。図1は、本システムの全体概要を示す構成図である。
図1において、エンジン10は、例えばガソリンエンジンであり、電子制御式のスロットル弁11や、燃料噴射弁12、点火装置13等を備えている。エンジン10の排気管14には排気浄化装置としての触媒15が設けられている。触媒15は、例えば三元触媒よりなる。三元触媒は、周知のとおり排気の有害三成分であるCO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、NOx(NO等の窒素酸化物)を浄化するものであり、ハニカム状、格子状等をなすセラミックス製の担体に白金、パラジウム、ロジウム等の金属を担持させることで構成されている。
触媒15の上流側及び下流側には、それぞれ排気中の酸素濃度を検出する酸素濃度センサとしてのO2センサ16,17が設けられている。これらのO2センサ16,17は、排気の空燃比がリッチかリーンかに応じて異なる起電力信号を出力する。以下の説明では、触媒上流側のO2センサ16を上流側O2センサ16、触媒下流側のO2センサ17を下流側O2センサ17とも称する。
また、本システムには、スロットル弁11の開度を検出するスロットル開度センサ21や、エンジンの所定クランク角毎に(例えば30°CA周期で)矩形状のクランク角信号を出力するクランク角センサ22、エンジン10の吸入空気量を検出する空気量センサ23、エンジン冷却水の温度を検出する冷却水温センサ24等の各種センサが設けられている。
ここで、O2センサ16,17の構成を図2を用いて説明する。なお、各O2センサ16,17は同様の構成を有するものであり、ここでは上流側O2センサ16について説明する。O2センサ16はコップ型構造のセンサ素子31を有しており、図2にはセンサ素子31の断面構成を示す。実際にはセンサ素子31は素子全体がハウジングや素子カバー内に収容される構成となっており、エンジン排気管内に配設されている。
センサ素子31において、固体電解質層32は断面コップ状に形成されており、その外表面には排気側電極33が設けられ、内表面には大気側電極34が設けられている。これら各電極33,34は固体電解質層32の表面に層状に設けられている。固体電解質層32は、ZrO2、HfO2、ThO2、Bi2O3等にCaO、MgO、Y2O3、Yb2O3等を安定剤として固溶させた酸素イオン伝導性酸化物焼結体からなる。また、各電極33,34は共に白金等の触媒活性の高い貴金属からなり、その表面には多孔質の化学メッキ等が施されている。各電極33,34が一対の対向電極(センサ電極)となっている。固体電解質層32にて囲まれる内部空間は大気室35(基準室)となっており、その大気室35内にはヒータ36が収容されている。ヒータ36は、センサ素子31を活性化するに十分な発熱容量を有しており、その発熱エネルギによりセンサ素子全体が加熱される。O2センサ16の活性温度は、例えば500〜650℃程度である。なお、大気室35は、大気が導入されることでその内部が所定酸素濃度に保持されている。
上記センサ素子31では、固体電解質層32の外側(電極33側)が排気雰囲気、同内側(電極34側)が大気雰囲気となっており、これら双方の酸素濃度の差(酸素分圧の差)に応じて電極33,34間で起電力が発生する。つまり、空燃比がリッチかリーンかで異なる起電力が発生する。この場合、基準側電極である大気側電極34からすれば、排気側電極33の側は酸素が低濃度であり、センサ素子31において大気側電極34を正側、排気側電極33を負側として起電力が発生する。これにより、O2センサ16は、排気の酸素濃度(すなわち空燃比)に応じた起電力信号を出力する。
図3は、排気の空燃比とセンサ素子31の起電力との関係を示すセンサ出力特性図である。図3において、横軸は空気過剰率λであり、λ=1がストイキ(理論空燃比)である。センサ素子31は、空燃比がリッチかリーンかで異なる起電力を発生し、ストイキ付近で起電力が急変する特性を有する。具体的には、リッチ時のセンサ起電力は約0.9Vであり、リーン時のセンサ起電力は約0Vである。
図2において、上流側O2センサ16(センサ素子31)にはセンサ制御部40が接続されており、排気の空燃比(酸素濃度)に応じてO2センサ16にて起電力が発生すると、その起電力に相当するセンサ検出信号(起電力信号)がセンサ制御部40内のマイコン41に対して出力される。マイコン41はO2センサ16の起電力信号に基づいて空燃比を算出する。また、マイコン41は、O2センサ16の活性状態の判定を行うとともに、その判定結果に基づき、ヒータ駆動回路42を通じてヒータ36の駆動を制御する。
図1の説明に戻り、ECU25は、周知のCPU、ROM、RAM等よりなるマイクロコンピュータ(マイコン)を含んで構成されており、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで、都度のエンジン運転状態に応じてエンジン10の各種制御を実施する。すなわち、ECU25は、上記各種センサ等から各々信号を入力し、それらの各種信号に基づいて燃料噴射量や点火時期を演算して燃料噴射弁12や点火装置13の駆動を制御する。この場合、ECU25は、エンジン回転速度やエンジン負荷等に基づいて燃料噴射制御を実施する。また、アクセルオフとなる車両の減速時において燃料カットを実施する。なお、図2に示すセンサ制御部40はECU25内に設けられているとよい。
その他、本システムには、EGR装置26や可変動弁装置27が設けられている。これら装置は周知であるため図示による詳細な説明は割愛するが、簡単に説明すると、EGR装置26は、吸気管及び排気管14を接続するEGR配管と、そのEGR配管に設けられたEGR弁とを有しており、ECU25によりEGR弁の開度が制御されることで、排気側から吸気側への外部EGR量(EGRガス量)が調整される。また、可変動弁装置27は、エンジン10の吸気弁及び排気弁の少なくともいずれかの開閉時期を進角及び遅角させるものであり、その進遅角の調整により吸気弁及び排気弁のオーバーラップ量が調整され、内部EGR量が調整される。なお、EGR装置26や可変動弁装置27は、排気の一部を、次回以降の燃焼機会に燃焼室内で再燃焼させるように駆動されるものであり、これらがEGR手段に相当する。
燃料噴射量制御についてより詳しくは、ECU25は、上流側O2センサ16により検出された空燃比(以下、フロント空燃比という)と、下流側O2センサ17により検出された空燃比(以下、リア空燃比という)とに基づいて空燃比フィードバック制御を実施する。すなわち、ECU25は、フロント空燃比が目標空燃比であるストイキ(理論空燃比)になるようにメインフィードバック制御を実施するとともに、フロント空燃比がリッチ又はリーンに変化してから実際にリッチ判定又はリーン判定がなされるまでの遅延時間を、リア空燃比に基づいて可変に設定するサブフィードバック制御を実施する。このメインフィードバック制御及びサブフィードバック制御を以下に簡単に説明する。
ECU25は、上流側O2センサ16の出力値V1(フロント空燃比に相当)が基準値(例えば0.45V)よりもリッチになってからリッチ遅延時間が経過した時点で、空燃比がリッチになったとのリッチ判定を行い、V1が基準値よりもリーンになってからリーン遅延時間が経過した時点で、空燃比がリーンになったとのリーン判定を行う。そして、ECU25は、リッチ/リーンの判定結果に基づいて、スキップ及び積分によりフィードバック補正量(噴射補正量)を増減させ、そのフィードバック補正量により燃料噴射量を補正する。かかる制御がメインフィードバック制御に該当する。また、ECU25は、サブフィードバック制御として、下流側O2センサ17の出力値V2(リア空燃比に相当)がリッチかリーンかに応じてリッチ遅延時間及びリーン遅延時間を可変に制御する。この場合、出力値V2が基準値よりも大きければ(リア空燃比がリッチであれば)、リッチ遅延時間の短縮、及びリーン遅延時間の延長のうち少なくともいずれかを実施する。また、出力値V2が基準値よりも小さければ(リア空燃比がリーンであれば)、リッチ遅延時間の延長及びリーン遅延時間の短縮の少なくともいずれかを実施する。
ところで、上流側O2センサ16の実際の出力特性では、図4に示すように、リッチからリーンへの変化時と、リーンからリッチへの変化時とで特性が互いに相違し、ヒステリシスを有するものとなっている。これは、空燃比変化時においてO2センサ16の電極付近に残留する成分(変化前の成分)の影響を受けることが主たる要因であると考えられる。そのため、排気空燃比のリッチ→リーンの変化時には、上流側O2センサ16の出力のリーン変化が遅れ、その分、実際の空燃比に対して燃料噴射量が減量側に補正される。また、排気空燃比のリーン→リッチの変化時には、上流側O2センサ16の出力のリッチ変化が遅れ、その分、実際の空燃比に対して燃料噴射量が増量側に補正される。
また、エンジン10の運転に際しては、燃料カットや加速増量など、排気の空燃比がリッチ及びリーンのいずれかで継続する特定状態になることがある。そして、こうした特定状態が解除され、その解除に伴い空燃比フィードバック制御が再開される際には、特定状態下での空燃比の偏りが生じていたことに起因して、燃料噴射量の過増量や過減量が生じることが考えられる。
例えば、燃料カットが解除される場合、その解除時点では排気管14内が過リーンの状態にあり、空燃比フィードバック制御の再開に伴い燃料噴射量が増量されるが、上流側O2センサ16の出力応答の遅れ(リーン→リッチ変化時のヒステリシス)によって、燃料噴射量が過剰に増量されることが考えられる。また、燃料カットからの復帰時には、ECU25において触媒中立化のために一時的に燃料噴射量が増量補正されるが、その中立化制御の燃料増量とセンサ応答遅れによる燃料増量とが重複して実施されると、燃料噴射量の過増量が顕著になり、燃費悪化が懸念されることになる。
また、加速増量が解除される場合、その解除時点では排気管14内が過リッチの状態にあり、空燃比フィードバック制御の再開に伴い燃料噴射量が減量されるが、上流側O2センサ16の出力応答の遅れ(リッチ→リーン変化時のヒステリシス)によって、燃料噴射量が過剰に減量されることが考えられる。また、加速増量からの復帰時には、ECU25において触媒中立化のために一時的に燃料噴射量が減量補正されるが、その中立化制御の燃料減量とセンサ応答遅れによる燃料減量とが重複して実施されると、燃料噴射量の過減量が顕著になり、トルク変動やエンスト等の発生が懸念される。
そこで本実施形態では、ECU25は、エンジン10の運転に際し、排気の空燃比がリッチ及びリーンのいずれかで継続する特定状態となり、その後に当該特定状態が解除されたことを判定する。そして、特定状態が解除されたと判定された場合においてその解除に伴う空燃比フィードバック制御の開始当初に、特定状態がリッチ継続であったかリーン継続であったかに基づいて、上流側O2センサ16においてリッチ及びリーンの反転が生じる変曲点をリッチ側及びリーン側のいずれかに変更する。これにより、特定状態の解除時において、上流側O2センサ16の出力のリーン→リッチの変化時、又はリッチ→リーンの変化時の応答遅れ(ヒステリシス)が抑制される。
上流側O2センサ16の変曲点の変更は、一対の電極33,34間に電流を流すことで実施される。具体的には、図2に示すとおり、O2センサ16の大気側電極34とマイコン41とを電気的に接続する電気経路の途中には通電手段としての通電回路43が接続されている。通電回路43は、電極33,34間において固体電解質層32を通じて所定の通電電流を流すことを可能とするものであり、例えばPWM制御(デューティ制御)による電流量の調整が可能となっている。マイコン41は、都度の通電要求に基づいて通電回路43の通電電流を設定し、その設定値に基づいて通電回路43を制御する。
通電回路43によれば、排気側電極33から大気側電極34に向けて、又はその逆向きに電流が流され、それに伴い固体電解質層32において大気側電極34から排気側電極33に向けて、又はその逆向きに酸素イオンのポンピングが実施される。この場合、強制的な酸素ポンピングにより、上流側O2センサ16の変曲点がリッチ側及びリーン側のいずれかにシフトする。
一対の電極33,34間の通電により変曲点がリッチ側に変更される場合の原理は以下のとおりである。図5に示すように、O2センサ16の排気側電極33の付近には、CO、HC、NOx、O2がそれぞれ存在しており、その状況下で、固体電解質層32を通じて大気側電極34から排気側電極33に酸素イオンが移動するように、センサ素子31に電流を流す。すなわち、センサ素子31において酸素ポンピングを実施する。この場合、排気側電極33では、固体電解質層32を通じて排気側電極33の側に移動した酸素がH2やCO、HCと反応し、H2OやCO2が生成される。これにより、排気側電極33の付近におけるH2やCO、HCが除去され、O2センサ16の排気側電極付近におけるガス反応の平衡点(すなわち、O2センサ16の出力変曲点)がリッチ側にシフトする。こうして変曲点がリッチ側に変更されることにより、リッチ→リーンの変化時の応答遅れ(ヒステリシス)が抑制される。
なお図示は省略するが、上記とは逆にリーン→リッチの変化時の応答遅れ(ヒステリシス)を抑制する場合には、固体電解質層32を通じて排気側電極33から大気側電極34に酸素イオンが移動するように、センサ素子31に電流を流す。これにより、O2センサ16の出力変曲点がリーン側にシフトし、リーン→リッチの変化時の応答遅れ(ヒステリシス)が抑制される。
図6及び図7は、上流側O2センサ16の出力特性変更の処理手順を示すフローチャートであり、本処理はECU25(マイコン41)により所定周期で繰り返し実施される。
図6において、ステップS11では、今現在、燃料カットからの復帰直後であって、かつFC通電フラグがオンであるか否かを判定する。FC通電フラグは、上流側O2センサ16に対して変曲点の変更のための通電が実施されている場合にオンとなるフラグであり、当初はオフである。また、ステップS12では、今現在、燃料カット中であるか否かを判定する。そして、ステップS11がNOであり、ステップS12がYESである場合に、ステップS13に進む。
ステップS13では、通電設定のためのパラメータとして、燃料カットの開始からの経過時間(FC継続時間)を取得し、続くステップS14では、FC継続時間に基づいて、変曲点変更のための通電量の設定を実施する。ここで、燃料カットが実施される場合には、その解除に伴い空燃比のリーン→リッチの変化が生じるのだから、リーン→リッチの変化時の応答遅れ(ヒステリシス)を抑制すべく、変曲点をリーン側に変更させる向きの通電電流が設定される。また、図8(a)の関係を用いて通電電流を設定するようにしており、FC継続時間が長引くほど、通電電流が正側に大きい電流値として設定される。なお、図8(a)に示す関係は一例であり、FC継続時間が長引くほど段階的に通電電流を大きくすることも可能である。
その後、ステップS15では、通電回路43による通電を実施し、続くステップS16では、FC通電フラグをオンする。なお、FC通電フラグがオンされた後にも燃料カットが引き続き継続される場合に、ステップS14で通電量が再設定される構成であってもよい。
そして、FC通電フラグがオンされた状態で燃料カットが解除されると、ステップS11がYESとなり、ステップS17に進む。ステップS17では、通電終了条件の成否を判定する。この通電終了条件は、燃料カットからの復帰後において上流側O2センサ16の出力がリッチ値に移行したことが判定できるものであればよく、上流側O2センサ16の出力値、又は燃料カット解除からの経過時間に基づいて成否が判定されるとよい。
通電終了条件が成立していれば、ステップS18に進む。ステップS18では、通電回路43による通電を終了し、続くステップS19では、FC通電フラグをオフに戻す。
また、ステップS12がNOの場合には、図7のステップS21に進む。ステップS21では、今現在、加速増量からの復帰直後であって、かつ加速通電フラグがオンであるか否かを判定する。加速通電フラグは、上流側O2センサ16に対して変曲点の変更のための通電が実施されている場合にオンとなるフラグであり、当初はオフである。また、ステップS22では、今現在、加速増量中であるか否かを判定する。そして、ステップS21がNOであり、ステップS22がYESである場合に、ステップS23に進む。なお、加速増量中は空燃比フィードバック制御が一時的に停止されるようになっている。
ステップS23では、通電設定のためのパラメータとして、加速増量の開始からの経過時間(加速継続時間)を取得し、続くステップS24では、加速継続時間に基づいて、変曲点変更のための通電量の設定を実施する。ここで、加速増量が実施される場合には、その解除に伴い空燃比のリッチ→リーンの変化が生じるのだから、リッチ→リーンの変化時の応答遅れ(ヒステリシス)を抑制すべく、変曲点をリッチ側に変更させる向きの通電電流が設定される。また、図8(b)の関係を用いて通電電流を設定するようにしており、加速継続時間が長引くほど、通電電流が負側に大きい電流値として設定される。なお、図8(b)に示す関係は一例であり、加速継続時間が長引くほど段階的に通電電流を大きくすることも可能である。
その後、ステップS25では、通電回路43による通電を実施し、続くステップS26では、加速通電フラグをオンする。なお、加速通電フラグがオンされた後にも加速増量が引き続き継続される場合に、ステップS24で通電量が再設定される構成であってもよい。
そして、加速通電フラグがオンされた状態で加速増量が解除されると、ステップS21がYESとなり、ステップS27に進む。ステップS27では、通電終了条件の成否を判定する。この通電終了条件は、加速増量からの復帰後において上流側O2センサ16の出力がリーン値に移行したことが判定できるものであればよく、上流側O2センサ16の出力値、又は加速増量解除からの経過時間に基づいて成否が判定されるとよい。
通電終了条件が成立していれば、ステップS28に進む。ステップS28では、通電回路43による通電を終了し、続くステップS29では、加速通電フラグをオフに戻す。
図9は、O2センサ出力特性変更について具体的な内容を説明するためのタイムチャートである。ここでは、燃料カットが実施される場合について具体的に説明する。
さて、タイミングt1以前は通常の空燃比フィードバック制御が実施されており、タイミングt1で燃料カットが開始される。燃料カットに伴い上流側O2センサ16の出力がリーン値となり、そのまま保持される。その後、タイミングt2では、FC通電フラグがオンされ、上流側O2センサ16に対して変曲点変更のための通電が開始される。なお、図9では時間の経過に伴い通電電流を徐々に大きくしているが、通電電流を一定の定電流にしたり、段階的に大きくしたりしてもよい。
そして、タイミングt3で燃料カットの状態が解除されると、そのt3以降、空燃比フィードバック制御が再開される。このとき、既存の技術では、二点鎖線で示すように、上流側O2センサ16のリーン→リッチ変化が遅れ、それに起因して燃料噴射量の過剰な増量補正が懸念される。これに対し、本実施形態では、上流側O2センサ16に対する通電が実施されているため、上流側O2センサ16のリーン→リッチ変化の遅れが抑制され、燃料噴射量の過剰な増量補正が解消される。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
燃料カットや加速増量といった特定状態が解除される場合において、空燃比フィードバック制御が開始される当初に、特定状態がリッチ継続であったかリーン継続であったかに基づいて、上流側O2センサ16の変曲点をリーン側及びリッチ側のいずれかに変更する構成とした。これにより、空燃比フィードバック制御の開始当初に、特定状態での排気空燃比に依存してセンサ出力の変化が遅れることを抑制でき、燃料噴射量の過不足を解消することが可能となる。その結果、排気通路内の空燃比雰囲気にかかわらず適正なる空燃比制御を実施することができる。
上流側O2センサ16の変曲点の変更を、特定状態である期間中(燃料カット、加速増量の期間中)に開始し、その後、特定状態が解除されて上流側O2センサ16の出力が特定状態でのリッチ・リーンとは逆側の空燃比に移行するまで、変曲点の変更を実施する構成とした。かかる構成によれば、燃料カットや加速増量の終了時点で直ぐさま上流側O2センサ16の出力特性を変更した状態が反映される。そのため、特定状態の解除直後においてセンサ出力の遅れ(ヒステリシス)を考慮した適正な空燃比制御を実施できる。
また、上流側O2センサ16の出力特性の変更を、特定状態の解除後の所定期間に限定した。そのため、過リーン又は過リッチの状態からの出力遅れ対応(ヒステリシス対応)の処理を限定的に実施でき、通常の空燃比フィードバック制御への影響を抑制できる。
燃料カット中は排気管14内の排気の雰囲気が過リーンになり、燃料カットからの復帰直後にはリッチ側への応答遅れが大きくなるが、変曲点をリーン側に変更することで、燃料カットからの復帰直後における空燃比の制御性を向上させることができる。この場合、上流側O2センサ16の出力のリッチ変化が遅れることに起因する燃費への悪影響を抑制できる。特に燃料カットからの復帰時には、触媒中立化のために一時的に燃料噴射量が増量補正されるが、その中立化制御の燃料増量とセンサ応答遅れによる燃料増量とが重複して実施されることによる燃費悪化を抑制できる。
加速増量中は排気管14内の排気の雰囲気が過リッチになり、加速増量からの復帰直後(増量解除直後)にはリーン側への応答遅れが大きくなるが、変曲点をリッチ側に変更することで、加速増量からの復帰直後における空燃比の制御性を向上させることができる。この場合、上流側O2センサ16の出力のリーン変化が遅れることに起因するエンジントルクへの悪影響を抑制できる。特に燃料増量からの復帰時には、触媒中立化のために一時的に燃料噴射量が減量補正されるが、その中立化制御の燃料減量とセンサ応答遅れによる燃料減量とが重複して実施されることによるトルク変動やエンスト等を抑制できる。
燃料カット時のリーン度合いとしてFC継続時間を算出するとともに、加速増量時のリッチ度合いとして加速継続時間を算出し、FC継続時間や加速継続時間に基づいて、上流側O2センサ16の変曲点の変更量を可変に調整する構成にした。これにより、燃料カットや加速増量が比較的長い時間で実施されたとしても、その状況に合わせて好適にセンサ出力特性を変更することができる。
(他の実施形態)
上記実施形態を例えば次のように変更してもよい。
上記実施形態を例えば次のように変更してもよい。
・EGRの実施に基づいて、上流側O2センサ16の変曲点の変更量を調整する構成としてもよい。例えば、加速増量時において、EGRの実施の有無を判定し、EGRが実施されていれば、上流側O2センサ16に対して供給する通電電流を増補正する。この場合、EGR実施の有無は、EGR装置26におけるEGR弁の開度が所定以上であること、可変動弁装置27による吸気弁の進角量が所定以上であること等により判定されるとよい。また、通電電流の補正値は所定の一定値でもよいし、図10に示す関係を用い、EGR量に基づいて可変に設定されてもよい。
要するに、外部EGRや内部EGRが実施される場合には、排気中にH2が増える等の理由から上流側O2センサ16のリッチ→リーンの応答遅れ(ヒステリシス)が大きくなる。この点、EGRの実施に基づいて通電電流の設定(センサ変曲点の変更)を実施する構成にしたため、EGRの実施に伴いヒステリシスが大きくなってもそれに好適に対処できる。なお、燃料カット時には、EGRの有無(EGR量)に基づいて通電電流が減補正されるとよい。
・上記実施形態では、燃料カット時である場合、及び加速増量時である場合を「特定状態」であるとし、その特定状態が解除された際に上流側O2センサ16の変曲点が変更されているように構成したが、これを変更してもよい。例えば、リア空燃比に基づいて「特定状態」であることを判定する構成としてもよい。この場合、リア空燃比がリーンのまま所定時間以上継続される場合、又はリッチのまま所定時間以上継続される場合に特定状態であると判定し、その特定状態が解除された際に上流側O2センサ16の変曲点が変更されるようにする。
10…エンジン、12…燃料噴射弁、16…上流側O2センサ、25…ECU、32…固体電解質層、33…排気側電極、34…大気側電極、41…マイコン(判定手段、センサ特性制御手段)。
Claims (6)
- 燃料を噴射する燃料噴射手段(12)と、固体電解質体(32)及び一対の電極(33,34)を有し内燃機関の排気がリッチかリーンかを検出する起電力出力式の酸素濃度センサ(16)とを備える内燃機関(10)に適用され、
前記酸素濃度センサの検出結果に基づき、前記燃料噴射手段の燃料噴射量について空燃比フィードバック制御する空燃比制御装置であって、
前記内燃機関の運転状態が、排気の空燃比がリッチ及びリーンのいずれかで継続する特定状態となり、その後に当該特定状態が解除されたことを判定する判定手段と、
前記特定状態が解除されたと判定された場合においてその解除に伴う空燃比フィードバック制御の開始当初に、前記特定状態がリッチ継続であったかリーン継続であったかに基づいて、前記酸素濃度センサの出力がリッチとリーンとで反転する変曲点をリーン側及びリッチ側のいずれかに変更するセンサ特性制御手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。 - 前記センサ特性制御手段は、前記特定状態である期間内においてリッチ継続かリーン継続かに基づき前記変曲点の変更を開始し、少なくとも前記特定状態が解除されて前記酸素濃度センサの出力が前記特定状態でのリッチ・リーンとは逆側の空燃比に移行するまで、前記変曲点の変更を実施する請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
- 前記判定手段は、前記内燃機関が前記特定状態としての燃料カット状態となり、その後に当該燃料カット状態が解除されたことを判定するものであり、
前記センサ特性制御手段は、前記燃料カット状態が解除されたと判定された場合においてその解除に伴う空燃比フィードバック制御の開始当初に、前記酸素濃度センサの変曲点をリーン側に変更する請求項1又は2に記載の内燃機関の空燃比制御装置。 - 前記判定手段は、前記内燃機関が前記特定状態としての加速増量状態となり、その後に当該加速増量状態が解除されたことを判定するものであり、
前記センサ特性制御手段は、前記加速増量状態が解除されたと判定された場合においてその解除に伴う空燃比フィードバック制御の開始当初に、前記酸素濃度センサの変曲点をリッチ側に変更する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の内燃機関の空燃比制御装置。 - 前記特定状態である期間内のリッチ・リーンの継続時間を算出する算出手段を備え、
前記センサ特性制御手段は、前記リッチ・リーンの継続時間に基づいて、前記変曲点の変更量を調整する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の内燃機関の空燃比制御装置。 - 前記内燃機関の排気の一部を、次回以降の燃焼機会に燃焼室内で再燃焼させるEGR手段(26,27)を備える内燃機関に適用され、
前記センサ特性制御手段は、前記EGR手段によるEGRの実施に基づいて、前記酸素濃度センサの変曲点の変更量を調整する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
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- 2014-06-13 JP JP2014122459A patent/JP2016003571A/ja active Pending
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