JP2016080096A - 摺動部材及び摺動面への潤滑剤供給構造並びにこれらの製造方法、並びに、摺動面に潤滑剤を供給する方法 - Google Patents

摺動部材及び摺動面への潤滑剤供給構造並びにこれらの製造方法、並びに、摺動面に潤滑剤を供給する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】潤滑剤を流出に応じて供給することができる潤滑剤供給構造及び該構造を備える摺動部材を提供すること。
【解決手段】摺動面に複数の有底孔が形成された摺動部材であって、少なくとも2つの上記有底孔を上記摺動部材内部で連通する連通孔が形成されている摺動部材。上記摺動部材を金属粉末成形機又は樹脂粉末成形機を用いて製造する方法。摺動部材の摺動面に形成された複数の有底孔、及び、少なくとも2つの上記有底孔を上記摺動部材の内部で連通する連通孔に潤滑剤が充填され、上記有底孔の流出口からの上記潤滑剤の流出に応じて、上記有底孔及び上記連通孔に存在する潤滑剤が上記流出口に補充されることにより、摺動面に潤滑剤を供給する方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、摺動部材及び摺動面への潤滑剤供給構造並びにこれらの製造方法、並びに、摺動面に潤滑剤を供給する方法に関する。
従来、一方向回転や正逆交互回転、又は軸方向移動や比較的短ストロークの往復軸方向移動等の各種摺動を行う部分に用いられる摺動部材として、軸と各種軸受との組み合わせ等があるが、これらの相互間には一般に潤滑剤の供給(給油)が必要である。給油状態が維持されなければ、摺動部材の磨耗や焼き付け、損傷等を招いてしまう。給油のための構造は種々知られている(例えば、特許文献1〜4参照)。
特開2007−92847号公報 特開2000−249146号公報 特開平10−19044号公報 特開2009−24798号公報
特許文献1には、滑り軸受の内周面と軸部材の外周面との間の軸受隙間に、フェルト等の繊維材料、焼結金属等の多孔質金属、多孔質樹脂等に潤滑油を含浸させた補油部材を備えた軸受装置が提案されている。しかし、このような補油部材は表面全体から油が消失しやすく、早期に油切れを起こしてしまう。また、外部からの異物が補油部材の表面全体に吸着され、摺動面の摩耗が促進されてしまう問題がある。
摺動面に油流出口を設ける給油構造としては、油流出口と給油路を介して連通し、外部に開口する給油孔に潤滑剤を圧送することにより、流出口から摺動面に潤滑剤を流出させる構造が従来一般的である(例えば、特許文献2参照)。しかし、給油孔が外部に常時開口しているので、外部からの異物の混入を免れないという問題がある。
外部からの給油孔を有さない給油構造として、軸受本体の内部に複数の潤滑剤貯留空間を設け、該空間それぞれに連通し、軸受本体の内周面に設けたスリット状の開口から潤滑剤を供給する構造が提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、内周面に沿って内在する環状溝により複数の開口が連通するものの、各潤滑剤貯留空間はそれぞれほぼ独立しているので、開口の位置によって潤滑剤の消費にむらがある場合、別の開口に連通する貯留空間からの潤滑剤の補充は事実上行われないという問題がある。
複数の油流出口と連通する給油路を有する給油構造として、すべり軸受の内周表面に形成された傾斜溝に、すべり軸受内部に設けられた環状溝から潤滑油を供給する構造が提案されている(例えば、特許文献4参照)。しかし、潤滑油は内周溝から直接傾斜溝に供給されるので、軸の搖動運動により傾斜溝によってむらが生じる潤滑油の流出量を、内周溝からでは十分に補充できないという問題があった。
特許文献2〜4の油流出口は何れも溝状ないしスリット状であり、油流出口の面積を確保し摺動面に十分な量の油を供給できると思われる。しかし、流出口が摺動面上で延びているので、外部から多くの異物が混入しやすく、その異物が軸の搖動運動により摺動面に拡散してしまい、摩耗を促進するという問題がある。
これらの技術は、摩擦減少の効果は上がるものの部品点数が多くなり、それに伴い組立工数も増加するという問題も生ずる。
本発明は、上記問題を解決し、摺動面への流出口によって潤滑剤の流出量にむらがあっても、潤滑剤が供給される潤滑剤供給構造及び該構造を備える摺動部材を提供することを目的とする。
本発明者らは、摺動面において複数の潤滑剤流出口となる有底孔を摺動部材の内部において連通させることにより、流出口からの潤滑剤の流出に応じて孔内の表面張力(毛細管現象)により流出口に向けて潤滑剤を補充できること見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、具体的には以下のとおりである。
(1) 摺動面に複数の有底孔が形成された摺動部材であって、
少なくとも2つの上記有底孔を上記摺動部材内部で連通する連通孔が形成されている摺動部材。
(2) 上記有底孔の流出口が非溝状である(1)記載の摺動部材。
(3) 上記連通孔は、上記摺動部材の摺動面のみに開口を有する(1)又は(2)記載の摺動部材。
(4) 上記摺動部材は、一体成形されたものである(1)〜(3)の何れか1項記載の摺動部材。
(5) 上記摺動部材は、同質材料の一体成形である(1)〜(3)の何れか1項記載の摺動部材。
(6) 上記有底孔及び上記連通孔は金属粉末成形機又は樹脂粉末成形機(以下、「3Dプリンター」と総称することがある。)により形成される(1)〜(5)の何れか1項記載の摺動部材。
(7) 上記有底孔及び上記連通孔に潤滑剤を有する(1)〜(6)の何れか1項記載の摺動部材。
(8) 摺動面に形成された複数の有底孔と、少なくとも2つの上記有底孔を部材内部において連通する連通孔とを有する、摺動面への潤滑剤供給構造。
(9) (1)〜(7)の何れか1項記載の摺動部材又は請求項8記載の潤滑剤供給構造を金属粉末成形機又は樹脂粉末成形機を用いて製造する方法。
(10) 摺動部材の摺動面に形成された複数の有底孔、及び、少なくとも2つの上記有底孔を上記摺動部材の内部で連通する連通孔に潤滑剤が充填され、
上記有底孔の流出口からの上記潤滑剤の流出に応じて、上記有底孔及び上記連通孔に存在する潤滑剤が上記流出口に補充されることにより、摺動面に潤滑剤を供給する方法。
本発明によれば、摺動面への流出口によって潤滑剤の流出量にむらがあっても、潤滑剤を補充することができる摺動部材を提供することができる。かかる潤滑剤の補充により、摺動面の摩擦を低減することができる。また、外部から混入する異物を保持して摺動面上への漏出を抑制することができる摺動部材を提供することができる。
本発明の第1の実施形態の摺動部材を示す透視図である。 本発明の第1の実施形態の摺動部材を示す透視図である。 本発明の潤滑剤の補充の仕組みを示す模式図である。 図3に示す本発明の摺動部材の透視図である。 図3に示す潤滑剤の補充の仕組みの断面図である。 比較のため連通孔を有しない摺動部材の例を示す透視図である。 本発明の第1の実施形態の摺動部材の例を示す透視図である。 比較のため連通孔を有しない摺動部材の例を示す透視図である。 本発明の第1の実施形態の摺動部材の例を示す透視図である。 本発明の第1の実施形態の摺動部材の例を示す透視図である。 本発明の第2の実施形態の摺動部材を示す透視図である。 本発明の第2の実施形態の摺動部材を示す上面透視模式図である。 本発明の第3の実施形態の摺動部材を示す斜視図である。 本発明の第3の実施形態の摺動部材を示す断面図である。 本発明の摺動部材の適用例である転がり軸受けを示す斜視図である。 図15に示す転がり軸受けの透視図である。 本発明の摺動部材の適用例である人工関節を示す斜視図である。 図17に示す人工関節の透視図である。 比較例2の摺動部材を示す透視図である。 バウデンレーベン型往復動摩擦試験機を示す模式図である。 実施例及び比較例の評価1による摩擦係数を示すグラフである。 実施例及び比較例の評価2による潤滑剤の挙動を示す写真である。
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1及び図2は、本発明の実施形態の摺動部材の典型例を示す透視図である。本発明の摺動部材は、摺動面1に形成された複数の有底孔2のうち少なくとも2つを、摺動部材の内部で連通する連通孔3が形成されたものである。本発明の摺動部材は、通常、有底孔2及び連通孔3に潤滑剤を充填し、摺動面において摺動させて使用する。
本発明の摺動部材に充填する潤滑剤としては、特に限定されず、潤滑のために通常用いられるもの、摺動部材に通常用いられるもの等を用いることができ、例えば、各種グリース、潤滑油等を用いることができるが、本発明の後述する潤滑剤補充効果を発揮するためには、液体であることが好ましい。
本発明の摺動部材において、摺動により有底孔2の摺動面1における流出口(開口)から潤滑剤が摺動面1上に少しずつ流出するが、上記有底孔2及び連通孔3からなる構造を有することにより、有底孔2内の表面張力(毛細管現象)により、有底孔2及び連通孔3に存在する潤滑剤が有底孔2の流出口に向けて補充される(以下、本明細書において「潤滑剤補充機能」ということがある。)。
この潤滑剤の補充の仕組みを図3の模式図に示すように本発明の摺動部材31の摺動面上においてシリンダー32が摺動する場合を例にとり、説明する。本発明の摺動部材31として例えば図4の透視図に示すようにほぼ円弧を描くような連通孔が形成されている場合、摺動と有底孔及び連通孔に充填された潤滑剤との関係を図5の断面図に示す。図5に示すように、シリンダー32が本発明の摺動部材31の摺動面1上を図中の黒矢印の方向に往復して摺動するに際し、有底孔2のうち例えば図中の中央の有底孔の摺動面1上の開口(流出口)からシリンダー32の摺動に伴い有底孔2に充填された潤滑剤が粘性によって摺動面1上に少量流出する。すると、図5に示すように該中央の有底孔と連通する連通孔3及び他の有底孔2に存在する潤滑剤が毛細管現象により該中央の有底孔の流出口に向けて図中の白抜き矢印のように移動することにより、該流出口における潤滑剤の流出による減少量が補充される。
更に、中央の有底孔2内の潤滑剤が流出した後の流出口における間隙内の気体が周囲の環境に対して負圧になるため、潤滑剤が誘引されて補充される場合もある。
本発明の摺動部材は、好ましくは、潤滑剤が有底孔2の流出口から極微量ずつ流出し、毛細管現象により極微量ずつ潤滑剤を補充することができるので、長期間にわたり適度な潤滑剤膜を摺動面1上に形成することができる。
一般に、摺動方向に潤滑剤が溜まりやすい傾向があるが、本発明の摺動部材は、このような摺動による各有底孔における影響を、連通孔を介して分散し、圧力をならして有底孔及び連通孔の全体にかかる圧力を均一にすることができる。また、摺動面に異物が生じる場合であっても、異物は、何れかの有底孔に捕捉された後連通孔を通じて分散され、有底孔及び連通孔の内部に保持されるので、摺動面への漏出が抑制される。
本発明の摺動部材は、摺動の態様の如何に関わりなく、各種摺動が行われる部分に用いることができる。例えば、軸受け等として用いる場合における軸の正逆交互回転、又は、比較的短ストロークの往復軸方向移動等の摺動を受ける摺動部材として用いる場合等、摺動面1の全体が均等に摺動されないこともある。そのような場合、複数の有底孔2の摺動面における位置によっては、潤滑剤の流出量が不均一となりかねない。本発明の摺動部材は、そのような場合であっても、各有底孔2が連通孔3により連通することにより、流出に応じた潤滑剤の補充が可能であるので、潤滑剤の流出量が多い有底孔には比較的多い量の潤滑剤の補充を行うことができ、潤滑剤の流出量が少ない有底孔には比較的少ない量の潤滑剤の補充を行うことができる。このように、本発明の摺動部材は、必要量の潤滑剤を必要な箇所に補充することができるので、潤滑剤を無駄なく使用することができ、潤滑効率を高めることができる。複数の有底孔2からの潤滑剤の流出量が均一である場合、何れの有底孔2にも均一に潤滑剤が補充される。本発明の摺動部材は、このように、複数の有底孔2と連通孔3とが連通することにより、有底孔2と連通孔3に充填された潤滑剤を相互に補充し合う、いわばネットワーク構造を有する。
本発明の摺動部材としては、有底孔の摺動面1上の開口(流出口)が非溝状であるものであっても潤滑剤が補充された摺動面を実現できる。従来、すべり軸受け等の各種軸受けにおいて、潤滑剤の流出口又は流出口に連続する摺動面上の潤滑剤の流路が溝状ないしスリット状に形成されているものがあるが、本発明の摺動部材は、潤滑剤の流出に応じて適切に潤滑剤が補充され摺動面の潤滑を促進することができる。摺動面上に溝状ないしスリット状等の潤滑剤の流路を更に形成することも可能である。本発明の摺動部材は、また、有底孔の流出口が非溝状であることにより、潤滑剤の過度の流出を防止し、潤滑剤を効率よく使用することができ、また、捕捉した外部からの異物を摺動面に漏出させるおそれを低減することができ、捕捉した異物が仮に摺動面上に漏出しても摺動面上で拡散することを抑えることができる。本発明の摺動部材は、有底孔の摺動面1上の開口(流出口)が円形又は略円形であるものがより好ましい。
本発明の摺動部材としては、また、連通孔が摺動部材の外部に開口を有しないものが好ましい。連通孔が摺動部材の外部に開口を有し得る構造であってもよいが、潤滑剤補充機能を十分に発揮させるためには、たとえ外部に開口を有するものであっても摺動部材として使用する際には異物混入防止のために止栓することが好ましい。本発明の摺動部材は、潤滑剤補充機能により潤滑剤を無駄なく使用することができるので、外部に例えば潤滑剤を新たに供給するための給油孔等の開口を有し得る連通孔を形成しなくともよい。
本発明の摺動部材は、上記のように、有底孔の摺動面1上の開口(流出口)を非溝状にすることができ、また、摺動面における有底孔の流出口以外に摺動部材の外部に開口を有しないものとすることができるので、外部からの異物の混入を最小限に抑えることができる。
本発明の摺動部材は、摺動面1に形成された複数の有底孔2のうち少なくとも2つを、摺動部材の内部で連通する連通孔3が形成されたものであればよいが、潤滑剤補充機能を十分に発揮する形態として、図1及び図2に示す、本発明の第1の実施形態の摺動部材が挙げられる。
本発明の第1の実施形態の摺動部材は、複数の有底孔2を相互に連通する連通孔3が形成されているものである。本発明の第1の実施形態の摺動部材は、複数の有底孔2の全てを相互に連通する連通孔3が形成されたものであることが好ましい。この場合、摺動部材における複数の有底孔2の全てが連通孔3を介して相互に連通するとともに、全ての連通孔も相互に連通する。
有底孔の数ないしその摺動面における密度、各有底孔間の距離(各有底孔が摺動面に格子状に形成されている場合、本明細書において「格子間隔」ともいう。)は特に限定されず、各有底孔の摺動面における開口(潤滑剤の流出口)の面積にもよるが、目的とする潤滑の程度に応じて適宜選択することができる。図1に示す摺動部材は、各有底孔2間の距離が比較的短く、図2に示す摺動部材は、各有底孔2間の距離が比較的長いものであり、それぞれ本発明の第1の実施形態の一例を示すにすぎない。
複数の有底孔の各開口の面積の合計が摺動面全体に占める比率(面積率)は、上限値として45%が好ましく、40%がより好ましく、38%が更に好ましく、下限値として0.5%が好ましく、1%がより好ましく、2%が更に好ましい。これらの好ましい面積率は、本発明の第1の実施形態において特に好ましい。
有底孔は、潤滑剤補充機能を十分に発揮するためには、摺動面からある程度の深さを有するものであることが好ましい。本明細書において、有底孔の深さは、有底孔と連通孔との結合部断面円の中心位置と摺動面との距離で定義される。有底孔の深さは、上限値として30mmが好ましく、20mmがより好ましく、10mmが更に好ましく、下限値として1mmが好ましく、2mmがより好ましく、3mmが更に好ましい。
また、潤滑剤補充機能を十分に発揮するためには、有底孔の摺動面における開口(流出口)の直径が、上限値として3mmが好ましく、2.5mmがより好ましく、2mmが更に好ましく、下限値として0.05mmが好ましく、0.07mmがより好ましく、0.1mmが更に好ましい。
有底孔は、摺動面における開口(流出口)の直径と同じ直径の円柱型であることが、製造容易である点で好ましいが、摺動面における開口(流出口)の直径と異なる直径の円柱型であってもよい。
有底孔は、また、摺動面から俯瞰視する断面が真円である必要はなく、その形状は限定されないが、製造が容易であり、潤滑剤の管路抵抗が小さい点で、円形、略円形、楕円形が好ましく、円形、略円形がより好ましい。
連通孔は、摺動体の強度設計に依存するが、製造容易である点で、有底孔と同程度の直径でよく、好ましい直径は有底孔2の直径として上述したものと同様である。
連通孔は、また、製造容易である点で、潤滑剤が流れる方向(例えば、図5に示す白抜き矢印の方向)に垂直な面である断面が、有底孔と同様の形状であってよい。
また、連通孔又は有底孔に異物が混入した場合を鑑みて、想定される異物の大きさに応じて、当該異物を孔内に滞留又は排出するように形状を設定してもよい。
有底孔と連通孔との連結部分は、有底孔と連通孔とが連通するものであれば特に限定されないが、潤滑剤の管路抵抗が小さい点で、直角に連結されるよりも、例えば、図1、図2、図4等に示すように、丸みを帯びて連結されることが好ましく、特に図1、図2、図4等に示すようなディスク形状の摺動部材である場合、丸みを帯びて連結されることが好ましい。摺動部材の形状等によっては、例えば後述の図16及び図18に示すように、有底孔と連通孔との連結部分が丸みを帯びずに直行するものであってもよい。
上述の有底孔2の摺動面1における開口(流出口)の直径と、摺動面1から俯瞰視する断面の直径とを同じくし、かかる直径、面積率及び各有底孔2間の距離(格子間隔)を、目的とする潤滑の程度に応じて適宜選択できることを、図7、図9及び図10に示す。比較のため、連通孔を有さない従来の有底孔のみを有する摺動部材を、図7の比較例として図6に、また、図9の比較例として図8にそれぞれ示す。
図11は、本発明の第2の実施形態の摺動部材を示す透視図である。本発明の第2の実施形態の摺動部材は、摺動面に形成された複数の有底孔2のうち少なくとも2つではあるが全部ではない有底孔を相互に連通する連通孔3が形成され、該連通孔3と連通しない有底孔はその少なくとも2つが別の連通孔により相互に連通するものである。この点で、本発明の第2の実施形態の摺動部材は、本発明の第1の実施形態の摺動部材において、上述のように、複数の有底孔2の全てが連通孔を介して相互に連通するとともに全ての連通孔も相互に連通する形態であることと異なる。
本発明の第2の実施形態の摺動部材は、図11に透視図で示す形態を上面からの透視図で示す図12からわかるように、相互に連通しない連通孔3群が複数ある。このような本発明の第2の実施形態の摺動部材は、摺動面における摺動が一様でない等、潤滑剤の流出量が摺動面における位置により均等でない場合、例えば流出量の大きい有底孔と流出量の小さい有底孔とを連通する連通孔3を形成し、かかる有底孔と連通孔とからなる組み合わせを1つの摺動部材において複数に分けることにより、潤滑剤を効率よく使用することができる。
図13は、本発明の第3の実施形態の摺動部材を示す斜視図である。図中にAで示す線における断面図を図14に示す。図14に示すように、本発明の第3の実施形態の摺動部材は、潤滑剤貯留空間3を形成するものである。潤滑剤貯留空間3は、摺動面に形成された少なくとも2つの有底孔2と連通する。かかる潤滑剤貯留空間も本発明における連通孔の1つの形態である。摺動部材として使用する際には、有底孔2及び潤滑剤貯留空間3に潤滑剤を充填する。潤滑剤貯留空間3の大きさによっては、本発明の第1の実施形態又は第2の実施形態の摺動部材よりも多くの潤滑剤を充填し得るので、潤滑剤が多く求められる摺動部材において特に好ましい。
図15は、本発明の摺動部材の適用例である転がり軸受けを示す斜視図である。図15の上の図は、図15の下の分解図に示す各部材を組み立てた形態を示す組立図である。転がり軸受けは、図15に示すように、内輪21aが複数のころ22を介して外輪21bの内周面1bに嵌合されるように組み立てられる。転がり軸受けは、使用に際し、内輪21aの外周面1aと、ころ22とが摺動するとともに、外輪21bの内周面1bと、ころ22とが摺動する。
かかる転がり軸受けにおいて、本発明の摺動部材は、内輪21a又は外輪21bの何れか一方として用いることができ、また、内輪21a及び外輪21bの両方としても用いることができる。
本発明の摺動部材を内輪21aとして用いる場合、内輪21aの外周面1aを本発明の摺動部材における摺動面とし、外周面1aに複数の有底孔2aを形成する。
本発明の摺動部材を外輪21bとして用いる場合、外輪21bの内周面1bを本発明の摺動部材における摺動面とし、内周面1bに複数の有底孔2bを形成する。
上記転がり軸受けにおいて、連通孔は、上述した本発明の第1の実施形態、第2の実施形態又は第3の実施形態の何れによる形態であってもよい。図16には、本発明の第1の実施形態により連通孔を形成する例を示す。図16は、図15に示す転がり軸受けの内輪21a及び外輪21bそれぞれの透視図である。内輪21aは、外周面1aに形成された複数の有底孔2aと連通する連通孔3aが形成されている。外輪21bは、内周面1bに形成された複数の有底孔2bと連通する連通孔3bが形成されている。連通孔3aの有底孔2aとの連結部分の形状、及び、連通孔3bの有底孔2bとの連結部分の形状は、それぞれ特に限定されず、図16に示す形態は一例にすぎない。
図17は、本発明の摺動部材の適用例である人工関節を示す斜視図である。人工関節は、図17に示すように、ジョイント部において凸部で接合する人工関節11aと、凹部で接合する人工関節11bとからなる。人工関節は、人工関節11aの凸部の外周面1aと、人工関節11bの凹部の内周面1bとが摺動する。
かかる人工関節において、本発明の摺動部材は、凸部で接合する人工関節11a又は凹部で接合する人工関節11bの何れか一方として用いることができ、また、凸部で接合する人工関節11a及び凹部で接合する人工関節11bの両方としても用いることができる。
本発明の摺動部材を凸部で接合する人工関節11aとして用いる場合、人工関節11aの凸部の外周面1aを本発明の摺動部材における摺動面とし、外周面1aに複数の有底孔2aを形成する。
本発明の摺動部材を凹部で接合する人工関節11bとして用いる場合、人工関節11bの凹部の内周面1bを本発明の摺動部材における摺動面とし、内周面1bに複数の有底孔2bを形成する。
上記人工関節において、連通孔は、上述した本発明の第1の実施形態、第2の実施形態又は第3の実施形態の何れによる形態であってもよい。図18には、本発明の第1の実施形態により連通孔を形成する例を示す。図18は、図17に示す凸部で接合する人工関節11a及び凹部で接合する人工関節11bそれぞれの透視図である。凸部で接合する人工関節11aは、凸部の外周面1aに形成された複数の有底孔2aと連通する連通孔3aが形成されている。凹部で接合する人工関節11bは、凹部の内周面1bに形成された複数の有底孔2bと連通する連通孔3bが形成されている。連通孔3aの有底孔2aとの連結部分の形状、及び、連通孔3bの有底孔2bとの連結部分の形状は、それぞれ特に限定されず、図18に示す形態は一例にすぎない。
本発明の摺動部材は、上記人工関節と同様に、例えばボールジョイントのように、軸の三次元方向の運動が許容される軸受にも適用することができる。
そして人工関節のように常時潤滑剤の供給ができない部位にとって本発明の摺動部材は好適な形態となる。
本発明の摺動部材は、また、滑り軸受けのような回転摺動、スラスト軸受けのような面摺動、スプラインのようなスライド摺動等、種々の摺動に用いることができる。
本発明の摺動部材の材料(素材、材質)としては、機械的強度、耐熱性、耐剥離性等の耐摺動に適する材料(以下、「耐摺動性材料」ということがある。)が挙げられ、例えば、耐摩耗性の高い材料、摩擦係数の低い材料等が好ましい。かかる耐摺動性材料としては、特に限定されないが、有機材料としては、汎用プラスチック、汎用エンジニアリングプラスチック(エンプラ)、いわゆるスーパーエンプラ等の各種プラスチック類(各種変性プラスチック、充填剤を含むもの等を含む)が挙げられ、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッソ系樹脂;超高分子量高密度ポリエチレン(UHMWHDPE)、ポリスチレン(PS)等のポリエチレン;芳香族ポリアミド、高分子量ポリアミド(ナイロン)等のポリアミド;ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンエーテル(PPE)等のポリエーテル;ポリカーボネート(PC);ポリウレタン;フェノール樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ乳酸(PLA)等のポリエステル;ポリフェニレンサルファイド(PPS);ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリアミドイミド(PAI)等が挙げられる他、各種ゴム類であってもよく、ポリエステルが好ましい。耐摺動性材料となる無機材料としては、例えば、セラミックス、石膏類等のほか、チタン、白金等の純金属;鋼、ステンレス鋼、マルエージング鋼、インコネル、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、高炭素クロム軸受鋼鋼材(SUJ2)等の合金等の金属等が挙げられる。耐摺動性に優れる点で、金属が特に好ましい。
本発明の摺動部材は、同質材料で形成するものであってもよいし、異質材料で形成するものであってもよい。前者の同質材料で形成するものとしては、上記の耐摺動性材料により形成するものが好ましい。後者の異質材料で形成するものとしては、例えば、摺動面及びその周辺を上記の耐摺動性材料により形成し、それ以外の部分は他の素材により形成するもの等が挙げられ、例えば、摺動面及びその周辺以外の部分に比較的安価な材料を用いることによりコスト削減を図ることができる。
本発明の摺動部材は、一体成形されたものであることが好ましい。本明細書において「一体成形」とは、同質材料又は異質材料で形成する際に、二次接着や機械的接合を用いることなく、本発明の摺動部材を一体で継ぎ目なく成形すること及びかかる成形により成形したものを意味する。一体成形することにより、部品点数が減少し、少ない工程で製造することができ、また、シームレスでがたつきがなく、摺動による破損や潤滑剤の漏れのおそれを減じることができるので、例えば、超高速回転や超高速軸移動等の高負荷が課される用途においても高耐性の摺動部材とすることができる。
本発明の摺動部材は、特に、上述のように異質材料等の異なる材料で形成する場合、異なる材料を一体成形することが好ましい。一体成形することにより、摺動による破損のおそれを減じることができるほか、2種以上の材料で形成する場合であっても、少ない工程で製造することができ、異質材料の継ぎ目に相当する部分であっても潤滑剤の漏れのない摺動部材を形成することができる。
本発明の摺動部材は、同質材料の一体成形であることがより好ましい。同質材料の一体成形とすることにより、用いる材料も工程も少ないため簡便に製造することができ、また、摺動による破損や潤滑剤の漏れのない、耐摺動性に優れた摺動部材とすることができる。
本発明の摺動部材は、少なくとも有底孔及び連通孔を金属又は樹脂の粉末成形機(「3Dプリンター」)により形成するものが好ましく、摺動部材全体を3Dプリンターにより形成するものであってもよい。本発明の摺動部材は、3Dプリンターにより一体成形で形成するものがより好ましく、3Dプリンターにより同質材料の一体成形であるものが更に好ましい。本発明の摺動部材は、3Dプリンターにより形成することにより、従来の製造方法では実現することができなかった、図1等に示すような、有底孔と連通孔との連結部分が丸みを帯びた形状であっても容易に形成することができ、また、有底孔及び連通孔から構成される複雑な内部形状ないし中空形状であっても容易に形成することができる。
本発明の摺動部材は、3Dプリンターにより形成する場合、常法により形成することができる。かかる本発明の摺動部材は、誰にも容易な操作により製造することができ、しかも、寸法安定性にも優れたものである。3Dプリンターとしては、金属粉末成形機を用いることが好ましい。
本発明の摺動部材は、必要に応じ、更に、摩擦を減じるための表面処理、例えばフッ素系の樹脂コーティングを施したものであってもよい。
以下、本発明について、実施例を挙げて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1、2> 本発明の摺動部材の作製
本発明の第1の実施形態の摺動部材として、図1(実施例1)及び図2(実施例2)に示すようなディスク形状(直径24mm、高さ8mm)であって格子状の連通孔を有し、有底孔の直径が1.0mmである試験片(φ1.0)及び1.5mmである試験片(φ1.5)をそれぞれ3Dプリンター(3D Systems社製)を用いてポリ乳酸(PLA)を材料として作製した。有底孔間の距離を、図1に示す試験片では4mmとし、図2に示す試験片では5mmとした。JIS B 0601の方法により測定した、試験片表面のプラトー部の表面粗さRaは、0.02μmであった。複数の有底孔の各開口の面積の合計が摺動面全体に占める比率を面積率(%)として算出した。表1に各試験片の詳細を示す。
<比較例1> 比較用の摺動部材
有底孔及び連通孔を設けないこと以外は実施例と同じ試験片を用意した。
<比較例2> 比較用の摺動部材の作製
図19に示すような、摺動面1に、図1に示す試験片と同じ直径(φ1.0及びφ1.5)、深さ及び相互間の距離を有する有底孔2を設けるが、連通孔を設けない比較用の試験片を実施例と同様の方法により作製した。
<評価1> 摩擦試験
実施例及び比較例で用意した各試験片について、潤滑剤として高分岐性イソパラフィンポリα−オレフィン(PAO4、Exxon Mobil Corporation社製)により有底孔及び連通孔(比較例2の場合は有底孔のみ)を満たした。図20に示すように各試験片31の摺動面1上に潤滑剤33を各試験片当り1mL供給し、その上に載置したシリンダー32上から荷重34を図中の矢印の方向に課すバウデンレーベン型往復動摩擦試験機を用い、表2に示す実験条件により摩擦係数を測定し、試験毎の平均値を求めた。結果を図21に示す。
図21から、比較例1の有底孔及び連通孔を有しない摺動部材の摩擦係数0.21に比べ、有底孔を設けた試験片は何れも低い摩擦係数を示し、摩擦特性の改善が確認された。
連通孔を有しない比較例2の試験片では摩擦係数は0.17〜0.18程度であるのに対し、連通孔を有する実施例1の試験片は摩擦係数が0.11程度であり、連通孔を設けることにより、摩擦係数が6割程度に低減され、大幅に摩擦が低減されることが確認された。
また、連通孔を設けた実施例2の試験片は、有底孔間の距離が比較例2の試験片よりも長く、面積率が比較例2の試験片よりも少ないにもかかわらず、摩擦係数が0.16〜0.18程度であり、連通孔を設けない比較例2の試験片と同程度の摩擦係数であった。このことから、連通孔を設けることにより、有底孔の数を少なくする又は面積率を小さくする場合であっても摩擦を低減する効果に優れることが確認された。
また、実施例2の試験片と比べ、有底孔間の距離を短くした又は面積率を大きくした実施例1の試験片は摩擦係数が低減した。このことから、有底孔間の距離(格子間隔)又は面積率を調整することにより、摩擦特性の改善の程度を調整できるものと思われる。
<評価2> 潤滑剤の挙動の観察
実施例1及び比較例2により作製した有底孔の直径が1.5mmである試験片について、上記摩擦試験のようにシリンダーを接触させた際の潤滑剤の挙動を観察した。可視性向上のため着色した潤滑剤を用いた。結果を図22に示す。
図22から、比較例2の試験片(A−φ1.5)に比べ、実施例1の試験片(B−φ1.5)では、摺動面にシリンダーを接触させると、表面張力により連通孔内の潤滑剤が試験片とシリンダーとの接触部に吸い上げられる様子が確認された。このことから、連通孔内の潤滑剤が接触部に供給されることにより、摩擦係数が低減したと考えられる。
1 摺動面
2 有底孔
3 連通孔

Claims (11)

  1. 摺動面に複数の有底孔が形成された摺動部材であって、
    少なくとも2つの前記有底孔を前記摺動部材内部で連通する連通孔が形成されている摺動部材。
  2. 前記有底孔の流出口が非溝状である請求項1記載の摺動部材。
  3. 前記連通孔は、前記摺動部材の摺動面のみに開口を有する請求項1又は2記載の摺動部材。
  4. 前記摺動部材は、一体成形されたものである請求項1〜3の何れか1項記載の摺動部材。
  5. 前記摺動部材は、同質材料の一体成形である請求項1〜3の何れか1項記載の摺動部材。
  6. 前記有底孔及び前記連通孔は金属粉末成形機又は樹脂粉末成形機により形成される請求項1〜5の何れか1項記載の摺動部材。
  7. 前記有底孔及び前記連通孔に潤滑剤を有する請求項1〜6の何れか1項記載の摺動部材。
  8. 摺動面に形成された複数の有底孔と、少なくとも2つの前記有底孔を部材内部において連通する連通孔とを有する、摺動面への潤滑剤供給構造。
  9. 請求項1〜7の何れか1項記載の摺動部材又は請求項8記載の潤滑剤供給構造を3Dプリンターを用いて製造する方法。
  10. 摺動部材の摺動面に形成された複数の有底孔、及び、少なくとも2つの前記有底孔を前記摺動部材の内部で連通する連通孔に潤滑剤が充填され、
    前記有底孔の流出口からの前記潤滑剤の流出に応じて、前記有底孔及び前記連通孔に存在する潤滑剤が前記流出口に補充されることにより、摺動面に潤滑剤を供給する方法。
  11. 前記補充は、毛細管現象により行われる、請求項10記載の方法。
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