JP2016080011A - 車両用動力伝達装置の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】動力伝達に関与していない無段変速機構の変速比を変化させる際、出力軸トルクの変動を抑制する車両用動力伝達装置の制御装置を提供する。
【解決手段】タービン軸26から入力されたトルクがギヤ機構20を介して出力軸24に伝達されており、且つ、無段変速機18における変速比γが変化させられる場合には、無段変速機18に入力されるトルクの目標値Tttgtを、無段変速機18における変速比γの変化に起因する出力軸24から出力されるトルクの変化を打ち消す方向に変化させるものであることから、無段変速機18が動力伝達に関与していない状態で、その無段変速機18における変速比γが変化させられた場合において、無段変速機18のイナーシャ変化による出力軸トルクの変化を好適に抑制できる。
【選択図】図4
【解決手段】タービン軸26から入力されたトルクがギヤ機構20を介して出力軸24に伝達されており、且つ、無段変速機18における変速比γが変化させられる場合には、無段変速機18に入力されるトルクの目標値Tttgtを、無段変速機18における変速比γの変化に起因する出力軸24から出力されるトルクの変化を打ち消す方向に変化させるものであることから、無段変速機18が動力伝達に関与していない状態で、その無段変速機18における変速比γが変化させられた場合において、無段変速機18のイナーシャ変化による出力軸トルクの変化を好適に抑制できる。
【選択図】図4
Description
本発明は、車両用動力伝達装置の制御装置に関し、特に、動力伝達に関与していない無段変速機構の変速比を変化させる際、出力軸トルクの変動を抑制するための改良に関する。
入力軸と出力軸との間に、無段変速機構と、伝動機構と、前記入力軸から入力されたトルクを前記無段変速機構を介して前記出力軸に伝達する第1伝達経路と前記伝動機構を介して前記出力軸に伝達する第2伝達経路とを選択的に成立させる切換機構とを、備えた車両用動力伝達装置が知られている。例えば、特許文献1に記載された直結機構付無段変速機の制御方法がそれである。この技術では、前記切換機構により前記第2伝達経路が成立させられ、前記入力軸から入力されたトルクが前記第2伝達経路を介して前記出力軸に伝達されている際、前記無段変速機構は無負荷状態で空転を続けるように構成されている。更に、斯かる場合において、前記無段変速機構における変速比を、最高速比よりも低速比側の最適変速比例えば中間変速比に制御することで、損失トルクの低減が実現できる。
しかし、前記従来の技術において、前記入力軸から入力されたトルクが前記第2伝達経路を介して前記出力軸に伝達されている場合、すなわち前記無段変速機構が動力伝達に関与していない状態で、その無段変速機構における変速比が変化させられると、前記無段変速機構のイナーシャが変化し、その変化に起因して前記出力軸から出力されるトルクに変動が生じるおそれがあった。このような課題は、車両用動力伝達装置の制御装置の性能向上を意図して本発明者等が鋭意研究を続ける過程において新たに見出したものである。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、動力伝達に関与していない無段変速機構の変速比を変化させる際、出力軸トルクの変動を抑制する車両用動力伝達装置の制御装置を提供することにある。
斯かる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、入力軸と出力軸との間に、無段変速機構と、伝動機構と、前記入力軸から入力されたトルクを前記無段変速機構を介して前記出力軸に伝達する第1伝達経路と前記伝動機構を介して前記出力軸に伝達する第2伝達経路とを選択的に成立させる切換機構とを、備え、前記入力軸から入力されたトルクが前記第2伝達経路を介して前記出力軸に伝達されている際、前記無段変速機構における変速比を変化させられるように構成された車両用動力伝達装置において、前記入力軸から入力されたトルクが前記第2伝達経路を介して前記出力軸に伝達されており、且つ、前記無段変速機構における変速比が変化させられる場合には、前記無段変速機構に入力されるトルクの目標値を、前記無段変速機構における変速比の変化に起因する前記出力軸から出力されるトルクの変化を打ち消す方向に変化させることを特徴とする制御装置である。
本発明によれば、前記入力軸から入力されたトルクが前記第2伝達経路を介して前記出力軸に伝達されており、且つ、前記無段変速機構における変速比が変化させられる場合には、前記無段変速機構に入力されるトルクの目標値を、前記無段変速機構における変速比の変化に起因する前記出力軸から出力されるトルクの変化を打ち消す方向に変化させるものであることから、前記無段変速機構が動力伝達に関与していない状態で、その無段変速機構における変速比が変化させられた場合において、前記無段変速機構のイナーシャ変化による出力軸トルクの変化を好適に抑制できる。すなわち、動力伝達に関与していない無段変速機構の変速比を変化させる際、出力軸トルクの変動を抑制する車両用動力伝達装置の制御装置を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明に用いる図面において、各部の寸法比等は必ずしも正確には描かれていない。
図1は、本発明が好適に適用される車両用動力伝達装置10(以下、単に動力伝達装置10という)の構成を概略的に示す骨子図である。図1に示すように、本実施例の動力伝達装置10は、例えば、走行用の駆動力源として用いられるエンジン12と、流体式伝動装置であるトルクコンバータ14と、前後進切換装置16と、無段変速機構としてのベルト式無段変速機18(以下、単に無段変速機18という)と、伝動機構としてのギヤ機構20と、左右1対の駆動輪60l、60r(以下、特に区別しない場合には単に駆動輪60という)に動力伝達可能な出力ギヤ22を有する出力軸24とを、備えている。前記エンジン12により発生させられたトルク(駆動力)は、前記トルクコンバータ14を介してタービン軸26に伝達される。前記動力伝達装置10は、前記タービン軸26に伝達されたトルクが前記無段変速機18等を経由して前記出力軸24に伝達される第1伝達経路(第1のトルク伝達経路)と、前記タービン軸26に伝達されたトルクが前記ギヤ機構20等を経由して前記出力軸24に伝達される第2伝達経路(第2のトルク伝達経路)とを、並列に備えており、車両の走行状態に応じてトルク伝達経路が切り換えられるように構成されている。前記出力軸24に伝達されたトルクは、前記出力ギヤ22から出力され、減速装置62、差動歯車装置64、左右1対の車軸66l、66r(以下、特に区別しない場合には単に車軸66という)等を介して前記駆動輪60に伝達される。
前記エンジン12は、例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関であり、前記動力伝達装置10が適用された車両の走行用トルク(走行用駆動力)を発生させる。前記トルクコンバータ14は、前記エンジン12のクランク軸に連結されたポンプ翼車14pと、前記トルクコンバータ14の出力側部材に相当するタービン軸26を介して前後進切換装置16に連結されたタービン翼車14tとを、備えており、流体を介して動力伝達を行うように構成されている。前記ポンプ翼車14pと前記タービン翼車14tとの間にはロックアップクラッチ28が設けられており、このロックアップクラッチ28が完全係合させられることで前記ポンプ翼車14p及び前記タービン翼車14tが一体的に回転させられるようになっている。
前記前後進切換装置16は、前進用クラッチC1と、後進用ブレーキB1と、ダブルピニオン型の遊星歯車装置30とを、主体として構成されている。前記遊星歯車装置30のキャリア30cは、前記タービン軸26及び前記無段変速機18の入力軸32と一体的に回転させられるように連結されている。前記遊星歯車装置30のリングギヤ30rは、前記後進用ブレーキB1を介して非回転部材としてのハウジング34に選択的に連結されるようになっている。前記サンギヤ30sと前記キャリア30cとは、前記前進用クラッチC1を介して選択的に連結されるようになっている。前記前進用クラッチC1及び前記後進用ブレーキB1は、何れも油圧アクチュエータによってその係合状態が制御される油圧式係合装置である。好適には、摩擦係合させられる油圧式摩擦係合装置である。
前記遊星歯車装置30のサンギヤ30sは、前記ギヤ機構20を構成する小径ギヤ36に連結されている。前記ギヤ機構20は、カウンタ軸38に相対回転不能に設けられた大径ギヤ40を備えており、前記小径ギヤ36と前記大径ギヤ40とが相互に噛み合わされている。アイドラギヤ42が、前記カウンタ軸38と同軸且つそのカウンタ軸38に対する相対回転可能に設けられている。前記カウンタ軸38と前記アイドラギヤ42との間には、噛合クラッチD1が設けられている。この噛合クラッチD1は、前記カウンタ軸38と一体的に回転させられる第1ギヤ44と、前記アイドラギヤ42と一体的に回転させられる第2ギヤ46と、前記第1ギヤ44及び前記第2ギヤ46と嵌合可能(係合可能、噛合可能)な溝部を備えたスリーブ48とを、備えている。このスリーブ48が、前記第1ギヤ44及び前記第2ギヤ46と嵌合させられることで、前記カウンタ軸38と前記アイドラギヤ42とが接続され、一体的に回転させられる。前記噛合クラッチD1は、前記スリーブ48を嵌合させる際に回転を同期させる同期機構としてシンクロメッシュ機構S1を備えている。
前記シンクロメッシュ機構S1は、例えば、前記スリーブ48と、キースプリングによって前記スリーブ48に係合させられたシフティングキーと、所定の遊びを有する状態でシフティングキーと共に回転させられるシンクロナイザリングと、前記第2ギヤ46近傍に設けられたコーン部とを、備えて構成された公知のシンクロメッシュ機構(同期噛合機構)である。前記スリーブ48の内周面にはスプライン歯が設けられ、前記第1ギヤ44と常時スプライン嵌合されており、その第1ギヤ44と常に一体的に回転させられるようになっている。前記シンクロメッシュ機構S1の作動による、前記噛合クラッチD1の係合乃至解放の切り換えについては、公知の技術であるためその説明を省略する。
前記アイドラギヤ42は、そのアイドラギヤ42よりも大径の入力ギヤ52と相互に噛み合わされている。前記入力ギヤ52は、前記無段変速機18におけるセカンダリプーリ56の回転軸と同軸に配置されている出力軸24に対して相対回転不能に設けられている。この出力軸24は、前記セカンダリプーリ56の回転軸まわりに回転可能に配置されている。前記出力軸24には、前記入力ギヤ52及び前記出力ギヤ22が相対回転不能に設けられている。すなわち、前記エンジン12により発生させられたトルクに係る、前記タービン軸26から前記ギヤ機構20を経由して前記出力軸24に伝達される前記第2伝達経路上には、前記前進用クラッチC1、前記後進用ブレーキB1、及び前記噛合クラッチD1が設けられている。前記前進用クラッチC1及び前記噛合クラッチD1の少なくとも一方が解放されると、前記第2伝達経路が遮断され、前記ギヤ機構20から前記出力軸24にトルクが伝達されない状態とされる。
前記無段変速機18と前記出力軸24との間には、それらの間を選択的に連結するベルト走行用クラッチC2が介挿されている。このベルト走行用クラッチC2が係合されることで、前記エンジン12により発生させられたトルクが前記入力軸32及び前記無段変速機18を経由して前記出力軸24に伝達される第1伝達経路が形成される。前記ベルト走行用クラッチC2が解放されると、第1伝達経路が遮断され、前記無段変速機18から前記出力軸24にトルクが伝達されない状態とされる。すなわち、前記動力伝達装置10においては、前記前進用クラッチC1、前記噛合クラッチD1、及び前記ベルト走行用クラッチC2の係合或いは解放の組み合わせに応じて、入力軸としての前記タービン軸26から入力されたトルクを前記無段変速機18を介して前記出力軸24に伝達する前記第1伝達経路と、前記ギヤ機構20を介して前記出力軸24に伝達する前記第2伝達経路とが選択的に成立させられる。すなわち、本実施例においては、前記前進用クラッチC1、前記噛合クラッチD1、及び前記ベルト走行用クラッチC2が切換機構に相当する。
前記無段変速機18は、前記タービン軸26に連結された前記入力軸32と前記出力軸24との間のトルク伝達経路上に設けられている。前記無段変速機18は、前記入力軸32に設けられた入力側部材である有効径が可変のプライマリプーリ54と、出力側部材である有効径が可変のセカンダリプーリ56と、前記プライマリプーリ54と前記セカンダリプーリ56との間に巻き掛けられた伝動ベルト58とを備えており、前記プライマリプーリ54及び前記セカンダリプーリ56と前記伝動ベルト58との間の摩擦力を介して動力伝達が行われる。
前記プライマリプーリ54は、前記入力軸32に固定された入力側固定回転体としての固定シーブ54aと、前記入力軸32に対して軸まわりの相対回転不能且つ軸方向の移動可能に設けられた入力側可動回転体としての可動シーブ54bと、それらの間のV溝幅を変更するために可動シーブ54bを移動させるための推力を発生させるプライマリ側油圧アクチュエータ54cとを、備えている。前記セカンダリプーリ56は、出力側固定回転体としての固定シーブ56aと、その固定シーブ56aに対して軸まわりの相対回転不能且つ軸方向の移動可能に設けられた出力側可動回転体としての可動シーブ56bと、それらの間のV溝幅を変更するために前記可動シーブ56bを移動させるための推力を発生させるセカンダリ側油圧アクチュエータ56cとを、備えて構成されている。
前記無段変速機18においては、前記プライマリプーリ54におけるV溝幅が変化させられて前記伝動ベルト58の掛かり径(有効径)が変更されることで、実変速比(ギヤ比)γ(=入力軸回転速度Nin/出力軸回転速度Nout)が連続的に変化させられる。例えば、前記プライマリプーリ54のV溝幅が狭くされると、前記変速比γが小さくなる。すなわち、前記無段変速機18がアップシフトされる。前記プライマリプーリ54のV溝幅が広くされると、変速比γが大きくなる。すなわち、前記無段変速機18がダウンシフトされる。更に、前記セカンダリプーリ56におけるV溝幅が変化させられることで、前記伝動ベルト58の挟圧力が制御される。
図2は、以上のように構成された前記動力伝達装置10における走行パターンの切り換えについて説明する図であり、各走行パターン毎の係合要素の係合表である。この図2において、C1が前記前進用クラッチC1の作動状態に対応する。C2が前記ベルト走行用クラッチC2の作動状態に対応する。B1が前記後進用ブレーキB1の作動状態に対応する。D1が前記噛合クラッチD1の作動状態に対応する。「○」が係合(接続)を示し、「×」が解放(遮断)を示している。前述のように、前記噛合クラッチD1はシンクロメッシュ機構S1を備えており、前記噛合クラッチD1が係合する際には、前記シンクロメッシュ機構S1が作動することとなる。本実施例においては、前記動力伝達装置10が適用された車両の前進に係る制御、すなわち前記後進用ブレーキB1が解放された状態の制御について説明するが、本発明は、前記車両の後進に係る制御にも好適に適用される。斯かる態様においては、前記後進用ブレーキB1、前記噛合クラッチD1、及び前記ベルト走行用クラッチC2が切換機構に相当する。
図2に示すように、前記前進用クラッチC1及び前記噛合クラッチD1が係合(接続)され、前記ベルト走行用クラッチC2及び前記後進用ブレーキB1が解放(遮断)されることで、前記動力伝達装置10においてギヤ走行が成立させられる。この走行パターンにおいては、前記エンジン12により発生させられたトルクが前記ギヤ機構20を経由して前記出力ギヤ22に伝達される。すなわち、前記タービン軸26に伝達されたトルクが前記ギヤ機構20等を経由して前記出力軸24に伝達される前記第2伝達経路が形成される。
図2に示すギヤ走行においては、前記前進用クラッチC1が係合されることで前記遊星歯車装置30が一体回転させられるので、前記タービン軸26と前記小径ギヤ36とが等しい回転速度で回転させられる。この小径ギヤ36は、前記カウンタ軸38に設けられた前記大径ギヤ40と噛み合わされているので、前記小径ギヤ36の回転により前記カウンタ軸38が回転させられる。前記噛合クラッチD1が係合されており、前記カウンタ軸38と前記アイドラギヤ42とが一体的に回転させられるように接続されている。更に、前記アイドラギヤ42が前記入力ギヤ52と噛み合わされているので、前記カウンタ軸38の回転により、前記入力ギヤ52が回転させられ、延いてはその入力ギヤ52と一体的に設けられている前記出力軸24及び前記出力ギヤ22が回転させられる。このように、前記第2伝達経路上に設けられている前記前進用クラッチC1及び前記噛合クラッチD1が係合されると、前記エンジン12により発生させられたトルクが、前記トルクコンバータ14、前記前後進切換装置16、前記ギヤ機構20、及び前記アイドラギヤ42等を経由して前記出力軸24及び前記出力ギヤ22に伝達される。
図2に示すように、前記ベルト走行用クラッチC2が接続され、前記前進用クラッチC1、前記後進用ブレーキB1、及び前記噛合クラッチD1が遮断されることで、前記動力伝達装置10においてベルト走行(高車速)が成立させられる。この走行パターンにおいては、前記エンジン12により発生させられたトルクが前記無段変速機18を経由して前記出力ギヤ22に伝達される。すなわち、前記タービン軸26に伝達されたトルクが前記無段変速機18等を経由して前記出力軸24に伝達される前記第1伝達経路が形成される。
図2に示すベルト走行(高車速)においては、前記ベルト走行用クラッチC2が接続されることで、前記セカンダリプーリ56と前記出力軸24とが接続される。これにより、前記セカンダリプーリ56、前記出力軸24、及び前記出力ギヤ22が一体回転させられる。従って、前記エンジン12により発生させられたトルクが、前記トルクコンバータ14、前記入力軸32、前記無段変速機18、及び前記出力軸24等を経由して前記出力ギヤ22に伝達される。ここで、図2に示すベルト走行(高車速)において前記噛合クラッチD1が解放(遮断)されるのは、ベルト走行中における前記ギヤ機構20等の引き摺りを抑制すると共に、比較的高車速時においてそのギヤ機構20等が高回転化するのを抑制するためである。
図2に示すギヤ走行は、比較的低車速領域において選択される。前記第2伝達経路における変速比γ1(入力側回転速度Nin/出力側回転速度Nout)は、前記無段変速機18の最大変速比γmaxよりも大きな値に設定されている。前記動力伝達装置10においては、例えば車速等に基づいて前記ギヤ走行と前記ベルト走行との切り換えが判定され、その切り換えが行われるが、ギヤ走行からベルト走行(高車速)への切り換え、或いはベルト走行(高車速)からギヤ走行への切り換えに際して、好適には、図2に示すベルト走行(中車速)を過渡的に経由して切り換えが行われる。
例えば、ギヤ走行からベルト走行(高車速)へ切り換えられる場合、前記前進用クラッチC1及び前記噛合クラッチD1が係合された状態から、過渡的に前記ベルト走行用クラッチC2及び前記噛合クラッチD1が係合された状態へ切り換えられる。すなわち、前記前進用クラッチC1と前記ベルト走行用クラッチC2との掛け替え(掴み替え)が行われる。この際、前記第2伝達経路から前記第1伝達経路への切り換えが行われ、前記動力伝達装置10においては実質的にアップシフトさせられる。前記噛合クラッチD1が解放(遮断)される(被駆動入力遮断)ことで、前記第1伝達経路へ切り換えられた後、不要な引き摺りや前記ギヤ機構20等の高回転化が好適に抑制される。
ベルト走行(高車速)からギヤ走行へ切り換えられる場合、前記ベルト走行用クラッチC2が係合された状態から、ギヤ走行への切換準備(ダウンシフト準備)として過渡的に前記噛合クラッチD1が係合される状態へ切り替えられる。前記噛合クラッチD1が係合されることで、前記ギヤ機構20を経由して前記遊星歯車装置30のサンギヤ30sにも回転が伝達される状態となり、この状態から前記前進用クラッチC1と前記ベルト走行用クラッチC2との掛け替え(すなわち前記前進用クラッチC1の係合及び前記ベルト走行用クラッチC2の遮断)が実行されることで、前記第2伝達経路から前記第1伝達経路への切り換えが行われる。この際、前記動力伝達装置10においては実質的にダウンシフトさせられる。
前記動力伝達装置10においては、入力軸としての前記タービン軸26から入力されたトルクが前記第2伝達経路を介して前記出力軸24に伝達されている際、前記無段変速機18における前記プライマリプーリ54及び前記セカンダリプーリ56の何れか一方が、前記入力軸32又は前記出力軸24に接続されている。すなわち、前記第2伝達経路が成立させられている場合、前記ベルト走行用クラッチC2は解放されているため、前記セカンダリプーリ56は前記出力軸24から切り離されているが、前記プライマリプーリ54は前記入力軸32(タービン軸26)に接続されている。すなわち、本実施例においては、前記第2伝達経路が成立させられている際に、前記無段変速機18における前記プライマリプーリ54が前記入力軸32に接続される構成について説明するが、前記第2伝達経路が成立させられている際に、前記プライマリプーリ54が前記入力軸32から切り離されると共に、前記セカンダリプーリ56が前記出力軸24に接続される構成にも、本発明は好適に適用される。
前記動力伝達装置10においては、入力軸としての前記タービン軸26から入力されたトルクが前記第2伝達経路を介して前記出力軸24に伝達されている際、前記無段変速機18における変速比γを変化させられるように構成されている。すなわち、前記前進用クラッチC1及び前記噛合クラッチD1が係合され、前記ベルト走行用クラッチC2及び前記後進用ブレーキB1が解放されることで、前記動力伝達装置10において前記第2伝達経路が成立させられている場合、前記無段変速機18は、前記タービン軸26から入力されたトルクに係る前記出力軸24への伝達には関与しないが、前述のように前記プライマリプーリ54におけるV溝幅を変化させて前記伝動ベルト58の掛かり径(有効径)を変更することで、前記無段変速機18の変速比γを変更することができる。例えば、前記無段変速機18が動力伝達に関与しない前記第2伝達経路の成立時においても、その無段変速機18における損失を低減するために、前記無段変速機18の変速比γを最適値に変化させる制御が行われ得る。
図3は、前記エンジン12や前記無段変速機18等を制御するために前記動力伝達装置10に備えられた電子制御装置80の入出力系統を説明すると共に、その電子制御装置80による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。この電子制御装置80は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより前記動力伝達装置10に係る各種制御を実行する。前記電子制御装置80は、例えば、前記エンジン12の出力制御、前記無段変速機18の変速制御やベルト挟圧力制御、走行パターンを前記ギヤ機構20によるギヤ走行及び前記無段変速機18によるベルト走行の何れかに適宜切り換える切換制御等を実行するものであり、必要に応じてエンジン制御用、無段変速機制御用、走行パターン切換用等に分けて構成される。本実施例においては、前記電子制御装置80が、前記動力伝達装置10の制御装置に対応する。
前記電子制御装置80には、前記動力伝達装置10の各部に設けられた各種センサ及びスイッチ等により検出された信号が供給されるようになっている。例えば、エンジン回転速度センサ82により検出された前記エンジン12の回転速度(エンジン回転速度)Neを表す信号、タービン回転速度センサ84により検出された前記タービン軸26の回転速度(タービン回転速度)Ntを表す信号、入力軸回転速度センサ86により検出された前記無段変速機18の入力軸32(プライマリプーリ54)の回転速度である入力軸回転速度Ninを表す信号、出力軸回転速度センサ88により検出された車速Vに対応する前記出力軸24の回転速度である出力軸回転速度Noutを表す信号、スロットルセンサ90により検出された図示しない電子スロットル弁のスロットル開度θthを表す信号、アクセル開度センサ92により検出された運転者の加速要求量としての図示しないアクセルペダルの操作量であるアクセル開度Accを表す信号等が、それぞれ供給される。前記電子制御装置80は、例えば、前記出力軸回転速度センサ88により検出される出力軸回転速度Noutと、前記入力軸回転速度センサ86により検出される入力軸回転速度Ninとに基づいて、前記無段変速機18の実変速比γ(=Nin/Nout)を逐次算出する。
前記電子制御装置80からは、前記動力伝達装置10の各部に作動指令が出力されるように構成されている。例えば、前記エンジン12の出力制御のためのエンジン出力制御指令信号Se、前記無段変速機18の変速に関する油圧制御のための油圧制御指令信号Scvt、前記動力伝達装置10の走行パターンの切換に関連する前記前後進切換装置16(前進用クラッチC1、後進用ブレーキB1)、ベルト走行用クラッチC2、及び噛合クラッチD1を制御するための油圧制御指令信号Sswt等が、それぞれ出力される。具体的には、前記エンジン出力制御指令信号Seとして、スロットルアクチュエータを駆動して電子スロットル弁の開閉を制御するためのスロットル信号、燃料噴射装置から噴射される燃料の量を制御するための噴射信号、点火装置によるエンジン12の点火時期を制御するための点火時期信号等が出力される。前記油圧制御指令信号Scvtとして、前記プライマリ側油圧アクチュエータ54cに供給されるプライマリ圧Pinを調圧する図示しないリニアソレノイド弁を駆動するための指令信号、前記セカンダリ側油圧アクチュエータ56cに供給されるセカンダリ圧Poutを調圧する図示しないリニアソレノイド弁を駆動するための指令信号等が、前記動力伝達装置10に備えられた油圧制御回路98へ出力される。前記油圧制御指令信号Sswtとして、前記前進用クラッチC1、前記後進用ブレーキB1、前記ベルト走行用クラッチC2、前記シンクロメッシュ機構S1に供給される油圧を制御する各リニアソレノイド弁を駆動するための指令信号等が前記油圧制御回路98へ出力される。
図3に示すように、前記電子制御装置80は、切換制御部100、油圧式クラッチ係合制御部102、噛合クラッチ係合制御部104、変速比制御部106、及びトルク補償制御部108等を機能的に備えている。図3に示す切換制御部100は、前記動力伝達装置10において前記第1伝達経路が形成される状態と、前記第2伝達経路が形成される状態とを、切り換える。すなわち、前記エンジン12により発生させられ、入力軸としての前記タービン軸26から入力されたトルクを、前記無段変速機18等を介して前記出力軸24に伝達する第1伝達経路すなわちベルト走行に対応する動力伝達経路と、前記ギヤ機構20等を介して前記出力軸24に伝達する第2伝達経路すなわちギヤ走行に対応する動力伝達経路とを、選択的に切り換える切換制御を実行する。
前記油圧式クラッチ係合制御部102は、例えば、前記油圧制御回路98を介して前記前進用クラッチC1、前記ベルト走行用クラッチC2等の係合状態を制御する。すなわち、前記前進用クラッチC1、前記ベルト走行用クラッチC2等にそれぞれ対応する油圧アクチュエータに供給される油圧を制御するリニアソレノイド弁を駆動するための指令信号Sswtを各リニアソレノイド弁に供給することで、前記油圧制御回路98から前記前進用クラッチC1、前記ベルト走行用クラッチC2等に対応する油圧アクチュエータに供給される油圧を制御する。
前記シンクロメッシュ機構S1のスリーブ48は、好適には、そのスリーブ48に対応する図示しない油圧アクチュエータに供給される油圧に応じて駆動される。すなわち、前記シンクロメッシュ機構S1は、好適には、前記油圧制御回路98から供給される油圧によって作動させられる。前記噛合クラッチ係合制御部104は、例えば、前記油圧制御回路98を介して前記噛合クラッチD1の係合状態を制御する。すなわち、前記スリーブ48に対応する油圧アクチュエータに供給される油圧を制御するリニアソレノイド弁を駆動するための指令信号Sswtをそのリニアソレノイド弁に供給することで、前記油圧制御回路98から前記スリーブ48に対応する油圧アクチュエータに供給される油圧を制御する。
前記切換制御部100は、前記動力伝達装置10が搭載された車両の走行状態に基づいて、前記動力伝達装置10における走行パターンを切り換えるか否かを判定する。斯かる判定を実行するため、前記電子制御装置80には、例えば、車速V及びアクセル開度Acc(或いはスロットル開度θth)の関係に基づいて走行パターンを決定する走行領域マップが予め定められて記憶されている。この走行領域マップにおいて、ギヤ走行は、比較的低車速、低アクセル開度(低負荷走行)領域に設定されている。ベルト走行は、比較的中高車速、中高アクセル開度(中高負荷走行)領域に設定されている。前記切換制御部100は、前記走行領域マップから、前記出力軸回転速度センサ88により検出された車速Vに対応する出力軸回転速度Nout及び前記アクセル開度センサ92により検出されたアクセル開度Acc等に基づいて、前記動力伝達装置10において成立させられるべき走行パターンを判定する。
前記のようにして走行パターンの切換が判定された場合、前記切換制御部100は、前記動力伝達装置10における走行パターンの切換を実行する。例えば、前記動力伝達装置10における走行パターンをギヤ走行からベルト走行(高車速)に切り換える場合、前記切換制御部100は、前記前進用クラッチC1と前記ベルト走行用クラッチC2の掛け替えを開始する。具体的には、前記油圧式クラッチ係合制御部102により、前記前進用クラッチC1を解放させると共に前記ベルト走行用クラッチC2を係合させる掛け替え制御(クラッチツゥクラッチ制御)を実行する。この状態は、図2に示すベルト走行(中車速)に対応しており、前記エンジン12により発生させられたトルクが前記無段変速機18を経由して伝達される第1伝達経路に相当する。次に、前記切換制御部100は、前記噛合クラッチ係合制御部104により、前記噛合クラッチD1を解放(遮断)させる。すなわち、前記シンクロメッシュ機構S1における前記スリーブ48を移動させて接続中の噛合クラッチD1を遮断する指令を出力する。
前記動力伝達装置10における走行パターンをベルト走行(高車速)からギヤ走行に切り換える場合、前記切換制御部100は、先ず、前記噛合クラッチ係合制御部104により前記噛合クラッチD1を係合(接続)させる。この状態は、図2に示すベルト走行(中車速)に対応している。次に、前記切換制御部100は、前記前進用クラッチC1と前記ベルト走行用クラッチC2の掛け替えを開始する。具体的には、前記油圧式クラッチ係合制御部102により、前記前進用クラッチC1を係合させると共に前記ベルト走行用クラッチC2を解放させる掛け替え制御(クラッチツゥクラッチ制御)を実行する。
変速比制御部106は、前記無段変速機18における変速比γを制御する。具体的には、前記油圧制御回路98に備えられた図示しないリニアソレノイド弁を介して前記プライマリ側油圧アクチュエータ54cに供給されるプライマリ圧Pinを制御することで、前記プライマリプーリ54におけるV溝幅を変化させて前記伝動ベルト58の掛かり径(有効径)を変化させて前記無段変速機18の変速比γを変更する。前記油圧制御回路98に備えられた図示しないリニアソレノイド弁を介して前記セカンダリ側油圧アクチュエータ56cに供給されるセカンダリ圧Poutを制御することで、前記セカンダリプーリ56におけるV溝幅を変化させて前記伝動ベルト58の挟圧力を制御する。
前記変速比制御部106は、入力軸としての前記タービン軸26から入力されたトルクが前記第2伝達経路を介して前記出力軸24に伝達されている状態において、前記無段変速機18における変速比γを制御する。すなわち、前記無段変速機18が動力伝達に関与しない前記第2伝達経路の成立時においても、例えばその無段変速機18における損失を低減するために、前記無段変速機18の変速比γを最適値に変化させる変速制御を行う。具体的には、予め実験的に求められて記憶された、前記無段変速機18における損失を可及的に低減させる最適変速比γaを目標値として、前記無段変速機18の変速比γがその最適変速比γaに維持されるように制御する。
ここで、前述のように、前記動力伝達装置10においては、前記第2伝達経路が成立させられている場合、前記ベルト走行用クラッチC2は解放されているため、前記セカンダリプーリ56は前記出力軸24から切り離されているが、前記プライマリプーリ54は前記入力軸32(タービン軸26)に接続されている。従って、前記プライマリプーリ54等の動作が慣性を持ち、前記無段変速機18における変速比γの変更に起因して前記出力軸24から出力されるトルク(以下、出力軸トルクという)に変動が生じるおそれがある。前記動力伝達装置10において前記第2伝達経路が成立させられており、前記無段変速機18が動力伝達に用いられない状態において、前記前進用クラッチC1を介して前記出力軸24側に伝達されるトルクTC1は、前記トルクコンバータ14の出力トルクすなわちタービントルクをTt、前記プライマリプーリ54の回転速度をωin、前記プライマリプーリ54の回転速度の時間変化率をdωin/dt、前記無段変速機18の変速比をγ、前記無段変速機18の変速比の時間変化率(変化速度)をdγ/dt、前記セカンダリプーリ56等のセカンダリシーブ系に係るイナーシャをISSとして、次の(1)式で表される。ここで、前記第2伝達経路が成立させられているギヤ走行時において、前記プライマリプーリ54の回転速度ωinは、前記出力軸24の回転速度NOUTに比例する。この(1)式は、前記前進用クラッチC1を介して前記出力軸24に伝達されるトルクTC1は、前記無段変速機18の変速比の時間変化率dγ/dtに応じて定まる(dγ/dtの影響を受けて変化する)ことを示している。
TC1=Tt−ISS/γ2・(dωin/dt−ωin/γ・dγ/dt) ・・・(1)
TC1=Tt−ISS/γ2・(dωin/dt−ωin/γ・dγ/dt) ・・・(1)
トルク補償制御部108は、入力軸である前記タービン軸26から入力されたトルクが前記第2伝達経路を介して前記出力軸24に伝達されており、且つ、前記無段変速機18における変速比γが変化させられる場合には、前記無段変速機18に入力されるトルクの目標値を、前記無段変速機18における変速比γの変化に起因する前記出力軸24から出力されるトルクの変化を打ち消す方向に変化させる。すなわち、前記切換制御部100により前記動力伝達装置10において前記第2伝達経路が成立させられており、且つ、前記変速比制御部106により前記無段変速機18における変速比γが変化させられる場合には、前記タービントルクTtの目標値を、前記(1)式のように算出されるトルクTC1に起因する出力軸トルクの変動を打ち消す方向に変化させる。具体的には、前記タービントルクTtが、前記無段変速機18における変速比γの変化に起因する前記出力軸24から出力されるトルクの変化を打ち消す方向に変化させられるように、前記電子スロットル弁の開度等を制御することで前記エンジン12の出力トルクすなわちエンジントルクTEを制御する。
前記トルク補償制御部108は、例えば、前記タービン軸26から入力されたトルクが前記第2伝達経路を介して前記出力軸24に伝達されており、且つ、前記無段変速機18における変速比γが変化させられる場合には、前記タービントルクTtの目標値を、次の(2)式に示すTttgtとする。具体的には、変更前(補正前)のタービントルクをTtとして、次の(2)式で表される目標タービントルク(入力トルク)Tttgtが実現されるように、前記電子スロットル弁の開度等を制御することで前記エンジン12の出力トルクすなわちエンジントルクTEを制御する。(2)式に示すように、前記トルク補償制御部108は、好適には、前記タービン軸26から入力されたトルクが前記第2伝達経路を介して前記出力軸24に伝達されており、且つ、前記無段変速機18における変速比γが変化させられる場合には、前記無段変速機18に入力されるトルクの目標値を、前記無段変速機18における変速比γの時間変化率(変化速度)dγ/dtに基づいて、前記無段変速機18における変速比γの変化に起因する前記出力軸24から出力されるトルクの変化を打ち消す方向に変化させる。すなわち、前記無段変速機18における変速比γが増加方向に変化している場合(すなわちダウンシフト)には、前記タービントルクTtを減少方向に変化させる。前記無段変速機18における変速比γが減少方向に変化している場合(すなわちアップシフト)には、前記タービントルクTtを増加方向に変化させる。
Tttgt=Tt−ISS/γ2・(ωin/γ・dγ/dt) ・・・(2)
Tttgt=Tt−ISS/γ2・(ωin/γ・dγ/dt) ・・・(2)
図4は、前記電子制御装置80により実行される本実施例のトルク補償制御の一例の要部を説明するタイムチャートである。この図4では、前記無段変速機18の目標変速比に関して、車両走行上の要求(要求駆動力)に基づく目標変速比を破線で、前記無段変速機18の総損失を最小とする変速比に対応する目標変速比を一点鎖線で、本実施例の制御による目標変速比の変化を実線で、それぞれ表している。
図4に示す制御においては、先ず、時点t1において、前記動力伝達装置10において前記第1伝達経路が成立させられた状態すなわちCVT伝達から、前記第2伝達経路が成立させられる状態すなわちギヤ伝達への切り換えが開始される。例えば、前述した図2に示すベルト走行(中車速)に対応する状態へ移行するために、前記噛合クラッチD1が係合させられる。次に、時点t2において、図2に示すベルト走行(高車速)に対応する状態へ移行が完了し、前記動力伝達装置10において前記第2伝達経路が成立させられる。この時点t2から、前記無段変速機18の変速比γを、一点鎖線で示す前記無段変速機18の総損失を最小とする変速比に変化させる制御が開始される。ここで、本実施例の制御においては、時点t2から、前記無段変速機18における変速比γの変化が終了する時点t3までの間、前記タービン軸26に入力されるタービントルクTtが、前記無段変速機18における変速比γの変化に起因する前記出力軸24から出力されるトルクの変化を打ち消す方向(図4では増加方向)に変化させられる。図4においては、このタービントルクTtの変化分すなわちトルク補償分を右上から左下への斜線領域で示している(以下の説明において同じ)。このタービントルクTtの変化により、時点t2から時点t3までの前記無段変速機18における変速比γの変化に起因する出力軸トルクの変動が抑制される。
次に、時点t4において、前記無段変速機18の変速比γを、一点鎖線で示す前記無段変速機18の総損失を最小とする変速比に変化させる制御が開始される。ここで、本実施例の制御においては、時点t4から、前記無段変速機18における変速比γの変化が終了する時点t5までの間、前記タービン軸26に入力されるタービントルクTtが、前記無段変速機18における変速比γの変化に起因する前記出力軸24から出力されるトルクの変化を打ち消す方向(図4では減少方向)に変化させられる。このタービントルクTtの変化により、時点t4から時点t5までの前記無段変速機18における変速比γの変化に起因する出力軸トルクの変動が抑制される。次に、時点t5において、前記動力伝達装置10において前記第2伝達経路が成立させられた状態すなわちギヤ伝達から、前記第1伝達経路が成立させられる状態すなわちCVT伝達への切り換えが判定され、その切り換えが予告される。この時点t5から、前記無段変速機18の変速比γを、破線で示す車両走行上の要求に基づく変速比に変化させる制御が開始される。ここで、本実施例の制御においては、時点t5から、前記無段変速機18における変速比γの変化が終了する時点t6までの間、前記タービン軸26に入力されるタービントルクTtが、前記無段変速機18における変速比γの変化に起因する前記出力軸24から出力されるトルクの変化を打ち消す方向(図4では減少方向)に変化させられる。このタービントルクTtの変化により、時点t5から時点t6までの前記無段変速機18における変速比γの変化に起因する出力軸トルクの変動が抑制される。
図5は、前記電子制御装置80により実行される本実施例のトルク補償制御の一例の要部を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
先ず、ステップ(以下、ステップを省略する)S1において、前記ギヤ機構20により動力伝達を行うギヤ伝達(ギヤ走行)が選択されているか否か、すなわち前記動力伝達装置10において前記第2伝達経路が成立させられているか否かが判断される。このS2の判断が否定される場合には、S4以下の処理が実行されるが、S2の判断が肯定される場合には、S2において、前記無段変速機18の変速比γが変化させられているか否かが判断される。このS2の判断が肯定される場合には、S3において、前記無段変速機18に入力されるトルクの目標値Tttgtを、前記無段変速機18における変速比γの時間変化率dγ/dtに基づいて、前記無段変速機18における変速比γの変化に起因する前記出力軸24から出力されるトルクの変化を打ち消す方向に変化させるトルク補償制御(トルク補償量出力)が実行された後、本ルーチンが終了させられるが、S2の判断が否定される場合には、S4において、前記トルク補償制御は実行されず、それをもって本ルーチンが終了させられる。以上の制御において、S1が前記切換制御部100の動作に、S2が前記変速比制御部106の動作に、S3が前記トルク補償制御部108の動作に、それぞれ対応する。
本実施例によれば、入力軸である前記タービン軸26から入力されたトルクが前記第2伝達経路を介して前記出力軸24に伝達されており、且つ、前記無段変速機18における変速比γが変化させられる場合には、前記無段変速機18に入力されるトルクの目標値Tttgtを、前記無段変速機18における変速比γの変化に起因する前記出力軸24から出力されるトルクの変化を打ち消す方向に変化させるものであることから、前記無段変速機18が動力伝達に関与していない状態で、その無段変速機18における変速比γが変化させられた場合において、前記無段変速機18のイナーシャ変化による出力軸トルクの変化を好適に抑制できる。すなわち、動力伝達に関与していない無段変速機18の変速比γを変化させる際、出力軸トルクの変動を抑制する動力伝達装置10の電子制御装置80を提供することができる。
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
10:車両用動力伝達装置、18:ベルト式無段変速機(無段変速機構)、20:ギヤ機構(伝動機構)、24:出力軸、26:タービン軸(入力軸)、80:電子制御装置、C1:前進用クラッチ(切換機構)、C2:ベルト走行用クラッチ(切換機構)、D1:噛合クラッチ(切換機構)
Claims (1)
- 入力軸と出力軸との間に、無段変速機構と、伝動機構と、前記入力軸から入力されたトルクを前記無段変速機構を介して前記出力軸に伝達する第1伝達経路と前記伝動機構を介して前記出力軸に伝達する第2伝達経路とを選択的に成立させる切換機構とを、備え、前記入力軸から入力されたトルクが前記第2伝達経路を介して前記出力軸に伝達されている際、前記無段変速機構における変速比を変化させられるように構成された車両用動力伝達装置において、
前記入力軸から入力されたトルクが前記第2伝達経路を介して前記出力軸に伝達されており、且つ、前記無段変速機構における変速比が変化させられる場合には、前記無段変速機構に入力されるトルクの目標値を、前記無段変速機構における変速比の変化に起因する前記出力軸から出力されるトルクの変化を打ち消す方向に変化させる
ことを特徴とする制御装置。
Priority Applications (1)
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