JP2016079457A - 遮熱コーティング層及び遮熱コーティング方法 - Google Patents

遮熱コーティング層及び遮熱コーティング方法 Download PDF

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秀次 谷川
Hidetsugu Tanigawa
秀次 谷川
妻鹿 雅彦
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雅彦 妻鹿
鳥越 泰治
Taiji Torigoe
泰治 鳥越
芳史 岡嶋
Yoshifumi Okajima
芳史 岡嶋
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Abstract

【課題】本発明の遮熱コーティング層は、フィレット部から被膜が剥離してしまうことを抑えることができる。
【解決手段】遮熱コーティング層40は、翼本体部10と、翼本体部10の基端部及び先端部の少なくとも一方に設けられ、翼本体部10の延びる方向と交差する面を有する翼端壁部20と、翼本体部10と翼端壁部20と繋ぐフィレット部30と、を備えるタービン翼の表面に形成される。遮熱コーティング層40は、翼本体部10の表面に形成される第一層61と、翼端壁部20の表面に形成される第二層62と、フィレット部30の表面に形成され、第一層61と第二層62とを接続する中間層63と、を備える。第一層61は、第一層61の厚さ方向に延びる縦割Cが面方向に分散するよう形成され、中間層63は、第一層61よりも気孔率が大きく形成される。
【選択図】図2

Description

本発明は、遮熱コーティング層及び遮熱コーティング方法に関する。
ガスタービンでは、その効率を向上させるために、使用するガスの温度を高く設定している。このような高温のガスに晒される動翼や静翼のようなタービン翼には、その表面に遮熱コーティング(Thermal Barrier Coating:TBC)が施されている。遮熱コーティングとは、被溶射物であるタービン部材の表面に、溶射により熱伝導率の小さい溶射材(例えば、熱伝導率の小さいセラミックス系材料)を被覆したものであり、タービン部材の遮熱性及び耐久性を向上させている。
特許文献1に記載されているように、例えば、遮熱コーティング層は、母材となる耐熱合金基材に、アンダーコート層である金属結合層と、金属結合層の上に形成されたトップコート層であるセラミックス層とを備えている。このセラミックス層は、縦割が面方向に分散して形成されている縦割領域と、縦割領域よりも表面側に形成されて微細機構が分散されたポーラス領域とを有している。
特開2010−144211号公報
ところで、上記のような遮熱コーティング層をタービン翼の表面に形成する場合、タービン翼の表面に一定の膜厚及び特性を維持した状態で被膜を形成することが望ましい。そのため、遮熱コーティング方法では、溶射ガンの出口と対象となる表面との距離である溶射距離や溶射速度を一定に保って溶射材を溶射して被膜を形成する必要がある。
しかしながら、タービン翼の構造上、プラットフォーム部やシュラウド部等の翼端壁部の表面と、翼端壁部から垂直に延びる翼本体部の表面とは面の広がる面方向が90度近く異なっている。そのため、これら二つの表面に対して連続して溶射材を溶射する際には、一定の溶射距離や速度を保ったまま溶射することが難しい。その結果、翼本体部とプラットフォーム部とを一定の溶射距離や速度を保ったまま連続して溶射することができずに、別々の工程で溶射する必要がある。このような場合、翼端壁部の表面と翼本体部の表面との接続部分であるフィレット部では、翼端壁部に形成した被膜と翼本体部に形成した被膜とが重なってしまう。被膜が重なってしまうことで、内部に横割れ等の欠陥を有する被膜がフィレット部に形成され、フィレット部から被膜が剥離してしまうおそれがある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、フィレット部から被膜が剥離してしまうことを抑えることが可能な遮熱コーティング層、及び遮熱コーティング方法を提供するものである。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明の第一の態様における遮熱コーティング層は、翼本体部と、前記翼本体部の基端部及び先端部の少なくとも一方に設けられ、前記翼本体部の延びる方向と交差する面を有する翼端壁部と、前記翼本体部と前記翼端壁部と繋ぐフィレット部と、を備えるタービン翼の表面に形成される遮熱コーティング層であって、前記翼本体部の表面に形成される第一層と、前記翼端壁部の表面に形成される第二層と、前記フィレット部の表面に形成され、前記第一層と前記第二層とを接続する中間層と、を備え、前記第一層は、前記第一層の厚さ方向に延びる縦割が面方向に分散するよう形成され、前記中間層は、前記第一層よりも気孔率が大きく形成される。
このような構成によれば、翼本体部とプラットフォーム部を繋ぐフィレット部の表面に対して、翼本体部の表面に形成される第一層と、プラットフォームの表面に形成される第二層とを繋ぐように中間層を形成することができる。つまり、第一層と比較して気孔率の大きな中間層によって第一層と第二層との間を繋ぐことで、第一層と第二層とを剥離しづらい状態で繋ぐことができる。具体的には、第一層よりも気孔率が大きく形成されていることで、中間層は第一層と比較して緻密でない層となる。そのため、第一層と中間層との境界を剥離しづらい状態で接続することができる。
また、上記遮熱コーティング層では、前記第二層は、前記第二層の厚さ方向に延びる縦割が面方向に分散し、前記第一層と同じ気孔率で形成されていてもよい。
このような構成によれば、第二層が、第一層と同様に、第二層の厚さ方向に延びる縦割が面方向に分散し、第一層と同じ気孔率で形成されることで、翼本体部だけでなくプラットフォーム部にも緻密な層を形成することができる。そのため、面方向の異なる翼本体部とプラットフォーム部との接続部分であるフィレット部だけを気孔率の大きな中間層で形成することができる。これにより、剥離し易いフィレット部に欠陥の生じにくい中間層を形成しながら、タービン翼全体として被膜の耐久性を向上させることができる。
また、上記遮熱コーティング層では、前記第二層は、前記中間層と同じ気孔率で前記中間層と一体に形成されていてもよい。
このような構成によれば、第二層を中間層と同じ気孔率で形成することができる。そのため、フィレット部からプラットフォーム部まで連続して中間層によって被膜を形成することができる。したがって、例えば、プラットフォーム部には耐久性の高い被膜が要求されていない場合に、第二層を中間層と連続で形成することで、境界となる部分を減らすことができる。これにより、剥離しやすい部分を減らして被膜が剥離してしまうことを抑えることができる。
また、上記遮熱コーティング層では、前記第一層は、第一薄層が積層されることで形成され、前記中間層は、中間薄層が積層されることで形成され、前記中間薄層は、積層される際に前記第一薄層との境界が面方向にずれるように形成されていてもよい。
このような構成によれば、積層する際に、第一薄層との境界が面方向にずれるように中間薄層を形成することで第一層と中間層とを形成できる。そのため、第一層と中間層との境界を、第一薄層と中間薄層との境界が面方向にずれて厚さ方向に積層した状態で形成することができる。つまり、第一層と中間層との境界が、厚さ方向の全域にわたって繋がって延びるように形成されずに、部分的に断裂しながら形成される。したがって、第一層と中間層との境界での界面の密着性を向上させることができる。したがって、フィレット部に横割れなどの欠陥を有する被膜が形成されることを抑えることができる。
また、本発明の第二の態様における遮熱コーティング方法は、翼本体部と、前記翼本体部の基端部及び先端部の少なくともいずれか一方に設けられ、前記翼本体部の延びる方向と交差する面を有する翼端壁部と、前記翼本体部と前記翼端壁部と繋ぐフィレット部と、を備えるタービン翼の表面に実施される遮熱コーティング方法であって、前記翼本体部の表面に第一層を形成する第一層形成工程と、前記翼端壁部の表面に第二層を形成する第二層形成工程と、前記フィレット部の表面に、前記第一層と前記第二層とを接続する中間層を形成する中間層形成工程と、を含み、前記中間層形成工程は、前記第一層よりも気孔率を大きく前記中間層を形成する。
このような構成によれば、翼本体部とプラットフォーム部を繋ぐフィレット部の表面に対して、翼本体部の表面に形成される第一層と、プラットフォームの表面に形成される第二層とを繋ぐように中間層を形成することができる。つまり、第一層と比較して気孔率の大きな中間層によって第一層と第二層との間を繋ぐことで、第一層と第二層とを剥離しづらい状態で繋ぐことができる。具体的には、第一層よりも気孔率が大きく形成されていることで、中間層は第一層と比較して緻密でない層となる。そのため、第一層と中間層との境界を剥離しづらい状態で接続することができる。
また、上記遮熱コーティング方法では、前記中間層形成工程は、前記第一層形成工程よりも後に実施されてもよい。
このような構成によれば、第一層を形成した状態で中間層を形成することができる。そのため、第一層の端部を中間層で覆うことができ、第一層と中間層との境界を高い精度で繋ぐことができる。
また、上記遮熱コーティング方法では、前記第二層形成工程は、前記中間層形成工程よりも前に実施され、前記第二層を前記第一層と同じ気孔率で形成してもよい。
このような構成によれば、第二層が、第一層と同様に、第二層の厚さ方向に延びる縦割が面方向に分散し、第一層と同じ気孔率で形成されることで、翼本体部だけでなくプラットフォーム部にも緻密な層を形成することができる。そのため、面方向の異なる翼本体部とプラットフォーム部との接続部分であるフィレット部だけを気孔率の大きな中間層で形成することができる。これにより、剥離し易いフィレット部に欠陥の生じにくい中間層を形成しながら、タービン翼全体として被膜の耐久性を向上させることができる。
また、上記遮熱コーティング方法では、前記第二層形成工程は、前記中間層形成工程とともに実施され、前記第二層を前記中間層と同じ気孔率で前記中間層と一体に形成してもよい。
このような構成によれば、第二層を中間層と同じ気孔率で形成することができる。そのため、フィレット部からプラットフォーム部まで連続して中間層によって被膜を形成することができる。したがって、例えば、プラットフォーム部には耐久性の高い被膜が要求されていない場合に、第二層を中間層と連続で形成することで、境界となる部分を減らすことができる。これにより、剥離しやすい部分を減らして被膜が剥離してしまうことを抑えることができる。
また、上記遮熱コーティング方法では、前記第一層形成工程は、積層されることで前記第一層を形成する第一薄層を形成し、前記中間層形成工程は、前記第一層形成工程と繰り返し実施され、積層されることで前記中間層を形成する中間薄層を積層する際に前記第一薄層との境界が面方向にずれるように形成してもよい。
このような構成によれば、積層する際に、第一薄層との境界が面方向にずれるように中間薄層を形成することで第一層と中間層とを形成できる。そのため、第一層と中間層との境界を、第一薄層と中間薄層との境界が面方向にずれて厚さ方向に積層した状態で形成することができる。つまり、第一層と中間層との境界が、厚さ方向の全域にわたって繋がって延びるように形成せずに、部分的に断裂しながら形成される。したがって、第一層と中間層との境界での界面の密着性を向上させることができる。したがって、フィレット部に横割れなどの欠陥を有する被膜が形成されることを抑えることができる。
本発明によれば、翼本体部の表面に形成する第一層よりも気孔率の大きい中間層をフィレット部に形成することで、フィレット部から被膜が剥離してしまうことを抑えることができる。
本発明の実施形態におけるタービン翼が治具に固定された様子を示す模式図である。 本発明の第一実施形態における遮熱コーティング層の概略構成を示す断面図である。 本発明の第一実施形態における遮熱コーティング方法の工程を説明するフロー図である。 本発明の第二実施形態における遮熱コーティング層の概略構成を示す断面図である。 本発明の第二実施形態における遮熱コーティング方法の工程を説明するフロー図である。 本発明の第三実施形態における遮熱コーティング層の概略構成を示す断面図である。 本発明の第三実施形態における遮熱コーティング方法の工程を説明するフロー図である。 本発明の変形例における遮熱コーティング層の概略構成を示す断面図である。 本発明の変形例における遮熱コーティング方法の工程を説明するフロー図である。
《第一実施形態》
以下、本発明に係る実施形態について図1から図3を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態におけるタービン翼が治具に固定された様子を示す模式図である。図2は、本発明の第一実施形態における遮熱コーティング層の概略構成を示す断面図である。図3は、本発明の第一実施形態における遮熱コーティング方法の工程を説明するフロー図である。
遮熱コーティング層40は、タービン翼1の表面に形成される。本実施形態のタービン翼1は、ガスタービンのロータとともに回転する動翼である。タービン翼1は、例えば、Ni基合金等の周知の耐熱合金により形成されている。本実施形態のタービン翼1は、ガスタービンのケーシング内の高温の燃焼ガスが流通する燃焼ガス流路内に配置される翼本体部10と、翼本体部10の基端部に設けられて翼本体部10の延びる方向と交差する面を有するプラットフォーム部20(翼端壁部)と、翼本体部10とプラットフォーム部20とを繋ぐフィレット部30と、プラットフォーム部20から翼本体部10と反対側へ突出した不図示の翼根部と、を有している。
翼本体部10は、プラットフォーム部20から不図示のタービンのロータの径方向外側に延びるとともにロータの径方向外側から見た場合に、一方側が凸形状面とされ、他方側がこの凸形状面側に近づくように形成された凹形状面とされている翼面を有している。
プラットフォーム部20は、板状の部材であり、フィレット部30を介して翼本体部10と一体に形成されている。プラットフォーム部20は、翼本体部10に対して略垂直に配置されている。つまり、プラットフォーム部20の表面に沿う方向に広がる面方向が、翼本体部10の表面に沿う方向に広がる面方向に対して90度近く異なっている。
フィレット部30は、翼本体部10とプラットフォーム部20とを繋ぐ接続部分である。フィレット部30は、翼本体部10の表面とプラットフォーム部20の表面との略垂直に配置された面同士をなだらかに接続している。フィレット部30は、翼本体部10の表面とプラットフォーム部20の表面とに連続する曲面を有している。フィレット部30では、翼本体部10を形成する凸形状面や凹形状面等の翼面に対して、曲面の曲率半径が不連続に変化する。つまり、フィレット部30は、仮に翼本体部10の翼面が複雑な三次元曲面によって形成されていた場合であっても、翼本体部10の表面の端部から大きく曲率半径を変化させてプラットフォーム部20の表面に接続されている。例えば、本実施形態のフィレット部30は、曲率半径がR8〜R12程度に形成されていることが好ましい。
図2に示すように、遮熱コーティング層40は、タービン翼1を母材として形成される。遮熱コーティング層40は、タービン翼1の表面のうち、翼本体部10の表面と、フィレット部30の表面と、プラットフォーム部20のフィレット部30と接続されている側の表面とにそれぞれ形成される。本実施形態の遮熱コーティング層40は、タービン翼1の表面上に積層されるボンドコート層50と、ボンドコート層50の表面に積層されるトップコート層60と、を有している。
ボンドコート層50は、タービン翼1の表面とトップコート層60が剥離すること抑制し、耐食性及び耐酸化性に優れた金属結合層として形成される。ボンドコート層50は、例えば、溶射材としてMCrAlY合金の金属溶射粉をタービン翼1の表面に対して溶射して積層される。ここで、ボンドコート層50を構成するMCrAlY合金の「M」は、金属元素を示し、例えば、NiCo、Ni、Co等の単独の金属元素又はこれらのうち2種以上の組み合わせを示している。本実施形態のボンドコート層50は、翼本体部10の表面と、フィレット部30の表面と、プラットフォーム部20のフィレット部30と接続されている側の表面とをそれぞれ覆うように一体をなして積層されている。
トップコート層60は、セラミックを含む溶射材をボンドコート層50の表面に対して溶射して形成される。トップコート層60は、翼本体部10の表面に形成されているボンドコート層50上に形成される第一層61と、プラットフォーム部20の表面に形成されているボンドコート層50上に形成される第二層62と、フィレット部30の表面に形成されているボンドコート層50上に形成される中間層63と、を有する。トップコート層60を形成する際に用いられる溶射材は、例えば、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)や、酸化イッテルビウム(Yb)で部分安定化させたジルコニア(ZrO)であるイッテルビア安定化ジルコニア(YbSZ)が用いられる。
第一層61は、翼本体部10の表面の全域を覆うようにボンドコート層50上に積層されている。第一層61は、第一層61の厚さ方向に延びる縦割Cが面の広がる面方向に分散するよう形成されている。本実施形態の第一層61は、1mm当たり0.5本以上の緻密な縦割Cを有するセラミック被膜であるDVC(Dense Verticaly Crack)膜である。第一層61は、気孔率(単位体積当たりの気孔の占有率)が3%以下の範囲に収まるように緻密な層として形成されることが好ましい。本実施形態の第一層61は、1mmから2mm程度の膜厚で形成されている。
第二層62は、プラットフォーム部20の翼本体部10が延びている側の表面を覆うようにボンドコート層50上に積層されている。第一実施形態の第二層62は、第一層61と同一材料を用いて、同一条件によって形成されている。つまり、第二層62は、第一層61と同じ気孔率で形成され、第一層61に対して略垂直に広がるDVC膜である。本実施形態の第二層62は、第一層61と同様に、1mmから2mm程度の膜厚で形成されている。
中間層63は、フィレット部30の表面を覆うようにボンドコート層50上に積層されている。中間層63は、第一層61と第二層62とをボンドコート層50の広がる面方向に繋ぐように形成されている。本実施形態の中間層63は、第一層61及び第二層62と同じ膜厚に形成され、第一層61の表面と第二層62の表面とをなだらかに接続している。中間層63は、第一層61よりも大きな気孔率で形成されたポーラス膜であり、内部にほとんど縦割Cを有していない。本実施形態の中間層63は、第一層61と同じ材料で形成されている。中間層63は、第一層61よりも緻密でない層となるように気孔率が3%以上となるように形成される。具体的には、中間層63は、3%以上30%未満の範囲で形成されることが好ましい。本実施形態の中間層63は、第一層61との境界Bがフィレット部30よりの翼本体部10側に配置され、第二層62との境界Bがフィレット部30よりもプラットフォーム部20側に配置されるように形成されている。
次に、上記遮熱コーティング層40をタービン翼1の表面に積層させる遮熱コーティング方法S1について説明する。
遮熱コーティング方法S1は、図1に示すように、タービン翼1を治具3上に固定して、タービン翼1の表面に溶射ガン2によって溶射材を溶射することで実施される。本実施形態の遮熱コーティング方法S1は、ボンドコート層50を形成するボンドコート層形成工程S100と、ボンドコート層50上にトップコート層60を形成するトップコート形成工程とを含む。
ボンドコート層形成工程S100は、治具3上に設置されたタービン翼1の表面に実施される。ボンドコート層形成工程S100は、タービン翼1の翼本体部10の表面と、フィレット部30の表面と、プラットフォーム部20の表面とにボンドコート層50を形成する。本実施形態のボンドコート層形成工程S100は、例えば、MCrAlY合金の金属溶射粉を大気プラズマ溶射法によりタービン翼1の表面に溶射ガン2で溶射することで、ボンドコート層50を形成する。
トップコート層形成工程S200は、ボンドコート層形成工程S100で形成したボンドコート層50上にトップコート層60を形成する。本実施形態のトップコート層形成工程S200は、翼本体部10の表面に形成されているボンドコート層50上に第一層61を形成する第一層形成工程S30と、プラットフォーム部20の表面に形成されているボンドコート層50上に第二層62を形成する第二層形成工程S40と、フィレット部30の表面に形成されているボンドコート層50上に中間層63を形成する中間層形成工程S50とを含む。
第一層形成工程S30は、ボンドコート層形成工程S100を実施後にボンドコート層50の形成された翼本体部10の表面に対して実施される。本実施形態の第一層形成工程S30は、ボンドコート層50が形成されている領域のうち、翼本体部10の表面に対応する位置のみに第一層61を形成する。本実施形態の第一層形成工程S30では、例えば、YSZやYbSZ等の溶射材を大気圧プラズマ溶射法によりタービン翼1の表面に溶射ガン2で溶射することで実施される。第一層形成工程S30は、出力70kw、溶射ガン2の出口と溶射材を溶射する面との距離である溶射距離を120mmに設定して実施されることが好ましい。
第二層形成工程S40は、ボンドコート層形成工程S100を実施後にボンドコート層50の形成されたプラットフォーム部20の表面に対して実施される。本実施形態の第二層形成工程S40は、第一層形成工程S30を実施後に行われる。第二層形成工程S40は、ボンドコート層50が形成されている領域のうち、プラットフォーム部20の翼本体部10が設けられている側の表面に対応する位置のみに第二層62を形成する。つまり、第二層形成工程S40は、フィレット部30で第一層61と隙間を設けて第二層62を形成する。本実施形態の第二層形成工程S40では、例えば、第一層形成工程S30と同じ条件で実施される。
中間層形成工程S50は、ボンドコート層形成工程S100を実施後にボンドコート層50の形成されたフィレット部30の表面に対して実施される。本実施形態の中間層形成工程S50は、第二層形成工程S40を実施後に行われる。中間層形成工程S50は、ボンドコート層50が形成されている領域のうち、フィレット部30の表面に対応する位置に中間層63を形成する。つまり、中間層形成工程S50は、第一層61と第二層62との間の形成された隙間を埋めるように中間層63を形成する。本実施形態の中間層形成工程S50は、例えば、第一層形成工程S30で用いた溶射材を使用して、第一層形成工程S30とは異なる条件で実施する。中間層形成工程S50は、大気圧プラズマ溶射法により、タービン翼1の表面に溶射ガン2で溶射することで、第一層61よりも気孔率の大きな中間層63を形成する。具体的には、中間形成工程は、溶射材として第一層61と同じYSZやYbSZを用い、出力70kw、溶射距離を200mmに設定し、溶射距離を第一層形成工程S30よりも離すように設定される。
なお、本実施形態の中間層形成工程S50では、溶射距離を離すことで中間層63を形成したが、これに限定されるものでなく、気孔率が第一層61よりも大きくなるように形成することができればよい。例えば、中間層形成工程S50は、溶射材の種類や大きさを変更したり、出力や溶射速度などの条件を変えたりすることで気孔率を大きくするように形成してもよい。
上記のような第一実施形態の遮熱コーティング層40や遮熱コーティング方法S1によれば、フィレット部30の表面に対して、翼本体部10の表面に積層されたボンドコート層50上に形成される第一層61と、プラットフォーム部20の表面に積層されたボンドコート層50上に形成される第二層62とを繋ぐように中間層63を形成することができる。つまり、第一層61及び第二層62と比較して気孔率の大きな中間層63によって第一層61と第二層62との間を繋ぐことで、略垂直に広がる第一層61と第二層62とを剥離しづらい状態で繋ぐことができる。
具体的には、第一層61や第二層62よりも気孔率が大きく形成されていることで、中間層63は第一層61及び第二層62と比較して緻密でない層となる。そのため、緻密な層同士である第一層61及び第二層62を直接繋ぐ場合の境界に比べて、第一層61と中間層63との境界Bや第二層62と中間層63との境界Bを剥離しづらい状態で接続することができる。したがって、フィレット部30に横割れなどの欠陥を有する被膜が形成されることを抑え、フィレット部30から被膜が剥離してしまうことを抑えることができる。
また、第二層62が、第一層61と同様に、第二層62の厚さ方向に延びる縦割Cが面方向に分散し、第一層61と同じ気孔率で形成されたDVC膜であることで、翼本体部10だけでなくプラットフォーム部20にも緻密な層を形成することができる。例えば、タービン翼1全体の大部分に耐久性の高い被膜が要求される場合に、第二層62を第一層61と同じように形成することで、フィレット部30のみを中間層63で形成することができる。そのため、面方向の異なる翼本体部10とプラットフォーム部20との接続部分だけを気孔率の大きな中間層63で形成することができる。これにより、剥離し易いフィレット部30に欠陥の生じにくい中間層63を形成しながら、タービン翼1全体として被膜の耐久性を向上させることができる。
また、中間層形成工程S50が第一層形成工程S30や第二層形成工程S40を実施後に実施されることで、第一層61や第二層62を形成した状態で中間層63を形成することができる。したがって、第一層61及び第二層62の端部を中間層63で覆うことができ、第一層61と中間層63との境界Bや第二層62と中間層63との境界Bを高い精度で繋ぐことができる。
さらに、翼本体部10に対する被膜とプラットフォーム部20に対する被膜とを別々に施工することで翼本体部10とプラットフォーム部20とにそれぞれ適切な条件で溶射材を溶射でき、遮熱コーティング方法S1の施工管理を容易にすることができる。
《第二実施形態》
次に、図4及び図5を参照して第二実施形態の遮熱コーティング層40a及び遮熱コーティング方法S2について説明する。
第二実施形態においては第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。この第二実施形態の遮熱コーティング層40a及び遮熱コーティング方法S2は、トップコート層60aの構成が第一実施形態と相違する。
図4は、本発明の第二実施形態における遮熱コーティング層の概略構成を示す断面図である。図5は、本発明の第二実施形態における遮熱コーティング方法の工程を説明するフロー図である。
第二実施形態の遮熱コーティング層40aでは、図4に示すように、トップコート層60aが、第一実施形態と同様の第一層61と、プラットフォーム部20の表面及びフィレット部30の表面に形成されているボンドコート層50上に形成される連続層64と、を有する。
連続層64は、プラットフォーム部20の表面及びフィレット部30の表面を覆うように形成されている。連続層64は、第二層62の代わりにプラットフォーム部20の表面まで中間層63を延長することで形成されている。つまり、第二実施形態では、第二層62は、中間層63と同じ気孔率で一体に形成され、連続層64の一部を構成している。連続層64は、プラットフォーム部20の翼本体部10が延びている側の表面とフィレット部30の表面を覆うようにボンドコート層50上に積層されている。連続層64は、第一実施形態の中間層63と同様の条件で形成されている。本実施形態の連続層64は、第一層61との境界Bがフィレット部30よりの翼本体部10側に配置されるように形成されている。
次に、第二実施形態の遮熱コーティング層40aをタービン翼1の表面に積層させる遮熱コーティング方法S2について説明する。
第二実施形態の遮熱コーティング方法S2は、図5に示すように、第一実施形態と同様のボンドコート層形成工程S100と、第一実施形態とは中間層63及び第二層62の形成方法の異なるトップコート層形成工程S201とを含む。
第二実施形態のトップコート層形成工程S201は、第一実施形態と同様に第一層61を形成する第一層形成工程S30と、連続層64を形成する連続層形成工程S60とを含む。
連続層形成工程S60は、第一実施形態の第二層形成工程S40を中間層形成工程S50とともに実施することで、連続層64を形成する。つまり、連続層形成工程S60は、第二層62を中間層63と同じ気孔率で一体に形成することで連続層64を形成する。連続層形成工程S60は、ボンドコート層50の形成されたプラットフォーム部20の表面及びフィレット部30の表面に対して実施される。連続層形成工程S60は、ボンドコート層50が形成されている領域のうち、ボンドコート層50の形成されたフィレット部30の表面からボンドコート層50の形成されたフィレット部30の表面にかけて連続して連続層64を形成する。連続層形成工程S60は、第一実施形態の中間層形成工程S50と同じ条件で実施される。
上記のような第二実施形態の遮熱コーティング層40aや遮熱コーティング方法S2によれば、連続層64を形成することで、第二層62を中間層63と同じ気孔率で形成されたポーラス膜として形成することができる。そのため、フィレット部30からプラットフォーム部20まで連続して中間層63のようにDVC膜よりも緻密でない被膜を形成することができる。したがって、例えば、プラットフォーム部20には耐久性の高い被膜が要求されていない場合に、第二層62を中間層63と連続で形成することで、境界Bとなる部分を減らすことができる。これにより、剥離しやすい部分を減らして被膜が剥離してしまうことを抑えることができる。
また、連続層形成工程S60で、フィレット部30からプラットフォーム部20まで連続して連続層64を形成することで、施工条件を変更する頻度が減り、遮熱コーティング方法S1の施工管理をより容易にすることができる。
《第三実施形態》
次に、図6及び図7を参照して第三実施形態の遮熱コーティング層40b及び遮熱コーティング方法S3について説明する。
第三実施形態においては第一実施形態及び第二実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。この第三実施形態の遮熱コーティング層40b及び遮熱コーティング方法S3は、トップコート層60bの構成が第一実施形態及び第二実施形態と相違する。
図6は、本発明の第三実施形態における遮熱コーティング層の概略構成を示す断面図である。図7は、本発明の第三実施形態における遮熱コーティング方法の工程を説明するフロー図である。
第三実施形態の遮熱コーティング層40bでは、トップコート層60bが、複数の薄い層が厚さ方向に重なって形成されている。具体的には、第三実施形態のトップコート層60bは、図6に示すように、複数の第一薄層71aが厚さ方向に重なって形成される積層第一層71と、複数の第二薄層72aが厚さ方向に重なって形成される積層第二層72と、複数の中間薄層73aが厚さ方向に重なって形成される積層中間層73と、を有する。
積層第一層71は、第一実施形態や第二実施形態での第一層61であって、翼本体部10の表面の全域を覆うようにボンドコート層50上に積層されている。積層第一層71は、積層第一層71の全体の膜厚に対して非常に薄い第一薄層71aがボンドコート層50上に積層されることで形成されている。
第一薄層71aは、DVC膜として形成され、第一実施形態の第一層61よりも膜厚が薄く形成されている。本実施形態の第一薄層71aは、10μmから100μm程度の膜厚で形成されることが好ましく、20μmから50μm程度の膜厚で形成されることがより好ましい。つまり、第一薄層71aが積層されることで、第一実施形態の第一層61と同程度の膜厚の積層第一層71が形成されている。
積層第二層72は、第一実施形態や第二実施形態での第二層62であって、プラットフォーム部20の表面の全域を覆うようにボンドコート層50上に積層されている。積層第二層72は、積層第二層72の全体の膜厚に対して非常に薄い第二薄層72aがボンドコート層50上に積層されることで形成されている。
第二薄層72aは、第一薄層71aと同様にDVC膜として形成されている。本実施形態の第二薄層72aは、10μmから100μm程度の膜厚で形成されることが好ましく、20μmから50μm程度の膜厚で形成されることがより好ましい。つまり、第二薄層72aが積層されることで、第一実施形態の第二層62と同程度の膜厚の積層第二層72が形成されている。
積層中間層73は、第一実施形態や第二実施形態での中間層63であって、フィレット部30の表面の全域を覆うようにボンドコート層50上に積層されている。積層中間層73は、積層中間層73の全体の膜厚に対して非常に薄い中間薄層73aがボンドコート層50上に積層されることで形成されている。
中間薄層73aは、ポーラス膜として形成され、第一薄層71aや第二薄層72aと同程度の膜厚で形成されている。本実施形態の中間薄層73aは、10μmから100μm程度の膜厚で形成されることが好ましく、20μmから50μm程度の膜厚で形成されることがより好ましい。つまり、中間薄層73aが積層されることで、第一実施形態の中間層63と同程度の膜厚の積層中間層73が形成される。中間薄層73aは、積層される際に、第一薄層71aに対する境界b1や第二薄層72aに対する境界b2の位置が、各層によって面方向に僅かにずれて形成されている。したがって、積層第一層71と積層中間層73との境界Bでは、第一薄層71aと中間薄層73aとが厚さ方向に重なるように形成されている。同様に、積層第二層72と積層中間層73との境界Bでは、第二薄層72aと中間薄層73aとが厚さ方向に重なるように形成されている。
次に、第三実施形態の遮熱コーティング層40bをタービン翼1の表面に積層させる遮熱コーティング方法S3について説明する。
第三実施形態の遮熱コーティング方法S3は、図7に示すように、第一実施形態と同様のボンドコート層形成工程S100と、複数の薄い層を繰り返し積層することでトップコート層60bを形成するトップコート層形成工程S202とを含む。
第三実施形態のトップコート層形成工程S202は、ボンドコート層形成工程S100で形成したボンドコート層50上に薄い層を積層してトップコート層60bを形成する。第三実施形態のトップコート層形成工程S202は、翼本体部10の表面に形成されているボンドコート層50上に第一薄層71aを形成する第一薄層形成工程S31と、プラットフォーム部20の表面に形成されているボンドコート層50上に第二薄層72aを形成する第二薄層形成工程S41と、フィレット部30の表面に形成されているボンドコート層50上に中間薄層73aを形成する中間薄層形成工程S51とを、トップコート層60bが所定の膜厚となるまで繰り返し実施する。
第一薄層形成工程S31は、ボンドコート層形成工程S100を実施後にボンドコート層50の形成された翼本体部10の表面に対して実施される。本実施形態の第一薄層形成工程S31は、ボンドコート層50が形成されている領域のうち、翼本体部10の表面に対応する位置のみに第一薄層71aを形成する。
第二薄層形成工程S41は、ボンドコート層形成工程S100を実施後にボンドコート層50の形成されたプラットフォーム部20の表面に対して実施される。本実施形態の第二薄層形成工程S41は、第一薄層形成工程S31を実施後に行われる。第二薄層形成工程S41は、ボンドコート層50が形成されている領域のうち、プラットフォーム部20の翼本体部10が設けられている側の表面に対応する位置のみに第二薄層72aを形成する。つまり、第二薄層形成工程S41は、フィレット部30に対応する領域に第一薄層71aと隙間を設けて第二薄層72aを形成する。
中間薄層形成工程S51は、ボンドコート層形成工程S100を実施後にボンドコート層50の形成されたフィレット部30の表面に対して実施される。本実施形態の中間薄層形成工程S51は、第二薄層形成工程S41を実施後に行われる。中間薄層形成工程S51は、ボンドコート層50が形成されている領域のうち、フィレット部30の表面に対応する位置に中間薄層73aを形成する。つまり、中間薄層形成工程S51は、第一薄層71aと第二薄層72aとの間の形成された隙間を埋めるように中間薄層73aを形成する。中間薄層形成工程S51は、既に形成されている中間薄層73aの上に中間薄層73aを積層する際には、第一薄層71aとの境界b1や第二薄層72aとの境界b2が面方向にずれるように中間薄層73aを形成する。中間薄層形成工程S51を実施後にトップコート層60bが所定の膜厚となっていない場合には、再び第一薄層形成工程S31が実施される。その後、中間薄層形成工程S51は、所定の膜厚となるまで、第一薄層形成工程S31、第二薄層形成工程S41、中間薄層形成工程S51の順で繰返し実施される。
上記のような第三実施形態の遮熱コーティング層40bや遮熱コーティング方法S3によれば、第一薄層71aと第二薄層72aとの間に形成する中間薄層73aを、積層する際に、第一薄層71aとの境界b1や第二薄層72aとの境界b2が面方向にずれるように形成することで、積層第一層71と積層第二層72と積層中間層73とを形成してトップコート層60bを形成できる。そのため、積層第一層71と積層中間層73との境界Bを、第一薄層71aと中間薄層73aとの境界b1が面方向にずれて厚さ方向に積層した状態で形成することができる。同様に、積層第二層72と積層中間層73との境界Bを、第二薄層72aと中間薄層73aとの境界b2が面方向にずれた状態で厚さ方向に積層した状態で形成することができる。つまり、積層第一層71と積層中間層73との境界Bや積層第二層72と積層中間層73との境界Bが、厚さ方向の全域にわたって繋がって延びるように形成されずに、部分的に断裂しながら形成される。したがって、積層第一層71と積層中間層73との境界Bや積層第二層72と積層中間層73との境界Bでの界面の密着性を向上させて剥離しづらい状態で接続することができる。したがって、フィレット部30に横割れなどの欠陥を有する被膜が形成されることを抑え、フィレット部30から被膜が剥離してしまうことを抑えることができる。
《変形例》
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を許容する。例えば、図8及び図9に示すように、変形例として、第二実施形態と第三実施形態とを組み合わせて、積層中間層73と積層第二層72とを一体に形成してもよい。
即ち、変形例におけるトップコート層60cは、図8に示すように、第三実施形態と同様の積層第一層71と、プラットフォーム部20の表面及びフィレット部30の表面に形成されているボンドコート層50上に形成される積層連続層74と、を有する。
図8は、本発明の変形例における遮熱コーティング層の概略構成を示す断面図である。図9は、本発明の変形例における遮熱コーティング方法S4の工程を説明するフロー図である。
積層連続層74は、プラットフォーム部20の表面及びフィレット部30の表面を覆うように形成されている。積層連続層74は、第三実施形態の積層第二層72の代わりにプラットフォーム部20の表面まで積層中間層73を延長することで形成されている。つまり、変形例では、第二薄層72aが、中間薄層73aと同じ気孔率で一体に形成されることで、連続薄層74aの一部を構成している。積層連続層74は、中間薄層73aと同様の条件で形成される連続薄層74aがボンドコート層50上に積層されることで形成されている。
連続薄層74aは、中間薄層73aと同様に、同程度の膜厚のポーラス膜として形成されている。連続薄層74aは、積層される際に、第一薄層71aに対する境界b1の位置が、各層によって面方向に僅かにずれて形成されている。したがって、積層第一層71と積層連続層74との境界Bでは、第一薄層71aと連続薄層74aとが厚さ方向に重なるように形成されている。
次に、変形例の遮熱コーティング層40cをタービン翼1の表面に積層させる遮熱コーティング方法S4について説明する。
変形例の遮熱コーティング方法S4のトップコート層形成工程S203は、図9に示すように、ボンドコート層形成工程S100で形成したボンドコート層50上に薄い層を積層してトップコート層60cを形成する。変形例のトップコート層形成工程S203は、第三実施形態と同様の第一薄層形成工程S31と、連続薄層74aを形成する連続薄層形成工程S61とを含む。
連続薄層形成工程S61は、第三実施形態の第二薄層形成工程S41を中間薄層形成工程S51とともに実施することで、連続薄層74aを形成する。つまり、連続薄層形成工程S61は、第二薄層72aを中間薄層73aと同じ気孔率で一体に形成することで連続薄層74aを形成している。連続薄層形成工程S61は、ボンドコート層50の形成されたフィレット部30の表面及びフィレット部30の表面に対して実施される。連続薄層形成工程S61は、ボンドコート層50が形成されている領域のうち、ボンドコート層50の形成されたフィレット部30の表面からボンドコート層50の形成されたフィレット部30の表面にかけて連続して連続薄層74aを形成する。連続薄層形成工程S61は、第三実施形態の中間薄層形成工程S51と同じ条件で実施される。
上記のような変形例の遮熱コーティング層40cや遮熱コーティング方法S4によれば、第二実施形態と同様に、境界となる部分を減らすことができ、第三実施形態と同様に、積層第一層71と積層連続層74との境界Bでの界面の密着性を向上させて剥離しづらい状態で接続することができる。したがって、剥離しやすい部分を減らして被膜が剥離してしまうことを抑えることができる。さらに、フィレット部30に横割れなどの欠陥を有する被膜が形成されることを抑え、フィレット部30から被膜が剥離してしまうことを抑えることができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
なお、中間層63や積層中間層73は、本実施形態のようにフィレット部30の全域を覆うように形成される構造に限定されるものではなく、第一層61と第二層62の間や積層第一層71と積層第二層72との間に配置されていればよい。例えば、中間層63や積層中間層73は、フィレット部30の一部のみにわずかに形成されているだけであってもよい。
また、ボンドコート層50やトップコート層60、60a、60b、60cは、本実施形態以外の方法で形成されてもよい。例えば、大気圧プラズマ溶射以外の電気式溶射として減圧プラズマ溶射を用いてもよく、ガス式溶射として、フレーム溶射法、高速フレーム溶射を用いてよい。また、溶射法以外の方法で形成してもよく、例えば、電子ビーム物理蒸着法を用いてもよい。
また、トップコート層60、60a、60b、60cの表面にさらに中間層63と同様のポーラス膜を形成してもよい。
また、第一層61、第二層62、中間層63等のトップコート層60、60a、60b、60cは、本実施形態のように、全域にわたって同じ膜厚に形成されることに限定されるものではなく、使用される環境等の条件に応じて適宜設定されればよい。
また、本実施形態では、タービン翼1として、動翼を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、タービン翼1は静翼であってもよく、その際、翼端壁部は、翼本体部10の基端部及び先端部の両側に配置されるシュラウド部となる。
1…タービン翼 10…翼本体部 20…プラットフォーム部 30…フィレット部 2…溶射ガン 3…治具 40、40a、40b、40c…遮熱コーティング層 50…ボンドコート層 60、60a、60b、60c…トップコート層 61…第一層 C…縦割 62…第二層 63…中間層 B、b1、b2…境界 64…連続層 71…積層第一層 71a…第一薄層 72…積層第二層 72a…第二薄層 73…積層中間層 73a…中間薄層 74…積層連続層 74a…連続薄層 S1、S2、S3、S4…遮熱コーティング方法 S100…ボンドコート層形成工程 S200、S201、S202、S203…トップコート層形成工程 S30…第一層形成工程 S40…第二層形成工程 S50…中間層形成工程 S60…連続層形成工程 S31…第一薄層形成工程 S41…第二薄層形成工程 S51…中間薄層形成工程 S61…連続薄層形成工程

Claims (9)

  1. 翼本体部と、前記翼本体部の基端部及び先端部の少なくとも一方に設けられ、前記翼本体部の延びる方向と交差する面を有する翼端壁部と、前記翼本体部と前記翼端壁部と繋ぐフィレット部と、を備えるタービン翼の表面に形成される遮熱コーティング層であって、
    前記翼本体部の表面に形成される第一層と、
    前記翼端壁部の表面に形成される第二層と、
    前記フィレット部の表面に形成され、前記第一層と前記第二層とを接続する中間層と、を備え、
    前記第一層は、前記第一層の厚さ方向に延びる縦割が面方向に分散するよう形成され、
    前記中間層は、前記第一層よりも気孔率が大きく形成される遮熱コーティング層。
  2. 前記第二層は、前記第二層の厚さ方向に延びる縦割が面方向に分散し、前記第一層と同じ気孔率で形成される請求項1に記載の遮熱コーティング層。
  3. 前記第二層は、前記中間層と同じ気孔率で前記中間層と一体に形成される請求項1に記載の遮熱コーティング層。
  4. 前記第一層は、第一薄層が積層されることで形成され、
    前記中間層は、中間薄層が積層されることで形成され、
    前記中間薄層は、積層される際に前記第一薄層との境界が面方向にずれるように形成される請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の遮熱コーティング層。
  5. 翼本体部と、前記翼本体部の基端部及び先端部の少なくともいずれか一方に設けられ、前記翼本体部の延びる方向と交差する面を有する翼端壁部と、前記翼本体部と前記翼端壁部と繋ぐフィレット部と、を備えるタービン翼の表面に実施される遮熱コーティング方法であって、
    前記翼本体部の表面に第一層を形成する第一層形成工程と、
    前記翼端壁部の表面に第二層を形成する第二層形成工程と、
    前記フィレット部の表面に、前記第一層と前記第二層とを接続する中間層を形成する中間層形成工程と、を含み、
    前記中間層形成工程は、前記第一層よりも気孔率を大きく前記中間層を形成する遮熱コーティング方法。
  6. 前記中間層形成工程は、前記第一層形成工程よりも後に実施される請求項5に記載の遮熱コーティング方法。
  7. 前記第二層形成工程は、前記中間層形成工程よりも前に実施され、前記第二層を前記第一層と同じ気孔率で形成する請求項5または請求項6に記載の遮熱コーティング方法。
  8. 前記第二層形成工程は、前記中間層形成工程とともに実施され、前記第二層を前記中間層と同じ気孔率で前記中間層と一体に形成する請求項5または請求項6に記載の遮熱コーティング方法。
  9. 前記第一層形成工程は、積層されることで前記第一層を形成する第一薄層を形成し、
    前記中間層形成工程は、前記第一層形成工程と繰り返し実施され、積層されることで前記中間層を形成する中間薄層を積層する際に前記第一薄層との境界が面方向にずれるように形成する請求項5から請求項8のいずれか一項に記載の遮熱コーティング方法。
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JP2018184642A (ja) * 2017-04-26 2018-11-22 三菱重工業株式会社 遮熱コーティング形成方法、遮熱コーティング、及び高温部材
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