JP2016079071A - 有機結晶加工用チップ、有機結晶回転装置及び有機結晶加工装置 - Google Patents

有機結晶加工用チップ、有機結晶回転装置及び有機結晶加工装置 Download PDF

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Abstract

【課題】有機結晶の切削する面を変えることができる有機結晶回転装置及び有機結晶加工装置、並びに、有機結晶回転装置及び有機結晶加工装置に用いるための有機結晶加工用チップを提供する。
【解決手段】有機結晶2を投入し回転するための有機結晶回転孔3、該有機結晶回転孔に接続し、液体を前記有機結晶回転孔に流入してその液体流により有機結晶を回転させるための液体流入流路6、を含むことを特徴とする有機結晶加工用チップ。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機結晶加工用チップ、有機結晶回転装置及び有機結晶加工装置に関するもので、特に、有機結晶をX線解析する際に、有機結晶の表面を切削加工するのに適した有機結晶加工用チップ、有機結晶加工用チップを含む有機結晶回転装置及び有機結晶加工装置に関するものである。
近年、創薬などの分野においてタンパク質の立体構造の解析が盛んに行われている。タンパク質の立体構造は、先ずタンパク質の結晶を作製し、次いで、X線を用いて解析する手法が一般的に採用されている。しかしながら、X線による立体構造解析は結晶の質に強く依存するために、タンパク質の良質な単結晶を得る必要がある。
タンパク質のX線構造解析用の結晶を生成する方法としては、蒸気拡散法、沈殿法、タンパク質を溶解した溶液にピコ秒パルスレーザー又はフェムト秒パルスレーザーを照射する方法(特許文献1参照)、タンパク質溶液に気泡を連続的に噴出する方法(特許文献2参照)等が知られている。
また、X線構造解析法によりタンパク質の三次元結晶構造を解析するためには、得られたタンパク質結晶表面の不純物を除去したり、角を落とす等の加工成形を行うことが好ましく、タンパク質結晶をフェムト秒レーザーで切削することが知られている(特許文献3参照)。また、タンパク質結晶に気泡を連続的に噴出することで、タンパク質に熱変性を与えることなく、タンパク質結晶を切削できることも知られている(特許文献2参照)。
ところで、タンパク質等の結晶表面の不純物等を除去したり、所望の形状に切削加工するためには、作製した結晶の様々な面を切削手段の方向に回転する必要がある。タンパク質結晶を含む有機結晶の加工装置としては、有機結晶を低温ガスで冷却固定したステージを3次元方向に回転可能することで、様々な方向から短パルスレーザー光で有機結晶を切削できる加工装置が知られている(特許文献3参照)。
しかしながら、特許文献3に記載されている加工装置は、有機結晶に窒素ガス、ヘリウムガス等の低温ガスを吹き付ける必要があり、また、有機結晶を固定したステージを3次元に駆動する必要がある。そのため、加工装置が大型化し、且つ、価格も高額になるため、有機結晶の加工装置としては、普及し難いという問題がある。
国際公開第2004/018744号 PCT/JP2014/072387号 国際公開第2005/095042号
本発明は、上記問題点を解決するためになされた発明であり、鋭意研究を行ったところ、フォトリソグラフィ技術を用い、有機結晶を投入して回転するための有機結晶回転孔と、有機結晶を液体流で回転させるための液体流入流路を形成した有機結晶加工用チップを作製し、当該有機結晶加工用チップの液体流入流路から有機結晶回転孔に流入する液体流を調整することで、有機結晶回転孔内で有機結晶を回転することができ、有機結晶加工装置の切削手段で切削する有機結晶の面を変えることができること、を新たに見出した。
すなわち、本発明の目的は、有機結晶の切削する面を変えることができる有機結晶回転装置及び有機結晶加工装置、並びに、有機結晶回転装置及び有機結晶加工装置に用いるための有機結晶加工用チップを提供することにある。
本発明は、以下に示す、有機結晶加工用チップ、有機結晶回転装置及び有機結晶加工装置に関する。
(1)有機結晶を投入し回転するための有機結晶回転孔、
該有機結晶回転孔に接続し、液体を前記有機結晶回転孔に流入してその液体流により有機結晶を回転させるための液体流入流路、
を含むことを特徴とする有機結晶加工用チップ。
(2)前記液体流入流路が2以上形成され、各々の液体流入流路から前記有機結晶回転孔へ流入する液体流が前記有機結晶回転孔内で交差しない方向となるように、前記各々の液体流入流路が前記有機結晶回転孔に接続していることを特徴する上記(1)に記載の有機結晶加工用チップ。
(3)前記各々の液体流入流路の深さが異なることを特徴とする上記(2)に記載の有機結晶加工用チップ。
(4)前記有機結晶回転孔に接続し、前記液体流入流路から前記有機結晶回転孔に流入した液体を排出するための液体排出流路を含むことを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか一に記載の有機結晶加工用チップ。
(5)前記液体排出流路が2以上形成され、且つ、前記液体排出流路が前記有機結晶回転孔に対称形となるように形成されていることを特徴とする上記(4)に記載の有機結晶加工用チップ。
(6)前記有機結晶回転孔の底部に、有機結晶を吸引固定するため及び/又は有機結晶回転孔に流入した液体を排出するための孔が形成されていることを特徴とする上記(1)〜(5)の何れか一に記載の有機結晶加工用チップ。
(7)上記(1)〜(6)の何れか一に記載の有機結晶加工用チップ、
液体を流入するための液体流入手段、及び
液体を排出するための液体排出手段、
を少なくとも含むことを特徴とする有機結晶回転装置。
(8)上記(7)に記載の有機結晶回転装置、及び、
有機結晶の切削手段、
を少なくとも含むことを特徴とする有機結晶加工装置。
本発明の有機結晶回転装置は、有機結晶加工用チップの有機結晶回転孔内に流入する液体流を調整することで、有機結晶回転孔内で有機結晶を回転することができる。そして、有機結晶回転装置に切削手段を組み合わせることで、有機結晶の切削面を液体流により回転・変化させ、有機結晶の不要な部分を切削・加工することができる。したがって、従来の有機結晶の加工装置に必要であった冷却手段、3次元ステージ等が不要であり、有機結晶加工装置を小型化、低価格化することができる。
また、有機結晶回転装置及び有機結晶加工装置に使用する有機結晶加工用チップは、フォトリソグラフィに用いるマスクの形状を変えることで、有機結晶回転孔や液体流入流路の大きさを変えた鋳型を簡単に作製することができ、更に、当該鋳型を転写することで、同一形状の有機結晶加工用チップを大量に作製することができる。したがって、有機結晶回転孔や液体流入流路の大きさ変えた有機結晶加工用チップを複数種類準備しておくことで、作製した有機結晶の大きさが異なっていても、本発明の有機結晶回転装置及び有機結晶加工装置を用いることができる。
図1(1)は、本発明の有機結晶加工用チップ1の実施形態の一例の概略を示す図で、図1(2)は有機結晶を回転する部分の拡大図である。 図2は、本発明のチップ1の製造工程の一例を示す図である。 図3は、本発明のチップ1の製造工程の他の例を示す図である。 図4は、図面代用写真で、図4(1)は実施例1で作製した上段部のPDMSの写真、図4(2)は実施例1で作製した下段部のPDMSの写真である。図4(3)は、実施例1で作製したチップ1の写真である。 図5は、図面代用写真で、実施例3のマイクロビーズの動きを、ハイスピードカメラで撮影した連続写真である。 図6は、図面代用写真で、実施例4のタンパク質結晶の動きを、ハイスピードカメラで撮影した連続写真である。
以下に、本発明の有機結晶加工用チップ、有機結晶回転装置及び有機結晶加工装置について図面を参照しながら詳しく説明する。
図1(1)は、本発明の有機結晶加工用チップ1(以下、単に「チップ」と記載することがある。)の実施形態の一例の概略を示す図で、図1(2)は有機結晶を回転する部分の拡大図である。チップ1は、有機結晶2を投入し回転するための有機結晶回転孔3、有機結晶回転孔3に液体流を流入させるための液体流入流路、及び液体流入流路から有機結晶回転孔3に流入した液体を排出するための液体排出流路6を含んでおり、図1に示す実施形態では、液体流入流路は第1液体流入流路4及び第2液体流入流路5の2つの流路で形成されている。
有機結晶2は、後述する切削手段で有機結晶表面の不純物等を切削できるものであれば特に制限はなく、例えば、有機低分子、有機超分子錯体、樹脂、タンパク質、糖質、脂質、核酸等が挙げられる。
有機結晶回転孔3は、投入した有機結晶2が回転できる大きさであれば特に制限はない。なお、有機結晶2を切削した後の切削片は、液体流と共に液体排出流路6から排出される。しかしながら、有機結晶回転孔3に角があると液体が角の部分で滞流し、切削片も角の部分で滞留してしまい、液体流を止めた後に切削片が有機結晶2に付着する場合がある。そのため、有機結晶回転孔3は、液体流が流れやすい角がない形状であることが好ましく、有機結晶回転孔3は、円柱状、楕円柱状が好ましい。
液体流入流路は、図示しない液体流入手段により液体を有機結晶回転孔3に流入し(図1(2)中の矢印)、有機結晶回転孔3の有機結晶2を流体力で回転するために用いられる(図1(2)中の矢印)。液体流入流路から流入した液体が有機結晶回転孔3内で有機結晶2を回転させるような流れを形成するためには、流入する液体が有機結晶回転孔3内で交差しないようにすることが好ましい。なお、本発明において「交差」とは、流入した2以上の液体がぶつかることを意味する。そのため、流入する液体流が有機結晶回転孔3の壁面に沿って流れるように液体流入流路を有機結晶回転孔3に接続すればよい。
液体流入流路は1本で形成することができるが、2本以上で形成してもよい。例えば、図1に示すように第1液体流入流路4及び第2液体流入流路5の2本の流路で液体流入流路を形成することができる。なお、有機結晶回転孔3へ流入する液体流が有機結晶回転孔3内でよどみ点を形成しない方が好ましいので、流体流が壁面に沿うような方向となるように、第1液体流入流路4及び第2液体流入流路5を有機結晶回転孔3に接続することが好ましい。液体流入流路を3本、4本等、複数形成する場合も、上記と同様に、有機結晶回転孔3に接続すればよい。
有機結晶2は、図1(2)の有機結晶回転孔3内の矢印に示す液体流により、有機結晶回転孔3内で移動する。その際、有機結晶2が球形でなく多面体の場合は、有機結晶2にかかる流体力が異なること、及び重心が有機結晶2の中心からずれていることから、有機結晶2は移動しながら鉛直方向にも回転する。したがって、液体流入流路を複数本形成する場合は、各々の液体流入流路の深さ、及び各々の液体流入流路と有機結晶回転孔3の接続部分の大きさは同じであっても良い。
一方、有機結晶2が球形に近い、又は有機結晶2が切削により球形に近い形になると、有機結晶2は有機結晶回転孔3内で移動するものの、鉛直方向の回転はし難くなる。そのため、有機結晶2にかかる鉛直方向の流体圧力が異なるようにしてもよい。例えば、一つの液体流入流路に液体流入手段を複数接続し、液体流入手段から発生する液体流の流速を変えることで、一つの液体流入流路に鉛直方向の流速が異なる層流を形成すればよい。
また、液体流入流路を複数形成する場合は、各々の流路の深さを変えても良い。例えば、図1に示す第1液体流入流路4又は第2液体流入流路5の一方の深さを浅くすることで、有機結晶2が有機結晶回転孔3内を移動する際、浅くした方の液体流入流路の近くを通過する時に、鉛直方向の上側部分のみに液体流が当たることで鉛直方向の回転をするようにしても良い。液体流入流路の深さは、後述する製造工程の際に、2段露光により、鋳型の高さを変えればよい。また、後述する液体流入手段から押出す流体流を調整し、有機結晶回転孔3内へ流入する流体流を不規則に変更することで有機結晶2へ当接する流体力を不規則にし、有機結晶回転孔3内での有機結晶2の動きを不規則となるようにしてもよい。
液体排出流路6は、液体流入流路から有機結晶回転孔3に流入した液体を排出できれば特に制限はない。例えば、図1に示すように、液体流入流路とはずらした位置で液体排出流路6を有機結晶回転孔3に接続し形成すればよい。なお、液体排出流路6を複数形成する場合は、有機結晶回転孔3内の液体の流れが一定となるように、有機結晶回転孔3に対して対称形となる位置に形成することが望ましい。また、液体排出流路6から液体を排出する際に、有機結晶2も排出されないようにする必要がある。そのため、液体排出流路6と有機結晶回転孔3との接続部分は、切削後の有機結晶2より小さい必要がある。有機結晶2を切削する前に、どの程度切削するのかを事前に検討し、複数のチップ1から望ましい大きさのチップ1を選択すればよい。
また、液体排出流路6は、図1に示す実施形態に加え/又は、有機結晶回転孔3の底部に孔を形成することで作製してもよい。孔にポリエチレンチューブ、シリコンチューブ等を接続し、液体排出手段により排出すればよい。なお、液体排出流路6及び/又は液体排出用の孔は必須ではなく、例えば、有機結晶回転孔3の上部の空間から液体排出手段に接続したチューブ等により流入した液体を排出してもよい。
チップ1には、切削手段により切削する際に、有機結晶2を吸引固定するための吸引孔又は流路を形成してもよい。例えば、有機結晶回転孔3の底部に孔をあけることで吸引孔を形成し、回転している有機結晶2の切削したい面が上側に来た際に、液体流入流路からの液体流の供給を停止又は減少すると共に、吸引孔から液体を吸引することで有機結晶2を吸引固定すればよい。なお、上記のとおり、有機結晶回転孔3の底部に孔を形成することで液体排出流路6を形成した場合、液体を排出する際の排出量より有機結晶2を吸引固定する際の排出量を多くすることにより、孔を液体排出流路6及び有機結晶2の吸引流路の両方の用途に用いても良い。勿論、液体排出流路6とは別に、有機結晶2の吸引専用の孔を形成しても良い。
また、液体排出流路6を複数形成している場合は、液体排出流路6を有機結晶2の吸引流路として用いても良い。例えば、有機結晶2が図1(2)に示す位置にある場合、上方の液体排出流路6からの排出を停止し、更に、液体流入流路からの液体の流入を停止又は減少すると共に下方の液体排出流路6の吸引量を大きくすることで、有機結晶2を有機結晶回転孔3と下方の液体排出流路6との接続部分付近で吸引固定することができる。
図2は、本発明のチップ1の製造工程の一例を示す図である。図2の左側はチップ1の上面図、右側はA−A’断面図である。
(1)基板11を、アセトン・エタノール・超純水等を用いて洗浄する。
(2)フォトレジスト12を塗布し、有機結晶回転孔3、第1液体流入流路4、第2液体流入流路5、液体排出流路6を形成する部分にフォトレジスト12が残るように、マスクを用いて露光・現像し、鋳型を作製する。
(3)鋳型を、転写用の材料13に転写して剥離することで、有機結晶回転孔3、第1液体流入流路4、第2液体流入流路5、液体排出流路6が形成された転写用の材料13を作製する。次いで、作製した転写用の材料13に、生検トレパン等を用いて、有機結晶回転孔3、第1液体流入流路4及び第2液体流入流路5、並びに液体排出流路6に液体を流出入する為の孔をあける。
(4)上記(3)で作製した転写用の材料13を補助基板14に貼り付けて、本発明のチップ1を作製する。
なお、第1液体流入流路4と第2液体流入流路5の深さを変える時は、上記の(2)の工程を、深さを変えたい部分のみのマスクの位置を合わせて重ねて露光・現像を数回繰り返して作製すればよい。また、図1に示す実施形態では、液体流入流路が2本、液体排出流路が2本形成されているが、本数を変える場合は、上記(2)の工程でフォトマスクの形状を変えればよい。
基板11は、フォトレジストを積層することができれば特に制限はなく、例えば、ガラス、Si、Ge、Se、Te、GaAs、GaP、GaN、InSb、InP等、半導体分野で一般的に用いられている材料が挙げられる。
フォトレジスト12は、半導体製造分野で一般的に使用されているものであれば特に制限はなく、ポジ型フォトレジスト、ネガティブ型フォトレジストのどちらでもよい。ポジ型フォトレジストとしては、TSMR V50、PMER等、また、ネガティブ型フォトレジストしては、SU−8、KMPR等が挙げられる。フォトレジストの除去液は、ジメチルホルムアミドとアセトン等、半導体分野で一般的な除去液であれば特に制限はない。
鋳型を転写する材料13としては、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、硬質ポリエチレン等のプラスチック等が挙げられる。補助基板14としては、ガラス、プラスチック等が挙げられる。なお、有機結晶2を顕微鏡等により観察をしながら切削する場合には、鋳型を転写する材料13及び補助基板14は、光透過性材料で形成することが望ましい。
上記製造工程で用いるスパッタリング装置や露光装置等は、微細加工技術の分野で用いられている公知の装置を用いればよい。
図3は、本発明のチップ1の製造工程の他の例を示す図である。図3の左側はチップ1の上面図、右側はA−A’断面図である。
(1)基板11を、アセトン・エタノール・超純水等を用いて洗浄する。
(2)フォトレジスト12を塗布し、有機結晶回転孔3、第1液体流入流路4、第2液体流入流路5を形成する部分にフォトレジスト12が残るように、マスクを用いて露光・現像し、鋳型を作製する。
(3)鋳型を、転写用の材料13に転写して剥離することで、有機結晶回転孔3、第1液体流入流路4、第2液体流入流路5が形成された転写用の材料13を作製する。次いで、作製した転写用の材料13に、生検トレパン等を用いて、有機結晶回転孔3、第1液体流入流路4及び第2液体流入流路5に液体を流出入する為の孔をあけ、チップ1の上段部を形成する。
(4)フォトマスクの形状を有機結晶回転孔3及び液体排出流路6が残るような形状に変え、液体排出流路6に液体を流出入する孔及び有機結晶を吸引固定する孔7を生検トレパンで形成した以外は、上記(1)〜(3)と同様の手順でチップ1の下段部を形成する。次いで、上記(3)で形成した上段部と(4)で形成した下段部を貼り合わせることで、チップ1を作製する。
本発明のチップ1は、図2及び図3のどちらの製造工程で作製したものでも使用可能であるが、図3に示す製造工程で作製した場合は、有機結晶を吸引固定する孔7の形成が容易である。
本発明の有機結晶回転装置は、上記の手順により製造したチップ1、並びに、チップ1の液体流入流路に液体を流入するための液体流入手段、液体排出流路6又は有機結晶回転孔3から液体を吸引・排出するための液体排出手段を少なくとも含んでいる。後述するように、有機結晶の切削手段は公知の切削手段を用いることができる。したがって、本発明の有機結晶回転装置を提供することで、既存の切削手段と組み合わせて有機結晶加工装置として使用することができる。
液体流入手段は、液体を押し出すことができれば特に制限はなく、シリンジポンプ、ペリスタポンプ等、公知の装置を用いればよい。また、液体排出手段も、液体を吸引・排出することができれば特に制限はなく、シリンジポンプ、ペリスタポンプ等、公知の装置を用いればよい。
有機結晶回転装置に流入する液体は、投入する有機結晶2の組成に影響を与えないものであれば特に制限はなく、有機結晶2に応じて適宜選択すればよい。例えば、タンパク質を回転する場合は、公知のリザーバー溶液等を用いればよい。
本発明の有機結晶加工装置は、上記の有機結晶回転装置に、少なくとも有機結晶の切削手段を組み合わすことで作製することができる。切削手段は、公知の切削手段を用いることができ、例えば、特許5526345号に記載されている気泡噴出部材、特許文献3等に記載されている短パルスレーザー光等を用いればよい。また、必要に応じて、顕微鏡、温度制御装置、圧力制御装置、温度センサ、圧力センサ、CCDカメラ、3次元位置センサ等を加えても良い。
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。
〔有機結晶加工用チップ1の作製〕
<実施例1>
<上段部の鋳型の作製>
(1)ガラス基板をアセトン・エタノール・超純水の順に100kHzで約8分間ずつ超音波洗浄機により有機洗浄し、120℃で30分間ベークし、常温まで冷却した。
(2)冷却後に、ガラス基板上にSU−8 3050(日本化薬(株))を2000rpm、30秒スピンコートした。ホットプレート上で、95℃、100分間プリベークを行った。
(3)フィルムマスクを用いて露光後(335mJ/cm、120秒)、ホットプレートの上で、95℃で2分間、ポストエクスポージャベイクを行い、PGMEA(関東化学(株))を用いて超音波洗浄(100kHz、4min)により現像した。現像後は、スピンドライヤー等で水分をとばし乾燥させ、SU−8による上段部用の鋳型を作製した。
<下段部の鋳型の作製>
(4)上記(1)と同様の手順でガラス基板を準備した。
(5)ガラス基板上に、SU−8 3050(日本化薬(株))を1000rpm、30秒スピンコートした。ホットプレート上で、95℃、50分間プリベークを行った。
(6)フィルムマスクの形状を変えた以外は、上記(3)と同様の手順で下段部の鋳型を作製した。
<転写用の材料への転写>
(7)上記(1)〜(6)で作製した上段部及び下段部の鋳型を、それぞれ約7cm×7cm×3cmのプラスチック製のトレイに置いた。
(8)真空脱泡を30分間かけたPDMS(溶剤:硬化剤=10:1)(東レ・ダウコーニング(株))を高さ5mm程度流し込み、さらに真空脱泡を20分間かけた後に、90℃のオーブンで20分間ベークしてPDMSへパターンの転写を行った。
(9)硬化したPDMSをカッタ−を用いてパターンを取り出し、3×3cm程度の大きさに切り取った。
(10)生検トレパン(貝印(株))によって、上段部の鋳型を転写したPDMSには、有機結晶回転孔3、第1液体流入流路4及び第2液体流入流路5への液体流入用の孔をあけた。また、下段部の鋳型を転写したPDMSには、液体排出流路6からの液体排出用の孔をあけた。図4(1)は、作製した上段部のPDMSの写真、図4(2)は、作製した下段部のPDMSの写真である。なお、視認し易くするため、第1液体流入流路4、第2液体流入流路5、液体排出流路6の部分は、食用色素青色1号(共立食品(株))で染色した。
<有機結晶加工用チップ1の作製>
(11)上記(10)で作製した上段部のPDMS及び下段部のPDMSを、プラズマイオンボンバーダ((株)真空デバイス)を用いてボンディングし、ホットプレート上で120℃、15分間加熱して接着した。図4(3)は、実施例1で作製したチップ1の写真である。作製した有機結晶加工用チップ1の有機結晶回転孔3は、直径約200μm、高さ約150μmの円柱状であった。有機結晶回転孔3との接続部付近の第1液体流入流路4及び第2液体流入流路5の幅は約50μm、深さは約50μmであった。有機結晶回転孔3との接続部付近の液体排出流路6の幅は約50μm、深さは約100μmであった。
〔有機結晶回転装置の作製〕
<実施例2>
実施例1で作製したチップ1の第1液体流入流路4及び第2液体流入流路5の液体流入用の孔に、ポリエチレンチューブ(AS−ONE社製ポリエチレンチューブホース)の一端を挿入し、ポリエチレンチューブの他端を液体流入手段であるシリンジポンプ(テルモ社製テルモシリンジ)に接続した。また、液体排出流路6にも、上記と同様のポリエチレンチューブの一端を液体排出用の孔に挿入し、他端を液体排出手段であるシリンジポンプ(テルモ社製テルモシリンジ)に接続することで、有機結晶回転装置を作製した。
〔回転実験〕
<実施例3>
〔マイクロビーズの回転実験〕
マイクロビーズ(Thermo Scientific社製Copolymer micro sphere=90μm)にアルミ粉で目印を付け、実施例2で作製した有機結晶回転装置のチップ1の有機結晶回転孔3に投入した。液体には純水を用い、第1液体流入流路4及び第2液体流入流路5に、100−1000μl/minの液体を供給した。また、液体排出流路6からは、供給した液体と同量の液体を排出した。
図5は、マイクロビーズの動きを、ハイスピードカメラ(VW−9000, Keyence社製)で撮影した連続写真である。
図5から明らかなように、マイクロビーズが有機結晶回転孔3内で移動することが確認できた。また、マイクロビーズにつけた目印(図中の矢印が指しているマイクロビーズの中心の点)は上方に向いていたことから、鉛直方向には回転していないことが確認できた。
<実施例4>
〔タンパク質結晶の回転実験〕
<タンパク質結晶の作製>
5MのNaCl溶液を30μl、80%のグリセロール溶液(和光純薬社製)を46.8μl、純水を65.7μl、及び1M酢酸緩衝液(pH5.5)を7.55μl、を混合してタンパク質溶解用溶液を作製した。70mg/mlのリゾチーム溶液(和光純薬社製)を1μl及び上記タンパク質溶解用溶液1μlを混合して、2μlのタンパク質溶液を作製した。
次いで、ウェルに上記タンパク質溶液を入れ、下記のタンパク質結晶装置の気泡噴出部材の先端部分及びタングステン製の対向電極を、タンパク質溶液中に挿入した。電圧27.7mA、電流309V、アウトプット周波数は32.5kHz、インピーダンスマッチングのためのサンプリング周波数は450kHz、3.5kHzでフィードバックを行い、芯材と対向電極に電気を出力した。電気の出力回数は10回で、タンパク質溶液中に気泡を噴出した。電気の出力後は、ウェルの上面をフィルムで覆い、タンパク質結晶を成長させた。
<タンパク質結晶装置の作製手順>
ガラス中空管(Drummond社製、外径1.37mm、内径0.93mm)に直径30μmの銅線を挿入し、ガラスプラー(サッター社製、P−1000IVF)によって、加熱しながら引き切って気泡噴出部材を作製した。気泡噴出部材の先端の気泡噴出口8の直径は約10μmであった。
医療用電気メス(ConMed社製、Hyfrecator300)のメスに換え、作製した気泡噴出部材を組み込み、更に、無誘導抵抗及びDIOポートを電気出力手段に組み込んでタンパク質結晶装置を作製した。なお、タンパク質結晶装置の作製手順の詳細は、特許文献2を参照することができる。
<タンパク質結晶の回転実験>
実施例3のマイクロビーズに代え、作製したタンパク質結晶を用いた以外は、実施例3と同様の手順で、タンパク質結晶の回転を行った。
図6は、タンパク質結晶の動きを、ハイスピードカメラ(VW−9000, Keyence社製)で撮影した連続写真である。
図6から明らかなように、タンパク質結晶が有機結晶回転孔3内で移動するとともに、タンパク質結晶面についても鉛直方向に回転することが確認できた。
以上の結果より、有機結晶回転孔3内で有機結晶2を移動することができ、また、投入する有機結晶2の形状により、有機結晶回転孔3内での有機結晶2の動きが異なることも確認できた。なお、本発明者らは、特許文献2に記載されているとおり、微細な気泡をタンパク質結晶に噴出することでタンパク質を切削できることを既に確認している。また、特許文献3に記載されているとおり、短パルスレーザー光で有機結晶を切削できることも知られている。したがって、実施例2で作製した有機結晶回転装置に公知の有機結晶の切削手段を組合せることで、有機結晶加工装置を作製することができる。
本発明に係る有機結晶加工用チップ、有機結晶回転装置及び有機結晶加工装置を用いることで、有機結晶を切削加工することができる。したがって、医療機関、大学、企業などの研究機関等において、X線構造解析用の有機結晶の加工に有用である。

Claims (8)

  1. 有機結晶を投入し回転するための有機結晶回転孔、
    該有機結晶回転孔に接続し、液体を前記有機結晶回転孔に流入してその液体流により有機結晶を回転させるための液体流入流路、
    を含むことを特徴とする有機結晶加工用チップ。
  2. 前記液体流入流路が2以上形成され、各々の液体流入流路から前記有機結晶回転孔へ流入する液体流が前記有機結晶回転孔内で交差しない方向となるように、前記各々の液体流入流路が前記有機結晶回転孔に接続していることを特徴する請求項1に記載の有機結晶加工用チップ。
  3. 前記各々の液体流入流路の深さが異なることを特徴とする請求項2に記載の有機結晶加工用チップ。
  4. 前記有機結晶回転孔に接続し、前記液体流入流路から前記有機結晶回転孔に流入した液体を排出するための液体排出流路を含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の有機結晶加工用チップ。
  5. 前記液体排出流路が2以上形成され、且つ、前記液体排出流路が前記有機結晶回転孔に対称形となるように形成されていることを特徴とする請求項4に記載の有機結晶加工用チップ。
  6. 前記有機結晶回転孔の底部に、有機結晶を吸引固定するため及び/又は有機結晶回転孔に流入した液体を排出するための孔が形成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の有機結晶加工用チップ。
  7. 請求項1〜6の何れか一項に記載の有機結晶加工用チップ、
    液体を流入するための液体流入手段、及び
    液体を排出するための液体排出手段、
    を少なくとも含むことを特徴とする有機結晶回転装置。
  8. 請求項7に記載の有機結晶回転装置、及び、
    有機結晶の切削手段、
    を少なくとも含むことを特徴とする有機結晶加工装置。
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