JP2016079058A - 水中不分離性コンクリート組成物およびその硬化体 - Google Patents

水中不分離性コンクリート組成物およびその硬化体 Download PDF

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Abstract

【課題】従来の水中不分離性コンクリート組成物よりも少ない増粘剤で高い水中不分離性を示し、かつ、硬化後の乾燥収縮が低減された水中不分離性コンクリート組成物を提供する。
【解決手段】セメントと、膨張材と、増粘剤とを含む水中不分離性コンクリート組成物であって、膨張材のブレーン比表面積が4,000g/cm〜7,000g/cmであり、膨張材の配合量が、単位量で12〜28kg/mであり、かつ、増粘剤の配合量が、単位量で0.8〜3.0kg/mであることを特徴とする、水中不分離性コンクリート組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、水中不分離性コンクリート組成物およびその硬化体に関する。
通常、海岸、海洋、港湾または河川に橋(橋脚)や防波堤等を建設する場合、土木建築工事において水中に直接コンクリートを打設することとなる。しかし、その際にセメント成分が水により洗い流されることで河川等の水質汚濁や、コンクリート構造体の強度低下を招くことがある。そのため施工には、メチルセルロース系、アクリル系およびガム系などの増粘剤をコンクリートに混和した、水中不分離性コンクリート組成物が用いられる。
そのような水中不分離性コンクリート組成物として、特許文献1にはセルロースエーテル、デュータンガム、ポリアクリルアミドおよびベントナイトを含有する増粘剤を含有する水中不分離性コンクリート組成物が提案されている。また、特許文献2には、水中で使用することを目的とした、膨張材、増粘剤および減水剤を含む水中グラウト用セメント組成物が提案されている。
特開2014−37329号公報 特開平07−138055号公報
上記のように、水中不分離性コンクリート組成物はこれまで当業界で広く用いられてきているが、一般的な水中不分離性コンクリート組成物は単位水量が多いため(220kg/m程度)、増粘剤をセルロース系で2.4〜2.6kg/m、またはアクリル系で3.3〜3.5kg/m程度混和して使用するのが一般的となっている。しかし、これらの増粘剤は高価であり、増粘剤の使用量が多い現行の水中不分離性コンクリート組成物は、一般のレディーミクストコンクリート(生コン)と比較すると、3〜4倍程度単価が高くなるという問題点がある。そのため、経済的で実用性の高い水中不分離性コンクリート組成物が求められている。
さらに、水中不分離性コンクリート組成物は単位水量が多いため、得られる硬化体の乾燥時の収縮量が大きいという性質がある。このことから、橋脚における干満帯(満潮時は海面下となるが、干潮時には干出するような箇所)などの乾燥収縮の影響が大きい箇所には、水中不分離性コンクリート硬化体を使用することが困難である。そのため、橋脚に水中不分離性コンクリート硬化体を用いる場合、干満帯の手前まで水中不分離性コンクリート組成物を打設し、その上からは異なる種類のコンクリート組成物を打設する必要が生じるなど、費用や手間が嵩むという問題点があった。
このような課題に対して、本発明者らは、今般、一定以上の比表面積(ブレーン値)の膨張材を用いることで、増粘剤の含有量を減らしても高い水中不分離性を得ることが可能となり、さらに、硬化後の乾燥時の収縮も抑えられるとの知見を得たのである。本発明は、係る知見に基づいてなされたものである。
したがって、本発明は、従来の水中不分離性コンクリート組成物よりも少ない増粘剤量で高い水中不分離性を示し、かつ、硬化後の乾燥収縮が低減された水中不分離性コンクリート組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記水中不分離性コンクリート組成物を硬化して得られる、乾燥収縮が低減された水中不分離性コンクリート硬化体を提供するものである。
本発明の一態様によれば、
セメントと、
膨張材と、
増粘剤と
を含む水中不分離性コンクリート組成物であって、
前記膨張材のブレーン比表面積が4,000g/cm〜7,000g/cmであり、
前記膨張材の配合量が、単位量で12〜28kg/mであり、かつ
前記増粘剤の配合量が、単位量で0.8〜3.0kg/m
であることを特徴とする、水中不分離性コンクリート組成物が提供される。
また、本発明の他の態様によれば、上記水中不分離性コンクリート組成物を硬化して得られる、水中不分離性コンクリート硬化体が提供される。
本発明によれば、従来の水中不分離性コンクリート組成物よりも少ない増粘剤量で高い水中不分離性を示し、かつ、硬化後の乾燥収縮が低減された水中不分離性コンクリート組成物を得ることが可能となる。
本明細書において「水中不分離性コンクリート」とは、増粘剤等を混和することにより、水中での材料分離抵抗を高めた水中コンクリートをいう。また、本明細書において「水中不分離性が高い」とは、土木学会で定められた規格であるJSCE−D 104−2013「コンクリート用水中不分離性混和剤品質規格(案)」に準拠して評価した際に、懸濁物質量が50mg/L以下であり、かつ、硬化後の材齢28日における水中気中強度比が80%以上であることをいう。懸濁物質量が50mg/L以下であれば水中でのコンクリートの分離を効果的に抑えることができ、水中気中強度比が80%以上であれば水中での強度発現性を維持することができる。なお、本明細書において「水中不分離性コンクリート組成物」とは、硬化前の水中不分離性コンクリートの組成物を意味し、一方、「水中不分離性コンクリート硬化体」とは、水中不分離性コンクリート組成物を硬化させたものを意味する。
本発明の内容について、以下に詳細に説明する。
<水中不分離性コンクリート組成物>
本発明による水中不分離性コンクリート組成物は、一定以上の比表面積(ブレーン値)の膨張材を含むことで、従来の水中不分離性コンクリート組成物よりも少ない増粘剤で高い水中不分離性を示す。そのため、従来の水中不分離性コンクリート組成物よりもコストを抑えることができる。さらに、該組成物は硬化後の乾燥収縮が低減されているため、橋脚における干満帯等にも用いることができる。したがって、本発明による水中不分離性コンクリート組成物を用いて橋脚全体を形成することができ、これにより橋脚の途中でコンクリートの種類を切り替える必要がなくなるため、費用や手間を大幅に削減することができる。なお、硬化後の乾燥収縮は、JIS A 1129「モルタル及びコンクリートの長さ変化測定方法」に準拠して測定することができ、硬化後の材齢6ヶ月の長さ変化率が800×10−6以下であることが、収縮によるひび割れ等を防止する観点から好ましい。
本発明による水中不分離性コンクリート組成物は、セメントと、膨張材と、増粘剤を含む。各構成要素について、以下にそれぞれ説明する。なお、本明細書において、「単位量(kg/m)」とは、1mのコンクリートを作製するときに用いる各原料の使用量を意味する。
[セメント]
本発明に用いるセメントとしては、種々のものを使用することができ、例えば、ポルトランドセメントや混合セメントなどを使用することができる。そのようなポルトランドセメントとしては、例えば、普通、早強、超早強、低熱及び中庸熱等の各種ポルトランドセメントが挙げられる。混合セメントとしては、例えば、フライアッシュ、高炉スラグ、シリカフューム又は石灰石微粉末等が混合された各種の混合セメントが挙げられる。また、上記以外のセメントとしては、速硬性を有しない普通セメントタイプのエコセメントなどが挙げられる。これらのセメントは、いずれか1種を選択して使用することもできるが、2種以上のセメントを組み合わせて使用してもよい。
本発明による水中不分離性コンクリート組成物中のセメントの配合量は、使用するセメントの種類および単位水量によって適宜設定することができるが、単位量で300〜550kg/mであることが好ましい。
[膨張材]
本発明に用いる膨張材は、粒度がブレーン比表面積で4,000cm/g〜7,000cm/gの膨張材である。一方、従来使用されている膨張材は、その粒度が2,500〜3,500cm/g程度である。粒度が高過ぎると膨張性が得られにくくなる傾向があるため、これまでブレーン比表面積で4,000cm/g以上の膨張材は一般的にほとんど用いられていなかった。しかしながら、本発明者らは、ブレーン比表面積4,000cm/g〜7,000cm/gの膨張材を適当な量配合することによって、従来の水中不分離性コンクリート組成物よりも少ない増粘剤量で高い水中不分離性を示し、かつ、硬化後の乾燥収縮が低減された水中不分離性コンクリート組成物を得ることができることを見出した。本発明に用いる膨張材は、好ましくは、粒度がブレーン比表面積で4,500〜6,000cm/gである。なお、ブレーン比表面積は、JIS R 5201(セメントの物理試験方法)に規定するブレーン空気透過装置を用いて、セメントを詰めたセルの中を通過する空気の早さを溶液ヘッドの変化時間で求め、標準試料と比較計算することで算出される。
膨張材の配合量は、単位量で12〜28kg/mであり、好ましくは15〜25kg/mである。配合量を12kg/m以上とすることで、乾燥収縮低減効果が大きくなり、配合量を28kg/m以下とすることで、膨張が過大となるのを抑えて圧縮強度が低下することを防止することができる。
本発明に用いる膨張材の種類としては、粒度が上記範囲内であれば種々の膨張材を使用することができ、具体的には石灰系膨張材およびカルシウムサルフォアルミネート系膨張材等を使用することができる。その中でも、反応速度の観点から特に好ましいのは、石灰系膨張材である。
石灰系膨張材は、遊離生石灰(CaO)を含有する膨張性焼成物と石膏から構成される。遊離生石灰を含有する膨張性焼成物は、炭酸カルシウム、消石灰、生石灰等のカルシウム質原料、シリカ質原料、アルミナ質原料、酸化鉄原料および石膏原料等の焼成原料を電気炉やロータリーキルン等で焼成することによって得られる。得られた膨張性焼成物はボールミル等で粉砕・分級され粒度が調整される。石膏は、粉末にしたものを膨張性焼成物の粉砕物とミキサ等で混合してもよいし、石膏と膨張焼成物を混合粉砕してもよい。石膏は種々のものを用いることができるが、無水石膏が好ましく、II型無水石膏がより好ましい。
[増粘剤]
本発明に用いる増粘剤としては、通常コンクリートに使用されているものであれば特に制限されるものではないが、コンクリートに増粘性を付与し、水中に投入された場合における材料の分離抵抗性に優れたものが望まれる。そのような増粘剤として、例えば、セルロース系増粘剤、ガム系増粘剤およびアクリル系増粘剤等が挙げられる。セルロース系増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロースおよびヒドロキシアルキルアルキルセルロース等が挙げられる。アクリル系増粘剤としては、カルボキシビニルポリマー等が挙げられる。ガム系増粘剤としては、ローカストビーンガム、キサンタンガムおよびジェランガム等が挙げられる。これらの中では、特にセルロース系増粘剤が好ましい。
増粘剤の配合量は、好ましくは単位量で、0.8〜3.8kg/mである。増粘剤の配合量を、0.8kg/m以上とすることで、コンクリートに水中不分離性を十分に付与することができ、3.8kg/m以下とすることで、凝結が大幅に遅延することを防止することができる。増粘剤のより好ましい配合量は、1.4〜2.2kg/mである。
[その他の構成要素]
本発明による水中不分離性コンクリート組成物は、必要に応じて以下の構成要素を含有することができる。
(分散剤)
本発明による水中不分離性コンクリート組成物は、さらに分散剤が添加されていることが好ましい。本発明で用いる分散剤は、一般的にモルタルやコンクリートの製造に使用されるセメント用の分散剤である。そのような分散剤としては、例えば、減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤および流動化剤等が挙げられる。具体的には、メラミンスルホン酸系分散剤、ポリカルボン酸系分散剤およびナフタレンスルホン酸系分散剤等の分散剤が挙げられる。これらの中では、特にポリカルボン酸系の分散剤が好ましい。
分散剤の添加量は、セメントおよび膨張材等の粉体の合計重量に対して、1.0〜3.5質量%が好ましく、所要の流動性および初期強度の確保の観点から、1.5〜3.0質量%がより好ましい。
分散剤の添加方法としては、例えば、コンクリートプラントにおいて他の配合材料と併せて添加して混練する方法、あるいはコンクリート施工現場において最後に添加し混練する方法があるが、特にこれらに制限されるものではない。
(骨材)
本発明に用いられる骨材は、特に制限されるものではなく、通常のコンクリートの製造に使用される細骨材および粗骨材を何れも使用することができる。そのような細骨材および粗骨材として、例えば川砂、海砂、山砂、砕砂、人工細骨材、スラグ細骨材、再生細骨材、珪砂、川砂利、陸砂利、砕石、人工粗骨材、スラグ粗骨材および再生粗骨材等が挙げられる。
骨材の配合量は、単位量で1500〜2000kg/mであり、さらに1600〜1800kg/mとするのが、発熱および乾燥収縮の抑制ならびにワーカビリティ確保のバランスの点で好ましい。
また、全骨材の容積に対する細骨材の容積の占める割合(s/a)は、通常35〜50%であり、40〜45%であることがワーカビリティー確保の観点から好ましい。
(水)
本発明による水中不分離性コンクリート組成物は、水を用いて混練する。水の配合量(単位水量)は、150〜250kg/mとすることが、材料分離抵抗性を高め、かつ、乾燥収縮を抑制することから好ましい。混練には、コンクリートミキサを用いることが好ましい。
水とセメント+膨張材との重量比(W/P)は、通常40〜65%であり、45〜60%であることが、水和発熱低減および圧縮強度の確保の観点から好ましい。
(任意の混和剤)
さらに、本発明による水中不分離性コンクリート組成物は、本発明の効果を実質失わない範囲で、例えばモルタルやコンクリートに使用できる他の成分(混和剤(材))を含有するものであっても良い。このような成分として、具体的には、収縮低減剤、保水剤、防錆剤、空気連行剤、消泡剤、起泡剤、防水材、撥水剤、白華防止剤、凝結調整剤、硬化促進剤(材)、顔料、繊維、シリカフューム、スラグおよびフライアッシュ等が例示される。
<水中不分離性コンクリート硬化体>
本発明による水中不分離性コンクリート硬化体は、上記水中不分離性コンクリート組成物を硬化させることによって得ることができる。硬化は任意の方法によって行うことができるが、例えば、上記水中不分離性コンクリート組成物を混練し、その混練物を型枠等に流し込んだ後に養生することで硬化させてもよい。本発明による水中分離性コンクリート硬化体は、水中と気中のいずれでも硬化させることができ、その水中気中強度比は、土木学会で定められた規格であるJSCE−D 104−2013「コンクリート用水中不分離性混和剤品質規格(案)」に準拠して測定した場合、80%以上の高い値を示す。このことから、本願発明による水中不分離性コンクリート硬化体は、水中および気中で硬化させた場合の強度の差が小さく、海岸、海洋、港湾または河川に橋(橋脚)や防波堤等を建設する際に好適に使用することができる。さらに、従来の水中不分離性コンクリート硬化体よりも乾燥収縮が低減されているため、橋脚における干満帯等にも用いることができるという利点がある。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明が実施例により限定されるものではない。
<膨張材の調製>
珪石、バン土頁岩、酸化鉄、無水石膏および工業用生石灰の混合物を1400℃で、電気炉を用いて焼成し、これを粉砕し、遊離生石灰を50質量%含有する膨張性焼成物を作製した。この膨張性焼成物に含まれる遊離生石灰以外の主な鉱物は、珪酸三石灰(3CaO・SiO)および無水石膏(CaSO)である。作製した膨張性焼成物をボールミルで粉砕し、ブレーン比表面積の異なる3種類の粉砕した膨張性焼成物を得た。これらの膨張性焼成物80質量部とII型無水石膏(ブレーン比表面積 7,000cm/g)20質量部を、混合することにより石灰系膨張材(No.1〜3)を作製した。作製された各膨張材のブレーン比表面積は下記のとおりである。
・膨張材1: 5,080cm/g
・膨張材2: 4,110cm/g
・膨張材3: 3,540cm/g
<水中不分離性コンクリート組成物の調製>
次いで、本発明による水中不分離性コンクリート組成物の製造方法について説明する。まず、製造に用いた材料を下表にまとめる。
Figure 2016079058
上記の材料を用い、環境温度20℃にて、コンクリートミキサを用いて練り混ぜて水中不分離性コンクリート組成物を製造した。表2に製造したそれぞれの水中不分離性コンクリート組成物の配合を示す。なお、分散剤の配合量は、粉体量(P:セメント+膨張材)の重量に対する%表示とした。すなわち、分散剤の配合量(%)は以下の式で求めた値である。
分散剤の配合量(%)={分散剤(g)/[セメント(g)+膨張材(g)]}×100
Figure 2016079058
上記表2に記載の水中不分離性コンクリート組成物およびその硬化体について、各種特性を評価した。詳細を以下に説明する。
<懸濁物質量の測定>
水中不分離性コンクリート組成物を水中に投入した際の懸濁物質の量は、土木学会で定められた規格であるJSCE−D 104−2013「コンクリート用水中不分離性混和剤品質規格(案)」に準拠して測定した。測定方法を以下に簡潔に示す。
まず、水中不分離性コンクリート組成物の試料を、所定の形状の投入容器に500g計り取り、800mLの蒸留水中に10回に分けて投入した。全ての試料を水中に投入した後、3分間静置し、静かに上澄み液を約600mL分取した。分取した水を均一に混合し、その一部を正確に計り取って被検水とした。この被検水を濾過し、残渣(ろ物とも言う)を乾燥させて重量を測定した。懸濁物質量(mg/L)は、残渣の重量(mg)を被検水の量(L)で除して算出した。
<水中気中強度比の測定>
水中不分離性コンクリート組成物の硬化体の水中気中強度比は、土木学会で定められた規格であるJSCE−D 104−2013「コンクリート用水中不分離性混和剤品質規格(案)」に準拠して測定した。その際、気中での供試体の作製はJIS A 1132「8.コンクリート強度試験用供試体の作り方」に準拠して行い、水中での供試体の作製はJSCE−F 504「水中不分離性コンクリートの圧縮強度試験用円柱供試体の作り方」に準拠して行った。得られた各供試体の圧縮強度は、JIS A 1108「3.コンクリートの圧縮強度試験方法」に準拠して測定した。これらの手順の概要を以下に示す。
(気中での供試体の作製)
表2に記載の配合比の原料を混合してミキサを用いて練り混ぜた試料を、型枠(内径100mm、高さ200mm)の充填部内に流し込んだ。コンクリートが十分に硬化するまで、24時間放置し、その後型枠を外してコンクリート供試体を得た。その後、供試体を20℃水中養生し、材齢28日まで養生してから圧縮強度試験に用いた。
(水中での供試体の作製)
水槽いっぱいに水道水を入れ、その水槽の中に型枠の開口部が上を向くように、型枠を置いた。型枠は、気中での供試体の作製に用いたものと同じものを用いた。表2に記載の配合比の原料を混合してミキサを用いて練り混ぜた試料を、約10回に分けてその型枠の中に静かに投入した。試料を充填した型枠を水中から静かに取り出し、そのまま大気中に15分間静置した後、養生場所に移して2日間養生した。その後、供試体を型枠から取り外し、直ちに20℃水中養生を開始し、材齢28日まで養生してから圧縮強度試験に用いた。
(圧縮強度試験)
気中および水中で得られたそれぞれの供試体について、以下のように圧縮強度試験を行った。まず、測定に用いる供試体の直径および高さを正確に測定した。その後、供試体の表面を清掃し、加圧盤の中心に置き、供試体に衝撃を与えないように一様な速度で荷重を加えた。荷重を加える速度は、圧縮応力度の増加が毎秒0.6±0.4N/mmとなるように調整した。供試体が急激な変形を始めた後は荷重速度の調整を止め、供試体が破壊するまで荷重を加え続け、供試体が破壊されるまでに示された最大荷重を記録した。試験によって得られたデータを基に、供試体の圧縮強度を以下の式を用いて算出した。
Figure 2016079058
式中、fは圧縮強度(N/mm)を示し、Pは試験で得られた最大荷重(N)を示し、dは測定した供試体の直径(mm)を示す。
上記手順に従って気中および水中で得られたそれぞれの供試体の圧縮強度を算出し、水中気中強度比を求めた。水中気中強度比は、水中で得られた供試体の圧縮強度を気中で得られた供試体の圧縮強度で除し、百分率で表わしたものである。
<材齢6ヶ月長さ変化率の測定>
水中不分離性コンクリート組成物を硬化させて得た硬化体の材齢6ヶ月長さ変化率は、JIS A 1129「モルタル及びコンクリートの長さ変化測定方法」に準拠して測定した。試験に用いる供試体としては、100mm×100mm×400mmのサイズのものを用いた。供試体にゲージプラグを取り付け、温度20℃および相対湿度60%の環境下で6ヶ月間保存した後に長さの変化を測定した。長さ変化率は、数値が小さいほど好ましい。
上記の試験で得られた結果を表3に示す。
Figure 2016079058
<膨張材のブレーン比表面積の違いによる比較>
実施例1および4ならびに比較例2についての上記結果を基に、膨張材のブレーン比表面積の違いによる各種特性への影響を評価した(表4)。
Figure 2016079058
ブレーン比表面積が低い膨張材(膨張材3)を用いた比較例2では、懸濁物質量が67mg/lと大きく(すなわち、水中不分離性に劣る)、さらに水中気中強度比の値が77%と低いことが分かった。一方、ブレーン比表面積が4,000cm/g以上の膨張材(膨張材1および2)を用いた実施例1および4では、懸濁物質量が50mg/l以下と小さく(すなわち、水中不分離性に優れる)、水中気中強度比の値が大きく、かつ材齢6カ月における長さ変化率も低減された、バランスの良い水中不分離性コンクリートが得られることが分かった。
<膨張材の単位量の違いによる比較>
実施例1、2および3、ならびに比較例3および4についての上記結果を基に、膨張材の単位量の違いによる各種特性への影響を評価した(表5)。
Figure 2016079058
膨張材の単位量が10kg/mと少ない比較例3では、懸濁物質量、水中気中強度、長さ変化率のいずれの特性も良くないことが分かった。また、膨張材の単位量を30kg/mに増加させた比較例4では、材齢28日の気中及び水中における圧縮強度が大きく低下しており好ましくない。一方、実施例1、2および3では、全ての特性において良好な結果が得られた。
<増粘剤の種類と単位量の違いによる比較>
実施例7および8、ならびに比較例5および6についての上記結果を基に、増粘剤の種類と単位量の違いによる各種特性への影響を評価した(表6)。
Figure 2016079058
増粘剤の種類によって好適な単位量は異なるが、0.8〜3.0kg/mで良好な水中不分離性コンクリート組成物が得られることが分かった。

Claims (5)

  1. セメントと、
    膨張材と、
    増粘剤と
    を含む水中不分離性コンクリート組成物であって、
    前記膨張材のブレーン比表面積が4,000g/cm〜7,000g/cmであり、
    前記膨張材の配合量が、単位量で12〜28kg/mであり、かつ
    前記増粘剤の配合量が、単位量で0.8〜3.0kg/m
    であることを特徴とする、水中不分離性コンクリート組成物。
  2. 分散剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の水中不分離性コンクリート組成物。
  3. 前記増粘剤が、セルロース系増粘剤、ガム系増粘剤およびアクリル系増粘剤から選択される1種以上の増粘剤である、請求項1または2に記載の水中不分離性コンクリート組成物。
  4. 懸濁物質量が50mg/l以下であり、硬化後の材齢28日における水中気中強度比が80%以上であり、かつ、材齢6ヶ月の長さ変化率が800×10−6以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水中不分離性コンクリート組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の水中不分離性コンクリート組成物を硬化して得られる、水中不分離性コンクリート硬化体。
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