JP2016074806A - 接着性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温で硬化させた場合であっても、冷間で安定して高い剥離強度が得られ、しかも、油塗布面に対しても優れた接着性を有する接着性樹脂組成物を提供すること。【解決手段】本発明の接着性樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、水酸基含有イミダゾール化合物を含有する硬化促進剤と、ゴム成分と、を含有することを特徴とする。【選択図】なし
Description
本発明は、接着性樹脂組成物に関し、詳しくは、エポキシ樹脂を含有する接着性樹脂組成物に関する。
従来、エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物が提案されている(特許文献1参照)。このエポキシ樹脂組成物は、硬化物が電気特性、耐熱性、接着性、耐湿性、耐水性、及び成形性などに優れるので、電気・電子部品、自動車部品、電気機器、繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics;FRP)、スポーツ用品、構造用材料、塗料などの分野において様々な異なる基板を結合するための接着剤として広く用いられている。特許文献1に記載のエポキシ樹脂組成物は、ウレタン変性エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂と、ジシアンジアミドと、窒素含有硬化促進剤と、カルボン酸変性の粉末ゴム成分とを含有することにより、ガラス転移点が高く、低温で硬化させても、冷間で安定して高い剥離強度が得られている。
ところで、特許文献1に記載されたエポキシ樹脂組成物においては、防錆油などが塗布された金属面に対する接着性が必ずしも十分に得られない場合がある。このため、防錆油などの油が塗布された金属面に対しても優れた接着性を有する接着性樹脂組成物が望まれている。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、低温で硬化させた場合であっても、冷間で安定して高い剥離強度が得られ、しかも、油塗布面に対しても優れた接着性を有する接着性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明の接着性樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、水酸基含有イミダゾール化合物を含有する硬化促進剤と、ゴム成分と、を含有することを特徴とする。
この接着性樹脂組成物によれば、硬化促進剤に含まれる極性基としての水酸基を含有する水酸基含有イミダゾール化合物が被接着体との接着面側に偏在するので、金属表面の油塗布面に対しても優れた接着性が得られる。これにより、この接着性樹脂組成物は、低温で硬化させた場合であっても、冷間で安定して高い剥離強度が得られ、しかも、油塗布面に対しても優れた接着性を有することが可能となる。
本発明の接着性樹脂組成物においては、前記水酸基含有イミダゾール化合物が、下記一般式(1)で表されることが好ましい。この構成により、被接着体の表面にイミダゾール化合部が効率良く偏在するので、極性を有する金属表面との接着性が更に良好となり、油塗布面に対してもより優れた接着性を有することが可能となる。
(式(1)中、R1及びR2は、水素、炭素数1以上5以下の分岐を有していてもよいアルキル基又は炭素数1以上5以下の分岐を有していてもよいヒドロキシアルキル基であり、R3は、水素、炭素数1以上10以下のアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。R1及びR2は、同一であってもよく、相互に異なっていてもよい。)
本発明の接着性樹脂組成物においては、前記エポキシ樹脂がウレタン変性エポキシ樹脂を含有することが好ましい。この構成により、低温で硬化させた場合であっても、冷間で安定して更に高い剥離強度が得られ、しかも、油塗布面に対しても一層優れた接着性を有する。
本発明の接着性樹脂組成物においては、前記ゴム成分が、カルボン酸変性のゴム成分及びエポキシ変性のゴム成分の少なくとも1種を含有することが好ましい。この構成により、低温で硬化させた場合であっても、ゴム成分により冷間で安定して高い剥離強度が得られ、しかも、油塗布面に対しても一層優れた接着性を有する。
本発明の接着性樹脂組成物においては、前記硬化剤が、ジシアンジアミドを含有することが好ましい。低温で硬化させた場合であっても、ジシアンジアミドにより冷間で安定して更に高い剥離強度が得られ、しかも、油塗布面に対しても一層優れた接着性を有する。
本発明の接着性樹脂組成物においては、前記エポキシ樹脂を100質量部と、前記硬化促進剤を0.1質量部以上20質量部以下と、前記ゴム成分を1質量部以上50質量部以下と、前記硬化剤を1質量部以上20質量部以下とを含有することが好ましい。この構成により、各成分の配合量が適度な範囲となるので、低温で硬化させた場合であっても、冷間で安定してより更に高い剥離強度が得られ、しかも、油塗布面に対してもより一層優れた接着性を有する。
本発明によれば、低温で硬化させた場合であっても、冷間で安定して高い剥離強度が得られ、しかも、油塗布面に対しても優れた接着性を有する接着性樹脂組成物を実現できる。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。なお、以下実施の形態により本発明は何ら限定されるものではない。また以下の実施の形態における各種構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
本発明に係る接着性樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、水酸基含有イミダゾール化合物を含有する硬化促進剤と、ゴム成分と、を含有する。
この接着性樹脂組成物によれば、硬化促進剤に含まれる極性基としての水酸基を含有する水酸基含有イミダゾール化合物が被接着体との接着面側に偏在するので、金属表面の油塗布面に対しても優れた接着性が得られる。これにより、この接着性樹脂組成物は、低温で硬化させた場合であっても、冷間で安定して高い剥離強度が得られ、しかも、油塗布面に対しても優れた接着性を有することが可能となる。以下本実施の形態に係る接着性樹脂組成物の各成分について詳細に説明する。
<エポキシ樹脂>
エポキシ樹脂としては、エポキシ基を2個以上有する化合物であれば特に制限はなく、本発明の効果を奏する範囲で各種エポキシ樹脂を用いることが可能である。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂などのビスフェニル基を有するエポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ポリアルキレングリコール型などのアルキレングリコール型のエポキシ樹脂、ナフタレン環を有するエポキシ樹脂、フルオレン基を有するエポキシ樹脂などの二官能型のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、及びテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂のような多官能型のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ダイマー酸のような合成脂肪酸のグリシジルエステル型エポキシ樹脂、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(TGDDM)、テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、及びN,N−ジグリシジルアニリンのようなグリシジルアミノ基を有する芳香族エポキシ樹脂、トリシクロデカン環を有するエポキシ樹脂などが挙げられる。トリシクロデカン環を有するエポキシ樹脂は、ジシクロペンタジエンとm−クレゾールのようなクレゾール類又はフェノール類とを重合させた後、エピクロルヒドリンを反応させる製造方法によって得られる。エポキシ樹脂としては、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂としては、エポキシ基を2個以上有する化合物であれば特に制限はなく、本発明の効果を奏する範囲で各種エポキシ樹脂を用いることが可能である。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂などのビスフェニル基を有するエポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ポリアルキレングリコール型などのアルキレングリコール型のエポキシ樹脂、ナフタレン環を有するエポキシ樹脂、フルオレン基を有するエポキシ樹脂などの二官能型のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、及びテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂のような多官能型のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ダイマー酸のような合成脂肪酸のグリシジルエステル型エポキシ樹脂、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(TGDDM)、テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、及びN,N−ジグリシジルアニリンのようなグリシジルアミノ基を有する芳香族エポキシ樹脂、トリシクロデカン環を有するエポキシ樹脂などが挙げられる。トリシクロデカン環を有するエポキシ樹脂は、ジシクロペンタジエンとm−クレゾールのようなクレゾール類又はフェノール類とを重合させた後、エピクロルヒドリンを反応させる製造方法によって得られる。エポキシ樹脂としては、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、エポキシ当量が180g/eq以上300g/eq以下の範囲内のものが好ましい。ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、例えば、商品名:EP−4100E(ADEKA社製)などを用いることができる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂の量としては、接着性樹脂組成物の粘度調整が容易となる観点から、全エポキシ樹脂中、0質量%超え50質量%以下が好ましく、0質量%超え40質量%以下がより好ましく、0質量%超え35質量%以下が更に好ましい。
ウレタン変性エポキシ樹脂としては、分子中にウレタン結合と2個以上のエポキシ基とを有する樹脂であれば特に制限はない。ウレタン変性エポキシ樹脂としては、ウレタン結合とエポキシ基とを効率的に1分子中に導入することができる観点から、ポリヒドロキシ化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させて得られるイソシアネート基を有するウレタン結合含有化合物と、ヒドロキシ基含有エポキシ化合物とを反応させて得られるウレタン変性エポキシ樹脂が好ましい。この反応により、末端に遊離のイソシアネート基を含有するウレタンプレポリマーが得られる。これに1分子中に少なくとも1個の水酸基を有するエポキシ樹脂(例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、脂肪族多価アルコールのジグリシジルエーテルおよびグリシドールなど)を反応させることでウレタン変性エポキシ樹脂が得られる。
ウレタン変性エポキシ樹脂の製造に用いるポリヒドロキシ化合物としては、例えば、ポリプロピレングリコールなどのポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ヒドロキシカルボン酸とアルキレンオキシドとの付加物、ポリブタジエンポリオール、ポリオレフィンポリオールなどが挙げられる。これらの中でも、密着性及び柔軟性に優れた硬化物が得られる観点から、ポリエーテルポリオールが好ましい。
ポリヒドロキシ化合物の分子量としては、柔軟性と硬化性とのバランスに優れる観点から、重量平均分子量が300以上5000以下のものが好ましく、500以上2000以下のものがより好ましい。
ウレタン変性エポキシ樹脂の製造に用いるポリイソシアネート化合物としては、イソシアネート基を2個以上有する化合物であれば特に制限はない。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、脂肪族ポリマーイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、及び芳香族炭化水素基を有するポリイソシアネート基が挙げられる。これらの中でも、芳香族ポリイソシアネートが好ましい。芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、及びナフタレンジイソシアネートが挙げられる。
ウレタン変性エポキシ樹脂としては、エポキシ当量が200g/eq以上250g/eq以下の範囲内のものが好ましい。ウレタン変性エポキシ樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。ウレタン変性エポキシ樹脂としては、例えば、商品名:EPU−78−11(ADEKA社製)などを用いることができる。
ウレタン変性エポキシ樹脂の配合量としては、接着性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物の柔軟性が向上する観点、及び未硬化物の粘度のバランスが良好になる観点から、全エポキシ樹脂中、1質量%以上100質量%以下が好ましく、5質量%以上90質量%以下がより好ましく、10質量%以上90質量%以下が更に好ましい。
ウレタン変性エポキシ樹脂の製造方法については、特に制限はない。ウレタン変性エポキシ樹脂は、例えば、多量のエポキシ樹脂中でウレタン化合物とエポキシ化合物とを反応させることにより製造することができる。ウレタン変性エポキシ樹脂を製造する際に使用されるエポキシ化合物に特に制限はない。エポキシ化合物としては、例えば、従来公知のものが挙げられる。
ゴム変性エポキシ樹脂としては、分子内にエポキシ基を2個以上有し、かつ、骨格がゴムであるエポキシ樹脂であるものであれば特に制限はない。骨格を形成するゴムとしては、例えば、ポリブタジエン、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、両末端にカルボキシル基を有するカルボキシル基末端ブタジエン−アクリロニトリルゴム(CTBN:carboxyl-terminated butadiene-nitrile rubber)、両末端にアミノ基を有するアミノ基末端ブタジエン−アクリロニトリルゴム(ATBN:amino-terminated butadiene-nitrile rubber)、両末端にカルボキシル基及びアミノ基を有するカルボキシル末端及びアミノ基末端ポリブタジエン−アクリロニトリルゴムなどが挙げられる。ゴム変性エポキシ樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ゴム変性エポキシ樹脂としては、例えば、商品名:EPICLON TSR−960(DIC社製)及び商品名:EPR−1309(ADEKA社製)などのCTBNゴム変性エポキシを用いることができる。
ゴム変性エポキシ樹脂としては、エポキシ当量が200g/eq以上500g/eq以下の範囲内のものが好ましい。
ゴム変性エポキシ樹脂の製造方法については、特に制限はない。ゴム変性エポキシ樹脂は、例えば、多量のエポキシ化合物とゴムとを反応させることにより製造することができる。ゴム変性エポキシ樹脂を製造する際に使用されるエポキシ化合物としては、特に制限はなく、従来公知のものを用いることができる。
ゴム変性エポキシ樹脂の配合量としては、接着性樹脂組成物の粘度調整が容易となる観点から、全エポキシ樹脂中、1質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上35質量%以下がより好ましい。
接着性樹脂組成物においては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、及びゴム変性エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種のエポキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を含むことにより、エポキシ樹脂の粘度を低下させることができるので、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の配合量を変化させることにより、エポキシ樹脂の粘度調整ができる。また、エポキシ樹脂として、ゴム変性エポキシ樹脂を含むことにより、エポキシ樹脂の粘度を上昇させることができるので、ゴム変性エポキシ樹脂の配合量によりエポキシ樹脂の粘度調整ができる。ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、及びゴム変性エポキシ樹脂の配合量の比率は任意に設定することができる。
<硬化剤>
硬化剤としては、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられる各種化合物を用いることができる。硬化剤としては、例えば、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミンなどの芳香族アミン、脂肪族アミン、イソホロンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、メラミン、グアナミン、ジシアンジアミド、テトラメチルグアニジン、及びチオ尿素付加アミン、並びにこれらの異性体及び変性体などのアミン化合物、2−n−ヘプタデシルイミダゾールなどのイミダゾール誘導体を含むイミダゾール化合物、イソフタル酸ジヒドラジド、N,N−ジアルキル尿素誘導体、N,N−ジアルキルチオ尿素誘導体、テトラヒドロ無水フタル酸のような酸無水物などの酸無水物、ノボラック樹脂、フェノール、メルカプタン、ルイス酸アミン錯体、オニウム塩、三フッ化ホウ素錯化合物、トリスジメチルアミノメチルフェノール、ポリチオールなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、冷間で安定して高い剥離強度が得られる観点及び金属表面の油塗布面との接着性が良好になる観点から、アミン化合物が好ましく、アミン化合物の中でも、ジシアンジアミドがより好ましい。また、硬化剤としては、ジシアンジアミド(商品名「DICY−15」、三菱化学社製)などの市販品を用いることもできる。
硬化剤としては、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられる各種化合物を用いることができる。硬化剤としては、例えば、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミンなどの芳香族アミン、脂肪族アミン、イソホロンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、メラミン、グアナミン、ジシアンジアミド、テトラメチルグアニジン、及びチオ尿素付加アミン、並びにこれらの異性体及び変性体などのアミン化合物、2−n−ヘプタデシルイミダゾールなどのイミダゾール誘導体を含むイミダゾール化合物、イソフタル酸ジヒドラジド、N,N−ジアルキル尿素誘導体、N,N−ジアルキルチオ尿素誘導体、テトラヒドロ無水フタル酸のような酸無水物などの酸無水物、ノボラック樹脂、フェノール、メルカプタン、ルイス酸アミン錯体、オニウム塩、三フッ化ホウ素錯化合物、トリスジメチルアミノメチルフェノール、ポリチオールなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、冷間で安定して高い剥離強度が得られる観点及び金属表面の油塗布面との接着性が良好になる観点から、アミン化合物が好ましく、アミン化合物の中でも、ジシアンジアミドがより好ましい。また、硬化剤としては、ジシアンジアミド(商品名「DICY−15」、三菱化学社製)などの市販品を用いることもできる。
接着性樹脂組成物中における硬化剤の含有量に特に制限はない。硬化剤の配合量の最適量は、硬化剤の種類によって異なり、例えば「総説 エポキシ樹脂 基礎編」(エポキシ樹脂技術協会、2003年発行)の第3章に記載された各種硬化剤の配合量の最適量を用いることができる。
硬化剤の配合量は、冷間で安定して高い剥離強度が得られる観点及び金属表面の油塗布面との接着性が良好になる観点から、エポキシ樹脂100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上が更に好ましく、また20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、12.5質量部以下がより好ましい。以上を考慮すると、硬化剤の配合量としては、エポキシ樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下が好ましく、3質量部以上15質量部以下がより好ましく、5質量部以上12.5質量部以下が更に好ましい。
また、硬化剤の配合量は、冷間で安定して高い剥離強度が得られる観点及び金属表面の油塗布面との接着性が良好になる観点から、接着性樹脂組成物の全質量に対して、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましく、また15質量%以下が好ましく、12.5質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましい。以上を考慮すると、硬化剤の配合量としては、接着性樹脂組成物の全質量に対して、1質量%以上15質量%以下が好ましく、3質量%以上12.5質量%以下がより好ましく、5質量%以上10質量%以下が更に好ましい。
<硬化促進剤>
接着性樹脂組成物は、硬化促進剤として水酸基含有イミダゾール化合物を含有する。これにより、接着性樹脂組成物中で極性基である水酸基を含有する水酸基含有イミダゾール化合物が被接着体となる金属表面側に偏在する。この結果、被接着体が表面に油が塗布された金属である場合であっても、接着性樹脂組成物と金属との高い接着性が得られる。
接着性樹脂組成物は、硬化促進剤として水酸基含有イミダゾール化合物を含有する。これにより、接着性樹脂組成物中で極性基である水酸基を含有する水酸基含有イミダゾール化合物が被接着体となる金属表面側に偏在する。この結果、被接着体が表面に油が塗布された金属である場合であっても、接着性樹脂組成物と金属との高い接着性が得られる。
水酸基含有イミダゾール化合物としては、本発明の効果を奏する範囲で各種イミダゾール化合部を用いることができる。これらの中でも、水酸基含有イミダゾール化合物としては、下記一般式(1)で表されるイミダゾール化合物が好ましい。
(式(1)中、R1及びR2は、水素、炭素数1以上5以下の分岐を有していてもよいアルキル基又は炭素数1以上5以下の分岐を有していてもよいヒドロキシアルキル基であり、R3は、水素、炭素数1以上10以下のアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。R1及びR2は、同一であってもよく、相互に異なっていてもよい。)
上記式(1)中、R1としては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基、1−ヒドロキシペンチル基、2−ヒドロキシペンチル基、3−ヒドロキシペンチル基、4−ヒドロキシペンチル基、5−ヒドロキシペンチル基、1,1−ジヒドロキシメチル基、1,1−ジヒドロキシエチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、2,2−ジヒドロキシエチル基、1,1−ジヒドロキシプロピル基、1,2−ジヒドロキシプロピル基、1,3−ジヒドロキシプロピル基、1,1−ジヒドロキシブチル基、1,2−ジヒドロキシブチル基、1,3−ジヒドロキシブチル基、1,4−ジヒドロキシブチル基、1,1−ジヒドロキシペンチル基、1,2−ジヒドロキシペンチル基、1,3−ジヒドロキシペンチル基、1,4−ジヒドロキシペンチル基、及び1,5−ジヒドロキシペンチル基などが挙げられる。これらの中でも、R1としては、金属表面の油塗布面との接着性が良好になる観点から、メチル基及びヒドロキシメチル基が好ましい。
上記式(1)中、R2としては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基、1−ヒドロキシペンチル基、2−ヒドロキシペンチル基、3−ヒドロキシペンチル基、4−ヒドロキシペンチル基、5−ヒドロキシペンチル基、1,1−ジヒドロキシメチル基、1,1−ジヒドロキシエチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、2,2−ジヒドロキシエチル基、1,1−ジヒドロキシプロピル基、1,2−ジヒドロキシプロピル基、1,3−ジヒドロキシプロピル基、1,1−ジヒドロキシブチル基、1,2−ジヒドロキシブチル基、1,3−ジヒドロキシブチル基、1,4−ジヒドロキシブチル基、1,1−ジヒドロキシペンチル基、1,2−ジヒドロキシペンチル基、1,3−ジヒドロキシペンチル基、1,4−ジヒドロキシペンチル基、及び1,5−ジヒドロキシペンチル基などが挙げられる。これらの中でも、R2としては、金属表面の油塗布面との接着性が良好になる観点から、ヒドロキシメチル基が好ましい。
上記式(1)中、R3としては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、フェニル基、メタトルイル基、及びパラトルイル基などが挙げられる。これらの中でも、R3としては、金属表面の油塗布面との接着性が良好になる観点から、フェニル基が好ましい。
上記一般式(1)で表される水酸基含有イミダゾール化合物としては、例えば、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業社製 2PHZ−PW)、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業社製 2P4MHZ−PW)、2−メチル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業社製 2MHZ)、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ベンジル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−パラトルイル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−メタトルイル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−パラトルイル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、及び2−メタトルイル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾールなどの1H−イミダゾールの5位の水素をヒドロキシメチル基で置換し、かつ、2位の水素をフェニル基又はトルイル基で置換したイミダゾール化合物が挙げられる。これらの中でも、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、及び2−メチル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾールが好ましい。これらのイミダゾール化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
水酸基含有イミダゾール化合物の配合量は、金属表面の油塗布面との接着性が良好になる観点及び接着性樹脂組成物の調製時の発泡を防ぐ観点から、エポキシ樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、0.3質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上が更に好ましく、また20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、12.5質量部以下がより好ましい。以上を考慮すると、水酸基含有イミダゾール化合物の配合量としては、エポキシ樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下が好ましく、0.3質量部以上15質量部以下がより好ましく、0.5質量部以上12.5質量部以下が更に好ましい。
水酸基含有イミダゾール化合物の配合量は、金属表面の油塗布面との接着性が良好になる観点及び接着性樹脂組成物の調製時の発泡を防ぐ観点から、接着性樹脂組成物の全質量に対して、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましく、また15質量%以下が好ましく、12.5質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましい。以上を考慮すると、水酸基含有イミダゾール化合物の配合量としては、接着性樹脂組成物の全質量に対して、0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、0.3質量%以上12.5質量%以下がより好ましく、0.5質量%以上10質量%以下が更に好ましい。
また、接着性樹脂組成物は、水酸基含有イミダゾール化合物以外の硬化促進剤(以下、硬化助剤又は硬化触媒ともいう。)を含むことが好ましい。ここで、硬化促進剤とは、接着性樹脂組成物を硬化させるための縮合触媒である。硬化促進剤は、硬化剤による硬化反応を促進する機能を有する。
水酸基含有イミダゾール化合物以外の硬化促進剤としては、例えば、1,1’−(4−メチル−1,3−フェニレン)ビス(3,3−ジメチル尿素)、フェニル−ジメチル尿素、メチレン−ジフェニル−ビスジメチル尿素、3−フェニル−1,1−ジメチル尿素、3−(3,4−ジクロロフェニル)−N,N−ジメチル尿素(DCMU)、及び3−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−1,1−ジメチル尿素などの尿素誘導体、第三級アミンなどのアミン化合物及びアミン化合物誘導体を含むアミン系化合物、2−ウンデシルイミダゾール(C11Z)、2−へプタデシルイミダゾール(C17Z)、2−フェニルイミダゾール(2PZ)、及び1,2−ジメチルイミダゾール(1,2DMZ)などのイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物の誘導体を含むイミダゾール系化合物、三フッ化モノエチルアミン、三塩化アミン錯体などのアミン錯体及びアミンアダクトなどが挙げられる。これらの中もアミン化合物及びアミン化合物誘導体を含むアミン系化合物、イミダゾール化合物及びイミダゾール化合物誘導体を含むイミダゾール系化合物などが好ましい。水酸基含有イミダゾール化合物以外の硬化促進剤としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。水酸基含有イミダゾール化合物以外の硬化促進剤としては、アミン系化合物及びイミダゾール系化合物を併用することが好ましい。また、水酸基含有イミダゾール化合物以外の硬化促進剤としては、例えば、3−(3,4−ジクロロフェニル)−N,N−ジメチル尿素(商品名「DCMU−99」、保土ヶ谷化学社製)、2−へプタデシルイミダゾール(商品名「C17Z」、四国化成工業社製)、及びアミンアダクト(商品名「アミキュアPN−23」、味の素ファインテクノ社製)などの市販品を用いることもできる。
アミン系の硬化促進剤とイミダゾール系の硬化促進剤との含有比率は、5対1〜1対5が好ましく、1対1が更に好ましい。硬化促進剤の含有量が上記範囲内であれば、接着性樹脂組成物は低温で硬化させても常温、熱間で安定して高い剥離強度が得られる。なお、低温とは130℃以上150℃以下、常温とは20℃以上30℃以下、熱間とは80℃以上130℃未満のことを示す。
水酸基含有イミダゾール化合物以外の硬化促進剤の配合量は、金属表面の油塗布面との接着性が良好になる観点から、エポキシ樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、0.3質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上が更に好ましく、また15質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、5質量部以下がより好ましい。以上を考慮すると、水酸基含有イミダゾール化合物の硬化促進剤の配合量としては、エポキシ樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上15質量部以下が好ましく、0.3質量部以上10質量部以下がより好ましく、0.5質量部以上5質量部以下が更に好ましい。
水酸基含有イミダゾール化合物の配合量は、金属表面の油塗布面との接着性が良好になる観点及び接着性樹脂組成物の調製時の発泡を防ぐ観点から、接着性樹脂組成物の全質量に対して、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましく、また10質量%以下が好ましく、7.5質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。以上を考慮すると、水酸基含有イミダゾール化合物以外の硬化促進剤の配合量としては、接着性樹脂組成物の全質量に対して、0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.3質量%以上7.5質量%以下がより好ましく、0.5質量%以上5質量%以下が更に好ましい。
水酸基含有イミダゾール化合物を含む硬化促進剤全体の配合量は、金属表面の油塗布面との接着性が良好になる観点及び接着性樹脂組成物の調製時の発泡を防ぐ観点から、エポキシ樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、0.3質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上が更に好ましく、また20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、12.5質量部以下がより好ましい。以上を考慮すると、水酸基含有イミダゾール化合物を含む硬化促進剤全体の配合量は、エポキシ樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下が好ましく、0.3質量部以上15質量部以下がより好ましく、0.5質量部以上12.5質量部以下が更に好ましい。
水酸基含有イミダゾール化合物を含む硬化促進剤全体の配合量は、金属表面の油塗布面との接着性が良好になる観点及び接着性樹脂組成物の調製時の発泡を防ぐ観点から、接着性樹脂組成物の全質量に対して、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましく、また15質量%以下が好ましく、12.5質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましい。以上を考慮すると、水酸基含有イミダゾール化合物を含む硬化促進剤全体の配合量は、接着性樹脂組成物の全質量に対して、0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、0.3質量%以上12.5質量%以下がより好ましく、0.5質量%以上10質量%以下が更に好ましい。
<ゴム成分>
ゴム成分としては、本発明の効果を奏する範囲で各種ゴム成分を用いることができる。ゴム成分としては、接着性樹脂組成物の調製時の操作性の観点から、粉末状のゴム成分が好ましい。また、ゴム成分としては、金属表面の油塗布面との接着性が良好になる観点から、カルボン酸変性したゴム成分及びエポキシ変性したゴム成分の少なくとも1種を含むことが好ましく、カルボン酸変性したゴム成分がより好ましい。カルボン酸変性したゴム成分及びエポキシ変性したとしては、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム粒子が挙げられる。アクリロニトリルブタジエンゴム粒子は、アクリロニトリルとブタジエンとを共重合した架橋NBR粒子及びアクリロニトリルとブタジエンとアクリル酸などのカルボン酸とを共重合したものが挙げられる。架橋NBR粒子は、アクリロニトリルとブタジエンとを共重合させる段階で、部分的に架橋させて粒子状にしたものである。またアクリル酸及びメタクリル酸などのカルボン酸を併せて共重合することにより、カルボン酸変性架橋NBR粒子を得ることができる。カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子の市販品としては、例えば、JSR社製のXER−91P(平均粒子径0.07μm)が挙げられる。また、エポキシ変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子の市販品としては、例えば、JSR社製のXER−81P(平均粒子径0.3μm)が挙げられる。
ゴム成分としては、本発明の効果を奏する範囲で各種ゴム成分を用いることができる。ゴム成分としては、接着性樹脂組成物の調製時の操作性の観点から、粉末状のゴム成分が好ましい。また、ゴム成分としては、金属表面の油塗布面との接着性が良好になる観点から、カルボン酸変性したゴム成分及びエポキシ変性したゴム成分の少なくとも1種を含むことが好ましく、カルボン酸変性したゴム成分がより好ましい。カルボン酸変性したゴム成分及びエポキシ変性したとしては、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム粒子が挙げられる。アクリロニトリルブタジエンゴム粒子は、アクリロニトリルとブタジエンとを共重合した架橋NBR粒子及びアクリロニトリルとブタジエンとアクリル酸などのカルボン酸とを共重合したものが挙げられる。架橋NBR粒子は、アクリロニトリルとブタジエンとを共重合させる段階で、部分的に架橋させて粒子状にしたものである。またアクリル酸及びメタクリル酸などのカルボン酸を併せて共重合することにより、カルボン酸変性架橋NBR粒子を得ることができる。カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子の市販品としては、例えば、JSR社製のXER−91P(平均粒子径0.07μm)が挙げられる。また、エポキシ変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子の市販品としては、例えば、JSR社製のXER−81P(平均粒子径0.3μm)が挙げられる。
接着性樹脂組成物は、カルボン酸変性したゴム成分以外のゴム成分としては、例えば、コアシェル型ゴム粒子、スチレンブタジエンゴム粒子、アクリルゴム粒子などが挙げられる。コアシェル型ゴム粒子は、粒子がコア層及びシェル層を有するゴム粒子である。コアシェル型ゴム粒子としては、例えば、外層のシェル層がガラス状ポリマー、内層のコア層がゴム状ポリマーで構成される2層構造のゴム粒子、及び外層のシェル層がガラス状ポリマー、中間層がゴム状ポリマー、コア層がガラス状ポリマーで構成される3層構造のゴム粒子が挙げられる。ガラス状ポリマーは、例えば、メタクリル酸メチルの重合物、アクリル酸メチルの重合物、及びスチレンの重合物などで構成される。ゴム状ポリマー層は、例えば、ブチルアクリレート重合物(ブチルゴム)、シリコーンゴム、及びポリブタジエンなどで構成される。コアシェル型ゴム粒子の市販品としては、例えば、商品名:IM−601(ガンツ化成社製、平均粒子径0.2〜0.3μm)などが挙げられる。スチレンブタジエンゴム(SBR)粒子の市販品としては、例えば、商品名:XSK−500(JSR社製、平均粒子径0.5μm)などが挙げられる。アクリルゴム粒子の市販品としては、商品名:メタブレンW300A(三菱レイヨン社製、平均粒子径0.1μm)、及び商品名:W450A(三菱レイヨン社製、平均粒子径0.5μm)などを挙げることができる。
ゴム成分の平均粒子径は、0.005μm以上0.6μm以下が好ましく、0.05μm以上0.6μm以下がより好ましい。ゴム成分の製造方法に特に制限はなく、従来公知の各種製造方法によって製造することができる。
ゴム成分の配合量は、低温で硬化させても冷間で安定して高い剥離強度が得られる観点から、エポキシ樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましく、2質量部以上が更に好ましく、また50質量部以下が好ましく、47.5質量部以下がより好ましく、45質量部以下がより好ましい。以上を考慮すると、ゴム成分の配合量は、エポキシ樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上50質量部以下が好ましく、1質量部以上47.5質量部以下がより好ましく、2質量部以上45質量部以下が更に好ましい。
ゴム成分の配合量は、低温で硬化させても冷間で安定して高い剥離強度が得られる観点から、接着性樹脂組成物の全質量に対して、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上が更に好ましく、また40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。以上を考慮すると、ゴム成分は、接着性樹脂組成物の全質量に対して、0.5質量%以上40質量%以下が好ましく、1質量%以上35質量%以下がより好ましく2質量%以上30質量%以下が更に好ましい。
<その他の成分>
接着性樹脂組成物は、更にリン酸エステルを含んでいてもよい。リン酸エステルとしては、オキシ塩化リン及びフェノール類又はフェノール類とアルコール類の混合物との反応により生成する化合物群である芳香族系のリン酸エステルが好適に用いられる。芳香族リン酸エステルとしては、例えば、トリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリキシレニルホスフェート(TXP)、クレジルジフェニルホスフェート(CDP)、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート(EHDP)、ブチル化フェニルホスフェート:[例えばt−ブチルフェニルジフェニルホスフェート(BDP)、ビス−(t−ブチルフェニル)フェニルホスフェート(BBDP)、トリス−(t−ブチルフェニル)ホスフェート(TBDP)]、プロピル化フェニルホスフェート:[例えばイソプロピルフェニルジフェニルホスフェート(IPP)、ビス−(イソプロピルフェニル)ジフェニルホスフェート(BIPP)、及びトリス−(イソプロピルフェニル)ホスフェート(TIPP)]などが挙げられる。これらの中でも、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリキシレニルホスフェート(TXP)、及びクレジルジフェニルホスフェート(CDP)が好適に用いられる。リン酸エステルは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
接着性樹脂組成物は、更にリン酸エステルを含んでいてもよい。リン酸エステルとしては、オキシ塩化リン及びフェノール類又はフェノール類とアルコール類の混合物との反応により生成する化合物群である芳香族系のリン酸エステルが好適に用いられる。芳香族リン酸エステルとしては、例えば、トリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリキシレニルホスフェート(TXP)、クレジルジフェニルホスフェート(CDP)、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート(EHDP)、ブチル化フェニルホスフェート:[例えばt−ブチルフェニルジフェニルホスフェート(BDP)、ビス−(t−ブチルフェニル)フェニルホスフェート(BBDP)、トリス−(t−ブチルフェニル)ホスフェート(TBDP)]、プロピル化フェニルホスフェート:[例えばイソプロピルフェニルジフェニルホスフェート(IPP)、ビス−(イソプロピルフェニル)ジフェニルホスフェート(BIPP)、及びトリス−(イソプロピルフェニル)ホスフェート(TIPP)]などが挙げられる。これらの中でも、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリキシレニルホスフェート(TXP)、及びクレジルジフェニルホスフェート(CDP)が好適に用いられる。リン酸エステルは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
リン酸エステルの配合量は、接着性樹脂組成物は貯蔵安定性と強度とのバランスに優れる観点から、エポキシ樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下が好ましく、5質量部以上20質量部以下がより好ましい。
また、接着性樹脂組成物は、本発明の効果を奏する範囲で、必要に応じて、各種の添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、充填剤、反応遅延剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料、染料、可塑剤、シランカップリング剤、揺変性付与剤、接着付与剤、難燃剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、分散剤、脱水剤、及び溶剤などが挙げられる。
充填剤としては、各種形状の有機充填材及び無機充填材が挙げられる。充填材としては、例えば、炭酸カルシウム、ろう石クレー、カオリンクレー、焼成クレー、ケイ砂、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ、珪藻土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム;炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、カーボンブラック、脂肪酸、樹脂酸、脂肪酸エステル処理物、及び脂肪酸エステルウレタン化合物処理物などが挙げられる。
反応遅延剤としては、例えば、アルコール系化合物などが挙げられる。老化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物などが挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、及びブチルヒドロキシアニソール(BHA)などが挙げられる。
顔料としては、各種無機顔料及び各種有機顔料が挙げられる。無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩及びカーボンブラックなどが挙げられる。有機顔料としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、ジオキサジン顔料、アントラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、キノナフタロン顔料、アントラキノン顔料、チオインジゴ顔料、ベンズイミダゾロン顔料及びイソインドリン顔料などが挙げられる。
染料としては、例えば、黒色染料、黄色染料、赤色染料、青色染料、及び褐色染料などが挙げられる。
可塑剤としては、例えば、ポリプロピレングリコール、フタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジブチル(DBP)、アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル、ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステル、及びアルキルスルホン酸フェニルエステルなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シランカップリング剤としては、湿潤面への接着性を向上させる効果に優れる観点及び汎用化合物であることによる入手容易性の観点から、例えば、トリメトキシビニルシラン、及びγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
揺変性付与剤としては、例えば、アエロジル(日本アエロジル社製)、及びディスパロン(楠本化成社製)が挙げられる。
接着付与剤としては、例えば、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、及びキシレン樹脂などが挙げられる。
難燃剤としては、例えば、クロロアルキルホスフェート、ジメチル・メチルホスホネート、臭素・リン化合物、アンモニウムポリホスフェート、ネオペンチルブロマイド−ポリエーテル、及び臭素化ポリエーテルなどが挙げられる。
帯電防止剤としては、第四級アンモニウム塩、ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体などの親水性化合物などが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、及びサリチル酸エステル系などが挙げられる。
界面活性剤(レベリング剤)としては、例えば、ポリブチルアクリレート、ポリジメチルシロキサン、変性シリコーン化合物、及びフッ素系界面活性剤などが挙げられる。
分散剤としては、例えば、BYK−W961、BYK−W935(ビックケミー・ジャパン社製)、ポリフローNo.77、フローレンG700(共栄社化学社製)が挙げられる。脱水剤としては、例えば、ビニルシランが挙げられる。
溶剤としては、例えば、ジメチルカーボネートなどのカーボネート系溶剤、アセトンやメチルエチルケトン(MEK)などのケトン系溶剤、酢酸エチルや酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、n−ヘキサンなどの脂肪族系溶剤、シクロヘキサンなどの脂環族系溶剤、トルエン、キシレン、セロソルブアセテートなどの芳香族系溶剤、ミネラルスピリット及び工業ガソリンなどの石油留分系溶剤、有機溶剤などの従来から公知の溶剤、有機溶剤が挙げられる。溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
接着性樹脂組成物の製造方法としては、特に制限はなく、従来公知の製造方法で製造することができる。接着性樹脂組成物としては、例えば、上述したエポキシ樹脂と、硬化剤と、硬化促進剤と、ゴム成分と、必要により用いられる各種添加剤とを減圧下で混合ミキサーなどの撹拌機を用いて撹拌することにより得ることができる。得られた接着性樹脂組成物は、エポキシ樹脂を含有する加熱硬化型のエポキシ樹脂組成物であるので、加熱することにより接着剤を得ることができる。
以上説明したように、本発明に係る接着性樹脂組成物によれば、硬化促進剤に含まれる極性基としての水酸基を含有する水酸基含有イミダゾール化合物が被接着体との接着面側に偏在するので、金属表面の油塗布面に対しても優れた接着性が得られる。これにより、この接着性樹脂組成物は、低温で硬化させた場合であっても、冷間で安定して高い剥離強度が得られ、しかも、油塗布面に対しても優れた接着性を有することが可能となる。そして、この接着性樹脂組成物は、加熱硬化する際、低温で硬化させても冷間、常温、熱間で安定して高い剥離強度が得られる。これにより、本発明に係る接着性樹脂組成物は、例えば、自動車の製造工程において焼き付け塗装と同時に硬化させ接着させることが可能である。したがって、本発明に係る接着性樹脂組成物は、低温で硬化させても冷間、常温、熱間で安定して高い剥離強度が得られると共に、油を塗布した金属表面に対しても良好な接着性を有するので、構造用接着剤として好適に用いることができる。
「構造用接着剤」とは、長時間大きな荷重がかかっても接着特性の低下が少なく、信頼性の高い接着剤(JIS K6800)である。本発明に係る接着性樹脂接着剤は、構造用接着剤として好ましく用いることができるので、例えば、自動車や車両(新幹線、電車)、土木、建築、エレクトロニクス、航空機、及び宇宙産業分野などの構造部材の接着剤として用いることができる。被着体としては金属材料、プラスチックなどの有機・高分子材料、コンクリートなどの無機材料などの各種被着体に対して用いることができる。
さらに、本発明に係る接着性樹脂組成物は、構造用接着剤のほかに一般事務用、医療用、及び電子材料用の接着剤としても用いることができる。電子材料用の接着剤としては、ビルドアップ基板などの多層基板の層間接着剤、ダイボンディング剤、アンダーフィルなどの半導体用接着剤、BGA補強用アンダーフィル、異方性導電性フィルム(ACF)、異方性導電性ペースト(ACP)などの実装用接着剤などが挙げられる。
また、本発明に係る接着性樹脂組成物は、接着剤として用いる他に、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が使用される一般用途向けの物品にも用いることができる。例えば、塗料、コーティング剤、シート、フィルム、及びFRPなどを含む成形材料、プリント基板、及び電線被覆などを含む絶縁材料、及び封止剤などが挙げられる。封止剤としては、コンデンサ、トランジスタ、ダイオード、発光ダイオード、IC、及びLSI用などのポッティング、ディッピング、トランスファーモールド封止、IC、LSI類のCOB、COF、及びTAB用などといったポッティング封止、フリップチップ用などのアンダーフィル、QFP、BGA、及びCSPなどの補強用アンダーフィルを含むICパッケージ類実装時の封止などに用いることができる。
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。なお、本発明は、以下の実施例及び比較例によって何ら限定されるものではない。
<接着性樹脂組成物の調製>
(実施例1)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名「EP−4100E」、ADEKA社製)33質量部と、ウレタン変性エポキシ樹脂(商品名「EPU−78−11」、ADEKA社製)67質量部と、ジシアンジアミド(商品名「DICY−15」、三菱化学社製)9質量部と、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業社製、2P4MHZ−PW)3質量部と、3−(3,4−ジクロロフェニル)−N,N−ジメチル尿素(商品名「DCMU−99」、保土ヶ谷化学社製)3質量部と、カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子(平均粒子径0.07μm、商品名「XER−91P」、JSR社製)10質量部と、を均一に混合して接着性樹脂組成物を調製した。各成分の配合量を下記表1に示す。
(実施例1)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名「EP−4100E」、ADEKA社製)33質量部と、ウレタン変性エポキシ樹脂(商品名「EPU−78−11」、ADEKA社製)67質量部と、ジシアンジアミド(商品名「DICY−15」、三菱化学社製)9質量部と、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業社製、2P4MHZ−PW)3質量部と、3−(3,4−ジクロロフェニル)−N,N−ジメチル尿素(商品名「DCMU−99」、保土ヶ谷化学社製)3質量部と、カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子(平均粒子径0.07μm、商品名「XER−91P」、JSR社製)10質量部と、を均一に混合して接着性樹脂組成物を調製した。各成分の配合量を下記表1に示す。
(実施例2)
3−(3,4−ジクロロフェニル)−N,N−ジメチル尿素(商品名「DCMU−99」、保土ヶ谷化学社製)に代えて、2−へプタデシルイミダゾール(商品名「C17Z」、四国化成工業社製)3質量部を配合したこと以外は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物を調製した。各成分の配合量を下記表1に示す。
3−(3,4−ジクロロフェニル)−N,N−ジメチル尿素(商品名「DCMU−99」、保土ヶ谷化学社製)に代えて、2−へプタデシルイミダゾール(商品名「C17Z」、四国化成工業社製)3質量部を配合したこと以外は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物を調製した。各成分の配合量を下記表1に示す。
(実施例3)
3−(3,4−ジクロロフェニル)−N,N−ジメチル尿素(商品名「DCMU−99」、保土ヶ谷化学社製)に代えて、アミンアダクト(商品名「アミキュアPN−23」、味の素ファインテクノ社製)3質量部を配合したこと以外は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物を調製した。各成分の配合量を下記表1に示す。
3−(3,4−ジクロロフェニル)−N,N−ジメチル尿素(商品名「DCMU−99」、保土ヶ谷化学社製)に代えて、アミンアダクト(商品名「アミキュアPN−23」、味の素ファインテクノ社製)3質量部を配合したこと以外は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物を調製した。各成分の配合量を下記表1に示す。
(実施例4)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名「EP−4100E」、ADEKA社製)の配合量を10質量部とし、ウレタン変性エポキシ樹脂(商品名「EPU−78−11」、ADEKA社製)の配合量を90質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物を調製した。各成分の配合量を下記表1に示す。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名「EP−4100E」、ADEKA社製)の配合量を10質量部とし、ウレタン変性エポキシ樹脂(商品名「EPU−78−11」、ADEKA社製)の配合量を90質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物を調製した。各成分の配合量を下記表1に示す。
(実施例5)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名「EP−4100E」、ADEKA社製)に代えて、ゴム変性エポキシ樹脂(商品名「EPR−1309」、ADEKA社製)33質量部を配合したこと以外は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物を調製した。各成分の配合量を下記表1に示す。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名「EP−4100E」、ADEKA社製)に代えて、ゴム変性エポキシ樹脂(商品名「EPR−1309」、ADEKA社製)33質量部を配合したこと以外は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物を調製した。各成分の配合量を下記表1に示す。
(実施例6)
2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業社製、2P4MHZ−PW)の配合量を1質量部とし、3−(3,4−ジクロロフェニル)−N,N−ジメチル尿素(商品名「DCMU−99」、保土ヶ谷化学社製)の配合量を2質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物を調製した。各成分の配合量を下記表1に示す。
2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業社製、2P4MHZ−PW)の配合量を1質量部とし、3−(3,4−ジクロロフェニル)−N,N−ジメチル尿素(商品名「DCMU−99」、保土ヶ谷化学社製)の配合量を2質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物を調製した。各成分の配合量を下記表1に示す。
(実施例7)
2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業社製、2P4MHZ−PW)の配合量を10質量部としたこと以外は、実施例6と同様にして接着性樹脂組成物を調製した。各成分の配合量を下記表1に示す。
2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業社製、2P4MHZ−PW)の配合量を10質量部としたこと以外は、実施例6と同様にして接着性樹脂組成物を調製した。各成分の配合量を下記表1に示す。
(実施例8)
カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子(平均粒子径0.07μm、商品名「XER−91P」、JSR社製)の配合量を3質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物を調製した。各成分の配合量を下記表1に示す。
カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子(平均粒子径0.07μm、商品名「XER−91P」、JSR社製)の配合量を3質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物を調製した。各成分の配合量を下記表1に示す。
(実施例9)
カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子(平均粒子径0.07μm、商品名「XER−91P」、JSR社製)の配合量を40質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物を調製した。各成分の配合量を下記表1に示す。
カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子(平均粒子径0.07μm、商品名「XER−91P」、JSR社製)の配合量を40質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物を調製した。各成分の配合量を下記表1に示す。
(実施例10)
カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子(平均粒子径0.07μm、商品名「XER−91P」、JSR社製)に代えて、グリシジル変性(エポキシ変性)アクリロニトリルブタジエンゴム粒子(平均粒子径0.3μm、商品名「XER−81P」、JSR社製)を10質量部配合したこと以外は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物を調製した。各成分の配合量を下記表1に示す。
カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子(平均粒子径0.07μm、商品名「XER−91P」、JSR社製)に代えて、グリシジル変性(エポキシ変性)アクリロニトリルブタジエンゴム粒子(平均粒子径0.3μm、商品名「XER−81P」、JSR社製)を10質量部配合したこと以外は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物を調製した。各成分の配合量を下記表1に示す。
(比較例1)
2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業社製、2P4MHZ−PW)に代えて、2−へプタデシルイミダゾール(商品名「C17Z」、四国化成工業社製)3質量部を配合したこと以外は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物を調製した。各成分の配合量を下記表1に示す。各成分の配合量を下記表1に示す。
2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業社製、2P4MHZ−PW)に代えて、2−へプタデシルイミダゾール(商品名「C17Z」、四国化成工業社製)3質量部を配合したこと以外は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物を調製した。各成分の配合量を下記表1に示す。各成分の配合量を下記表1に示す。
(比較例2)
カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子(平均粒子径0.07μm、商品名「XER−91P」、JSR社製)を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物を調製した。各成分の配合量を下記表1に示す。
カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子(平均粒子径0.07μm、商品名「XER−91P」、JSR社製)を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物を調製した。各成分の配合量を下記表1に示す。
<評価>
実施例1〜実施例10、比較例1、及び比較例2で得られた各接着性樹脂組成物について、引張試験(脱脂面及び油塗布面)を行い、剪断強度、剥離強度を測定した。
実施例1〜実施例10、比較例1、及び比較例2で得られた各接着性樹脂組成物について、引張試験(脱脂面及び油塗布面)を行い、剪断強度、剥離強度を測定した。
(試験体の作製)
被着材として表面を脱脂したSPCC−SD鋼板(自動車用鋼板、25×100×0.8mm)を2枚と、表面に出光興産社製の油(商品名「ダフニーオイルコートRL-55」)を塗布したSPCC−SD鋼板を2枚とを準備し、2枚の被着材の間の対向面側の接合部(25mm×10mm)に実施例1〜実施例10、比較例1及び比較例2の各接着性樹脂組成物をそれぞれ塗布した。その後、2枚の被着材を圧着して接着構造物を形成した後、室温から130℃まで昇温後、130℃で20分間保持して組成物を硬化させて試験体を作製した。
被着材として表面を脱脂したSPCC−SD鋼板(自動車用鋼板、25×100×0.8mm)を2枚と、表面に出光興産社製の油(商品名「ダフニーオイルコートRL-55」)を塗布したSPCC−SD鋼板を2枚とを準備し、2枚の被着材の間の対向面側の接合部(25mm×10mm)に実施例1〜実施例10、比較例1及び比較例2の各接着性樹脂組成物をそれぞれ塗布した。その後、2枚の被着材を圧着して接着構造物を形成した後、室温から130℃まで昇温後、130℃で20分間保持して組成物を硬化させて試験体を作製した。
(引張強度)
得られた各試験体について引張試験における剪断強度(MPa)及び剥離強度(N/inch)を測定した。剪断強度は、JIS K6850−1999に準じて、引張速度5mm/分で剪断強度を測定した。剥離強度は、JIS K 6256に準拠して90°剥離試験を行って測定した。測定結果を下記表1に併記する。
得られた各試験体について引張試験における剪断強度(MPa)及び剥離強度(N/inch)を測定した。剪断強度は、JIS K6850−1999に準じて、引張速度5mm/分で剪断強度を測定した。剥離強度は、JIS K 6256に準拠して90°剥離試験を行って測定した。測定結果を下記表1に併記する。
上記表1に示される各成分について、以下に示す。
・エポキシ樹脂1:ビスフェノールA型エポキシ樹脂:商品名「EP−4100E」、ADEKA社製
・エポキシ樹脂2:ウレタン変性エポキシ樹脂:商品名「EPU−78−11」、ADEKA社製
・エポキシ樹脂3:ゴム変性エポキシ樹脂:商品名「EPR−1309」、ADEKA社製
・硬化促進剤1:2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業社製、2P4MHZ−PW)
・硬化促進剤2:3−(3,4−ジクロロフェニル)−N,N−ジメチル尿素、商品名「DCMU−99」、保土ヶ谷化学社製
・硬化促進剤3:2−へプタデシルイミダゾール、商品名「C17Z」、四国化成工業社製
・硬化促進剤4:アミンアダクト、商品名「アミキュアPN−23」、味の素ファインテクノ社製
・ゴム成分1(カルボン酸変性):カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、平均粒子径0.07μm、商品名「XER−91P」、JSR社製
・ゴム成分2(エポキシ変性):グリシジル変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、平均粒子径0.3μm、商品名「XER−81P」、JSR社製
・硬化剤:ジシアンジアミド、商品名「DICY−15」、三菱化学社製
・エポキシ樹脂1:ビスフェノールA型エポキシ樹脂:商品名「EP−4100E」、ADEKA社製
・エポキシ樹脂2:ウレタン変性エポキシ樹脂:商品名「EPU−78−11」、ADEKA社製
・エポキシ樹脂3:ゴム変性エポキシ樹脂:商品名「EPR−1309」、ADEKA社製
・硬化促進剤1:2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業社製、2P4MHZ−PW)
・硬化促進剤2:3−(3,4−ジクロロフェニル)−N,N−ジメチル尿素、商品名「DCMU−99」、保土ヶ谷化学社製
・硬化促進剤3:2−へプタデシルイミダゾール、商品名「C17Z」、四国化成工業社製
・硬化促進剤4:アミンアダクト、商品名「アミキュアPN−23」、味の素ファインテクノ社製
・ゴム成分1(カルボン酸変性):カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、平均粒子径0.07μm、商品名「XER−91P」、JSR社製
・ゴム成分2(エポキシ変性):グリシジル変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、平均粒子径0.3μm、商品名「XER−81P」、JSR社製
・硬化剤:ジシアンジアミド、商品名「DICY−15」、三菱化学社製
表1に示す結果から分かるように、水酸基含有イミダゾール化合物を含む硬化促進剤を含有する接着性樹脂組成物は、脱脂面だけでなく、油塗布面についても良好な引張強度の評価が得られた(実施例1〜実施例10)。この結果は、水酸基含有イミダゾール化合物が金属の油塗布面に偏在した結果、金属表面と水酸基含有イミダゾール化合物を介した樹脂組成物との接着性が良好になったためと考えられる。これに対して、水酸基含有イミダゾール化合物以外の硬化促進剤を含有する場合には、脱脂面に対する引張強度試験の結果が良好となる一方、油塗布面に対する引張強度が著しく低下することが分かる(比較例1)また、ゴム成分を含まない場合には、脱脂面及び油塗布面のいずれに対しても、著しく引張強度が低下することが分かる(比較例2)。
Claims (6)
- エポキシ樹脂と、
硬化剤と、
水酸基含有イミダゾール化合物を含有する硬化促進剤と、
ゴム成分と、
を含有することを特徴とする、接着性樹脂組成物。 - 前記エポキシ樹脂がウレタン変性エポキシ樹脂を含有する、請求項1又は請求項2に記載の接着性樹脂組成物。
- 前記ゴム成分が、カルボン酸変性のゴム成分及びエポキシ変性のゴム成分の少なくとも1種を含有する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の接着性樹脂組成物。
- 前記硬化剤が、ジシアンジアミドを含有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の接着性樹脂組成物。
- 前記エポキシ樹脂を100質量部と、
前記硬化促進剤を0.1質量部以上20質量部以下と、
前記ゴム成分を1質量部以上50質量部以下と、
前記硬化剤を1質量部以上20質量部以下とを含有する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の接着性樹脂組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014205600A JP2016074806A (ja) | 2014-10-06 | 2014-10-06 | 接着性樹脂組成物 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020169250A (ja) * | 2019-04-02 | 2020-10-15 | Dic株式会社 | 接着剤、積層体、電池用包装材及び電池 |
-
2014
- 2014-10-06 JP JP2014205600A patent/JP2016074806A/ja active Pending
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