JP2016072542A - 太陽電池モジュール用封止材一体化裏面保護シートの製造方法 - Google Patents

太陽電池モジュール用封止材一体化裏面保護シートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電離照射線を利用した封止材シートを架橋した場合であっても、太陽電池素子に対する埋まり込み性と耐熱性を両立させることが可能な太陽電池モジュール用封止材の製造方法を提供する。【解決手段】封止材一体化裏面保護シートとし、裏面保護シートの側から材料積層体シートに電離放射線の照射を行うことにより封止材シートの架橋処理を行うことにより太陽電池素子に対する埋まり込み性及び耐熱性を両立させることができる優れた封止材一体化裏面保護シートである。【選択図】図2

Description

本発明は太陽電池モジュール用封止材一体化裏面保護シートの製造方法に関し、更に詳しくは、電子線等の電離放射線によって架橋処理された太陽電池モジュール用封止材一体化裏面保護シートに関する。
近年、環境問題に対する意識の高まりから、クリーンなエネルギー源としての太陽電池が注目されている。現在、種々の形態からなる太陽電池モジュールが開発され、提案されている。一般に太陽電池モジュールは、ガラス等からなる透明前面基板と太陽電池素子と裏面保護シートとが、封止材シートを介して積層された構成である。
封止材シートには、透明前面基板、太陽電池素子及び裏面保護シートとの密着性や密着耐久性、太陽電池素子の埋まり込み性、耐熱性等が要求される。
封止材シートは、樹脂組成物を架橋することにより、封止材シートの耐熱性を向上させることが行われている。しかし、封止材シートが過度に架橋した場合には、太陽電池素子の埋まり込み性が悪化する。
そこで、太陽電池モジュールを製造する際の太陽電池素子の埋まり込み性と耐熱性を両立するものとして、封止材シートを構成する樹脂中に電離性放射線架橋樹脂を含有させ、封止材シートの一方の面から電離性放射線を照射することにより、シート厚さ方向に沿ってゲル分率が変化した構造の封止材シートが提案されている(特許文献1)。
しかし、電離照射線は、加速電圧によって、照射される製品中に浸透する深さが変化する。すなわち、加速電圧が高いほど、電離照射線は深く浸透する。そのため、封止材シートの一方の面から電離性放射線を照射した場合、照射強度や照射密度を調節することによって、シート厚さ方向に沿ってゲル分率が変化した構造の封止材シートを製造するのは難しい。そのため、太陽電池素子に対する埋まり込み性と耐熱性を両立させることが可能な太陽電池モジュール用封止材の製造方法の開発が強く望まれていた。
特開2011−74261号公報
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、太陽電池素子に対する埋まり込み性と耐熱性を両立させることが可能な太陽電池モジュール用封止材の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記問題を解決すべく、誠意検討を行った結果、封止材一体化裏面保護シートとし、裏面保護シートの側から材料積層体シートに電離放射線の照射を行うことで封止材シートの架橋処理を行うことにより、太陽電池素子に対する埋まり込み性と耐熱性と耐熱性を両立させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1)オレフィン系樹脂をベース樹脂とする封止材組成物を溶融成形して封止材シートを得る封止材シート化工程と、前記封止材シートと裏面保護シートと積層して材料積層体シートを形成する積層工程と、前記積層工程後に、前記材料積層体シートに、前記裏面保護シートの側から電離放射線の照射を行うことで前記封止材シートの架橋処理を行う架橋工程と、を含んでなり、前記裏面保護シートがPETフィルム又はフッ素系樹脂フィルムを含んでなる太陽電池モジュール用の封止材一体化裏面保護シートの製造方法。
(2)前記電離放射線の照射の加速電圧を200kV以上で行う(1)に記載の封止材一体化裏面保護シートの製造方法。
(3)前記オレフィン系樹脂が密度0.870g/cm以上0.970g/cm以下のポリエチレン系樹脂である(1)又は(2)に記載の封止材一体化裏面保護シートの製造方法。
(4)前記裏面保護シートが耐加水分解性ポリエチレンテレフタレート層を含んでなる(1)から(3)のいずれかに記載の封止材一体化裏面保護シートの製造方法。
(5)電離放射線の照射により架橋された封止材シートと、裏面保護シートが一体化されてなる太陽電池モジュール用の封止材一体化裏面保護シートであって、前記封止材シートのゲル分率は、該封止材シートの厚さ方向に沿って、前記封止材シートの裏面保護シートとの界面側の表面から他方の表面に向かって漸減する態様で傾斜分布しており、前記封止材シート内での厚さ方向でのゲル分率の分布が特定の一次式で近似可能であり、前記一次式の相関係数の二乗Rが0.980以上1.000以下である太陽電池モジュール用の封止材一体化裏面保護シート。
本発明によれば、封止材一体化裏面保護シートとし、裏面保護シート側から前記材料積層体シートに電離放射線の照射を行うことで前記封止材シートの架橋処理を行うことにより太陽電池素子に対する埋まり込み性と耐熱性を両立させることができる。
本実施形態の太陽電池モジュール用封止材一体化裏面保護シートと、それを用いた太陽電池モジュールの層構成の一例を示す断面模式図である。 電離放射線照射時の線量と浸透深さの関係を現したグラフである。 実施例及び比較例1の封止材一体化裏面保護シートにおける電離放射線照射側封止材シートの表面からの深さとゲル分率の相関図である。
以下、本発明の太陽電池モジュール用封止材一体化裏面保護シート(本明細書において、単に「封止材一体化裏面保護シート」ともいう。)の製造方法について詳細に説明する。本発明は以下に記載される実施形態に限定されるものではない。
本発明は、(A)オレフィン系樹脂をベース樹脂とする封止材組成物を溶融成形して封止材シートを得る封止材シート化工程と、(B)封止材シートと裏面保護シートと積層して材料積層体シートを形成する積層工程と、(C)積層工程後に、前記材料積層体シートに、前記裏面保護シートの側から電離放射線の照射を行うことで前記封止材シートの架橋処理を行う架橋工程からなる。以下、それぞれの工程に分けて順次説明する。
<(A)封止材シート化工程>
封止材シート化工程とは、オレフィン系樹脂をベース樹脂とする封止材組成物を溶融成形して封止材シートを得る封止材シート化工程である。
[オレフィン系樹脂]
オレフィン系樹脂とは、オレフィン樹脂であれば特に限定されるものではないが、例えばエチレン共重合体樹脂又はポリエチレン系樹脂等が挙げられる。エチレン共重合体樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMMA)、アイオノマー樹脂等を用いることができるが、透明性や密着性に優れるエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を好ましく用いることができる。ポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度(LLDPE)等を用いることができる。中でも長期間の使用における耐加水分解性、柔軟性、透明性の観点から直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)であることが好ましく、メタロセン系直鎖低密度ポリエチレン(M−LLDPE)であることがより好ましい。メタロセン系直鎖低密度ポリエチレンは、シングルサイト触媒であるメタロセン触媒を用いて合成されるものである。このようなポリエチレンは側鎖の分岐が少なく、コモノマーの分布が均一である。このため、分子量分布が狭く、上記のような超低密度にすることが可能である。又、結晶性分布が狭く、結晶サイズが揃っているので、結晶サイズの大きいものが存在しないばかりでなく、低密度であるために結晶性自体が低い。このため、シート状に加工した際の透明性に優れる。従って、封止材シートが透明前面基板と太陽電池素子との間に配置されても発電効率はほとんど低下しない。
直鎖低密度ポリエチレンのα−オレフィンとしては、好ましくは分枝を有しないα−オレフィンが好ましく使用され、これらの中でも、炭素数が6以上8以下のα−オレフィンである1−ヘキセン、1−ヘプテン又は1−オクテンが特に好ましく使用される。α−オレフィンの炭素数が6以上8以下であることにより、封止材シートに良好な柔軟性を付与することができるとともに良好な強度を付与することができる。その結果、封止材シートと基材との密着性が高まり、封止材シートと基材との間への水分の浸入を抑えることができる。
ポリエチレン系樹脂のメルトマスフローレート(MFR)は、190℃、荷重2.16kg、において1.0g/10分以上40g/10分以下であることが好ましく、2g/10分以上40g/10分以下であることが更に好ましい。MFRが上記の範囲であることにより、製膜時の加工適性に優れる。
本明細書中におけるMFRとは、特に断りのない限り、以下の方法により得られた値である。
MFR(g/10min):JIS K7210に準拠して測定。具体的には、ヒーターで加熱された円筒容器内で合成樹脂を、190℃で加熱・加圧し、容器底部に設けられた開口部(ノズル)から10分間あたりに押出された樹脂量を測定した。試験機械は押出し形プラストメータを用い、押出し荷重については2.16kgとした。
なお、多層フィルムである封止材シートについては、全ての層が一体積層された多層状態のまま、上記処理による測定を行い、得た測定値を当該多層の封止材シートのMFR値とした。
ポリエチレン系樹脂には、エチレンを重合して得られる通常のポリエチレンのみならず、α−オレフィン等のようなエチレン性の不飽和結合を有する化合物を重合して得られた樹脂、エチレン性不飽和結合を有する複数の異なる化合物を共重合させた樹脂、及びこれらの樹脂に別の化学種をグラフトして得られる変性樹脂等が含まれる。
なかでも、少なくともα−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなるシラン共重合体を好ましく使用することができる。このような樹脂を使用することにより、透明前面基板や太陽電池素子等といった部材と封止材シートとの接着性が得られる。
シラン共重合体は、例えば、特開2003−46105号公報に記載されているものである。当該共重合体を太陽電池モジュールの封止材組成物の成分として使用することにより、強度、耐久性等に優れ、且つ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐風圧性、耐降雹性、その他の諸特性に優れ、更に、太陽電池モジュールを製造する加熱圧着等の製造条件に影響を受けることなく極めて優れた熱融着性を有し、安定的に、低コストで、種々の用途に適する太陽電池モジュールを製造し得る。
シラン共重合体は、少なくともα−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物をコモノマーとし、必要に応じて更にその他の不飽和モノマーをコモノマーとして共重合して得られる共重合体であり、該共重合体の変性体ないし縮合体も含むものである。
具体的には、例えば、α−オレフィンの1種又は2種以上と、エチレン性不飽和シラン化合物の1種又は2種以上と、必要ならば、その他の不飽和モノマーの1種又は2種以上とを、所望の反応容器を使用し、例えば、圧力500kg/cm以上4000kg/cm以下、好ましくは、1000kg/cm以上4000kg/cm以下、温度100℃以上400℃以下、好ましくは、150℃以上350℃以下の条件下で、ラジカル第1の架橋剤及び必要ならば連鎖移動剤の存在下で、同時に或いは段階的にランダム共重合させ、更には、必要に応じて、その共重合によって生成するランダム共重合体を構成するシラン化合物の部分を変性ないし縮合させて、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体又はその変性又は縮合体を製造することができる。
又、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体又はその変性ないし縮合体としては、例えば、α−オレフィンの1種又は2種以上と、必要ならば、その他の不飽和モノマーの1種又は2種以上とを、所望の反応容器を使用し、上記と同様に、ラジカル第1の架橋剤及び必要ならば連鎖移動剤の存在下で、同時に或いは段階的に重合させ、次いで、その重合によって生成するポリオレフィン系重合体に、エチレン性不飽和シラン化合物の1種又は2種以上をグラフト共重合させ、更には、必要に応じて、その共重合体によって生成するグラフト共重合体を構成するシラン化合物の部分を変性ないし縮合させて、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体又はその変性ないし縮合体を製造することができる。
α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンより選択される1種以上を使用することができる。
エチレン性不飽和シラン化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリペンチロキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリベンジルオキシシラン、ビニルトリメチレンジオキシシラン、ビニルトリエチレンジオキシシラン、ビニルプロピオニルオキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリカルボキシシランより選択される1種以上を使用することができる。
その他の不飽和モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ビニルアルコールより選択される1種以上を使用することができる。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、ラウロイルパーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物、分子状酸素、アゾビスイソブチロニトリルアゾイソブチルバレロニトリル等のアゾ化合物等を使用することができる。
連鎖移動剤としては、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン等のパラフィン系炭化水素、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、n−ブチルアルデヒド等のアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、芳香族炭化水素、塩素化炭化水素等を使用することができる。
ランダム共重合体を構成するシラン化合物の部分を変性ないし縮合させる方法、或いは、グラフト共重合体を構成するシラン化合物の部分を変性ないし縮合させる方法としては、例えば、錫、亜鉛、鉄、鉛、コバルト等の金属のカルボン酸塩、チタン酸エステル及びキレート化物等の有機金属化合物、有機塩基、無機酸、及び、有機酸等のシラノール縮合触媒等を使用し、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とのランダム共重合体或いはグラフト共重合体を構成するシラン化合物の部分のシラノール間の脱水縮合反応等を行うことにより、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体の変性ないし縮合体を製造する方法が挙げられる。
シラン共重合体としては、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、及びグラフト共重合体のいずれであっても好ましく使用することができるが、グラフト共重合体であることがより好ましく、重合用ポリエチレンを主鎖とし、エチレン性不飽和シラン化合物が側鎖として重合したグラフト共重合体が更に好ましい。このようなグラフト共重合体は、接着力に寄与するシラノール基の自由度が高くなるため、太陽電池モジュールにおける他の部材への封止材シートの接着性を向上することができる。
α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体を構成する際のエチレン性不飽和シラン化合物の含有量としては、全共重合体質量に対して、例えば、0.001質量%以上15質量%以下、好ましくは、0.01質量%以上5質量%以下、特に好ましくは、0.05質量%以上2質量%以下が望ましいものである。本実施形態において、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体を構成するエチレン性不飽和シラン化合物の含有量が多い場合には、機械的強度及び耐熱性等に優れるが、含有量が過度になると、引っ張り伸び及び熱融着性等に劣る傾向にある。
樹脂組成物に含まれる上記の密度0.900g/cm以下のポリエチレン系樹脂の含有量は、封止材組成物中に90.0質量%以上であればよく、99.9質量%以上であることが好ましい。その範囲内において、その他の樹脂を含んでいてもよい。その他の樹脂としては、例えば0.900g/cmを超える他のポリエチレン系樹脂等が例示できる。これらは、例えば添加用樹脂として用いてもよく、後述のその他の成分をマスターバッチ化するために使用できる。
[架橋剤]
中間層用及び最外層用の各封止材組成物には、必要最小限度の架橋剤を含有させてもよいが、架橋剤はいずれの層にも添加しないことがより好ましい。上記の中間層への架橋助剤の添加によって、十分に適切な架橋を進行させることができる一方で、有機過酸化物等の架橋剤を別途添加したには、太陽電池モジュールとの一体化のための熱ラミネート処理時に、デガスによる発泡等の問題が生じるリスクが高まるからである。架橋剤を添加する場合、公知のものが使用でき特に限定されず、例えば公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。
架橋剤を添加する場合、その含有量としては、中間層用及び最外層用の封止材組成物においてそれぞれの全樹脂成分の合計100質量部に対して0質量部以上0.5質量部以下の含有量であることが好ましく、より好ましくは0.02質量部以上0.5質量部以下の範囲である。架橋剤の添加量が0.5質量部を超えると、架橋工程における架橋の進行が過剰となり、モールディング特性が不十分となり好ましくない。
[架橋助剤]
本発明においては、実質的に架橋助剤は使用しないことが好ましい。ここで架橋助剤とは、例えば、多官能ビニル系モノマー及び/又は多官能エポキシ系モノマー等であり、具体的には、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルフマレート、ジアリルマレエート等のポリアリル化合物、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPT)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート等のポリ(メタ)アクリロキシ化合物、二重結合とエポキシ基を含むグリシジルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル及びエポキシ基を2つ以上含有する1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物を挙げることができる。
なお、実質的に架橋助剤を使用せずとは、架橋効果を示さない程度の量が不純物的に含有しても本発明の範囲内であることを意味し、その量は例えば組成物中に0.01質量%未満である。
[その他の成分]
組成物には、更にその他の成分を含有させることができる。例えば、本実施形態の太陽電池モジュール用封止材組成物から作製された太陽電池モジュール用封止材シートに耐候性を付与するための耐候性マスターバッチ、各種フィラー、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の成分が例示される。これらの含有量は、その粒子形状、密度等により異なるものではあるが、それぞれ太陽電池モジュール用封止材組成物中に0.001質量%以上5質量%以下の範囲内であることが好ましい。これらの添加剤を含むことにより、太陽電池モジュール用封止材組成物に対して、長期に亘って安定した機械強度や、黄変やひび割れ等の防止効果等を付与することができる。
耐候性マスターバッチとは、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤及び上記の酸化防止剤等をポリエチレン等の樹脂に分散させたものであり、これを封止材組成物に添加することにより、太陽電池モジュール用封止材シートに良好な耐候性を付与することができる。耐候性マスターバッチは、適宜作製して使用してもよいし、市販品を使用してもよい。耐候性マスターバッチに使用される樹脂としては、本発明に用いる直鎖低密度ポリエチレンでもよく、上記のその他の樹脂であってもよい。
なお、これらの光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤及び酸化防止剤は、それぞれ1種単独でも2種以上を組み合わせて用いることもできる。
更に、本実施形態の太陽電池モジュール用封止材組成物に用いられる他の成分としては上記以外に、シランカップリング剤等の接着性向上剤、核剤、分散剤、レベリング剤、可塑剤、消泡剤、難燃剤等を挙げることができる。
<(B)積層工程>
(B)積層工程は、(A)封止材シート化工程で得た封止材シートと裏面保護シートと積層して材料積層体シートを形成する積層工程である。
図1により説明すると、封止材シート1と裏面保護シート2がこの順に積層して積層体を形成する。裏面保護シートがPETフィルム又はフッ素系樹脂フィルムを含んでなる。
[裏面保護シート]
本実施形態の裏面保護シートは、PETフィルム又はフッ素系樹脂フィルムを含む。PETは、透明ポリエチレンテレフタレート(PET)の他、ポリエチレンテレフタレート(PET)に酸化チタン等の白色顔料を包含させた白色PETや変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)等の表面に更にコーティング又はラミネートにより耐侯性樹脂を積層した樹脂シート、耐加水分解性ポリエチレンテレフタレート(HR−PET)も含まれる。なかでも、耐加水分解性ポリエチレンテレフタレート(HR−PET)であることが好ましく、耐加水分解性ポリエチレンテレフタレートとしては、例えば、東洋紡社製シャインビーム(耐加水分解性ポリエステルフィルム)等を挙げることができる。
フッ素系樹脂等の樹脂フィルムとしては、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニル・エステル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(四フッ化エチレン・エチレン共重合体)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等を例示することができる。
PETフィルム又はフッ素系樹脂フィルムは電離放射線の照射によってその特性を低下させることはない。そのため、裏面保護シートとしての機能を低下させることない。
本発明は、材料積層体シートに、裏面保護シートの側から電離放射線の照射を行うことを特徴としている。裏面保護シートに含まれるPETフィルム又はフッ素系樹脂フィルムによって、電離放射線の線量極大値を封止材シート内ではなく裏面保護シート内にすることができる。
裏面保護シートの厚さは、電離線照射の加速電圧やPETフィルム又はフッ素系樹脂フィルムの密度によって適宜選択するのが好ましい。図2の線量と浸透深さの関係を現したグラフから線量が極大となる浸透深さ(g/m)を算出し、PETフィルム又はフッ素系樹脂フィルムの密度から、電離放射線の線量が極大となるフィルム深さを算出することができる。裏面保護シートの厚さを電離放射線の線量が極大となるフィルム深さより厚くすることで、電離放射線の線量の極大値が裏面保護シート内にくるようにすることができる。
封止材シートの厚さは、250μm以上400μm以下とすることが好ましい。このような範囲とすることで、充分に衝撃を緩和することができ、かつ生産性の高い封止材シートとすることができる。
尚、特に、封止材一体化裏面保護シートに水蒸気バリア性等のガスバリア性を付与する必要がある場合、PETフィルム又はフッ素系樹脂フィルムの表面に金属酸化物からなる透明な蒸着層を形成してもよい。この場合、蒸着させる金属酸化物の種類や蒸着層の厚さ等は、封止材一体化裏面保護シートに要求される性能等を考慮して適宜設定すればよい。
又、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲において、封止材シートとPETフィルム又はフッ素系樹脂フィルムの間に密着層等を設けてもよいし、耐候性を付与するために耐候層を設けてもよい。このような封止材一体化裏面保護シートの製造方法であっても本発明の範囲である。
<(C)架橋工程>
(C)架橋工程とは、(B)積層工程後に、材料積層体シートに、裏面保護シートの側から電離放射線の照射を行うことで封止材シートの架橋処理を行う工程である。
本発明は、多層シートに電離放射線の照射によって架橋処理を行う架橋工程を含むことを特徴とする。上記のシート化工程後の未架橋の封止材シートに対して、電離放射線による架橋処理を施す架橋工程を、封止材シートを他の部材と(B)積層工程後に行う。この架橋処理によってゲル分率が2%以上80%以下となる封止材シートとする。架橋処理はシート化工程に続いて連続的にインラインで行われてもよく、オフラインで行われてもよい。
又、本発明は、材料積層体シートに、裏面保護シートの側から電離放射線の照射を行うことを特徴とする。図2には、浸透深さ(g/m)と表面を100%としたとき線量の関係図が示されている。グラフ中に電離放射線の照射の加速電圧(kV)がそれぞれ示されている。図2より、電離放射線の照射の加速電圧を上げるほど、具体的には電離放射線の照射の加速電圧が200kV以上のときには、表面よりも内側が線量の最大値のピークとなっていることが分かる。これは、加速電圧が高くなるにつれて、電離照射線は深く浸透するためである。そのため、封止材シートの一方の面から電離性放射線を照射した場合、照射強度や照射密度を調節することによって、シート厚さ方向に沿ってゲル分率が一次関数的に変化した構造の封止材シートを製造するのは困難である。なお、加速電圧が200kV未満であると、非照射面側の最外層まで電子が透過せず、封止材シートの耐熱性が不十分となる傾向がある。
そこで、本発明は、PETフィルム又はフッ素系樹脂フィルムを含んでなる裏面保護シートから電離放射線の照射を行うことを特徴とする。このように電離放射線を照射することで、電離放射線の線量極大値を封止材シート内ではなく裏面保護シート内にすることができる。そのため、シート厚さ方向に沿ってゲル分率が一次関数的に減衰する。これにより、封止材シートを封止材シートの裏面保護シートとの界面側の表面から他方の表面に向けてゲル分率が特定の態様で傾斜分布するものとすることにより、太陽電池素子に対する埋まり込み性及び耐熱性に優れた封止材一体化裏面保護シートを得ることができる。
電離線放射の線量は、図2に示すように、線量の極大値を過ぎた後は、一次関数的に減衰する。このため、線量が一次関数的に減衰する深さを封止材シートが来るように裏面保護シート及び封止材シートの厚みを決定することで、封止材シート内での厚さ方向でのゲル分率の分布が特定の一次式で近似することができる。ゲル分率の特定の一次式の相関係数の二乗Rが0.980以上1.000以下であることが好ましい。このような範囲とすることで、封止材シートの太陽電池素子に対する埋まり込み性と耐熱性を両立することができるため好ましい。ここで、封止材シートの両表面とは、封止材シートの裏面保護シートとの界面側の表面と他方の表面の両方の表面をいう。
なお、ゲル分率(%)とは、封止材0.1gを樹脂メッシュに入れ、60℃トルエンにて4時間抽出したのち、樹脂メッシュごと取出し乾燥処理後秤量し、抽出前後の質量比較を行い残留不溶分の質量%を測定しこれをゲル分率としたものである。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<ポリエチレン系樹脂の原料>
ベース樹脂:密度0.880g/cm、190℃でのMFRが3.1g/10分のメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE1)ペレットを用いた。
シラン変性透明樹脂:密度0.881g/cmであり、190℃でのMFRが2g/10分であるM−LLDPE2の98質量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2質量部と、ラジカル発生剤(反応触媒)としてのジクミルパーオキサイド0.1質量部とを混合し、200℃で溶融、混練し、シラン変性透明樹脂を得た。
架橋剤マスターバッチ:M−LLDPE1ペレット100質量部に対して、架橋剤として、2,5‐ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(アルケマ吉富株式会社製、商品名ルペロックス101、1分間半減期温度が181℃)0.5質量部を含浸させ、マスターバッチを得た。
耐候性マスターバッチ:密度0.880g/cmのチーグラー直鎖状低密度ポリエチレンを粉砕したパウダー100質量部に対して、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤3.8質量部とヒンダードアミン系光安定化剤5質量部と、リン系熱安定化剤0.5質量部とを混合して溶融、加工し、ペレット化したマスターバッチを得た。
<(A)封止材シートの製造>
ベース樹脂79質量部、シラン変性透明樹脂5質量部、架橋剤マスターバッチ7質量部、耐候性マスターバッチ9質量部、を組成物とし(第架橋剤量として0.035質量%)、単層φ30mm押出し機、200mm幅のTダイスを有するフィルム成形機を用いて、押出し温度210℃、引き取り速度1.1m/minで押し出し成形して厚さ400μmの基材シートを製造した。この封止材シートの密度は0.880g/cm、190℃でのMFRは0.24g/10分であった。
<(B)積層体の形成>
[接着剤]
[主剤]
窒素雰囲気下、攪拌機、窒素導入管を備えたフラスコに、エチレングリコール(32.3質量部)、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(270.8質量部)、1,6−ヘキサンジオール(122.9質量部)、アジピン酸(228.1質量部)、イソフタル酸(664質量部)を加え、180℃から220℃にて窒素にてバブリングさせ、酸価2mgKOH/gまで反応させ、酢酸エチル(860質量部)を加え、ポリエステルジオールHの50%溶液を得た。得られた樹脂の水酸基価は、32mgKOH/gであり、数平均分子量は約3500であった。
窒素雰囲気下、攪拌機を備えたフラスコに数平均分子量1000の脂肪族ポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ社製、商品名「デュラノールT5651」以下、「PDC1000」と略す。)を100質量部、上記ポリエステルジオールH(50質量部)、1,6−ヘキサンジオール(2質量部)、イソホロンジイソシアネート(23.8質量部)、酢酸エチル(175.8質量部)を加え、赤外線吸収スペクトルにて、2270cm−1のイソシアネートの吸収が消失するまで加熱還流させ、ポリウレタンジオールの50%溶液を得た。得られた樹脂の水酸基価は、14mgKOH/gであり、数平均分子量は約8000であった。
上記のポリウレタンジオール100質量部と脂肪族ポリカーボネートジオール(B)(PDC1000)の15質量部を混合して主剤を調整した。
[硬化剤]
ヘキサメチレンジイソシアネート(HDIアダクト:2官能)とイソシアヌレート変性のイソホロンジイソシアネート(ヌレート変性IPDI)の混合物を使用した。上記アダクト変性HDI及びヌレート変性IPDIの混合比(HDIアダクト)/(ヌレート変性IPDI)を6:4(質量比)とした。
溶剤:酢酸エチル
主剤の固形分率と硬化剤の固形分率を質量比で5:1とし、上記溶剤に溶解させた。
[封止材一体化裏面保護シート]
上記封止材シートを前面封止材シート及び背面封止材シートとして、これら封止材シートの間に太陽電池素子(Q−CELLS社製、セルQ6LTT−200/152 156mm)を積層させた。又、上記太陽電池素子を積層させた背面封止材シートの面上に、上記接着剤をグラビアコートし(塗布量:5g/m)その上に裏面保護シート(PETフィルム(帝人デュポン社製、「Melinex S」)厚さ125μm密度1.40g/cm)積層し、乾燥(80℃、30秒)、エージング(60℃、120時間)及び電離線放射として電子線照射による架橋工程を行い、実施例の封止材一体化裏面保護シートを得た。
電子線照射装置(岩崎電気株式会社製、製品名EC250/15/180L)を用いて、加速電圧280kV、照射強度80kGy裏面保護シート側から照射し、架橋済の封止材一体化裏面保護シートを作製した。
[比較例1]
実施例において、裏面保護シートを積層せずに封止材シートに直接電離線を照射したこと以外は実施例と同様に封止材シートを作成した。
[比較例2]
実施例において、裏面保護シートとしてPETフィルムの代わりにポリプロピレンフィルム(三菱樹脂株式会社製、融点165℃、厚さ125μm)を積層したこと以外は実施例と同様に封止材一体化裏面保護シートを作成した。
(セル保護性能試験)
実施例、比較例1のサンプルを用いて作成した上記の各太陽電池モジュール評価用試料について、太陽電池素子の反りから発生するマイクロクラックについて測定した。その結果を表2に示す。尚、試験条件は以下の通りである。
太陽電池素子のマイクロクラック測定試験:上述した実施例、比較例1のそれぞれの太陽電池モジュール評価用試料について、EL画像によるセルマイクロクラックの観察を行った。試験は下記に説明するサイクル試験の実施前後に行った。サイクル試験は、JIS C8917の温度サイクル試験に準拠した方法を使用した。45分かけて25℃から90℃まで上昇させ、この温度で90分間保持し、次いで90分かけて−40℃まで降下させ、この温度で90分間保持し、更に45分かけて25℃まで上昇させる。これを1サイクル(6時間)とする。このサイクルを400サイクル繰り返してサイクル試験を行った。EL画像によるセルマイクロクラックの観察は、以下の通り行った。太陽電池素子に対して、電流を順方向に導通させると、p層に少数キャリアの電子を導入することになり、その電子と正孔とがp層のなかで再結合することにより発光する発光検出工程では、太陽電池素子からの光の発光特性を検出できる従来公知の光検出手段を用いることができる。試験は、モジュールの出力端子から3Aの電流を流し、EL発光を撮影し、発光画像から目視、顕微鏡では確認できないレベルのマイクロクラックを確認した。そして42枚のセルで構成される1枚の太陽電池モジュール評価用試料中マイクロクラックが発生しているセルの数を測定した。尚、上記サイクル試験実施前のマイクロクラック発生数はいずれのマイクロクラックについても発生数0であった。上記測定値を以下の評価基準に従って評価した。結果を表2に示す。
(評価基準)
A=マイクロクラック発生数が0〜2
B=マイクロクラック発生数が3〜7
C=マイクロクラック発生数が8以上
(耐熱性試験)
耐熱クリープ(mm):シボ加工を施した大判のガラス板に5×7.5cmに切り出した封止材を2枚重ね置き、その上から5×7.5のシボガラスを重ね置き、架橋処理を行った。この後、大判ガラスを垂直に置き、140℃で12時間放置をする。放置後の5×7.5のシボガラスの移動距離を計測評価した。測定値を以下の評価基準に従って評価した。結果を表1に示す。
(評価基準)
A=1.5mm未満
B=1.5mm以上2mm未満
C=2mm以上
[湿熱耐久試験]
上記実施例、比較例2の封止材一体化裏面保護シートについて、JIS C8917に準拠し、試験槽内温度85℃、湿度85%の条件下で耐久性試験を実施後に機械強度維持率(テンシロンによる初期値からの破断強度維持率)によりが50%以上となる試験時間を調査した。ここで、チャック間距離は80mm、試験片幅は10mm、引張速度は100mm/minとした。結果については、「耐久性」として、下記表1に示す。
A:3000時間以上
B:2000時間以上
C:2000時間未満
Figure 2016072542
表1より、裏面保護シートの側から電離放射線の照射を行った実施例の封止材一体化裏面保護シートは、セル保護性能、耐熱性のバランスよく兼ね備えた優れた封止材一体化裏面保護シートである。また、裏面保護シートとしてポリプロピレンフィルムを用いた比較例2の封止材一体化裏面保護シートよりも裏面保護シートとしてPETフィルムを用いた実施例の封止材一体化裏面保護シートがより高い耐久性を有する。本実験結果から、実施例の封止材一体化裏面保護シートは、電離線放射の照射によっても裏面保護シートとしての機能を低下させることがない優れた封止材一体化裏面保護シートであることが分かる。
(ゲル分率の測定)
実施例及び比較例1の封止材一体化裏面保護シートのゲル分率を測定した。具体的には実施例及び比較例1の封止材シート1電離放射線照射側封止材シートの表面層、2当該表面層から100μm深さの層、3当該表面層から200μm深さの層、4当該表面層から400μm深さの層について、それぞれ0.1gを樹脂メッシュに入れ、60℃トルエンにて4時間抽出したのち、樹脂メッシュごと取出し乾燥処理後秤量し、抽出前後の質量比較を行い残留不溶分の質量%を測定して測定した。なお、表面からの距離とゲル分率の相関係数の二乗Rを相関と表記した。結果を表2及び図3に示す。
Figure 2016072542
表2から、実施例の封止材一体化裏面保護シートは封止材シートの厚さ方向でのゲル分率の分布が特定の一次式で近似可能ではあるが、比較例1の封止材シートは、一次式の相関係数の二乗Rが、0.980を下回っており、照射強度や照射密度を調節することのみによって、シート厚さ方向に沿ってゲル分率が変化した構造の封止材シートを製造するのは難しいことが分かる。
1 封止材シート
2 裏面保護シート
10 封止材一体化裏面保護シート

Claims (5)

  1. オレフィン系樹脂をベース樹脂とする封止材組成物を溶融成形して封止材シートを得る封止材シート化工程と、
    前記封止材シートと裏面保護シートと積層して材料積層体シートを形成する積層工程と、
    前記積層工程後に、前記材料積層体シートに、前記裏面保護シートの側から電離放射線の照射を行うことで前記封止材シートの架橋処理を行う架橋工程と、を含んでなり、
    前記裏面保護シートがPETフィルム又はフッ素系樹脂フィルムを含んでなる太陽電池モジュール用の封止材一体化裏面保護シートの製造方法。
  2. 前記電離放射線の照射の加速電圧を200kV以上で行う請求項1に記載の封止材一体化裏面保護シートの製造方法。
  3. 前記オレフィン系樹脂が密度0.870g/cm以上0.970g/cm以下のポリエチレン系樹脂である請求項1又は2に記載の封止材一体化裏面保護シートの製造方法。
  4. 前記裏面保護シートが耐加水分解性ポリエチレンテレフタレート層を含んでなる請求項1から3のいずれかに記載の封止材一体化裏面保護シートの製造方法。
  5. 電離放射線の照射により架橋された封止材シートと、裏面保護シートが一体化されてなる太陽電池モジュール用の封止材一体化裏面保護シートであって、
    前記封止材シートのゲル分率は、該封止材シートの厚さ方向に沿って、前記封止材シートの裏面保護シートとの界面側の表面から他方の表面に向かって漸減する態様で傾斜分布しており、
    前記封止材シート内での厚さ方向でのゲル分率の分布が特定の一次式で近似可能であり、前記一次式の相関係数の二乗Rが0.980以上1.000以下である太陽電池モジュール用の封止材一体化裏面保護シート。
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