JP2016072541A - 太陽電池モジュール用の封止材一体化裏面保護シートの製造方法及び当該製法によって得られる太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】接着剤により形成された接着剤層と基材層をこの順に積層して積層体を形成する積層工程を含む太陽電池モジュール用封止材一体化裏面保護シートの製造方法であって、接着剤に所定量の架橋剤を含有させることによって、封止材シートの耐熱性、埋まり込み性及び封止材一体化裏面保護シートの生産性を両立することのできる太陽電池モジュール用封止材一体化裏面保護シートの製造方法である。
【選択図】図1
Description
架橋条件:前記封止材シートが150℃以上190℃以下となる範囲で10分間以上温度を保持する。
本実施形態は、主として接着剤層を成形する接着剤に架橋剤が含まれることを特徴とする。そのような架橋剤としては特に限定されず、例えば公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤としては、例えば、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ヒドロパーオキシ)ヘキサン等のヒドロパーオキサイド類;ジ‐t‐ブチルパーオキサイド、t‐ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐パーオキシ)ヘキシン‐3等のジアルキルパーオキサイド類;ビス‐3,5,5‐トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、o‐メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4‐ジクロロベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;t‐ブチルパーオキシアセテート、t‐ブチルパーオキシ‐2‐エチルヘキサノエート、t‐ブチルパーオキシピバレート、t‐ブチルパーオキシオクトエート、t‐ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t‐ブチルパーオキシベンゾエート、ジ‐t‐ブチルパーオキシフタレート、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン‐3、t‐ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート等のパーオキシエステル類;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類等の有機過酸化物、又は、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4‐ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジクミルパーオキサイド、といったシラノール縮合触媒等を挙げることができる。
本発明は、(A)密度0.900g/cm3以下のポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物を溶融形成して封止材シートを得る封止材シート化工程と、(B)封止材シートの少なくとも一方の面上に、接着剤により形成された接着剤層と基材層をこの順に積層して積層体を形成する積層工程と、(C)積層工程後に前記封止材シートを架橋する架橋工程からなる。以下、それぞれの工程に分けて順次説明する。
本実施形態の基材シートを製造するための組成物(以下、単に、「組成物」ともいう。)は、密度が0.900g/cm3以下のポリエチレン系樹脂を90%以上含有する樹脂組成物を含有する。
本発明においては密度が0.900g/cm3以下の低密度ポリエチレン(LDPE)、好ましくは直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いる。直鎖低密度ポリエチレンはエチレンとα−オレフィンとの共重合体であり、本発明においては、その密度が0.900g/cm3以下、好ましくは0.870g/cm3以上0.890g/cm3以下の範囲である。この範囲であれば、シート加工性を維持しつつ良好な透明性と耐熱性を付与することができる。
MFR(g/10min):JIS K7210に準拠して測定。具体的には、ヒーターで加熱された円筒容器内で合成樹脂を、190℃で加熱・加圧し、容器底部に設けられた開口部(ノズル)から10分間あたりに押出された樹脂量を測定した。試験機械は押出し形プラストメータを用い、押出し荷重については2.16kgとした。
組成物には、更にその他の成分を含有させることができる。例えば、本実施形態の太陽電池モジュール用封止材組成物から作製された封止材シートに耐候性を付与するための耐候性マスターバッチ、各種フィラー、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の成分が例示される。これらの含有量は、その粒子形状、密度等により異なるものではあるが、それぞれ太陽電池モジュール用封止材組成物中に0.001質量%以上5質量%以下の範囲内であることが好ましい。これらの添加剤を含むことにより、太陽電池モジュール用封止材組成物に対して、長期に亘って安定した機械強度や、黄変やひび割れ等の防止効果等を付与することができる。
積層工程(B)は、封止材シート化工程(A)で得た封止材シートの少なくとも一方の面上に、接着剤により形成された接着剤層と基材層をこの順に積層して積層体を形成する積層工程である。
接着剤層3は、主として封止材シート2と基材層4を接合するために設けられる層である。本実施形態において接着剤層3は、基材層4の上面、又は、該上面に対向する封止材シート2の下面に塗布された接着剤が積層後に硬化することによって形成される。後述する通り、本実施形態に係る封止材一体化裏面保護シートにおいて接着剤層3は封止材シート2に接触して配置していればその配置はこれに限定されるものではない。
主剤成分は、ポリウレタンジオールと脂肪族ポリカーボネートジオールとの混合物を含む、ポリウレタン/ポリカーボネートジオール系が好ましい。主剤を構成するポリウレタンジオール及び脂肪族ポリカーボネートジオールは、ともに水酸基を有するポリオールであり、イソシアネート基を有する硬化剤と反応して、接着剤層を構成するものである。本実施形態においては、主剤を特定のポリウレタンジオールと脂肪族ポリカーボネートジオールを所定量配合した混合物とすることによって、接着剤層の接着性及び耐候性を向上させることができる。
接着剤の硬化剤は、ポリイソシアネート化合物を主成分とするものである。ポリイソシアネート化合物は、1分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物であり、このイソシアネート基が上記主剤のポリウレタンジオール化合物中の水酸基と反応することにより、ポリウレタンジオール化合物を架橋する。このようなポリイソシアネート化合物としては、上記主剤のポリウレタンジオール化合物を架橋することができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ポリウレタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、「HDI」)、イソシアヌレート変性のイソホロンジイソシアネート(以下、「ヌレート変性IPDI」)等を例示することができる。これらのポリイソシアネート化合物の中でも、HDIとヌレート変性IPDIとを組み合わせた混合物が水酸基に対する反応性を向上させる観点より好ましい。なお、硬化剤をHDIとヌレート変性IPDIとの混合物とする場合、HDIとヌレート変性IPDIは、70:30〜50:50(質量比)の範囲で使用することが好ましい。
接着剤成分は、主剤と硬化剤を主成分とするものであるが、主剤と硬化剤の配合比率は、(ポリイソシアネート化合物由来のイソシアネート基)/(ポリウレタンジオール化合物由来の水酸基)の比が1.0以上3.5以下の範囲であることが好ましく、更に、1.2以上3.0以下の範囲にあることが好ましい。主剤成分のポリウレタンジオール化合物と硬化剤成分のポリイソシアネート化合物との配合比率が上記範囲にあることにより、各基材を強固に接合することができる接着剤を得ることができるため好ましい。
上記の他、必要に応じてシランカップリング剤、粘着付与剤、安定化剤、顔料、充填剤、可塑剤、軟化点向上剤、触媒等を添加剤として混合することができる。シランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシラン、メチルトリエトキシシラン等のシランモノマー、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン、3−メタクリロキシプロピルエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメトキシシラン等のメタクリルシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシランを挙げることができる。粘着付与剤としては、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂等が挙げられる。安定化剤としては、酸化防止剤、紫外線防止剤等が挙げられる。充填剤としては、無機フィラー等が挙げられる。
上記の接着剤組成物として、良好な塗布性及びハンドリング適正を得るために、溶剤成分を添加することが好ましい。このような溶剤成分としては、上記酢酸エチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等のカルボン酸エステルを挙げることができるがこれに限定されない。なお、既に述べたように上記接着剤は、主剤と硬化剤の2液剤として構成されるが、主剤で使用される溶剤成分と硬化剤で使用される溶剤成分はそれぞれ独立に選択され、同一でも異なっていてもよい。
以上説明した接着剤組成物を封止材シート2及び/又は基材層4上に塗布又は積層して乾燥硬化することにより接着剤層3を形成することができる。塗布の方法としては、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、その他等のコート法、或いは、印刷法等によって塗布することができる。塗布量は3.0g/m2以上7.0g/m2以下とし、接着剤層3の厚さは、3.0μm以上7.0μm以下の範囲であることが好ましい。この範囲であれば、太陽電池モジュール用のシート積層部材に必要な接着強度等に応じて適宜変更すればよい。
基材層4は、封止材一体化裏面保護シートが太陽電池モジュールに使用された際に、太陽電池モジュールの裏面側の表面に位置する。そのため、基材層4は、耐候性、耐熱性、耐光性等に優れたものを使用する。このような樹脂シートとしては、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニル・エステル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(四フッ化エチレン・エチレン共重合体)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等のフッ素系樹脂等の樹脂シートが好ましく例示される。
架橋工程(C)とは、積層工程後に前記封止材シートを架橋する工程である。架橋工程によってゲル分率が2%以上80%以下となる封止材シートとするのが好ましい。
太陽電池モジュールは、本実施形態の封止材一体化裏面保護シートの封止材間に太陽電池素子を積層させ、更に透明前面基板を積層してから真空吸引等により一体化し、その後、ラミネーション法等の成形法により、上記の部材を一体成形体として加熱圧着成形して製造することができる。
ベース樹脂:密度0.880g/cm3、190℃でのMFRが3.1g/10分のメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE1)ペレットを用いた。
シラン変性透明樹脂:密度0.881g/cm3であり、190℃でのMFRが2g/10分であるM−LLDPE2の98質量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2質量部と、ラジカル発生剤(反応触媒)としてのジクミルパーオキサイド0.1質量部とを混合し、200℃で溶融、混練し、シラン変性透明樹脂を得た。
架橋剤マスターバッチ:M−LLDPE1ペレット100質量部に対して、架橋剤として、2,5‐ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(アルケマ吉富株式会社製、商品名ルペロックス101、1分間半減期温度が181℃)0.5質量部を含浸させ、マスターバッチを得た。
耐候性マスターバッチ:密度0.880g/cm3のチーグラー直鎖状低密度ポリエチレンを粉砕したパウダー100質量部に対して、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤3.8質量部とヒンダードアミン系光安定化剤5質量部と、リン系熱安定化剤0.5質量部とを混合して溶融、加工し、ペレット化したマスターバッチを得た。
<<封止材シート1>>
ベース樹脂86質量部、シラン変性透明樹脂5質量部、耐候性マスターバッチ9質量部、を組成物とし(架橋剤なし)、単層φ30mm押出し機、200mm幅のTダイスを有するフィルム成形機を用いて、押出し温度210℃、引き取り速度1.1m/minで押し出し成形して厚さ400μmの基材シートを製造した。この封止材シートの密度は0.880g/cm3、190℃でのMFRは0.24g/10分であった。
ベース樹脂79質量部、シラン変性透明樹脂5質量部、架橋剤マスターバッチ7質量部、耐候性マスターバッチ9質量部、を組成物とし(樹脂中の架橋剤量は、全樹脂中0.035質量%)、単層φ30mm押出し機、200mm幅のTダイスを有するフィルム成形機を用いて、押出し温度210℃、引き取り速度1.1m/minで押し出し成形して厚さ400μmの基材シートを製造した。この封止材シートの密度は0.880g/cm3、190℃でのMFRは0.24g/10分であった。
[接着剤]
[主剤]
窒素雰囲気下、攪拌機、窒素導入管を備えたフラスコに、エチレングリコール(32.3質量部)、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(270.8質量部)、1,6−ヘキサンジオール(122.9質量部)、アジピン酸(228.1質量部)、イソフタル酸(664質量部)を加え、180℃から220℃にて窒素にてバブリングさせ、酸価2mgKOH/gまで反応させ、酢酸エチル(860質量部)を加え、ポリエステルジオールHの50%溶液を得た。得られた樹脂の水酸基価は、32mgKOH/gであり、数平均分子量は約3500であった。
ヘキサメチレンジイソシアネート(HDIアダクト:2官能)とイソシアヌレート変性のイソホロンジイソシアネート(ヌレート変性IPDI)の混合物を使用した。上記アダクト変性HDI及びヌレート変性IPDIの混合比(HDIアダクト)/(ヌレート変性IPDI)を6:4(質量比)とした。
架橋剤:2,5ジメチル−2,5ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(ルペロックス101、1分間半減期温度:181℃、自己促進分解温度:86℃)
溶剤:酢酸エチル
上記主剤(固形分率84.1質量%)、上記硬化剤(固形分率15.9質量%)とし、上記架橋剤を、表1に示すだけ上記溶剤に溶解させた。
上記封止材シート1(架橋剤なし)又は封止材シート2(架橋剤量として全樹脂中0.014質量%)の一方の面上に、上記接着剤をグラビアコートし(塗布量:5g/m2)その上に基材シート(PETフィルム(帝人デュポン社製、「Melinex S」)厚さ188μm)積層し、乾燥(80℃、30秒)、エージング(60℃、120時間)及び以下の架橋条件のもと架橋工程(熱架橋:170℃以下で10分間)を行い、実施例及び比較例の封止材一体化裏面保護シートを得た。
実施例及び比較例について、130℃垂直ズリ試験を行った。具体的には、5×7.5cmに切り出した封止材一体型裏面保護シートを垂直に2枚重ね置き、130℃で12時間放置をする。放置後の5×7.5の封止材一体型裏面保護シートの移動距離を計測評価した。計測結果を表2に示す。
2 封止材シート
3 接着剤層
4 基材層
Claims (6)
- 密度0.900g/cm3以下のポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物を溶融形成して封止材シートを得る封止材シート化工程と、
前記封止材シートの少なくとも一方の面上に、接着剤により形成された接着剤層と基材層をこの順に積層して積層体を形成する積層工程と、
前記積層工程後に前記封止材シートを架橋する架橋工程と、を含み、
前記接着剤は、樹脂と、硬化剤と、架橋剤とを含み、
前記樹脂中の前記架橋剤の含有量が15.0質量%以上30.0質量%以下である太陽電池モジュール用の封止材一体化裏面保護シートの製造方法。 - 前記溶融形成の前において、前記封止材シートを形成する前記樹脂組成物が、実質的に架橋剤を含有しない樹脂組成物である請求項1に記載の封止材一体化裏面保護シートの製造方法。
- 前記架橋剤の1分間半減期温度が130℃以上190℃未満である請求項1又は2に記載の封止材一体化裏面保護シートの製造方法。
- 前記基材層がPETフィルム又はフッ素系樹脂フィルムである請求項1から3のいずれかに記載の封止材一体化裏面保護シートの製造方法。
- 前記架橋工程が下記の架橋条件による熱架橋工程である請求項1から4のいずれかに記載の封止材一体化裏面保護シートの製造方法。
架橋条件:前記封止材シートが150℃以上190℃以下となる範囲で10分間以上温度を保持する。 - 請求項1から5のいずれかに記載の封止材一体化裏面保護シートの製造方法により製造される封止材一体化裏面保護シートを積層してなる太陽電池モジュール。
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