以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図3は、本実施の形態に係る紙幣処理機を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態による紙幣処理機の構成の概略を示す概略構成図であり、図2は、図1に示す紙幣処理機の制御系の構成を示す機能ブロック図である。また、図3は、図1に示す紙幣処理機において、2つの金種の帯封紙幣を並行して形成するときの動作を示すフローチャートである。
図1に示すように、本実施の形態による紙幣処理機は、図1(a)に示すような紙幣収納ユニット100と、図1(b)に示すような紙幣帯封ユニット200とから構成されている。具体的には、紙幣収納ユニット100および紙幣帯封ユニット200はそれぞれ略直方体形状のものとなっており、これらの紙幣収納ユニット100および紙幣帯封ユニット200が左右に並ぶよう配置されることにより紙幣処理機が構成されている。紙幣収納ユニット100および紙幣帯封ユニット200の各構成部材について以下に説明する。
図1(a)に示すように、紙幣収納ユニット100は略直方体形状の筐体102を有しており、この紙幣収納ユニット100には、外部から筐体102内に紙幣を投入するための紙幣投入部110および筐体102内から外部にバラ紙幣を投出するためのバラ紙幣投出部152がそれぞれ設けられている。紙幣投入部110には紙幣繰出部112が設けられており、外部から紙幣投入部110に投入された紙幣は紙幣繰出部112により1枚ずつ筐体102内に繰り出されるようになっている。また、紙幣繰出部112には入金搬送部114が接続されており、紙幣繰出部112により筐体102内に繰り出された紙幣は入金搬送部114により1枚ずつ搬送されるようになっている。ここで、入金搬送部114には入金識別部116が設けられており、入金搬送部114により搬送される紙幣は入金識別部116によりその金種、真偽、正損、新旧等が識別されるようになっている。また、入金搬送部114による紙幣の搬送方向における入金識別部116の下流側には表裏反転部118が設けられており、入金識別部116により識別された紙幣は表裏反転部118によりその表裏が整えられるようになっている。具体的には、表裏反転部118に送られた紙幣のうち、例えば裏面が上側となっている紙幣のみの表裏が反転されることにより、この表裏反転部118から出された紙幣は全て表面(おもてめん)が上側となるようになる。また、入金搬送部114には入金リジェクト部120が接続されており、入金識別部116により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣が入金搬送部114から入金リジェクト部120に送られるようになっている。入金リジェクト部120は紙幣収納ユニット100の筐体102の外部からアクセス可能となっており、操作者はこの入金リジェクト部120に集積されたリジェクト紙幣を手動で取り出すことができるようになっている。
また、図1(a)に示すように、入金搬送部114には1つの一括一時保留部130と、複数(例えば4つ)の金種別一時保留部132とがそれぞれ接続されている。ここで、1つの一括一時保留部130および複数の金種別一時保留部132は入金搬送部114や後述する下部搬送部146に対して並列に並ぶよう配設されている。入金搬送部114から一括一時保留部130や各金種別一時保留部132に搬送された紙幣は、これらの一括一時保留部130や各金種別一時保留部132において積層状態で集積されることにより一時的に保留されるようになっている。なお、一括一時保留部130には複数の金種の紙幣が混合状態で一時的に保留されるようになっており、また、各金種別一時保留部132にはそれぞれ特定の金種の紙幣が一時的に保留されるようになっている。また、一括一時保留部130に対応して1つの一括紙幣収納庫140が設けられているとともに、各金種別一時保留部132に対応して複数の金種別紙幣収納庫142が設けられている。一括紙幣収納庫140には、一括一時保留部130から送られた紙幣が積層状態で収納されるようになっている。また、各金種別紙幣収納庫142には、対応する金種別一時保留部132から送られた紙幣が積層状態で収納されるようになっている。なお、一括紙幣収納庫140には複数の金種の紙幣が混合状態で収納されるようになっており、また、各金種別紙幣収納庫142にはそれぞれ特定の金種の紙幣が収納されるようになっている。また、一括紙幣収納庫140および各金種別紙幣収納庫142にはそれぞれ紙幣繰出部144が設けられており、これらの一括紙幣収納庫140および各金種別紙幣収納庫142から紙幣が1枚ずつ紙幣繰出部144により繰り出されるようになっている。
また、図1(a)に示すように、各紙幣繰出部144には下部搬送部146が接続されており、各紙幣繰出部144により一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142から繰り出された紙幣は下部搬送部146により1枚ずつ搬送されるようになっている。ここで、下部搬送部146には出金識別部148が接続されており、下部搬送部146により搬送される紙幣は出金識別部148によりその金種、真偽、正損、新旧等が識別されるようになっている。なお、出金識別部148は、紙幣の金種および新旧のみの識別を行い、紙幣の真偽、正損の識別は行わないようになっていてもよい。また、出金識別部148には出金搬送部150が接続されており、この出金識別部148により識別された紙幣は出金搬送部150により1枚ずつ搬送されるようになっている。
図1(a)に示すように、出金搬送部150にはバラ紙幣投出部152、出金リジェクト部154、2つの整理一時保留部160がそれぞれ接続されており、出金識別部148により識別された紙幣のうち、筐体102の外部に投出されるべき紙幣は出金搬送部150によりバラ紙幣投出部152に送られてこのバラ紙幣投出部152に集積されるようになっている。バラ紙幣投出部152は紙幣収納ユニット100の筐体102の外部からアクセス可能となっており、操作者はこのバラ紙幣投出部152に集積されたバラ紙幣を手動で取り出すことができるようになっている。また、出金識別部148により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は出金搬送部150により出金リジェクト部154に送られるようになっている。また、出金リジェクト部154に集積されたリジェクト紙幣を取り出すにあたり、操作者は紙幣収納ユニット100の筐体102に設けられた扉を開いて出金リジェクト部154内のリジェクト紙幣を取り出すようになっている。また、出金識別部148により識別された紙幣のうち、紙幣帯封ユニット200により帯封されるべき紙幣は出金搬送部150により各整理一時保留部160に送られるようになっている。各整理一時保留部160では、出金搬送部150から送られた紙幣が積層状態で集積されるようになっている。また、図1(a)に示すように、出金識別部148により識別された紙幣を出金搬送部150により表裏反転部118に送ることができるようになっており、出金搬送部150により表裏反転部118に送られた紙幣は入金搬送部114により一括一時保留部130や各金種別一時保留部132に搬送されるようになっている。
図1(a)に示すように、入金搬送部114や出金搬送部150における分岐箇所には分岐部材170がそれぞれ設けられており、これらの分岐部材170により分岐箇所における紙幣の搬送先が決められるようになっている。また、入金搬送部114、下部搬送部146、出金搬送部150には紙幣の検出を行う紙幣検出センサ180が複数設けられている。また、本実施の形態では、出金搬送部150における、出金識別部148と各整理一時保留部160との間には、紙幣厚さ検知センサ182および半券検知センサ184がそれぞれ設けられている。また、半券検知センサ184は、バラ紙幣投出部152への入口部分である出金搬送部150にも設けられている。
図1(b)に示すように、紙幣帯封ユニット200は略直方体形状の筐体202を有しており、この紙幣帯封ユニット200の筐体202内には、整理一時保留部160に集積された紙幣の束を取り出すためのアーム部210と、アーム部210により取り出された紙幣の束を帯封するための帯封部212とがそれぞれ設けられている。アーム部210により整理一時保留部160から取り出された紙幣の束は帯封部212に送られて当該帯封部212により帯封されるようになっている。具体的には、帯封部212の近傍にはテープセット部214が設けられており、このテープセット部214から帯封紙が帯封部212に送られることによって、帯封部212において例えば100枚の紙幣の束が帯封紙により結束されるようになっている。帯封部212には帯封紙幣搬送部216が接続されており、帯封部212により帯封された帯封紙幣は帯封紙幣搬送部216により帯封紙幣投出部218に搬送されるようになっている。帯封紙幣投出部218は紙幣帯封ユニット200の筐体202の外部からアクセス可能となっており、操作者はこの帯封紙幣投出部218に送られた帯封紙幣を手動で取り出すことができるようになっている。
また、図1(b)に示すように、帯封紙幣投出部218には帯封紙幣収納出金用搬送部220やリフト部224が接続されている。帯封紙幣収納出金用搬送部220には帯封紙幣判別部222が設けられており、この帯封紙幣判別部222は、帯封紙幣投出部218から帯封紙幣収納出金用搬送部220に送られた帯封紙幣の金種等の判別を行うようになっている。また、帯封紙幣収納出金用搬送部220には複数の帯封紙幣収納カセット230が接続されており、帯封部212により帯封された帯封紙幣のうち、帯封紙幣投出部218により筐体202の外部に投出されない帯封紙幣は帯封紙幣収納出金用搬送部220により各帯封紙幣収納カセット230に金種別に収納されるようになっている。また、各帯封紙幣収納カセット230にはカセット駆動部232が設けられており、これらのカセット駆動部232により、各帯封紙幣収納カセット230に収納された帯封紙幣が帯封紙幣収納出金用搬送部220に繰り出されるようになっている。各帯封紙幣収納カセット230から帯封紙幣収納出金用搬送部220に繰り出された帯封紙幣は帯封紙幣投出部218に送られ、この帯封紙幣投出部218から筐体202の外部に投出される。また、帯封紙幣搬送部216から帯封紙幣投出部218に送られた帯封紙幣はリフト部224により図1(b)における上下方向に搬送可能となっている。ここで、リフト部224の下部にも回収用の開口が設けられており、リフト部224により下部に搬送された帯封紙幣はこの開口から筐体202の外部に投出可能となっている。
また、本実施の形態の紙幣処理機には、当該紙幣処理機の紙幣収納ユニット100および紙幣帯封ユニット200の各構成部材の制御を行う制御部10が設けられている。より詳細には、図2に示すように、制御部10には紙幣収納ユニット100の各構成部材(具体的には、紙幣繰出部112、入金搬送部114、入金識別部116、表裏反転部118、一括一時保留部130、金種別一時保留部132、紙幣繰出部144、下部搬送部146、出金識別部148、出金搬送部150、分岐部材170、各種センサ180、182、184)および紙幣帯封ユニット200の各構成部材(具体的には、アーム部210、帯封部212、テープセット部214、帯封紙幣搬送部216、帯封紙幣投出部218、帯封紙幣収納出金用搬送部220、帯封紙幣判別部222、リフト部224、カセット駆動部232)がそれぞれ通信可能に接続されている。そして、紙幣収納ユニット100の入金識別部116や出金識別部148による紙幣の識別結果に係る信号や、各種センサ180、182、184による紙幣の検知結果に係る信号、ならびに帯封紙幣判別部222による帯封紙幣の金種等の判別結果に係る信号等が制御部10に送られるようになっている。また、制御部10は、紙幣収納ユニット100および紙幣帯封ユニット200の各構成部材に指令信号を送ることによりこれらの構成部材の制御を行うようになっている。
また、図2に示すように、本実施の形態の紙幣処理機において、制御部10には表示部12、操作部14、記憶部16、印字部18および通信インターフェース部20がそれぞれ通信可能に接続されている。表示部12は例えば紙幣収納ユニット100の筐体102や紙幣帯封ユニット200の筐体202の前面や上面に設けられたモニタ等からなり、紙幣収納ユニット100や紙幣帯封ユニット200による紙幣の処理状況や、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に収納されている紙幣の在高等に関する情報、および各帯封紙幣収納カセット230に収納されている帯封紙幣の在高等に関する情報が表示部12に表示されるようになっている。また、操作部14は例えばキーボードや操作キー等からなり、操作者はこの操作部14により制御部10に対して様々な指令を与えることができるようになっている。なお、表示部12および操作部14がそれぞれ設けられる代わりに、表示部12および操作部14の機能が一体化されたタッチパネル等の操作表示部が紙幣収納ユニット100の筐体102や紙幣帯封ユニット200の筐体202の前面や上面に設けられていてもよい。
記憶部16には、紙幣収納ユニット100や紙幣帯封ユニット200による紙幣の処理履歴や、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に収納されている紙幣の在高等に関する情報、および各帯封紙幣収納カセット230に収納されている帯封紙幣の在高等に関する情報が記憶されるようになっている。また、印字部18は、紙幣収納ユニット100や紙幣帯封ユニット200による紙幣の処理履歴や、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に収納されている紙幣の在高等に関する情報、および各帯封紙幣収納カセット230に収納されている帯封紙幣の在高等に関する情報をレシート等に印字するようになっている。また、制御部10は通信インターフェース部20を介して本実施の形態による紙幣処理機とは別に設けられた外部装置(具体的には、例えば上位端末)に対して信号の送受信を行うことができるようになっている。
また、図2に示すように、本実施の形態の紙幣処理機において、制御部10には帯封紙幣数指定部30が通信可能に接続されている。帯封紙幣数指定部30は、操作者によって操作部14により制御部10に入力された情報や通信インターフェース部20を介して上位端末等の外部装置から制御部10に送信された情報に基づいて、帯封部212により形成されるべき帯封紙幣の金種毎の数を指定するようになっている。
次に、このような構成からなる紙幣処理機の動作について説明する。なお、以下に示すような紙幣処理機の動作は、制御部10が紙幣収納ユニット100や紙幣帯封ユニット200の各構成部材を制御することにより行われるようになっている。
まず、紙幣収納ユニット100において紙幣の入金処理を行う際の動作について説明する。本実施の形態による紙幣処理機が待機状態となっているときに、操作者が紙幣投入部110に紙幣を投入するとともに、入金処理開始の指令を操作部14により制御部10に入力したり上位端末等の外部装置から通信インターフェース部20を介して制御部10に入金処理開始の指令が送信されたりすると、紙幣投入部110に投入された紙幣は紙幣繰出部112により1枚ずつ筐体102内に繰り出され、入金搬送部114により搬送されるようになる。そして、入金搬送部114により搬送される紙幣は入金識別部116によりその金種、真偽、正損、新旧等が識別される。入金識別部116により識別された紙幣は表裏反転部118によりその表裏が整えられる。具体的には、表裏反転部118に送られた紙幣のうち、例えば裏面が上側となっている紙幣のみの表裏が反転されることにより、この表裏反転部118から出された紙幣は全て表面(おもてめん)が上側となるようになる。また、入金識別部116により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は入金搬送部114から入金リジェクト部120に送られる。入金リジェクト部120は紙幣収納ユニット100の筐体102の外部からアクセス可能となっており、紙幣投入部110に投入された紙幣が全て筐体102内に繰り出されると、操作者はこの入金リジェクト部120に集積されたリジェクト紙幣を手動で取り出し、紙幣投入部110に再投入等するようになる。
一方、入金識別部116により正常な紙幣であると識別された紙幣は、入金搬送部114により一括一時保留部130または各金種別一時保留部132に送られ、これらの一時保留部で一時的に保留されるようになる。具体的には、入金識別部116により正常な紙幣であると識別された紙幣は、対応する金種の金種別一時保留部132に送られるが、この対応する金種の金種別一時保留部132が満杯状態である場合には入金処理が停止される。そして、正常な紙幣のうち旧券は一括一時保留部130に送られるようになる。紙幣投入部110に投入された紙幣が全て筐体102内に繰り出され、入金リジェクト部120、一括一時保留部130または各金種別一時保留部132に送られると、表示部12には操作者に対して入金確定の指令を促すメッセージが表示される。このときに、操作者が操作部14により入金確定の指令を入力すると、一括一時保留部130や各金種別一時保留部132に一時的に保留されている紙幣が、対応する一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142に送られ、これらの紙幣収納庫に収納されるようになる。このようにして、紙幣収納ユニット100における紙幣の入金処理に係る一連の動作が完了する。
次に、紙幣収納ユニット100によりバラ紙幣の出金処理を行う際の動作について説明する。本実施の形態による紙幣処理機が待機状態となっているときに、出金すべき紙幣の金種毎の枚数や合計金額等に係る情報を含むバラ紙幣出金処理開始の指令を操作者が操作部14により制御部10に入力したり上位端末等の外部装置から通信インターフェース部20を介して制御部10に上記のバラ紙幣出金処理開始の指令が送信されたりすると、出金すべき金種の紙幣が各金種別紙幣収納庫142から1枚ずつ紙幣繰出部144により下部搬送部146に繰り出される。そして、下部搬送部146により搬送される紙幣は出金識別部148によりその金種、真偽、正損、新旧等が識別され、出金識別部148により識別された紙幣は出金搬送部150により1枚ずつ搬送される。出金識別部148により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は出金搬送部150から出金リジェクト部154に送られる。また、出金識別部148により正常な紙幣であると識別された紙幣は出金搬送部150によりバラ紙幣投出部152に送られ、このバラ紙幣投出部152に集積される。バラ紙幣投出部152は紙幣収納ユニット100の筐体102の外部からアクセス可能となっており、紙幣収納ユニット100において紙幣の出金処理が完了すると、操作者はこのバラ紙幣投出部152に集積された紙幣を手動で取り出すようになる。また、出金リジェクト部154に送られたリジェクト紙幣も筐体102の外部からアクセス可能となっている。このようにして、紙幣収納ユニット100におけるバラ紙幣の出金処理に係る一連の動作が完了する。
次に、紙幣帯封ユニット200により紙幣の帯封処理を行う際の動作について説明する。具体的には、紙幣帯封ユニット200により帯封紙幣を金種毎に形成する場合の動作について以下に述べる。ここで、帯封紙幣を金種毎に形成するとは、ある金種の帯封紙幣を所定数だけ紙幣帯封ユニット200により形成した後に、別の金種の帯封紙幣を所定数だけ紙幣帯封ユニット200により形成することをいう。
本実施の形態による紙幣処理機が待機状態となっているときに、帯封部212により形成されるべき帯封紙幣の金種毎の数に係る情報を含む帯封処理開始の指令を操作者が操作部14により制御部10に入力したり上位端末等の外部装置から通信インターフェース部20を介して制御部10に上記の帯封処理開始の指令が送信されたりすると、帯封部212により形成されるべき帯封紙幣の金種毎の数が帯封紙幣数指定部30により指定される。また、帯封紙幣が形成されるべき一または複数の金種のうちある金種の紙幣が各金種別紙幣収納庫142から1枚ずつ紙幣繰出部144により下部搬送部146に繰り出される。そして、下部搬送部146により搬送される紙幣は出金識別部148によりその金種、真偽、正損、新旧等が識別され、出金識別部148により識別された紙幣は出金搬送部150により1枚ずつ搬送される。出金識別部148により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は出金搬送部150から出金リジェクト部154に送られる。また、出金識別部148により正常な紙幣であると識別された紙幣は出金搬送部150により上下の整理一時保留部160のうち一方の整理一時保留部160に送られ、当該整理一時保留部160に集積される。そして、整理一時保留部160に集積された紙幣の枚数が所定の枚数(例えば、100枚)に達すると、整理一時保留部160に集積された紙幣の束がアーム部210により当該整理一時保留部160から取り出され、この紙幣の束はアーム部210により紙幣帯封ユニット200の帯封部212に搬送される。また、アーム部210により紙幣の束が一方の整理一時保留部160から取り出されている間、出金搬送部150から他方の整理一時保留部160に紙幣が送られてこの他方の整理一時保留部160に紙幣が集積されるようになっている。
アーム部210により整理一時保留部160から取り出された紙幣の束が当該アーム部210により紙幣帯封ユニット200の帯封部212に搬送されると、この帯封部212において、テープセット部214から当該帯封部212に送られた帯封紙により紙幣の束が結束されることによって帯封紙幣が形成される。帯封部212により形成された帯封紙幣は帯封紙幣搬送部216により帯封紙幣投出部218に搬送され、操作者はこの帯封紙幣投出部218に送られた帯封紙幣を手動で取り出すことができるようになる。また、帯封紙幣搬送部216により帯封紙幣投出部218に搬送された帯封紙幣は、当該帯封紙幣投出部218から帯封紙幣収納出金用搬送部220に搬送され、帯封紙幣判別部222を通過した後、この帯封紙幣収納出金用搬送部220により各帯封紙幣収納カセット230に金種別に収納されるようになっていてもよい。ある金種の紙幣について上述した処理が行われることにより所定数の帯封紙幣が形成されると、別の金種の紙幣について同様の処理が行われることによりこの別の金種についても所定数の帯封紙幣が形成されるようになる。そして、帯封紙幣数指定部30により指定された金種毎の数の帯封紙幣が帯封部212により形成されると、紙幣帯封ユニット200における紙幣の帯封処理に係る一連の動作が完了する。
次に、紙幣帯封ユニット200により帯封紙幣の出金処理を行う際の動作について説明する。本実施の形態による紙幣処理機が待機状態となっているときに、出金されるべき帯封紙幣の金種毎の数に係る情報を含む帯封紙幣出金処理開始の指令を操作者が操作部14により制御部10に入力したり上位端末等の外部装置から通信インターフェース部20を介して制御部10に上記の帯封紙幣出金処理開始の指令が送信されたりすると、出金すべき金種の帯封紙幣が各帯封紙幣収納カセット230から1つずつカセット駆動部232により帯封紙幣収納出金用搬送部220に繰り出される。そして、各帯封紙幣収納カセット230から帯封紙幣収納出金用搬送部220に繰り出された帯封紙幣は帯封紙幣投出部218に送られ、操作者はこの帯封紙幣投出部218に送られた帯封紙幣を手動で取り出すことができるようになる。このようにして、紙幣帯封ユニット200における帯封紙幣の出金処理に係る一連の動作が完了する。
また、本実施の形態による紙幣処理機では、紙幣帯封ユニット200により紙幣の帯封処理を行うにあたり、各金種別紙幣収納庫142から繰り出された紙幣を整理一時保留部160に送る他に、一括紙幣収納庫140から繰り出された紙幣を整理一時保留部160に送ることにより2つの金種の帯封紙幣を並行して形成することができるようになっている。具体的には、本実施の形態による紙幣処理機の制御部10において、上側の整理一時保留部160に第1の金種(例えば、千円札)を割り当てるとともに下側の整理一時保留部160に第2の金種(例えば、一万円札)を割り当てておく。そして、複数の金種の紙幣が混合状態で収納された一括紙幣収納庫140から繰り出された紙幣のうち第1の金種の紙幣(すなわち、千円札)を上側の整理一時保留部160に送り、第2の金種の紙幣(すなわち、一万円札)を下側の整理一時保留部160に送り、その他の金種の紙幣は一括一時保留部130に送りこの一括一時保留部130で一時的に保留した後に一括紙幣収納庫140に戻すようにする。また、上側の整理一時保留部160および下側の整理一時保留部160の各々において、集積された紙幣の枚数が所定数に達したときに当該整理一時保留部160から紙幣の束をアーム部210により取り出し、帯封部212においてこの取り出された紙幣の束に帯封紙を巻くことにより帯封紙幣を形成する。このように、紙幣処理機において2つの金種の帯封紙幣を並行して形成することをいわゆる「2金種巻き」という。このような、本実施の形態による紙幣処理機において2つの金種の帯封紙幣を並行して形成する動作について図3に示すフローチャートを用いてより詳細に説明する。
上述したように、本実施の形態による紙幣処理機の制御部10において、上側の整理一時保留部160に第1の金種(例えば、千円札)が予め割り当てられるとともに下側の整理一時保留部160に第2の金種(例えば、一万円札)が割り当てられている。そして、本実施の形態による紙幣処理機が待機状態となっているときに、帯封部212により形成されるべき帯封紙幣の金種毎の数に係る情報を含む、2金種巻きの帯封処理開始の指令を操作者が操作部14により制御部10に入力したり上位端末等の外部装置から通信インターフェース部20を介して制御部10に上記の2金種巻きの帯封処理開始の指令が送信されたりすると、帯封部212により形成されるべき帯封紙幣の金種毎の数が帯封紙幣数指定部30により指定される。また、2金種巻きの帯封処理開始の指令が制御部10に与えられると、一括紙幣収納庫140から紙幣が1枚ずつ紙幣繰出部144により下部搬送部146に繰り出される(STEP1)。そして、下部搬送部146により搬送される紙幣は出金識別部148によりその金種、真偽、正損、新旧等が識別され、出金識別部148により識別された紙幣は出金搬送部150により1枚ずつ搬送される(STEP2)。出金識別部148により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は出金搬送部150から出金リジェクト部154に送られる。また、出金識別部148により正常な紙幣であると識別された紙幣のうち第1の金種の紙幣(すなわち、千円札)は、(STEP3の「YES」)、出金搬送部150により上側の整理一時保留部160に送られ、この上側の整理一時保留部160に集積される(STEP4)。また、出金識別部148により正常な紙幣であると識別された紙幣のうち第2の金種の紙幣(すなわち、一万円札)は(STEP3の「NO」およびSTEP5の「YES」)、出金搬送部150により下側の整理一時保留部160に送られ、この下側の整理一時保留部160に集積される(STEP6)。また、出金識別部148により正常な紙幣であると識別された紙幣のうち第1の金種および第2の金種以外の金種の紙幣(すなわち、二千円札および五千円札)は(STEP3の「NO」およびSTEP5の「NO」)、出金搬送部150および入金搬送部114により一括一時保留部130に送られ、この一括一時保留部130で一時的に保留された後に一括紙幣収納庫140に戻される(STEP7)。
そして、上側の整理一時保留部160または下側の整理一時保留部160に集積された紙幣の枚数が所定の枚数(例えば、100枚)に達した場合には(STEP8の「YES」)、アーム部210により整理一時保留部160から紙幣の束が取り出され、この紙幣の束はアーム部210により帯封部212に搬送される(STEP9)。そして、帯封部212において、テープセット部214から当該帯封部212に送られた帯封紙により紙幣の束が結束されることによって帯封紙幣が形成される(STEP10)。帯封部212により形成された帯封紙幣は帯封紙幣搬送部216により帯封紙幣投出部218に搬送され、操作者はこの帯封紙幣投出部218に送られた帯封紙幣を手動で取り出すことができるようになる。また、帯封紙幣搬送部216により帯封紙幣投出部218に搬送された帯封紙幣は、当該帯封紙幣投出部218から帯封紙幣収納出金用搬送部220に搬送され、帯封紙幣判別部222を通過した後、この帯封紙幣収納出金用搬送部220により各帯封紙幣収納カセット230に金種別に収納されるようになっていてもよい。
また、本実施の形態では、制御部10において、所定の条件(具体的には、ある金種の帯封紙幣を紙幣処理機でこれ以上形成する必要がなくなるような条件)が満たされたときに(STEP11の「YES」)、各整理一時保留部160に割り当てられている金種を変更するようになっている(STEP12)。具体的には、制御部10において、帯封部212により形成されたある金種の帯封紙幣の数が帯封紙幣数指定部30により指定された当該金種の帯封紙幣の数に達したときに所定の条件が満たされたと判断されるようになっており、このときに、各整理一時保留部160に割り当てられている各金種のうち当該金種が他の金種に変更されるようになる。より詳細に説明すると、制御部10において、上側の整理一時保留部160に第1の金種(例えば、千円札)が予め割り当てられるとともに下側の整理一時保留部160に第2の金種(例えば、一万円札)が割り当てられている場合において、帯封部212により形成された第1の金種の帯封紙幣(すなわち、千円札の帯封紙幣)の数が帯封紙幣数指定部30により指定された第1の金種の帯封紙幣の数に達したときには、上側の整理一時保留部160に割り当てられている第1の金種が他の金種に変更される。ここで、上側の整理一時保留部160に割り当てられている第1の金種が第2の金種(すなわち、一万円札)に変更されてもよいし、あるいは上側の整理一時保留部160に割り当てられている第1の金種が第2の金種以外の金種(すなわち、二千円札や五千円札)に変更されてもよい。
制御部10において上側の整理一時保留部160に割り当てられている第1の金種が第2の金種(すなわち、一万円札)に変更された場合には、一括紙幣収納庫140から紙幣繰出部144により下部搬送部146に繰り出され、出金識別部148により識別された紙幣の金種が第1の金種(すなわち、千円札)であったときにはこの紙幣は出金搬送部150および入金搬送部114により一括一時保留部130に送られ、この一括一時保留部130で一時的に保留された後に一括紙幣収納庫140に戻されるようになる。また、一括紙幣収納庫140から紙幣繰出部144により下部搬送部146に繰り出され、出金識別部148により識別された紙幣の金種が第2の金種(すなわち、一万円札)であったときにはこの紙幣は出金搬送部150により上側の整理一時保留部160および下側の整理一時保留部160のうち一方の整理一時保留部160に送られるようになる。より詳細には、アーム部210により第2の金種の紙幣の束が一方の整理一時保留部160から取り出されている間、出金搬送部150から他方の整理一時保留部160に第2の金種の紙幣が送られてこの他方の整理一時保留部160に第2の金種の紙幣が集積されるようになる。また、一括紙幣収納庫140から紙幣繰出部144により下部搬送部146に繰り出され、出金識別部148により識別された紙幣の金種が第1の金種や第2の金種以外の金種の紙幣(すなわち、二千円札や五千円札)であったときにはこの紙幣は出金搬送部150および入金搬送部114により一括一時保留部130に送られ、この一括一時保留部130で一時的に保留された後に一括紙幣収納庫140に戻されるようになる。このように、紙幣処理機において2金種巻きの帯封処理を行うにあたり、帯封部212により形成されたある金種の帯封紙幣(例えば、第1の金種の帯封紙幣)の数が帯封紙幣数指定部30により指定された当該金種の帯封紙幣の数に達したときに、各整理一時保留部160に割り当てられている各金種のうち第1の金種を第2の金種に変更することにより、第2の金種の帯封紙幣を形成する際に上側の整理一時保留部160および下側の整理一時保留部160をフル活用することができるようになり、このため複数の金種の帯封紙幣を帯封部212により形成するのにかかる時間を短縮することができるようになる。
また、制御部10において上側の整理一時保留部160に割り当てられている第1の金種が第2の金種以外の金種(すなわち、二千円札や五千円札)に変更された場合には、一括紙幣収納庫140から紙幣繰出部144により下部搬送部146に繰り出され、出金識別部148により識別された紙幣の金種が第1の金種(すなわち、千円札)であったときにはこの紙幣は出金搬送部150および入金搬送部114により一括一時保留部130に送られ、この一括一時保留部130で一時的に保留された後に一括紙幣収納庫140に戻されるようになる。また、一括紙幣収納庫140から紙幣繰出部144により下部搬送部146に繰り出され、出金識別部148により識別された紙幣の金種が第2の金種(すなわち、一万円札)であったときにはこの紙幣は出金搬送部150により下側の整理一時保留部160に送られるようになる。そして、下側の整理一時保留部160に集積された第2の金種の紙幣の枚数が所定の枚数(例えば、100枚)に達した場合には、アーム部210により下側の整理一時保留部160から紙幣の束が取り出され、この紙幣の束はアーム部210により帯封部212に搬送された後、当該帯封部212において帯封紙により結束されることによって帯封紙幣が形成される。また、一括紙幣収納庫140から紙幣繰出部144により下部搬送部146に繰り出され、出金識別部148により識別された紙幣の金種が、上側の整理一時保留部160に新たに割り当てられた金種(すなわち、二千円札や五千円札)であったときにはこの紙幣は出金搬送部150により上側の整理一時保留部160に送られるようになる。そして、上側の整理一時保留部160に集積された当該金種の紙幣の枚数が所定の枚数(例えば、100枚)に達した場合には、アーム部210により上側の整理一時保留部160から紙幣の束が取り出され、この紙幣の束はアーム部210により帯封部212に搬送された後、当該帯封部212において帯封紙により結束されることによって帯封紙幣が形成される。このような方法では、紙幣処理機において第1の金種の帯封紙幣や第2の金種の帯封紙幣以外の金種の帯封紙幣も形成することができるようになる。
なお、本実施の形態では、上記の「所定の条件」は、帯封部212により形成されたある金種の帯封紙幣の数が帯封紙幣数指定部30により指定された当該金種の帯封紙幣の数に達したことに限定されることはない。「所定の条件」の他の様々な例について以下に説明する。例えば、制御部10において、一括紙幣収納庫140に残留しているある金種の紙幣の枚数が所定数(例えば、100枚)未満となるとともに整理一時保留部160に集積されている当該金種の紙幣の枚数が0枚となったときに所定の条件が満たされたと判断されるようになっており、このときに、各整理一時保留部160に割り当てられている各金種のうち当該金種が他の金種に変更されるようになっていてもよい。
より詳細に説明すると、制御部10において、上側の整理一時保留部160に第1の金種(例えば、千円札)が予め割り当てられるとともに下側の整理一時保留部160に第2の金種(例えば、一万円札)が割り当てられている場合において、アーム部210により例えば上側の整理一時保留部160から第1の金種の紙幣の束が取り出されて帯封部212に搬送されたときに、一括紙幣収納庫140に残留している第1の金種の紙幣の枚数が、帯封紙幣を形成するのに必要な紙幣の枚数である100枚未満となったときには、上側の整理一時保留部160に割り当てられている第1の金種が他の金種に変更される。ここで、上側の整理一時保留部160に割り当てられている第1の金種が第2の金種(すなわち、一万円札)に変更されてもよいし、あるいは上側の整理一時保留部160に割り当てられている第1の金種が第2の金種以外の金種(すなわち、二千円札や五千円札)に変更されてもよい。アーム部210により例えば上側の整理一時保留部160から第1の金種の紙幣の束が取り出されてこの上側の整理一時保留部160に集積されている紙幣の枚数が0枚となったときに、一括紙幣収納庫140に残留している第1の金種の紙幣の枚数が、帯封紙幣を形成するのに必要な紙幣の枚数である100枚未満となったときには、紙幣処理機においてこの第1の金種の帯封紙幣をこれ以上形成することができなくなるため、一括紙幣収納庫140から紙幣繰出部144により繰り出された当該第1の金種の紙幣を整理一時保留部160に送る必要がなくなるからである。このような場合において、制御部10において上側の整理一時保留部160に割り当てられている第1の金種が第2の金種(すなわち、一万円札)に変更された場合には、第2の金種の帯封紙幣を形成する際に上側の整理一時保留部160および下側の整理一時保留部160をフル活用することができるようになり、このため複数の金種の帯封紙幣を帯封部212により形成するのにかかる時間を短縮することができるようになる。また、制御部10において上側の整理一時保留部160に割り当てられている第1の金種が第2の金種以外の金種(すなわち、二千円札や五千円札)に変更された場合には、紙幣処理機において第1の金種の帯封紙幣や第2の金種の帯封紙幣以外の金種の帯封紙幣も形成することができるようになる。
また、紙幣帯封ユニット200において帯封部212により形成された帯封紙幣が帯封紙幣収納出金用搬送部220により各帯封紙幣収納カセット230に金種別に収納されるような運用が行われている場合には、制御部10において、帯封部212により形成されたある金種の帯封紙幣を帯封紙幣収納カセット230に収納することができなくなったときに所定の条件が満たされたと判断されるようになっていてもよい。具体的には、帯封部212により形成された帯封紙幣の金種に対応する帯封紙幣収納カセット230がフル状態またはニアフル状態となっているとき、あるいは帯封部212により形成された帯封紙幣の金種に対応する帯封紙幣収納カセット230に収納された帯封紙幣が予め設定された束数になっているときには、当該金種の帯封紙幣が帯封部212により形成されてもこの帯封紙幣を帯封紙幣収納カセット230に収納することができないようになる。この場合には、制御部10において所定の条件が満たされたと判断されるようになり、各整理一時保留部160に割り当てられている各金種のうち当該金種が他の金種に変更される。
より詳細に説明すると、制御部10において、上側の整理一時保留部160に第1の金種(例えば、千円札)が予め割り当てられるとともに下側の整理一時保留部160に第2の金種(例えば、一万円札)が割り当てられている場合において、アーム部210により例えば上側の整理一時保留部160から第1の金種の紙幣の束が取り出されて帯封部212に搬送され、この帯封部212により形成された第1の金種の帯封紙幣が当該金種に対応する帯封紙幣収納カセット230に収納されることによりこの帯封紙幣収納カセット230がフル状態またはニアフル状態となり、この帯封紙幣収納カセット230に第1の金種の帯封紙幣をこれ以上収納することができなくなったときには、上側の整理一時保留部160に割り当てられている第1の金種が他の金種に変更される。ここで、上側の整理一時保留部160に割り当てられている第1の金種が第2の金種(すなわち、一万円札)に変更されてもよいし、あるいは上側の整理一時保留部160に割り当てられている第1の金種が第2の金種以外の金種(すなわち、二千円札や五千円札)に変更されてもよい。紙幣帯封ユニット200において帯封部212により形成された帯封紙幣が帯封紙幣収納出金用搬送部220により各帯封紙幣収納カセット230に金種別に収納されるような運用が行われている場合には、帯封紙幣収納カセット230がフル状態またはニアフル状態となり、この帯封紙幣収納カセット230に第1の金種の帯封紙幣をこれ以上収納することができなくなったときに、紙幣処理機においてこの第1の金種の帯封紙幣をこれ以上形成する必要がなくなるため、一括紙幣収納庫140から紙幣繰出部144により繰り出された当該第1の金種の紙幣を整理一時保留部160に送る必要がなくなるからである。このような場合において、制御部10において上側の整理一時保留部160に割り当てられている第1の金種が第2の金種(すなわち、一万円札)に変更された場合には、第2の金種の帯封紙幣を形成する際に上側の整理一時保留部160および下側の整理一時保留部160をフル活用することができるようになり、このため複数の金種の帯封紙幣を帯封部212により形成するのにかかる時間を短縮することができるようになる。また、制御部10において上側の整理一時保留部160に割り当てられている第1の金種が第2の金種以外の金種(すなわち、二千円札や五千円札)に変更された場合には、紙幣処理機において第1の金種の帯封紙幣や第2の金種の帯封紙幣以外の金種の帯封紙幣も形成することができるようになる。
本実施の形態による紙幣処理機では、紙幣の各金種において、帯封部212により形成された帯封紙幣の数が帯封紙幣数指定部30により指定された数に達するまで(STEP13の「NO」)、上記のSTEP1〜STEP12に示す動作が繰り返し行われる。そして、紙幣の各金種において、帯封部212により形成された帯封紙幣の数が帯封紙幣数指定部30により指定された数に達すると(STEP13の「YES」)、紙幣処理機における2金種巻きの帯封処理に係る一連の動作が完了する。
以上のような構成からなる本実施の形態の紙幣処理機によれば、制御部10は、複数の整理一時保留部160のうち少なくとも一つには他の整理一時保留部160とは異なる金種を割り当て、出金搬送部150により搬送される紙幣をその金種に対応する整理一時保留部160に送るよう出金搬送部150の制御を行うようになっており、また、この制御部10は、所定の条件が満たされたときに、整理一時保留部160に割り当てられている金種を変更するようになっている。この場合には、複数(例えば、2つ)の金種の帯封紙幣が並行して形成される際に、ある金種の帯封紙幣を紙幣処理機でこれ以上形成する必要がなくなるような所定の条件が満たされたときに、整理一時保留部160に割り当てられている当該金種を他の金種に変更することにより、複数の整理一時保留部160をフル活用することができるようになり、このため複数の金種の帯封紙幣を帯封部212により形成するのにかかる時間を短縮することができる。
本実施の形態の紙幣処理機においては、上述したように、制御部10において、帯封部212により形成されたある金種の帯封紙幣の数が帯封紙幣数指定部30により指定された当該金種の帯封紙幣の数に達したときに上記の所定の条件が満たされたと判断されるようになっており、このときに、各整理一時保留部160に割り当てられている各金種のうち当該金種が他の金種に変更されるようになる。この場合には、紙幣処理機において例えば2金種巻きの帯封処理を行うにあたり、帯封部212により形成されたある金種の帯封紙幣(例えば、第1の金種の帯封紙幣)の数が帯封紙幣数指定部30により指定された当該金種の帯封紙幣の数に達したときに、各整理一時保留部160に割り当てられている各金種のうち第1の金種を例えば第2の金種に変更することにより、第2の金種の帯封紙幣を形成する際に上側の整理一時保留部160および下側の整理一時保留部160をフル活用することができるようになり、このため複数の金種の帯封紙幣を帯封部212により形成するのにかかる時間を短縮することができるようになる。
また、本実施の形態の紙幣処理機においては、上述したように、制御部10において、一括紙幣収納庫140に残留しているある金種の紙幣の枚数が所定数未満となるとともに整理一時保留部160に集積されている当該金種の紙幣の枚数が0枚となったときに所定の条件が満たされたと判断されるようになっており、このときに、各整理一時保留部160に割り当てられている各金種のうち当該金種が他の金種に変更されるようになっていてもよい。例えば、第1の金種が割り当てられている整理一時保留部160に集積されている紙幣の枚数が0枚となるとともに、一括紙幣収納庫140に残留している第1の金種の紙幣の枚数が、帯封紙幣を形成するのに必要な紙幣の枚数である100枚未満となったときには、紙幣処理機においてこの第1の金種の帯封紙幣をこれ以上形成することができなくなるため、一括紙幣収納庫140から紙幣繰出部144により繰り出された当該第1の金種の紙幣を整理一時保留部160に送る必要がなくなり、この場合には第1の金種が割り当てられている整理一時保留部160に他の金種を新たに割り当てることにより、この整理一時保留部160を有効利用することができるようになる。
また、本実施の形態の紙幣処理機においては、上述したように、制御部10において、帯封部212により形成されたある金種の帯封紙幣を帯封紙幣収納カセット230に収納することができなくなったときに所定の条件が満たされたと判断されるようになっており、このときに、各整理一時保留部160に割り当てられている各金種のうち当該金種が他の金種に変更されるようになっていてもよい。紙幣帯封ユニット200において帯封部212により形成された帯封紙幣が帯封紙幣収納出金用搬送部220により各帯封紙幣収納カセット230に金種別に収納されるような運用が行われている場合には、帯封紙幣収納カセット230がフル状態またはニアフル状態となり、この帯封紙幣収納カセット230に例えば第1の金種の帯封紙幣をこれ以上収納することができなくなったときに、紙幣処理機においてこの第1の金種の帯封紙幣をこれ以上形成する必要がなくなるため、一括紙幣収納庫140から紙幣繰出部144により繰り出された当該第1の金種の紙幣を整理一時保留部160に送る必要がなくなり、この場合には第1の金種が割り当てられている整理一時保留部160に他の金種を新たに割り当てることにより、この整理一時保留部160を有効利用することができるようになる。
また、本実施の形態の紙幣処理機においては、上述したように、制御部10は、各整理一時保留部160に割り当てられている複数の金種のうちある金種(例えば、上側の整理一時保留部160に割り当てられている第1の金種)を他の金種に変更する際に、他の整理一時保留部160に既に割り当てられている金種(すなわち、第2の金種)に変更してもよいし、あるいは、他の整理一時保留部160に割り当てられていない金種(すなわち、第2の金種以外の金種)に変更してもよい。前者の場合には、第2の金種の帯封紙幣を形成する際に上側の整理一時保留部160および下側の整理一時保留部160をフル活用することができるようになり、このため複数の金種の帯封紙幣を帯封部212により形成するのにかかる時間を短縮することができるようになる。また、後者の場合には、紙幣処理機において第1の金種の帯封紙幣や第2の金種の帯封紙幣以外の金種の帯封紙幣も形成することができるようになる。
また、本実施の形態の紙幣処理機においては、上述したように、2金種巻きの帯封処理が行われる際に用いられる一括紙幣収納庫140は、複数の金種の紙幣を混合状態で収納するようになっている。
なお、本実施の形態による紙幣処理機やこのような紙幣処理機による紙幣処理方法は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、制御部10において整理一時保留部160に割り当てられている金種を変更する基準となる「所定の条件」は、上述した様々な例で挙げられたものに限定されることはない。所定の条件として、ある金種の帯封紙幣を紙幣処理機でこれ以上形成する必要がなくなるようなものであれば、上述した様々な例で挙げられたもの以外の条件が用いられてもよい。
また、本実施の形態による紙幣処理機において、整理一時保留部160が3つ以上設けられており、これらの3つ以上の整理一時保留部160の各々に対して互いに異なる金種を割り当てることにより、3つ以上の金種の帯封紙幣を並行して形成することができるようになっていてもよい。この場合でも、制御部10は、所定の条件が満たされたときに、整理一時保留部160に割り当てられている金種を変更することにより、3つ以上の金種の帯封紙幣が並行して形成される際に、ある金種の帯封紙幣を紙幣処理機でこれ以上形成する必要がなくなるような所定の条件が満たされたときに、整理一時保留部160に割り当てられている当該金種を他の金種に変更することにより、複数の整理一時保留部160をフル活用することができるようになり、このため3つ以上の金種の帯封紙幣を帯封部212により形成するのにかかる時間を短縮することができるようになる。また、整理一時保留部160が3つ以上設けられている場合には、各々に対して互いに異なる金種を割り当てるのではなく、3つ以上の整理一時保留部160のうち、複数の整理一時保留部160に、他の整理一時保留部160とは別の共通の金種を割り当てるようにしてもよい。具体的には、例えば、整理一時保留部160が3つ設けられている場合には、2つの整理一時保留部160に第1の金種(例えば、千円札)を割り当てるとともに残りの1つの整理一時保留部160に第2の金種(例えば、一万円札)を割り当てるようにしてもよい。本実施の形態による紙幣処理機により形成されるべき帯封紙幣について、第1の金種の紙幣(すなわち、千円札)が第2の金種の紙幣(すなわち、一万円札)よりもかなり多いことが予め分かっている場合には、このような割り当てを行うことにより帯封紙幣を形成するのにかかる時間を短縮することができるようになる。