以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。全図を通じて同一の要素には同一の符号を付す。
実施の形態1.
本発明の実施の形態1に係る電力計測装置100は、図1に示すように、単相三線電源が有する3つの電圧系統のいずれかに接続された機器A101及び機器B102の消費電力を計測する装置である。本実施の形態に係る機器A101及び機器B102は、それぞれ、空調機及びテレビ受像器(テレビ)である。
単相三線電源は、同図に示すように、電圧線L1(第1電圧線)と電圧線L2(第2電圧線)と中性線N(第3電圧線)とで構成される主幹回路103を通じて電力を供給する。電圧線L1と電圧線L2とは、機器A101及び機器B102に電圧を印加するための配線であって、例えば100Vの交流電圧を逆位相で印加する。
単相三線電源は、電圧線L1と中性線Nとで構成される第1電圧系統、電圧線L2と中性線Nとで構成される第2電圧系統、及び、電圧線L1と電圧線L2とで構成される第3電圧系統という3つの電圧系統を有する。
なお、単相三線電源は、複数の電圧線により構成される複数の電圧系統を有する電源の一例である。このような電源は、単相三線電源に限られず、例えば、三相三線電源などであってもよい。
主幹回路103には、同図に示すように、主幹回路103の接続と遮断とを切り替える主幹ブレーカ104と、電圧線L1及び電圧線L2の各々に流れる電流を計測するための電流センサ(カレントトランス)CT1,CT2とが設けられている。
電流センサCT1と電流センサCT2とは、それぞれ、電圧線L1及び電圧線L2に設けられる。詳細には、電流センサCT1は、電圧線L1に対応付けて配置されており、電圧線L1を流れる電流(第1電流)の大きさに応じた電流信号を出力する。電流センサCT2は、電圧線L2に対応付けて配置されており、電圧線L2を流れる電流(第2電流)の大きさに応じた電流信号を出力する。
また、主幹回路103には、2つの分岐回路(第1分岐回路105a,第2分岐回路105b)が接続している。分岐回路105a,105bの各々は、対をなす2本の分岐配線から構成され、一方の分岐配線が電圧線L1又は電圧線L2に電気的に接続され、他方の分岐配線が中性線Nに電気的に接続される。
本実施の形態では、同図に示すように、第1分岐回路105aには、機器A101が接続しており、第1分岐回路105aの分岐配線は、電圧線L1と中性線N(すなわち、第1電圧系統)に接続されている。第2分岐回路105bには、機器B102が接続しており、第2分岐回路105bの分岐配線は、電圧線L2と中性線N(すなわち、第2電圧系統)に接続されている。
分岐回路105a,105bの各々には、同図に示すように、分岐回路105a,105bの各々の接続と遮断とを切り替える分岐ブレーカ106a,106bと、電流センサ(カレントトランス)CT3,CT4とが設けられている。
電流センサCT3及び電流センサCT4は、それぞれ、分岐回路105a,105bを構成する分岐配線の一方(電圧線L1又は電圧線L2に接続された配線)に設けられる。これにより、電流センサCT3及び電流センサCT4とは、それぞれ、第1分岐回路105a及び第2分岐回路105bを流れる電流(第3電流)の大きさに応じた電流信号を出力する。
詳細には、電流センサCT3は、第1分岐回路105aを構成する2本の分岐配線のうち、電圧線L1に接続される分岐配線に対応付けて配置されている。本実施の形態では、機器A101が第1分岐回路105aに接続されているので、電流センサCT3は、機器A101へ流れる第3電流の大きさに応じた電流信号を出力する。
電流センサCT4は、第2分岐回路105bを構成する2本の配線のうち、電圧線L2に接続される配線に対応付けて配置されている。本実施の形態では、機器B102が第1分岐回路105bに接続されているので、電流センサCT4は、機器B102へ流れる第3電流の大きさに応じた電流信号を出力する。
図示しないが、第3電圧系統に接続される分岐回路の場合、通常、分岐回路を構成する2本の配線の各々に流れる電流(第3電流)は等しくなる。そのため、2本の配線のいずれか一方のみに(例えば、電圧線L1に接続される配線のみに)対応付けて電流センサが配置される。この電流センサは、第3電圧系統に接続される分岐回路に流れる第3電流の大きさに応じた電流信号を出力する。なお、この場合に、電流センサが、分岐回路を構成する2本の配線の両方に設けられてもよい。
なお、分岐回路の数は、2つに限られず、幾つであってもよい。また、機器A101及び機器B102は、複数の電圧系統のいずれかに分岐回路を介して接続される電気機器の例である。このような電気機器は、2つに限られず、いくつであってもよい。このような電気機器は、空調機、テレビに限られず、例えば、照明機器、電気給湯器、洗濯機、電磁調理器などであってもよい。
電力計測装置100は、図1に示すように、ユーザが電力計測装置100を操作するための操作端末107と、有線、無線又はそれらを組み合わせて構成される通信回線を介して通信可能に接続されている。操作端末107は、例えば、専用のソフトウェアプログラムがインストールされたタブレット端末、スマートホン、ノート型のパーソナルコンピュータなどである。これにより、ユーザは、操作端末107を通じて、電力計測装置100に各種の指示を与えたり各種情報を設定したりすることができる。また、ユーザは、例えば操作端末107が有する表示部に示される情報などから、消費電力などの電力計測装置100が各種処理を実行した結果を知ることができる。なお、操作端末107が備えるユーザインタフェースが、電力計測装置100に備えられてもよい。
電力計測装置100は、機能的には図2に示すように、電流センサCT1,CT2が配置された電圧線L1及び電圧線L2のそれぞれに流れる電流(電流値)と、電流センサCT3,CT4が配置された分岐配線を含む分岐回路105a,105bの各々を流れる電流とを計測する電流計測部111と、電流計測部111によって計測された電流を示す電流データ112を記憶する電流記憶部113と、電圧線L1と電圧線L2の各々の電圧(電圧値)を計測する電圧計測部114と、電圧計測部114によって計測された電圧を示す電圧データ115を記憶する電圧記憶部116と、第1電流及び第2電流の各々と、第3電流とに相関があるか否かを判定する相関判定部117と、相関判定部117によって判定された結果に基づいて、分岐回路105a,105bが接続された電圧系統を判別する系統判別部118と、系統判別部118によって判別された結果を示す接続系統データ119を記憶する接続系統記憶部120と、機器A101及び機器B102の各々の消費電力を計測する消費電力計測部121と、消費電力計測部121によって計測された消費電力を示す消費電力データ122を記憶する消費電力記憶部123とを備える。
電流計測部111は、例えば電力計測装置100が動作している間、継続的に、電流センサCT1〜CT4の各々から電流信号を取得する。
電流計測部111は、電流センサCT1から取得した電流信号に基づいて、電圧線L1を流れる第1電流を計測し、第1電流の大きさを時系列で示す電流データ112を生成する。電流計測部111は、電流センサCT2から取得した電流信号に基づいて、電圧線L2を流れる第2電流を計測し、第2電流の大きさを時系列で示す電流データ112を生成する。
電流計測部111は、電流センサCT3から取得した電流信号に基づいて、第1分岐回路105aを流れる第3電流を計測し、その第3電流の大きさを時系列で示す電流データ112を生成する。電流計測部111は、電流センサCT4から取得した電流信号に基づいて、第2分岐回路105bを流れる第3電流を計測し、その第3電流の大きさを時系列で示す電流データ112を生成する。
電流計測部111は、生成した電流データ112の各々を電流記憶部113へ出力する。
電流記憶部113は、電流計測部111から電流データ112を取得すると、その電流データ112を記憶する。
ここで、電流データ112の例を図3に示す。図3には、第1電流についての電流データ112aと、第2電流についての電流データ112bと、第1分岐回路105aを流れる第3電流(すなわち、機器A101へ流れる電流)とについての電流データ112cの例を示す。
電圧計測部114は、図2に示すように、電圧線L1の電圧(第1電圧)として、電圧線L1と中性線Nとの間の電圧を計測する。また、電圧計測部114は、電圧線L2の電圧(第2電圧)として、電圧線L2と中性線Nとの間の電圧を計測する。電圧計測部114は、第1電圧及び第2電圧の各々の大きさを時系列で示す電圧データ115を生成する。電圧計測部114は、生成した電圧データ115の各々を電流記憶部113へ出力する。
電圧記憶部116は、電圧計測部114から電圧データ115を取得すると、その電圧データ115を記憶する。
相関判定部117は、例えば操作端末107から指示を受けると、電流計測部111によって計測された各電流に基づいて、第1電流及び第3電流に相関があるか否かと、第2電流及び第3電流に相関があるか否かとを判定する。
ここで、第3電流は、上述のように、分岐回路105a又は105bを流れる電流である。そのため、複数の分岐回路105a,105bが主幹回路103に接続されている場合、電流計測部111によって複数の第3電流が計測される。このような場合、第3電流のいずれについて、第1電流及び第2電流の各々との相関の有無を相関判定部117によって判定するかは、例えば操作端末107からの指示によって特定されるとよい。
相関判定部117による判定の対象となる第3電流は、いかなる方法で特定されてもよい。例えば、上述のように、第3電流は分岐回路105a又は105bを流れる電流であるので、第1分岐回路105a及び第2分岐回路105bの各々を識別する情報によって、相関判定部117による判定の対象となる第3電流を特定することができる。また例えば、第3電流は分岐回路105a,105bのそれぞれを介して機器A101,機器B102へ流れる電流であるので、機器A101及び機器B102の各々を識別する情報によって、相関判定部117による判定の対象となる第3電流を特定することができる。
また、相関判定部117が判定するための第1電流、第2電流及び第3電流が計測された期間(相関判定期間)は、適宜決定されてよい。相関判定期間は、例えば、操作端末107からの指示を受けた時刻と、その時刻から予め定められた時間前との間である。また例えば、相関判定期間は、操作端末107からの指示により特定される。
詳細には、本実施の形態に係る相関判定部117は、図4に示すように、第3電流が第1閾値以上変動した時期(変動時期)を特定する変動特定部124と、第1電流が変動時期に第2閾値以上変動したか否かに基づいて、第1電流及び第3電流に相関があるか否かを判定する第1判定部125と、第2電流が変動時期に第3閾値以上変動したか否かに基づいて、第2電流及び第3電流に相関があるか否かを判定する第2判定部126とを有する。
変動特定部124は、操作端末107からの指示によって特定される第3電流についての相関判定期間の電流データ112cを電流記憶部113から取得する。これにより、変動特定部124は、電流計測部111によって相関判定期間に計測された第3電流を取得する。変動特定部124は、取得した第3電流の各時における変動量(例えば、電流の微分値)を算出する。変動特定部124は、第3電流について算出した変動量の各々と、第1閾値とを比較する。変動特定部124は、変動量が第1閾値以上である時期を変動時期として特定する。
第1判定部125は、第1電流についての相関判定期間の電流データ112aを電流記憶部113から取得する。これにより、第1判定部125は、電流計測部111によって相関判定期間に計測された第1電流を取得する。第1判定部125は、取得した第1電流の、変動時期における変動量を算出する。第1判定部125は、第1電流について算出した変動量と、第2閾値とを比較する。第1判定部125は、第1電流の変動量が第2閾値以上である場合に、第1電流及び第3電流に相関があると判定する。第1判定部125は、第1電流の変動量が第2閾値未満である場合に、第1電流及び第3電流に相関がないと判定する。第1判定部125は、判定した結果を示すデータを系統判別部118へ出力する。
第2判定部126は、上述の第1判定部125と同様の処理を、電流計測部111によって計測された第2電流について実行する。なお、第1判定部125と第2判定部126とは、いずれが先に処理を実行してもよい。
詳細には、第2判定部126は、第2電流についての相関判定期間の電流データ112bを電流記憶部113から取得する。これにより、第2判定部126は、電流計測部111によって相関判定期間に計測された第2電流を取得する。第2判定部126は、取得した第2電流の、変動時期における変動量を算出する。第2判定部126は、第2電流について算出した変動量と、第3閾値とを比較する。第2判定部126は、第2電流の変動量が第3閾値以上である場合に、第2電流及び第3電流に相関があると判定する。第2判定部126は、第2電流の変動量が第2閾値未満である場合に、第2電流及び第3電流に相関がないと判定する。第2判定部126は、判定した結果を示すデータを系統判別部118へ出力する。
ここで、第1閾値、第2閾値及び第3閾値の各々は、適宜あらかじめ設定される値である。
系統判別部118は、図2に示すように、相関判定部117から判定の結果を示すデータを取得すると、そのデータに基づいて、第3電流が流れる分岐回路105a又は105bが接続された電圧系統を判別する。
詳細には、系統判別部118は、相関判定部117によって第1電流及び第3電流にのみ相関があると判定された場合、分岐回路105a又は105bが接続された電圧系統が第1電圧系統であると判別する。
系統判別部118は、相関判定部117によって第2電流及び第3電流にのみ相関があると判定された場合、分岐回路105a又は105bが接続された電圧系統が第2電圧系統であると判別する。
系統判別部118は、相関判定部117によって第1電流及び第2電流の両方と第3電流とに相関があると判定された場合、分岐回路105a又は105bが接続された電圧系統が第3電圧系統であると判別する。
系統判別部118は、第3電流が流れる分岐回路105a又は105bを特定するための情報と、判別した結果、すなわち第1電圧系統、第2電圧系統又は第3電圧系統とを含む接続系統データ119を出力する。
接続系統記憶部120は、系統判別部118から接続系統データ119を取得すると、その接続系統データ119を記憶する。
ここで、接続系統データ119の例を図5に示す。図5に示す接続系統データ119は、図1に示す構成に対応する例であって、第1分岐回路105aを識別するための情報と第1電圧系統を識別するための情報とを対応付けたデータと、第2分岐回路105bを識別するための情報と第2電圧系統とを識別するための情報を対応付けたデータとを含む。ここで、図5に示す接続系統データ119は、さらに、第1分岐回路105a及び第2分岐回路105bのそれぞれを識別するための情報に、機器A101及び機器B102を識別するための情報が対応付けられている。これは、第1分岐回路105a及び第2分岐回路105bのそれぞれに機器A101及び機器B102が接続されていることを示しており、例えばユーザにより設定される。
消費電力計測部121は、図2に示すように、系統判別部118によって分岐回路105a又は105bが接続される電圧系統が判別されると、その分岐回路105a又は105bに接続された機器A101又は機器B102の消費電力を計測する。
詳細には、消費電力計測部121は、接続系統データ119を接続系統記憶部120から取得する。消費電力計測部121は、取得した接続系統データ119に基づいて、分岐回路105a,105bが接続された電圧系統を特定する。
消費電力計測部121は、特定した電圧系統の電圧データ115を電圧記憶部116から取得する。このとき、特定した電圧系統が第1電圧系統である場合、消費電力計測部121は、第1電圧についての電圧データ115を取得する。特定した電圧系統が第2電圧系統である場合、消費電力計測部121は、第2電圧についての電圧データ115を取得する。特定した電圧系統が第3電圧系統である場合、消費電力計測部121は、第1電圧及び第2電圧の両方についての電圧データ115を取得する。
消費電力計測部121は、計測の対象となる機器A101,機器B102が接続された分岐回路105a,105bを流れる第3電流を示す電流データ112cを電流記憶部113から取得する。
消費電力計測部121は、取得した電流データ112cが示す第3電流と、その第3電流が流れる分岐回路105a,105bが接続される電圧系統に応じた電圧データ115が示す電圧とを乗じる。これによって、第3電流が流れる分岐回路105a又は105bに接続された機器A101又は機器B102の消費電力を算出する。
算出した消費電力の値が0以上である場合、消費電力計測部121は、算出した消費電力を、機器A101又は機器B102の消費電力と決定する。算出した消費電力の値が負である場合、消費電力計測部121は、算出した消費電力の符号を反転し、反転した消費電力を、機器A101又は機器B102の消費電力と決定する。
消費電力計測部121は、計測の対象となる機器A101,機器B102を識別するための情報と、決定した消費電力とを含む消費電力データ122を出力する。
消費電力記憶部123は、消費電力計測部121から消費電力データ122を取得すると、その消費電力データ122を記憶する。
このような電力計測装置100は、物理的には、例えば、1つ又は複数のプロセッサ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、通信インタフェースなどを組み合わせて構成されるとよい。そして、電力計測装置100の機能は、例えば、物理的な各構成要素が予め組み込まれたソフトウェアプログラムを実行することによって実現されるとよい。
これまで、本発明の実施の形態1に係る電力計測装置100の構成について説明した。ここから、電力計測装置100の動作について説明する。
電力計測装置100は、例えば、操作端末107から指示を受けると、その指示により特定される分岐回路105a又は105bが接続された電圧系統を判別する電圧系統判別処理を実行する。
図6は、本実施の形態に係る電圧系統判別処理の流れを示すフローチャートである。以下では、図6を参照しつつ、第1分岐回路105aが接続された電圧系統を判別する例について説明する。なお、複数の分岐回路105a,105bが指示によって特定された場合、電力計測装置100は、以下に説明する電圧系統判別処理を、分岐回路105a,105bの各々について繰り返し実行するとよい。
相関判定部117は、電流計測部111によって相関判定期間に計測された第1電流及び第2電流の各々と、電流計測部111によって相関判定期間に計測された第1分岐回路105aを流れる第3電流との相関の有無を判定する(ステップS101)。
図7A及び図7Bに、相関判定部117により実行される相関判定処理(ステップS101)の流れの詳細を示す。
変動特定部124は、第3電流についての相関判定期間の電流データ112cを電流記憶部113から取得する。変動特定部124は、取得した電流データ112cによって示される第3電流について、各時における微分値を変動量として算出する。そして、変動特定部124は、算出した変動量が第1閾値以上となる時刻を特定し、これによって、第3電流が第1閾値以上、変動した時期(変動時期)を特定する(ステップS111)。
図8に、図3に示す第1分岐回路105aを流れる第3電流の変動量の算出結果の例を示す。第1閾値が例えば1.8である場合、図8に示す時刻T1と時刻T2とが、変動時期として特定される。
変動特定部124は、ステップS111にて特定された時期があるか否かを判定する(ステップS112)。特定された時期がないと判定した場合(ステップS112;NO)、変動特定部124は、第1電流及び第3電流、第2電流及び第3電流の両方に相関がないと判定して(ステップS113)、この判定の結果を示すデータを出力し、相関判定処理(ステップS101)を終了する。相関判定部117は、電圧系統判別処理に戻る。
特定された時期があると判定された場合(ステップS112;YES)、第1判定部125は、第1電流についての相関判定期間の電流データ112aを電流記憶部113から取得する。第1判定部125は、取得した電流データ112aが示す第1電流について、ステップS111にて特定された変動時期での微分値を変動量として算出する。そして、第1判定部125は、算出した変動量と第2閾値とを比較することによって、第1電流が変動時期に第2閾値以上変動したか否かを判定する(ステップS114)。
算出した変動量が第2閾値以上である場合、第1判定部125は、第1電流が変動時期に第2閾値以上変動したと判定する(ステップS114;YES)。この場合(ステップS114;YES)、第1判定部125は、第1電流及び第3電流に相関があると判定して(ステップS115)、この判定の結果を示すデータを出力する。
ここで、図9に、図3に示す第1電流の変動量の算出結果の例を実線で示す。第2閾値が例えば1.8である場合、第1電流の変動量は、図9に示すように、ステップS111にて特定された変動時刻である時刻T1及び時刻T2に、第2閾値以上である。そのため、図9に示す例では、第2判定部126は、第1電流及び第3電流に相関があると判定する。
図7Aに示すように、算出した変動量が第2閾値未満である場合、第1判定部125は、第1電流が変動時期に第2閾値以上変動していないと判定する(ステップS114;NO)。この場合、第1判定部125は、第1電流及び第3電流に相関がないと判定して(ステップS116)、この判定の結果を示すデータを出力する。
図7Bに示すように、第2判定部126は、第2電流についての相関判定期間の電流データ112bを電流記憶部113から取得する。第2判定部126は、取得した電流データ112bが示す第2電流について、ステップS111にて特定された変動時期での微分値を変動量として算出する。そして、第2判定部126は、算出した変動量と第3閾値とを比較することによって、第2電流が変動時期に第3閾値以上変動したか否かを判定する(ステップS117)。
算出した変動量が第3閾値以上である場合、第2判定部126は、第2電流が変動時期に第3閾値以上変動したと判定する(ステップS117;YES)。この場合、第2判定部126は、第2電流及び第3電流に相関があると判定して(ステップS118)、この判定の結果を示すデータを出力し、相関判定処理(ステップS101)を終了する。相関判定部117は、電圧系統判別処理に戻る。
算出した変動量が第3閾値未満である場合、第2判定部126は、第2電流が変動時期に第3閾値以上変動していないと判定する(ステップS117;NO)。この場合、第2判定部126は、第2電流及び第3電流に相関がないと判定して(ステップS119)、この判定の結果を示すデータを出力し、相関判定処理(ステップS101)を終了する。相関判定部117は、電圧系統判別処理に戻る。
ここで、図9に、図3に示す第2電流の変動量の算出結果の例を破線で示す。第3閾値が例えば1.8である場合、第2電流の変動量は、図9に示すように、ステップS111にて特定された変動時刻である時刻T1及び時刻T2に、第3閾値未満である。そのため、図9に示す例では、第2判定部126は、第2電流及び第3電流に相関がないと判定する。
図6に示すように、系統判別部118は、相関判定部117からデータを取得すると、そのデータが示す判定の結果が、相関ありを含むか否かを判定する(ステップS102)。判定の結果が、第1電流及び第3電流、第2電流及び第3電流の両方に相関がないと判定された場合、すなわち、ステップS113の処理を実行することによって出力されたデータ、又は、ステップS116とステップS119との処理を実行することによって出力されたデータを取得した場合、系統判別部118は、相関ありを含まないと判定する。
判定の結果が、第1電流及び第3電流、第2電流及び第3電流の少なくとも一方に相関があると判定された場合、すなわち、ステップS115とステップS119との処理を実行することによって出力されたデータ、ステップS115とステップS118との処理を実行することによって出力されたデータ、又は、ステップS116とステップS118との処理を実行することによって出力されたデータを取得した場合、系統判別部118は、相関ありを含むと判定する。
相関ありを含まないと判定した場合(ステップS102;NO)、系統判別部118は、第1分岐回路105aが接続された電圧系統を判別できなかったことをユーザに知らせるためのエラー処理(ステップS103)を実行し、電圧系統判別処理を終了する。エラー処理は、例えば、第1分岐回路105aが接続された電圧系統を判別できなかったことを操作端末107に表示させることなどである。
相関ありを含むと判定した場合(ステップS102;YES)、系統判別部118は、相関判定部117から取得したデータが示す判定の結果に基づいて、第1分岐回路105aが接続された電圧系統を判別する(ステップS104)。
図10に、系統判別部118により実行される系統判別処理(ステップS104)の流れの詳細を示す。
系統判別部118は、第1電流及び第3電流のみに相関があるか否かを判定する(ステップS121)。
詳細には、相関判定部117から取得したデータが、第1電流及び第3電流に相関があり、かつ、第2電流及び第3電流に相関がないことを示す場合、系統判別部118は、第1電流及び第3電流のみに相関があると判定する。
また、相関判定部117から取得したデータが、第1電流及び第3電流に相関がなく、かつ、第2電流及び第3電流に相関があることを示す場合、又は、第1電流及び第3電流に相関があり、かつ、第2電流及び第3電流に相関があることを示す場合、系統判別部118は、第1電流及び第3電流のみに相関があるわけではないと判定する。
第1電流及び第3電流のみに相関があると判定した場合(ステップS121;YES)、系統判別部118は、第1分岐回路105aが接続する電圧系統について、第1電圧系統と判別する(ステップS122)。
図3に例示する電流データ112では、上述のように、第1電流及び第3電流のみに相関があるので、第1分岐回路105aが接続する電圧系統は、第1電圧系統と判別される。
第1電流及び第3電流のみに相関があるわけではないと判定した場合(ステップS121;NO)、系統判別部118は、第2電流及び第3電流のみに相関があるか否かを判定する(ステップS123)。
詳細には、相関判定部117から取得したデータが、第1電流及び第3電流に相関がなく、かつ、第2電流及び第3電流に相関があることを示す場合、系統判別部118は、第2電流及び第3電流のみに相関があると判定する。
また、相関判定部117から取得したデータが、第1電流及び第3電流に相関があり、かつ、第2電流及び第3電流に相関があることを示す場合、系統判別部118は、第2電流及び第3電流のみに相関があるわけではないと判定する。
第2電流及び第3電流のみに相関があると判定した場合(ステップS123;YES)、系統判別部118は、第1分岐回路105aが接続する電圧系統について、第2電圧系統と判別する(ステップS124)。
第2電流及び第3電流のみに相関があるわけではないと判定した場合(ステップS123;NO)、系統判別部118は、第1分岐回路105aが接続する電圧系統について、第3電圧系統と判別する(ステップS125)。
系統判別部118は、ステップS122、ステップS124又はステップS125の処理にて判別された結果と、第1分岐回路105aを識別するための情報とを対応付けた接続系統データ119を生成する(ステップS126)。これにより、系統判別部118は、系統判別処理(ステップS104)を終了し、電圧系統判別処理に戻る。
系統判別部118は、ステップS126にて生成した接続系統データ119を接続系統記憶部120へ出力する。接続系統記憶部120は、系統判別部118から接続系統データ119を取得すると、その接続系統データ119を記憶する。これによって、第1分岐回路105aが接続された電圧系統が電力計測装置100に設定され(ステップS105)、系統判別部118は、電圧系統判別処理を終了する。
電力計測装置100は、例えば、分岐回路105a,105bが接続された電圧系統が電力計測装置100に設定されると、設定された分岐回路105a,105bに接続された機器A101,機器B102の消費電力を計測する消費電力計測処理を実行する。
図11は、本実施の形態に係る消費電力計測処理の流れを示すフローチャートである。以下では、図11を参照しつつ、第1分岐回路105aに接続された機器A101の消費電力を計測する例について説明する。
なお、機器B102の消費電力についても、以下に説明する消費電力計測処理と同様の処理、すなわち、機器A101及び第1分岐回路105aを機器B102及び第2分岐回路105bに置き換えた処理を実行することで計測される。
消費電力計測部121は、接続系統データ119を接続系統記憶部120から取得する。消費電力計測部121は、取得した接続系統データ119に基づいて、第1分岐回路105aが接続された電圧系統を特定する(ステップS131)。
例えば、図5に示す接続系統データ119の例では、第1分岐回路105aが接続された電圧系統は、第1電圧系統であると特定される。
消費電力計測部121は、特定した電圧系統の電圧データ115を電圧記憶部116から取得する(ステップS132)。
例えば、ステップS131にて第1電圧系統であると特定された場合、第1電圧系統の電圧データ115として、電圧線L1についての電圧データ115が取得される。
消費電力計測部121は、機器A101が接続された第1分岐回路105aを流れる第3電流の電流データ112cを電流記憶部113から取得する(ステップS133)。
消費電力計測部121は、ステップS132及びステップS133の処理を実行することによって取得した電圧及び第3電流の値を乗じることによって、機器A101の消費電力を算出する(ステップS134)。
消費電力計測部121は、ステップS134にて算出した消費電力が0以上であるか否かを判定する(ステップS135)。
算出した消費電力の値が0以上である場合(ステップS135;YES)、消費電力計測部121は、算出した消費電力を、機器A101の消費電力と決定する(ステップS136)。
算出した消費電力の値が0未満である場合(ステップS135;NO)、消費電力計測部121は、ステップS134にて算出した消費電力の符号を反転する(ステップS137)。ここで、符号の反転させる方法は、適宜選択されてよく、負の値の符号は、例えば、値に−1を乗じること、値からマイナスの符号を削除することなどによって反転される。
消費電力計測部121は、ステップS137にて符号を反転した消費電力を、機器A101の消費電力と決定する(ステップS138)。
消費電力計測部121は、計測の対象である機器A101を識別するための情報と、ステップS136又はステップS138の処理を実行することによって決定した消費電力とを含む消費電力データ122を出力する。消費電力記憶部123は、消費電力計測部121から消費電力データ122を取得すると、その消費電力データ122を記憶する(ステップS139)。これにより、電力計測装置100は、電力計測処理を終了する。このような消費電力計測処理を繰り返し実行することによって、電力計測装置100は、機器A101の消費電力を継続的に測定することができる。
本実施の形態によれば、電力計測装置100は、電圧線L1及び電圧線L2のそれぞれに流れる第1電流と、分岐回路105a,105bを流れる第3電流に基づいて、分岐回路105a,105bが接続された電圧系統を判別する。これにより、判別された結果と、分岐回路105a,105bに接続された機器A101,機器B102とを参照して、自動で又は手動で、機器A101,機器B102が接続された電圧系統を電力計測装置100に設定することができる。従って、機器A101,機器B102が接続された電圧系統の設定を容易にすることが可能になる。
単相三線電源は、一般の家庭への電力供給に広く使われている。そのため、本実施の形態によれば、一般の家庭において、機器A101及び機器B102の各々が接続された電圧系統の設定を容易にすることが可能になる。
一般的に、電流センサには、極性があり、設置時に極性を誤って配線に設置されることがある。電流センサが極性を誤って設置されると、その電流センサにより検出される電流は、実電流に対して位相が180度ずれたものとなる。そのため、極性を誤って設置された電流センサからの電流信号を用いて算出された電気機器の消費電力は、絶対値が正しく、かつ、符号がマイナスの値となる。
また、一般的に、電気機器が接続された電圧系統を誤って設定した場合にも、その電気機器の消費電力は、符号がマイナスになる。例えば、機器A101の接続先が第2電圧系統と設定されていると、機器A101の消費電力は、電圧線L2の(電圧線L1とは位相が180度ずれた)電圧と、電流センサCT3に基づく電流とから算出される。そのため、この場合に算出される機器A101の消費電力は、符号がマイナスになる。そして、この場合、絶対値が誤っている。
このように、従来、電気機器の消費電力の符号がマイナスとなる場合には、電流センサの設置時に極性を間違える第1ケースと、電気機器が接続された電圧系統の設定を間違える第2ケースとの2つのケースが想定される。そして、第2ケースの場合、算出された消費電力の絶対値を求めても、電気機器の正しい消費電力を得ることはできない。そのため、従来、電気機器の消費電力が負となる場合に、単にその絶対値を求めることで、電気機器の正しい消費電力を得ることはできなかった。
本実施の形態によれば、機器A101及び機器B102の各々が接続された電圧系統をほぼ正しく決定して電力計測装置100に設定することができる。そのため、機器A101(機器B102)の消費電力が負の値となった場合、極性を間違えて電流センサが設置されていると考えることができ、その絶対値を求めることで、機器A101(機器B102)の正しい消費電力を得ることができる。従って、電流センサCT3(CT4)の設置時の極性間違いを検知し、正しい消費電力に自動的に修正することが可能になる。
以上、本発明の実施の形態1について説明したが、実施の形態1は、以下のように変形されてもよい。
変形例1.
実施の形態1では、第1電流及び第2電流の各々と第3電流との相関の有無を、各電流の変動量に基づいて判定する例を説明したが、これらの相関の有無を判定する方法は、これに限られない。
本変形例では、第1電流及び第2電流の各々と第3電流との相関の有無を判定する方法の他の例として、これらの相関の有無が、第1電流及び第2電流の各々と第3電流との相関係数に基づいて判定される例を説明する。
本変形例に係る電力計測装置200は、図12に示すように、実施の形態1に係る相関判定部117に代えて、相関判定部217を備える点を除いて、実施の形態1と概ね同様の構成を備える。
相関判定部217は、実施の形態1に係る相関判定部117と同様に、例えば操作端末107から指示を受けると、電流計測部111によって計測された各電流に基づいて、第1電流及び第3電流に相関があるか否かと、第2電流及び第3電流に相関があるか否かとを判定する。
相関判定部217は、詳細な構成が実施の形態1に係る相関判定部117と異なっており、図13に示すように、実施の形態1に係る第1判定部125と第2判定部126とのそれぞれに代えて、第1判定部225と第2判定部226とを有する。なお、相関判定部217は、変動特定部124を有していなくてよい。
第1判定部225は、電流計測部111によって計測された第1電流及び第3電流の相関係数(第1相関係数)と第4閾値とを比較することによって、第1電流及び第3電流に相関があるか否かを判定する。ここで、第4閾値は、適宜、予め設定される値である。
詳細には、第1判定部225は、操作端末107からの指示によって特定される第3電流についての相関判定期間の電流データ112cと、第1電流についての相関判定期間の電流データ112aとを電流記憶部113から取得する。これにより、第1判定部225は、電流計測部111によって相関判定期間に計測された第1電流及び第3電流を取得する。
第1判定部225は、取得した第1電流と第3電流から、予め定められた時間幅の値を抽出し、抽出した第1電流と第3電流との相関係数を第1相関係数として算出する。第1判定部225は、予め定められた刻みで時間幅をずらしながら、第1相関係数を順次算出する。これによって、第1判定部225は、相関判定期間の全体の第1電流と第3電流について、第1相関係数を算出する。
第1判定部225は、算出した第1相関係数と、第4閾値とを比較する。第1判定部225は、算出した第1相関係数が第4閾値以上であるものを含む場合、第1電流及び第3電流に相関があると判定する。算出した第1相関係数のすべてが第4閾値未満である場合、第1判定部225は、第1電流及び第3電流に相関がないと判定する。第1判定部225は、判定した結果を示すデータを系統判別部118へ出力する。
第2判定部226は、電流計測部111によって計測された第2電流及び第3電流の相関係数(第2相関係数)と第5閾値とを比較することによって、第2電流及び第3電流に相関があるか否かを判定する。ここで、第5閾値は、適宜あらかじめ設定される値である。
詳細には、第2判定部226は、操作端末107からの指示によって特定される第3電流についての相関判定期間の電流データ112cと、第2電流についての相関判定期間の電流データ112aとを電流記憶部113から取得する。これにより、第2判定部226は、電流計測部111によって相関判定期間に計測された第2電流及び第3電流を取得する。
第2判定部226は、取得した第2電流と第3電流から、予め定められた時間幅の値を抽出し、抽出した第2電流と第3電流との相関係数を第2相関係数として算出する。第2判定部226は、予め定められた刻みで時間幅をずらしながら、第2相関係数を順次算出する。これによって、第2判定部226は、相関判定期間の全体の第2電流と第3電流について、第2相関係数を算出する。
第2判定部226は、算出した第2相関係数と、第5閾値とを比較する。第2判定部226は、算出した第2相関係数が第5閾値以上であるものを含む場合、第2電流及び第3電流に相関があると判定する。算出した第2相関係数のすべてが第5閾値未満である場合、第2判定部226は、第2電流及び第3電流に相関がないと判定する。第2判定部226は、判定した結果を示すデータを系統判別部118へ出力する。
これまで、変形例1に係る電力計測装置200の構成について説明した。ここから、電力計測装置200の動作について説明する。
電力計測装置200は、実施の形態1に係る電力計測装置100と同様に、電圧系統判別処理を実行する。本変形例に係る電圧系統判別処理は、図14に示すように、実施の形態1に係る相関判定処理(ステップS101)に代えて、相関判定処理(ステップS201)を含む。
相関判定部217は、電流計測部111によって相関判定期間に計測された第1電流及び第2電流の各々と、電流計測部111によって相関判定期間に計測された第1分岐回路105aを流れる第3電流との相関の有無を判定する(ステップS201)。
図15に、相関判定部217により実行される相関判定処理(ステップS201)の流れの詳細を示す。
第1判定部225は、操作端末107からの指示によって特定される第3電流についての相関判定期間の電流データ112cと、第1電流についての相関判定期間の電流データ112aとを電流記憶部113から取得する。第1判定部225は、取得した相関判定期間の全体の第1電流と第3電流について、第1相関係数を算出する(ステップS211)。
第1判定部225は、算出した第1相関係数と、第4閾値とを比較し、それによって、算出した第1相関係数が第4閾値以上であるものを含むか否かを判定する(ステップS212)。
第1判定部225は、算出した第1相関係数が第4閾値以上であるものを含むと判定した場合(ステップS212;YES)、第1電流及び第3電流に相関があると判定して(ステップS213)、ステップS213での判定の結果を示すデータを出力する。
算出した第1相関係数が第4閾値以上であるものを含まないと判定した場合(ステップS212;NO)、第1判定部225は、第1電流及び第3電流に相関がないと判定して(ステップS214)、ステップS214での判定の結果を示すデータを出力する。
第2判定部226は、操作端末107からの指示によって特定される第3電流についての相関判定期間の電流データ112cと、第2電流についての相関判定期間の電流データ112aとを電流記憶部113から取得する。第2判定部226は、取得した相関判定期間の全体の第2電流と第3電流について、第2相関係数を算出する(ステップS215)。
第2判定部226は、算出した第2相関係数と、第5閾値とを比較し、それによって、算出した第2相関係数が第5閾値以上であるものを含むか否かを判定する(ステップS216)。
第2判定部226は、算出した第2相関係数が第5閾値以上であるものを含むと判定した場合(ステップS216;YES)、第2電流及び第3電流に相関があると判定して(ステップS217)、ステップS217での判定の結果を示すデータを出力し、相関判定処理(ステップS201)を終了する。相関判定部217は、電圧系統判別処理に戻る。
算出した第2相関係数が第5閾値以上であるものを含まないと判定した場合(ステップS216;NO)、第2判定部226は、第2電流及び第3電流に相関がないと判定して(ステップS218)、ステップS218での判定の結果を示すデータを出力し、相関判定処理(ステップS201)を終了する。相関判定部217は、電圧系統判別処理に戻る。
本変形例によっても、実施の形態1と同様の効果を奏する。
実施の形態2.
実施の形態1及び変形例1では、第1電流及び第2電流の各々と第3電流との相関の有無を、第1電流、第2電流及び第3電流の各値自体の変動に基づいて判定する例を説明した。
一般的に、太陽光発電システム、風力発電システムなどの自然エネルギを利用した発電システムでは、日射量、風力など自然環境の影響を受けて発電量が変動する。そのため、自然エネルギを利用した発電システムが主幹回路103に接続されている場合、第1電流及び第2電流の各値は、機器A101又は機器B102の動作に伴って変動するだけでなく、その発電システムの発電量に伴って変動することがある。
実施の形態1又は変形例1に係る電力計測装置100,200が、自然エネルギを利用した発電システムが接続された主幹回路103に適用されてもよい。しかしながら、この場合、電力計測装置100,200では、第1電流及び第2電流の変動が、実際には自然エネルギを利用した発電システムの発電量の変動に伴うものであっても、機器A101又は機器B102の動作に伴うものとして第1電流及び第2電流の各々と第3電流との相関の有無を判定し、その結果、これらの相関を誤って判定する可能性がある。
本実施の形態では、自然エネルギを利用した発電システムが主幹回路103に接続されている場合であっても、第1電流及び第2電流の各々と第3電流との相関の有無を正確に判定することができる電力計測装置などの例を説明する。
本実施の形態に係る電力計測装置300は、図16に示すように、実施の形態1と同様に主幹回路103に接続された機器A101及び機器B102の消費電力を計測する。本実施の形態では、太陽光を受けて発電した電力を供給する太陽光発電システム327が接続された第3分岐回路305cが、主幹回路103からさらに分岐している。第3分岐回路305cは、電圧線L1、電圧線L2及び中性線Nの各々に接続する3本の分岐配線から構成される。
第3分岐回路305cには、図16に示すように、分岐ブレーカ306cと、電流センサCT5とが設けられている。電流センサCT5は、第3分岐回路305cを構成する3本の分岐配線のうち、電圧線L1に接続される分岐配線に対応付けて配置されている。電流センサCT5は、太陽光発電システム327から主幹回路103へ流れる電流の大きさに応じた電流信号を出力する。なお、太陽光発電システム327が発電した電力は、中性線Nに接続された配線を介して供給されることはなく、電圧線L1及び電圧線L2のそれぞれに接続される配線を介して供給される。
本実施の形態に係る電力計測装置300は、図17に示すように、実施の形態1に係る相関判定部117に代えて、相関判定部317を備える点を除いて、実施の形態1と概ね同様の構成を備える。
相関判定部317は、実施の形態1に係る相関判定部117と同様に、例えば操作端末107から指示を受けると、電流計測部111によって計測された各電流に基づいて、第1電流及び第3電流に相関があるか否かと、第2電流及び第3電流に相関があるか否かとを判定する。
相関判定部317は、各電流の値自体ではなく、各電流の無効電流に基づいて、第1電流及び第3電流に相関があるか否かと、第2電流及び第3電流に相関があるか否かとを判定し、この点で、実施の形態1に係る相関判定部117と異なる。
ここで、無効電流とは、電圧と90度の位相差を持つ成分であって、電流の位相をθ、電流の振幅をIとすると、Isinθとして求められる。
詳細には、相関判定部317は、図18に示すように、電流計測部111によって計測された各電流について無効電流を算出する無効電流算出部328と、無効電流算出部328によって各電流について算出された無効電流に基づいて、第1電流及び第3電流に相関があるか否かと、第2電流及び第3電流に相関があるか否かとを判定する無効相関判定部329とを有する。
より詳細には、無効電流算出部328は、操作端末107からの指示によって特定される第3電流についての相関判定期間の電流データ112cと、第1電流及び第2電流の各々についての相関判定期間の電流データ112a,112bとを電流記憶部113から取得する。これにより、第1判定部225は、電流計測部111によって相関判定期間に計測された第1電流、第2電流及び第3電流を取得する。
無効電流算出部328は、取得した第1電流、第2電流及び第3電流の各々について、無効電流を算出する。
ここで、無効電流は、上述の通り、電圧と90度の位相差を持つ成分であるので、無効電流の算出には、基準電圧が必要になる。この基準電圧には、電圧線L1、電圧線L2のいずれの電圧が採用されてもよいが、例えば、第3電流の無効電流が正となる方が採用されるとよい。
無効相関判定部329は、図18に示すように、実施の形態1に係る変動特定部124、第1判定部125及び第2判定部126に代えて、変動特定部324、第1判定部325及び第2判定部326を有する。
変動特定部324は、無効電流算出部328によって第3電流について算出された無効電流(第3無効電流)が第1閾値以上変動した時期を変動時期として特定する。
より詳細には、変動特定部324は、無効電流算出部328から第3無効電流を取得する。変動特定部324は、取得した第3無効電流の各時における変動量(例えば、電流の微分値)を算出する。変動特定部324は、第3無効電流について算出した変動量の各々と、第1閾値とを比較する。変動特定部324は、第3無効電流について算出した変動量が第1閾値以上である時期を変動時期として特定する。
第1判定部325は、無効電流算出部328によって第1電流について算出された無効電流(第1無効電流)が、変動特定部324によって特定された変動時期に第2閾値以上変動したか否かに基づいて、第1電流及び第3電流に相関があるか否かを判定する。
より詳細には、第1判定部325は、無効電流算出部328から第1無効電流を取得する。第1判定部325は、取得した第1無効電流について、変動時期における変動量を算出する。第1判定部325は、第1無効電流について算出した変動量と、第2閾値とを比較する。第1判定部325は、第1電流の無効電流について算出した変動量が第2閾値以上である場合に、第1電流及び第3電流に相関があると判定する。第1判定部325は、第1電流の無効電流について算出した変動量が第2閾値未満である場合に、第1電流及び第3電流に相関がないと判定する。第1判定部325は、判定した結果を示すデータを系統判別部118へ出力する。
第2判定部326は、無効電流算出部328によって第2電流について算出された無効電流(第2無効電流)が、変動特定部324によって特定された変動時期に第3閾値以上変動したか否かに基づいて、第2電流及び第3電流に相関があるか否かを判定する。
より詳細には、第2判定部326は、無効電流算出部328によって第2電流について算出された無効電流(第2無効電流)を取得する。第2判定部326は、取得した第2無効電流について、変動時期における変動量を算出する。第2判定部326は、第2無効電流について算出した変動量と、第3閾値とを比較する。第2判定部326は、第2無効電流について算出した変動量が第3閾値以上である場合に、第2電流及び第3電流に相関があると判定する。第1判定部325は、第1無効電流について算出した変動量が第2閾値未満である場合に、第1電流及び第3電流に相関がないと判定する。第1判定部325は、判定した結果を示すデータを系統判別部118へ出力する。
これまで、実施の形態2に係る電力計測装置300の構成について説明した。ここから、電力計測装置300の動作について説明する。
電力計測装置300は、実施の形態1に係る電力計測装置100と同様に、電圧系統判別処理を実行する。本実施の形態に係る電圧系統判別処理は、図19に示すように、実施の形態1に係る相関判定処理(ステップS101)に代えて、相関判定処理(ステップS301)を含む。
相関判定部317は、電流計測部111によって相関判定期間に計測された第1電流及び第2電流の各々と、電流計測部111によって相関判定期間に計測された第1分岐回路105aを流れる第3電流との相関の有無を判定する(ステップS301)。
図20に、相関判定部317により実行される相関判定処理(ステップS301)の流れの詳細を示す。
無効電流算出部328は、第1電流、第2電流及び第3電流についての相関判定期間の電流データ112a,112b,112cを電流記憶部113から取得する。変動特定部124は、取得した電流データ112a,112b,112cによって示される第1電流、第2電流及び第3電流の各々について、各時の無効電流を算出する(ステップS320)。
変動特定部324は、無効電流算出部328によって第3電流について算出された無効電流(第3無効電流)を取得する。変動特定部324は、取得した第3無効電流の各時における微分値を変動量として算出する。そして、変動特定部324は、算出した変動量が第1閾値以上となる時刻を特定し、これによって、第3無効電流が第1閾値以上、変動した時期(変動時期)を特定する(ステップS311)。
特定された時期があると判定された場合(ステップS112;YES)、第1判定部325は、無効電流算出部328によって第1電流について算出された無効電流(第1無効電流)を取得する。第1判定部325は、取得した第1無効電流について、ステップS311にて特定された変動時期での微分値を変動量として算出する。そして、第1判定部325は、算出した変動量と第2閾値とを比較することによって、第1無効電流が変動時期に第2閾値以上変動したか否かを判定する(ステップS314)。
第1判定部325は、算出した変動量が第2閾値以上である場合、第1無効電流が変動時期に第2閾値以上変動したと判定し(ステップS314;YES)、第1電流及び第3電流に相関があると判定する(ステップS115)。また、算出した変動量が第2閾値未満である場合、第1判定部325は、第1無効電流が変動時期に第2閾値以上変動していないと判定し(ステップS314;NO)、第1電流及び第3電流に相関がないと判定する(ステップS116)。
第2判定部326は、無効電流算出部328によって算出された第2電流の無効電流(第2無効電流)を取得する。第2判定部326は、取得した第2無効電流について、ステップS311にて特定された変動時期での微分値を変動量として算出する。そして、第2判定部326は、算出した変動量と第3閾値とを比較することによって、第2無効電流が変動時期に第3閾値以上変動したか否かを判定する(ステップS317)。
第2判定部326は、算出した変動量が第3閾値以上である場合、第2無効電流が変動時期に第3閾値以上変動したと判定し(ステップS317;YES)、第2電流及び第3電流に相関があると判定する(ステップS118)。また、算出した変動量が第3閾値未満である場合、第2判定部326は、第2無効電流が変動時期に第3閾値以上変動していないと判定し(ステップS317;NO)、第2電流及び第3電流に相関がないと判定する(ステップS119)。
本実施の形態によれば、実施の形態1と同様の効果を奏する。
また、本実施の形態によれば、電力計測装置300は、電圧線L1及び電圧線L2のそれぞれに流れる第1無効電流及び第2無効電流と、分岐回路105a,105bを流れる第3無効電流に基づいて、分岐回路105a,105bが接続された電圧系統を判別する。
太陽光発電システム327のような自然エネルギを利用した発電システムは、多くの場合、力率が1となるように運転する。そのため、無効電流は、自然エネルギを利用した発電システムによる発電の影響を受けず、機器A101及び機器B102の動作に伴って変動する。従って、本実施の形態によれば、自然エネルギを利用した発電システムが主幹回路103に接続されている場合であっても、第1電流及び第2電流の各々と第3電流との相関の有無を正確に判定することができる。その結果、機器A101及び機器B102が接続された電圧系統を正確に判別することが可能になる。
以上、本発明の実施の形態2について説明したが、実施の形態2は、以下のように変形されてもよい。
例えば、本実施の形態に係る電力計測装置300は、太陽光発電システム327を備えない主幹回路103に接続される機器A101及び機器B102の消費電力を測定する場合にも、適用することができる。
変形例2.
実施の形態2では、第1電流及び第2電流の各々と第3電流との相関の有無を、各電流の無効電流の変動量に基づいて判定する例を説明した。しかし、各電流の無効電流に基づいて第1電流及び第2電流の各々と第3電流との相関の有無を判定する方法は、これに限られない。
本変形例では、第1電流及び第2電流の各々と第3電流との相関の有無を各電流の無効電流に基づいて判定する方法の他の例として、これらの相関の有無が、第1電流及び第2電流の各々と第3電流との無効電流の相関係数に基づいて判定される例を説明する。
本変形例に係る電力計測装置400は、図21に示すように、実施の形態2に係る相関判定部317に代えて、相関判定部417を備える点を除いて、実施の形態2と概ね同様の構成を備える。
相関判定部417は、実施の形態2に係る相関判定部317と同様に、例えば操作端末107から指示を受けると、電流計測部111によって計測された各電流に基づいて、第1電流及び第3電流に相関があるか否かと、第2電流及び第3電流に相関があるか否かとを判定する。
相関判定部417は、図22に示すように、実施の形態2と同様の無効電流算出部328と、実施の形態2に係る無効相関判定部329に代わる無効相関判定部429とを有する。
無効相関判定部429は、実施の形態2に係る無効相関判定部329と同様に、各電流の無効電流に基づいて、第1電流及び第3電流に相関があるか否かと、第2電流及び第3電流に相関があるか否かとを判定する。
無効相関判定部429は、詳細な構成が実施の形態2に係る無効相関判定部329と異なっており、図22に示すように、実施の形態2に係る第1判定部325と第2判定部326とのそれぞれに代えて、第1判定部425と第2判定部426とを有する。なお、無効相関判定部429は、変動特定部324を有していなくてよい。
第1判定部425は、第1無効電流及び第3無効電流の相関係数(第1相関係数)と第4閾値とを比較することによって、第1電流及び第3電流に相関があるか否かを判定する。
詳細には、第1判定部425は、無効電流算出部328から第1無効電流及び第3無効電流を取得する。第1判定部425は、取得した第1無効電流と第3無効電流について、変形例1に係る第1判定部225と同様の処理を実行する。これによって、第1判定部425は、相関判定期間の全体の第1無効電流と第3無効電流について、第1相関係数を算出する。
第1判定部425は、変形例1に係る第1判定部225と同様に、算出した第1相関係数と第4閾値とを比較し、比較した結果に基づいて、第1電流及び第3電流に相関があるか否かを判定する。第1判定部425は、判定した結果を示すデータを系統判別部118へ出力する。
第2判定部426は、第2無効電流及び第3無効電流の相関係数(第2相関係数)と第5閾値とを比較することによって、第2電流及び第3電流に相関があるか否かを判定する。
詳細には、第2判定部426は、無効電流算出部328から第2無効電流及び第3無効電流を取得する。第2判定部426は、取得した第2無効電流と第3無効電流について、変形例1に係る第2判定部226と同様の処理を実行する。これによって、第2判定部426は、相関判定期間の全体の第2無効電流と第3無効電流について、第2相関係数を算出する。
第2判定部426は、変形例2に係る第2判定部226と同様に、算出した第2相関係数と第5閾値とを比較し、比較した結果に基づいて、第2電流及び第3電流に相関があるか否かを判定する。第2判定部426は、判定した結果を示すデータを系統判別部118へ出力する。
これまで、変形例2に係る電力計測装置400の構成について説明した。ここから、電力計測装置400の動作について説明する。
電力計測装置400は、実施の形態2に係る電力計測装置300と同様に、電圧系統判別処理を実行する。本変形例に係る電圧系統判別処理は、図23に示すように、実施の形態2に係る相関判定処理(ステップS201)に代えて、相関判定処理(ステップS401)を含む。
相関判定部417は、電流計測部111によって相関判定期間に計測された第1電流及び第2電流の各々と、電流計測部111によって相関判定期間に計測された第1分岐回路105aを流れる第3電流との相関の有無を判定する(ステップS401)。
図23に、相関判定部417により実行される相関判定処理(ステップS401)の流れの詳細を示す。
第1判定部425は、ステップS320で算出された第1無効電流と第3無効電流との相関係数を第1相関係数として算出する(ステップS411)。第1判定部425は、ステップS411で算出した第1相関係数に基づいて、変形例1で説明したステップS212〜ステップS214と同様の処理を実行する。
第2判定部426は、ステップS320で算出された第2無効電流と第3無効電流との相関係数を第2相関係数として算出する(ステップS415)。第2判定部426は、ステップS415で算出した第2相関係数に基づいて、変形例1で説明したステップS216〜ステップS218と同様の処理を実行する。これにより、相関判定部417は、相関判定処理(ステップS401)を終了して、電圧系統判別処理に戻る。
本変形例によれば、実施の形態2と同様の効果を奏する。
実施の形態3.
実施の形態2及び変形例2では、第1電流及び第2電流の各々と第3電流との相関の有無を、第1無効電流、第2無効電流及び第3無効電流の変動に基づいて判定する例を説明した。
自然エネルギを利用した発電システムが力率1で運転することが多いことは、上述の通りである。しかしながら、自然エネルギを利用した発電システムは、一般に、力率が1以外となるように運転をすることがある。このような運転は、定力率運転などと称される。
自然エネルギを利用した発電システムが主幹回路103に接続されて定力率運転をしている場合、第1無効電流及び第2無効電流は、その発電システムの発電量に伴って変動することがある。この場合、電力計測装置300,400では、第1無効電流及び第2無効電流の変動が、実際には自然エネルギを利用した発電システムの発電量の変動に伴うものであっても、機器A101又は機器B102の動作に伴うものとして第1電流及び第2電流の各々と第3電流との相関の有無を判定し、その結果、これらの相関を誤って判定する可能性がある。
本実施の形態では、自然エネルギを利用した発電システムが主幹回路103に接続されて定力率運転をしている場合であっても、第1電流及び第2電流の各々と第3電流との相関の有無を正確に判定することができる電力計測装置などの例を説明する。
本実施の形態に係る電力計測装置500は、実施の形態1及び2、変形例1及び2と同様に主幹回路103に接続された機器A101及び機器B102の消費電力を計測する。
本実施の形態に係る電力計測装置500は、図25に示すように、実施の形態2に係る相関判定部317に代えて、相関判定部517を備える点を除いて、実施の形態2と概ね同様の構成を備える。
相関判定部517は、実施の形態2に係る相関判定部317と同様に、例えば操作端末107から指示を受けると、電流計測部111によって計測された各電流に基づいて、第1電流及び第3電流に相関があるか否かと、第2電流及び第3電流に相関があるか否かとを判定する。
相関判定部517は、各電流の無効電流ではなく、各電流の直交電流に基づいて、第1電流及び第3電流に相関があるか否かと、第2電流及び第3電流に相関があるか否かとを判定し、この点で、実施の形態2に係る相関判定部317と異なる。
ここで、直交電流とは、自然エネルギを利用した発電システムとしての太陽光発電システムの発電電流に直交する電流成分である。
相関判定部517は、図26に示すように、実施の形態2に係る無効電流算出部328及び無効相関判定部329に代えて、電流計測部111によって計測された各電流について直交電流を算出する直交電流算出部530と、直交電流算出部530によって各電流について算出された直交電流に基づいて、第1電流及び第3電流に相関があるか否かと、第2電流及び第3電流に相関があるか否かとを判定する直交相関判定部531とを有する。
詳細には、直交電流算出部530は、実施の形態2に係る無効電流算出部328と同様に、電流計測部111によって相関判定期間に計測された第1電流、第2電流及び第3電流を取得する。そして、直交電流算出部530は、取得した第1電流、第2電流及び第3電流の各々について、直交電流を算出する。
直交相関判定部531は、図26に示すように、実施の形態2に係る変動特定部324、第1判定部325及び第2判定部326に代えて、変動特定部524、第1判定部525及び第2判定部526を有する。
変動特定部524は、直交電流算出部530によって第3電流について算出された直交電流(第3直交電流)が第1閾値以上変動した時期を変動時期として特定する。
第1判定部525は、直交電流算出部530によって第1電流について算出された直交電流(第1直交電流)が、変動特定部524によって特定された変動時期に第2閾値以上変動したか否かに基づいて、第1電流及び第3電流に相関があるか否かを判定する。
第2判定部526は、直交電流算出部530によって第2電流について算出された直交電流(第2直交電流)が、変動特定部524によって特定された変動時期に第3閾値以上変動したか否かに基づいて、第2電流及び第3電流に相関があるか否かを判定する。
変動特定部524、第1判定部525及び第2判定部526のそれぞれが実行する処理の詳細は、実施の形態2に係る変動特定部324、第1判定部325及び第2判定部326が実行する処理において、無効電流算出部328により算出された無効電流(第1無効電流、第2無効電流、第3無効電流)を、直交電流算出部530により算出された直交電流(第1直交電流、第2直交電流、第3直交電流)に置き換えたものと概ね同様である。
本実施の形態に係る電力計測装置500は、実施の形態2に係る電力計測装置300と概ね同様の電圧系統判別処理を実行する。詳細には、本実施の形態に係る電圧系統判別処理は、実施の形態2では無効電流算出部328により算出される無効電流を、直交電流算出部530により算出される直交電流に置き換えたものに相当する。
本実施の形態によれば、実施の形態1と同様の効果を奏する。
本実施の形態によれば、電力計測装置500は、電圧線L1及び電圧線L2のそれぞれに流れる第1直交電流及び第2直交電流と、分岐回路105a,105bを流れる第3直交電流に基づいて、分岐回路105a,105bが接続された電圧系統を判別する。
太陽光発電システム327のような自然エネルギを利用した発電システムが定力率運転中であっても、直交電流は、自然エネルギを利用した発電システムによる発電の影響を受けず、機器A101及び機器B102の動作に伴って変動する。従って、本実施の形態によれば、自然エネルギを利用した発電システムが主幹回路103に接続されている場合、自然エネルギを利用した発電システムが力率1で運転していない場合であっても、第1電流及び第2電流の各々と第3電流との相関の有無を正確に判定することができる。その結果、機器A101及び機器B102が接続された電圧系統を正確に判別することが可能になる。
以上、本発明の実施の形態3について説明したが、実施の形態3は、以下のように変形されてもよい。
例えば、本実施の形態に係る電力計測装置500は、太陽光発電システム327を備えない主幹回路103に接続される機器A101及び機器B102の消費電力を測定する場合にも、適用することができる。
変形例3.
実施の形態3では、第1電流及び第2電流の各々と第3電流との相関の有無を、各電流の直交電流の変動量に基づいて判定する例を説明した。しかし、各電流の直交電流に基づいて第1電流及び第2電流の各々と第3電流との相関の有無を判定する方法は、これに限られない。
本変形例では、第1電流及び第2電流の各々と第3電流との相関の有無を各電流の直交電流に基づいて判定する方法の他の例として、これらの相関の有無が、第1電流及び第2電流の各々と第3電流との直交電流の相関係数に基づいて判定される例を説明する。
本変形例に係る電力計測装置600は、図27に示すように、実施の形態3に係る相関判定部517に代えて、相関判定部617を備える点を除いて、実施の形態3と概ね同様の構成を備える。
相関判定部617は、実施の形態3に係る相関判定部517と同様に、例えば操作端末107から指示を受けると、電流計測部111によって計測された各電流に基づいて、第1電流及び第3電流に相関があるか否かと、第2電流及び第3電流に相関があるか否かとを判定する。
相関判定部617は、図28に示すように、実施の形態3と同様の直交電流算出部530と、実施の形態3に係る直交相関判定部531に代わる直交相関判定部631とを有する。
直交相関判定部631は、実施の形態3に係る直交相関判定部531と同様に、各電流の直交電流に基づいて、第1電流及び第3電流に相関があるか否かと、第2電流及び第3電流に相関があるか否かとを判定する。
直交相関判定部631は、詳細な構成が実施の形態3に係る直交相関判定部531と異なっており、図28に示すように、実施の形態3に係る第1判定部525と第2判定部526とのそれぞれに代えて、第1判定部625と第2判定部626とを有する。なお、直交相関判定部631は、変動特定部524を有していなくてよい。
第1判定部625は、第1直交電流及び第3直交電流の相関係数(第1相関係数)と第4閾値とを比較することによって、第1電流及び第3電流に相関があるか否かを判定する。
第2判定部626は、第2直交電流及び第3直交電流の相関係数(第2相関係数)と第5閾値とを比較することによって、第2電流及び第3電流に相関があるか否かを判定する。
第1判定部625及び第2判定部626のそれぞれが実行する処理の詳細は、変形例2に係る第1判定部425及び第2判定部426が実行する処理において、無効電流算出部328により算出された無効電流を、直交電流算出部530により算出された直交電流に置き換えたものと概ね同様である。
本変形例に係る電力計測装置600は、変形例2に係る電力計測装置400と概ね同様の電圧系統判別処理を実行する。詳細には、本実施の形態に係る電圧系統判別処理は、変形例2では無効電流算出部328により算出される無効電流(第1無効電流、第2無効電流、第3無効電流)を、直交電流算出部530により算出される直交電流(第1直交電流、第2直交電流、第3直交電流)に置き換えたものに相当する。
本実施の形態によれば、実施の形態3と同様の効果を奏する。
実施の形態4.
本実施の形態では、第1電流及び第2電流の各々と第3電流との相関の有無を、無効電流及び直交電流の変動ではなく、第1電流、第2電流及び第3電流の高調波成分の変動に基づいて判定する例を説明する。
本実施の形態に係る電力計測装置700は、実施の形態1及び2、変形例1及び2と同様に主幹回路103に接続された機器A101及び機器B102の消費電力を計測する。
本実施の形態に係る電力計測装置700は、図29に示すように、実施の形態2に係る相関判定部317に代えて、相関判定部717を備える点を除いて、実施の形態2と概ね同様の構成を備える。
相関判定部717は、実施の形態2に係る相関判定部317と同様に、例えば操作端末107から指示を受けると、電流計測部111によって計測された各電流に基づいて、第1電流及び第3電流に相関があるか否かと、第2電流及び第3電流に相関があるか否かとを判定する。
相関判定部717は、各電流の無効電流ではなく、各電流の高調波成分に基づいて、第1電流及び第3電流に相関があるか否かと、第2電流及び第3電流に相関があるか否かとを判定し、この点で、実施の形態2に係る相関判定部317と異なる。
相関判定部717は、図30に示すように、実施の形態2に係る無効電流算出部328及び無効相関判定部329に代えて、電流計測部111によって計測された各電流について高調波成分を算出する高調波算出部732と、高調波算出部732によって各電流について算出された高調波成分に基づいて、第1電流及び第3電流に相関があるか否かと、第2電流及び第3電流に相関があるか否かとを判定する高調波相関判定部733とを有する。
詳細には、高調波算出部732は、実施の形態2に係る無効電流算出部328と同様に、電流計測部111によって相関判定期間に計測された第1電流、第2電流及び第3電流を取得する。そして、高調波算出部732は、取得した第1電流、第2電流及び第3電流の各々について、例えば電流波形をフーリエ級数展開することによって高調波成分を算出する。
高調波相関判定部733は、図30に示すように、実施の形態2に係る変動特定部324、第1判定部325及び第2判定部326に代えて、変動特定部724、第1判定部725及び第2判定部726を有する。
変動特定部724は、高調波算出部732によって第3電流について算出された高調波成分(第3高調波成分)が第1閾値以上変動した時期を変動時期として特定する。
第1判定部725は、高調波算出部732によって第1電流について算出された高調波成分(第1高調波成分)が、変動特定部724によって特定された変動時期に第2閾値以上変動したか否かに基づいて、第1電流及び第3電流に相関があるか否かを判定する。
第2判定部726は、高調波算出部732によって第2電流について算出された高調波成分(第2高調波成分)が、変動特定部724によって特定された変動時期に第3閾値以上変動したか否かに基づいて、第2電流及び第3電流に相関があるか否かを判定する。
変動特定部724、第1判定部725及び第2判定部726のそれぞれが実行する処理の詳細は、実施の形態2に係る変動特定部324、第1判定部325及び第2判定部326が実行する処理において、無効電流算出部328により算出された無効電流(第1無効電流、第2無効電流、第3無効電流)を、高調波算出部732により算出された高調波成分(第1高調波成分、第2高調波成分、第3高調波成分)に置き換えたものと概ね同様である。
本実施の形態に係る電力計測装置700は、実施の形態2に係る電力計測装置300と概ね同様の電圧系統判別処理を実行する。詳細には、本実施の形態に係る電圧系統判別処理は、実施の形態2では無効電流算出部328により算出される無効電流を、高調波算出部732により算出される高調波成分に置き換えたものに相当する。
本実施の形態によれば、実施の形態1と同様の効果を奏する。
また、本実施の形態によれば、電力計測装置700は、電圧線L1及び電圧線L2のそれぞれに流れる第1高調波成分及び第2高調波成分と、分岐回路105a,105bを流れる第3高調波成分に基づいて、分岐回路105a,105bが接続された電圧系統を判別する。
電気機器は、一般に、特有の高調波を主幹回路103に生じさせる。そのため、接続された電圧系統を判別する対象となる機器A101(機器B102)に応じた高調波成分に基づいて、分岐回路105a,105bが接続された電圧系統を判別することで、機器A101及び機器B102が接続された電圧系統を正確に判別することが可能になる。
なお、機器A101(機器B102)に応じた高調波成分は、例えば、電圧系統を判別する際に手動で指示されてもよく、電気機器が生じさせる高調波を示すデータを予め電力計測装置700に設定しておき、その中から選択されてもよい。電力計測装置700が、予め設定されたデータから、機器A101(機器B102)に応じた高調波成分を選択することによって、ユーザが設定する手間を省くことができる。
変形例4.
実施の形態4では、第1電流及び第2電流の各々と第3電流との相関の有無を、各電流の高調波成分の変動量に基づいて判定する例を説明した。しかし、各電流の高調波成分に基づいて第1電流及び第2電流の各々と第3電流との相関の有無を判定する方法は、これに限られない。
本変形例では、第1電流及び第2電流の各々と第3電流との相関の有無を各電流の高調波成分に基づいて判定する方法の他の例として、これらの相関の有無が、第1電流及び第2電流の各々と第3電流との高調波成分の相関係数に基づいて判定される例を説明する。
本変形例に係る電力計測装置800は、図31に示すように、実施の形態4に係る相関判定部717に代えて、相関判定部817を備える点を除いて、実施の形態4と概ね同様の構成を備える。
相関判定部817は、実施の形態4に係る相関判定部717と同様に、例えば操作端末107から指示を受けると、電流計測部111によって計測された各電流に基づいて、第1電流及び第3電流に相関があるか否かと、第2電流及び第3電流に相関があるか否かとを判定する。
相関判定部817は、図32に示すように、実施の形態4と同様の高調波算出部732と、実施の形態4に係る高調波相関判定部733に代わる高調波相関判定部833とを有する。
高調波相関判定部833は、実施の形態4に係る高調波相関判定部733と同様に、各電流の高調波成分に基づいて、第1電流及び第3電流に相関があるか否かと、第2電流及び第3電流に相関があるか否かとを判定する。
高調波相関判定部833は、詳細な構成が実施の形態4に係る高調波相関判定部517と異なっており、図28に示すように、実施の形態4に係る第1判定部725と第2判定部726とのそれぞれに代えて、第1判定部825と第2判定部826とを有する。なお、高調波相関判定部833は、変動特定部724を有していなくてよい。
第1判定部825は、第1直交電流及び第3直交電流の相関係数(第1相関係数)と第4閾値とを比較することによって、第1電流及び第3電流に相関があるか否かを判定する。
第2判定部826は、第2直交電流及び第3直交電流の相関係数(第2相関係数)と第5閾値とを比較することによって、第2電流及び第3電流に相関があるか否かを判定する。
第1判定部825及び第2判定部826のそれぞれが実行する処理の詳細は、変形例2に係る第1判定部425及び第2判定部426が実行する処理において、無効電流算出部328により算出された無効電流(第1無効電流、第2無効電流、第3無効電流)を、高調波算出部732により算出された高調波成分(第1直交電流、第2直交電流、第3直交電流)に置き換えたものと概ね同様である。
本変形例に係る電力計測装置800は、変形例2に係る電力計測装置400と概ね同様の電圧系統判別処理を実行する。詳細には、本実施の形態に係る電圧系統判別処理は、変形例2では無効電流算出部328により算出される無効電流を、高調波算出部732により算出される高調波成分に置き換えたものに相当する。
本実施の形態によれば、実施の形態4と同様の効果を奏する。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、各実施の形態に限定されるものではなく、各実施の形態及び変形例を適宜組み合わせた形態、それに種々の変更を加えた形態を含む。