JP2016070650A - 空調室内機 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、外乱発生時、過渡的に適切な制御を行い、室温が目標値から逸脱することを防止することができる空調室内機を提供することにある。
【解決手段】室内側制御部47,57,67,77は、過熱度目標値SHt若しくは過冷却度目標値SCt、風量の設定値、又は蒸発温度Te若しくは凝縮温度Tcの目標値に変化があったとき、能力制御による定期的な演算を待つことなく割り込んで要求能力を演算して更新する割り込み能力制御を行う。その結果、室内温度Trが目標値から逸脱することが防止される。
【選択図】図4

Description

本発明は、空調室内機に関する。
近年、運転効率を向上させて省エネルギー化を図った空調機が広く普及している。例えば、特許文献1(特開2011−257126号公報)に記載の空気調和装置においては、室内機が室外機に対して送信する蒸発温度の要求値を演算する際に、室内温度と蒸発温度との差、風量、及び過熱度をパラメータとする熱交関数を使用して能力演算を行ない、そこに風量および過熱度の制御マージンを加味することによって省エネルギー化を図っている。
ところで、マルチ型空調機においては、室内機の要求とは異なる蒸発温度が設定されたり、ユーザーによって風量設定が変更されたりする等、室内機の意図しない外乱が発生することが考えられる。
このような場合、上記特許文献1に記載の制御を維持するだけでは室内機能力が変動し、室温が目標値から逸脱し、快適性の低下、制御の安定性低下を招来する。
本発明の課題は、上記のような外乱発生時、過渡的に適切な制御を行い、室温が目標値から逸脱することを防止することができる空調室内機を提供することにある。
本発明の第1観点に係る空調室内機は、現在室温と設定室温とから決まる要求能力を定期的に演算しながら、過熱度若しくは過冷却度、風量、又は蒸発温度若しくは凝縮温度に基づいて能力を調節する能力制御を行う空調室内機であって、能力制御を実行する室内側制御部を備えている。室内側制御部は、過熱度若しくは過冷却度の目標値、風量の設定値、又は蒸発温度若しくは凝縮温度の目標値に変化があったとき、能力制御による定期的な演算を待つことなく割り込んで要求能力を演算して更新する割り込み能力制御を行う。
例えば、過熱度若しくは過冷却度の目標値、風量の設定値、又は蒸発温度若しくは凝縮温度の目標値に変化があったときにそのまま従前の制御を継続して定期的な能力演算を待っていると、室温が目標値から逸脱することになる。
しかし、この空調室内機では、室内側制御部は、過熱度若しくは過冷却度の目標値、風量の設定値、又は蒸発温度若しくは凝縮温度の目標値に変化があったとき、定期的な演算を待つことなく割り込んで適切な要求能力を演算して更新するので、室温が目標値から逸脱することを防止することができる。
本発明の第2観点に係る空調室内機は、第1観点に係る空調室内機であって、更新した要求能力を実現する過熱度若しくは過冷却度及び風量の組合せのうち、最も省エネルギーとなる組合せを選択する。
この空調室内機では、室温が目標値から逸脱することが防止される上に、過熱度若しくは過冷却度の最適化によって冷媒側熱伝達率がより高くなるので、風量を最小化させることができ省エネルギーである。
本発明の第3観点に係る空調室内機は、第1観点又は第2観点に係る空調室内機であって、空調室内機が、空調室外機に対して複数の空調室内機が接続されるマルチタイプ空調機に用いられる空調室内機であって、室内側制御部が、割り込み能力制御において、現在室温と蒸発温度又は凝縮温度との温度差の最小化を図るため、空調室外機に対して要求すべき蒸発温度又は凝縮温度を演算する。
この空調室内機では、自己の室内側制御部が空調室外機に求めた蒸発温度又は凝縮温度が、必ずしも次の目標蒸発温度又は目標凝縮温度に反映されるわけではなく、他の室内側制御部が求めた要求蒸発温度又は要求凝縮温度が反映されることもあるが、いずれかの室内側制御部が求めた要求蒸発温度又は要求凝縮温度が次の目標蒸発温度又は目標凝縮温度に反映されることによって、空調室外機を含めた系全体としての省エネルギーとなる。
本発明の第4観点に係る空調室内機は、第1観点に係る空調室内機であって、空調室内機が、空調室外機に対して複数の空調室内機が接続されるマルチタイプ空調機に用いられる空調室内機である。室内側制御部は、能力制御における要求能力を定期的に演算する際に、空調室外機に対して要求すべき蒸発温度又は凝縮温度の要求値を演算する。さらに室内側制御部は、空調室外機から蒸発温度又は凝縮温度の目標値の入力を受けたとき、その目標値が空調室外機に対して出力した要求値と一致するか否かにかかわらず、割り込み能力制御を実行する。
マルチタイプ空調機では、空調室内機の要求とは異なる蒸発温度又は凝縮温度の目標値が設定される。
そこで、この空調室内機では、室内側制御部が、蒸発温度又は凝縮温度の目標値が設定されたタイミングで適切な要求能力を演算して更新する割り込み能力制御を行うことによって、室温が目標値から逸脱することを防止している。
本発明の第5観点に係る空調室内機は、第1観点に係る空調室内機であって、空調室内機が、空調室外機に対して一つ以上の空調室内機が接続される空調機に用いられる空調室内機である。室内側制御部は、能力制御以外の制御において過熱度若しくは過冷却度の目標値が変更されたとき、又は空調室外機から過熱度若しくは過冷却度の目標値の入力を受けたとき、割り込み能力制御を実行する。
空調機では、空調室内機の保護ロジック、空調室外機からの強制などによって空調室内機の要求とは異なる過熱度又は過冷却度の目標値が設定されることがある。
そこで、この空調室内機では、室内側制御部が、過熱度又は過冷却度の目標値が設定されたタイミングで適切な要求能力を演算して更新する割り込み能力制御を行うことによって、室温が目標値から逸脱することを防止している。
本発明の第6観点に係る空調室内機は、第1観点に係る空調室内機であって、室内側制御部が、風量を自動で設定する風量自動モード、及び風量を手動で設定する風量手動モードのいずれかを介して風量の設定値の入力を受けている。さらに室内側制御部は、風量手動モードによる風量の設定値の入力を受けたとき、割り込み能力制御を実行する。
この空調室内機では、例えば、室内側制御部がユーザーのリモコン操作による風量設定があったタイミングで、適切な要求能力を演算して更新する割り込み能力制御を行うことによって、室温が目標値から逸脱することを防止している。
本発明の第1観点に係る空調室内機では、室内側制御部は、過熱度若しくは過冷却度の目標値、風量の設定値、又は蒸発温度若しくは凝縮温度の目標値に変化があったとき、定期的な演算を待つことなく割り込んで適切な要求能力を演算して更新するので、室温が目標値から逸脱することを防止することができる。
本発明の第2観点に係る空調室内機では、室温が目標値から逸脱することが防止される上に、過熱度若しくは過冷却度の最適化によって冷媒側熱伝達率がより高くなるので、風量を最小化させることができ省エネルギーである。
本発明の第3観点に係る空調室内機では、いずれかの室内側制御部が求めた要求蒸発温度又は要求凝縮温度が次の目標蒸発温度又は目標凝縮温度に反映されることによって、空調室外機を含めた系全体としての省エネルギーとなる。
本発明の第4観点に係る空調室内機では、室内側制御部が、蒸発温度又は凝縮温度の目標値が設定されたタイミングで適切な要求能力を演算して更新する割り込み能力制御を行うことによって、室温が目標値から逸脱することを防止している。
本発明の第5観点に係る空調室内機では、室内側制御部が、過熱度又は過冷却度の目標値が設定されたタイミングで適切な要求能力を演算して更新する割り込み能力制御を行うことによって、室温が目標値から逸脱することを防止している。
本発明の第6観点に係る空調室内機では、例えば、室内側制御部がユーザーのリモコン操作による風量設定があったタイミングで、適切な要求能力を演算して更新する割り込み能力制御を行うことによって、室温が目標値から逸脱することを防止している。
本発明の一実施形態にかかる空調室内機を備えた空調機の概略構成図。 空調機の制御部を示すブロック図。 室内温度を設定温度に収束させるためのプロセスを示すブロック図。 能力制御のフローチャート。 図4のステップS2における冷房運転時の詳細フローチャート。 図4のステップS2における暖房運転時の詳細フローチャート。 他の実施形態1に係る能力制御のフローチャート。 他の実施形態2に係る能力制御のフローチャート。 システムとして能力が不足している場合の各空調対象空間の室温、各空調室内機の風量及び蒸発温度を示した表。 省エネルギーの観点からシステムとして理想状態が実現している場合の各空調対象空間の室温、各空調室内機の風量及び蒸発温度を示した表。 システムとして能力が過剰になっている場合の各空調対象空間の室温、各空調室内機の風量及び蒸発温度を示した表。 省エネルギーの観点からシステムとして理想状態が実現している場合の各空調対象空間の室温、各空調室内機の風量及び蒸発温度を示した表。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(1)空調機10の構成
図1は、本発明の一実施形態にかかる空調室内機を備えた空調機の概略構成図である。空調機10は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転によって、ビル等の室内の冷暖房を行う装置である。空調機10は、1台の空調室外機20と、それに並列に接続された複数台(本実施形態では、3台)の空調室内機40,50,60,70と、空調室外機20と空調室内機40,50,60,70とを接続する液冷媒連絡管81およびガス冷媒連絡管82とを備えている。
空調機10の冷媒回路11は、空調室外機20と、空調室内機40,50,60,70と、液冷媒連絡管81およびガス冷媒連絡管82とが接続されることによって構成されている。
(1−1)空調室内機40,50,60,70
空調室内機40,50,60,70は、ビル等の室内の天井に埋め込みや吊り下げ等により、または、室内の壁面に壁掛け等により設置されている。
空調室内機40と空調室内機50,60,70とは同様の構成であるため、ここでは、空調室内機40の構成のみ説明し、空調室内機50,60,70の構成については、それぞれ、空調室内機40の各部を示す40番台の符号の代わりに50番台または60番台または70番台の符号を付して、各部の説明を省略する。
空調室内機40は、冷媒回路11の一部を構成する室内側冷媒回路11a(空調室内機50では室内側冷媒回路11b、空調室内機60では室内側冷媒回路11c、空調室内機70では室内側冷媒回路11dとする。)を有している。この室内側冷媒回路11aには、室内膨張弁41と、室内熱交換器42とが含まれている。なお、本実施形態では、空調室内機40,50,60,70それぞれに室内膨張弁41,51,61,71が設けられているが、これに限らずに、膨張機構(膨張弁を含む)が空調室外機20に設けられてもよいし、空調室内機40,50,60,70や空調室外機20とは独立した接続ユニットに設けられてもよい。
(1−1−1)室内膨張弁41
室内膨張弁41は、電動式膨張弁である。室内膨張弁41は、室内側冷媒回路11a内を流れる冷媒の流量の調節等を行うために、室内熱交換器42の液側に接続される。また、室内膨張弁41は、冷媒の通過を遮断することもできる。
(1−1−2)室内熱交換器42
室内熱交換器42は、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。室内熱交換器42は、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能して室内空気を冷却し、暖房運転時には冷媒の凝縮器として機能して室内空気を加熱する。
なお、本実施形態において、室内熱交換器42は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であるが、これに限定されず、他の型式の熱交換器であっても良い。
(1−1−3)室内ファン43
空調室内機40は、室内ファン43を有している。室内ファン43は、空調室内機40内に室内空気を吸入して、室内熱交換器42において冷媒と熱交換させた後に、供給空気として室内に供給する。また、室内ファン43は、室内熱交換器42に供給する空気の風量を所定風量範囲において変更することができる。
本実施形態において、室内ファン43はDCファンモータ等からなるモータ43mによって駆動される遠心ファンや多翼ファン等である。また、室内ファン43では、風量固定モードと風量自動モードとをリモコン等の入力装置を介して選択することができる。
ここで、風量固定モードとは、風量が最も小さい弱風、風量が最も大きい強風、および弱風と強風との中間程度の中風の3種類の固定風量に設定するモードである。また、風量自動モードとは、過熱度SHや過冷却度SCなどに応じて弱風から強風までの間において自動的に変更するモードである。
例えば、利用者が「弱風」、「中風」、および「強風」のいずれかを選択した場合には風量固定モードとなり、「自動」を選択した場合には、運転状態に応じて自動的に風量が変更される風量自動モードとなる。
なお、本実施形態では、室内ファン43の風量のファンタップは「弱風」、「中風」、および「強風」の3段階で切り換えられる。ここで、この切り換え段数は3段階に限らずに、例えば10段階などであってもよい。
また、室内ファン43の風量Gaは、モータ43mの回転数によって演算される。ここで、風量Gaの演算は、モータ43mの電流値に基づいて演算されてもよいし、設定されているファンタップに基づいて演算されてもよい。
(1−1−4)各種センサ
空調室内機40には、各種のセンサが設けられている。先ず、液側温度センサ44が、室内熱交換器42の液側に設けられている。液側温度センサ44は、暖房運転における凝縮温度Tcに対応する冷媒温度を、または冷房運転における蒸発温度Teに対応する冷媒温度を検出する。
また、ガス側温度センサ45が、室内熱交換器42のガス側に設けられている。ガス側温度センサ45は、冷媒の温度を検出する。
また、室内温度センサ46が、空調室内機40の室内空気の吸入口側に設けられている。室内温度センサ46は、空調室内機40内に流入する室内空気の温度(すなわち、室内温度Tr)を検出する。
本実施形態において、液側温度センサ44、ガス側温度センサ45および室内温度センサ46は、サーミスタからなる。
(1−1−5)室内側制御部47
図2は、空調室内機の制御部を示すブロック図である。図2において、空調室内機40は、室内側制御部47を有している。室内側制御部47は、空調室内機40を構成する各部の動作を制御する。室内側制御部47には、空調能力演算部47a、要求温度演算部47b、及びメモリ47cが含まれている。
空調能力演算部47aは、空調室内機40における現在の空調能力等を演算する。また、要求温度演算部47bは、現在の空調能力に基づいて次に能力を発揮するのに必要な要求蒸発温度Terまたは要求凝縮温度Tcrを演算する。メモリ47c,57c,67c,77cは、各種データを格納する。
また、室内側制御部47は、空調室内機40を個別に操作するためのリモコン(図示せず)との間で制御信号等の通信を行い、さらに、空調室外機20との間で伝送線80aを介して制御信号等の通信を行う。
(1−2)空調室外機20
空調室外機20は、ビル等の室外に設置されており、液冷媒連絡管81およびガス冷媒連絡管82を介して空調室内機40,50,60,70に接続されており、空調室内機40,50,60,70とともに冷媒回路11を構成している。
空調室外機20は、冷媒回路11の一部を構成する室外側冷媒回路11dを有している。この室外側冷媒回路11eは、圧縮機21と、四路切換弁22と、室外熱交換器23と、室外膨張弁38と、アキュムレータ24と、液側閉鎖弁26と、ガス側閉鎖弁27とを有している。
(1−2−1)圧縮機21
圧縮機21は容量可変式圧縮機であり、そのモータ21mの駆動はインバータにより回転数が制御される。本実施形態において、圧縮機21は1台のみであるが、これに限定されず、空調室内機の接続台数等に応じて、2台以上の圧縮機が並列に接続されていても良い。
(1−2−2)四路切換弁22
四路切換弁22は、冷媒の流れの方向を切り換える弁である。冷房運転時、四路切換弁22は圧縮機21の吐出側と室外熱交換器23のガス側とを接続するとともに圧縮機21の吸入側(具体的には、アキュムレータ24)とガス冷媒連絡管82側とを接続する(冷房運転状態:図1の四路切換弁22の実線を参照)。
その結果、室外熱交換器23は冷媒の凝縮器として、室内熱交換器42,52,62,72は冷媒の蒸発器として機能する。
暖房運転時、四路切換弁22は、圧縮機21の吐出側とガス冷媒連絡管82側とを接続するとともに圧縮機21の吸入側と室外熱交換器23のガス側とを接続する(暖房運転状態:図1の四路切換弁22の破線を参照)。
その結果、室内熱交換器42,52,62,72は冷媒の凝縮器として、室外熱交換器23は冷媒の蒸発器として機能する。
(1−2−3)室外熱交換器23
室外熱交換器23は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。但し、これに限定されず、他の型式の熱交換器であっても良い。
室外熱交換器23は、冷房運転時には冷媒の凝縮器として機能し、暖房運転時には冷媒の蒸発器として機能する。室外熱交換器23は、そのガス側が四路切換弁22に接続され、その液側が室外膨張弁38に接続されている。
(1−2−4)室外膨張弁38
室外膨張弁38は、電動膨張弁であり、室外側冷媒回路11e内を流れる冷媒の圧力や流量等の調節を行う。室外膨張弁38は、冷房運転時の冷媒回路11における冷媒の流れ方向において室外熱交換器23の下流側に配置されている。
(1−2−5)室外ファン28
室外ファン28は、吸入した室外空気を室外熱交換器23に送風して冷媒と熱交換させる。室外ファン28は、室外熱交換器23に送風する際の風量を可変することができる。室外ファン28は、プロペラファン等であり、DCファンモータ等からなるモータ28mによって駆動される。
(1−2−6)液側閉鎖弁26及びガス側閉鎖弁27
液側閉鎖弁26及びガス側閉鎖弁27は、液冷媒連絡管81及びガス冷媒連絡管82との接続口に設けられる弁である。
液側閉鎖弁26は、冷房運転時の冷媒回路11における冷媒の流れ方向において室外膨張弁38の下流側であって液冷媒連絡管81の上流側に配置されている。ガス側閉鎖弁27は、四路切換弁22に接続されている。液側閉鎖弁26及びガス側閉鎖弁27は、冷媒の通過を遮断することができる。
(1−2−7)各種センサ
空調室外機20には、吸入圧力センサ29、吐出圧力センサ30、吸入温度センサ31、吐出温度センサ32、及び室外温度センサ36が設けられている。
吸入圧力センサ29は、圧縮機21の吸入圧力を検出する。吸入圧力とは、冷房運転における蒸発圧力Peに対応する冷媒圧力である。
吐出圧力センサ30は、圧縮機21の吐出圧力を検出する。吐出圧力とは、暖房運転における凝縮圧力Pcに対応する冷媒圧力である。
吸入温度センサ31は、圧縮機21の吸入温度を検出する。また、吐出温度センサ32は、圧縮機21の吐出温度を検出する。室外温度センサ36は、空調室外機20の室外空気の吸入口側で、空調室外機20内に流入する室外空気の温度(以後、室外温度という。)を検出する。
吸入温度センサ31、吐出温度センサ32、及び室外温度センサ36は、サーミスタからなる。
(1−2−8)室外側制御部37
また、図2に示すように、空調室外機20は室外側制御部37を有している。室外側制御部37は、目標値決定部37a、メモリ37b、インバータ回路(図示せず)等を有している。目標値決定部37aは、目標蒸発温度Tetまたは目標凝縮温度Tctを決定する。メモリ37bは、各種データを格納する。
室外側制御部37は、空調室内機40,50,60,70の室内側制御部47,57,67,77との間で伝送線80aを介して制御信号等の通信を行う。
(1−3)制御部80
制御部80は、室内側制御部47,57,67,77と室外側制御部37と伝送線80aとによって構成されている。制御部80は、各種センサと接続され、各種センサからの検出信号等に基づいて各種機器を制御する。
(1−4)冷媒連絡管
冷媒連絡管81,82は、空調機10をビル等の設置場所に設置する際に、現地にて施工される冷媒管である。冷媒連絡管81,82は、設置場所や空調室外機と空調室内機との組み合わせ等の設置条件に応じて種々の長さや管径を有するものが使用されるので、空調機10の据付時には、冷媒連絡管81,82の長さや管径等の設置条件に応じた適正な量の冷媒が充填される。
(2)制御方式
空調機10では、冷房運転および暖房運転において、利用者がリモコン等の入力装置により設定している設定温度Tsに室内温度Trを近づける制御を、各空調室内機40,50,60,70に対して行っている。ここで、制御方式の概略を説明する。
図3は、室内温度を設定温度に収束させるためのプロセスを示すブロック図である。図2及び図3において、室内側制御部47,57,67,77は、室内温度Trが設定温度Tsとなるように、能力制御において過熱度SH又は過冷却度SCの目標値を決定する。具体的には、必要な空調能力を省エネルギーで実現するための過熱度SHの目標値(以下、過熱度目標値SHtという。)又は過冷却度SCの目標値(以下、過冷却度目標値SCtという。)が演算される。
次に、室内側制御部47,57,67,77は、上記過熱度目標値SHt又は過冷却度目標値SCtに基づいて室内膨張弁41,51,61,71の開度を演算し、室内膨張弁41,51,61,71の開度が演算で求めた開度となるように制御する。
そして、室内膨張弁41,51,61,71の開度に応じて過熱度SH又は過冷却度SCが増減し、室内熱交換器42,52,62,72から空調空間に供給されるエネルギー(熱交換量)が増減することによって、室内温度が設定温度に近づくような変化が現れる。室内温度Trの検出値は、能力制御の「能力演算」のプロセスに入力される。
また、本実施形態では能力制御―膨張弁開度制御の2重ループ構成のカスケード制御方式を採用している。
(2−1)能力制御
室内側制御部47,57,67,77は、例えばリモコン(図示せず)を介して冷房運転などの特定の運転モードが選択された旨の入力を受けたとき、室外側制御部37に対して、圧縮機21の起動を要求し、能力制御が開始される。以下、図面を参照しながら能力制御について説明する。
図4は、能力制御のフローチャートである。図4において、室内側制御部47,57,67,77は、能力制御が開始されると、ステップS1においてタイマーをオンしてステップS2へ進む。
次に、室内側制御部47,57,67,77は、ステップS2において要求空調能力Qを演算する。要求空調能力Qは、空調室内機40,50,60,70の現時点の空調能力を演算し、室内温度Trと設定温度Tsとの温度差とに基づいて現時点の空調能力の過不足を示す能力差ΔQを演算し、それを現時点の空調能力に加えることによって算出される。
次に、室内側制御部47,57,67,77は、ステップS3において従前の要求空調能力Qを新たに算出した要求空調能力Qに更新する。
次に、室内側制御部47,57,67,77は、ステップS4において要求空調能力Qと室外側制御部37から取得した直近の目標蒸発温度Tet又は目標凝縮温度Tctとに基づき、所定の特性値CQと、室外側制御部37へ送信する要求ΔTecを決定する。
ここで、特性値CQと要求ΔTecについて説明する。要求空調能力Qは、室内温度Trと室外側制御部37から与えられた直近の目標蒸発温度Tet又は目標凝縮温度Tctとの差ΔTで決まる項f(ΔT)と、風量Gで決まる項g(G)と、過熱度SH若しくは過冷却度SCで決まる項h(SCH)との積、すなわちQ=f(ΔT)・g(G)・h(SCH)であり、これを「熱交関数」という。この熱交関数の中で空調室内機40,50,60,70が自由に制御できる項g(G)と項h(SCH)との積を示す値、つまりg(G)・h(SCH)を特性値CQという。
また、空調室内機40,50,60,70は目標蒸発温度Tet又は目標凝縮温度Tctを自由に制御することができないが、要求空調能力Qをより省エネルギーで実現するために、室外側制御部37から与えられた目標蒸発温度Tet又は目標凝縮温度Tctとは異なる蒸発温度Te又は凝縮温度Tcを演算している。その際、室内温度Trと演算した蒸発温度Te又は凝縮温度Tcとの差を要求ΔTecとして決定し、室外側制御部37へ送信している。なお、要求ΔTecの決定方法は、「背景技術」の段で引用した特許文献1(特開2011−257126号公報)において詳細に記載されているので、本願ではその説明を省略する。
次に、室内側制御部47,57,67,77は、ステップS5において特性値CQを満足する項g(G)と項h(SCH)との組み合わせの中から冷媒側熱伝達率が最も高くなる項h(SCH)を決定し、そのときの過熱度SH又は過冷却度SCを過熱度目標値SHt又は過冷却度目標値SCtする。残った項g(G)は、特性値CQと先に決定された項h(SCH)とから自動的に決まる。
次に、室内側制御部47,57,67,77は、ステップS6において、計時を開始してからの経過時間tが所定時間t1(例えば、3分間)に到達したか否かを判定し、t≧t1のときはステップS7に進み、t<t1のときはステップS61へ進む。
次に、室内側制御部47,57,67,77は、ステップS7においてタイマーをリセットし、ステップS8へ進む。
そして、室内側制御部47,57,67,77は、ステップS8において運転の停止指令が有ったか否かを判定し、停止指令がなかったときはステップS1へ戻る。
上記のように能力制御は、室内温度Trを設定温度Tsに収束させるために定期的(例えば3分毎)に要求空調能力を更新する制御である。
(2−2)割り込み能力制御
ところが、目標蒸発温度Tet若しくは目標凝縮温度Tct、過熱度目標値SHt若しくは過冷却度目標値SCt、又は風量設定値が室内側制御部47,57,67,77の意図しない値に変更された場合、上記のような定期的に要求空調能力Qを更新する制御だけでは、要求空調能力Qの更新までの間に室内温度Trが目標値から逸脱し、快適性の低下、制御の安定性低下を招来するおそれがある。
そこで、本実施形態では、室内側制御部47,57,67,77は、目標蒸発温度Tet若しくは目標凝縮温度Tct、過熱度目標値SHt若しくは過冷却度目標値SCt、又は風量設定値に変化があったときに、定期的な要求空調能力Qの演算を待つことなく、割り込んで適切な要求空調能力Qを演算して更新する割り込み能力制御を採用している。それが、ステップS61以降の流れである。
図4において、室内側制御部47,57,67,77は、ステップS6において経過時間tが未だ所定時間t1(例えば3分間)に到達していないと判断したときは、ステップS61へ進んで制御パラメータの目標値変更があったか否かを判定する。
具体的には、室内側制御部47,57,67,77は目標蒸発温度Tet若しくは目標凝縮温度Tct、過熱度目標値SHt若しくは過冷却度目標値SCt、又は風量設定値に変化があった否かを判定し、いずれかに変更があったときは、ステップS2に戻り変更後の制御パラメータの目標値に基づいて要求空調能力を演算し、ステップS3において従前の要求空調能力を新たに算出した要求空調能力に更新する。
上記のような割り込み能力制御を行うことによって、要求空調能力の更新までの間に室内温度Trが目標値から逸脱することを未然に防止している。
(3)空調機10の動作
ここでは、冷房運転及び暖房運転を例に、能力制御による空調機10の動作について説明する。
(3−1)冷房運転
冷房運転時、四路切換弁22は、圧縮機21の吐出側と室外熱交換器23のガス側とを接続し、且つ圧縮機21の吸入側と室内熱交換器42,52,62,72のガス側とを接続する(図1の実線で示される状態)。
また、室外膨張弁38は全開状態である。液側閉鎖弁26及びガス側閉鎖弁27は開状態である。各室内膨張弁41,51,61,71の開度は、室内熱交換器42,52,62,72の冷媒出口における冷媒の過熱度SHが過熱度目標値SHtで一定になるように調節される。
過熱度目標値SHtは、所定の過熱度範囲の内で室内温度Trが設定温度Tsに収束するために最適な値に設定される。本実施形態において、各室内熱交換器42,52,62,72の冷媒出口における冷媒の過熱度SHは、ガス側温度センサ45,55,65,75による検出値から液側温度センサ44,54,64,74による検出値(蒸発温度Teに対応)を差し引くことによって算出される。
ただし、各室内熱交換器42,52,62,72の出口における冷媒の過熱度SHは、上述の方法だけに限らず、吸入圧力センサ29により検出される圧縮機21の吸入圧力を蒸発温度Teに対応する飽和温度値に換算し、ガス側温度センサ45,55,65,75による検出値からその飽和温度値を差し引くことによって算出してもよい。
また、本実施形態では採用していないが、各室内熱交換器42,52,62,72内を流れる冷媒の温度を検出する温度センサを設けて、この温度センサにより検出される蒸発温度Teに対応する冷媒温度値を、ガス側温度センサ45,55,65,75による検出値から差し引くことによって、各室内熱交換器42,52,62,72の出口における冷媒の過熱度SHを検出するようにしてもよい。
この冷媒回路11の状態で、圧縮機21、室外ファン28および室内ファン43,53,63,73を運転すると、低圧のガス冷媒は、圧縮機21に吸入されて圧縮されて高圧のガス冷媒となる。その後、高圧のガス冷媒は、四路切換弁22を経由して室外熱交換器23に送られて、室外ファン28によって供給される室外空気と熱交換を行って凝縮して高圧の液冷媒となる。そして、この高圧の液冷媒は、液側閉鎖弁26および液冷媒連絡管81を経由して、空調室内機40,50,60,70に送られる。
この空調室内機40,50,60,70に送られた高圧の液冷媒は、室内膨張弁41,51,61,71によって圧縮機21の吸入圧力近くまで減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となって室内熱交換器42,52,62,72に送られ、室内熱交換器42,52,62,72において室内空気と熱交換を行って蒸発して低圧のガス冷媒となる。
この低圧のガス冷媒は、ガス冷媒連絡管82を経由して空調室外機20に送られ、ガス側閉鎖弁27及び四路切換弁22を経由して、アキュムレータ24に流入する。そして、アキュムレータ24に流入した低圧のガス冷媒は、再び、圧縮機21に吸入される。
このように、空調機10では、室外熱交換器23を冷媒の凝縮器として、かつ、室内熱交換器42,52,62,72を冷媒の蒸発器として機能させる冷房運転を行うことができる。
なお、空調機10では、室内熱交換器42,52,62,72のガス側に冷媒の圧力を調整する機構がないため、全ての室内熱交換器42,52,62,72における蒸発圧力Peが共通の圧力となる。
(3−1−1)冷房運転におけるステップS2の詳細内容
ここで、冷房運転時の要求空調能力の演算プロセスについて説明する。図5は、図4のステップS2における冷房運転時の詳細フローチャートである。以下、図2〜図5を参照しながら説明する。
先ず、室内側制御部47,57,67,77は、ステップS201において室内温度センサ46,56,66,76室内温度センサ46,56,66,76を介して現時点における室内温度Trを取得する。
次に、室内側制御部47,57,67,77は、ステップS202において液側温度センサ44,54,64,74を介して現時点における蒸発温度Teを取得する。
次に、室内側制御部47,57,67,77は、ステップS203においてガス側温度センサ45,55,65,75の検出値からステップS202で取得した対応する蒸発温度Teを減算することによって、現時点における過熱度SHを取得する。
次に、室内側制御部47,57,67,77は、ステップS204において現時点における室内ファン43,53,63,73による風量Gaを取得する。
次に、室内側制御部47,57,67,77は、ステップS205において空調能力演算部47a,57a,67a,77aを介して、現時点における室内温度Trと蒸発温度Teとの温度差である温度差[ΔT]と、室内ファン43,53,63,73による風量Gaと、過熱度SHとに基づいて、空調室内機40,50,60,70における現時点の空調能力Q1を演算する。なお、空調能力Q1は、温度差[ΔT]の代わりに蒸発温度Teを採用して演算してもよい。
次に、室内側制御部47,57,67,77は、ステップS206において上記空調能力Q1をメモリ47c,57c,67c,77cに記憶する。
次に、室内側制御部47,57,67,77は、ステップS207において空調能力演算部47a,57a,67a,77aを介して、室内温度Trと現時点の利用者がリモコン等により設定している設定温度Tsとの温度差から、室内空間における空調能力Q1の過不足を示す能力差ΔQを演算する。
次に、室内側制御部47,57,67,77は、ステップS208において記憶している上記空調能力Q1に能力差ΔQを加えて、要求空調能力Q2を求める。
次に、室内側制御部47,57,67,77は、ステップS209において上記要求空調能力Q2をメモリ47c,57c,67c,77cに記憶する。
図4のステップS3では、従前の要求空調能力Q2がステップS209で記憶された新たな要求空調能力Q2に更新される。そして、更新された要求空調能力Q2を省エネルギーで実現するために、図4のステップS4で特性値CQが決定される。
特性値CQは、過熱度SH及び風量によって決まるので、省エネルギーを実現する上で最適な組合せが決定されるべきであり、この決定がステップS5において行われる。
(3−1−2)冷房運転におけるステップS5の詳細内容
特性値CQは、空調室内機40,50,60,70が自由に制御できる項g(G)と項h(SCH)との積を示す値であるので、特性値CQを実現する過熱度SH及び風量の組合せは無数にある。空調室内機40,50,60,70は、その中から冷媒側熱伝達率がより高くなる組合せを決定する。
過熱度SHと風量との間に優先順位があるわけではなく、最も冷媒側熱伝達率が良くなる組合せは、低過熱度・低風量である。
例えば、過熱度SHには予め設定可能範囲が決められているので、室内側制御部47,57,67,77は、風量自動モードの場合において、過熱度設定可能範囲の内の過熱度下限値SHminで特性値CQを実現することができる風量があれば、その風量を組み合わせる。
なお、過熱度SHは下限値SHminが最適値であるが、下限値のまま風量が変動すると湿りリスクが高まるので、信頼性の観点から冷房運転時でも下限よりも高い過熱度を設定することもある。
また、室内側制御部47,57,67,77は、風量自動モードの場合において、過熱度設定可能範囲の内の過熱度下限値SHminで特性値CQを実現することができる風量がない場合、風量下限で特性値CQを実現することができる過熱度SHを過熱度設定可能範囲から選択・決定して、その決定した過熱度SHで特性値CQを実現することができる風量があれば、その風量を組み合わせる。
他方、風量固定モードの場合、風量の選択自由度がなくなるので、その固定された風量で特性値CQを実現する過熱度SHが一義的に決まる。
(3−1−3)冷房運転における割り込み能力制御の詳細内容
室内側制御部47,57,67,77は、ステップS5で決定された過熱度SHを過熱度目標値SHtとして、室内熱交換器42,52,62,72の冷媒出口における冷媒の過熱度SHが過熱度目標値SHtとなるように各室内膨張弁41,51,61,71の開度を調節する。
室内側制御部47,57,67,77が、次に要求空調能力Q2を更新するのは直近の更新から所定時間t1(例えば3分間)後であるが、その所定時間t1内に目標蒸発温度Tet、過熱度目標値SHt、又は風量設定値に変化があった場合、所定時間t1の経過を待たずに要求空調能力Q2を演算し、更新する。これが、冷房運転における割り込み能力制御である。
割り込み能力制御は、室外側制御部37から目標蒸発温度Tetを受信したとき、なんらかの保護制御が働き過熱度目標値SHtを変更しなければばらないとき、又は風量が固定されたときに、室内側制御部47,57,67,77が図4のステップS2からステップS4までを行い、新たに決定された特性値QCを実現することができる過熱度及び風量を組み合わせる。
例えば、目標蒸発温度Tetが変化したときは、更新前後の要求空調能力Q2に実質的な変化がなくてもQ2=f(ΔT)・g(G)・h(SH)の項f(ΔT)が変化するので、{g(G)・h(SCH)}である特性値CQも変化する。
室内側制御部47,57,67,77は、新たな特性値CQを実現するため、風量自動モードの場合には、過熱度設定可能範囲の内の過熱度下限値SHminで当該特性値CQを実現することができる風量があれば、その風量を組み合わせる。過熱度下限値SHminで当該特性値CQを実現することができる風量がない場合、風量下限で当該特性値CQを実現することができる過熱度SHを過熱度設定可能範囲から選択する。
風量固定モードの場合には、風量の選択自由度がなくなるので、その固定された風量で新たな特性値CQを実現する過熱度SHが一義的に決まる。
他方、風量自動モードのまま、過熱度目標値SHtが保護制御に起因して変更された場合は、更新前後の要求空調能力Q2に実質的な変化がなく項f(ΔT)にも変化がないので、特性値CQの値は変わらず、変更後の過熱度目標値SHtで特性値CQを実現することができる風量が決定される。
また、ユーザーによって風量自動モードから風量固定モードに変更された場合でも、更新前後の要求空調能力Q2に実質的な変化がなく、項f(ΔT)にも変化がないので、特性値CQの値は変わらず、風量を固定したまま特性値CQを実現することができる過熱度SHが決定され、それが過熱度目標値SHtとなる。
但し、風量が下限風量に設定された結果、過熱度設定可能範囲の内の過熱度下限値SHminを選択したけれども、それでも、要求空調能力Q2を実現することができない場合がある。つまり、Q2=f(ΔT)・g(G)・h(SH)のうちの項g(G)が最小となり、項h(SH)が最大(最適)となっても要求空調能力Q2を実現できない場合である。
このときは、要求空調能力Q2を実現するために項f(ΔT)を大きくする必要があるので、室内側制御部47,57,67,77は、項f(ΔT)を必要な大きさにするために要求すべき蒸発温度(要求蒸発温度Ter)を室外側制御部37に対して送信する。
このように、本実施形態では、通常は、室内温度Trを設定温度Tsに収束させるために所定時間t1毎に要求空調能力Q2を更新する能力制御を行い、所定時間t1内に目標蒸発温度Tet、過熱度目標値SHt、又は風量設定値に変更があったときは割り込み能力制御を行うことによって、要求空調能力Q2の更新までの間に室内温度Trが目標値から逸脱することを未然に防止している。
(3−2)暖房運転
暖房運転時は、四路切換弁22は、圧縮機21の吐出側と室内熱交換器42,52,62,72のガス側とを接続し、且つ圧縮機21の吸入側と室外熱交換器23のガス側とを接続する(図1の破線で示される状態)。
また、室外膨張弁38の開度は、室外熱交換器23に流入する冷媒を室外熱交換器23において蒸発させることが可能な圧力(すなわち、蒸発圧力Pe)まで減圧するように調節される。液側閉鎖弁26及びガス側閉鎖弁27は開状態である。室内膨張弁41,51,61,71の開度は、室内熱交換器42,52,62,72の出口における冷媒の過冷却度SCが過冷却度目標値SCtで一定になるように調節される。
過冷却度目標値SCtは、その時の運転状態に応じて特定される過冷却度範囲の内で室内温度Trが設定温度Tsに収束するために最適な温度値に設定される。本実施形態において、室内熱交換器42,52,62,72の出口における冷媒の過冷却度SCは、吐出圧力センサ30により検出される圧縮機21の吐出圧力Pdを凝縮温度Tcに対応する飽和温度値に換算し、この冷媒の飽和温度値から液側温度センサ44,54,64,74により検出される冷媒温度値を差し引くことによって検出される。
なお、本実施形態では採用していないが各室内熱交換器42,52,62,72内を流れる冷媒の温度を検出する温度センサを設けて、この温度センサにより検出される凝縮温度Tcに対応する冷媒温度値を、液側温度センサ44,54,64,74により検出される冷媒温度値から差し引くことによって室内熱交換器42,52,62,72の出口における冷媒の過冷却度SCを検出するようにしてもよい。
この冷媒回路11の状態で、圧縮機21、室外ファン28および室内ファン43,53,63,73を運転すると、低圧のガス冷媒は、圧縮機21に吸入されて圧縮されて高圧のガス冷媒となり、四路切換弁22、ガス側閉鎖弁27およびガス冷媒連絡管82を経由して、空調室内機40,50,60,70に送られる。
空調室内機40,50,60,70に送られた高圧のガス冷媒は、室内熱交換器42,52,62,72において、室内空気と熱交換を行って凝縮して高圧の液冷媒となった後、室内膨張弁41,51,61,71を通過する際に、室内膨張弁41,51,61,71の弁開度に応じて減圧される。
この室内膨張弁41,51,61,71を通過した冷媒は、液冷媒連絡管81を経由して空調室外機20に送られ、液側閉鎖弁26及び室外膨張弁38を経由してさらに減圧された後に、室外熱交換器23に流入する。
室外熱交換器23に流入した低圧の気液二相状態の冷媒は、室外ファン28によって供給される室外空気と熱交換を行って蒸発して低圧のガス冷媒となり、四路切換弁22を経由してアキュムレータ24に流入する。
アキュムレータ24に流入した低圧のガス冷媒は、再び、圧縮機21に吸入される。なお、空調機10では、室内熱交換器42,52,62,72のガス側に冷媒の圧力を調整する機構がないため、全ての室内熱交換器42,52,62,72における凝縮圧力Pcが共通の圧力となる。
(3−2−1)暖房運転におけるステップS2の詳細内容
ここで、暖房運転時の要求空調能力の演算プロセスについて説明する。図6は、図4のステップS2における暖房運転時の詳細フローチャートである。以下、図2〜図4、及び図6を参照しながら説明する。
先ず、室内側制御部47,57,67,77は、ステップS251において室内温度センサ46,56,66,76を介して現時点における室内温度Trを取得する。
次に、室内側制御部47,57,67,77は、ステップS252において液側温度センサ44,54,64,74を介して現時点における凝縮温度Tcを取得する。
次に、室内側制御部47,57,67,77は、ステップS253において吐出圧力センサ30の検出値を凝縮温度Tcに対応する飽和温度値に換算し、この飽和温度値から液側温度センサ44,54,64,74の検出値を差し引くことによって、現時点における過冷却度SCを取得する。
次に、室内側制御部47,57,67,77は、ステップS254において現時点における室内ファン43,53,63,73による風量Gaを取得する。
次に、室内側制御部47,57,67,77は、ステップS255において空調能力演算部47a,57a,67a,77aを介して、現時点における室内温度Trと凝縮温度Tcとの温度差である温度差ΔTと、室内ファン43,53,63,73による風量Gaと、過冷却度SCと、に基づいて、空調室内機40,50,60,70における現時点の空調能力Q3を演算する。なお、空調能力Q3は、温度差ΔTの代わりに凝縮温度Tcを採用して演算してもよい。
次に、室内側制御部47,57,67,77は、ステップS256において上記空調能力Q3をメモリ47c,57c,67c,77cに記憶する。
次に、室内側制御部47,57,67,77は、ステップS257において空調能力演算部47a,57a,67a,77aを介して、室内温度Trと現時点の利用者がリモコン等により設定している設定温度Tsとの温度差から、室内空間における空調能力Q3の過不足を示す能力差ΔQを演算する。
次に、室内側制御部47,57,67,77は、ステップS258において空調能力Q3に能力差ΔQを加えて要求空調能力Q4を求める。
次に、室内側制御部47,57,67,77は、ステップS259において上記要求空調能力Q4をメモリ47c,57c,67c,77cに記憶する。
図4のステップS3では、従前の要求空調能力Q4がステップS259で記憶された新たな要求空調能力Q4に更新される。そして、更新された要求空調能力Q4を省エネルギーで実現するために図4のステップS4で特性値CQが決定される。
特性値CQは、過冷却度SC及び風量によって決まるので、省エネルギーを実現する上で最適な組合せが決定されるべきであり、この決定がステップS5において行われる。
(3−2−2)暖房運転におけるステップS5の詳細内容
特性値CQは、空調室内機40,50,60,70が自由に制御できる項g(G)と項h(SC)との積を示す値であるので、特性値CQを実現する過冷却度SC及び風量の組合せは無数にある。空調室内機40,50,60,70は、その中から冷媒側熱伝達率がより高くなる組合せを決定する。
室内側制御部47,57,67,77は、風量自動モードの場合において、過冷却度設定可能範囲の内の過冷却度最適値で特性値CQを実現することができる風量を組み合わせる。過冷却度SCの最適値はΔTなどの条件に依存するため常に変動するので、その都度、最適風量を組み合わせる。
一方、風量固定モードの場合、風量の選択自由度がなくなるので、その固定された風量で特性値CQを実現する過冷却度SCが一義的に決まる。
(3−2−3)暖房運転における割り込み能力制御の詳細内容
室内側制御部47,57,67,77は、ステップS5で決定された最適な過冷却度を過冷却度目標値SCtとして、室内熱交換器42,52,62,72の冷媒出口における冷媒の過冷却度SCが過冷却度目標値SCtとなるように各室内膨張弁41,51,61,71の開度を調節する。
室内側制御部47,57,67,77が、次に要求空調能力Q4を更新するのは直近の更新から所定時間(例えば3分間)後であるが、その所定期間内に目標凝縮温度Tct、過冷却度目標値SCt、又は風量設定値に変化があった場合、所定期間の経過を待たずに要求空調能力Q4を演算し、更新する。これが、暖房運転における割り込み能力制御である。
割り込み能力制御は、室外側制御部37から目標凝縮温度Tctを受信したとき、なんらかの保護制御が働き過冷却度目標値SCtを変更しなければならないとき、又は風量が固定されたときに、室内側制御部47,57,67,77が図4のステップS2からステップS4までを行い、新たに決定した特性値QCを実現することができる過冷却度・風量を組み合わせる。
例えば、目標凝縮温度Tctが変化したときは、更新前後の要求空調能力Q4に実質的な変化がなくてもQ4=f(ΔT)・g(G)・h(SC)の項f(ΔT)が変化するので、{g(G)・h(SC)}である特性値CQも変化する。
室内側制御部47,57,67,77は、新たな特性値CQを実現するため、風量自動モードの場合には、過冷却度設定可能範囲の内の過冷却度最適値で当該特性値CQを実現することができる風量があれば、その風量を組み合わせる。過冷却度SCの最適値は常に変動するので、都度、過冷却最適値を選択・決定し、決定した過冷却度SCで当該特性値CQを実現することができる風量を組み合わせる。
風量固定モードの場合には、風量の選択自由度がなくなるので、その固定された風量で新たな特性値CQを実現する過冷却度SCが一義的に決まる。
他方、風量が風量自動モードのまま、過冷却度目標値SCtが保護制御に起因して変更された場合は、更新前後の要求空調能力Q4に実質的な変化がなく項f(ΔT)にも変化がないので、特性値CQの値は変わらず、変更後の過冷却度目標値SCtで特性値CQを実現することができる風量が決定される。
また、ユーザーによって風量が風量自動モードから風量固定モードに変更された場合でも、更新前後の要求空調能力Q4に実質的な変化がなく、項f(ΔT)にも変化がないので、特性値CQの値は変わらず、風量を固定したまま特性値CQを実現することができる過冷却度SCが決定され、それが過冷却度目標値SCtとなる。
但し、風量が下限風量に設定された結果、過冷却度設定可能範囲の内の過冷却度最適値を選択したけれども、それでも、要求空調能力Q4を実現することができない場合がある。つまり、Q2=f(ΔT)・g(G)・h(SH)のうちの項g(G)が最小となり、項h(SH)が最適となっても要求空調能力Q4を実現できない場合である。
このときは、要求空調能力Q4を実現するために項f(ΔT)を大きくする必要があるので、室内側制御部47,57,67,77は、項f(ΔT)を必要な大きさにするために要求すべき凝縮温度(要求凝縮温度Tcr)を室外側制御部37に対して送信する。
このように、本実施形態では、通常は、室内温度Trを設定温度Tsに収束させるために所定時間t1毎に要求空調能力Q4を更新する能力制御を行い、所定時間t1内に目標凝縮温度Tct、過冷却度目標値SCt、又は風量設定値に変更があったときは割り込み能力制御を行うことによって、要求空調能力Q4の更新までの間に室内温度Trが目標値から逸脱することを未然に防止している。
(4)特徴
(4−1)
室内側制御部47,57,67,77は、過熱度目標値SHt若しくは過冷却度目標値SCt、風量の設定値、又は目標蒸発温度Tet若しくは目標凝縮温度Tctに変化があったとき、能力制御による定期的な演算を待つことなく割り込んで要求能力を演算して更新する割り込み能力制御を行う。その結果、室内温度Trが目標値から逸脱することが防止される。
(4−2)
室内側制御部47,57,67,77は、割り込み能力制御において、冷媒側熱伝達率が高くなるように過熱度若しくは過冷却度の最適化を行うので、室内温度Trが目標値から逸脱することが防止される上に、風量を最小化させることができ省エネルギーである。
(4−3)
室内側制御部47,57,67,77は、割り込み能力制御において、室内温度Trと蒸発温度Te又は凝縮温度Tcとの温度差の最小化を図るため、空調室外機20に要求すべき要求蒸発温度Ter又は要求凝縮温度Tcrを演算する。
空調室外機20に求めた要求蒸発温度Ter又は要求凝縮温度Tcrが、必ずしも次の目標蒸発温度Tet又は目標凝縮温度Tctに反映されるわけではなく、他の室内側制御部が求めた要求蒸発温度Ter又は要求凝縮温度Tcrが反映されることもあるが、空調室外機を含めた系全体として、省エネルギーとなる。
(4−4)
室内側制御部47,57,67,77は、空調室外機20から目標蒸発温度Tet又は目標凝縮温度Tctの入力を受けたとき、その目標値が空調室外機に対して出力した要求値と一致するか否かにかかわらず、割り込み能力制御を実行する。その結果、室内温度Trが目標値から逸脱することが防止される。
(4−5)
室内側制御部47,57,67,77は、自身の能力制御以外の制御において過熱度目標値SHt若しくは過冷却度目標値SCtが変更されたとき、又は空調室外機20から過熱度目標値SHt若しくは過冷却度目標値SCtの入力を受けたとき、割り込み能力制御を実行し、室内温度が目標値から逸脱することを防止する。
(4−6)
室内側制御部47,57,67,77は、風量手動モードによる風量の設定値の入力を受けたとき、割り込み能力制御を実行すし、室内温度Trが目標値から逸脱することを防止する。
(5)変形例
(5−1)
上記実施形態では、能力制御のパラメータに過熱度SH、過冷却度SCを採り入れているが、過熱度SH、過冷却度SCに替えて、相対過熱度RSH、相対過冷却度RSCを用いてもよい。
ここで、相対過熱度RSH=過熱度SH/(室内温度Tr−液管温度Th2)であり、相対過冷却度RSC=過冷却度SC/(室内温度Tr−液管温度Th2)である。液管温度Th2は、液側温度センサ44,54,64,74の検出値で代用される。
(5−2)
熱交関数の誤差にそなえ、アクチュエータの過剰変動が発生しないように動作量を調整できるようにしてもよい。ユーザーの快適性の観点から、アクチュエータを一度に大きく変化させることを避けるためである。
例えば、熱交関数(Q=f(ΔT)・g(G)・h(SCH))上、完全に能力を維持する必要な動作量の50%だけ動作させる。具体的には、計算上、風量「強風」であっても「中風」にとどめる。
(6)他の実施形態
(6−1)
上記実施形態では、図4において、割り込み能力制御をステップS2の手前に割り込ませているが、これに限定されるものではなく、例えば図7に示すように、割り込み能力制御をステップS4の手前に割り込ませてもよい。
要求空調能力Qの更新から次の定期的更新までの間で、室内温度Tr及び設定温度Tsが変化することはほとんどなく、目標蒸発温度Tet若しくは目標凝縮温度Tct、過熱度目標値SHt若しくは過冷却度目標値SCt、又は風量の設定値に変化があったときに、割り込み能力制御をステップS4の手前に割り込ませることによって、要求空調能力Qの演算を省いて特性値CQのみ演算すればよい。
(6−2)
上記実施形態では、要求空調能力Qの更新から次の定期的更新までの間で、割り込み能力制御があっても先の更新から所定時間t1後の更新を待っているが、これに限定されるものではない。例えば図8に示すように、「タイマーリセット」の指令をステップS62として従来のステップS61の下流側に挿入して、次の要求空調能力Qの更新が「割り込み能力制御による要求空調能力Qの更新」から所定時間t1経過後に行われてもよい。
図4のフローと対比すると、図4におけるステップS7は削除され、図4におけるステップ8が繰り上げられてステップS60とされている。これによって、割り込み能力制御による要求空調能力Qの更新直後に定期的能力制御による要求空調能力Qの更新がなされるという無駄が省かれる。
(7)適用例
ここでは、具体的な条件設定の下、システムとして能力が不足している場合、及びシステムとして能力が過剰になっている場合の空調機の動作について説明する。
(7−1)システムとして能力が不足している場合
(7−1−1)能力制御
図9Aは、システムとして能力が不足している場合の各空調対象空間の室温、各空調室内機の風量及び蒸発温度を示した表である。図9Bは、省エネルギーの観点からシステムとして理想状態が実現している場合の各空調対象空間の室温、各空調室内機の風量及び蒸発温度を示した表である。
図9Aにおいて、空調室内機A,B,C,Dが据え付けられているものとする。空調室内機A,B,C,Dは、図1の空調室内機40,50,60,70に該当する。空調室内機A,B,C,Dの設定温度は27°Cである。空調室内機A,B,C,Dは、室外側制御部37で決定された直近の目標蒸発温度Tet=10℃という条件の下で、各空調対象空間を冷却している。
ここで、室内側制御部47,57,67,77は、空調能力演算部47a,57a,67a,77aを介して、要求空調能力Qと室外側制御部37から与えられた直近の目標蒸発温度Tetとに基づき、所定の特性値CQと、室外側制御部37へ送信する要求ΔTeを決定する。
要求空調能力Qは、室内温度Trと目標蒸発温度Tetとの差ΔTで決まる項f(ΔT)と、風量Gで決まる項g(G)と、過熱度SHで決まる項h(SH)との積、すなわちQ=f(ΔT)・g(G)・h(SH)である(以後、それを「熱交関数」という。)。
以下、説明の便宜上、空調室内機個別の能力調整を風量G(熱交関数のg(G)の項)のみで行うことを前提に動作の説明を行うが、風量と組合せて過熱度SHの項を使っても、過熱度SH単独で行ってもよい。
(空調室内機A40の動作)
空調室内機A40は、現在の蒸発温度Te(=10℃)の条件下では風量100%に設定されていても、その空調能力Q1aは空調負荷QLoaを下回っており、設定温度27℃に対して実際の室温は28℃である。空調室内機A40が能力不足を補うためには熱交関数の項f(ΔT)の値を大きくする、即ち蒸発温度を下げる必要があり、要求すべき蒸発温度は9℃である。
そこで、室内側制御部47は、要求蒸発温度Ter=9℃を実現するために、蒸発温度を1degだけ下げる要求、すなわち要求△Te=−1degを室外側制御部37に対して送信する。
(空調室内機B50の動作)
一方、空調室内機B50は、現在の蒸発温度Te(=10℃)の条件下では風量100%ならば空調能力Q1bが空調負荷QLobを下回っておらず、必要能力を過不足なく満たしている。
それゆえ、室内側制御部57は、現状の蒸発温度10℃が維持されることを要求するため、要求△Te=±0degを室外側制御部37に対して送信する。
(空調室内機C60の動作)
他方、空調室内機C60は、現在の蒸発温度Te(=10℃)の条件下では風量85%でも空調能力Q1cが空調負荷QLocを下回っておらず、必要能力を超える潜在能力を有している。
室内側制御部67は、さらに省エネルギーで現状の空調能力Qlcを維持するため、風量Gaを現時点の85%から100%に変更して、熱交関数の項g(G)×項h(SH)の値を増やし、その分、項f(ΔT)の値を減らすことを試みることができる。
項f(ΔT)の値を減らすことは、即ち蒸発温度Teを上げることであり、室内側制御部67は、蒸発温度を現状の10℃よりもさらに1deg高い11℃にすることを要求するため、要求△Te=+1degを室外側制御部37に対して送信する。
(空調室内機D70の動作)
また、空調室内機D70は、現在の蒸発温度Te(=10℃)の条件下では風量80%でも空調能力Q1dが空調負荷QLodを下回っておらず、必要能力を超える潜在能力を有している。
室内側制御部77は、さらに省エネルギーで現状の空調能力Q1dを維持するため、上記空調室内機C60と同様の考え方により、風量Gaを現時点の80%から100%に変更して熱交関数項g(G)×項h(SH)の値を増やし、その分、項f(ΔT)の値を減らすことを試みることができる。
それゆえ、室内側制御部77は、蒸発温度を現状の10℃よりもさらに2deg高い12℃にすることを要求するため、要求△Te=+2degを室外側制御部37に対して送信する。
(空調室外機20の動作)
各空調室内機の室内側制御部47,57,67,77から異なる要求△Teを受信した室外側制御部37は、最大負荷機である空調室内機A40からの要求△Te=−1degに合わせるため、各空調室内機の室内側制御部47,57,67,77に対し目標蒸発温度Tet=9℃とする指令を送信する。
(7−1−2)割り込み能力制御
室内側制御部47,57,67,77は、通常なら次に要求空調能力Qを更新するのは直近の更新から所定時間t1(例えば3分間)後であるが、その所定時間t1内に目標蒸発温度Tet=9℃に設定されたので、所定時間t1の経過を待たずに要求空調能力Qを演算し、更新する。これが、割り込み能力制御である。
以下、図9Bを参照しながら、室外側制御部37から目標蒸発温度Tet=9℃を受信した各空調室内機の室内側制御部47,57,67,77が、その後どのように動作するのか、説明する。
(空調室内機A40の動作)
室外側制御部37が目標蒸発温度Tet=9℃に設定した結果、蒸発温度Teが現実に9℃まで低下し、空調室内機A40の空調能力Q1aが増加し、風量Gaを100%で維持しつつ室温を設定温度の27℃まで低下させることができた。
室内側制御部47は、現在の蒸発温度Te(=9℃)、風量100%ならば空調能力Q1aが空調負荷QLoaを下回らず、必要能力を過不足なく満たしている。
それゆえ、室内側制御部47は、現状の蒸発温度9℃が維持されることを要求するため、要求△Te=±0degを室外側制御部37に対して送信する。
(空調室内機B50の動作)
一方、空調室内機B50は、蒸発温度Teが9℃まで低下したことにより、能力過剰になるおそれがある。そこで、室内側制御部57は熱交関数の項f(ΔT)の値が増えた分、風量Gaを90%まで低下させて項g(G)×項h(SH)の値を減らし、空調能力Q1bの安定維持を図る。
また、室内側制御部57は、さらに省エネルギーで現状能力を維持するため、熱交関数の項f(ΔT)の値を減らし、風量Gaを現時点の90%から100%に変更して項g(G)×項h(SH)の値を増やすことを試みることができる。
そこで、室内側制御部57は、蒸発温度を現状の9℃よりもさらに1deg高い10℃にすることを要求するため、要求△Te=+1degを室外側制御部37に対して送信する。
(空調室内機C60の動作)
他方、空調室内機C60も、蒸発温度Teが9℃まで低下したことにより、能力過剰になるおそれがある。そこで、室内側制御部67は熱交関数の項f(ΔT)の値が増えた分、風量Gaを75%まで低下させて項g(G)×項h(SH)の値を減らし、空調能力Q1cの安定維持を図る。
また、室内側制御部67は、さらに省エネルギーで現状能力を維持するため、上記空調室内機B50と同様の考え方により、熱交関数の項f(ΔT)の値を減らし、風量Gaを現時点の75%から100%に変更して項g(G)×項h(SH)の値を増やすことを試みることができる。
そこで、室内側制御部67は、蒸発温度を現状の9℃よりもさらに2deg高い11℃にすることを要求するため、要求△Te=+2degを室外側制御部37に対して送信する。
(空調室内機D70の動作)
空調室内機D70も、蒸発温度Teが9℃まで低下したことにより、能力過剰になるおそれがある。そこで、室内側制御部77は熱交関数の項f(ΔT)の値が増えた分、風量Gaを70%まで低下させて項g(G)×項h(SH)の値を減らし、空調能力Q1dの安定維持を図る。
また、室内側制御部77は、さらに省エネルギーで現状能力を維持するため、熱交関数の項f(ΔT)×項h(SH)の値を減らし、風量Gaを100%にして項g(G)×項h(SH)の値を増やすことを試みることができる。
そこで、室内側制御部77は、蒸発温度を現状の9℃よりもさらに3deg高い12℃にすることを要求するため、要求△Te=+3degを室外側制御部37に対して送信する。
(空調室外機20の動作)
各空調室内機の室内側制御部47,57,67,77から異なる要求△Teを受信した室外側制御部37は、最大負荷機である空調室内機A40からの要求△Te=±0degに合わせるため、各空調室内機の室内側制御部47,57,67,77に対し目標蒸発温度Tet=9℃を維持する指令を送信する。
(7−1−3)効果
以上のように、室外側制御部37が蒸発温度を9℃まで低下させたことによって、空調室内機A40の能力は増加し、風量を100%に維持することによって室温が設定温度27℃まで低下する。
空調室内機B40、空調室内機C60及び空調室内機D70は、室外側制御部37が蒸発温度を9℃まで低下させたことによって、割り込み能力制御が働き、能力過剰になる前に(室温が低下する前に)風量を低下させ、室温の安定維持を図る。同時に、室外側制御部37に対しては、改めて要求△Teを送信する。
この状態、すなわち、空調室内機の中で定格能力に対する空調負荷率が最大となっている空調室内機Aが風量100%(項g(G)×項h(SH)の値が最大の状態)となっており且つ同空調室内機の要求でTetが決まっている状態が、システムとして省エネ理想状態が実現している状態である。
(7−2)システムとして能力過剰の場合
(7−2−1)能力制御
図10Aは、システムとして能力が過剰になっている場合の各空調対象空間の室温、各空調室内機の風量及び蒸発温度を示した表である。図10Bは、省エネルギーの観点からシステムとして理想状態が実現している場合の各空調対象空間の室温、各空調室内機の風量及び蒸発温度を示した表である。
図10Aにおいて、空調室内機A,B,C,Dが据え付けられているものとする。空調室内機A,B,C,Dは、図1の空調室内機40,50,60,70に該当する。空調室内機A,B,C,Dの設定温度は27°Cである。空調室内機A,B,C,Dは、室外側制御部37で決定された直近の目標蒸発温度Tet=10℃という条件の下で、各空調対象空間を冷却している。その他は、(7−1−1)の能力制御の考え方と同様である。
(空調室内機A40の場合)
空調室内機A40は、現在の蒸発温度Te(=10℃)の条件下では風量100%では能力過剰となるので、風量90%まで低下させることによって、空調能力Q1aを安定維持している。
ここで、空調室内機A40は、現在の蒸発温度Te(=10℃)の条件下では風量90%で空調能力Q1aが必要能力を満たすことができるのであるから、空調室内機A40がより省エネルギーで現状能力を維持できるように、室内側制御部47は熱交関数の項f(ΔT)の値を減らし、風量Gaを現時点の90%から100%に変更して項g(G)×項h(SH)の値を増やすことを試みることができる。
項f(ΔT)の値を減らすことは、即ち蒸発温度Teを上げることであり、室内側制御部47は、蒸発温度を現状の10℃よりもさらに1deg高い11℃にすることを要求するため、要求△Te=+1degを室外側制御部37に対して送信する。
(空調室内機B50の場合)
空調室内機B50は、現在の蒸発温度Te(=10℃)の条件下では風量100%では能力過剰となるので、風量80%まで低下させることによって、空調能力Q1bを安定維持している。
ここで、空調室内機B50は、現在の蒸発温度Te(=10℃)の条件下では風量80%で空調能力Q1bが必要能力を満たすことができるのであるから、空調室内機B50がより省エネルギーで現状能力を維持できるように、室内側制御部57は熱交関数の項f(ΔT)の値を減らし、風量Gaを現時点の80%から100%に変更して項g(G)×項h(SH)の値を増やすことを試みることができる。
そこで、室内側制御部57は、蒸発温度を現状の10℃よりもさらに2deg高い12℃にすることを要求するため、要求△Te=+2degを室外側制御部37に対して送信する。
(空調室内機C60の場合)
空調室内機C60は、現在の蒸発温度Te(=10℃)の条件下では風量100%では能力過剰となるので、風量70%まで低下させることによって、空調能力Q1cを安定維持している。
ここで、空調室内機C60は、現在の蒸発温度Te(=10℃)の条件下では風量70%で空調能力Q1cが必要能力を満たすことができるのであるから、空調室内機C60がより省エネルギーで現状能力を維持できるように、室内側制御部67は熱交関数の項f(ΔT)の値を減らし、風量Gaを現時点の70%から100%に変更して項g(G)×項h(SH)の値を増やすことを試みることができる。
そこで、室内側制御部67は、蒸発温度を現状の10℃よりもさらに3deg高い13℃にすることを要求するため、要求△Te=+3degを室外側制御部37に対して送信する。
(空調室内機D70の場合)
空調室内機D70は、現在の蒸発温度Te(=10℃)の条件下では風量100%では能力過剰となるので、風量65%まで低下させることによって、空調能力Q1dを安定維持している。
ここで、空調室内機D70は、現在の蒸発温度Te(=10℃)の条件下では風量65%で空調能力Q1dが必要能力を満たすことができるのであるから、空調室内機D70がより省エネルギーで現状能力を維持できるように、室内側制御部77は熱交関数の項f(ΔT)の値を減らし、風量Gaを現時点の65%から100%に変更して項g(G)×項h(SH)の値を増やすことを試みることができる。
そこで、室内側制御部77は、蒸発温度を現状の10℃よりもさらに4deg高い14℃にすることを要求するため、要求△Te=+4degを室外側制御部37に対して送信する。
(室外側制御部37の動作)
各空調室内機の室内側制御部47,57,67,77から異なる要求△Teを受信した室外側制御部37は、最大負荷機である空調室内機A40からの要求△Te=+1degに合わせるため、各空調室内機の室内側制御部47,57,67,77に対し目標蒸発温度Tet=11℃とする指令を送信する。
(7−2−2)割り込み能力制御
ここでは、図10Bを参照しながら、室外側制御部37から目標蒸発温度Tet=11℃を受信した室内側制御部47,57,67,77の動作について説明する。
室内側制御部47,57,67,77は、目標蒸発温度Tet=11℃に設定されたので、先述の(7−1−2)割り込み能力制御に従う。
(空調室内機A40の動作)
室外側制御部37が目標蒸発温度Tet=11℃に設定した結果、蒸発温度Teが現実に11℃まで上昇したので、室内側制御部47は空調能力Q1aを維持するため、熱交関数の項f(ΔT)の値が低下した分を項g(G)×項h(SH)の値で補えるように、風量を直近の90%から100%まで上げる。蒸発温度Te(=11℃)、風量100%ならば空調能力Q1aは、空調負荷QLoaを下回らず、必要能力を過不足なく満たすことになる。
それゆえ、室内側制御部47は、現状の蒸発温度11℃が維持されることを要求するため、要求△Te=±0degを室外側制御部37に対して送信する。
(空調室内機B50の動作)
蒸発温度Teが現実に11℃まで上昇したので、室内側制御部57は空調能力Q1bを維持するため、熱交関数の項f(ΔT)の値が低下した分を項g(G)×項h(SH)の値で補えるように、風量を直近の80%から90%まで上げる。
一方、蒸発温度Te(=11℃)、風量90%の条件下で、空調能力Q1bが必要能力を満たすことから、室内側制御部57はより省エネルギーで現状能力を維持するため、熱交関数の項f(ΔT)の値を減らし、風量Gaを現時点の90%から100%に変更して項g(G)×項h(SH)の値を増やすことを試みることができる。
そこで、室内側制御部57は、蒸発温度を現状の11℃よりもさらに1deg高い12℃にすることを要求するため、要求△Te=+1degを室外側制御部37に対して送信する。
(空調室内機C60の動作)
蒸発温度Teが現実に11℃まで上昇したので、室内側制御部67は空調能力Q1cを維持するため、熱交関数の項f(ΔT)の値が低下した分を項g(G)×項h(SH)の値で補えるように、風量を直近の70%から80%まで上げる。
一方、空調室内機C60が蒸発温度Te(=11℃)、風量80%の条件下で空調能力Q1cが必要能力を満たすことから、室内側制御部67はより省エネルギーで現状能力を維持するため、熱交関数の項f(ΔT)の値を減らし、風量Gaを現時点の80%から100%に変更して項g(G)×項h(SH)の値を増やすことを試みることができる。
そこで、室内側制御部67は、蒸発温度を現状の11℃よりもさらに2deg高い13℃にすることを要求するため、要求△Te=+2degを室外側制御部37に対して送信する。
(空調室内機D70の動作)
蒸発温度Teが現実に11℃まで上昇したので、室内側制御部77は空調能力Q1dを維持するため、熱交関数の項f(ΔT)の値が低下した分を項g(G)×項h(SH)の値で補えるように、風量を直近の65%から75%まで上げる。
一方、空調室内機D70が蒸発温度Te(=11℃)、風量75%の条件下で空調能力Q1dが必要能力を満たすことから、室内側制御部77はより省エネルギーで現状能力を維持するため、熱交関数の項f(ΔT)の値を減らし、風量Gaを100%にして項g(G)×項h(SH)の値を増やすことを試みることができる。
そこで、室内側制御部77は、蒸発温度を現状の11℃よりもさらに3deg高い14℃にすることを要求するため、要求△Te=+3degを室外側制御部37に対して送信する。
(空調室外機20の動作)
各空調室内機の室内側制御部47,57,67,77から異なる要求△Teを受信した室外側制御部37は、最大負荷機である空調室内機A40からの要求△Te=±0degに合わせるため、各空調室内機の室内側制御部47,57,67,77に対し目標蒸発温度Tet=11℃を維持する指令を送信する。
(7−2−3)効果
以上のように、室外側制御部37が蒸発温度を11℃まで上昇させたことによって、空調室内機A40の能力が抑制されるものの、風量を100%に維持することによって室温が設定温度27℃で安定維持される。
空調室内機B40、空調室内機C60及び空調室内機D70は、室外側制御部37が蒸発温度を11℃まで上昇させたことによって、割り込み能力制御が働き、室温が上昇する前に風量を増加させ、室温の安定維持を図る。同時に、室外側制御部37に対しては、改めて要求△Teを送信する。
この状態、すなわち、空調室内機の中で定格能力に対する空調負荷率が最大となっている空調室内機Aが風量100%(項g(G)×項h(SH)の値が最大の状態)となっており且つ同空調室内機の要求でTetが決まっている状態が、システムとして省エネ理想状態が実現している状態である。
(7−3)CQ調整機能がない空調機との差異
本発明に係る実施形態は、熱交関数の中で空調室内機40,50,60,70が自由に制御できる項g(G)と項h(SCH)との積を示す値、つまりg(G)・h(SCH)を特性値CQと定義付け、特性値CQを調整することによって、能力の過不足を解消し、省エネ理想状態を実現することができる。
CQ調整機能がない場合でも、能力過不足が発生するため、室温が一時的に変動し(設定温度から離れ)、室温の変動に対してフィードバック制御を行うことで、CQ調整機能がなくても「システムとしての省エネ理想状態」に達することは不可能ではない。
但し、その場合、室温の変動が起きてからフィードバックで例えば風量が制御されるので、その点で室温変動前にフィードフォワード的にCQを調整する本発明の実施形態とは動作が異なるとともに、その結果として、制御が不安定化し「システムとして省エネ理想状態」で安定化せず快適性を損なうなどの可能性がある。
以上のように、本発明によれば、温度(室温)が変動する前に特性値CQを調整して、温度(室温)の安定維持を図るので、空調機に限らず広く温調装置としても有用である。
20 空調室外機
40,50,60 空調室内機
47,57,67 室内側制御部
特開2011−257126号公報

Claims (6)

  1. 現在室温と設定室温とから決まる要求能力を定期的に演算しながら、過熱度若しくは過冷却度、風量、又は蒸発温度若しくは凝縮温度に基づいて能力を調節する能力制御を行う、空調室内機であって、
    前記能力制御を実行する室内側制御部(47,57,67,77)を備え、
    前記室内側制御部(47,57,67,77)は、前記過熱度若しくは前記過冷却度の目標値、前記風量の設定値、又は前記蒸発温度若しくは前記凝縮温度の目標値に変化があったとき、前記能力制御による定期的な演算を待つことなく割り込んで前記要求能力を演算して更新する割り込み能力制御を行う、
    空調室内機。
  2. 前記室内側制御部(47,57,67,77)は、前記割り込み能力制御において更新した前記要求能力を実現する前記過熱度若しくは前記過冷却度及び前記風量の組合せのうち、最も省エネルギーとなる組合せを選択する、
    請求項1に記載の空調室内機。
  3. 前記空調室内機は、空調室外機(20)に対して複数の空調室内機が接続されるマルチタイプ空調機に用いられる空調室内機であって、
    前記室内側制御部(47,57,67,77)は、前記割り込み能力制御において、前記現在室温と前記蒸発温度又は前記凝縮温度との温度差の最小化を図るため、前記空調室外機(20)に対して要求すべき蒸発温度又は凝縮温度を演算する、
    請求項1又は請求項2に記載の空調室内機。
  4. 前記空調室内機は、空調室外機(20)に対して複数の空調室内機が接続されるマルチタイプ空調機に用いられる空調室内機であって、
    前記室内側制御部(47,57,67,77)は、前記能力制御における前記要求能力を定期的に演算する際に、前記空調室外機(20)に対して要求すべき前記蒸発温度又は前記凝縮温度の要求値を演算し、
    さらに前記室内側制御部(47,57,67,77)は、前記空調室外機(20)から前記蒸発温度又は前記凝縮温度の目標値の入力を受けたとき、前記目標値が前記空調室外機(20)に対して出力した前記要求値と一致するか否かにかかわらず、前記割り込み能力制御を実行する、
    請求項1に記載の空調室内機。
  5. 前記空調室内機は、空調室外機(20)に対して一つ以上の空調室内機が接続される空調機に用いられる空調室内機であって、
    前記室内側制御部(47,57,67,77)は、前記能力制御以外の制御において前記過熱度若しくは前記過冷却度の目標値が変更されたとき、又は前記空調室外機(20)から前記過熱度若しくは前記過冷却度の目標値の入力を受けたとき、前記割り込み能力制御を実行する、
    請求項1に記載の空調室内機。
  6. 前記室内側制御部(47,57,67,77)は、前記風量を自動で設定する風量自動モード、及び前記風量を手動で設定する風量手動モードのいずれかを介して前記風量の設定値の入力を受けており、
    さらに前記室内側制御部(47,57,67,77)は、前記風量手動モードによる前記風量の設定値の入力を受けたとき、前記割り込み能力制御を実行する、
    請求項1に記載の空調室内機。
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