JP2016070258A - 接触型のガスシール構造及びターボ回転機械 - Google Patents

接触型のガスシール構造及びターボ回転機械 Download PDF

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幸浩 下田
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Abstract

【課題】タービンディスク21の耐久性及び回転安定性を十分に確保した上で、ブラシシール45の交換頻度を低くして、接触型のガスシール構造43のメンテナンスコストの低減を図ること。【解決手段】シールステータ37のアウター円筒部41の内周面に環状のブラシシール45が設けられており、このブラシシール45は、シールステータ37のアウター円筒部41の内周面の周方向に沿って環状に並んだ多数のブラシ毛49を備え、タービンディスク21のインナー円筒部25の外周面における多数のブラシ毛49と接触する部位に環状のポーラスな保護被膜57が形成され、保護被膜57は、クロムを含むコバルト合金の粉末をコーティング材料として用い、放電表面処理によってコーティングされたものであること。【選択図】図1

Description

本発明は、航空用ガスタービン等のターボ回転機械に用いられ、回転可能なロータ部の外周面とロータ部を囲むステータ部の内周面との間の隙間からの燃焼ガス等の高温ガスの漏れを抑える接触型のガスシール構造等に関する。
従来から、航空用ガスタービン等のターボ回転機械においては、ロータ部の外周面とステータ部の内周面との間の隙間からの高温ガスの漏れを抑えるために、非接触型のガスシール構造としてラビリンスシール構造が広く用いられている。また、ラビリンスシール構造が非接触型であるため、シール性の向上には限界があり、近年、接触型のガスシール構造が航空用ガスタービンに用いられ始めている。そして、接触型のガスシール構造の構成について簡単に説明すると、次のようになる。
ステータ部の内周面には、環状のブラシシールが設けられており、このブラシシールは、ステータ部の内周面の周方向に沿って環状に並んだ多数のブラシ要素を備えており、複数のブラシ要素は、少なくともターボ回転機械の運転中にロータ部の外周面に接触するようになっている。また、ブラシ要素は、先端(半径方向内端)側が基端(半径方向外端)側よりもロータ部の回転方向側に位置するように半径方向に対して傾斜して構成されている。
ロータ部の外周面における多数の前記ブラシ要素と接触する部位には、環状の保護被膜が形成されており、この保護被膜は、クロムカーバイド等の硬質材料からなるものである。これにより、ロータ部の外周面の摩耗を抑えて、ロータ部の耐久性及び回転安定性を十分に確保することができる。
なお、本発明に関連する先行技術としては、特許文献1から特許文献3に示すものがある。
特開平10−196801号公報 特開2004−52758号公報 特開2008−121512号公報
ところで、前述のように、ロータ部の耐久性及び回転安定性を十分に確保するには、ロータ部の外周面に保護被膜を形成する必要があるものの、ターボ回転機械の運転中に、ブラシ要素の先端が保護被膜との接触によって摩耗(消耗)し易くなる。そのため、ブラシシールの交換頻度が高くなって、接触型のガスシール構造のメンテナンスコストの増大を招くことになる。つまり、ロータ部の耐久性及び回転安定性を十分に確保した上で、ブラシシールの交換頻度を低くして、接触型のガスシール構造のメンテナンスコストの低減を図ることは容易でないという問題がある。
そこで、本発明は、前述の問題を解決することができる、新規な構成の接触型のガスシール構造を提供することを目的とする。
本発明の第1の特徴は、ターボ回転機械に用いられ、回転可能なロータ部の外周面と前記ロータ部を囲むステータ部の内周面との間の隙間からの高温ガスの漏れを抑える接触型のガスシール構造において、前記ステータ部の内周面に設けられ、前記ステータ部の内周面の周方向に沿って環状に並びかつ少なくとも前記ターボ回転機械の運転中に前記ロータ部の外周面に接触する多数のブラシ要素を備えた環状のブラシシールと、前記ロータ部の外周面における多数の前記ブラシ要素と接触する部位に形成され、クロムを含むコバルト合金をコーティング材料として用い、放電表面処理又は大気溶射によってコーティングされた環状のポーラスな保護被膜と、を具備したことを要旨とする。
ここで、前記接触型のガスシール構造は、前記ターボ回転機械の運転中に650℃以上の酸化雰囲気に置かれるようになっていることが望ましい。また、前記ブラシ要素は、クロムを含むコバルト合金からなっていることが望ましい。更に、前記ブラシ要素は、先端(半径方向内端)側が基端(半径方向外端)側よりも前記ロータ部の回転方向側に位置するように半径方向に対して傾斜して構成されていることが望ましい。
なお、本願の明細書及び特許請求の範囲において、「ターボ回転機械」とは、航空用ガスタービン、産業用ガスタービン、及び蒸気タービンを含む意である。「ロータ部」とは、ターボ回転機械における回転部品及びその回転部品の一部分(回転部)を含む意であって、「ステータ部」とは、ターボ回転機械における静止部品及びその静止部品の一部分(静止部)を含む意である。また、「高温ガス」とは、燃焼ガス、蒸気、及び400℃以上の冷却空気を含む意である。そして、「ブラシ要素」とは、針状(毛状)のブラシ要素としてのブラシ毛、及び板状のブラシ要素としてのブラシ板を含む意である。更に、「半径方向内端」とは、半径方向の内端ことをいい、「半径方向外端」とは、半径方向の外端のことをいい、「半径方向」とは、特に断らない限り、ロータ部又はブラシシールの半径方向のことをいう。
本発明の第1の特徴によると、前記ターボ回転機械の運転中に、多数の前記ブラシ要素が前記ロータ部の外周面に接触して、前記ロータ部の外周面と前記ステータ部の内周面との隙間を塞ぐことができる。これにより、前記ロータ部の外周面と前記ステータ部の内周面との間の隙間からの高温ガスの漏れを抑えることができる。
前記保護被膜が放電表面処理又は大気溶射によってコーティングされ、コーティング材料としてクロムを含むコバルト合金を用いているため、前記保護被膜が前記ターボ回転機械の運転中又は運転前に650℃以上の酸化雰囲気に置かれることによって、前記保護被膜の表面側に固体潤滑材としての酸化クロムの固形物を生成することができる。また、前記保護被膜が650℃以上の酸化雰囲気に置かない場合であっても、前記保護被膜のポーラス部分に固体潤滑材としての酸化クロムの粉末を含ませることができる。これにより、前記ターボ回転機械の運転中に、前記保護被膜が潤滑性を十分に発揮して、前記ロータ部の外周面だけでなく、前記ブラシ要素の先端の摩耗を抑えることができる。
本発明の第2の特徴は、ターボ回転機械において、本発明の第1の特徴からなる接触型のガスシール構造を具備したことを特徴とする。
本発明の第2の特徴によると、本発明の第1の特徴による作用と同様の作用を奏する。
本発明によれば、前記ターボ回転機械の運転中に、前記保護被膜が潤滑性を十分に発揮して、前記ロータ部の外周面及び前記ブラシ要素の先端の摩耗を抑えることができるため、前記ロータ部の耐久性及び回転安定性を十分に確保した上で、前記ブラシシールの交換頻度を低くして、前記接触型のガスシール構造のメンテナンスコストの低減を図ることができる。
図1は、図3における矢視部Iの拡大図である。 図2は、図3におけるII-II線に沿った拡大図である。 図3は、本発明の実施形態に係る高圧タービンを示す部分断面図である。 図4は、タービンディスクの回転部の外周面に放電表面処理によって保護被膜をコーティングする様子を示す模式図である。 図5(a)(b)は、走査電子顕微鏡(加速電圧:10kV、倍率:150倍)を用いて保護被膜の断面を観察した写真図であって、図5(a)は、保護被膜を650℃以上の酸化雰囲気中に置く前の状態を示しており、図5(b)は、保護被膜を650℃以上の酸化雰囲気中に1000時間置いた後の状態を示している。
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、図面中、「F」は、前方向(主流方向の上流側)、「R」は、後方向(主流方向の下流側)、「RD」は、半径方向、「RDi」は、半径方向内側、「RDo」は、半径方向外側、「CD」は、高圧タービンロータ(タービンディスク)の回転方向をそれぞれ指している。
図3に示すように、本発明の実施形態に係る高圧タービン1は、航空用ガスタービン3(ターボ回転機械の一例)に用いられるものであって、燃焼器5からの燃焼ガスGの膨張によって駆動されかつ高圧圧縮機(図示省略)を連動して駆動するものである。また、高圧タービン1は、筒状の高圧タービンケース7を備えており、この高圧タービンケース7は、ガスタービン軸心(航空用ガスタービン3の軸心)Sと同心上に位置している。
高圧タービンケース7内には、燃焼ガスGを軸流に整流する高圧タービンステータ9がガスタービン軸心Sと同心上に設けられている。また、高圧タービンステータ9は、その周方向(高圧タービンステータ9の周方向)に沿って分割した複数(1つのみ図示)の円弧状のタービンステータセグメント9sからなるものである。そして、タービンステータセグメント9sの具体的な構成は、次のようになる。
タービンステータセグメント9sは、複数(1つのみ図示)の静翼11を備えており、複数の静翼11は、航空用ガスタービン3の主流路13内に位置している。また、複数の静翼11の先端(半径方向外端)には、環状のアウターバンド15が一体的に連結されており、このアウターバンド15は、高圧タービンケース7に支持されている。アウターバンド15の内周面は、主流路13のアウター流路面13oの一部を構成している。更に、複数の静翼11の基端(半径方向内端)には、環状のインナーバンド17が一体的に連結されており、このインナーバンド17の外周面は、主流路13のインナー流路面13iの一部を構成している。
高圧タービンケース7内における高圧タービンステータ9の後側(主流方向の直下流側)には、高圧タービンロータ19がガスタービン軸心S周りに回転可能に設けられており、この高圧タービンロータ19は、燃焼器5からの燃焼ガスGの膨張によって回転力を得るものである。そして、高圧タービンロータ19の具体的な構成は、次のようになる。
高圧タービンケース7内には、タービンディスク21がガスタービン軸心S周りに回転可能に設けられており、このタービンディスク21は、高圧圧縮機の高圧圧縮機ロータ(図示省略)に一体的に連結してある。また、タービンディスク21の外周縁には、複数(1つのみ図示)の取付溝(嵌合溝)23が周方向(タービンディスク21の外周縁の周方向)に等間隔に形成されており、回転部品であるタービンディスク21の前側面には、ロータ部(回転部品の一部分)としてのインナー円筒部25が形成されている。そして、タービンディスク21の各取付溝23には、タービン動翼27が嵌合して設けられている。各タービン動翼27の翼部分は、航空用ガスタービン3の主流路13内に位置しており、各タービン動翼27は、翼根側(基端側)に、主流路13のインナー流路面13iの一部を構成するプラットホーム29を有している。更に、タービンディスク21の前側面には、複数(1つのみ図示)のタービン動翼27を前方向から保持する筒状のフロントリテーナ31が設けられており、タービンディスク21の後側面には、複数のタービン動翼27を後方向から保持する筒状のリアリテーナ33が設けられている。
高圧タービンケース7の内周面には、環状のタービンシュラウド35が設けられており、タービンシュラウド35は、その周方向(タービンシュラウド35の周方向)に沿って分割した複数(1つのみ図示)の円弧状のタービンシュラウドセグメント35sからなるものである。また、各タービンシュラウドセグメント35sは、タービン動翼27の先端(半径方向外端)との接触を許容できるようにハニカム状に構成されている。
高圧タービンステータ9の内側(半径方向内側)には、主流路13側からの燃焼ガスGの漏れを抑える環状のシールステータ37が高圧タービンステータ9と同心上に設けられている。また、静止部品であるシールステータ37には、後方向(主流方向の下流側)へ向かって縮径するテーパ部39が形成されており、テーパ部39の先端側には、タービンディスク21のインナー円筒部25を囲むステータ部(静止部品の一部分)としてのアウター円筒部41が形成されている。
高圧タービン1は、タービンディスク21のインナー円筒部25の外周面とシールステータ37のアウター円筒部41の内周面との間の隙間からガスタービン軸心S側への燃焼ガスGの漏れを抑える接触型のガスシール構造43を具備している。また、接触型のガスシール構造43は、航空用ガスタービン3の運転中に650〜1080℃の酸化雰囲気に置かれるようになっている。
続いて、本発明の実施形態に係る接触型のガスシール構造43の具体的な構成について説明する。
図1から図3に示すように、シールステータ37のアウター円筒部41の内周面には、環状のブラシシール45が止め輪47を介して設けられており、このブラシシール45は、シールステータ37のアウター円筒部41の内周面の周方向に沿って環状に並んだ多数のブラシ毛49(ブラシ要素の一例)と、多数のブラシ毛49に挟持した状態でロウ接合部51を介して一体化した一対のリング板53,55とを備えている。ここで、ブラシ毛49は、クロム(Cr)を含むコバルト(Co)合金又はニッケル(Ni)合金等の耐熱合金からなるものであり、ブラシ毛49の直径は、0.02〜0.50mmに設定されている。また、多数のブラシ毛49は、航空用ガスタービン3の運転前及び運転中においても、タービンディスク21のインナー円筒部25の外周面に接触しているが、航空用ガスタービン3の運転中にタービンディスク21の遠心力によってタービンディスク21のインナー円筒部25の外周面に接触するようにしても構わない。更に、ブラシ毛49は、先端(半径方向内端)側が基端(半径方向外端)側よりもタービンディスク21(タービンディスク21のインナー円筒部25)の回転方向側に位置するように半径方向に対して傾斜して構成されている。なお、ブラシ要素としてブラシ毛49を用いる代わりに、ブラシ板(図示省略)を用いても構わなく、各リング板53,55は、その周方向(各リンク板53,55の周方向)に沿ってセグメント化(分割)しても構わない。
タービンディスク21のインナー円筒部25の外周面における多数のブラシ毛49と接触する部位(所定の部位)には、環状のポーラスな保護被膜57が形成されている。また、保護被膜57(保護被膜57の表面)は、タービンディスク21のインナー円筒部25の外周面の一部を構成している。
保護被膜57は、クロム(Cr)を含むコバルト(Co)合金の粉末をコーティング材料として用い、放電表面処理によってコーティングされたものである。具体的には、図4に示すように、棒状の放電電極59を用い、電気絶縁性のある加工液L中において、タービンディスク21をその軸心(タービンディスク21の軸心)周りに回転させながら、放電電極59とタービンディスク21のインナー円筒部25の外周面における所定の部位との間にパルス状の放電を発生させて、その放電エネルギーによりタービンディスク21のインナー円筒部25の外周面における所定の部位に放電電極59の電極材料又はこの電極材料の反応物質を溶着させることによってコーティングされるものである。
ここで、放電電極59は、電極材料、換言すれば、コーティング材料としてのクロムを含むコバルト合金の粉末を圧縮成形してなる成形体(加熱処理をした成形体を含む)からなるものである。クロムを含むコバルト合金の粉末の配合比率は、クロム(Cr)25重量%,ニッケル(Ni)10重量%,タングステン(W)7重量%,残コバルト(Co)、又はクロム20重量%,ニッケル10重量%,タングステ)15重量%,残コバルトになっているが、本発明の効果を奏する範囲内において、適宜に変更可能である。放電電極59としてコバルト合金の粉末等を圧縮成形してなる成形体を用いる代わりに、泥漿、射出成形、溶射等によって成形してなる成形体を用いても構わない。
前述のように、図1に示すように、保護被膜57が放電表面処理によってコーティングされる代わりに、クロムを含むコバルト合金の粉末をコーティング材料(溶射材料)として用い、大気プラズマ溶射によってコーティングされるものであっても構わない。
なお、図3に示すように、高圧タービン1の後方には、低圧タービン(図示省略)が配設されており、この低圧タービンは、高圧タービン1と同様に、燃焼器5からの燃焼ガスGの膨張によって駆動されかつ低圧圧縮機(図示省略)を連動して駆動するものである。
続いて、本発明の実施形態の作用及び効果について説明する。
航空用ガスタービン3の運転を開始すると、高圧タービン1が燃焼器5から燃焼ガスGの膨張によって駆動されて、高圧タービンロータ19が回転する。すると、複数の高圧圧縮機ロータを高圧タービンロータ19と一体的に回転させて、高圧タービン1の駆動に連動して高圧圧縮機を駆動する。同様に、低圧タービンが燃焼器5から燃焼ガスGの膨張によって駆動されて、低圧タービンの駆動に連動して低圧圧縮機を駆動する。
航空用ガスタービン3の運転中に、多数のブラシ毛49がタービンディスク21のインナー円筒部25の外周面に接触して、タービンディスク21のインナー円筒部25の外周面とシールステータ37のアウター円筒部41の内周面との隙間を塞ぐことができる。これにより、タービンディスク21のインナー円筒部25の外周面とシールステータ37のアウター円筒部41の内周面との隙間からの燃焼ガスの漏れを抑えることができる。
保護被膜57が放電表面処理によってコーティングされ、コーティング材料としてクロムを含むコバルト合金の粉末を用いているため、保護被膜57が航空用ガスタービン3の運転中に650℃以上の酸化雰囲気に置かれることによって、図5(a)(b)に示すように、保護被膜57をポーラス部分に固体潤滑材としての酸化クロム(Cr23)の粉末を含んだ状態から、表面側及び内部に酸化クロムの固形物を生成した状態に変化させることができる。また、保護被膜57が放電表面処理によってコーティングされているため、保護被膜57とタービンディスク21のインナー円筒部25の基材との境界には混ざり合った傾斜合金層が形成され、保護被膜57がタービンディスク21のインナー円筒部25から剥が難くなる。これにより、航空用ガスタービン3の運転中に、保護被膜57が潤滑性を十分かつ安定的に発揮して、タービンディスク21のインナー円筒部25の外周面だけでなく、ブラシ毛49の先端の摩耗を十分に抑えることができる。特に、ブラシ毛49がクロムを含むコバルト合金からなる場合には、ブラシ毛49の先端に酸化クロムの固形物を生成することができ、タービンディスク21のインナー円筒部25の外周面をより十分に抑えることができる。
なお、保護被膜57が表面側及び内部に酸化クロムの固形物を生成した状態に一旦変化すると、航空用ガスタービン3の運転の停止後もその状態は維持されるものである。また、航空用ガスタービン3の運転中に、保護被膜57が1080℃を超える酸化雰囲気中に置かれることがないため、保護被膜57の酸化劣化を抑えることができる。
以上の如き、本発明の実施形態によれば、航空用ガスタービン3の運転中に、保護被膜57が潤滑性を十分かつ安定的に発揮して、タービンディスク21のインナー円筒部25の外周面及びブラシ毛49の先端の摩耗を抑えることができるため、タービンディスク21(タービンディスク21のインナー円筒部25)の耐久性及び回転安定性を十分に確保した上で、ブラシシール45の交換頻度を低くして、接触型のガスシール構造43のメンテナンスコストの低減を図ることができる。
なお、本発明は、前述の実施形態の説明に限られるものではなく、次のように種々の態様で実施可能である。即ち、燃焼ガスGの漏れを抑えるための接触型のガスシール構造43に適用した技術的思想を、400℃以上の冷却空気の漏れを抑える接触型のガスシール構造(図示省略、特開平10−317903号公報等参照)に適用しても構わない。また、航空用ガスタービン3における接触型のガスシール構造43に適用した技術思想を産業用ガスタービン又は蒸気タービン等の別のターボ回転機械における接触型のガスシール構造(図示省略)に適用しても構わない。更に、これらの場合に、保護被膜(図示省略)をコーティングした後に、保護被膜を熱処理によって650℃以上の酸化雰囲気中に置くことにより、保護被膜の表面側及び内部に酸化クロムの固形物を生成させても構わない。
本発明に包含される権利範囲は、接触型のガスシール構造43だけでなく、接触型のガスシール構造43が用いられた航空用ガスタービン3等のターボ回転機械にも及ぶものである。
G 燃焼ガス(高温ガス)
L 加工液
S ガスタービン軸心(航空用ガスタービンの軸心)
1 高圧タービン
3 航空用ガスタービン(ターボ回転機械)
5 燃焼器
7 高圧タービンケース
9 高圧タービンステータ
9s タービンステータセグメント
11 静翼
13 主流路
15 アウターバンド
17 インナーバンド
19 高圧タービンロータ
21 タービンディスク
23 取付溝
25 インナー円筒部(ロータ部)
27 タービン動翼
29 プラットホーム
31 フロントリテーナ
33 リアリテーナ
35 タービンシュラウド
35s タービンシュラウドセグメント
37 シールステータ
39 テーパ部
41 アウター円筒部(ステータ部)
43 ガスシール構造
45 ブラシシール
49 ブラシ毛
51 ロウ接合部
53 リング板
55 リング板
57 保護被膜
59 放電電極

Claims (5)

  1. ターボ回転機械に用いられ、回転可能なロータ部の外周面と前記ロータ部を囲むステータ部の内周面との間の隙間からの高温ガスの漏れを抑える接触型のガスシール構造において、
    前記ステータ部の内周面に設けられ、前記ステータ部の内周面の周方向に沿って環状に並びかつ少なくとも前記ターボ回転機械の運転中に前記ロータ部の外周面に接触する多数のブラシ要素を備えた環状のブラシシールと、
    前記ロータ部の外周面における多数の前記ブラシ要素と接触する部位に形成され、クロムを含むコバルト合金をコーティング材料として用い、放電表面処理又は大気溶射によってコーティングされた環状のポーラスな保護被膜と、を具備したことを特徴とする接触型のガスシール構造。
  2. 前記ターボ回転機械の運転中に650℃以上の酸化雰囲気に置かれるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の接触型のガスシール構造。
  3. 前記ブラシ要素は、クロムを含むコバルト合金からなっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の接触型のガスシール構造。
  4. 前記ブラシ要素は、先端側が基端側よりも前記ロータ部の回転方向側に位置するように半径方向に対して傾斜して構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の接触型のガスシール構造。
  5. 請求項1から請求項4のうちのいずれかの1項に記載の接触型のガスシール構造を具備したことを特徴とするターボ回転機械。
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