JP2016069599A - 熱可塑性エラストマー組成物及びタッチペン - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物及びタッチペン Download PDF

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彰弘 若井
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Abstract

【課題】耐摩耗性、ポリカーボネート樹脂等との熱融着性、離型性、柔軟性、成形体の外観等に優れた熱可塑性エラストマー組成物及び該熱可塑性エラストマー組成物をペン先に用いたタッチペンを提供する。【解決手段】下記成分(A)及び成分(B)を含み、かつ成分(A)100重量部に対し成分(B)を0.1〜1.5重量部含有する熱可塑性エラストマー組成物による。成分(A):ポリテトラメチレングリコール単位(PTMG単位)とポリブチレンテレフタレート単位(PBT単位)とを有し、PTMG単位とPBT単位の合計量に対してPTMG単位の含量が55〜70重量%であるブロック共重合体成分(B):数平均分子量が500〜5,000であるポリエチレンワックス【選択図】なし

Description

本発明は熱可塑性エラストマー組成物に関する。詳しくは、本発明は、耐摩耗性、ポリカーボネート樹脂やアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂等の硬質樹脂との熱融着性、離型性、柔軟性、成形体の外観等に優れた熱可塑性エラストマー組成物及び該熱可塑性エラストマー組成物をペン先に用いてなるタッチペンに関する。
近年スマートフォンやタブレット端末等の普及が進んでおり、これらは画面を指で直接操作するものとなっている。しかしながら、画面を直接指で操作する場合には、画面に対して指が大きいための押し間違いや汗や皮脂が画面に付着する事による汚染が問題となっている。このような問題を解決するために、タッチペンが用いられており、このようなタッチペンのペン先にはゴム弾性を有する材料が用いられている。
タッチペンのペン先にゴム弾性を有する材料を用いたものとしては例えば、特許文献1において、ペン先に導電性ゴム、導電性ゴムの心材としてエラストマー等を組み合わせて使用したタッチペンが開示されている。
特開2013−222375号公報
上記特許文献1に開示されているタッチペン先材は、ペンの先端に導電性ゴム、導電性ゴムの心材にエラストマー等を組み合わせて使用することとしており、デュロ硬度A(タイプAデュロメーター硬度)が導電性ゴムは80以下であり、心材は70以下であることが傷つき性や劣化の面から好ましいとしている。しかし、本発明者らが鋭意検討した結果では、上記の硬度領域では使用時の摩耗が大きいことがわかった。また、本発明者等は、熱可塑性エラストマー組成物をこの用途に適用する場合、耐摩耗性に加え、他の樹脂との二色成形やインサート成形にて作製されるためにポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂等との熱融着性が必要であること、また、タッチペンの生産性を高めるためには離型性が必要であること、更には画面の傷付防止のために柔軟性が必要であり、これらをバランス良く改善することが必要であるという課題を見出した。
本発明は上記の諸問題点を解決することを目的とするものである。即ち、本発明の課題は、耐摩耗性、ポリカーボネート樹脂等との熱融着性、離型性、柔軟性、成形体の外観等に優れた熱可塑性エラストマー組成物及び該熱可塑性エラストマー組成物をペン先に用いたタッチペンを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定のポリテトラメチレングリコールとポリブチレンテレフタレートとのブロック共重合体と、数平均分子量が特定の範囲であるポリエチレンワックスとを所定の割合で配合することにより、耐摩耗性、ポリカーボネート樹脂等との熱融着性、離型性、柔軟性に優れ、タッチペンのペン先として好適な熱可塑性エラストマー組成物が得られることができることを見出した。即ち、本発明は以下の[1]〜[6]を要旨とする。
[1] 下記成分(A)及び成分(B)を含み、かつ成分(A)100重量部に対し成分(B)を0.1〜1.5重量部含有する熱可塑性エラストマー組成物。
成分(A):ポリテトラメチレングリコール単位(PTMG単位)とポリブチレンテレフタレート単位(PBT単位)とを有し、PTMG単位とPBT単位の合計量に対してPTMG単位の含量が55〜70重量%であるブロック共重合体
成分(B):数平均分子量が500〜5,000であるポリエチレンワックス
[2] 成分(A)の結晶化ピーク温度が80〜110℃である、[1]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[3] 成分(A)におけるPTMG単位の数平均分子量(Mn)が500〜1,500である、[1]又は[2]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[4] 成分(A)のデュロ硬度Dが26〜36である、[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[5] [1]乃至[4]のいずれか1つに記載の熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる成形体。
[6] [1]乃至[4]のいずれか1つに記載の熱可塑性エラストマー組成物をペン先に用いてなるタッチペン。
本発明によれば、耐摩耗性、ポリカーボネート樹脂やアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂等との熱融着性、離型性、柔軟性、成形体の外観に優れた熱可塑性エラストマー組成物が提供される。また、この熱可塑性エラストマー組成物をペン先に用いたタッチペンが提供される。
以下に本発明の熱可塑性エラストマー組成物の実施の形態を詳細に説明する。本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。尚、本明細書において、「〜」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
〔熱可塑性エラストマー組成物〕
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、下記成分(A)及び成分(B)を含み、かつ成分(A)100重量部に対し成分(B)を0.1〜1.5重量部含有するものである。成分(A):ポリテトラメチレングリコール単位(PTMG単位)とポリブチレンテレフタレート単位(PBT単位)とを有し、PTMG単位とPBT単位の合計量に対してPTMG単位の含量が55〜70重量%であるブロック共重合体
成分(B):数平均分子量が500〜5,000であるポリエチレンワックス
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は耐摩耗性、ポリカーボネート樹脂やアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂等との熱融着性、離型性、柔軟性に優れるという効果を奏する。本発明の熱可塑性エラストマー組成物がこれらの効果を奏する理由は定かではないが、ポリカーボネート樹脂やアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂等との熱融着性、柔軟性は成分(A)によるものと考えられ、また、耐摩耗性、離型性は成分(B)によるものと考えられる。
<成分(A)>
本発明に用いる成分(A)のブロック共重合体は、PTMG単位とPBT単位とを有し、PTMG単位とPBT単位の合計量に対しPTMG単位の含量が55〜70重量%であるブロック共重合体である。このブロック共重合体は、結晶性を有するPBT単位に基づくハードセグメントと、柔軟性を有するPTMG単位に基づくソフトセグメントとを有する。本発明の熱可塑性エラストマー組成物は成分(A)を所定量含むことにより、ポリカーボネート樹脂やアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂等との熱融着性、柔軟性等が良好となる。
成分(A)のブロック共重合体におけるハードセグメントであるPBT単位及びソフトセグメントであるPTMG単位の含量は、ハードセグメントの結晶性とソフトセグメントの柔軟性とのバランスをとり、タッチペンとして必要な強度と柔軟性を両立させる観点から、PTMG単位の含有量は、55重量%以上であり、好ましくは57重量%以上であり、一方、70重量%以下であり、好ましくは65重量%以下である。
成分(A)のブロック共重合体のソフトセグメントであるPTMG単位の数平均分子量は他樹脂との熱融着性のために500以上であることが好ましく、600以上であることがより好ましく、700以上であることが更に好ましく、800以上であることが特に好ましく、一方、1,500以下であることが好ましく、1,400以下であることがより好ましく、1,300以下であることが更に好ましい。
なお、本発明において、成分(A)のブロック共重合体のPTMG単位の数平均分子量と含有量は、核磁気共鳴スペクトル法(NMR)を使用し、その水素原子の化学シフトとその含有量に基づいて算出することができる。
成分(A)のブロック共重合体は、ハードセグメントであるPBT単位に基づく結晶性を有しており、示差走査熱量計(DSC)による結晶化ピーク温度が80〜110℃であることが好ましい。結晶化ピーク温度が80℃以上であると熱可塑性エラストマー組成物の離型性が良好となる傾向にあり、また、このためにタッチペンのペン先等の成形体としたときの外観や生産性の観点から好ましく、これらの観点からより好ましくは85℃以上である。また、結晶化ピーク温度が110℃以下であると熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性が良好となる傾向にあり、また、このためにタッチペンで画面に触れた際に傷付きにくくする観点から好ましく、これらの観点からより好ましくは105℃以下であり、更に好ましくは100℃以下である。なお、本発明において、成分(A)の結晶化ピーク温度は、JIS K7121を参照し、示差走査熱量計(DSC6220、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を用いて、サンプルを40℃から300℃まで昇温速度100℃/分で昇温し、300℃で3分間保持後、300℃から0℃まで降温速度10℃/分で降温したときに現れる結晶化ピーク温度(ピークトップの温度)として求められる値である。なお、成分(A)の結晶化ピーク温度はPBT単位及びPTMG単位の含量割合、PTMG単位の数平均分子量、成分(A)のメルトフローレート(MFR)等により制御することができる。
成分(A)のブロック共重合体は、ソフトセグメントであるPTMG単位に基づく柔軟性を有しており、この柔軟性は、ISO−7619−1に準拠して測定したデュロ硬度D(タイプDデュロメータ硬度)として表すことができる。成分(A)のデュロ硬度Dは、タッチペンを繰り返して使用することによりペン先が削れることを防ぐ観点からは26以上であることが好ましく、28以上であることがより好ましい。一方、タッチペンが触れた際に画面の傷付を防止する観点からは36以下であることが好ましく、34以下であることがより好ましい。
また、本発明に用いる成分(A)のブロック共重合体は、測定温度230℃、測定荷重
21Nのメルトフローレート(以下、MFRと略記する。)が、100g/10分以下であることが好ましく、60g/10分以下であることがより好ましく、40g/10分以下であることが更に好ましい。また、成分(A)のブロック共重合体のMFRは通常、0.1g/10分以上である。ここで、上記のMFRはJIS K7210(1999年)による測定温度230℃、荷重21.1Nの条件により測定された値である。
<成分(B)>
本発明で用いる成分(B)のポリエチレンワックスは、数平均分子量(Mn)が500〜5,000のものである。本発明の熱可塑性エラストマー組成物は成分(B)を所定量含むことにより、離型性、耐摩耗性等が良好となる。
成分(B)の数平均分子量(Mn)が500以上であることがポリエチレンワックスのブリードアウトを防ぐために必要であり、また、数平均分子量(Mn)が5,000以下であることが耐摩耗性を得るために必要である。成分(B)のポリエチレンワックスの数平均分子量はこれらの効果をより良好なものとするため、好ましくは550以上であり、より好ましくは600以上であり、一方、好ましくは4,000以下であり、より好ましくは3,000以下であり、更に好ましくは2,500以下である。成分(B)のポリエチレンワックスの数平均分子量(Mn)はゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー法(GPC法)により以下の条件で測定された値である。
機器 :東ソー社製 8321GPC/HT
カラム :東ソー株式会社製TSKgel GMH6−HT (7.8mm×30cm×4本直列接続)
検出器 :示差屈折率検出器(RI/内臓)
溶媒 :ODCB特級
温度 :135℃
流速 :1.0mL/分
注入量 :500μL
濃度 :0.1重量%
較正試料:単分散ポリスチレン
較正法 :ポリエチレン換算(汎用較正曲線法)
ポリエチレンワックスは一般的に重合型のものと熱分解型のものに大別される。重合型のものには高密度重合タイプ、低密度重合タイプ等があり、また、これらを変性したものとして酸化タイプ、酸変性タイプ、特殊モノマー変性タイプ等がある。熱分解型のものには低密度ポリエチレン分解タイプ、ポリプロピレン分解タイプ等がある。本発明に用いる成分(B)のポリエチレンワックスは数平均分子量(Mn)が前記範囲であれば、上記のいずれの種類も用いることが可能であり、また、これらのうちの1種のみを用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
成分(B)のポリエチレンワックスは市販品として入手することができる。該当する市販品としては、例えば、三井化学社製ハイワックス(登録商標)100P、220P、400P、NL800等がある。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(A)100重量部に対し、成分(B)を0.1〜1.5重量部含む。成分(B)の含有量が上記下限より少ないと、耐摩耗性や離型性が不足し、上記上限よりも多いと、成形体の外観が悪化し、また、ポリカーボネート樹脂等との熱融着強度が低下する。これらの効果をより良好なものとするため、成分(B)の含有量が成分(A)100重量部に対し、0.2重量部以上であることが好ましく、一方、1.2重量部以下であることが好ましく、1.0重量部以下であることがより好
ましい。
<その他の成分>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、前述した成分(A)、成分(B)以外の他の成分(本明細書において、単に「その他の成分」と称することがある。)を含有していてもよい。その他の成分としては、成分(A)、(B)以外の樹脂(本明細書においては単に「その他の樹脂」と称することがある。)や各種添加剤等が挙げられる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物が含有し得るその他の樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂(ただし、成分(A)に該当するものを除く。)、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等が挙げられる。上記で挙げたその他の樹脂は1種のみを含有しても2種以上を含有してもよい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物が含有し得る添加剤としては、酸化防止剤、結晶核剤や滑剤(ただし、成分(B)に該当するものを除く。)等の成形助剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系化合物等の光安定剤、耐加水分解改良剤、顔料、染料等の着色剤、帯電防止剤、導電剤、難燃剤、補強剤、充填材、可塑剤、離型剤(ただし、成分(B)に該当するものを除く。)等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、酸化防止剤の含有量は、熱可塑性エラストマー組成物100重量部あたり、好ましくは0.01〜5重量部である。酸化防止剤の含有量が0.01重量部以上であると、耐熱老化性の改良効果が良好となる傾向にあり、一方、5重量部以下であると、ブリードアウトを防ぐ観点、機械的強度の低下を防ぐ観点等から好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物中の添加剤の含有量は、その合計量で、熱可塑性エラストマー組成物100重量部あたり10重量部以下とすることが好ましく、5重量部以下とすることがより好ましい。
<熱可塑性エラストマー組成物の製造方法>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法は、特に限定されるものではないが、常法に従って、成分(A)、成分(B)、及び必要に応じて配合されるその他の成分等をドライブレンドした後、溶融混練することにより製造することができる。
<成形体>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を成形することにより、種々の成形体として用いることができる。成形体の具体例としては、射出成形体、押出成形体、プレス成形体等が挙げられる。本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、通常の射出成形、押出成形、プレス成形等の各種成形方法を用いることができ、必要に応じて、ガスインジェクション成形、射出圧縮成形、ショートショット発泡成形等の各種成形方法を用いることにより、成形体とすることができる。本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、以上に挙げた成形方法の中でも射出成形に好適である。
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、他の樹脂、例えば、ポリカーボネート樹脂(PC樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、アクリル樹脂等の硬質樹脂との熱融着性に優れることから、本発明の熱可塑性エラストマー組成物とPC樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂等の他の樹脂とを用いて二色成形やインサート成形することにより、これらの他の樹脂との積層成形体とすることもでき、また、各々
別々に成形した成形体を熱融着して一体化することもできる。
<物性・用途>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、その成形シートについて、ISO7619−1に準拠して測定されたデュロ硬度Dが36以下であることが柔軟性の観点から好ましい。デュロ硬度Dの下限については、耐摩耗性の点から26以上であることが好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、測定温度230℃、測定荷重21Nのメルトフローレート(以下、MFRと略記する。)が、100g/10分以下であることが好ましく、60g/10分以下であることがより好ましく、40g/10分以下であることが更に好ましい。また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は通常、0.1g/10分以上である。ここで、上記のMFRはJIS K7210(1999年)による測定温度230℃、荷重21Nの条件により測定された値である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、耐摩耗性、ポリカーボネート樹脂やアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂等との熱融着性、離型性、柔軟性、成形体の外観等に優れたものである。このため、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、電化製品等のグリップ、自動車内装の操作ボタン、パッキン、タッチペン等の用途に好適に用いられ、タッチペンのペン先として特に好適である。本発明の熱可塑性エラストマー組成物をタッチペンのペン先として用いる場合には例えば、二色成形やインサート成形によりPC樹脂、ABS樹脂等との熱融着成形体として用いることが特に好適である。
以下、実施例を用いて本発明の内容を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味を持つものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
〔原料〕
以下の実施例及び比較例で使用した各原料成分は以下の通りである。
[成分(A)]
(実施例用)
A−1:ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体
PTMG単位の数平均分子量:1,000
PTMG単位の含量:60重量%
結晶化ピーク温度:89℃
デュロ硬度D:32
MFR(測定温度:230℃、荷重:21N):25g/10分
(比較例用)
a−1:ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体
PTMG単位の数平均分子量:2,000
PTMG単位の含量:72重量%
結晶化ピーク温度:77℃
デュロ硬度D:24
MFR(測定温度:230℃、荷重:21N):25g/10分
a−2:ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体
PTMG単位の数平均分子量:1,000
PTMG単位の含量:52重量%
結晶化ピーク温度:113℃
デュロ硬度D:38
MFR(測定温度:230℃、荷重:21N):25g/10分
[成分(B)]
(実施例用)
B−1:ポリエチレンワックス
三井化学株式会社製 ハイワックス(登録商標)100P
重合型高密度タイプ
数平均分子量:690
B−2:ポリエチレンワックス
三井化学株式会社製 ハイワックス(登録商標)220P
重合型低密度タイプ
数平均分子量:1,300
B−3:ポリエチレンワックス
三井化学株式会社製 ハイワックス(登録商標)400P
重合型高密度タイプ
数平均分子量:2,300
B−4:ポリエチレンワックス
三井化学株式会社製 ハイワックス(登録商標)NL800
分解型低密度タイプ
数平均分子量:2,200
(比較例用)
b−1:ポリエチレンワックス
三井化学株式会社製 ハイワックス(登録商標)800P
重合型高密度タイプ
数平均分子量:5,200
〔評価方法〕
以下の実施例・比較例における熱可塑性エラストマー組成物の評価方法は以下の通りである。
[耐摩耗性]
成形シートを用いてJIS K7204に準拠してテーバー摩耗試験を実施した。摩耗輪H−18、荷重9.8N、回転数1000回転とし、試験前後の重量変化を測定して以下の基準で判定した。
○:重量変化が35mg未満のもの
△:重量変化が35mg以上40mg未満のもの
×:重量変化が40mg以上のもの
[熱融着性]
一次樹脂をポリカーボネート樹脂又はABS樹脂、二次樹脂を熱可塑性エラストマー組成物としてインサート成形にて積層体を取得した。ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック社製「ユーピロン(登録商標)H‐3000」)又はABS樹脂(テクノポリマー社製「テクノABS150」)は他の評価に使用した成形シートと同様に作製し、厚み2mmのポリカーボネート樹脂シート又はABS樹脂シートを取得した。そのポリカーボネート樹脂シート又はABS樹脂シートに端面から20mmの幅で銀粉入りのラッカースプレーを塗布して乾燥させた。このポリカーボネート樹脂シート又はABS樹脂シートをスプレー塗布部が流動末端になるように厚み3mmの金型にインサートし、シリンダー温度230℃、金型温度60℃で熱可塑性エラストマー組成物を射出成形して
、熱可塑性エラストマー組成物が厚み1mmで融着した積層体を取得した。この積層体を流動方向に平行に25mm幅の切込みを入れ、引張試験機を用いて90度剥離試験(テストスピード200mm/分)を実施し、剥離強度を測定し、以下の基準で判定した。
○:PC樹脂積層体の融着強度が200N/25mm以上かつABS樹脂積層体の融着強度が100N/25mm以上であるもの
△:PC樹脂積層体の融着強度が200N/25mm以上かつABS樹脂積層体の融着強度が100N/25mm未満であるもの又はPC樹脂積層体の融着強度が200N/25mm未満かつABS樹脂積層体の融着強度が100N/25mm以上であるもの
×:PC樹脂積層体の融着強度が200N/25mm未満かつABS樹脂積層体の融着強度が100N/25mm未満であるもの
[離型性]
インラインスクリュ式射出成形機にてシリンダー温度180〜210℃、金型温度30℃で120mm×120mm×2mmの成形シートを作製した際、以下の判定基準で離型性を判定した。
○:金型を開いた際に、成形シートが金型の可動側に残ったもの
×:金型を開いた際に、成形シートが金型の固定側に残ったもの
[外観]
成形シート及び融着強度試験用の積層体の外観について以下の基準で判定した。
○:成形シート及び融着強度試験用の積層体の表面に添加剤のブリードや表層剥離がないもの
×:成形シート及び融着強度試験用の積層体のいずれかの表面に添加剤のブリードや表層剥離があるもの
[柔軟性]
得られた成形シートを使用し、ISO7619−1に準拠して、デュロ硬度Dを測定した。タッチペンとして用いるためには柔軟性、耐摩耗性のバランスが良いことが好ましく、以下の基準で判定した。
○:デュロ硬度Dが26以上36以下であるもの
×:デュロ硬度Dが26未満又は36超過であるもの
<実施例1〜7及び比較例1〜7>
表−1に示す配合で原料を混合し、得られた混合物を二軸混練機によりシリンダー温度130〜240℃で溶融混練し、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを製造した。得られたペレットを用いて前記の方法により融着強度及び融着強度試験用の積層体の外観を評価し、その結果を表−1に示した。また、得られたペレットをインラインスクリュ式射出成形機にて、シリンダー温度210℃、金型温度30℃で射出成形し、縦120mm、横120mm、厚み2mmのシートを取得した。その際に離型性の評価を行い、また、このシートを用いて耐摩耗性、外観及び柔軟性を評価し、これらの結果を表−1に示した。
Figure 2016069599
[評価結果]
表−1より、成分(A)として「A−1」及び成分(B)として「B−1」〜「B−4」のいずれかを用い、これらを所定量配合した実施例1〜7では、耐摩耗性、熱融着性、離型性、外観及び柔軟性に優れることがわかる。
一方、本発明における成分(A)を用いずに「a−1」を用いた比較例1では柔軟性、耐摩耗性、熱融着性及び離型性に劣り、成分(A)を用いずに成分「a−2」を用いた比較例2では、熱融着性及び柔軟性に劣っている。また、成分(B)を用いていない比較例3では、離型性に劣っている。また、成分(B)を1.5重量部よりも多く用いた比較例4、比較例6及び比較例7はいずれも外観に劣っており、また、比較例6及び比較例7は熱融着性にも劣っており、更に比較例7は耐摩耗性も劣っている。更に、本発明における成分(B)を用いずに「b−1」を用いた比較例5では、耐摩耗性に劣っている。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、耐摩耗性、ポリカーボネート樹脂やアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂等との熱融着性、離型性、柔軟性、成形体の外観等に優れたものである。このため、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、電化製品等のグリップ、自動車内装の操作ボタン、パッキン、タッチペン等の用途に好適に用いられ、タッチペンのペン先として特に好適である。本発明の熱可塑性エラストマー組成物をタッチペンのペン先として用いる場合には例えば、二色成形やインサート成形によりPC樹脂、ABS樹脂等との熱融着成形体として用いることが特に好適である。

Claims (6)

  1. 下記成分(A)及び成分(B)を含み、かつ成分(A)100重量部に対し成分(B)を0.1〜1.5重量部含有する熱可塑性エラストマー組成物。
    成分(A):ポリテトラメチレングリコール単位(PTMG単位)とポリブチレンテレフタレート単位(PBT単位)とを有し、PTMG単位とPBT単位の合計量に対してPTMG単位の含量が55〜70重量%であるブロック共重合体
    成分(B):数平均分子量が500〜5,000であるポリエチレンワックス
  2. 成分(A)の結晶化ピーク温度が80〜110℃である、請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 成分(A)におけるPTMG単位の数平均分子量(Mn)が500〜1,500である、請求項1又は2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 成分(A)のデュロ硬度Dが26〜36である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる成形体。
  6. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物をペン先に用いてなるタッチペン。
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