JP2016069311A - 薬物代謝機能を測定するための検査薬 - Google Patents

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Abstract

【課題】薬物代謝酵素活性をダイナミック撮像により判定できる放射性薬剤の提供。
【解決手段】放射性核種又は放射性核種標識用キレート部位を含む、アセトアミノフェン誘導体又はメキタジン誘導体を含有する代謝機能を測定するための検査薬であって、胆汁排泄された前記化合物の放射性代謝物の量を測定することによって薬物代謝機能を測定するための検査薬。前記化合物を含有する代謝機能を測定するための検査薬。放射性核種又は放射性核種標識用キレート部位を含む、前記化合物も提供される。
【選択図】なし

Description

本発明は、薬物代謝機能を測定するための検査薬に関する。
薬物は体内に摂取された後、大部分が薬物代謝酵素によって別の化合物に代謝される。この薬物代謝酵素の活性には個人差があることが知られており、活性の高低によって代謝物の量が変化する。そのため、薬剤の投与量が同じであっても、薬効や副作用の発現には個体差が生じる。この薬物代謝酵素活性の個人差を測定することで、必要な薬効を得るとともに副作用を最小限に抑える個人に合わせた薬剤の投与量を決定することができると考えられる。また薬物代謝酵素活性の測定を基にして投与量を決定することは、昨今重要視されている根拠に基づく個別化医療(evidence-based personalized medicine)の観点からも、非常に有効であると思われる。
特許文献1には、生体内に存在する酵素の作用により組織から排出されやすい放射性代謝物、蛍光性代謝物、常磁性代謝物又は磁気共鳴性代謝物に変化する化合物を含有する、分子イメージングにより代謝機能を測定するための検査薬が開示されており、シトクロムP450(CYP)の各分子種とその基質となりうる化合物との具体例として、多数の具体例とともに、CYP1A2とアセトアミノフェンの組み合わせが挙げられているが、アセトアミノフェンの具体的な標識化合物は示されていない。
特開2013−180959号公報
本発明の課題は、薬物代謝酵素活性をダイナミック撮像により判定できる放射性薬剤を提供することである。
本発明者らは、(i)肝臓で代謝される、(ii)代謝物のみが胆汁排泄される、(iii)代謝物が放射性であるという条件を満たす検査薬があれば薬物代謝酵素の機能をイメージングで捉えることができると考え、各種化合物を放射性核種で標識し、体内分布の検討と放射性代謝物の分析を行った結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)次式(I):
Figure 2016069311
(式中、Xは放射性核種又は放射性核種標識用キレート部位を表す。)
又は次式(II):
Figure 2016069311
(式中、Xは放射性核種又は放射性核種標識用キレート部位を表し、Yは陰イオンを表す。)
で示される化合物を含有する代謝機能を測定するための検査薬であって、胆汁排泄された前記化合物の放射性代謝物の量を測定することによって薬物代謝機能を測定するための検査薬。
(2)次式(I):
Figure 2016069311
(式中、Xは放射性核種又は放射性核種標識用キレート部位を表す。)
又は次式(II):
Figure 2016069311
(式中、Xは放射性核種又は放射性核種標識用キレート部位を表し、Yは陰イオンを表す。)
で示される化合物を含有する代謝機能を測定するための検査薬。
(3)前記式(I)又は(II)において、X又はXで表される放射性核種が123−ヨード(123I)、124−ヨード(124I)、125−ヨード(125I)、131−ヨード(131I)、11−炭素(11C)、13−窒素(13N)、15−酸素(15O)、18−フッ素(18F)又は76−臭素(76Br)である前記(1)又は(2)に記載の検査薬。
(4)次式(I):
Figure 2016069311
(式中、Xは放射性核種又は放射性核種標識用キレート部位を表す。)
又は次式(II):
Figure 2016069311
(式中、Xは放射性核種又は放射性核種標識用キレート部位を表し、Yは陰イオンを表す。)
で示される化合物。
(5)前記式(I)又は(II)において、X又はXで表される放射性核種が123−ヨード(123I)、124−ヨード(124I)、125−ヨード(125I)、131−ヨード(131I)、11−炭素(11C)、13−窒素(13N)、15−酸素(15O)、18−フッ素(18F)又は76−臭素(76Br)である前記(4)に記載の化合物。
(6)次式(III):
Figure 2016069311
(式中、Xは放射性核種又は放射性核種標識用キレート部位を表し、Yは陰イオンとして脱離しうる基を表す。)
で示される化合物をメタキジンと反応させることを含む、
次式(II):
Figure 2016069311
(式中、Xは前記と同義であり、Yは陰イオンを表す。)
で示される化合物の製造方法。
本発明によれば、薬物代謝酵素活性をダイナミック撮像により判定できる。
図1は125I−2−ヨードアセトアミノフェン投与マウスの各組織の重量集積率の経時変化を示す図である。 図2は胆汁中放射能のTLC分析の結果を示す図である。 図3は125I−2−ヨードアセトアミノフェン(125I−IAP)のTLC分析の結果を示す図である。 図4は125I−2−ヨードアセトアミノフェン(125I−IAP)と125I−3−ヨード−L−チロシン(125I−L−MIT)における胃の重量集積率の経時変化を示す図である。 図5はメキタジンの125I標識体(125I−BOA6)投与マウスの各組織の重量集積率の経時変化を示す図である。 図6はマウス肝臓中放射能(in vitro)のTLC分析の結果を示す図である。 図7はマウス肝臓中放射能(in vitro)の時間経過TLC分析の結果を示す図である。 図8はメキタジンの125I標識体(125I−BOA6)を投与したマウスの胆汁と、生理食塩水を投与したマウスの胆汁に125I−NaI、メキタジンの125I標識体(125I−BOA6)を加えたもののTLC分析の結果を示す図である((A)胆汁+125I−NaI+125I−BOA6、(B)125I−BOA6を投与した胆汁)。
本発明に用いる前記式(I)で示される化合物は、薬物代謝酵素による代謝経路が報告されている解熱鎮痛剤アセトアミノフェン(4−(アセチルアミノ)フェノール)(Lee SS, Joroen JT, Thierry P, et al: Role of CYP2E1 in the hepatotoxicity of acetaminophen. J. Biol. Chem. 271: 12063-12067, 1996)の2位を放射性核種で標識したものである。
本発明に用いる前記式(II)で示される化合物は、CYP2D6が代謝酵素となるヒスタミンH1拮抗薬メキタジンのアザビシクロ[2.2.2]オクタン環の窒素原子に放射性核種を導入したものである。
前記式(I)又は(II)で示される化合物は、いずれも(i)肝臓で代謝される、(ii)代謝物のみが胆汁排泄される、(iii)代謝物が放射性であるという条件を満たすものである。
したがって、代謝機能をイメージングで捉えることができる。
前記式(I)、(II)又は(III)において、X又はXで表される放射性核種としては、例えばトリチウム(H)、11−炭素(11C)、14−炭素(14C)、13−窒素(13N)、15−酸素(15O)、18−フッ素(18F)、32−リン(32P)、59−鉄(59Fe)、62−銅(62Cu)、64−銅(64Cu)、67−銅(67Cu)、67−ガリウム(67Ga)、76−臭素(76Br)、81m−クリプトン(81mKr)、81−ルビジウム(81Rb)、89−ストロンチム(89Sr)、90−イットリウム(90Y)、99m−テクネチウム(99mTc)、111−インジウム(111In)、123−ヨード(123I)、124−ヨード(124I)、125−ヨード(125I)、131−ヨード(131I)、133−キセノン(133Xe)、117m−スズ(117mSn)、153−サマリウム(153Sm)、186−レニウム(186Re)、188−レニウム(188Re)、201−タリウム(201Tl)、212−ビスマス(212Bi)、213−ビスマス(213Bi)及び211−アスタチン(211At)、好ましくは18−フッ素(18F)、76−臭素(76Br)、123−ヨード(123I)、124−ヨード(124I)、125−ヨード(125I)及び131−ヨード(131I)が挙げられる。
前記式(II)において、Yで表される陰イオンとしては、例えば臭化物イオン、塩化物イオン、ヨウ化物イオン、フッ化物イオン、メタンスルホナートイオン、パラトルエンスルホナートイオン、トリフルオロメタンスルホナートイオン、四フッ化ホウ酸イオン、好ましくは臭化物イオンが挙げられる。
前記式(III)において、Yで表される陰イオンとして脱離しうる基は、前記Yで表される陰イオンに対応する基であり、例えば臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子、フッ素原子、メシル基、トシル基、好ましくは臭素原子が挙げられる。
本発明に用いる前記式(I)で示される化合物は、アセトアミノフェンに放射性核種を導入することにより製造することができる。
アセトアミノフェンへの放射性核種の導入法としては一般的な方法を用いることができ、例えば、放射性核種が123−ヨード(123I)、124−ヨード(124I)、125−ヨード(125I)又は131−ヨード(131I)である場合は、クロラミンT法を用いることができる。
一方、本発明に用いる前記式(II)で示される化合物の場合、酸化条件下でのトリアルキルスズ化合物への直接的125−ヨード(125I)等の導入により目的物を得ることができるが、それとともにメキタジンが酸化し変性した化合物が得られる。そのため、例えば、下記式に示すように、ベンジルブロミドの4位に放射性核種を導入した化合物を製造し、当該化合物とメキタジンを反応させて前記式(II)で示される化合物を製造することが好ましい。
ベンジルブロミドの代わりに、ベンジルクロリド、ベンジルヨージド、ベンジルトシラート、ベンジルメシラートなどの4位に放射性核種を導入した化合物を用いることもできる。また、ベンジルブロミドを用いて125I−BOA6を合成した後、イオン交換等によって臭化物イオンを塩化物イオン、ヨウ化物イオンなどの他の対アニオンに変換することができる。
Figure 2016069311
(式中、Xは放射性核種又は放射性核種標識用キレート部位を表す。)
本発明の検査薬によれば、ヒトの体深部の組織における代謝機能を測定する場合に、非侵襲的なイメージングも可能である。また、特定の代謝酵素による代謝以降に複数の代謝物が存在しても、代謝酵素活性をイメージングすることができる。
本発明においては、目的に応じて、前記化合物を単独で、又は2種以上組み合わせて用いる。
本発明の検査薬の投与経路としては、静脈内、皮内、皮下、経口、経粘膜、及び直腸投与などが挙げられる。
本発明の検査薬の投与形態としては、投与経路に適した剤形であれば、注射剤、液剤、錠剤等から適宜選択すればよく、本発明の作用及び効果を損なわない限り、薬学的に許容される担体、又は剤形によって当該技術分野において一般的に使用される添加剤を更に含んでもよい。添加剤として、例えば、着色剤、保存剤、風味剤、香り改善剤、呈味改善剤、甘味剤、又は安定剤、その他薬学的に許容される添加剤を含有することができる。
本発明の検査薬の投与量は、投与方法、投与する化合物ならびに患者の年齢、性別及び体重によって、適宜決定すればよい。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)125I−2−ヨードアセトアミノフェンの調製及びその代謝分析
I.アセトアミノフェンの125I標識
クロラミンT法でアセトアミノフェンの125I標識を行った。125I−NaI(1.5MBq)をリン酸緩衝化食塩水(pH7.4)で10μLに希釈し、10mMアセトアミノフェンのエタノール溶液100μL及び4mMクロラミンT水溶液(塩酸でpH5.6に調整したmilliQに溶解)25μLを加えて十分に撹拌し、25℃で30分間反応させた後、ピロ亜硫酸ナトリウムの1/10飽和溶液25μLを加え、反応を停止した。反応液を窒素気流下で濃縮し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて分離精製した。検出機器には、UV−VIS検出器(SPD−10A,Shimadzu)、RI検出器;ラジオアナライザー(RLC−701,Aloka)を使用し、下記の分析条件で行った。条件を最適化した結果、標識率は75〜85%、放射化学的純度は98%以上で125I−2−ヨードアセトアミノフェン(125I−IAP)が得られた。
(HPLC分析条件)
カラム 5C18-MS-II(Nacalai tesque)
移動相 20%メタノール:80%50mM KH2PO4(pH4.7), 0-10分
50%メタノール:50%50mM KH2PO4(pH4.7), 10-18分
流速 1.0mL/分
UV 225nm
RI 27keV±5%
II.125I−IAPの正常マウス体内分布
A)実験材料と方法
予め24時間絶食しておいたマウス(ddY,雄,6週齢)に生理食塩水に溶解した125I−IAPを1匹あたり18.5kBq/100μLずつ尾静脈より投与した。一定時間(2、5、10、15、20、60、120、360分)経過後、エーテル麻酔下にて心臓採血を行い、脳、肺、心、膵、脾、肝、胆嚢、胃、腎、小腸、大腸、骨、筋を摘出し、重量を測定した。オートウェルγカウンタ(AccuFLEXγ7000,Aloka)で血液及び各組織の放射能を計測し、重量集積率を次式にて算出した。
重量集積率[% ID/g]=(組織放射能[cpm]×100)/(投与放射能[cpm]×組織重量[g])
B)結果と考察
摘出組織のうち、血液、肝、胆嚢、胃の重量集積率を図1に示す。その他組織は2、5分の腎でおよそ20%ID/gの集積がある以外は10%ID/g以上の集積が認められず、時間の経過に伴い集積は減少し120分時には小腸で4.62%ID/g、その他組織は2%ID/g以下となった。胆嚢は他の組織と異なり、早期に集積が上昇し120分にピークが見られた。このことから、投与された125I−IAPの大部分は最終的に胆汁排泄されると推測された。また、胆嚢に比べ肝の集積が低いことから、125I−IAPは肝には留まらず、速やかに胆汁中に排泄されていると推測された。
III.125I−IAP投与マウスの胆汁中放射性代謝物の分析
体内分布において多くの放射性物質が胆汁排泄されていることが確認された。この胆汁排泄物が125I−IAPであるのかを検討するため、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)分析を行い、オートウェルγカウンタを用いて確認した。
A)実験材料と方法
予め24時間絶食しておいたマウス(ddY,雄,6週齢)に、生理食塩水に溶解した125I−IAPを1匹あたり40.0kBq/100μLずつ尾静脈より投与した。正常マウス体内分布実験において、胆嚢の重量集積率のピークが見られた120分後に胆嚢を摘出した。ヘキサン:酢酸エチル:ジエチルエーテル=1:4:1の展開溶媒で胆汁をシリカゲル薄層板(Art.5554,Merck)に展開し、125I−IAPの展開結果と比較した。
B)結果と考察
胆汁と125I−IAPのTLC分析の結果をそれぞれ図2及び3に示す。125I−IAPのRf値は0.25〜0.30であるのに対し、胆汁中の放射能のRf値は原点から移動しておらず、遊離のIのRf値と一致した。よって、胆汁内の放射性物質は125I−IAPではない別の物質であり、125I−IAPの代謝物であると考えられる。
IV.125I−3−ヨード−L−チロシン(125I−L−MIT)と125I−IAPの体内分布比較
III.において胆汁中に見られた放射性代謝物が、脱ヨウ素化酵素によって生じた遊離の125であるのかを検討するために、脱ヨウ素化酵素の基質である125I−3−ヨード−L−チロシン(125I−L−MIT)との体内分布の比較を行った。遊離125が生じると集積の上昇が見られる胃の早期の重量集積率(2〜15分)と、胆嚢を撮像するために重要となる胆嚢・肝間の重量集積率の比の二点を比較した。
A)実験材料と方法
予め24時間絶食しておいたマウス(ddY,雄,6週齢)に生理食塩水に溶解した125I−L−MITを1匹あたり40.0kBq/100μLを尾静脈より投与した。5分後に胆嚢を摘出して、重量測定しオートウェルγカウンタで放射能を測定した。その他データは文献より引用した(Kawai K, Fujibayashi Y, Saji H, et al: Monoiodo-D-tyrosine, an artificial amino acid radiopharmaceutical for selective measurement of membrane amino acid transport in the pancreas. Nucl. Med. Biol. 17: 369-376, 1990)。
B)結果と考察
125I−IAPと125I−L−MITにおける胃の重量集積率の経時変化を図4に、投与5分後における肝、胆嚢の重量集積率及び胆/肝比を表1に示す。
Figure 2016069311
125I−L−MITの集積は時間経過に伴って著しく上昇しているのに対して、125I−IAPではその傾向は見られない。また、胆/肝比は125I−L−MITでは0.01と極めて低いのに対して、125I−IAPでは3.52と高く胆嚢の撮像に十分な値であった。この値は時間経過に伴い上昇し120分では111.82と極めて高い値を示した。脱ヨウ素化酵素の基質である125I−L−MITを投与したマウスにおいて、胆嚢の集積は見られなかった。そのため、脱ヨウ素化酵素によって生じた遊離の125は胆汁排泄されないと考えられた。また、125I−IAP投与マウスは胆嚢に集積が見られ、投与後早期に胃の重量集積率が上昇しなかった。これらの傾向は125I−L−MITとは明らかに異なっているため、125I−IAPへの脱ヨウ素化酵素の影響は極めて小さいと考えられた。したがって、125I−IAP投与マウスの胆汁内の放射性代謝物は遊離の125ではなく、他の薬物代謝酵素による代謝物であると推測された。
V.結語
125I−IAPの投与マウスにおいて、胆汁中に125I−IAPの代謝物が排泄されていると推測された。またこの排泄量が肝の集積に対して多いため、125I−IAPは速やかに肝で代謝され、その後胆汁に排泄されたと考えられた。また、体内分布において胆/肝比が投与後早期より極めて高く、胆汁中の代謝物の撮像が可能であることが確認できた。これらの結果より、胆汁排泄のダイナミック撮像による肝での薬物代謝酵素活性測定の可能性が示された。
(実施例2)メキタジンの125I標識体(125I−BOA6)の調製及びその代謝分析
I.メキタジンの125I標識
従来用いるクロラミンT法では、メキタジンが酸化し変性してしまうおそれがあるため、本実施例では2段階の標識、すなわち、下記の合成ルートにしたがって、メキタジンの125I標識体(125I−BOA6)を調製した。
Figure 2016069311
4-(tributylstannyl)benzyl bromide(BOA5)のジクロロメタン(50μL)溶液に、酢酸(20μL)と125I−NaI(3.7MBq)、酸化剤としてtert−ブチルヒドロペルオキシド(t−BuOOH)水溶液(70%、33μL、0.24mmol)を加え30℃の温浴中で5分間撹拌した。
飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液720μLを加え、クロロホルム(5mL×3)で抽出後、飽和食塩水で有機層を洗浄した。硫酸ナトリウムを加えて乾燥後、ろ過して減圧下で溶媒を除いた。
125I−4−ヨードベンジルブロミド(125I−BOA5)のアセトニトリル溶液(1.0mL)に、メキタジン(32mg、0.1mmol)を加えて30℃の温浴中で5分間撹拌した。窒素気流下で濃縮後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて分離精製した。検出機器にはUV−VIS(SPD−10A,Shimadzu)、RI検出器;ラジオアナライザー(RLC−701,Aloka)を使用し、表2の分析条件で行った。条件を最適化した結果、標識率は88−91%、放射化学的純度は99%以上で目的物(125I−BOA6)が得られた。
以下に、125Iで標識されていないBOA6のNMRデータを示す。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3/TMS) δ: 7.66 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.34 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.17-7.15 (m, 4H), 6.95 (t, J = 7.8 Hz, 4H), 5.00 (d, J = 12.8 Hz, 1H), 4.96 (d, J = 12.8 Hz, 1H), 4.13 (dd, J = 14.2, 9.6 Hz, 1H), 3.98 (dd, J = 14.2, 6.0 Hz, 1H), 3.77-3.72 (m, 4H), 3.57-3.46 (m, 2H), 2.66 (br s, 1H), 2.28-2.27 (m, 1H), 1.96-1.81 (m, 4H). 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ: 144.56, 138.31, 134.87, 127.79, 127.71, 126.34, 126.11, 123.26, 116.10, 97.49, 65.96, 57.27, 54.13, 53.92, 48.29, 31.98, 24.86, 21.87, 19.54.
Figure 2016069311
II.メキタジンの125I標識体(125I−BOA6)の正常マウス体内分布
A)実験材料と方法
予め6時間絶食しておいたマウス(ddY,雄,6週齢)に生理食塩水に溶解した125I−BOA6を1匹あたり18.5kBq/100μLずつ尾静脈より投与した。一定時間(2、10、30分)経過後、エーテル麻酔下にて心臓採血を行い、脳、甲状腺、肺、心、膵、脾、肝、胆嚢、胃、腎、腸、骨、筋を摘出し、重量を測定した。オートウェルγカウンタ(AccuFLEXγ7000,Aloka)で血液及び各組織の放射能を計測し、重量集積率を次式にて算出した。
重量集積率[% ID/g]=(組織放射能[cpm]×100)/(投与放射能[cpm]×組織重量[g])
B)結果と考察
摘出組織のうち、甲状腺、肝、胆嚢、胃、腎、腸の重量集積率を図5に示す。その他組織は20%ID/g以上の集積が認められず、時間の経過に伴い集積は減少した。甲状腺や胃への集積が低いことから、投与された125I−BOA6の大部分は代謝を受け125Iが外れることなく排泄されると推測された。また、胆嚢に比べ肝の集積が低いことから、125I−BOA6は肝には留まらず、速やかに胆汁中に排泄されていると推測された。
III.125I−BOA6投与マウスの肝臓中放射性代謝物の分析
体内分布において放射性物質が肝臓へ集積し胆汁排泄されていることが確認された。そこで、肝臓において125I−BOA6が代謝されているのかを検討するため、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)分析を行い、オートウェルγカウンタを用いて確認した。
A)実験材料と方法
マウス肝ホモジネート20μLにリン酸緩衝液(pH7.4)75μL、NADPH生成系(0.5mM β−NADP、5mMグルコース−6−リン酸、1U/mLグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、5mM MgCl)50μL、370kBqの125I−IMP25μLを混合し、反応溶液が250μLになるように精製水を加え、調整した。125I−IMP添加後、37℃で2、5、10、15、30分間インキュベーションした。その後、反応を停止させるために過塩素酸50μL、タンパク質への放射性物質の吸着を防ぐためにエタノールを200μL添加し、20℃、15000rpmで5分間遠心分離した。遠心分離後、メタノール:酢酸=100:1の展開溶媒で上清をシリカゲル薄層板(Art.5554,Merck)に展開した。
B)結果と考察
例示としてインキュベーション時間30分のTLC分析の結果を図6に、各時間経過での125I−BOA6と他の放射性物質の増減を図7に示した。時間経過に従って、Rf値0.15〜0.20のピーク割合に増加傾向が見られた。この分析系では、それぞれのRf値が125I−NaIでは0.45〜0.50、125I−BOA6は0.60〜0.65であることから、肝臓中の放射性物質は125I−NaIや125I−BOA6ではない別の物質であり、125I−BOA6の代謝物であると考えられる。
IV.125I−BOA6投与マウスの胆汁中放射性代謝物の分析
体内分布において放射性物質が胆汁排泄されていることが確認された。この胆汁排泄物が125I−BOA6であるのかを検討するため、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)分析を行い、オートウェルγカウンタを用いて確認した。
A)実験材料と方法
予め6時間絶食しておいたマウス(ddY,雄,6週齢)に、生理食塩水に溶解した125I−BOA6を1匹あたり2.0MBq/100μLずつ尾静脈より投与した。正常マウス体内分布実験において、胆嚢の重量集積率が最も高くなった30分後に胆嚢を摘出した。クロロホルム:メタノール:酢酸=60:40:1の展開溶媒で胆汁をシリカゲル薄層板(Art.5554,Merck)に展開し、125I−NaI、125I−BOA6の展開結果と比較した。
B)結果と考察
125I−BOA6を投与したマウスの胆汁と、生理食塩水を投与したマウスの胆汁に125I−NaI、125I−BOA6を加えたもののTLC分析の結果をそれぞれ図8(A)、(B)に示した。それぞれのRf値が125I−NaIは0.45〜0.50、125I−BOA6は0.65〜0.75であるのに対し、胆汁中の放射能のRf値は0.00〜0.35であった。よって、胆汁内の放射性物質は125I−NaIや125I−BOA6ではない別の物質であり、125I−BOA6の代謝物であると考えられる。
V.結語
125I−BOA6において、肝臓中で代謝が行われ、胆汁中に125I−BOA6の代謝物が排泄されていると推測された。またこの排泄量が肝の集積に対して多いため、125I−BOA6は速やかに肝で代謝され、その後胆汁に排泄されたと考えられた。これらの結果より、胆汁排泄のダイナミック撮像による肝での薬物代謝酵素活性測定の可能性が示された。

Claims (6)

  1. 次式(I):
    Figure 2016069311
    (式中、Xは放射性核種又は放射性核種標識用キレート部位を表す。)
    又は次式(II):
    Figure 2016069311
    (式中、Xは放射性核種又は放射性核種標識用キレート部位を表し、Yは陰イオンを表す。)
    で示される化合物を含有する代謝機能を測定するための検査薬であって、胆汁排泄された前記化合物の放射性代謝物の量を測定することによって薬物代謝機能を測定するための検査薬。
  2. 次式(I):
    Figure 2016069311
    (式中、Xは放射性核種又は放射性核種標識用キレート部位を表す。)
    又は次式(II):
    Figure 2016069311
    (式中、Xは放射性核種又は放射性核種標識用キレート部位を表し、Yは陰イオンを表す。)
    で示される化合物を含有する代謝機能を測定するための検査薬。
  3. 前記式(I)又は(II)において、X又はXで表される放射性核種が123−ヨード(123I)、124−ヨード(124I)、125−ヨード(125I)、131−ヨード(131I)、11−炭素(11C)、13−窒素(13N)、15−酸素(15O)、18−フッ素(18F)又は76−臭素(76Br)である請求項1又は2記載の検査薬。
  4. 次式(I):
    Figure 2016069311
    (式中、Xは放射性核種又は放射性核種標識用キレート部位を表す。)
    又は次式(II):
    Figure 2016069311
    (式中、Xは放射性核種又は放射性核種標識用キレート部位を表し、Yは陰イオンを表す。)
    で示される化合物。
  5. 前記式(I)又は(II)において、X又はXで表される放射性核種が123−ヨード(123I)、124−ヨード(124I)、125−ヨード(125I)、131−ヨード(131I)、11−炭素(11C)、13−窒素(13N)、15−酸素(15O)、18−フッ素(18F)又は76−臭素(76Br)である請求項4記載の化合物。
  6. 次式(III):
    Figure 2016069311
    (式中、Xは放射性核種又は放射性核種標識用キレート部位を表し、Yは陰イオンとして脱離しうる基を表す。)
    で示される化合物をメタキジンと反応させることを含む、
    次式(II):
    Figure 2016069311
    (式中、Xは前記と同義であり、Yは陰イオンを表す。)
    で示される化合物の製造方法。
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