JP2016069233A - 海水練り繊維補強コンクリートおよびコンクリート構造物 - Google Patents

海水練り繊維補強コンクリートおよびコンクリート構造物 Download PDF

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【課題】練り混ぜ水に海水を用いても、ひび割れが入りにくく、仮にひび割れが入ったとしても、そのひび割れが局所にとどまる、すなわちひび割れ同士がつながったり、大きく拡大しにくい繊維補強コンクリートを提供する。【解決手段】セメントと骨材とヤング率が3〜100GPaの耐アルカリ性有機繊維を含み、前記耐アルカリ性有機繊維の含有量がコンクリート体積に対して0.1〜5体積%である、海水で練り混ぜたことを特徴とする、繊維補強コンクリート。【選択図】なし

Description

本発明は、海水で練り混ぜたことを特徴とする、繊維補強コンクリートおよびコンクリート構造物に関する。
コンクリートを製造する際、練り混ぜ水として海水を用いたコンクリートが知られており、特に、離島や沿岸地域では、コンクリート製造時の練り混ぜ水に海水を用いざるを得ない場合がある。
練り混ぜ水に海水を使用すると、コンクリートの乾燥収縮が大きくなることが知られており(非特許文献1)、収縮が大きいゆえに、コンクリート構造物にひび割れが発生しやすく、またそのひびは大きくなる傾向にある。
鉄筋コンクリート構造物が海水を含む場合、ひび割れが発生すると、そのひび割れが大きくなりやすいだけでなく、そこから塩分が浸透し、鉄筋の腐食膨張が起こり、コンクリート構造物の健全性そのものが阻害される。
一方、特許文献1では、高炉系セメントと海砂との混合物を海水で練り混ぜたことを特徴とする、海水練りコンクリート及びコンクリート構造物が提案されている。これにより、海水及び海砂を用いても、必要な耐久性を備えたコンクリートを得ることが可能となるとされているが、これは高炉系セメントに限定されており、また高炉系セメントは、その必要な硬化時間が一般的な普通ポルトランドセメントに比べて遅いことから、広範な使用には限界があった。
特開2012−126628号公報
コンクリート工学ハンドブック(朝倉書店)改定新版初版第1刷134頁
海水を用いた(無筋)コンクリート自体の耐久性には問題がないことが知られている。しかし、コンクリート構造物の補強のために、海水練りコンクリートに鉄筋を併用すると、上述のような機序でコンクリート構造物の健全性そのものが阻害される。すなわち、海水と鉄筋の併用が問題であり、従来鉄筋コンクリートには練り混ぜ水として海水を用いることはできなかった。
以上のような状況に鑑み、発明者らは、練り混ぜ水に海水を用いても、ひび割れが入りにくく、仮にひび割れが入ったとしても、そのひび割れが局所にとどまる、すなわちひび割れ同士がつながったり、大きく拡大しにくい繊維補強コンクリートを提供することを本発明の課題とした。
本発明者らは、鋭意検討した結果、ヤング率が3〜100GPaの耐アルカリ性有機繊維をコンクリート体積に対して0.1〜5体積%含有させることによって、たとえ練り混ぜ水として海水を用いた場合であっても、鉄筋によるコンクリート構造物の補強効果が十分に得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、セメントと骨材とヤング率が3〜100GPaの耐アルカリ性有機繊維を含み、前記耐アルカリ性有機繊維の含有量がコンクリート体積に対して0.1〜5体積%である、海水で練り混ぜたことを特徴とする、繊維補強コンクリートである。
本発明における耐アルカリ性有機繊維のアスペクト比は10〜500であってもよく、単繊維繊度は100〜10000dtexであってもよい。
本発明における耐アルカリ性有機繊維は、ポリビニルアルコール系繊維であってもよい。
本発明は、前記繊維補強コンクリートを硬化させることによって得られたコンクリート構造物および鉄筋コンクリート構造物を含む。
本発明によれば、練り混ぜ水に海水を用いても、ひび割れが入りにくく、仮にひび割れが入ったとしても、そのひび割れが局所にとどまる、すなわちひび割れ同士がつながったり、大きく拡大しにくい繊維補強コンクリートを提供することができる。また、本発明の繊維補強コンクリートを用いることによって、練り混ぜ水の海水を用いた場合であっても、鉄筋を用いて更に構造物として強度を向上させた鉄筋コンクリート構造物を提供することができる。
本発明の繊維補強コンクリートは、セメントと骨材とヤング率が3〜100GPaの耐アルカリ性有機繊維を含み、前記耐アルカリ性有機繊維の含有量がコンクリート体積に対して0.1〜5体積%であり、海水で練り混ぜたことを特徴とする。
(耐アルカリ性有機繊維)
本発明に用いられる耐アルカリ性有機繊維は、ヤング率が3〜100GPaであることが必要である。
本発明において前記耐アルカリ性有機繊維は、海水で練り混ぜられたコンクリートが収縮し、ひび割れる際、コンクリート内部の応力が局所に集中することを防いでコンクリート構造物全体に分散させ、また、小さなひび割れ同士をつなぐ役割を果たし、繊維自身が若干抜け或いは伸びながらひび割れ間の距離が大きくなることを防ぐように機能する。特に練り混ぜ水として海水を用いると、乾燥収縮が大きくなることが知られているが、ヤング率が3〜100GPaであることによって、ひびが発生したとしても繊維が応力集中を防ぎ、ひび割れを分散、最小化できる。ヤング率が3GPa未満であると、海水練りコンクリートのように乾燥収縮が大きい場合、繊維がコンクリートの収縮応力に耐え切れず、ひびをコンクリート構造物全体に分散させることができない。一方、ヤング率が100GPaを超えると、その剛直さのために、コンクリートの混練中に粗骨材・細骨材との接触により繊維が著しく損傷を受け、構造体に対する補強効果や、応力やひび割れの分散効果が損なわれる。
前記耐アルカリ性有機繊維のヤング率は、5〜60GPaであることがより好ましく、10〜40GPaであることが更に好ましく、15〜35GPaであることが特に好ましい。
本発明の繊維補強コンクリートは、前記耐アルカリ性有機繊維をコンクリート体積に対して0.1〜5体積%含有する。
前記耐アルカリ性有機繊維の含有率が0.1体積%未満であると、繊維がコンクリート構造物の収縮を吸収しきれず、構造物全体に収縮応力を分散させることができないばかりか、繊維が存在しない部分でひび割れした場合、そのひび割れが大きくなる。また、繊維の含有率が5体積%を超えると、繊維同士が絡まりやすくなり、コンクリート中に繊維が均一に分散されにくくなり、コンクリート構造物内部の収縮応力を吸収しにくくなり、また、収縮応力を全体に分散させにくくなるばかりでなく、コンクリート構造物の内部に繊維の塊が存在することによって、コンクリート構造物の強度が低くなる可能性がある。
前記耐アルカリ性繊維の含有率は、コンクリート体積に対して0.3〜3体積%であることがより好ましく、0.5〜2.5体積%であることが更に好ましく、1〜2体積%であることが特に好ましい。
本発明の耐アルカリ性有機繊維のアスペクト比は、繊維の含有率や骨材の最大寸法等に応じて適宜調節されるが、10〜500であることが好ましく、20〜300であることがより好ましく、30〜100であることが更に好ましい。アスペクト比が10〜500であることによって、繊維がコンクリート中に均一に分散しやすくなり、安定した品質の繊維補強コンクリートを得ることができる。
本発明の耐アルカリ性有機繊維の単繊維繊度は、100〜10000dtexであることが好ましく、500〜7000dtexであることがより好ましく、1000〜5000dtexであることが更に好ましい。
単繊維繊度が10000dtex以下であることによって、他の組成物との混ざりがよくなる。また、100dtex以上とすることによって、コンクリート練り混ぜ時に繊維同士が絡まりにくくなると同時に、コンクリート構造物内部の収縮応力を十分吸収し、またひび割れを最小限に抑えることができるようになる。
本発明の耐アルカリ性有機繊維の繊維長は、5〜100mmであることが好ましく、10〜80mmであることがより好ましく、15〜60mmであることが更に好ましい。
繊維長が5mm以上であることによって、繊維とコンクリートの接着性がよくなり、コンクリートから繊維が抜けることなく、十分にコンクリート構造物内部の収縮応力を吸収することができるようになる。また、繊維長が100mm以下であることによって、繊維がコンクリート中に均一に分散しやすくなる。
本発明に用いられる耐アルカリ性有機繊維は、セメントアルカリに対する化学的な耐久性を有する限り、特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール(以下、PVAと称することがある)系繊維、ポリオレフィン系繊維(例えばポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維)、超高分子量ポリエチレン繊維、ポリアミド系繊維(例えばポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,10)、アラミド繊維(特にパラアラミド繊維)、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール系繊維(PBO繊維)、アクリル繊維、レーヨン系繊維(例えばポリノジック繊維、溶剤紡糸セルロース繊維)、ポリフェニレンサルファイド繊維(PPS繊維)、ポリエーテルエーテルケトン繊維(PEEK繊維)、等の各種耐アルカリ性繊維が用いられる。これらの耐アルカリ性繊維は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用してもよい。
これらのうち、セメントとの接着性、強度等の点で、PVA系繊維が特に好ましく用いられる。
本発明の耐アルカリ性有機繊維として用いられるPVA系繊維のPVA系ポリマーの重合度は、目的に応じて適宜選択でき特に限定されるものではないが、得られる繊維の機械的特性等を考慮すると30℃水溶液の粘度から求めた平均重合度が500〜20000程度(好ましくは800〜15000程度、さらに好ましくは1000〜10000程度)であってもよい。また、強度の観点からは、PVA系ポリマーの平均重合度は、1000以上であることが好ましく、1200以上であることがより好ましく、1500以上であることがさらに好ましく、1750以上であることがなお好ましい。PVA系ポリマーは、平均重合度1000以上3000未満の中重合度品であってもよいが、平均重合度3000以上の高重合度品であってもよい。
本発明の耐アルカリ性有機繊維として用いられるPVA系繊維のPVA系ポリマーのけん化度は、目的に応じて適宜選択でき特に限定されるものではないが、得られる繊維の力学物性の点から、例えば95モル%以上、より好ましくは98モル%以上であってもよい。けん化度は99モル%以上であってもよく、99.8モル%以上であってもよい。PVA系ポリマーのけん化度が低すぎると、得られる繊維の機械的特性や工程通過性、製造コストなどの面で好ましくない場合がある。
本発明に用いられるPVA系繊維は、前記のようなPVA系ポリマーを溶剤に溶解し、湿式、乾湿式、乾式のいずれかの方法により紡糸し、乾熱延伸することにより得られる。なお、湿式紡糸とは、紡糸ノズルから直接固化浴に紡糸原液を吐出する方法であり、乾湿式紡糸とは、紡糸ノズルから一旦任意の距離の空気中あるいは不活性ガス中に紡糸原液を吐出し、その後に固化浴に導入する方法である。また、乾式紡糸とは、空気中あるいは不活性ガス中に紡糸原液を吐出する方法である。
PVA系繊維は、紡糸後、必要に応じて延伸処理が行われてもよい。また、PVA系繊維で一般的に行われているアセタール化処理などが行われてもよい。
PVA系繊維の紡糸原液に用いられる溶剤としては、PVAを溶解することが可能な溶剤であれば特に限定されない。例えば水、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール等の多価アルコールなどの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明では、湿式紡糸を行う場合、溶剤としては有機系の溶剤を用いることが好ましい。この中でも、供給性、環境負荷への影響の観点から、DMSOが特に好ましい。紡糸原液中のポリマー濃度は、PVA系ポリマーの組成や重合度、溶剤の種類によって異なるが、6〜60質量%の範囲が一般的である。
乾式紡糸でも、上記の溶剤を用いることができる。その場合、水を用いても、有機系の溶剤を用いてもよい。
また、本発明の効果を損なわない範囲であれば、紡糸原液にはPVA系ポリマー以外にも、目的に応じて、界面活性剤、酸化防止剤、分解抑制剤、凍結防止剤、pH調整剤、隠蔽剤、着色剤、油剤などの添加剤などが含まれていてもよい。
固化浴で用いられる溶媒は、紡糸原液で用いられる溶剤の種類に応じて適宜選択することができる。紡糸原液が水溶液の場合、固化浴としては、例えば、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、炭酸ナトリウム等のPVA系ポリマーに対して固化能を有する無機塩類や水酸化ナトリウムの水溶液を用いることができる。紡糸原液が有機溶剤溶液の場合、固化浴としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類等のPVA系ポリマーに対して固化能を有する有機溶媒を用いることができる。
本発明においては、乾式紡糸で得られる繊維、または有機溶剤を溶媒とする紡糸原液から湿式紡糸で得られる繊維が、繊維強度の点から好ましい。
本発明の耐アルカリ性有機繊維の繊維強度は、5〜20cN/dtexであることが好ましく、6〜18cN/dtexであることがより好ましく、7〜16cN/dtexであることが更に好ましい。繊維強度が5cN/dtex以上であることによって、コンクリート構造物に対して十分な繊維補強効果、ひび割れ抑制効果が期待できる。一方、20cN/dtex以下であることによって、生産性を維持できるとともに、繊維を切断し難い等の問題を避けることが可能となる。
固化された原糸から紡糸原液の溶媒を抽出除去するために、抽出浴を通過させてもよく、抽出時に同時に原糸を湿延伸してもよい。また、湿延伸後、繊維を乾燥させ、必要に応じて、さらに乾熱延伸を行ってもよい。延伸を行う場合、総延伸倍率(湿延伸と乾燥後の延伸倍率の積)として、例えば、5〜25倍、好ましくは8〜20倍程度の延伸を行ってもよい。
[繊維補強コンクリート]
本発明の実施形態にかかる繊維補強コンクリートは、セメントと、骨材(細骨材、粗骨材)と、上記説明の耐アルカリ有機繊維とを含む。
本発明の繊維補強コンクリートは、本発明の効果を損なわない範囲で、各種の混和材料(混和材・混和剤)を含んでいてもよい。
繊維補強コンクリートに含まれるセメントとしては、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメントなどのポルトランドセメント、アルミナセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメントが挙げられる。これらのセメントは、単独でまたは二種以上組み合わせて使用してもよい。これらのセメントは、通常粉末(微粒子)の状態で用いられ、添加された水と反応して凝結し、セメントを硬化させる。
繊維補強コンクリートに含まれる骨材としては、細骨材、粗骨材などが挙げられる。これらの骨材は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用してもよい。
細骨材としては、例えば、粒径が5mm未満である細かい粒子が挙げられる(通常、全ての粒子の粒径が10μm未満であり、かつ重量%で85%以上の粒子の粒径が5mm未満である骨材を細骨材という)。このような粒径を満たす限り、特に限定されないが、例えば、細骨材として用いられる材料としては、川砂、山砂、海砂、砕砂、珪砂、鉱滓、ガラス砂、鉄砂、灰砂、炭酸カルシウム、人工砂等の砂類が挙げられる。
粗骨材は、粒径5mm以上のものが85重量%以上含まれる骨材で、例えば、各種砂利類、人工骨材(高炉スラグなど)、再生骨材(建築廃材の再生骨材など)などを用いることができる。
上記の骨材(細骨材及び/または粗骨材)には、軽量骨材が含まれていてもよい。軽量骨材としては、火山砂利、膨張スラグ、炭殻などの天然軽量骨材、発泡真珠岩、発泡パーライト、発泡黒よう石、バーミキュライト、シラスバルーン等の人工軽量骨材が挙げられる。
本発明の繊維補強コンクリートには、各種の混和材料が混入してもよい。ここで、混和材料は、セメントと水と骨材以外に、セメントに混入される物質である。混和材料としては、例えば、シリカフューム、フライアッシュ、高炉スラグ微粉末などの混和材、またAE剤、流動化剤、減水剤、高性能減水剤、AE減水剤、高性能AE減水剤、増粘剤、保水剤、撥水剤、膨張剤、硬化促進剤、凝結遅延剤などを挙げることができる。これらの混和材料は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用してもよい。
混練に使用する水は、海水であれば、どの地域の海水であっても特に問題なく使用することができる。但し、海水中にゴミや海洋生物など、不要な物体が存在する場合には、使用前に濾過等で除去して用いることが望ましい。また、水の添加量は、所望の構造物に応じて、適宜公知の配合量で調整することができる。
本発明の繊維補強コンクリートは、水の質量をW、セメントの質量をCとしたときの、水セメント比(W/C)が25〜65%であることが好ましく、35〜60%であることがより好ましく、40〜55%であることが更に好ましい。
前記繊維補強コンクリートを硬化することにより、各種構造物を得ることができる。このような構造物は、繊維補強コンクリートを用いて所望の形態に成形した後、硬化させたものであり、各種建設資材、土木資材として利用することができ、例えば、建設資材(例えば、建築構造物の基礎、屋根材、外壁材、間仕切り、天井材など)、土木資材(例えば、橋梁、道路、トンネル、法面補強材、テトラポットなど)として有用に用いることができる。繊維補強コンクリートの成形、成形した繊維補強コンクリートの硬化は、公知の方法に従って行うことができる。
本発明の繊維補強コンクリートを用いた鉄筋コンクリート構造物は、水道水等を用いて鉄筋コンクリート構造物を製造する公知の方法に準じて行うことができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
[繊維補強コンクリートの曲げ強度測定試験]
JIS A 1106 コンクリートの曲げ強度試験方法により行った。ミキサーで混練されたコンクリートを、断面が100mm×100mmで長さが400mmの角柱形状の型枠に流し込んだ後、20℃の室内で24時間封緘養生し脱型したものをプラスチックシートで包み、温度20℃・湿度65%の室内で28日養生して強度試験に供した。曲げ強度試験は最大容量2000kNの万能試験機にて、スパン300mmの三等分点載荷方式により行った。最大荷重までの載荷速度はJIS A 1106に準じ、最大荷重以後はタワミ速度でスパンの1/1500〜1/3000の範囲で制御した。尚、曲げ強度は、ひび割れ強度(LOP: Limit OF Proportionality)、及びひび割れ後最大強度(MOR:Modulus OF Rupture)として測定した。
[繊維補強コンクリートの収縮率測定試験]
JIS A 1129−3 モルタル及びコンクリートの長さ変化測定方法(ダイヤルゲージ方法)により行った。ミキサーで混練されたコンクリートを、予めゲージプラグをセットした断面が100mm×100mmで長さが400mmの角柱形状の型枠に流し込んだ後、20℃の室内で24時間封緘養生し脱型したものをプラスチックシートで包み、温度20℃・湿度65%の室内で28日養生して試験体を得た。その試験体の基長をコンパレータで測定した。屋外曝露による収縮率の測定については、(株)クラレ岡山事業所敷地内にて、桟木上に試験体を横に置いた状態で3年間屋外保管を行い、その後同様にコンパレータにて長さを測定し、長さ変化率を算出した。
長さ変化率 ε=((X01−X02)−(Xi1−Xi2))/L
:基長
01、X02:それぞれ基準とした時点における標準尺および供試体の測定値
i1、Xi2:それぞれ時点iにおける標準尺および供試体の測定値
[繊維径およびアスペクト比の測定方法]
JIS L1015「化学繊維ステープル試験方法(8.5.1)」に準じて行った。まずJIS記載の方法に従って、繊維の繊度を求め、材料の密度と繊維の繊度から繊維径を計算した。アスペクト比は、繊維径と繊維長より計算した。
[繊維のヤング率の測定方法]
JIS L1015「化学繊維ステープル試験方法」の「8.11 初期引張抵抗度」に準じて測定し、見掛ヤング率を算出した。
[実施例1]
最大容量100Lの傾胴式ミキサーに、普通セメント(太平洋セメント(株)製)455重量部、粗骨材(岡山県御津産砕石:最大径20mm)700重量部、細骨材(佐賀県唐津市産海砂)900重量部、海水(岡山県沿岸の瀬戸内海より採取)205重量部、高性能AE減水剤(BASFジャパン(株)製「レオビルドSP−8N」)0.9重量部を1分間混練し、出来上がったプレーンコンクリートに、PVA繊維(株式会社クラレ製RF−4000;4000dtex×30mm、ヤング率30GPa、アスペクト比45)を1.5体積%添加し、1分間の追加混練をして、水硬性材料として繊維補強コンクリートを作製した。
次いで、断面が100mm×100mmで長さが400mmの角柱形状の型枠に流し込んだ後、20℃の室内で24時間封緘養生し脱型したものをプラスチックシートで包み、温度20℃・湿度65%の室内で28日養生して強度試験に供した。また、その28日養生後の製品を、(株)クラレ岡山事業所敷地内にて、桟木上に試験体を置いた状態で3年間屋外保管を行い、その後同様に強度試験に供した。
28日後曲げ強度、3年後曲げ強度、3年後供試体外観及び3年後の供試体の収縮率を表1に示す。
[実施例2]
耐アルカリ性有機繊維を、ポリプロピレン繊維(萩原工業株式会社製バルチップ:3500dtex×30mm、ヤング率4.5GPa、アスペクト比38)に変更する以外は実施例1と同様にして、水硬性成形体を作製した。得られた結果を表1に示す。
[実施例3]
角柱形状の成形体成形時に、断面径13mmの鉄筋を、供試体の断面中央部(100mm×100mmの中心)に来るように型枠に配置する操作を加える以外は実施例1と同様にして、鉄筋コンクリート構造物を作製した。得られた結果を表1に示す。
[実施例4]
角柱形状の成形体成形時に、断面径13mmの鉄筋を、供試体の断面中央部(100mm×100mmの中心)に来るように型枠に配置する操作を加える以外は実施例2と同様にして、鉄筋コンクリート構造物を作製した。得られた結果を表1に示す。
[参考例1]
使用する水を水道水とする以外は実施例1と同様にして、コンクリート構造物を作製した。得られた結果を表1に示す。
[参考例2]
使用する水を水道水とする以外は実施例2と同様にして、コンクリート構造物を作製した。得られた結果を表1に示す。
[比較例1]
PVA繊維の代わりに炭素繊維を0.5体積%添加する以外は実施例1と同様にして、コンクリート構造物を作製した。炭素繊維は、東邦テナックス株式会社製ベスファイト(ヤング率230GPa)を繊維長10mmの短繊維にカット(アスペクト比1000)して使用した。得られた結果を表1に示す。
[比較例2]
PVA繊維を添加しない以外は実施例1と同様にして、水硬性成形体を作製した。得られた結果を表1に示す。
[比較例3]
繊維を使用しない以外は実施例3と同様にして、コンクリート構造物を作製した。尚、鉄筋は断面径13mmのものが、供試体の断面中央部(100mm×100mmの中心)に来るように配置した。得られた結果を表1に示す。
[比較例4]
使用する繊維の添加率を0.05体積%とする以外は実施例1と同様にして、コンクリート構造物を作製した。得られた結果を表1に示す。
Figure 2016069233
実施例1,2においては、海水でコンクリート構造物を作製しているため、水道水で作製した参考例1,2と比べ、3年後の供試体の収縮も大きいものであったが、補強繊維の存在によって、曲げ強度の低減は見られなかった。鉄筋と併用した場合においても同様で、補強繊維のない比較例3では3年放置により鉄筋腐食膨張によるマトリックス破壊が発生し、曲げ強度も低下していたのに対し、実施例3,4ではひび割れ等発生もなく、曲げ強度の低減も見られなかった。これは繊維補強効果によるものと思われる。一方、比較例2の、繊維でも鉄筋でも補強していない海水練りコンクリートの場合は、外観変化はないが、実質的にひび割れ後の強度が得られないものであった。また、炭素繊維を添加した比較例1においては、曲げ強度はそれ程高くなかった。これは、混練中に粗骨材により炭素繊維が切断或いは損傷を受けたことにより、繊維補強効果が十分発現できなかったためと思われる。
本発明の繊維補強コンクリートを硬化させることによって得られる各種構造物は、内部に鉄筋を埋設することも可能であり、各種建設資材(例えば、建築構造物の基礎、屋根材、外壁材、間仕切り、天井材など)、各種土木資材(例えば、橋梁、道路、トンネル、法面補強材、テトラポットなど)などとして有用に用いることができる。

Claims (6)

  1. セメントと骨材とヤング率が3〜100GPaの耐アルカリ性有機繊維を含み、前記耐アルカリ性有機繊維の含有量がコンクリート体積に対して0.1〜5体積%である、海水で練り混ぜたことを特徴とする、繊維補強コンクリート。
  2. 前記耐アルカリ性有機繊維のアスペクト比が10〜500である、請求項1に記載の繊維補強コンクリート。
  3. 前記耐アルカリ性有機繊維の単繊維繊度が100〜10000dtexである、請求項1または2に記載の繊維補強コンクリート。
  4. 前記耐アルカリ性有機繊維がポリビニルアルコール系繊維である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維補強コンクリート。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維補強コンクリートを硬化させることによって得られたコンクリート構造物。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維補強コンクリートを硬化させることによって得られた鉄筋コンクリート構造物。
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