JP2016067264A - 擬似粉末状態でリパーゼを逆反応させて油脂類−アルコール類複合体組成物を製造する方法およびその複合体組成物からなる食品素材 - Google Patents

擬似粉末状態でリパーゼを逆反応させて油脂類−アルコール類複合体組成物を製造する方法およびその複合体組成物からなる食品素材 Download PDF

Info

Publication number
JP2016067264A
JP2016067264A JP2014199272A JP2014199272A JP2016067264A JP 2016067264 A JP2016067264 A JP 2016067264A JP 2014199272 A JP2014199272 A JP 2014199272A JP 2014199272 A JP2014199272 A JP 2014199272A JP 2016067264 A JP2016067264 A JP 2016067264A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oil
starch
lipase
fats
reaction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014199272A
Other languages
English (en)
Inventor
克彦 三國
Katsuhiko Mikuni
克彦 三國
伊藤 哲也
Tetsuya Ito
哲也 伊藤
高橋 英樹
Hideki Takahashi
英樹 高橋
昭一 小林
Shoichi Kobayashi
昭一 小林
小林 祐二
Yuji Kobayashi
祐二 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ensuiko Sugar Refining Co Ltd
Original Assignee
Ensuiko Sugar Refining Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ensuiko Sugar Refining Co Ltd filed Critical Ensuiko Sugar Refining Co Ltd
Priority to JP2014199272A priority Critical patent/JP2016067264A/ja
Publication of JP2016067264A publication Critical patent/JP2016067264A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Noodles (AREA)
  • Dairy Products (AREA)
  • Grain Derivatives (AREA)
  • Bakery Products And Manufacturing Methods Therefor (AREA)
  • Jellies, Jams, And Syrups (AREA)
  • Meat, Egg Or Seafood Products (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Non-Alcoholic Beverages (AREA)
  • Edible Oils And Fats (AREA)
  • Tea And Coffee (AREA)
  • Fish Paste Products (AREA)
  • General Preparation And Processing Of Foods (AREA)

Abstract

【課題】油脂類−アルコール類複合体組成物の製造方法、およびその複合体組成物からなる食品素材を提供する。【解決手段】粉末基材の、穀粉、澱粉および/またはたん白系素材と、反応基質のアルコール類と油脂ないし脂肪酸の油脂類(DHAおよびEPAを除く)を混合し、穀粉、澱粉および/またはたん白系素材に対して乾量基準含水率20〜200[d.b.%](乾燥粉末基材250mgに対しての水添加量50〜500μL)の範囲の、一定量のアルコール類、一定量の油脂類の擬似粉末状態でリパーゼを逆反応させて、油脂類−アルコール類複合体組成物を製造する方法、および当該複合体組成物からなる食品素材。【効果】油脂類−アルコール類複合体組成物を製造し、その複合体組成物からなる食品素材および該食品素材を利用した加工食品を提供できる。【選択図】図1

Description

本発明は、粉末基材の穀粉、澱粉および/またはたん白素材と、反応基質の油脂類原料(DHA、EPA関連素材を除く)およびアルコール類(メントール、コレステロール、ポリフェノール類を除く)原料を撹拌混合し、油脂関連酵素のリパーゼの存在下で、乾量基準含水率20〜200[d.b.%]の条件の擬似粉末状態でリパーゼの逆反応を亢進させ、反応物全体を食品素材として用いることを可能とする、油脂類−アルコール類複合体組成物の製造方法とその複合体組成物からなる食品素材に関するものであり、更に詳しくは、油脂類原料とアルコール類原料の粉末状態を保持するために用いる粉末状態保持用原料素材−反応の場として用いる粉末基材ないし担体と、反応基質−反応用原料ないし基質とを混合して、適度の水分を添加し、粉末の水分がペンデュラー域からキャピラリー域の全体が散ける状態の「擬似粉末状態」で油脂関連酵素のリパーゼの逆反応を亢進させて、油脂類−アルコール類複合体組成物を製造する方法とその複合体組成物からなる食品素材に関するものである。なお、擬似粉末状態での酵素反応をPara−Powder State Enzyme Reaction:PPSER(パッセール)と呼称し、リパーゼの擬似粉末状態での酵素反応をリパーゼPPSER(PPSER−L)と呼称する。
本明細書で用いる用語として、乳化能とは、「水中油滴(O/W)型、または油中水滴(W/O)型エマルションにおいて、互いに溶け合わない(相溶しない)液体からなる分散液を形成する能力」を意味し、該乳化能をもつ特性を「乳化性・均一分散性」と呼称する。試験区分は、無試験(無処理)区を「Bnk」、対照試験区を「Ref」、試験区を「Exp」と略称する。また、本発明の実験で用いた試薬類は、断らない限り、試薬特級のものである。粉末基材、油脂類は、市販食品素材を用いた。また、本発明では、粉末基材の重量をWd、水、油脂などの液状物体の重量をWwとし、Md=Ww×100/Wdを乾量基準含有率[d.b.%]と定義して用いることとする。液状物体が水の場合は、乾量基準含水率といい、油脂などを特定していう場合は、「油脂の乾量基準含有率[d.b.%]」という。なお、反応基質が粉末の場合も油脂などに準じて用いる。
リパーゼは、種類が多く、極めて多くの反応に関与するので、その学術的研究例、実用的開発例、実用化例は膨大である。本発明は、擬似粉末状態で、特定の成分を組み合わせ、特定の反応条件下で、リパーゼの逆反応を亢進させ、各種エステルの製造法を鋭意検討して、安全な新規食品素材を安価に製造し、提供できることを示したものであるが、関連の従来技術を検索した結果では、本発明に類似したものは、本発明者らの発明以外のものでは見あたらない。
ここで、先行技術をみてみると、非特許文献1では、リパーゼは、加水分解、エステル交換、エステル化、アルコリシス、酸分解、アミノリシスの反応に関与し、油脂、トリグリセリド、エステル類を含む各種基質に作用し、溶媒に対して耐性を示し、広範囲に利用でき、特に、エステル交換、加水分解、エステル化は、食品加工などには有用である、と記述されており、これと関連する従来技術として極めて多くの実用例がある。
しかし、「粉末状態でのリパーゼ反応」に関する先行文献は見あたらず、関連する文献として、「有機溶媒不使用」でのリパーゼ反応による各種素材・成分合成についての非特許文献2のような数件が見いだされる。そして、この非特許文献2では、ポリプロピレン素材で固定化したリパーゼ製剤を用いて、カプリン酸エチルとグリセロール(水分含有率4%)を40℃で撹拌、反応させてグリセリドを合成している。
非特許文献3では、長鎖アルコール(ステアリルアルコール)、メチルエステル(オレイン酸メチル)を混合し、固定化リパーゼ(Lipozyme IM)でエステル交換反応(アルコール部交換反応)させてワックスを合成している。溶媒は無添加で、酵素濃度0.12〜2%、温度55〜65℃での反応である。
非特許文献4では、「solid−to−solid synthesis」として、固形の反応基質混合物に水10%を加えてThermoase PS 160を用いて反応させている。反応は飽和基質液相で進み、生成物は沈澱するとしている。
非特許文献5では、グルコース−脂肪酸モノエステルを合成するものであり、グルコースと脂肪酸または脂肪酸メチルエステルを混合し、ポリプロピレンEP 100固定化リパーゼを用いて反応させている。エチルメチルケトンまたはアセトン中、減圧下60℃の反応で収率は90%以上で、溶媒が揮散して収率が高くなり、食品素材として利用しやすいとしている。
非特許文献6では、リパーゼ水溶液と脂肪酸を溶解させたエタノール溶液とを混合し、遠心分離の後、沈殿物を凍結乾燥して脂肪酸修飾リパーゼを調製し、この脂肪酸修飾リパーゼを用いて、トリオレインとパルミチン酸との間でエステル交換反応をヘキサン中で行い、その活性を評価している。
非特許文献7では、アクリル樹脂で固定化したリパーゼである、Novozym 435を用いて、4−メチルオクタン酸と各種ポリエチレングリコールを混合し、各種水分活性でモノまたはジエステルに変換している。
その他、非特許文献8は、「イオン液体を媒体とする酵素反応の開発」に関する、そして、非特許文献9は、「超臨界CO中での酵素反応による有用物質の合成」に関する、特殊な手法による酵素反応を目指したものもあり、研究開発として注目はされるが、現時点での実用化は困難と考えられる。
次に、特許文献1は、「油脂又は脂肪酸エステル、アルコール、及び水からなるO/Wエマルジョン溶液中、又は脂肪酸、アルコール、及び水からなるO/Wエマルジョン溶液中で、化学修飾リパーゼを用いて、エステル交換反応又はエステル化反応を行うことにより、脂肪酸エステルを製造する」方法に係る発明であり、本発明とは、化学修飾リパーゼを用いている点で別異の発明である。
本発明者らは、これまでに、擬似粉末状態での酵素反応に関する技術として、「穀粉又は澱粉と、油脂を混合し、リパーゼを該穀粉又は澱粉に対して所定の水分含有率並びに油脂含有率の擬似粉末状態で反応させて、油脂を水解することにより、これら反応混合物から構成される食品素材を製造することを特徴とする該食品素材の製造方法」に係る発明を開発し、特許出願している(特許文献2)。
特許文献3は、「澱粉粒、セルロース粉末を担体として、リパーゼを作用させる方法」に係るものであり、該方法は、「リパーゼの反応にも適用でき、例えば、粉末担体に基質の脂肪酸と糖アルコールを噴霧混合し、50〜60℃で密閉静置反応すれば、脂肪酸エステルを製造することができる」、とされており、脂肪酸と糖アルコールを混合して脂肪酸エステルを製造するものである。
特許文献4は、「リパーゼの反応にも適用でき、例えば、粉末担体に基質の脂肪酸と糖アルコールを噴霧混合し、50〜60℃で密閉静置反応すれば、脂肪酸エステルを製造できる」、とされており、特許文献3と同内容である。このように、先行技術によれば、リパーゼの逆反応の利用には、修飾リパーゼを用いる方法が主流であり、従来、通常のリパーゼを用いて、簡便な方法、条件で、リパーゼの逆反応を亢進させて、各種複合体組成物を生成させることは極めて困難とされていた。
特開2006−50954号公報;「修飾リパーゼを用いた脂肪酸エステルの製造方法」 特願2013−222823;「乳化能をもつ食品素材を製造する方法及びその食品素材」 特許第5282252号公報;「澱粉粒又はセルロース粉末固定化リパーゼの製造方法、乳化素材の製造方法及び乳化剤」 特開2009−060875号公報;「糖質と糖質以外の食品成分を混合して大気中で高温処理して機能性素材を製造する方法及びその素材」
R Aravindanら:「Lipase applications in food industry」,Indian Journal of Biotechnology,Vol6,pp141−158(2007) Anna Millqvist Furebyら:「Glyceride synthesis in a solvent−free system」,Journal of the American Oil Chemists’ Society,Volume73,Issue11,pp1489−1495(1996) N.Goma−Doncescu and M.D.Legoy:「An original transesterification route for fatty acid ester production from vegetable oils in a solvent−free system」,Journal of the American Oil Chemists’ Society,Volume74,Issue9,pp1137−1143(1997) Marku s Erbeldingerら:「Scale−up of Enzymatic Solid−to−Solid Peptide Synthesis and Enzyme Recovery」,AIChE Journal,Vol.47,No.2,pp500−508(2001) Youchun Yanら:「Lipase−catalyzed solid−phase synthesis of sugar fatty acid esters: Removal of byproducts by azeotropic distillation」,Enzyme and Microbial Technology,Volume25,Issues8−9,pp725−728(1999) 丸山 達生:「Lipase activation for modification of fats and oils(油脂の改質を目的としたリパーゼの高活性化)」,東京大学学位論文,2002.03.29 N.W.J.T.Heinsman ら:「ESTERIFICATION OF 4−METHYLOCTANOIC ACID WITH POLYETHYLENE GLYCOL AT DIFFERENT aw 」,Biocatalysis and Biotransformation,2001,Vol.9,No.3,pp181−189(2001) 伊藤 敏幸:「イオン液体を媒体とする酵素反応の開発」,科研費報告書,平成22年5月20日 松田知子:「超臨界CO2中での酵素反応による有用物質の合成」,科研費報告書,平成22年5月31日
一般に、加工・化工製品については、酵素処理による製造の際には、液状反応を行うのが常法であり、反応終了後、生成物を取り出し、そのままの状態で濃縮・乾燥して製品化し、固定化酵素を用いる場合も、通液して製造する。しかし、この製造法では、水を多量に必要とし、しかも安定性の高い乾燥品を得るためには、生成物の濃縮・乾燥工程を必要とし、生産コストの上昇と環境負荷の増大が製品価格に影響する。濃縮のみで液状製品とすることもできる例もあるが、品質保持、保存、取り扱いの面からは、乾燥粉末にすることが望まれる。
一般に、粉末状でも酵素反応は進むと考えられ、糖質関連酵素で粉末状態を保持するための糖質と反応用原料の等量混合物に酵素を添加したものの水分含有率は、澱粉、穀粉では14〜50%であり、リパーゼ反応の場合も、水分含有率20〜50%の範囲で酵素反応が進むと考えられる。しかし、リパーゼの逆反応を利用してエステルを生成させる場合、リパーゼの逆反応を亢進する条件を見出し、原料成分・素材の選択・組合せを設定することが必要であると考えられる。
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、リパーゼの逆反応を利用してエステルを生成させるべく鋭意研究を重ねた結果、リパーゼの逆反応を亢進する条件を見出し、原料成分・素材の選択・組合せの条件を設定することで所期の目的を達成できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
本発明は、糖質系である穀粉または澱粉と、たん白系素材であるカゼイン、ツェインなどを粉末基材として用い、反応基質の油脂ないし脂肪酸の油脂類とアルコール類を選択して組合せ、特定の、水とアルコール類の乾量基準含有率の範囲内の擬似粉末状態で、リパーゼの逆反応を亢進させて、油脂類(油脂ないし脂肪酸)−アルコール類複合体組成物を製造する方法とその複合体組成物からなる食品素材を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)粉末基材として、糖質系の穀粉、澱粉および/またはたん白系素材を用い、反応基質として、アルコール類と油脂ないし脂肪酸の油脂類(DHAおよびEPAを除く)を選択して、粉末基材と混合し、リパーゼの存在下で、穀粉、澱粉および/またはたん白系素材に対して乾量基準含水率20〜200[d.b.%](乾燥粉末基材250mgに対しての水添加量50〜500μL)の範囲の、一定量のアルコール類、一定量の油脂類の擬似粉末状態にして、リパーゼの逆反応を亢進させ、油脂類−アルコール類複合体組成物を製造することを特徴とする油脂類−アルコール類複合体組成物の製造方法。
(2)一定のアルコール類の添加量が、穀粉、澱粉および/またはたん白系素材に対して乾量基準含有率4〜20[d.b.%]の範囲である、前記(1)に記載の方法。
(3)アルコール類と油脂類の混合比(v/v)が、1:1から1:6である、前記(1)に記載の方法。
(4)アルコール類としてメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、グリセリン、エチレングリコール、またはポリエチレングリコールを用い、穀粉、澱粉および/またはたん白系素材に対して乾量含有率20〜60[d.b.%]の範囲の、一定量のアルコール類、一定量の油脂類の擬似粉末状態にする、前記(3)に記載の方法。
(5)油脂が、サラダ油、ナタネ油、大豆油、パーム油、ヤシ油、中鎖脂肪酸トリグリセリド油、コーン油、べに花油、オリーブ油、ごま油、ヒマワリ油、こめ油またはココナッツ油であり、脂肪酸が、オレイン酸、リノール酸、またはリノレン酸である、前記(1)に記載の方法。
(6)穀粉が、米粉、白米ぬか、または小麦粉であり、澱粉が、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉、粳米澱粉、糯米澱粉、トウモロコシ澱粉、糯トウモロコシ澱粉、小麦澱粉、またはサゴ澱粉であり、たん白系素材が、アルブミン(卵白系)、グルテン(小麦たん白系)、カゼイン(ミルクたん白系)、ツェイン(トウモロコシたん白系)、大豆たん白、またはゼラチンである、前記(1)に記載の方法。
(7)前記(1)から(6)のいずれかに記載の製造方法により製造された、油脂類−アルコール類複合体組成物からなることを特徴とする食品素材。
(8)アルコール類としてメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、グリセリン、エチレングリコール、またはポリエチレングリコールを用い、穀粉、澱粉および/またはたん白系素材に対して乾量含有率20〜60[d.b.%]の範囲の、一定量のアルコール類、一定量の油脂類の擬似粉末状態にする、前記(7)に記載の食品素材。
(9)油脂が、サラダ油、ナタネ油、大豆油、パーム油、ヤシ油、中鎖脂肪酸トリグリセリド油、コーン油、べに花油、オリーブ油、ごま油、ヒマワリ油、こめ油またはココナッツ油であり、脂肪酸が、オレイン酸、リノール酸、またはリノレン酸である、前記(7)に記載の食品素材。
(10)穀粉が、米粉、白米ぬか、または小麦粉であり、澱粉が、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉、粳米澱粉、糯米澱粉、トウモロコシ澱粉、糯トウモロコシ澱粉、小麦澱粉、またはサゴ澱粉であり、たん白系素材が、アルブミン(卵白系)、グルテン(小麦たん白系)、カゼイン(ミルクたん白系)、ツェイン(トウモロコシたん白系)、大豆たん白、またはゼラチンである前記(7)に記載の食品素材。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、粉末基材として、糖質系の穀粉、澱粉および/またはたん白系素材を用い、反応基質として、アルコール類と油脂ないし脂肪酸の油脂類(DHAおよびEPAを除く)を選択して、粉末基材と混合し、リパーゼの存在下で、穀粉、澱粉および/またはたん白系素材に対して乾量基準含水率20〜200[d.b.%](乾燥粉末基材250mgに対しての水添加量50〜500μL)の範囲の、一定量のアルコール類、一定量の油脂類の擬似粉末状態にして、リパーゼの逆反応を亢進させ、油脂類−アルコール類複合体組成物を製造することを特徴とするものである。また、本発明は、上記製造方法により製造された食品素材であって、油脂類−アルコール類複合体組成物からなることを特徴とするものである。本発明に係る油脂類−アルコール類複合体組成物において、「組成物」は、リパーゼの逆反応を亢進させることで、油脂類とアルコール類とが脱水反応して形成されるエステル類と、その反応生成物のすべてを含む複合体からなる食品素材用組成物のことを意味する。
本発明において、擬似粉末状態とは、粉末基材に対して所定の水並びに油脂類(液状物)を添加・撹拌混合した時、反応系が粉末状態で、全体が散ける(ばらける)状態として定義され、非離水状態、または粉末の水分がペンデュラー域からキャピラリー域の全体が散ける状態(=「擬似粉末状態」)であり、リパーゼを擬似粉末で反応させるとは、穀粉、澱粉、および/またはたん白系素材に対して乾量基準含水率20〜200[d.b.%](乾燥粉末基材250mgに対しての水添加量50〜500μL)の範囲の、一定量のアルコール類、一定量の油脂類の状態(擬似粉末状態)にして、リパーゼを反応させることを意味する。
また、請求項2の一定のアルコール類の添加量が、穀粉、澱粉および/またはたん白系素材に対して乾量基準含有率4〜20[d.b.%]の範囲である、とは、([0002]に記述してあるように)穀粉、澱粉および/またはたん白乾燥粉末基材250mgにアルコール類を4〜20%(重量%)添加すること、すなわち、10から50mg添加のことである。
また、請求項4の穀粉、澱粉および/またはたん白系素材に対して乾量含有率20〜60[d.b.%]の範囲の、一定量のアルコール類、一定量の油脂類の擬似粉末状態にする、とは、穀粉、澱粉および/またはたん白乾燥粉末基材250mgに一定量のアルコール類と油脂類を含む混合物を20〜60%(重量%)添加すること、すなわち、50〜150mg添加して撹拌混合して液状でも乾燥粉末状でもない、その中間的な状態にすることである。
リパーゼ系酵素の種類は、学術的には極めて多く、EC番号(酵素番号、Enzyme Commission numbers)、EC.3.−(加水分解酵素)、EC.3.1.−(エステル加水分解酵素)、EC.3.1.1.−(カルボン酸エステル加水分解酵素)、EC 3.1.1.3 トリアシルグリセロール リパーゼ[EC 3 Hydrolases、EC 3.1 Acting on Ester Bonds、EC 3.1.1 Carboxylic Ester Hydrolases、EC 3.1.1.3 triacylglycerol lipase]のように分類され、トリアシルグリセロール リパーゼは、各種微生物などに見出され、膨大な数になっている(http://www.brenda−enzymes.info/php/result_flat.php4?ecno=3.1.1.3)。
「既存添加物名簿収載品目リスト」には、番号:305 名称:ホスホリパーゼ 品名/別名:ホスファチダーゼ レシチナーゼ 基原・製法・本質:動物のすい臓若しくはアブラナ科キャベツ(Brassica oleracea LINNE)より、冷時〜室温時水で抽出して得られたもの、または糸状菌(Aspergillus oryzaeAspergillus niger)、担子菌(Corticium)、放線菌(ActinomaduraNocardiopsis)若しくは細菌(Bacillus)の培養液より、冷時〜室温時水で抽出して得られたもの、除菌したもの、冷時〜室温時濃縮したもの、またはこれより含水エタノール若しくは含水アセトンで処理して得られたもの、樹脂精製後、アルカリ性水溶液で処理したもの、とある。
更に、番号:349 名称:リパーゼ 品名/別名:脂肪分解酵素 簡略名または類別名:エステラーゼ 基原・製法・本質:動物若しくは魚類の臓器、または動物の舌下部より、冷時〜微温時水で抽出して得られたもの、または糸状菌(Aspergillus awamoriAspergillus nigerAspergillus oryzaeAspergillus phoenicisAspergillus usamiiGeotrichum candidumHumicolaMucor javanicusMucor mieheiPenicillium camembertiiPenicillium chrysogenumPenicillum roquefortiiRhizomucor mieheiRhizopus delemarRhizopus japonicusRhizopus mieheiRhizopus niveusRhizopus oryzae)、放線菌(Streptomyces)、細菌(AlcaligenesArthrobactorChromobacterium viscosumPseudomonasSerratia marcescens)または酵母(Candida)の培養液より、冷時〜微温時水で抽出して得られたもの、除菌したもの、冷時〜室温時濃縮したもの、またはエタノール、含水エタノール若しくはアセトンで処理して得られたものである、とある。
市販品としては、独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所 酵素研究ユニットが、2011年6月にアンケートした調査結果がある(http://www.nfri.affrc.go.jp/yakudachi/koso/3_shishitu3_1.index.html)。
本発明でリパーゼとして用いられる酵素製剤は、通常のリパーゼであり、例えば、1998年の天野製薬(現天野エンザイム株式会社)製のもの、2010年に製造された以下のL1〜L6などがあり、本発明者らは、本発明の油脂類−アルコール類複合体組成物を製造する方法において、これらは、同等の効果を奏することを確認している。
L1:リパーゼF−AP15、1998
L2:リパーゼM「アマノ」10、1998
L3:リパーゼA「アマノ」6、2010 リパーゼ:48.0% 食品素材:52.0%
L4:リパーゼAY「アマノ」30G、2010 リパーゼ:20.0% グアーガム:0.4% 食品素材:79.6%
L5:リパーゼR「アマノ」、2010 リパーゼ:20.0% 食品素材:80.0(原材料の一部にゼラチンを含む)
L6:リパーゼG「アマノ」50、2010 リパーゼ:50.0% 食品素材:50.0%(原材料の一部にゼラチンを含む)
粉末基材の水分含有率については、市販コーンスターチ(日本食品化工株式会社製)を標準として、これを20mLビーカー中に約2g採取し、開放系で、105℃で3時間加熱乾燥処理し、放冷後、測定して算出した。その結果、市販コーンスターチの乾燥粉末の水分含有率は12.5%となり、乾燥粉末に12.5%の水分を添加し、撹拌混合した試料を、本発明の方法で使用した場合、コーンスターチと同様の結果が得られた。なお、本発明では、断らない限り、水分を含む市販品をそのまま使用した。
先ず、アルコール類と油脂類の混合液で油脂類−アルコール類複合体組成物を製造するための最適ないし好適な条件と推量される混合比を求めるために、アルコール類としてエタノール(EtOH)、油脂類としてオレイン酸(OLA)を用いて、混合液を調製した。EtOHの分子量46、OLAの分子量282であるから、混合重量比はEtOH1:OLA6.13で、モル比1:1複合体を形成することが可能である。図1のように、10:1(EtOH500μL:OLA50μL)、5:1(500:100)、2:1(400:200)、1:1(400:400)、1:2(200:400)、1:3(200:600)、1:4(100:400)、1:5(100:500)、1:6(100:600)、1:10(50:500)の混合比のEtOH:OLAの混合液(EOM)を調製し、その100μLをとり、コーンスターチ250mg+EOM100μL+水100μL+1%(w/v)L4酵素液50μLのように添加して、12mL容バイアル中でよく撹拌混合したところ、ケーキ状となった。
この試験区をPPSER(Para−Powder State Enzyme Reaction)区とし、密閉系で、40℃で2日間反応させたところ、図1のように、複合体生成量は、1:1から1:6で20から40mg程度になり、複合体生成率はOLAの40〜45%(重量%、以下同様)で、コーンスターチを添加しない同様のEOMを用いた試験区LR(Liquid Reaction)での生成率10%程度と比較すると約4倍となった。
なお、複合体の検出は、酸価(AV)の測定により行った。酸価は、油脂1g中に含まれる遊離脂肪酸を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数を表すが、本発明では、水酸化カリウムの代りに水酸化ナトリウムを使用し、1N水酸化ナトリウムでの中和必要量の値を「av」(見かけの酸価)として表した。これをAVとして表すには、この値を1.12倍すればよい(50mgの試料を用いた場合)。
反応終了後の試料に、EtOH2.5mL+水5mL+1%フェノールフタレイン−エタノール溶液50μLを添加した後、1N NaOH液50μLを逐次添加して紫に呈色後、1N HCl液5μLを逐次添加して紫の呈色が消失するまでの量を差し引いてavとした。また、実験毎にオレイン酸50μLをとり、同様にして、測定した各試料の実験av値を求めた。この場合の実験誤差は±5である。複合体生成量は、Exp、Ref、Bnkでの値から算出した。
本実験から、EtOH−OLA複合体を製造するための望ましいEtOH−OLAの混合重量比は1:3であった。また、本発明の方法は、混合重量比1:1〜1:10で好適に用いられることが分かった。エタノールとオレイン酸の1:3(v/v)混合物が、本発明では望ましい混合物と判明したので、これを1−3EOMと表記することとした。コーンスターチ250mg+1−3EOM100μL+水100μL+1%(w/v)L4酵素液50μLの反応基組成で混合した反応基の状態はケーキ状であり、反応終了後、開放系で、105℃で30分間、酵素失活と乾燥処理をすることで、簡単に乾燥状態の粉末が得られた。スケールアップは、極めて簡単で、コーンスターチ250g+1−3EOM100mL+水100mL+1%(w/v)L4酵素液50mLの反応基組成で適度に倍加して混合すればよい。
EtOHは、反応基質の一つとして用いるが、酵素の活性を阻害することも知られている。しかし、酵素の種類により、どの程度の濃度で、どの程度の活性を阻害するかについては、個別の実験により求めることが必要になる。そこで、コーンスターチ250mg+オレイン酸50μL+水100μL+1%(w/v)L4酵素液50μLの系の水100μLの代りに、エタノール0〜100%(試薬表示濃度99.5%)濃度の水溶液を調製し、各溶液100μLを加え、12mL容バイアル中で撹拌、混合後、密閉系で、40℃で2日間反応させたところ、各反応系の状態はケーキ状であった。反応後、avを測定した結果を図2に示した。
その結果、エタノールの乾量基準含有率4〜20[d.b.%]では、av100程度となり、この値から計算すると、複合体生成率は40%以上となった。エタノールの乾量基準含有率8〜12では、av45%程度に達した。なお、avが低いほど、リパーゼの逆反応が亢進していることを示し、複合体生成率は、以下の式で示される。
複合体生成率=(用いたオレイン酸のav−実測av)×100/(用いたオレイン酸のav)(%)
リパーゼ逆反応に対する水添加の影響を調べるために、コーンスターチ(以下、CSと記載することがある)を使用し、市販CS250mg+最適EOM100μL+1%(w/v)L4酵素液50μLまたは乾燥CS220mg+最適EOM100μL+1%(w/v)L4酵素液50μLの反応系で、水添加量を0〜5mLまで変化させて、リパーゼの逆反応の亢進度を検討した。ここで、最適EOMとは、エタノールとオレイン酸を1:3の容量で混合したもの(1−3EOM)である。
水を添加した後、撹拌混合した反応系の外観は、水が0μLで粉末状、25〜100μLでケーキ状、200μLでバッター状であり、500μL以上では液状であった。密閉系で40℃で2日間の反応を終了後、avを測定した結果を図3に示した。
本結果から、市販CSを用いた場合、逆反応を亢進する最適水添加量は250mgに対して50μLであり、200μLでも40%程度の逆合成率を示している。市販CSに含まれる水分含有率は12.5%であるから、250mg試料中の30mgは水分であり、乾燥処理をしたCSを用いた場合、乾燥試料220mgに水分を25μL以上添加すると急激に活性が亢進され、これ以下ではほとんど活性を示さないことが分かった。図3の市販CSのグラフを50μL程度右側にシフトさせると、乾燥CSのグラフに近づく。すなわち、最適水分添加量は、市販CS250mgに対して50μL、乾燥CS220mgに対して100μLであり、好適な水分添加量は各々0〜150μL、50〜500μLであることが分かった。
粉末基材としては、フスマ、米ぬか、乾燥オカラなどの粉末状農産廃棄物ないし粉末状農産物であれば種類を選ばず、本発明の方法を適用できるが、反応基質と撹拌混合した場合に塊形成、粘着性となるなど、均一混合が困難な場合には、粉末化に優れた素材と粉末化に困難な素材との組合せなどの工夫をすることが求められる。
本発明の方法では、DHA、EPA関連素材を除き、液状ないし半固形状の油脂類、例えば、サラダ油、ナタネ油、大豆油、パーム油、ヤシ油、中鎖脂肪酸トリグリセリド油、コーン油、べに花油、オリーブ油、ごま油、こめ油、ヒマワリ油、ココナッツ油が使用できる。また、液状の遊離脂肪酸である酢酸(C2 融点16.7℃)、酪酸(C4 融点−7.9℃)、カプロン酸(C6 融点−3℃)、カプリル酸(C8 融点16.7℃)、オレイン酸(C18−1 融点13.4℃)、リノール酸(C18−2 融点−5℃)、リノレン酸(C18−3 融点−11℃)が適用でき、更に、固形のカプリン酸(C10 融点31℃)、ラウリン酸(C12 融点44〜46℃)、ミリスチン酸(C14 融点54.4℃)、パルミチン酸(C16 融点62.9℃)、ステアリン酸(C18 融点69.6℃)、アラキジン酸(C20 融点75.5℃)、ベヘン酸(C22 融点74〜78℃)、リグノセリン酸(C24 融点84.2℃)などでもアルコール類と混合して溶解または懸濁液状にして使用することができる。
本発明の方法で使用するアルコール類は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノールであり、この他、分子中にリパーゼ逆反応が可能なOH基をもつ、グリセリン、エチレングリコール類、ポリフェノール類であるカテコール類も含まれる。更には、ショ糖、サイクロデキストリンなどの糖質にも適用でき、油脂類とショ糖、サイクロデキストリンなどの糖質を擬似粉末状態でリパーゼを逆反応させ、油脂類−ショ糖複合体や油脂類−サイクロデキストリン複合体を製造することが可能である。また、油脂類の脂肪酸に代えて、アスコルビン酸、グルコン酸などの有機酸も、アルコール類とアルコール類−有機酸複合体を形成することが可能である。油脂類を茶葉、茶の実、野菜粉末、ハーブ粉末、スパイス粉末など、油脂類に溶解性の成分が含まれる食品素材に加え、油溶性のポリフェノール類、香辛、香味成分を室温または高温で油脂類に溶け出させて、その油脂類をリパーゼ擬似粉末状態反応により反応させ、油脂類−アルコール類複合体組成物を製造し、得られた反応物全体を食品素材として用いることも可能である。茶葉、茶の実、野菜粉末、ハーブ粉末、ニンニク粉末、スパイス粉末などは、油脂類を添加し、これら粉末−油脂類の混合物とし、これを粉末基材に加えて反応させることもできる。この場合、野菜粉末などは、粉末基材の一部とも、反応基質ともなり得る。また,本発明の方法ではリパーゼを用いたものであるが、本発明の方法は、リパーゼのような脂質関連酵素、糖質関連酵素、蛋白質関連酵素にも適用でき、これらを区別するにはPPSER−L法(擬似粉末状態脂質関連酵素反応法)、PPSER−S法(擬似粉末状態糖質関連酵素反応法)、PPSER−P法(擬似粉末状態蛋白質関連酵素反応法)として、PPSER−L法、PPSER−S法、PPSER−P法は組合せて同時反応を行うこともできる。
リパーゼの逆反応により、油脂類−アルコール類複合体が形成されたことの検証は、以下のようにして行った。先ず、CS250mg+OLA50μL+EW20(エタノール20:水80を混合した20%(v/v)エタノール溶液)100μL+1%(w/v)L4酵素液50μLの反応系で、密閉系で40℃、2日間反応させた。反応終了後、アセトン3mLを添加し、振盪撹拌して、未反応のOLA、エタノール、生成したOLA−EtOH複合体を抽出し、3,000rpm(1,660×g)で10分間遠心分離し、上清を採取して、このままavを測定し、沈澱にはアセトン3mLを添加し、avを測定した結果、上清は50、沈澱は10であった。
次に、上清2本分を、開放系で105℃、1時間処理して、アセトン、エタノールを蒸散除去した後、1本には水100μL+CS250mg+1%(w/v)L4酵素液50μL添加し、他の1本には水100μL+CS250mg+失活処理1%(w/v)L4酵素液50μL添加して、密閉系で40℃、2日間反応させた後、avを測定した。その結果、前者は100、後者は50を示し、上清中には、複合体が存在し、かつ、リパーゼにより水解を受けて、OLAが生成したことを示した。
同様にして、こめ油を用いて、CS250mg+こめ油50μL+EW0(エタノール0:水100を混合した0%(v/v)エタノール溶液)からEW100(エタノール100:水0を混合した100%(v/v)エタノール溶液)100μL+1%(w/v)L4酵素液50μL添加し、密閉系で40℃、2日間反応させた後、avを測定した結果、各々、EW0:av150、EW10:av90、EW20:av40、EW30:av30、EW40:av20、EW50:av20、EW60:av20、EW80:av20、EW100:av10のように変化し、EW40周辺で、こめ油の加水分解と、リパーゼの逆反応が起こっていることが推測された。このEW40試験区をアセトン抽出して、リパーゼで加水分解すると、avは100を示し、複合体が存在していたことが示された。
更に、HPLCを用いて、直接的に複合体からリパーゼ反応により生成したエタノールを検出した。HPLCクロマトグラフ解析による検討には、資生堂のカプセルパックアクアカラムODS−ゲルカラムを用い、カラム温度:35℃、溶媒:水、流速:0.3mL/分の条件で実施した。溶出時間は、エタノール:19.4分、グルコース:10.2分、スクロース:13.2分、複合体(推定ピーク):11.5分であった。
本発明の製造方法で得られた油脂類(脂肪酸)−アルコール類複合体組成物の特性ないし機能について説明すると、当該複合体組成物は、アルコール性OH基が脂肪酸のCOOH基と脱水反応しエステルを形成した成分が粉末基材に混合した状態で存在し、本素材全体が食品素材として利用できるものである。このリパーゼPPSERで脂肪酸成分は安定化され、酸化安定性(酸化抵抗性)に優れたものになる。また、アルコール類の成分には、安定性に劣る成分があるが、本発明の方法で、これらの安定性は高まり、更に、乳化性も高まるので、油性食品の乳化性付与にも利用することができる。
本発明の油脂類(脂肪酸)−アルコール類複合体組成物は、白色粉末の形態で得ることができ、当該複合体組成物をそのまま各種の食品原料と混合して使用することで、含有成分が安定化されるので、食品のシェルフライフを長くする効果が得られる。また、当該複合組成物は、粉末基材の糖質関連酵素での部分分解を併用することで、溶解性を高めて使用することもでき、液状食品などの食品素材としても有用である。
以上の説明のように、本発明で製造される油脂類−アルコール類複合体組成物の組成は、例えば、乾燥コーンスターチ220mgにエタノール25mg、菜種油100mg、水50μL、市販リパーゼ1%濃度(v/v、市販液状酵素使用の場合)酵素溶液50μLを撹拌・混合して、2日間、密閉系で40℃に静置し、反応終了後、開放系で105℃、30分間加熱して、酵素失活・乾燥処理をした場合、澱粉220mg+脂肪酸−エタノール複合体58.3mg+菜種油分50mgとなり、当該複合体組成物は白色乾燥粉末である。当該複合体組成物からなる食品素材は、このままの状態で、各種食品製造原料に混合することができ、このような製品は、これまでにない新規なものである。
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)粉末基材の穀粉、澱粉および/またはたん白系素材と、反応基質のアルコール類と油脂ないし脂肪酸の油脂類(DHAおよびEPAを除く)を混合し、特定の条件下で、リパーゼの逆反応を亢進させて、油脂類−アルコール類複合体組成物を製造でき、得られた反応物全体を食品素材とすることができる。
(2)油脂類と、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、グリセリン、エチレングリコール、またはポリエチレングリコールとの油脂類−アルコール類複合体組成物を製造でき、得られた反応物全体を食品素材とすることができる。
(3)油脂のサラダ油、ナタネ油、大豆油、パーム油、ヤシ油、中鎖脂肪酸トリグリセリド油、コーン油、べに花油、オリーブ油、ごま油、ヒマワリ油、こめ油またはココナッツ油、または脂肪酸のオレイン酸、リノール酸、またはリノレン酸と、アルコール類とを混合して、油脂類−アルコール類複合体組成物を製造でき、得られた反応物全体を食品素材とすることができる。
(4)穀粉の米粉、白米ぬか、または小麦粉と、澱粉の馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉、粳米澱粉、糯米澱粉、トウモロコシ澱粉、糯トウモロコシ澱粉、小麦澱粉、またはサゴ澱粉と、および/またはたん白系素材のアルブミン、グルテン、カゼイン、小麦たん白、大豆たん白、またはゼラチンとの粉末基材に、リパーゼを反応させ、その逆反応を亢進させて、油脂類−アルコール類複合体組成物を製造し、当該複合体組成物からなる食品素材を提供できる。
(5)本発明の油脂類−アルコール類複合体組成物からなる食品素材は、アルコール性OH基が脂肪酸のCOOH基と脱水反応しエステルを形成した成分が粉末基材に混合した状態で存在し、含有する脂肪酸と、不安定なアルコール類が安定化されていて、食品への乳化性付与の特性ないし機能性を有する。
(6)本発明の食品素材は、その特性ないし機能性に基づいて、食品の酸化安定化、乳化能付与に有用である。
(7)本発明で得られる油脂類−アルコール類複合体組成物は、その特性ないし機能を利用して、食品の安定化、乳化性付与の用途に有用である。
エタノールとオレイン酸混合比による複合体生成量の変化を示す。 エタノール添加量によるavの変化を示す。 水添加量によるavの変化を示す。
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
密閉栓付12mL容バイアルに粉末基材としてコーンスターチ250mgを秤取り、反応基質または反応基質溶液として、20%(v/v)エタノール溶液100μLとオレイン酸50μLを加え、天野エンザイム製リパーゼL4の1%(w/v)水溶液50μLを加えて、薬匙で撹拌混合した結果、反応系はケーキ状となった。
バイアルの密閉栓を施栓し、40℃で2日間、反応系を擬似粉末状態で反応させ、油脂類−アルコール類複合体組成物を製造した.反応後、エタノール(EtOH)2.5mLと水5mLを加えて、avを測定した。その結果、avは、オレイン酸50μLの175に対して75となり、複合体生成率は57%と計算された(%は、重量%を示す。以下同様)。なお、粉末基材としてコーンスターチ250mgに替えて、馬鈴薯澱粉、粳米澱粉、糯米澱粉、米粉、白米ぬか、薄力小麦粉、中力小麦粉を用い、同様にして、各々、複合体生成率48%、55%、50%、64%、62%、40%、38%を得た。
何れの試料も、反応後、開放系で105℃、30分間の加熱乾燥酵素失活処理と、撹拌粉砕で白色粉末状となり、このままの状態で食品素材としての使用が可能であった。強力小麦粉を、同様にして、処理した場合は、撹拌混合が不十分となり、複合体生成率は36%となった。この他、一般に糖質系の粉末基材を用いた場合は、複合体生成率は50%程度となり、反応後の粉砕も容易であった。天野エンザイムの他のリパーゼについては、力価を合わせて、同量を添加した場合も、同程度の複合体生成率を示した。
コーンスターチの代りに、たん白系粉末基材を用いた以外は、実施例1と同様にして、Acid Casein 720と小林ツェインDPを用いた場合、各々、複合体生成率は32%と28%であった。この他の粉末基材として、アルブミン(卵由来 Wako 化学用)、グルテン(小麦由来 Wako 化学用)、Sodium Caseinate 180、粉末状分離大豆たん白(フジプロ−F)、飲料用分離大豆たん白(プロリーナSU)を用いた場合、反応系は、粘着性、塊形成するなど、撹拌混合は困難となるので、半量(125mg)のコーンスターチを添加することにより、30%程度の複合体生成率となった。
コーンスターチ2.0gをミニビーカーに入れて、105℃、3時間、開放系で高温乾燥処理した後、この乾燥処理物に、天野エンザイム製リパーゼL4粉末10mgを加えて、乳鉢中で摩砕混合し、その220mgを、密閉栓付12mL容バイアルに秤取り、反応基質溶液として、エタノール:オレイン酸の1:3容量混合液100μLを加え、水を各0μL、25μL、50μL、100μL、200μL加えて、撹拌混合した。
その結果、水が0〜50μLでは粉末状、100μLでケーキ状、200μLでバッター状であり、バイアルに密栓を施栓し、40℃で2日間、反応系を擬似粉末状態で反応させ、油脂類−アルコール類複合体組成物を製造した.反応後、エタノール2.5mLと水5mLを加えて、avを測定し、複合体生成率を求めた結果、水が50μLで27%、100μLで71%、200μLで54%、500μLでは液状となったが、複合体生成率は27%であった。また、バッター状反応物、ケーキ状反応物の高温乾燥処理物の破砕は容易であり、破砕により白色粉末となり、このままの状態で食品素材としての使用が可能であった。
密閉栓付12mL容バイアルに粉末基材として市販米粉(上新粉)250mg+オレイン酸50μL+水100μL+1%(w/v)L4酵素液(リパーゼ酵素剤)50μLの系の水100μLの代りに、20%、30%、50%(v/v)エタノール水溶液各100μLを加え、撹拌混合後、リパーゼの存在下で、密閉系で40℃、2日間、反応系を擬似粉末状態で反応させた。各反応系の状態はケーキ状であった。各反応系のavは、各々、80、70、90であり、複合体生成率は、各々、54%、60%、49%であった。また、99.5%(v/v)エタノール溶液の添加でリパーゼの反応は認められなかった。
アルコール類としてエタノール、油脂類としてオレイン酸を用いて、各種混合比(v/v)の溶液を調製し、その中の1:3の混合溶液100μLを上新粉250mgに水100μLと1%(w/v)L4酵素液(リパーゼ酵素剤)50μLとともに添加し、12mL容バイアル中でよく撹拌混合し、ケーキ状として、リパーゼの存在下で、反応系を擬似粉末状態で反応させ、油脂類−アルコール類複合体組成物を製造した。その結果、avは95となり、Bnkのavが219であることから、複合体生成率は57%となった。この混合溶液の上新粉250mgへの添加量は200μLが上限であり、これ以上の添加ではリパーゼの反応は亢進しなかった。
粉末基材として上新粉250mgに、オレイン酸50μL、20%(v/v)アルコール類溶液100μL、1%(w/v)L4酵素液(リパーゼ酵素剤)50μLを12mL容バイアル中でよく撹拌混合し、ケーキ状として、リパーゼの存在下で、反応系を擬似粉末状態で、密閉系で40℃、2日間反応させ、油脂類−アルコール類複合体組成物を製造した。その結果、各々、メタノールでの複合体生成率は59%、エタノールで59%、n−プロパノールで76%、イソプロパノールで53%、n−ブタノールで79%、イソブタノールで82%の値が得られた。
なお、グリセリンは50%(v/v)溶液、エチレングリコール、ポリエチレングリコールはエチレングリコール(液状)試薬特級、ポリエチレングリコール200(液状)試薬1級 平均分子量180〜220、ポリエチレングリコール4,000,000(白色粉末状)試薬1級 平均分子量3,600,000〜4,000,000の50%(v/v)または50%(w/v)溶液を用いて、同様にして、各々、複合体生成率26%、47%、21%、24%を得た。
上新粉250mgにナタネ油50μLと20%(v/v)エタノール溶液100μL、1%(w/v)L4酵素液(リパーゼ酵素剤)50μLを12mL容バイアル中でよく撹拌混合し、ケーキ状として、リパーゼの存在下で、反応系を擬似粉末状態で、密閉系で40℃、2日間反応させ、油脂類−アルコール類複合体組成物を製造した。反応後の試料にアセトン3mLを添加して油分を抽出し、3,000rpm(1,660×g)で10分間遠心分離し、上清を採取して、105℃、1時間処理して、アセトン、エタノールを蒸散除去した。
その後、コーンスターチ250mg+水100μL+1%(w/v)L4酵素液(リパーゼ酵素剤)50μLを添加し、密閉系で40℃、2日間反応させ、105℃、30分間、失活処理した後、水5mLを加えて抽出し、3,000rpm(1,660×g)で10分間遠心分離し、上清を採取して、HPLCでエタノールの量を測定した。その結果、5mL水溶液中の量は5mgであり、ナタネ油加水分解物がオレイン酸と同等のAVをもつものと仮定し、エタノール結合量は7.3mgとして計算すると、複合体生成率は68%となった。この他の液状油脂の場合も、ほぼ同等の結果を得た。
上新粉250mgにリノール酸50μLと20%(v/v)エタノール溶液100μL、1%(w/v)L4酵素液(リパーゼ酵素剤)50μLを12mL容バイアル中でよく撹拌混合し、ケーキ状として、リパーゼの存在下で、反応系を擬似粉末状態で反応させて、複合体生成率60%の結果を得た。なお、リノール酸、リノレン酸のavは、オレイン酸と同等であり、リノレン酸を用いて、同様に反応させて、同等の結果を得た。
この他、脂肪酸では、全般にアルコール類との複合体を形成しやすく、酪酸、カプロン酸、カプリル酸でも同様にして反応させることで、複合体の形成を認めることができた。また、固形のカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸は、等量(w/v)のアセトンに溶解または懸濁して、その100μLを添加して反応させることで、複合体の形成を認めることができた。
(食品素材としての応用例1)
飲料−乳飲料、茶飲料、コーヒー飲料への利用
飲料製造原料に、実施例1で糯米澱粉を用いて製造した食品素材を10%添加し、混合する工程の他は、常法により飲料(乳飲料、茶飲料、コーヒー飲料)を製造した。その際に、飲料に使用する食品素材は、溶解性を改良するために、リパーゼとα−アミラーゼを併用して擬似粉末状態での酵素反応(PPSER)を行った。その結果、優れた乳化性と安定性を有する飲料製品が得られた。
(食品素材としての応用例2)
練り製品−ソーセージ、蒲鉾への利用
練り製品製造原料に、実施例1で米粉を用いて製造した食品素材を10%添加し、混合する工程の他は、常法により練り製品(ソーセージ、蒲鉾)を製造した。その結果、優れた酸化安定性を有する練り製品が得られた。
(食品素材としての応用例3)
パン、麺類への利用
パン、麺類製造原料に、実施例7で上新粉、ナタネ油、エタノール溶液を用いて製造した食品素材を10%添加し、混合する工程の他は、常法によりパン、麺類を製造した。その結果、高品質のパン、麺類製品が得られた。
以上詳述したように、本発明は、粉末基材として、糖質系の穀粉、澱粉、および/またはたん白系素材を用い、反応基質として、油脂類とアルコール類を選択して、粉末基材と撹拌混合し、一定の水分量、一定の基質量の条件の擬似粉末状態にしてリパーゼの逆反応を亢進させ、油脂類−アルコール類複合体組成物を製造する方法とその製品に係るものである。本発明によれば、油脂類(脂肪酸)−アルコール類複合体組成物を含む食品素材が簡便に低コストで製造でき、乾燥処理を簡略化でき、食品加工での利用に便利で安価な食品素材を提供することができる。

Claims (10)

  1. 粉末基材として、糖質系の穀粉、澱粉および/またはたん白系素材を用い、反応基質として、アルコール類と油脂ないし脂肪酸の油脂類(DHAおよびEPAを除く)を選択して、粉末基材と混合し、リパーゼの存在下で、穀粉、澱粉および/またはたん白系素材に対して乾量基準含水率20〜200[d.b.%](乾燥粉末基材250mgに対しての水添加量50〜500μL)の範囲の、一定量のアルコール類、一定量の油脂類の擬似粉末状態にして、リパーゼの逆反応を亢進させ、油脂類−アルコール類複合体組成物を製造することを特徴とする油脂類−アルコール類複合体組成物の製造方法。
  2. 一定のアルコール類の添加量が、穀粉、澱粉および/またはたん白系素材に対して乾量基準含有率4〜20[d.b.%]の範囲である、請求項1に記載の方法。
  3. アルコール類と油脂類の混合比(v/v)が、1:1から1:6である、請求項1に記載の方法。
  4. アルコール類としてメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、グリセリン、エチレングリコール、またはポリエチレングリコールを用い、穀粉、澱粉および/またはたん白系素材に対して乾量含有率20〜60[d.b.%]の範囲の、一定量のアルコール類、一定量の油脂類の擬似粉末状態にする、請求項3に記載の方法。
  5. 油脂が、サラダ油、ナタネ油、大豆油、パーム油、ヤシ油、中鎖脂肪酸トリグリセリド油、コーン油、べに花油、オリーブ油、ごま油、ヒマワリ油、こめ油またはココナッツ油であり、脂肪酸が、オレイン酸、リノール酸、またはリノレン酸である、請求項1に記載の方法。
  6. 穀粉が、米粉、白米ぬか、または小麦粉であり、澱粉が、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉、粳米澱粉、糯米澱粉、トウモロコシ澱粉、糯トウモロコシ澱粉、小麦澱粉、またはサゴ澱粉であり、たん白系素材が、アルブミン(卵白系)、グルテン(小麦たん白系)、カゼイン(ミルクたん白系)、ツェイン(トウモロコシたん白系)、大豆たん白、またはゼラチンである、請求項1に記載の方法。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の製造方法により製造された、油脂類−アルコール類複合体組成物からなることを特徴とする食品素材。
  8. アルコール類としてメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、グリセリン、エチレングリコール、またはポリエチレングリコールを用い、穀粉、澱粉および/またはたん白系素材に対して乾量含有率20〜60[d.b.%]の範囲の、一定量のアルコール類、一定量の油脂類の擬似粉末状態にする、請求項7に記載の食品素材。
  9. 油脂が、サラダ油、ナタネ油、大豆油、パーム油、ヤシ油、中鎖脂肪酸トリグリセリド油、コーン油、べに花油、オリーブ油、ごま油、ヒマワリ油、こめ油またはココナッツ油であり、脂肪酸が、オレイン酸、リノール酸、またはリノレン酸である、請求項7に記載の食品素材。
  10. 穀粉が、米粉、白米ぬか、または小麦粉であり、澱粉が、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉、粳米澱粉、糯米澱粉、トウモロコシ澱粉、糯トウモロコシ澱粉、小麦澱粉、またはサゴ澱粉であり、たん白系素材が、アルブミン(卵白系)、グルテン(小麦たん白系)、カゼイン(ミルクたん白系)、ツェイン(トウモロコシたん白系)、大豆たん白、またはゼラチンである、請求項7に記載の食品素材。
JP2014199272A 2014-09-29 2014-09-29 擬似粉末状態でリパーゼを逆反応させて油脂類−アルコール類複合体組成物を製造する方法およびその複合体組成物からなる食品素材 Pending JP2016067264A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014199272A JP2016067264A (ja) 2014-09-29 2014-09-29 擬似粉末状態でリパーゼを逆反応させて油脂類−アルコール類複合体組成物を製造する方法およびその複合体組成物からなる食品素材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014199272A JP2016067264A (ja) 2014-09-29 2014-09-29 擬似粉末状態でリパーゼを逆反応させて油脂類−アルコール類複合体組成物を製造する方法およびその複合体組成物からなる食品素材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016067264A true JP2016067264A (ja) 2016-05-09

Family

ID=55863288

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014199272A Pending JP2016067264A (ja) 2014-09-29 2014-09-29 擬似粉末状態でリパーゼを逆反応させて油脂類−アルコール類複合体組成物を製造する方法およびその複合体組成物からなる食品素材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016067264A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Ferreira-Dias et al. The potential use of lipases in the production of fatty acid derivatives for the food and nutraceutical industries
CN1981046B (zh) 水解卵磷脂产物的酶促生产
Gerits et al. Lipases and their functionality in the production of wheat‐based food systems
JP6467573B2 (ja) 乳化能をもつ食品素材を製造する方法及びその食品素材
Tirgarian et al. Enzyme-assisted aqueous extraction of oil and protein hydrolysate from sesame seed
CN104962535B (zh) 脂肪酶粉末制剂、其制备方法及应用
Wang et al. Effects of β-cyclodextrin on the enzymatic hydrolysis of hemp seed oil by lipase Candida sp. 99–125
Mehta et al. Application of lipase purified from Aspergillus fumigatus in the syntheses of ethyl acetate and ethyl lactate
JP3865294B2 (ja) 新規な高分岐環状デキストリンを含有する粉末状油脂及びその製造方法及びそれを利用した飲食物
Machado et al. Hydrolysis of vegetable and microbial oils catalyzed by a solid preparation of castor bean lipase
WO1991006661A1 (en) Lipase-catalyzed in situ generation of mono- and di-glycerides
Ghaffari-Moghaddam et al. Application of response surface methodology in enzymatic synthesis: A review
JP5585454B2 (ja) 乳化粉末リパーゼ製剤の製造方法
JP5292169B2 (ja) ケーキ類の製造方法
Sztuka et al. The influence of hydrophobic substances on water vapor permeability of fish gelatin films modified with transglutaminase or 1-ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl) carbodiimide (EDC)
JP2016067264A (ja) 擬似粉末状態でリパーゼを逆反応させて油脂類−アルコール類複合体組成物を製造する方法およびその複合体組成物からなる食品素材
Barros et al. Lipase-catalyzed Production of Sugar Esters in Pressurized Fluid Media: A Review
Xie et al. Solvent-free synthesis of high-purity sucrose fatty acid monoesters and a comparison of their properties with those of their commercial counterparts
JPH09322770A (ja) 油中に安定分散した酵素剤組成物及びその製造法と利用方法
JP2017184675A (ja) 油脂類を低水分状態でリパーゼに作用させ、起泡性および/または乳化性をもつ素材を製造する方法とその製品
DK2177608T3 (en) Immobilized lipase and process for producing the same
JP2016067267A (ja) 擬似粉末状態でリパーゼを逆反応させて油脂類−メントール、コレステロールまたはポリフェノール類複合体組成物を製造する方法およびその複合体組成物からなる食品素材
Park et al. Selective production of 1-monocaprin by porcine liver carboxylesterase-catalyzed esterification: Its enzyme kinetics and catalytic performance
Singh et al. Enzymatic synthesis of mono-and diglyceride using lipase from candida rugosa immobilized onto cellulose acetate-coated Fe 2 O 3 nanoparticles
US20190105624A1 (en) Method for Producing Material Having Foaming and/or Emulsifying Properties by Reacting Oils and Fats with Lipase in Low Moisture State and Product Thereof