JP2016065794A - 放射線防護用具、及び放射線防護用具を備えた放射線防護システム - Google Patents

Abstract

【課題】医療従事者の被曝放射線量を大幅に低減すると共に、手術時に広い作業領域を確保する。また、放射線防護用具の各構成部品のサイズを小さくして、その重量を低減する。さらに、手術前に短時間で設置することができ、且つ手術後の片付けが容易な放射線防護用具を提供する。【解決手段】放射線防護用具１０が、線源装置１０１の周囲に配置され、放射線を遮蔽する第１防護シートと、第１防護シートとは別体に構成され、手術台９の側方に配置されると共に、放射線を遮蔽する第２防護シートと、第１防護シート１及び第２防護シートとは別体に構成され、術野を露出させるように術野の周囲に配置されると共に、放射線を遮蔽する第３防護シートとを備える。【選択図】図１

Description

本発明は、医療従事者の放射線被曝を低減する放射線防護用具、及び該放射線防護用具を備えた放射線防護システムに関する。

特許文献１には、Ｘ線テーブル上の患者を覆い、作業領域をＣ字状アーム付きＸ線エミッタから分離する放射線保護システムが開示されている。この放射線保護システムは、放射線遮蔽壁と、Ｘ線テーブル上の放射線遮蔽スクリーンと、放射線遮蔽スクリーン及びＸ線テーブルを放射線遮蔽壁に連結する放射線遮蔽用の可撓性インターフェイスとを備えている。また、放射線遮蔽スクリーンは、Ｘ線テーブルに取り付けられた複数のスクリーン支持部と、このスクリーン支持部に取り付けられた放射線耐性隔壁とを有する。

そして、放射線遮蔽スクリーンが拡張した状態にあるとき、放射線遮蔽スクリーンは作業領域内にあるＸ線テーブルを覆い、患者と医者の間には放射線耐性隔壁が介在する。また、蛍光透視処置を行っている際は、放射線遮蔽スクリーンを、Ｘ線テーブルの脚部から患者の中央腹部まで延ばす。この放射線遮蔽スクリーンは、スクリーン支持部がＸ線テーブルに沿ってスライドするときに折り畳むことができる。

また、放射線遮蔽スクリーンはアクセスポートを有し、医者は手術器具を用いて患者に処置を施すことができる。そして、各アクセスポートは、放射線遮蔽スクリーンに取り付けられた放射線遮蔽クロークにより覆われている。この放射線遮蔽クロークが、各アクセスポートを介して散乱する放射線から、Ｘ線テーブルの周りで処置する医者を保護することを支援する。

特許第５０１６７７４号明細書

特許文献１の放射線保護システムによれば、散乱する放射線から医療従事者を保護することができる。しかし、例えば内視鏡下脊椎手術を行う場合には、放射線遮蔽壁によって作業領域が狭められ、手術を行うことが難しくなってしまう。また、放射線保護システムの各構成部品のサイズが大きく、各構成部品は鉛等を含む遮蔽材を有するため、その重量が重くなってしまう。さらに、放射線保護システムの設置に時間がかかると共に、手術後に放射線保護システムの構成部品を片付けるのに手間がかかってしまう。

上記課題を解決するため、本発明の一例としての放射線防護用具は、線源装置の周囲に配置され、放射線を遮蔽する第１防護シートと、前記第１防護シートとは別体に構成され、手術台の側方に配置されると共に、放射線を遮蔽する第２防護シートと、前記第１及び第２防護シートとは別体に構成され、術野を露出させるように前記術野の周囲に配置されると共に、放射線を遮蔽する第３防護シートとを備える。

また、本発明の他の例としての放射線防護システムは、線源装置及び検出器を備えた撮影装置と、上記放射線防護用具とを備える。

これにより、医療従事者の被曝放射線量を大幅に低減することができると共に、手術時に広い作業領域を確保できる。また、放射線防護用具の各構成部品のサイズを小さくできるため、その重量を低減することができる。さらに、手術前に短時間で設置することができ、且つ手術後の片付けが容易な放射線防護用具を提供することができる。

本発明のさらなる特徴は、添付図面を参照して例示的に示した以下の実施例の説明から明らかになる。

第１実施形態に係る放射線防護システムの概略斜視図である。 Ａは第１防護シートの展開状態を示し、Ｂは第１防護シートの取り付け後の状態を示す。 Ａは第１及び第２防護シートの展開状態を示し、Ｂは第１及び第２防護シートの取り付け後の状態を示す。 展開状態の第３防護シートを示す。 第２実施形態に係る展開状態の第３防護シートを示す。

以下、本発明を実施するための例示的な実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の実施形態で説明する寸法、材料、形状、構成要素の相対的な位置等は任意であり、本発明が適用されるシステムの構成又は様々な条件に応じて変更できる。また、特別な記載がない限り、本発明の範囲は、以下に具体的に記載された実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において、上下とは重力方向における上方向と下方向とにそれぞれ対応する。また、水平方向とは、手術台が設置される床面に対して水平な方向に対応する。

［第１実施形態］
図１を用いて、第１実施形態に係る放射線防護システム１００について説明する。図１は、放射線防護システム１００の概略斜視図であり、手術台９の足側から見た状態を示している。なお、図１においては、手術台９の右側が患者の足側に対応し、手術台９の左側が患者の頭側に対応する。

図１に示すように、放射線防護システム１００は、線源装置１０１及び検出器１０２を備えた撮影装置１１０と、手術対象である患者が横たわる手術台９とを備える。また、図１においては、放射線防護用具１０の防護シートを支持する第１シート支持部５及び第２シート支持部６を図示している。なお、図１においては、説明の便宜のため防護シートの図示を省略しており、第１防護シートの第２側面シート１２及び第２防護シートの足側シート２４のみを点線で図示している。

撮影装置１１０としては、放射線を用いる種々の医療用撮影装置が含まれるが、以下ではＸ線撮影装置（外科用イメージ装置）を例に説明する。この撮影装置１１０は、Ｘ線管及びＸ線絞り装置（不図示）を有する線源装置１０１を備える。そして、Ｘ線管は、供給される高電圧を用いてＸ線を発生させる。また、Ｘ線絞り装置は、Ｘ線管によって発生されたＸ線の一部を遮蔽して照射野を制御する。また、撮影装置１１０は、線源装置１０１から放出されて、手術台９上の患者を透過する放射線（Ｘ線）を電荷に変換して検出する検出器１０２を備える。

また、撮影装置１１０は、線源装置１０１及び検出器１０２を支持するＣ型のアームを備える。そして、一回の手術において、撮影位置を複数回変えることも多いため、アームは、上下方向への移動、アームの軸周りでの回動、アームの湾曲方向に沿ったスライド移動等の様々な動作を行うことができる。

手術を行う場合、術者（医療従事者）は図１の右側（線源装置１０１に対して患者の足側）、又は図１の左側（線源装置１０１に対して患者の頭側）に立って作業を行う。そのため、術者を放射線から保護するために、線源装置１０１の周囲には、線源装置１０１から放出される放射線を防護するための第１防護シート（図１では後述する第２側面シート１２のみを点線で表示している）を配置する。

また、患者から出射する散乱線を防護するために、術者と患者との間、すなわち手術台９の側方にも第２防護シート（図１では後述する足側シート２４のみを点線で表示している）を配置する。さらに、術野の近傍から出射する散乱線を防護するために、術野の周囲にも第３防護シートを配置する（図示省略）。

これらの防護シートを支持するために、放射線防護用具１０は第１シート支持部５及び第２シート支持部６を備えている。第１シート支持部５は、線源装置１０１を挟んで配置される一対のシート支持部を有する。同様に、第２シート支持部６は、検出器１０２を挟んで配置される一対のシート支持部を有する。そして、いずれのシート支持部も、手術台９に固定される固定部と、本体となるポールとを有している。なお、シート支持部の本体形状を除き、第１シート支持部５と第２シート支持部６とは同じ構成を有する。そのため、以下では、第１シート支持部５について説明する。

第１シート支持部５の固定部５６は、第１シート支持部５のポールの下端部が挿入可能なポールクランプによって構成することができる。この固定部５６は、手術台９側に断面略コの字状の受け部を有している。そして、該受け部を手術台９に設けられたレールに挿入することによって、固定部５６が手術台９に取り付けられる。これにより、固定部５６は、手術台９の長手方向に沿って移動可能に取り付けられる。そのため、線源装置１０１又は検出器１０２から第１シート支持部５までの距離を適宜調整できる。

また、固定部５６には、ポールの下端部を挿入可能な挿入穴が形成されている。そして、下端部を該挿入穴に挿入した後に、レバー５７を回動させることによって、固定部５６内で下端部を挟んで固定することができる。また、レバー５７を緩めることによって、上下方向に沿って第１シート支持部５を移動させることができる。これにより、手術台９に対する第１シート支持部５の高さを適宜調整できる。

また、第１シート支持部５は、図１の水平方向Ａ（放射線の出射方向）に延在する第１延在部５１を有している。さらに、第１シート支持部５は、第１延在部５１に連続する第２延在部５２を有しており、第２延在部５２は図１の垂直方向Ｂ（下方向）に延在している。また、第１シート支持部５は、固定部５６を中心に、水平方向に回動可能である。そして、レバー５７を緩めることにより、第１延在部５１の向きを変更し、その位置を適宜調整できる。

第１シート支持部５のポールは、直径１３〜１４ｍｍ、長さ１４５ｃｍのステンレスパイプを折り曲げて形成することができる。そして、第１シート支持部５のうち、患者の足側に配置される一方のシート支持部は、４５ｃｍの第１延在部５１と、第１延在部５１から下方に９０°折り曲げて形成された５０ｃｍの第２延在部５２とを有している。さらに、該一方のシート支持部は、第２延在部５２から出射方向に９０°折り曲げて形成された２０ｃｍの第３延在部５３と、手術台９の長手方向に沿って足側に９０°折り曲げて形成された１５ｃｍの第４延在部５４と、第４延在部５４から下方に９０°折り曲げて形成された１５ｃｍの第５延在部５５とを有している。

また、第１シート支持部５の他方のシート支持部は、線源装置１０１に対して一方のシート支持部と対称的な形状を有している。すなわち、該他方のシート支持部は、４５ｃｍの第１延在部５１と、第１延在部から下方に９０°折り曲げて形成された５０ｃｍの第２延在部５２と、第２延在部５２から出射方向に９０°折り曲げて形成された２０ｃｍの第３延在部５３と、手術台９の長手方向に沿って頭側に９０°折り曲げて形成された１５ｃｍの第４延在部５４と、第４延在部５４から下方に９０°折り曲げて形成された１５ｃｍの第５延在部５５とを有している。

一方、第２シート支持部６のポールは、直径１３〜１４ｍｍ、長さ１１０ｃｍのステンレスパイプを折り曲げて形成することができる。そして、第２シート支持部６のポールは、いずれも略Ｌ字状の形状を有している。すなわち、第２シート支持部６は、放射線の出射方向に延在する４５ｃｍの第１延在部６１と、第１延在部６１から下方に９０°折り曲げて形成された６５ｃｍの第２延在部６２とを有している。なお、第２シート支持部６の第１延在部６１には、防護シートを取り付けるための面ファスナー６８が取り付けられている。

また、第２シート支持部６の第２延在部６２の端部も、手術台９に取り付けられた固定部（ポールクランプ）に挿入されて固定される。なお、第１シート支持部５及び第２シート支持部６の固定部はポールクランプには限定されない。例えば、シート支持部のポールに形成された穴に挿入可能なピンによって、固定部を構成することもできる。

続いて、図２Ａ、図２Ｂ、図３Ａ、図３Ｂ及び図４を参照して第１〜第３防護シートの取り付けを説明する。なお、図２Ａ、図３Ａ及び図４においては、展開した状態の防護シートを上方から見た様子を図示しており、右側が患者の足側に対応し、左側が患者の頭側に対応する。また、図２Ｂ及び図３Ｂにおいては、取り付け後に垂れ下がった状態の防護シートを上方から見た様子を図示している。

放射線防護用具１０は、線源装置１０１の周囲に配置され、放射線を遮蔽する第１防護シート１と、術者と患者の間に配置されると共に、放射線を遮蔽する第２防護シート２と、術野を露出させるように術野の周囲に配置されると共に、放射線を遮蔽する第３防護シート３とを備えている。そして、第１防護シート１、第２防護シート２及び第３防護シート３は、それぞれ別体に構成されている。

また、各防護シートは、表面材と、表面材の内側に設けられた放射線の遮蔽材とを有している。例えば、防護シートは、鉛当量０．２５ｍｍＰｂのシートによって形成されており、８０〜９９％程度の放射線を遮蔽する遮蔽能力を有する。

このような防護シートは、折り畳んで保管すると、折り目の部分の遮蔽材が損傷して遮蔽能力が低下する可能性がある。そのため、サイズが大きい場合であっても防護シートを折り畳むことはできず、大きな保管スペースを用意する必要がある。この点、第１実施形態によれば、第１防護シート１、第２防護シート２及び第３防護シート３が、それぞれ別体に構成されている。これにより、各防護シートのサイズを小さくすることができ、折り畳まずに重ねて保管することができる。そのため、大きな保管スペースを用意する必要がなく、折り目の部分の遮蔽材が損傷する恐れもない。

また、第１防護シート１、第２防護シート２及び第３防護シート３が、それぞれ別体に構成されていることにより、各防護シートの重量を軽くすることができる。例えば、２００ｃｍ×７０ｃｍの寸法を有する防護シートの場合、約５．４ｋｇ〜約１０．０ｋｇ程度の重量となり、取り付けが容易ではない。一方、１００ｃｍ×７０ｃｍの寸法を有する防護シートの場合は、この半分の重量となるので取り付けが比較的に容易である。

この放射線防護用具１０を手術台９に取り付ける場合、まず手術台９に第２シート支持部６（図１）を取り付ける。この第２シート支持部６は、手術台９上（患者上）に第１延在部６１が位置するように取り付けられる。続いて、手術台９に第１シート支持部５（図１）を取り付ける。この第１シート支持部５は、第１延在部５１が線源装置１０１を挟むように取り付けられる。

次に、図２Ａに示すように、線源装置１０１の周囲に第１防護シート１（第１防護シートセット）を配置する。第１防護シート１は、線源装置１０１の第１側面に面する第１側面シート１１と、線源装置１０１の第１側面とは反対側にある第２側面に面する第２側面シート１２と、線源装置１０１の背面及び上面に面する背面シート１３とを有する。なお、線源装置１０１の背面とは、検出器１０２に面する側とは反対側の面である。そして、第１側面シート１１、第２側面シート１２及び背面シート１３は、互いに別体に構成することができる。これにより、各防護シートのサイズをより小さくすることができると共に、その重量をより軽くすることができる。

第１側面シート１１は、第１シート支持部５の第１延在部５１に取り付けられる。この第１側面シート１１は、１００×７０ｃｍの寸法を有する矩形形状を有し、その上端部分には一対の上縁面ファスナー１１１が設けられている。そして、第１側面シート１１を取り付ける場合は、まず一対の上縁面ファスナー１１１同士をくっつけることにより、上端部分が断面略リング形状となるように折り曲げる。続いて、第１シート支持部５の一方のシート支持部の第１延在部５１をリング形状の内側に通して、第１側面シート１１を第１延在部５１に取り付ける。

同様に、第２側面シート１２は、第１延在部５１に取り付けられる。この第２側面シート１２は、１１０×７０ｃｍの寸法を有する矩形状の防護シートであり、その上端部分には一対の上縁面ファスナー１２１が設けられている。そして、第２側面シート１２を取り付ける場合、まず一対の上縁面ファスナー１２１同士をくっつけることにより、上端部分が断面略リング形状となるように折り曲げる。続いて、第１シート支持部５の他方のシート支持部の第１延在部５１をリング形状の内側に通して、第２側面シート１２を第１延在部５１に取り付ける。

また、背面シート１３は、第１側面シート１１及び第２側面シート１２に取り付けられる。この背面シート１３は、１３０×３０ｃｍの寸法を有する矩形状の防護シートである。そして、その両側縁部分の裏面には、一対の側縁面ファスナー１３１が設けられている。また、第１側面シート１１には側縁面ファスナー１１２が設けられており、第２側面シート１２にも側縁面ファスナー１２２が設けられている。そして、背面シート１３を取り付ける場合、背面シート１３の側縁面ファスナー１３１を、第１側面シート１１の側縁面ファスナー１１２及び第２側面シート１２の側縁面ファスナー１２２にくっつける。なお、裏面に設けられる側縁面ファスナー１３１は点線で図示している。

図２Ｂに示すように、取り付けられた第１側面シート１１及び第２側面シート１２は、線源装置１０１の両側に位置している。そして、第１側面シート１１及び第２側面シート１２は、第１シート支持部５によって支持されて、床面側に垂れ下がる。また、取り付けられた背面シート１３は、線源装置１０１の後側及び上側に位置している。そして、第１側面シート１１及び第２側面シート１２を介して第１シート支持部５によって支持されて、床面側に垂れ下がる。また、第１側面シート１１、第２側面シート１２及び背面シート１３は、端部同士を重ね合わせてくっつけることにより、隙間なく配置される。

次に、術者と患者（手術台９）との間に第２防護シート２（第２防護シートセット）を配置する。図３Ａで示すように、第２防護シート２は、線源装置１０１に対して患者の足側に配置される足側シート２４と、線源装置１０１に対して患者の頭側に配置される頭側シート２５とを有する。そして、足側シート２４及び頭側シート２５は、互いに別体に構成することができる。これにより、各防護シートのサイズをより小さくすることができると共に、その重量をより軽くすることができる。

足側シート２４は、手術台９の側方に取り付けられる。この足側シート２４は、５０×７０ｃｍの寸法を有する矩形状の防護シートであり、その上端部分には上縁面ファスナー２４１が設けられている。そして、足側シート２４を取り付ける場合、上縁面ファスナー２４１を手術台９に設けられた面ファスナー９１（図１）にくっつける。なお、裏面に設けられる上縁面ファスナー２４１は点線で図示している。

頭側シート２５は、第１側面シート１１と、第２シート支持部６の第１延在部６１とに取り付けられる。この頭側シート２５は、１１０×８０ｃｍの寸法を有する矩形状の防護シートである。そして、頭側シート２５の側縁部分の裏側には、側縁面ファスナー２５１が設けられている。また、第１延在部６１には、面ファスナー６８（図１）が設けられている。また、頭側シート２５の上縁部分の裏側には、上縁面ファスナー２５２が設けられている。また、第１側面シート１１の手術台９側の側縁部分には、側縁面ファスナー１１３（図２Ａ）が設けられている。

そして、頭側シート２５を取り付ける場合、側縁面ファスナー２５１を第１側面シート１１の側縁面ファスナー１１３にくっつける。同時に、上縁面ファスナー２５２を第１延在部６１の面ファスナー６８にくっつける。なお、裏面に設けられる側縁面ファスナー２５１及び上縁面ファスナー２５２は、点線で図示している。

図３Ｂに示すように、取り付けられた頭側シート２５は、第１延在部６１及び第１側面シート１１によって支持される。また、頭側シート２５の一部は、手術台９の側方に位置し、頭側シート２５の他部は、患者の一部を覆うように、第１側面シート１１と手術台９との間にわたって配置される。また、足側シート２４と第２側面シート１２、及び頭側シート２５と第１側面シート１１は、端部同士を重ね合わせることにより隙間なく配置される。なお、第２防護シート２は片側一枚のみでもよいが、通常は複数の医療従事者が手術に関わるため、線源装置１０１の両側に第２防護シート２が配置される。

次に、図４で示すように、術野Ｓの周囲に第３防護シート３（第３防護シートセット）を配置する。第３防護シート３は、矩形状の領域を露出させるように組み合わせられる少なくとも２つのシートを有する。そして、第１実施形態の第３防護シート３は、術野Ｓを囲む四枚の防護シート（第１〜第４術野シート）を有している。この第１〜第４術野シートは、互いに別体に構成されている。これにより、各防護シートのサイズをより小さくすることができると共に、その重量をより軽くすることができる。なお、術野Ｓは、例えば、一辺１５〜４５ｃｍの矩形の領域である。

また、第１〜第４術野シートそれぞれの術野Ｓ側の縁部は、矩形状の術野Ｓの各辺を画定している。なお、第３防護シート３を配置した後に、第３防護シート３を滅菌済みのオイフ（不図示）で覆い、オイフを患者の体にテープで接着する。そのため、第３防護シート３と術野Ｓとの間にはオイフが位置することとなる。これにより、手術中に、第３防護シート３が術野Ｓに重なってしまうことは防止される。また、オイフに代えて、第３防護シート３を滅菌して患者の体に接着してもよい。さらに、第３防護シート３を滅菌したカバーに収容して患者の体に接着してもよい。

第３防護シート３を配置する場合、まず、第１術野シート３６を第１シート支持部５及び第２シート支持部６上に載置する。この第１術野シート３６は、１４０×９０ｃｍの寸法を有する矩形状の防護シートである。そして、第１術野シート３６を配置する場合、第１術野シート３６は、線源装置１０１を覆い且つ患者Ｐの一部に重なるように配置される。

また、第１術野シート３６は、第１防護シート１（第１側面シート１１、第２側面シート１２及び背面シート１３）、及び頭側シート２５の一部に重なる。すなわち、第１術野シート３６は、第１側面シート１１、第２側面シート１２及び背面シート１３を介して、第１シート支持部５上に載置される。また、第１術野シート３６は、頭側シート２５を介して、第２シート支持部６上に載置される。

続いて、第２術野シート３７を第２シート支持部６上に取り付ける。このとき、第２術野シート３７は、患者Ｐの一部に重なるように配置される。この第２術野シート３７は、７０×５０ｃｍの寸法を有する矩形状の防護シートであり、その一部には面ファスナー（不図示）が設けられている。そして、第２術野シート３７を取り付ける場合、第２術野シート３７の面ファスナーを、第１延在部６１の面ファスナー６８にくっつける。これにより、第２術野シート３７は第２シート支持部６に取り付けられる。

続いて、第３術野シート３８を第２シート支持部６上に載置する。この第３術野シート３８は、５０×６０ｃｍの寸法を有する矩形状の防護シートである。そして、第３術野シート３８を配置する場合、第３術野シート３８は、第１術野シート３６及び第２術野シート３７の一部と、患者Ｐの一部に重なるように配置される。すなわち、第３術野シート３８は、第１術野シート３６を介して第１シート支持部５上に載置され、且つ第２術野シート３７を介して第２シート支持部６上に載置される。

そして、第４術野シート３９を第２シート支持部６上に載置する。この第４術野シート３９は、５０×２５ｃｍの寸法を有する矩形状の防護シートである。そして、第４術野シート３９を配置する場合、第４術野シート３９は、第１術野シート３６、第２術野シート３７及び頭側シート２５の一部と、患者Ｐの一部に重なるように配置される。すなわち、第４術野シート３９は、第２術野シート３７及び頭側シート２５を介して、第２シート支持部６上に載置される。

このように、第３防護シート３は、術野Ｓを囲む複数の防護シートが互いに別体で構成されているため、任意の広さ及び形状の術野Ｓを露出させることができる。すなわち、第１術野シート３６、第２術野シート３７、第３術野シート３８及び第４術野シート３９の重なりの程度を変えることにより、露出される術野Ｓの広さ及び形状を変えることができる。したがって、患者の体型又は術式に応じて、術野Ｓの広さが異なったとしても、術野Ｓを防護シートで囲むことができる。

このような第１実施形態に係る放射線防護用具１０によれば、医療従事者の被曝放射線量を大幅に低減することができる。具体的に、該放射線防護用具１０を用いて放射線被曝量を測定した結果、実効線量当量を従来の２０分の１程度に軽減できることが分かった。

また、第１実施形態に係る放射線防護用具１０によれば、手術時に広い作業領域を確保できる。また、放射線防護用具１０の各構成部品のサイズを小さくできるため、その重量を低減することができる。さらに、手術前に短時間で設置することができ、且つ手術後の片付けを容易に行うことができる。

［第２実施形態］
続いて、図５を参照して第２実施形態に係る放射線防護用具１０について説明する。図５は、第３防護シート２０３の取り付けを説明する図であり、第１防護シート１及び第２防護シート２の図示は省略している。また、図５は展開した状態の第３防護シート２０３を上方から見た様子を図示しており、図５の右側が患者の足側に対応し、同左側が患者の頭側に対応する。

なお、第２実施形態の説明においては、第１実施形態との相違点について説明し、第１実施形態で説明した構成要素については同じ参照番号を付し、その説明を省略する。特に説明した場合を除き、同じ参照符号を付した構成要素は略同一の動作及び機能を奏し、その作用効果も略同一である。

第２実施形態においては、第３防護シート２０３の形状が第１実施形態とは異なる。具体的には、第３防護シート２０３は、術野Ｓを囲む二枚の防護シート（第１術野シート２３６及び第２術野シート２３７）を有している。そして、第１術野シート２３６及び第２術野シート２３７は、いずれも略Ｌ字状の形状を有している。この２実施形態に係る第３防護シート２０３によっても、矩形状の領域を露出させるように第１術野シート２３６及び第２術野シート２３７を組み合わせることができる。

また、第１術野シート２３６及び第２術野シート２３７は、互いに別体に構成されている。これにより、各防護シートのサイズをより小さくすることができると共に、その重量をより軽くすることができる。そして、第１術野シート２３６及び第２術野シート２３７それぞれの術野Ｓ側の二つの縁部は、矩形状の術野Ｓの各辺を画定している。なお、第２実施形態においても、第３防護シート２０３を滅菌済みのオイフ（不図示）で覆い、オイフを患者Ｐの体にテープで接着する。また、オイフに代えて、第３防護シート２０３を滅菌して患者の体に接着してもよい。さらに、第３防護シート２０３を滅菌したカバーに収容して患者の体に接着してもよい。

この第３防護シート２０３を配置する場合、まず、第１術野シート２３６を第１シート支持部５上に載置して、第２シート支持部６に取り付ける。この第１術野シート２３６は略Ｌ字状の防護シートであり、１８０×９０ｃｍの寸法を有する矩形から３０×６０ｃｍの寸法を有する矩形を切り欠いた形状を有する。また、第１術野シート２３６の一部には面ファスナー（不図示）が設けられている。

第１術野シート２３６を配置する場合、線源装置１０１を覆い、不図示の第１防護シート１と、不図示の足側シート２５の一部と、患者Ｐの一部に重なるように配置される。すなわち、第１術野シート２３６は、第１防護シート１を介して、第１シート支持部５上に載置される。同時に、第１術野シート２３６の面ファスナーを、第２シート支持部６の面ファスナー６８にくっつける。これにより、第１術野シート２３６は第２シート支持部６に取り付けられる。

続いて、第２術野シート２３７を第２シート支持部６上に取り付ける。このとき、第２術野シート２３７は、不図示の足側シート２５の一部と、患者Ｐの一部に重なるように配置される。この第２術野シート２３７は略Ｌ字状の防護シートであり、１００×８５ｃｍの寸法を有する矩形から５０×４０ｃｍの寸法を有する矩形を切り欠いた形状を有する。また、第２術野シート２３７の一部には面ファスナー（不図示）が設けられている。そして、第２術野シート２３７を取り付ける場合、第２術野シート２３７の面ファスナーを第２シート支持部６の面ファスナー６８にくっつける。これにより、第２術野シート２３７は第２シート支持部６に取り付けられる。

このように、第２実施形態の第３防護シート２０３においても、術野Ｓを囲む複数の防護シートが互いに別体で構成されているため、任意の広さ及び形状の術野Ｓを露出させることができる。すなわち、第１術野シート２３６及び第２術野シート２３７の重なりの程度を変えることにより、露出される術野Ｓの広さ及び形状を変えることができる。したがって、患者の体型又は術式に応じて、術野Ｓの広さが異なったとしても、術野Ｓを防護シートで囲むことができる。

このような第２実施形態に係る放射線防護用具１０によっても、医療従事者の被曝放射線量を大幅に低減することができると共に、手術時に広い作業領域を確保できる。また、放射線防護用具１０の各構成部品のサイズを小さくできるため、その重量を低減することができる。さらに、手術前に短時間で設置することができ、且つ手術後の片付けを容易に行うことができる。

以上、各実施形態を参照して本発明について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明に反しない範囲で変更された発明、及び本発明と均等な発明も本発明に含まれる。また、上述の各実施形態及び各変形例は、本発明に反しない範囲で適宜組み合わせることができる。

例えば、各防護シートのサイズは、撮影装置１１０の大きさ等に応じて任意に変更することができる。特に、第１側面シート１１及び第２側面シート１２の長さは、線源装置１０１の高さに応じて適宜設定することができる。また、第１防護シート１は四枚以上又は二枚の防護シートを有していてもよい。そして、第２防護シート２は三枚以上の防護シートを有していてもよい。さらに、第３防護シート３は五枚以上の防護シートを有していてもよい。また、第３防護シート３の第１術野シート３６が線源装置１０１の上方を覆っているが、第１術野シート３６は線源装置１０１を覆わない大きさで構成してもよい。

また、第１シート支持部５は、第２シート支持部６と同様に、略Ｌ字状の形状に構成することができる。また、第１シート支持部５及び第２シート支持部６は、防護シートを支持できる形状であればよく、円弧形状に曲げられたパイプによって構成してもよい。また、第１シート支持部５及び第２シート支持部６は、板状のステンレスプレートによって構成してもよい。ただし、衝立のような大型なシート支持部は倒れる可能性があるため、手術台９に固定可能な比較的小型のシート支持部が好ましい。

また、防護シートをシート支持部に取り付ける手段は面ファスナーに限られない。例えば、スナップボタン、ベルト、及び接着テープ等の手段を用いて防護シートを取り付けることができる。さらに、防護シートに筒状の取り付け部を設けて、該取り付け部によってシート支持部に取り付けてもよい。

１：第１防護シート、２：第２防護シート、３：第３防護シート、５：第１シート支持部、６：第２シート支持部、９：手術台、１０：放射線防護用具、１１：第１側面シート、１２：第２側面シート、１３：背面シート、５１：第１延在部、５２：第２延在部、５６：固定部、６１：第１延在部、６２：第２延在部、１００：放射線防護システム、１０１：線源装置、１０２：検出器、１１０：撮影装置、Ｓ：術野

Claims (6)

1. 線源装置の周囲に配置され、放射線を遮蔽する第１防護シートと、
   前記第１防護シートとは別体に構成され、手術台の側方に配置されると共に、放射線を遮蔽する第２防護シートと、
   前記第１及び第２防護シートとは別体に構成され、術野を露出させるように前記術野の周囲に配置されると共に、放射線を遮蔽する第３防護シートとを備える、放射線防護用具。
2. 前記第３防護シートは、矩形状の領域を露出させるように組み合わせられる少なくとも２つのシートを有し、
   前記２つのシートは、互いに別体に構成されている、請求項１に記載の放射線防護用具。
3. 前記第１防護シートは、前記線源装置の第１側面に面する第１側面シートと、前記線源装置の第２側面に面する第２側面シートと、前記線源装置の背面に面する背面シートとを有し、
   前記第１側面シート、前記第２側面シート及び前記背面シートは、互いに別体に構成されている、請求項１又は２に記載の放射線防護用具。
4. 前記第１防護シート又は前記第３防護シートを支持するシート支持部を備える、請求項１から３のいずれか１項に記載の放射線防護用具。
5. 前記シート支持部は、水平方向に延在する第１延在部と、前記第１延在部に連続し且つ垂直方向に延在する第２延在部と、手術台に固定される固定部とを有する、請求項１から４のいずれか１項に記載の放射線防護用具。
6. 線源装置及び検出器を備えた撮影装置と、
   請求項１から５のいずれか１項に記載の放射線防護用具とを備える、放射線防護システム。

Images