JP2016065758A - 絶縁状態測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】装置ごとの絶縁抵抗の測定精度のばらつきを抑制する。
【解決手段】絶縁状態測定装置20のCPU21は、試験用基準抵抗38を接続したときに入力される分圧基準電圧VC2を記憶する記憶部24と、分圧用抵抗31と外部回路11の絶縁抵抗Rとが直列になるように接続したときに入力される分圧測定電圧VC1と記憶部24から読み出した分圧基準電圧VC2との比率を演算する演算部25と、を備える。
【選択図】図2

Description

本明細書では絶縁状態の測定を行う技術を開示する。
従来、絶縁抵抗を測定する装置が知られている。例えば、特開2013−140074号公報には、漏電検出装置が記載されている。この漏電検出装置は、第1切替えスイッチを開いて抵抗の他端を高電圧バッテリから切断するとともに、第2切替えスイッチを閉じて基準インピーダンス回路に接続し、抵抗の他端における交流信号の波高値を検出して基準波高値とする。その後、第2切替えスイッチを開いて抵抗の他端を基準インピーダンス回路から切断するとともに、第1切替えスイッチを閉じて高電圧バッテリに接続し、抵抗の他端における交流信号の波高値と基準波高値とを比較して漏電の有無を判定する。
特開2013−140074号公報
ところで、上記構成では、漏電検出に使用する基準波高値を求めるために基準インピーダンス回路の切り替えを行う必要があるため、複数の漏電検出装置を生産する場合は、各装置のそれぞれに基準インピーダンス回路を設ける必要がある。このように、装置ごとに基準インピーダンス回路を設けることとすると、装置ごとの個体差により、基準インピーダンス回路によって定められる基準波高値に誤差が生じうる。装置ごとの基準波高値に誤差が生じると、精度の高い漏電検出を行うことができないという問題がある。上記漏電検出装置では、素子の劣化に応じて基準波高値が変化することで、素子の経年劣化の影響を抑える構成は開示されているものの、複数の装置間における個体差の影響は考慮されていないため、精度の高い検出を行うことができないという問題がある。
本明細書によって開示される技術は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、装置ごとの絶縁状態の測定精度のばらつきを抑制することを目的とする。
本明細書によって開示される絶縁状態測定装置は、検出対象となる外部回路の絶縁状態を測定するための絶縁状態測定装置であって、信号を出力する出力端子を備え、演算処理を行う演算処理装置と、前記演算処理装置の出力側に接続された分圧用抵抗とカップリングコンデンサと、を備え、前記カップリングコンデンサは、前記分圧用抵抗及び前記外部回路の絶縁抵抗の直列回路で分圧された分圧測定電圧の交流成分を前記外部回路に出力するものであり、前記演算処理装置は、基準抵抗を接続したときに入力される分圧基準電圧を記憶する基準電圧記憶部と、前記分圧用抵抗と前記外部回路の前記絶縁抵抗とを直列に接続したときに入力される前記分圧測定電圧と、前記基準電圧記憶部から読み出した前記分圧基準電圧との比率を演算する演算部と、を備える。
本明細書によって開示される絶縁状態測定装置によれば、装置ごとの絶縁状態の測定精度のばらつきを抑制することが可能になる。
絶縁状態測定装置が外部回路に接続された状態の電気的構成を示す図 絶縁状態測定装置の構成を示すブロック図 絶縁状態測定装置に試験用抵抗が接続された状態の電気的構成を示す図 絶縁抵抗と分圧測定電圧との関係を示す図 絶縁抵抗と第1項の比率との関係を示す図 複数の環境温度について絶縁抵抗と分圧測定電圧との関係を示す図 複数の環境温度について絶縁抵抗と第1項の比率との関係を示す図 複数の環境温度について絶縁抵抗とパルス電圧との関係を示す図 パルス電圧に第2項の比率を乗算したときの絶縁抵抗と電圧との関係を示す図 補正前の基板の個体差及び環境温度の影響を受けた絶縁抵抗と分圧測定電圧との関係を示す図 補正後の絶縁抵抗と出力値との関係を示す図
(発明の概要)
検出対象となる外部回路の絶縁状態を測定するための絶縁状態測定装置であって、信号を出力する出力端子を備え、演算処理を行う演算処理装置と、前記演算処理装置の出力側に接続された分圧用抵抗とカップリングコンデンサと、を備え、前記カップリングコンデンサは、前記分圧用抵抗及び前記外部回路の絶縁抵抗の直列回路で分圧された分圧測定電圧の交流成分を前記外部回路に出力するものであり、前記演算処理装置は、基準抵抗を接続したときに入力される分圧基準電圧を記憶する基準電圧記憶部と、前記分圧用抵抗と前記外部回路の前記絶縁抵抗とを直列に接続したときに入力される前記分圧測定電圧と、前記基準電圧記憶部から読み出した前記分圧基準電圧との比率を演算する演算部と、を備える。
分圧用抵抗と外部回路の絶縁抵抗とに分圧される分圧電圧により外部回路の絶縁抵抗を測定する場合には、部品の個体差等の部品のばらつきに起因して、分圧電圧に誤差が生じるため、分圧電圧によって測定される絶縁抵抗値についても誤差が生じ、絶縁状態の測定精度が低下するという問題がある。
本構成によれば、分圧回路の分圧用抵抗及び前記絶縁抵抗の直列回路によって分圧される分圧測定電圧と、基準抵抗を接続したときに入力される分圧基準電圧とは、共に、絶縁状態測定装置を構成する部品の個体差等に影響されるが、分圧測定電圧と分圧基準電圧との比率は、個体差等による影響がある程度相殺された値となる。したがって、この比率に応じた情報を出力すれば、絶縁抵抗の測定誤差を小さくすることができるため、装置ごとの絶縁状態の測定精度のばらつきを抑制することが可能になる。
また、上記構成によれば、分圧基準電圧を形成するための回路を切り替える構成を設けなくてもよいため、装置の構成を簡素化することが可能になる。
前記基準抵抗を接続したときに前記分圧基準電圧とは異なる電圧である基準電圧が前記演算部に入力されるとともに、前記分圧用抵抗と前記外部回路の前記絶縁抵抗とを直列に接続したときに前記分圧測定電圧とは異なる電圧である測定電圧が前記演算部に入力されており、前記演算部は、次式の演算を行う。
(分圧測定電圧/分圧基準電圧)×(基準電圧/測定電圧)
上記演算部により演算された比率は、温度の影響を受けているが、本構成によれば、演算部により演算された比率を測定電圧と基準電圧との比率に基づいて補正することで、互いの比率の温度による影響をある程度相殺することができるため、温度の影響による絶縁状態の測定精度の低下を抑制することが可能になる。
前記基準抵抗は、前記外部回路の絶縁抵抗に代えて接続される試験用抵抗である。
このようにすれば、簡素な構成で基準電圧を生成することができる。
前記演算処理装置は、さらに、前記基準抵抗を接続したときに入力され、前記分圧基準電圧とは異なる電圧の基準電圧を記憶する電圧記憶部と、前記演算部により演算された前記比率を、前記分圧用抵抗と前記外部回路の前記絶縁抵抗とを直列に接続したときに入力され、前記分圧測定電圧とは異なる電圧の測定電圧と前記電圧記憶部から読み出した前記基準電圧との比率に基づき補正する温度補正部とを備えてもよい。
上記演算部により演算された比率は、温度の影響を受けているが、本構成によれば、演算部により演算された比率を測定電圧と基準電圧との比率に基づいて温度補正部が補正することで、互いの比率の温度による影響をある程度相殺することができるため、温度の影響による絶縁状態の測定精度の低下を抑制することが可能になる。
前記演算処理には、前記分圧測定電圧及び前記分圧基準電圧がフィルタ回路を介して入力されるようにしてもよい。
検出対象となる外部回路の絶縁状態を測定するための絶縁状態測定装置であって、信号を出力する出力端子を備え、演算処理を行う演算処理装置と、前記演算処理装置の出力側に接続された分圧用抵抗とカップリングコンデンサと、を備え、前記カップリングコンデンサは、前記分圧用抵抗及び前記外部回路の絶縁抵抗の直列回路で分圧された分圧測定電圧の交流成分を前記外部回路に出力するものであり、前記演算処理装置は、基準抵抗を接続したときに入力される分圧基準電圧を記憶する基準電圧記憶部と、前記分圧用抵抗と前記外部回路の前記絶縁抵抗とを直列に接続したときに入力される前記分圧測定電圧と、前記基準電圧記憶部から読み出した前記分圧基準電圧との比率を演算する演算部と、基準抵抗を接続したときに入力され、前記分圧基準電圧とは異なる電圧の基準電圧を記憶する電圧記憶部と、前記演算部により演算された前記比率を、前記分圧用抵抗と前記外部回路の前記絶縁抵抗とを直列に接続したときに入力され、前記分圧測定電圧とは異なる電圧の測定電圧と前記電圧記憶部から読み出した前記基準電圧との比率に基づき補正する温度補正部とを備える。
<実施形態1>
実施形態1について図1〜図11を参照して説明する。
絶縁状態測定装置20は、図1に示すように、外部回路11に接続されることで、外部回路11の絶縁状態に応じた情報を上位機器10に出力するものである。
外部回路11は、複数の単電池が直列接続されて構成された電池モジュール12を備えている。電池モジュール12は、インバータ13を介してモータ14に電力を供給可能に接続されている。この外部回路11は、例えば、電気自動車等の車両に搭載される回路とすることができる。外部回路11は、グランドラインとの絶縁抵抗Rが所定値以上に保たれていなければならないため、絶縁状態測定装置20により絶縁状態が測定される。
上位機器10は、例えば、車両のECU(Engine Control Unit)とすることができる。この場合、上位機器10は、絶縁状態測定装置20から外部回路11の絶縁状態を示す信号を受けると、外部回路11の絶縁状態に応じて車両の駆動制御を行ったり、表示装置(図示しない)に絶縁状態を表示してユーザへの報知を行う。
絶縁状態測定装置20は、CPU21(Central Processing Unit,「演算処理装置」の一例)と、CPU21からのパルス信号を昇圧する昇圧回路29と、昇圧回路29の出力側に直列に接続された分圧回路30と、バッファアンプ34,35とを備えており、これらの回路は、回路基板に種々の電子部品を実装して構成している。
昇圧回路29は、オペアンプであり、非反転入力端子に所定電圧が印加されており、反転入力端子にCPU21からハイレベル(5[V])とロウレベル(0V])の繰り返しからなる矩形波のパルス信号が入力される。昇圧回路29は、CPU21からのパルス信号よりもハイレベルが高いパルス電圧に昇圧する。例えば、CPU21からのパルス電圧のハイレベルを12[V]に昇圧する。
分圧回路30は、分圧用抵抗31とカップリングコンデンサ33とフィルタ回路32とを備えている。分圧用抵抗31とカップリングコンデンサ33が外部回路11に直列に接続されることでグランドとの間に形成される分圧用抵抗31及び絶縁抵抗Rの直列回路によって分圧電圧を取り出すことができるようになっている。
カップリングコンデンサ33は、外部回路11に直流成分を印加しないようにするために設けられている。カップリングコンデンサ33は、一端側が分圧用抵抗31とフィルタ回路33との接続点に接続されるとともに、他端側は、外部回路11又は試験用基準抵抗38(図3参照)を接続可能な接続端子37に接続されている。
なお、カップリングコンデンサ33は、分圧用抵抗31及び絶縁抵抗Rの直列回路の直流成分を除去できればよいため、接続する位置は、分圧用抵抗31と外部回路11との間に限られず、例えば、昇圧回路29と分圧用抵抗31の間であってもよい。
フィルタ回路32は、分圧用抵抗31の出力側に直列に接続されており、インバータのスイッチングノイズを除去することが可能なローパスフィルタである。なお、ローパスフィルタではなく、バンドパスフィルタとしてもよい。ローパスフィルタとすれば、バンドパスフィルタと比較して回路構成を簡素化することができる。
フィルタ回路32の出力側は第1バッファアンプ34を介してCPU21に接続されている。昇圧回路29の出力側は、第2バッファアンプ35を介してCPU21に接続されている。バッファアンプ34,35は、出力インピーダンスを変換して十分な電流が取り出せるようにするものである。
CPU21は、分圧用抵抗31と絶縁抵抗Rで分圧された分圧電圧が入力される分圧電圧入力端子27Aと、昇圧回路29からのパルス電圧が入力されるパルス電圧入力端子27Bと、パルス信号が出力される出力端子28を備えている。
また、CPU21は、図2に示すように、昇圧回路29に出力するパルス信号を生成する生成部22と、入力端子27A,27Bからの電圧信号が入力される入力部23と、入力部23に入力された電圧の情報を記憶する記憶部24(「基準電圧記憶部」、「電圧記憶部」の一例)と、入力部23に入力された電圧に基づいて演算を行う演算部25(「温度補正部」の一例)と、演算部25の演算結果に応じて外部回路11又は試験用基準抵抗38の絶縁状態に関する情報を出力する出力部26と、を備えている。
生成部22は、矩形波(例えば8Hz)の信号を生成して昇圧回路29に出力する。
入力部23は、A−D変換部を備えており、入力端子27A,27Bから入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。入力部23に入力された分圧測定電圧VC1,分圧基準電圧VC2,パルス測定電圧VA1(「測定電圧」の一例)及びパルス基準電圧VA2(「基準電圧」の一例)の一定時間毎の最大値が記憶部24に記憶(例えば1msec毎に測定した電圧値について一定時間毎(例えば250msec毎)に最大値を求めて記憶)される。
分圧測定電圧VC1は、接続端子37に外部回路11を接続したときのフィルタ回路32の出力電圧であり、分圧基準電圧VC2は、接続端子37に試験用基準抵抗38を接続したときのフィルタ回路32の出力電圧である。パルス測定電圧VA1は、接続端子37に外部回路11を接続したときの昇圧回路29の出力電圧であり、パルス基準電圧VA2は、接続端子37に試験用基準抵抗38を接続したときの昇圧回路29の出力電圧である。
演算部25は、入力部23に入力された分圧測定電圧VC1、分圧基準電圧VC2、パルス測定電圧VA1及びパルス基準電圧VA2を用いて次式(A)の演算を行う。
Figure 2016065758
出力部26は、演算部25が演算した出力値(演算値)を上位機器10に出力する。上位機器10は、出力値によって外部回路11の絶縁状態を検知する。絶縁劣化の判断は、絶縁抵抗が劣化すると出力値が小さくなるため、上位機器10は、ある値を閾値として、出力値が閾値以下になったときに絶縁劣化が起きていると判断する。この閾値は、絶縁劣化と検知したい抵抗値などの要求仕様によって変化させるべき値である。
なお、本実施形態では、上位機器10に出力値をそのまま出力するが、CPU21が出力値を閾値と比較して比較結果(絶縁劣化の判断結果)を上位機器10に出力するようにしてもよい。
次に、上記した出力値によって外部回路11の絶縁状態を測定することで、部品の個体差による装置ごとの検出精度のばらつき、及び、温度による絶縁状態の検出誤差を抑制することができる理由について説明する。
上記した出力値は、第1項の比率(分圧測定電圧VC1/分圧基準電圧VC2)と、第2項の比率(パルス基準電圧VA2/パルス測定電圧VA1)を乗算したものである。
(第1項の比率)
第1項の比率は、部品の個体差による装置ごとの検出精度のばらつきを抑制するための構成である。
図4に示すように、フィルタ回路32からの出力電圧VC1は、部品の個体差により誤差が生じる。部品の個体差による絶縁抵抗の誤差が最大となる場合を考慮して絶縁劣化検出範囲A1の測定を行う場合、プラス方向の最大誤差を考慮すると「3.4[V]以上の閾値」を必要とし、マイナス方向の最大ばらつきを考慮すると「3.2[V]以下の閾値」を必要とする。したがって、分圧測定電圧VC1について、単一の閾値により部品の個体差によって生じる誤差を考慮した絶縁劣化検出範囲A1の測定を行うことができない。
そこで、本実施形態では、外部回路11を接続したときの分圧測定電圧VC1をそのまま上位機器10に出力するのではなく、製造時(出荷前)に250kΩの試験用基準抵抗38を常温環境下で接続端子37に接続し、分圧基準電圧VC2を記憶部24に記憶しておく。そして、外部回路11を接続端子37に接続した測定時には、分圧基準電圧VC2を記憶部24から読み出し、この分圧基準電圧VC2と、外部回路11を接続したときの分圧測定電圧VC1との比率を演算部25が演算する。この比率は、図5に示すように、外部回路11の絶縁抵抗Rが250kΩのときに1になり、絶縁抵抗R=250kΩから離れるにつれて誤差が大きくなっている。これは、分圧測定電圧VC1と分圧基準電圧VC2は、ともに部品の個体差の影響を受けた誤差を含んだ値であるため、これらの比率については、絶縁抵抗R=250kΩを中心として、分圧測定電圧VC1と分圧基準電圧VC2のそれぞれの誤差が互いに相殺(絶縁抵抗R=250kΩのときは誤差が全て相殺)されている。したがって、この比率を絶縁抵抗Rの測定に用いることで、装置ごとの絶縁抵抗の測定精度のばらつきを抑制することができる。
(第2項の比率)
第2項の比率は、温度による絶縁状態の検出誤差を抑制するためのものである。
図6は、絶縁抵抗が同じ場合、環境温度が高くなると出力電圧VC1が高くなることが示されており、図7は、絶縁抵抗が同じ場合、環境温度が高くなると第1項の比率が高くなることが示されている。図6,図7により、第1項の比率は、環境温度による検出誤差については、補正できないことがわかる。一方、図8は、パルス電圧VA1は、環境温度が高くなると高くなることを示している。したがって、基準温度でのパルス電圧VA2に対する測定時の温度でのパルス電圧VA1の変化の割合がわかれば、現在の環境温度におけるパルス電圧VA1を求めることができる。そこで、図9に示すように、第2項の比率であるパルス測定電圧VA1に対するパルス基準電圧VA2の比率をパルス電圧VA1に乗算することで、環境温度による検出誤差を抑制することができる。
(出力値)
上記出力値は、第1項の比率と第2項の比率を乗算したものであり、それぞれの比率による効果を生じさせて絶縁状態の測定を行うことができる。図10は、部品の個体差や環境温度の影響を受けた状態の絶縁抵抗Rと出力電圧VC1を示しており、出力電圧VC1が3.2[V]のときを絶縁劣化の閾値とすると、絶縁抵抗Rの閾値が誤差を含めるとB1の範囲(80kΩ〜280kΩ)となってしまうため、検出誤差が大きくなる。一方、図11は、本実施形態の出力値を用いた場合の絶縁抵抗Rと出力電圧VC1を示しており、出力値が1のときを絶縁劣化の判定の閾値としている。これにより、絶縁抵抗の閾値が誤差を含めるとB2の範囲(230kΩ〜280kΩ)となり、部品の個体差や環境温度の影響による絶縁抵抗Rの誤差が小さくなっていることがわかる。
本実施形態によれば、以下の作用、効果を奏する。
分圧用抵抗31と外部回路11の絶縁抵抗Rとに分圧される分圧電圧VC1により外部回路11の絶縁抵抗Rを測定する場合には、部品の個体差等の部品のばらつきに起因して、分圧電圧VC1に誤差が生じるため、分圧電圧VC1によって測定される絶縁抵抗値についても誤差が生じ、絶縁状態の測定精度が低下するという問題がある。
本実施形態によれば、分圧回路30の分圧用抵抗31及び絶縁抵抗Rの直列回路によって分圧される分圧測定電圧VC1と、分圧回路30における絶縁抵抗Rに代えて試験用基準抵抗38を接続したときに分圧電圧入力端子27Aに入力される分圧基準電圧VC2とは、共に、絶縁状態測定装置20を構成する部品の個体差等に影響されるが、これらの比率は、個体差等による影響がある程度相殺された値となる。したがって、この比率(第1項の比率)に応じた情報を出力すれば、絶縁抵抗Rの測定誤差の幅を小さくすることができるため、装置ごとの絶縁状態の測定精度のばらつきを抑制することが可能になる。
また、上記実施形態によれば、分圧基準電圧VC2を形成するために回路を切り替える構成を設けなくてもよいため、装置の構成を簡素化することが可能になる。
また、CPU21は、昇圧回路29から出力されるパルス電圧が入力されるパルス電圧入力端子27Bと、分圧回路30における絶縁抵抗Rに代えて試験用基準抵抗38を接続したときにパルス電圧入力端子27Bに入力されるパルス基準電圧VA2を記憶する記憶部24(パルス電圧記憶部)と、演算部25により演算された比率(第1項の比率)を、分圧回路30の分圧用抵抗31と外部回路11の絶縁抵抗Rとが直列になるように接続したときにパルス電圧入力端子27Bに入力されるパルス測定電圧VA1と記憶部24から読み出したパルス基準電圧VA2との比率(第2項の比率)に基づき補正する演算部25(温度補正部)とを備える。
演算部25により演算された比率(第1項の比率)は、温度の影響を受けているが、本実施形態によれば、パルス測定電圧VA1とパルス基準電圧VA2との比率(第2項の比率)に基づき、演算部25により演算された比率を演算部25が補正することで、演算部25により演算された比率(第1項の比率)の温度による影響をパルス測定電圧VA1とパルス基準電圧VA2との比率(第2項の比率)で相殺することができるため、温度の影響による絶縁状態の測定精度の低下を抑制することが可能になる。
また、CPU21の分圧電圧入力端子27Aには、分圧回路30の分圧電圧VC1,VC2がローパスフィルタを介して入力されるようになっているため、インバータ等のスイッチングノイズが除去された分圧電圧VC1,VC2を絶縁状態の測定に用いることができるため、絶縁状態の測定精度を向上させることが可能になる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、出力値は、第1項の比率と第2項の比率を乗算していたが、第2項の比率を用いずに、第1項の比率を出力値として、部品の個体差の影響のみを抑制するようにしてもよい。
(2)上記実施形態では、生成部22は、矩形波を生成して出力することとしたが、これに限られず、他の波形としてもよい。例えば、正弦波やのこぎり波等の交流信号を生成して出力してもよい。
(3)上記実施形態では、分圧測定電圧VC1及び分圧基準電圧VC2は、フィルタ回路32の出力電圧としたが、分圧用抵抗31とカップリングコンデンサ33の間(フィルタ回路32入力側)の電圧VB(図1参照)としてもよい。
20: 絶縁状態測定装置
21: CPU
24: 記憶部
25: 演算部
26: 出力部
27A,27B: 入力端子
28: 出力端子
29: 昇圧回路
30: 分圧回路
31: 分圧用抵抗
32: フィルタ回路
33: カップリングコンデンサ
38: 試験用基準抵抗
R: 絶縁抵抗

Claims (6)

  1. 検出対象となる外部回路の絶縁状態を測定するための絶縁状態測定装置であって、
    信号を出力する出力端子を備え、演算処理を行う演算処理装置と、
    前記演算処理装置の出力側に接続された分圧用抵抗とカップリングコンデンサと、
    を備え、
    前記カップリングコンデンサは、前記分圧用抵抗及び前記外部回路の絶縁抵抗の直列回路で分圧された分圧測定電圧の交流成分を前記外部回路に出力するものであり、
    前記演算処理装置は、
    基準抵抗を接続したときに入力される分圧基準電圧を記憶する基準電圧記憶部と、
    前記分圧用抵抗と前記外部回路の前記絶縁抵抗とを直列に接続したときに入力される前記分圧測定電圧と、前記基準電圧記憶部から読み出した前記分圧基準電圧との比率を演算する演算部と、
    を備える絶縁状態測定装置。
  2. 前記基準抵抗を接続したときに前記分圧基準電圧とは異なる電圧である基準電圧が前記演算部に入力されるとともに、前記分圧用抵抗と前記外部回路の前記絶縁抵抗とを直列に接続したときに前記分圧測定電圧とは異なる電圧である測定電圧が前記演算部に入力されており、前記演算部は、次式の演算を行う請求項1に記載の絶縁状態測定装置。
    (分圧測定電圧/分圧基準電圧)×(基準電圧/測定電圧)
  3. 前記基準抵抗は、前記外部回路の絶縁抵抗に代えて接続される試験用抵抗である請求項1又は請求項2に記載の絶縁状態測定装置。
  4. 前記演算処理装置は、さらに、
    前記基準抵抗を接続したときに入力され、前記分圧基準電圧とは異なる電圧の基準電圧を記憶する電圧記憶部と、
    前記演算部により演算された前記比率を、前記分圧用抵抗と前記外部回路の前記絶縁抵抗とを直列に接続したときに入力され、前記分圧測定電圧とは異なる電圧の測定電圧と前記電圧記憶部から読み出した前記基準電圧との比率に基づき補正する温度補正部とを備えた請求項1に記載の絶縁状態測定装置。
  5. 前記演算処理装置には、前記分圧測定電圧及び前記分圧基準電圧がフィルタ回路を介して入力されるようになっている請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の絶縁状態測定装置。
  6. 検出対象となる外部回路の絶縁状態を測定するための絶縁状態測定装置であって、
    信号を出力する出力端子を備え、演算処理を行う演算処理装置と、
    前記演算処理装置の出力側に接続された分圧用抵抗とカップリングコンデンサと、
    を備え、
    前記カップリングコンデンサは、前記分圧用抵抗及び前記外部回路の絶縁抵抗の直列回路で分圧された分圧測定電圧の交流成分を前記外部回路に出力するものであり、
    前記演算処理装置は、
    基準抵抗を接続したときに入力される分圧基準電圧を記憶する基準電圧記憶部と、
    前記分圧用抵抗と前記外部回路の前記絶縁抵抗とを直列に接続したときに入力される前記分圧測定電圧と、前記基準電圧記憶部から読み出した前記分圧基準電圧との比率を演算する演算部と、
    基準抵抗を接続したときに入力され、前記分圧基準電圧とは異なる電圧の基準電圧を記憶する電圧記憶部と、
    前記演算部により演算された前記比率を、前記分圧用抵抗と前記外部回路の前記絶縁抵抗とを直列に接続したときに入力され、前記分圧測定電圧とは異なる電圧の測定電圧と前記電圧記憶部から読み出した前記基準電圧との比率に基づき補正する温度補正部と、を備える絶縁状態測定装置。
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