JP2016064344A - 洗浄方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】純水中にオゾンを溶解させた場合に比べてオゾン濃度を高めた状態で、超音波洗浄を行う。【解決手段】洗浄方法は、低周波超音波洗浄工程P1と、低周波超音波洗浄工程P1の後に行われる高周波超音波洗浄工程P2と、高周波超音波洗浄工程P2の後に行われるすすぎ洗浄工程P3とを備えている。低周波超音波洗浄工程P1は、オゾンが溶解された酸性の洗浄水13に低周波振動を加えて被洗浄物40の低周波超音波洗浄を行い、高周波超音波洗浄工程P2は、オゾンが溶解された酸性の洗浄水23に高周波波振動を加えて被洗浄物40の高周波超音波洗浄を行い、すすぎ洗浄工程P3は、純水によるすすぎ洗浄を行う。【選択図】図1
Description
本発明は、洗浄方法に係り、詳しくは金属部品の洗浄に好適な洗浄方法に関する。
金属部品に限らず、被洗浄物を洗浄する洗浄方法として、超音波洗浄方法がある。特許文献1には、アルカリ性溶液(pH12)中での超音波洗浄(40kHz、3分)と、アルカリ性溶液(pH11)中での超音波洗浄(120kHz、3分)と、アルカリ性溶液(pH10)中での超音波洗浄(1MHz、3分)と、純水中での超音波洗浄(1MHz、3分)とを行う洗浄方法が記載されている。また、超音波洗浄の際に、純水にオゾンを溶解させた洗浄水を使用し、オゾンの酸化力により汚染物を有効に除去する方法もある(例えば、特許文献2参照)。
特許文献1の洗浄方法は、ハードディスク等の磁気記録媒体の製造工程において、磁性材を含む被加工体をドライエッチングで加工した際に、被加工体の表面に残る多数の破片を除去する目的で行われる。そして、ドライエッチングの際に使用されて被加工体の表面に残るハロゲン系のガスや酸素ガス、オゾンガスなどの酸素系ガス等を除去するために、アルカリ性溶液中で超音波洗浄を行っている。
洗浄水としてオゾン水を使用する場合、オゾンの酸化性を有効にするためには、洗浄水中のオゾン濃度を高める必要がある。しかし、オゾンは水に溶け難いため、高濃度化が難しい。そのため、加圧してオゾンガスを水中に溶解させている。しかし、一般に洗浄処理は、大気中で行われるため、洗浄処理の際、洗浄水中に溶存していたオゾンがガス化し、オゾン水中のオゾン濃度が低下してしまう。
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、純水中にオゾンを溶解させた場合に比べてオゾン濃度を高めた状態で、超音波洗浄を行うことができる洗浄方法を提供することにある。
上記課題を解決する洗浄方法は、オゾンが溶解された酸性の洗浄水に低周波振動を加えて被洗浄物の低周波超音波洗浄を行う低周波超音波洗浄工程と、前記低周波超音波洗浄工程の後に、オゾンが溶解された酸性の洗浄水に高周波振動を加えて前記被洗浄物の高周波超音波洗浄を行う高周波超音波洗浄工程と、前記高周波超音波洗浄工程の後に、純水によるすすぎ洗浄を行うすすぎ洗浄工程とを備えた。ここで、低周波振動とは、70kHz以下の振動を意味し、高周波振動とは、70kHzより高い振動を意味する。
この構成によれば、オゾンが溶解された酸性の洗浄水を超音波洗浄に使用するため、純水中にオゾンを溶解させた場合に比べてオゾン濃度を高めた状態で、超音波洗浄を行うことができる。そして、オゾンの酸化力により、被洗浄物に付着していた金属異物の表面が酸化され、金属異物の被洗浄物との引っ掛かりが解消されて、金属異物が被洗浄物から脱落し易くなる。脱落した異物は被洗浄物に再付着する可能性もあるが、表面が酸化されることで、化学的にも付着し難くなるとともに、後工程のすすぎ洗浄時に脱落し易くなる。また、低周波数及び高周波数の異なる周波数で超音波洗浄が行われるため、広い範囲にわたって大きさの異なる異物の除去が可能となる。また、被洗浄物として、切削油等が付着したものを洗浄する場合、切削油等の有機物が、オゾンの酸化力により分解されて容易に除去される。すすぎ洗浄工程では、被洗浄物に付着した酸性の洗浄水が洗い流されるだけでなく、超音波洗浄工程で被洗浄物から取り除かれかけた異物が被洗浄物上から脱落する。
前記低周波振動は、70kHz以下であり、前記高周波振動は、80kHz〜1000kHzであることが好ましい。高周波振動は、例えば、1MHz以上であっても油等の除去は可能であるが、MHzのオーダまで高くしなくても、80〜1000kHz程度の周波数で良好に除去することができ、消費エネルギーが少なくなる。
前記低周波超音波洗浄工程及び前記高周波超音波洗浄工程における洗浄処理時の洗浄水のオゾン濃度は、8〜20%であることが好ましい。ここで、「洗浄処理時の洗浄水のオゾン濃度」とは、加圧状態で高濃度(例えば、30%)のオゾン水の濃度を意味するのではなく、大気圧下で超音波洗浄を行う際に、高濃度のオゾン水中に溶存していたオゾンの一部がガス化して濃度が低下した状態のオゾン濃度を意味する。
洗浄水中のオゾン濃度が高い方が酸化作用が強くなるが、オゾン濃度を30%程度の高濃度に維持するには、加圧下で処理を行うか、高濃度(例えば、30%)のオゾン水の供給口で行う必要がある。しかし、そこまでオゾン濃度を高くしなくても、30%のオゾン水を大気下において、オゾン水中に溶存していたオゾンの一部がガス化して濃度が低下した濃度8〜20%のオゾン水でも、必要とする超音波洗浄効果が得られる。
本発明によれば、純水中にオゾンを溶解させた場合に比べてオゾン濃度を高めた状態で、超音波洗浄を行うことができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1にしたがって説明する。
洗浄方法は、低周波超音波洗浄工程と、低周波超音波洗浄工程の後に行われる高周波超音波洗浄工程と、高周波超音波洗浄工程の後に行われるすすぎ洗浄工程とを備えている。低周波超音波洗浄工程は、オゾンが溶解された酸性の洗浄水に低周波振動を加えて被洗浄物の低周波超音波洗浄を行う。高周波超音波洗浄工程は、オゾンが溶解された酸性の洗浄水に高周波振動を加えて被洗浄物の高周波超音波洗浄を行う。すすぎ洗浄工程は、純水によるすすぎ洗浄を行う。
洗浄方法は、低周波超音波洗浄工程と、低周波超音波洗浄工程の後に行われる高周波超音波洗浄工程と、高周波超音波洗浄工程の後に行われるすすぎ洗浄工程とを備えている。低周波超音波洗浄工程は、オゾンが溶解された酸性の洗浄水に低周波振動を加えて被洗浄物の低周波超音波洗浄を行う。高周波超音波洗浄工程は、オゾンが溶解された酸性の洗浄水に高周波振動を加えて被洗浄物の高周波超音波洗浄を行う。すすぎ洗浄工程は、純水によるすすぎ洗浄を行う。
洗浄方法を実施する洗浄装置は、図1に示すように、低周波超音波洗浄工程P1を実施するための低周波超音波洗浄装置11と、高周波超音波洗浄工程P2を実施するための高周波超音波洗浄装置21と、すすぎ洗浄工程P3を実施するためのすすぎ洗浄装置31とを備えている。なお、すすぎ洗浄装置31で洗浄された被洗浄物は、図示しない乾燥工程で乾燥装置により乾燥される。
低周波超音波洗浄装置11は、洗浄槽12を備え、洗浄槽12の底面には洗浄槽12中の洗浄水13に低周波振動を加える超音波発振器(超音波振動子)14が設けられている。洗浄槽12に隣接して回収槽15が設けられている。回収槽15は洗浄槽12からオーバーフローした洗浄水13を回収する。回収槽15には配管16を介して循環ポンプ17が接続されており、回収槽15内の洗浄水13が循環ポンプ17を介して洗浄槽12に戻る。循環ポンプ17の入口側にはフィルタ18が接続されている。
低周波超音波洗浄装置11は、洗浄槽12及び回収槽15の開放部を閉鎖可能な一組の蓋19a,19bを備えている。蓋19a,19bは、図1に実線で示す開放位置と、二点鎖線で示す閉鎖位置とに回動可能に構成されている。一方の蓋19aは、他方の蓋19bより大きく形成され、閉鎖状態においては、一方の蓋19aの先端部が他方の蓋19bの先端部に重なる状態となる。一方の蓋19aには、後記する索42が通過可能な溝(図示せず)が形成されている。
高周波超音波洗浄装置21は、洗浄槽22を備え、洗浄槽22の底面には洗浄槽22中の洗浄水23に高周波振動を加える超音波発振器(超音波振動子)24が設けられている。洗浄槽22に隣接して回収槽25が設けられている。回収槽25は洗浄槽22からオーバーフローした洗浄水23を回収する。回収槽25には配管26を介して循環ポンプ27が接続されており、回収槽25内の洗浄水23が循環ポンプ27を介して洗浄槽22に戻る。循環ポンプ27の入口側にはフィルタ28が接続されている。
高周波超音波洗浄装置21は、洗浄槽22及び回収槽25の開放部を閉鎖可能な一組の蓋29a,29bを備えている。蓋29a,29bは、図1に二点鎖線で示す開放位置と、実線で示す閉鎖位置とに回動可能に構成されている。一方の蓋29aは、他方の蓋29bより大きく形成され、閉鎖状態においては、一方の蓋29aの先端部が他方の蓋29bの先端部に重なる状態となる。一方の蓋29aには、後記する索42が過可能な溝(図示せず)が形成されている。
すすぎ洗浄装置31は、シャワー洗浄槽32を備え、シャワー洗浄槽32の一つの側壁内面には、シャワーノズル33が設けられている。シャワーノズル33は、ポンプ34により配管35を介して洗浄水タンク36内から供給される洗浄水37を、水平方向にシャワー状に噴射するようになっている。ポンプ34の入口側にはフィルタ38が設けられている。シャワーノズル33から噴射された洗浄水37は、洗浄水タンク36に回収されるようになっている。洗浄水37は、予め設定された回数すすぎ洗浄が行われると、新しい洗浄水37と交換される。
低周波超音波洗浄装置11、高周波超音波洗浄装置21、すすぎ洗浄装置31及び図示しない乾燥装置の間の被洗浄物40の移送は、粗い目の金網で形成された有底箱状の移送用容器41を、索42を介して吊り下げ、索42を図示しない移動装置で移動させることで行う。
次に前記のように構成された洗浄装置の作用を説明する。
低周波超音波洗浄装置11の洗浄水13及び高周波超音波洗浄装置21の洗浄水23としてはオゾンが溶解された酸性のオゾン水(以下、酸性オゾン水と記す場合もある。)が使用される。
低周波超音波洗浄装置11の洗浄水13及び高周波超音波洗浄装置21の洗浄水23としてはオゾンが溶解された酸性のオゾン水(以下、酸性オゾン水と記す場合もある。)が使用される。
酸性オゾン水の製造は、酸性の水(以下、酸性水と記す場合もある。)にオゾンガスを加圧溶解させて作る。酸性水の調製は、純水に、例えば、塩酸、硝酸、硫酸の何れかを加えて、pHが1〜5、好ましくは3〜5程度の酸性水を調製する。この理由は、酸性水が弱酸性の場合(例えば、pHが5より大きい場合)、金属異物の表面が不動態化する場合があるためと、酸性が強すぎると装置の耐久性が低下するためである。調製された酸性水に、周知のオゾン水製造装置を利用してオゾンガスを加圧溶解させて酸性オゾン水を作る。
オゾンガスを酸性水に高濃度で溶解させる方法としては、例えば、オゾンガス透過膜で形成されたチューブ内に酸性水を流し、そのチューブを加圧状態のオゾンガス中に置き、オゾンガスを、強制的にオゾンガス透過膜を透過させて、チューブ内の酸性水に溶解させる方法がある。また、オゾンガスの高圧タンク内に酸性水を切り状の水滴として供給し、その水滴にオゾンガスを加圧溶解させる方法もある。
低周波超音波洗浄工程P1及び高周波超音波洗浄工程P2における洗浄処理時の洗浄水のオゾン濃度は、8〜20%であることが好ましい。洗浄処理時の洗浄水のオゾン濃度とは、加圧状態で高濃度(例えば、30%)のオゾン水の濃度を意味するのではなく、大気圧下で超音波洗浄を行う際に、高濃度のオゾン水中に溶存していたオゾンの一部がガス化して濃度が低下した状態のオゾン濃度を意味する。
次に洗浄方法を説明する。
切削加工された被洗浄物40としての金属部品としてアルミ製部品が入れられた移送用容器41は、図1に実線で示すように、蓋19a,19bが開いた状態で、先ず、低周波超音波洗浄装置11の洗浄槽12の洗浄水13中に沈められる。そして、図1に二点鎖線で示すように、蓋19a,19bが閉じた状態で、超音波発振器14は、70kHz以下(例えば、30kHz〜50kHz)の低周波振動を洗浄水13に加える。
切削加工された被洗浄物40としての金属部品としてアルミ製部品が入れられた移送用容器41は、図1に実線で示すように、蓋19a,19bが開いた状態で、先ず、低周波超音波洗浄装置11の洗浄槽12の洗浄水13中に沈められる。そして、図1に二点鎖線で示すように、蓋19a,19bが閉じた状態で、超音波発振器14は、70kHz以下(例えば、30kHz〜50kHz)の低周波振動を洗浄水13に加える。
被洗浄物40には、金属異物や油が付着しているが、超音波発振器14によって加えられる低周波振動により被洗浄物40や金属異物に付着している油が除去される。洗浄水13としてオゾン水が使用されているため、超音波振動による除去効果に加えて、オゾンの作用で油の一部が分解されるため、油の除去機能が高まる。低周波超音波洗浄は、高周波超音波洗浄に比べて除去力が強く、金属異物が効率良く除去される。
被洗浄物40や金属異物から除去された油は、洗浄水13の上側へ浮上し、オーバーフローする洗浄水13と共に回収槽15へ回収される。回収槽15に回収された洗浄水13は、循環ポンプ17の作用により、配管16を介して洗浄槽12へ供給される。回収槽15から循環ポンプ17に向かって移動する洗浄水13がフィルタ18を通過する際に、洗浄水13中の油は、フィルタ18によって除去され、油が除去された洗浄水13が洗浄槽12に供給される。
予め設定された所定時間(例えば、1〜5分)が経過すると、被洗浄物40は、移送用容器41とともに低周波超音波洗浄装置11の洗浄槽12内から引き上げられ、高周波超音波洗浄装置21の洗浄槽22の洗浄水23中に沈められる。なお、設定時間は、例えば、試験により設定される。また、酸性オゾン水中のオゾン濃度が予め設定された濃度以下に低下すると、洗浄水13の一部を除去するとともに、高濃度の酸性オゾン水を回収槽15に加えてオゾン濃度の調整を行う。オゾン濃度の低下は、オゾン濃度を測定しても、処理経過時間で推定してもよい。
高周波超音波洗浄装置21では、80kHz〜1000kHzの高周波数(例えば、80〜200kHz)で洗浄水23に振動が加えられる。高周波超音波洗浄では、金属異物は低周波超音波洗浄に比べて、除去され難い。しかし、高周波振動では超音波振動による除去力が被洗浄物40の表面全体に均一に作用して、油を効率良く除去する。
洗浄水13,23として酸性オゾン水を使用すると、金属異物の表面酸化により脱落した金属異物の再付着を化学的に起き難くしたり、あるいは後のすすぎ洗浄工程P3で金属異物が被洗浄物40から脱落し易くしたりすることができる。また、酸性オゾン水の場合、被洗浄物40の金属がアルミニウムの場合、酸のエッチング効果により、金属異物と被洗浄物40表面の引っかかりを無くし、脱落させることもできる。
回収槽25内の洗浄水23は循環ポンプ27の作用により、配管26を介して洗浄槽22へ供給され、洗浄槽22からオーバーフローした洗浄水23は回収槽25に回収される。回収槽25から循環ポンプ27に向かって移動する洗浄水23がフィルタ28を通過する際に、洗浄水23中の油は、フィルタ28によって除去され、油が除去された洗浄水23が洗浄槽22に供給される。なお、低周波超音波洗浄装置11と同様に、酸性オゾン水中のオゾン濃度が予め設定された濃度以下に低下すると、洗浄水23の一部を除去するとともに、高濃度の酸性オゾン水を回収槽25に加えてオゾン濃度の調整を行う。
予め設定された所定時間(例えば、1〜5分)が経過すると、被洗浄物40は、移送用容器41とともに高周波超音波洗浄装置21の洗浄槽22内から引き上げられ、図1に鎖線で示すように、すすぎ洗浄装置31のシャワー洗浄槽32内に吊り下げられた状態で配置される。そして、シャワーノズル33から噴射される洗浄水37により、被洗浄物40のすすぎ洗浄(シャワー洗浄)が行われる。
すすぎ洗浄は、被洗浄物40に付着しているオゾン水を洗い流す。また、すすぎ洗浄は、低周波超音波洗浄装置11及び高周波超音波洗浄装置21における超音波洗浄で被洗浄物40から剥離させた金属異物を被洗浄物40上から脱落させたり、超音波洗浄で被洗浄物40から剥がれかけた金属異物を被洗浄物40から剥離脱落させたりする。シャワー洗浄は、高周波超音波洗浄工程P2後の被洗浄物40の洗浄を、洗浄水が収容された洗浄槽内に被洗浄物40を浸漬して引き上げる洗浄方法に比べて、超音波洗浄で被洗浄物40から剥離させた金属異物を被洗浄物40上から効率良く脱落させることができる。
シャワー洗浄が所定時間行われた後、被洗浄物40は、移送用容器41と共に図示しない乾燥工程の乾燥装置まで移送され、乾燥装置で乾燥される。乾燥装置としては、例えば、温風乾燥機やエアー乾燥機が使用される。
低周波超音波洗浄工程P1において、洗浄水13として酸性(pH3〜4)のオゾン水(オゾン濃度10〜20%)を使用し、超音波発振器14による低周波振動数を40kHzとして、3分間、被洗浄物40の低周波超音波洗浄を行った。次に、高周波超音波洗浄工程P2において、洗浄水23として酸性(pH3〜4)のオゾン水(オゾン濃度10〜20%)を使用し、超音波発振器24による高周波振動数を80kHzとして、3分間、被洗浄物40の高周波超音波洗浄を行った。次に、すすぎ洗浄工程P3において、洗浄水37として純水を使用して5分間、被洗浄物40のシャワー洗浄を行った。シャワー洗浄終了後、被洗浄物40を乾燥装置で乾燥した。被洗浄物40からは、金属異物及び油の両者が良好に除去されていた。
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)洗浄方法は、オゾンが溶解された酸性の洗浄水13に低周波振動を加えて被洗浄物40の低周波超音波洗浄を行う低周波超音波洗浄工程P1と、低周波超音波洗浄工程P1の後に、オゾンが溶解された酸性の洗浄水23に高周波振動を加えて被洗浄物40の高周波超音波洗浄を行う高周波超音波洗浄工程P2とを備えている。したがって、純水中にオゾンを溶解させた場合に比べてオゾン濃度を高めた状態で、超音波洗浄を行うことができる。また、被洗浄物40として、機械加工された金属部品のように、加工時における切削屑等の金属異物や加工の際に使用された切削油等が付着したものを洗浄する場合、低周波超音波洗浄工程P1では金属異物の除去が良好に行われ、高周波超音波洗浄工程P2においては、金属部品や金属異物に付着した油が良好に除去される。
(1)洗浄方法は、オゾンが溶解された酸性の洗浄水13に低周波振動を加えて被洗浄物40の低周波超音波洗浄を行う低周波超音波洗浄工程P1と、低周波超音波洗浄工程P1の後に、オゾンが溶解された酸性の洗浄水23に高周波振動を加えて被洗浄物40の高周波超音波洗浄を行う高周波超音波洗浄工程P2とを備えている。したがって、純水中にオゾンを溶解させた場合に比べてオゾン濃度を高めた状態で、超音波洗浄を行うことができる。また、被洗浄物40として、機械加工された金属部品のように、加工時における切削屑等の金属異物や加工の際に使用された切削油等が付着したものを洗浄する場合、低周波超音波洗浄工程P1では金属異物の除去が良好に行われ、高周波超音波洗浄工程P2においては、金属部品や金属異物に付着した油が良好に除去される。
(2)低周波振動は、70kHz以下であり、高周波振動は、80kHz〜1000kHzである。高周波振動は、例えば、1MHz以上であっても油等の除去は可能であるが、MHzのオーダまで高くしなくても、80〜1000kHz程度の周波数で良好に除去することができ、消費エネルギーが少なくなる。
(3)低周波超音波洗浄工程P1及び高周波超音波洗浄工程P2における洗浄処理時の洗浄水のオゾン濃度は、8〜20%である。洗浄水中のオゾン濃度が高い方が酸化作用が強くなるが、オゾン濃度を30%程度に維持するには、加圧下で処理を行うか、高濃度(例えば、30%)のオゾン水の供給口で行う必要がある。しかし、そこまでオゾン濃度を高くしなくても、30%のオゾン水を大気下において、オゾン水中に溶存していたオゾンの一部がガス化して濃度が低下した濃度8〜20%のオゾン水でも、必要とする超音波洗浄効果が得られる。
(4)超音波洗浄工程の後に、すすぎ洗浄工程P3を備えている。この構成によれば、低周波超音波洗浄工程P1及び高周波超音波洗浄工程P2により、油及び金属異物が除去された被洗浄物40(金属部品)に付着している酸性水を確実に除去することができる。また、低周波超音波洗浄工程P1及び高周波超音波洗浄工程P2で金属部品上から取り除かれかけた金属異物がすすぎ洗浄工程P3において金属部品上から脱落する。
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ すすぎ洗浄工程P3で使用するすすぎ洗浄装置31は、シャワー洗浄槽32を複数備えた構成、即ち多段でシャワー洗浄を行う構成であってもよい。
○ すすぎ洗浄工程P3で使用するすすぎ洗浄装置31は、シャワー洗浄槽32を複数備えた構成、即ち多段でシャワー洗浄を行う構成であってもよい。
○ すすぎ洗浄装置31は、被洗浄物40に対して両側からシャワーノズル33によって洗浄水37を噴射する構成であってもよい。
○ シャワーノズル33は、水平方向に洗浄水37を噴射する構成に限らず、被洗浄物40に対して斜め方向や上下方向から洗浄水37を噴射する構成であってもよい。
○ シャワーノズル33は、水平方向に洗浄水37を噴射する構成に限らず、被洗浄物40に対して斜め方向や上下方向から洗浄水37を噴射する構成であってもよい。
○ シャワーノズル33から噴射されて被洗浄物40を洗浄した後の洗浄水37を、洗浄水タンク36に回収して所定回数再使用せずに、シャワーノズル33から常に新しい洗浄水37を噴射する構成としてもよい。
○ 洗浄水13,23は、低周波超音波洗浄工程P1及び高周波超音波洗浄工程P2でそれぞれ独立して循環させて使用する構成に限らない。例えば、洗浄水を、低周波超音波洗浄工程P1と高周波超音波洗浄工程P2の間で循環させてもよい。例えば、回収槽15を設けずに、洗浄槽12のオーバーフロー水を洗浄槽22に洗浄水23として供給する構成とし、回収槽25に回収された洗浄水23をフィルタでろ過してポンプで洗浄槽12に供給する。
○ 洗浄槽12及び洗浄槽22中で、移送用容器41を揺動させると良い。この場合、超音波のムラが緩和される。また、移送用容器41を動かすことで流れが生じ、異物が脱落しやすい。
○ すすぎ洗浄工程P3で使用するすすぎ洗浄装置31は、シャワー洗浄を行う装置ではなくてもよい。例えば、シャワー洗浄槽32に代えて、被洗浄物40を浸漬可能な浸漬槽(洗浄槽)を設け、浸漬槽中の洗浄水に被洗浄物40を浸漬させた状態で、被洗浄物40を洗浄水に対して揺動させて洗浄を行う構成であってもよい。
○ 移送用容器41は、バレル形式(バレル容器)でも良い。バレル容器は金網や多孔板で筒状に形成されるとともに、洗浄槽の中で軸回りに回転駆動される。バレル容器が回転されることで、被洗浄物40が有底形状の部品の場合、洗浄水の入れ替わりがあり、洗浄効果が高くなる。バレル容器をその軸回りに回転駆動する構成としては、例えば、筒部の両端を封止する側壁に回転軸が突設され、バレル容器は、回転軸を介してバレル容器支持手段に回転可能に支持されている。そして、回転軸が回転駆動手段により回転される構成になっている。バレル容器には、被洗浄物40をバレル容器内に出し入れする出入り口が設けられ、出入り口は開閉可能又は取り外し可能な蓋により閉鎖される。
○ 超音波発振器14,24は、洗浄槽12,22の底壁ではなく側壁に設けてもよい。
○ 超音波発振器14,24は、洗浄槽12,22の外側に限らず、洗浄槽12,22の壁を介さずに、洗浄水13,23に接触する位置に設けてもよい。
○ 超音波発振器14,24は、洗浄槽12,22の外側に限らず、洗浄槽12,22の壁を介さずに、洗浄水13,23に接触する位置に設けてもよい。
○ 低周波超音波洗浄装置11において、回収槽15の洗浄水13を、フィルタ18を介して循環ポンプ17で洗浄槽12へ供給する代わりに、回収槽15内の洗浄水13から油水分離装置で油を分離した後、その洗浄水13を、フィルタ18を介して循環ポンプ17で洗浄槽12へ供給する構成としてもよい。高周波超音波洗浄装置21においても同様な構成を採用してもよい。この場合、フィルタ18,28の交換周期が長くなる。
○ 低周波超音波洗浄工程P1及び高周波超音波洗浄工程P2における酸性オゾン水のオゾン濃度は同じでなくてもよい。
○ 低周波超音波洗浄工程P1及び高周波超音波洗浄工程P2において、オゾン濃度を高めるために、加圧状態で超音波洗浄処理を行ってもよい。
○ 低周波超音波洗浄工程P1及び高周波超音波洗浄工程P2において、オゾン濃度を高めるために、加圧状態で超音波洗浄処理を行ってもよい。
○ 洗浄槽12の蓋19a,19b及び洗浄槽22の蓋29a,29bはなくてもよい。しかし、蓋19a,19b,29a,29bを設けて、開放不要時には蓋19a,19b,29a,29bを閉じることにより、洗浄水13,23中に溶解しているオゾンガスのガス化が抑制される。そのため、高濃度のオゾン水の使用量を抑制することができる。
○ 被洗浄物40は、アルミ製(アルミニウム製又はアルミニウム合金製)の金属部品に限らず、他の金属部品、例えば、ステンレス製であってもよい。
○ 一度に洗浄される被洗浄物40の数は1個に限らず、被洗浄物40の大きさ及び洗浄槽12,22の大きさにより、複数であってもよい。
○ 一度に洗浄される被洗浄物40の数は1個に限らず、被洗浄物40の大きさ及び洗浄槽12,22の大きさにより、複数であってもよい。
○ 被洗浄物40の各工程間における移送は、索42に吊り下げられた移送用容器41を使用する方法に限らず、例えば、ベルトコンベアを使用してもよい。
○ 被洗浄物40が大きな場合は、ロボットアームが被洗浄物40を直接把持して、次工程に移送してもよい。
○ 被洗浄物40が大きな場合は、ロボットアームが被洗浄物40を直接把持して、次工程に移送してもよい。
○ 乾燥工程を特に設けず、すすぎ洗浄後の被洗浄物40が使用されるまでの保管中に自然乾燥させてもよい。
P1…低周波超音波洗浄工程、P2…高周波超音波洗浄工程、P3…すすぎ洗浄工程、13,23…洗浄水、40…被洗浄物。
Claims (3)
- オゾンが溶解された酸性の洗浄水に低周波振動を加えて被洗浄物の低周波超音波洗浄を行う低周波超音波洗浄工程と、
前記低周波超音波洗浄工程の後に、オゾンが溶解された酸性の洗浄水に高周波振動を加えて前記被洗浄物の高周波超音波洗浄を行う高周波超音波洗浄工程と、
前記高周波超音波洗浄工程の後に、純水によるすすぎ洗浄を行うすすぎ洗浄工程と
を備えたことを特徴とする洗浄方法。 - 前記低周波振動は、70kHz以下であり、前記高周波振動は、80kHz〜1000kHzである請求項1に記載の洗浄方法。
- 前記低周波超音波洗浄工程及び前記高周波超音波洗浄工程における洗浄処理時の洗浄水のオゾン濃度は、8〜20%である請求項1又は請求項2に記載の洗浄方法。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPWO2018078926A1 (ja) * | 2016-10-31 | 2018-10-25 | 長瀬フィルター株式会社 | 洗浄装置および洗浄方法 |
US11219930B2 (en) | 2018-05-28 | 2022-01-11 | Nagase Filter Co, Ltd. | Filter cleaning method and filter cleaning apparatus |
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2014
- 2014-09-24 JP JP2014194005A patent/JP2016064344A/ja active Pending
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