JP2016061283A - 電源装置及び真空ポンプ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】供給コンデンサの余剰電力を早期に消費して、電源装置の終了動作時間を短縮する電源装置と、その電源装置を搭載した真空ポンプ装置の提供。【解決手段】電源装置14は、外部から供給された電力により充電され、電力供給停止時に電源装置14の内部回路に電力を供給する供給コンデンサ14Dと、電源装置14の動作を終了させる際に、供給コンデンサ14Dを放電させて、その放電による供給コンデンサ14Dの電力を、モータ16、磁気軸受60、及び、回生ブレーキ抵抗14Eのうちの少なくとも1つに供給する放電制御部(制御部14N)と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、電源装置及びその電源装置を搭載した真空ポンプ装置に関する。
ターボ分子ポンプなどの真空ポンプは、ドライエッチング装置やCVD装置などの真空チャンバに取り付けられる。ターボ分子ポンプ内には、ロータ翼とロータ円筒部が形成されたロータと、ロータとボルトで締結されたシャフトと、を有するロータ組立体が、収容されている。ロータ組立体が毎分数万回転という高速回転で回転し、ロータ翼とステータ翼とが協働し、ロータ円筒部と円筒状ステータが協働して、その真空チャンバ内の気体を排気することで、高真空状態を作り出す。
真空ポンプの電源装置(以下、単に「電源装置」と呼ぶ)は、外部電源によって電力を供給され、その供給された電力を電源装置内の回路(以下、「内部回路」と呼ぶ。)や、真空ポンプ内のモータや磁気軸受などに供給している。
ユーザなどにより電源装置の電源スイッチがオフにされたり、停電が生じたりすると、外部電源からの電力供給が停止する。その際に、電源装置内の負荷に電力を供給するために、コンデンサ(以下、供給コンデンサと呼ぶことにする。)が電源装置の回路に設けられている。例えば、特許文献1に記載のコンデンサ63がそれに相当する。なお、この供給コンデンサは、平滑コンデンサとは異なるものである。
供給コンデンサの電力は、外部電源からの電力供給の停止から回生動作への移行までの電力を保持する為、余裕を持たせている。そのため、通常の電源装置の終了動作時においては、その余剰電力までも内部回路で消費する必要がある。内部回路は、もともと消費電力が少ないため、その余剰電力を消費するのには時間がかかる。その結果、電源装置の終了動作時間を長くしてしまうという問題がある。
ここで、「電源装置の終了動作」とは、電源装置の制御部を構成する各種プログラムが立ち下げられ(終了され)、且つ、外部電源からの電力供給が遮断されてから供給コンデンサに蓄積された電力が安全な所定電力にまで低下する動作を指す。また、「電源装置の終了動作時間」とは、外部電源からの電力供給が遮断されてから、供給コンデンサに蓄積された電力が安全な所定電力にまで低下するまでの時間を指す。「電源装置の終了動作時間」では、電源装置の制御部を構成する各種プログラムを立ち下げることも行われるが、外部電源からの電力供給が遮断されてから供給コンデンサに蓄積された電力を消費する動作が最も時間がかかるため、以上のような定義とした。
特開平7−279962号公報
このように、供給コンデンサの余剰電力を早期に消費して、電源装置の終了動作時間を短縮する真空ポンプ用の電源装置、及び、その電源装置を搭載した真空ポンプ装置が望まれていた。
(1)本発明の第1の好ましい態様による電源装置は、外部から電力が供給され、その電力により真空ポンプを駆動制御する電源装置であって、外部から供給された電力により充電され、電力供給停止時に電源装置の内部回路に電力を供給するコンデンサと、電源装置の動作を終了させる際に、コンデンサを放電させてコンデンサの電力を、真空ポンプのロータを回転駆動する真空ポンプに設けられたモータに供給する放電制御部と、を備える。
(2)本発明の第2の好ましい態様による電源装置は、外部から電力が供給され、その電力により真空ポンプを駆動制御する電源装置であって、外部から供給された電力により充電され、電力供給停止時に電源装置の内部回路に電力を供給するコンデンサと、電源装置の動作を終了させる際に、コンデンサを放電させてコンデンサの電力を、真空ポンプのロータを磁気浮上させる真空ポンプに設けられた磁気軸受に供給する放電制御部と、を備える。
(3)本発明の第3の好ましい態様による電源装置は、外部から電力が供給され、その電力により真空ポンプを駆動制御する電源装置であって、外部から供給された電力により充電され、電力供給停止時に電源装置の内部回路に電力を供給するコンデンサと、真空ポンプのロータの回転エネルギーによる回生電流を流すための回生ブレーキ抵抗と、電源装置の動作を終了させる際に、コンデンサを放電させてコンデンサの電力を回生ブレーキ抵抗に供給する放電制御部と、を備える。
(4)本発明の好ましい態様による真空ポンプ装置は、排気動作部が形成されたロータと、ロータを回転駆動するモータと、を有する真空ポンプと、本発明の第1〜第3の好ましい態様による電源装置と、を備える。
本発明によれば、供給コンデンサの余剰電力を早期に消費して、電源装置の終了動作時間を短縮する真空ポンプ用の電源装置、及び、その電源装置を搭載した真空ポンプ装置を提供できる。
本発明の一の実施形態によるターボ分子ポンプ及び電源装置を備える真空ポンプ装置と、外部電源とを示した図。 本発明の一の実施形態による真空ポンプ装置及び外部電源についてのブロック図。 本発明の一の実施形態における、外部電源の電力供給が停止した際のフローチャート。 変形例1における外部電源の電力供給が停止した際のフローチャート。 変形例2における真空ポンプ装置及び外部電源についてのブロック図。 変形例2における外部電源の電力供給が停止した際のフローチャート。
以下では、真空ポンプのうち、複合型のターボ分子ポンプに本発明を適用した例で説明する。なお、本発明は、全翼型のターボ分子ポンプやモレキュラドラッグポンプの真空ポンプにも適用できる。
上述したが、本明細書においては、「電源装置の終了動作」とは、電源装置の制御部を構成する各種プログラムが立ち下げられ(終了され)、且つ、外部電源からの電力供給が遮断されてから供給コンデンサに蓄積された電力が安全な所定電力にまで低下する(完全消費としてもよい)動作を指す。また、「電源装置の終了動作時間」とは、外部電源からの電力供給が遮断されてから、供給コンデンサに蓄積された電力が安全な所定電力にまで低下する(完全消費としてもよい)までの時間を指す。「電源装置の終了動作時間」では、電源装置の制御部を構成する各種プログラムの立ち下げ動作も行われるが、外部電源からの電力供給が遮断されてから供給コンデンサに蓄積された電力を消費する動作が最も時間がかかるため、以上のような定義とした。
―実施形態―
図1は、真空ポンプ装置100の概略構成を示す図である。真空ポンプ装置100は、ターボ分子ポンプ5と、電源装置14を備えている。ターボ分子ポンプ5は、内部構成を説明するために、断面図で示されている。電源装置14は、ターボ分子ポンプ5に接続され、ターボ分子ポンプ5に電力を供給し、そして、ターボ分子ポンプ5の各構成を制御している。電源装置14は、外部電源15に接続され、外部電源15から電力を供給されている。
ターボ分子ポンプ5のケーシング52内にはロータ組立体32(回転体32)が回転自在に設けられている。真空ポンプ装置100は磁気軸受式のポンプであり、ロータ組立体32は、上部ラジアル電磁石62、下部ラジアル電磁石64、スラスト電磁石66を有する磁気軸受60によって非接触支持される。なお、磁気浮上していない時のために、ターボ分子ポンプ5は、ロータ組立体32を支持するための保護ベアリング7を備えている。
ロータ組立体32は、ロータ34と、シャフト33と、ロータディスク35とを備える。ロータ34には、排気動作部である複数段のロータ翼20とロータ円筒部18とが設けられている。複数段のロータ翼20の間には、軸方向に対して複数段のステータ翼44が設けられ、ロータ円筒部18の外周側には円筒状ステータ48が設けられている。ステータ翼44のそれぞれは、スペーサ50を介してベース54上に配設されている。ケーシング52をベース54に固定すると、積層されたスペーサ50がベース54とケーシング52との間に挟持され、ステータ翼44が位置決めされる。
ベース54には排気口56が設けられ、この排気口56にバックポンプが接続される。ロータ組立体32が磁気軸受60によって磁気浮上されつつモータ16により高速回転されることにより、吸気口30側の気体分子は排気口56側へと排気される。ロータ組立体32の回転数は、回転数検出部19によって検出され、電源装置14に送信されている。
図2を参照して、電源装置14の構成について説明する。電源装置14は、AC/DCコンバータ14Aと、平滑コンデンサ14Bと、ダイオード14Cと、電圧検出部14Qと、供給コンデンサ14Dと、回生ブレーキ抵抗14Eと、トランジスタ14Fと、トランジスタ制御回路14Gと、三相インバータ14Hと、DC/DCコンバータ14Jと、DC/DCコンバータ14Kと、制御部14Nと、励磁アンプ14Pと、を備えている。
ここで、「内部回路」とは、例えば、制御部14N、三相インバータ14H、励磁アンプ14P、トランジスタ制御回路14G、AC/DCコンバータ14A、DC/DCコンバータ14J、14Kなどである。従来は、この内部回路で供給コンデンサ14Dの余剰電力(後述)を消費していた。
AC/DCコンバータ14Aは、交流電源である外部電源15からの交流電力を直流電力に変換する。また、AC/DCコンバータ14Aは、不図示であるが、外部電源15側の電圧を検出している。そして、AC/DCコンバータ14Aは、制御部14Nにその電圧値を送信する。
平滑コンデンサ14Bは、AC/DCコンバータ14Aから出力された直流電流を平滑化する。
DC/DCコンバータ14Jは、平滑コンデンサ14B側からの電力を降圧して制御部14Nに供給する。DC/DCコンバータ14Kは、平滑コンデンサ14B側からの電力を降圧して励磁アンプ14Pに供給する。なお、制御部14Nと励磁アンプ14Pでは駆動させるのに必要な電力が大きく異なるため、異なるDC/DCコンバータを設けている。
三相インバータ14Hは、制御部14Nの指令により、モータ16に電流を印加する。
励磁アンプ14Pは、制御部14Nの指令により、磁気軸受60に電流を印加する。
制御部14Nは、モータ16の駆動制御時、三相インバータ14Hの不図示のスイッチを制御してモータ16に通電し、励磁アンプ14Pの不図示のスイッチを制御して磁気軸受60に通電する。
制御部14Nは、AC/DCコンバータ14Aが検出する外部電源15側の電圧の情報をAC/DCコンバータ14Aから受信し、ロータ組立体32の回転数の情報を回転数検出部19から受信し、供給コンデンサ14Dの電圧の情報を電圧検出部14Qから受信する。
また、制御部14Nは、モータ16の回生制御時、三相インバータ14H内に設けられたスイッチを適宜オンオフして、モータ16からの回生電力を三相インバータ14Hの直流側に回生させる。制御部14Nは、DC/DCコンバータ14K及び励磁アンプ14Pを制御して、モータ16からの回生電力を磁気軸受60に供給する。また、制御部14Nは、トランジスタ制御回路14Gを制御してトランジスタ14Fをオンにすることで、モータ16からの回生電力を用いて回生ブレーキ抵抗14Eに通電し、その回生電力を消費させる。なお、ダイオード14Cは、モータ16からの回生電流が平滑コンデンサ14B側に逆流することを防止するために設けられている。
供給コンデンサ14Dは、制御部14Nのプログラムが終了動作をする際の電力供給に用いられる補助電源である。
また、供給コンデンサ14Dは、外部電源15からの電力供給が停止してから制御部14Nがモータ16を回生動作に移行させるまでのわずかな時間に、制御部14Nや磁気軸受60などに電力を供給するためにも用いられる。さらに、供給コンデンサ14Dは、瞬時停電(瞬停)に、制御部14Nやモータ16や磁気軸受60などに電力を供給するためにも用いられる。
電圧検出部14Qは、供給コンデンサ14Dの電圧を検出し、制御部14Nにその電圧情報を送信する。供給コンデンサ14Dの電圧は、供給コンデンサ14Dが供給できる電力量を把握するために必要なパラメータである。
図3は、本実施形態における外部電源の電力供給が停止された時のフローチャートを示した図である。このフローチャートは制御部14Nで実行される。なお、制御部14Nの制御によってモータ16から電源装置に電力供給されることがあるが、そのような制御部14Nの制御による電力供給がない場合であっても、供給コンデンサ14Dが、制御部14Nの制御によらずに、自動的に放電することで電力供給を行うので、フローチャートの途中で電力供給が停止することはない。
ユーザが電源装置14の電源スイッチをオンにし、外部電源15から電源装置14に電力が供給されると、制御部14Nは、図3に示すフローチャートを開始する(ステップS1)。ステップS2において、制御部14Nは、AC/DCコンバータ14Aから受信した情報で、外部電源15の電力供給が停止しているかを判定する。否定判定、すなわち、外部電源15の電力供給が継続していると判定された場合は、再び、ステップS2に入る。肯定判定、すなわち、外部電源15の電力供給が停止していると判定された場合は、ステップS3に移行する。
ステップS3では、制御部14Nは、回転数検出部19から受信した情報で、ロータ組立体32の回転数が所定値以下であるかを判定する。ここで、「所定値」とは、例えば、60rpmというような低回転の回転数を意味する。
このような低回転になることを条件としているのは、安全上の理由から、ロータ組立体32が低速回転になって、電源装置14を終了させる意図などがある。例えば、電源装置が終了しているのを見て、ロータ組立体32が未だ高速回転している真空ポンプ5を大気開放してロータ翼20を破損させてしまうような事態を回避することなどが挙げられる。
ステップS3において、否定判定されれば、ステップS4に移行する。肯定判定されれば、ステップS5に移行する。
ステップS4では、制御部14Nは、三相インバータ14Hに指令を出して、三相インバータ14Hに、モータ16の回生動作を行わせ、ロータ組立体32の停止操作を行わせる。なお、この回生で得られた電力は、磁気軸受60で磁気浮上制御のために用いられたり、回生ブレーキ抵抗14Eで消費されたりする。
ステップS5では、制御部14Nは、電圧検出部14Qから受信した電圧情報に基づいて、供給コンデンサ14Dの蓄積された電力量を算出する。さらに、供給コンデンサ14Dの充電されている電力量から、制御部14Nのプログラムの終了動作に必要な電力量を差し引いた電力量、すなわち、余剰電力の電力量を算出する。
この余剰電力が、電源装置14内の内部回路が消費するのに長い時間を要していた原因、すなわち、電源装置14の終了動作を長くしていた原因である。ステップS5において、制御部14Nは、その余剰電力を、モータ16、磁気軸受60、回生ブレーキ抵抗14Eの少なくともいずれか1つに供給し、消費させる。モータ16、磁気軸受60、回生ブレーキ抵抗14Eが単位時間あたりに消費できる電力量は、内部回路が単位時間あたりに消費できる電力量よりも大きい。そのため、内部回路に余剰電力を消費させるよりも、モータ16、磁気軸受60、回生ブレーキ抵抗14Eに余剰電力を消費させた方がより速く余剰電力を消費することができる。これによって、電源装置14の終了動作時間を短縮することができる。なお、余剰電力の供給消費先が多ければ多いほど、電源装置14の終了動作時間が短縮されることは言うまでもない。
モータ16に消費させる場合は、制御部14Nは、三相インバータ14Hの不図示のスイッチを制御して、モータ16に通電する。なお、モータ16の通電によって、ロータ組立体32が回転しないように通電することが好ましい。例えば、三相インバータ14Hの3相あるスイッチの内の2相だけを用いて通電するなどすればよい。
磁気軸受60に消費させる場合は、制御部14Nは、励磁アンプ14Pの不図示のスイッチを制御して、磁気軸受60に通電する。
回生ブレーキ抵抗14Eに消費させる場合は、トランジスタ制御回路14Gを制御して、トランジスタ14Fをオンにして、回生ブレーキ抵抗14Eに通電する。
以上のように、ステップS5で、制御部14Nが余剰電力を供給するように指令を出したら、ステップS6に移行する。
ステップS6では、制御部14Nは、電圧検出部14Qから受信する電圧情報に基づいて、供給コンデンサ14Dの蓄積している電力量を把握し、余剰電力が消費されたかを判定する。ステップS6を設けてあるのは、余剰電力消費が完了するまでは、制御部14Nの機能を停止させないためである。否定判定されれば、ステップS5に移行し、余剰電力の消費を継続する。肯定判定されれば、ステップS7に移行する。
ステップS7では、制御部14Nは、供給コンデンサ14Dに蓄積された電力量を用いて、制御部14Nを構成する各種プログラムの終了動作を実行する。
ステップS7において制御部14Nが上記の指令を出した後、ステップS8に移行し、フローチャートを終了する。
上述した実施形態の電源装置は、以下の構成を備え、その構成によって以下の作用効果が得られる。
(1)電源装置14は、外部から供給された電力により充電され、電力供給停止時に電源装置14の内部回路に電力を供給する供給コンデンサ14Dと、電源装置14の動作を終了させる際に、供給コンデンサ14Dを放電させて、その放電による供給コンデンサ14Dの電力を、モータ16、磁気軸受60、及び、回生ブレーキ抵抗14Eのうちの少なくともいずれか1つに供給する放電制御部(制御部14N)と、を備える。
これにより、電源装置14の内部回路よりも消費電力の高いモータ16、磁気軸受60、回生ブレーキ抵抗14Eに供給コンデンサ14Dの余剰電力を消費させるので、供給コンデンサ14Dの余剰電力を消費する時間が短縮される。その結果、電源装置14の終了動作時間が短縮される。
(2)電源装置14は、ロータ組立体32(ロータ34)の回転数が所定値(例えば、60rpm)以下になったか否かを判断する回転数検出部19をさらに備え、ロータ組立体32の回転数が所定値以下になったと判断された際に、制御部14Nが、供給コンデンサ14Dを放電させる。
これによって、ロータ組立体32が低速回転になって、電源装置14を終了させることができ、安全に真空ポンプ装置を停止することができる。例えば、電源装置が終了しているのを見てロータ組立体32が未だ高速回転している真空ポンプ5を大気開放してロータ翼20を破損させてしまうような事態を回避することができる。
(3)外部からの電力供給が停止した場合に、ロータ組立体32(ロータ34)の回転エネルギーを回生させる回生制御部(制御部14N)をさらに備え、放電制御部(制御部14N)は、回生制御時に、ロータ組立体32(ロータ34)の回転数が所定値以下になったと判断された際に、供給コンデンサ14Dを放電する。
回生機能を有していることで、ロータが回転している場合に、その回転エネルギーを有効に用いることができる。特に、ロータの回転エネルギーから得られる電力を磁気軸受60に供給してロータの磁気浮上に用いれば、ロータの回転エネルギーが低下する一方でその回転エネルギーの低下分をロータの磁気浮上に用いるので、ロータが高速回転している状態でロータの磁気浮上が停止することはない。その結果、外部電源15の電力供給の遮断時に仮にロータが回転している場合でも、安全に、電源装置14の終了動作を行うことができる。
―変形例1―
図4は、変形例1におけるフローチャートである。
以上の実施形態のフローチャート(図3参照)とは、
・本変形例のフローチャートでは、ステップS6を有しないこと
・ステップS6を有しないため、ステップS5において供給コンデンサ14Dの蓄積された電力量の算出や余剰電力の算出を行わないこと
が主に相違している。
以上を踏まえて、図4を用いて、本変形例のフローチャートを説明する。ステップS1〜S4における処理は、以上の実施形態(図3参照)と同様である。
ステップS5においては、制御部14Nは、三相インバータ14H、励磁アンプ14P、トランジスタ制御回路14Gの少なくともいずれか1つに指令を出して、供給コンデンサ14Dの電力をモータ16、磁気軸受60、及び、回生ブレーキ抵抗14Eの少なくとも1つに供給させる。なお、本変形例では、供給コンデンサ14Dの余剰電力を算出しないので、上述のとおり、「供給コンデンサ14Dの電力」とした。ステップS5終了後、ステップS7に移行する。
ステップS7における処理は、基本的には、以上の実施形態(図3参照)と同様である。ただし、制御部14Nの供給コンデンサ14Dの電力供給に関係するプログラム(以下、供給プログラムと呼ぶ)については、供給コンデンサ14Dの電力が消費されるまで起動させておく。
具体的に説明する。三相インバータ14H、励磁アンプ14P、トランジスタ制御回路14Gは、所定の電位のスイッチング信号を受信するとスイッチをオンにし、その電位未満の信号を受信するとスイッチをオフとするように設定されている。すなわち、電力がある程度供給されている時でないと、スイッチはオンにならない。ステップS5において、制御部14Nは、供給プログラムを用いて、供給コンデンサ14Dの電力が続く限り、三相インバータ14H、励磁アンプ14P、トランジスタ制御回路14Gに対して所定の電位のスイッチング信号であるスイッチオンの信号を送り続ける。供給コンデンサ14Dの電力が消費されると、制御部14Nにも電力が供給されなくなるので、供給プログラムも終了する。その結果、スイッチオンの信号を送信しなくなる。それによって、三相インバータ14H、励磁アンプ14P、トランジスタ制御回路14Gは、スイッチをオフにする。
本変形例のように行えば、供給コンデンサ14Dの余剰電力の算出等を行わなくて済むため、制御部14Nの負担が減る。また、供給コンデンサ14Dの余剰電力の消費を待たずに制御部14Nのほとんどのプログラムを終了させることができるため、電源装置の終了時間がより短縮される。
―変形例2―
以上の実施形態の真空ポンプ装置は回生機能を有していたが、本発明は回生機能を有していない真空ポンプ装置に適用することもできる。図5及び図6を用いて説明する。なお、以上の実施形態と同様の箇所については説明を省略する。
図5は、回生機能を有していない真空ポンプ装置を示している。本変形例の真空ポンプ装置は、回生機能を有していない。そのため、本変形例の真空ポンプ装置は、回生ブレーキ抵抗を有していない。本変形例の真空ポンプ装置は、図5に示すように、電源装置14内に、直流の補助バッテリー14Tを有している。補助バッテリー14Tは、外部電源15の電力供給が遮断された時に、主にロータ組立体32の磁気浮上を維持するためのものである。そのため、補助バッテリー14Tは、外部電源15の電力の供給が停止した際にロータ組立体32が回転を停止するまでの長時間に渡りロータ組立体32が磁気浮上できるだけの十分な電力を、外部からの電力供給(不図示)により予め蓄えている。よって、補助バッテリー14Tの蓄電量は、供給コンデンサ14Dの蓄電量よりもはるかに大きい。
さらに、本変形例の電源装置14は、補助バッテリー14Tの電力供給の接続または遮断を行う補助バッテリー用スイッチ14Lを備えている。スイッチ14Lは、制御部14Nの指令によって、スイッチを接続したり遮断したりすることで、補助バッテリー14Tの電力供給の接続または遮断を行う。スイッチ14Lは、通常時はオフになっており、外部電源15の電力供給が停止してロータ組立体32が停止操作に入るステップ周辺(図6参照)でだけオンになる。
図6は、本変形例における制御部14Nで実行されるフローチャートである。図3との主な相違点は、図3のステップS2とステップS3の間にステップSA1が設けられていることと、ステップS4がステップSA2に変更されていることと、ステップS3とステップS5の間にステップSA3が設けられていることと、ステップS5がステップSA4に変更されていることである。これらの相違点に関することを中心に、以下で図6を説明する。なお、制御部14Nの制御によって補助バッテリー14Tから電源装置14に電力供給されることがあるが、そのような制御部14Nの制御による電力供給がない場合であっても、供給コンデンサ14Dが、制御部14Nの制御によらずに、自動的に放電することで電力供給を行うので、フローチャートの途中で電力供給が停止することはない。
(ステップSA1周辺のフローについて)
ステップS2において、外部電源15からの電力供給が停止していると判定されると、ステップSA1に移行する。ステップSA1では、制御部14Nは、スイッチ14Lをオンにして、補助バッテリー14Tの電力供給を接続する。そして、ステップS3に移行する。
(ステップSA2周辺のフローについて)
ステップS3で否定判定されると、ステップSA2に移行する。ステップSA2では、モータ16の回生操作は行わずに、ロータ組立体32の停止操作を行う。具体的には、制御部14Nが、補助バッテリー14Tの電力を用いて、ロータ組立体32が回転駆動する時と位相が異なる交流電流をモータ16に印加することで、ロータ組立体32の回転を停止させる。ロータ組立体32が停止するまでの間は、制御部14Nが、補助バッテリー14Tの電力を用いて、磁気軸受60に通電して、ロータ組立体32の磁気浮上を維持する。なお、補助バッテリー14Tが接続されている間は、供給コンデンサは充電されているので、ロータ組立体の回転停止操作中に供給コンデンサ14Dの電圧降下が生じることはない。ステップSA2の後、ステップS3に移行する。
(ステップSA3、SA4周辺のフローについて)
ステップS3で肯定判定されると、ステップSA3に移行する。ステップSA3では、制御部14Nは、スイッチ14Lをオフにして、補助バッテリー14Tの電力供給を遮断する。ステップSA3の後、ステップSA4に移行する。ステップSA4では、制御部14Nが余剰電力の供給先がモータ16及び磁気軸受60の少なくともいずれか一方になったこと以外は、図3のステップS5と同様である。ステップSA4の後、ステップS6に移行する。
以上のように、本変形例のような回生機能を有さず、回生ブレーキ抵抗を有しない電源装置及び真空ポンプ装置にも本発明を適用でき、上述の実施形態と同様の作用効果を奏する。
次のような変形も本発明の範囲内である。
以上では、電源装置をターボ分子ポンプと別体(図1参照)としたが、電源装置をターボ分子ポンプと一体的に設けることもできる。
以上では、本発明を複合型のターボ分子ポンプに適用したが、本発明は、全翼型のターボ分子ポンプや、モレキュラドラッグポンプなどの真空ポンプにも適用できる。
上記では、種々の実施形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。例えば、変形例2に変形例1を適用することもできる。また、本発明は、磁気軸受の代わりに転がり軸受を有する真空ポンプを備える真空ポンプ装置にも適用できる。
5:ターボ分子ポンプ、 7:保護ベアリング、 14:電源装置、
14A:AC/DCコンバータ、 14B:平滑コンデンサ、 14C:ダイオード、
14D:供給コンデンサ、 14E:回生ブレーキ抵抗、 14F:トランジスタ、
14G:トランジスタ制御回路、 14H:三相インバータ、
14J:DC/DCコンバータ、 14K:DC/DCコンバータ、
14N:制御部、 14P:励磁アンプ、 14Q:電圧検出部、 15:外部電源、
16:モータ、 18:ロータ円筒部、 19:回転数検出部、 20:ロータ翼、
30:吸気口、 32:ロータ組立体、 33:シャフト、 34:ロータ、
35:ロータディスク、 44:ステータ翼、 48:円筒状ステータ、
50:スペーサ、 52:ケーシング、 54:ベース、 56:排気口、
60:磁気軸受、 62:上部ラジアル電磁石、 64:下部ラジアル電磁石、
66:スラスト電磁石、 100:真空ポンプ装置

Claims (5)

  1. 外部から電力が供給され、その電力により真空ポンプを駆動制御する電源装置であって、
    外部から供給された電力により充電され、電力供給停止時に前記電源装置の内部回路に電力を供給するコンデンサと、
    前記電源装置の動作を終了させる際に、前記コンデンサを放電させて前記コンデンサの電力を、前記真空ポンプのロータを回転駆動する前記真空ポンプに設けられたモータ、及び/又は、前記真空ポンプのロータを磁気浮上させる前記真空ポンプに設けられた磁気軸受に供給する放電制御部と、を備える電源装置。
  2. 外部から電力が供給され、その電力により真空ポンプを駆動制御する電源装置であって、
    外部から供給された電力により充電され、電力供給停止時に前記電源装置の内部回路に電力を供給するコンデンサと、
    前記真空ポンプのロータの回転エネルギーによる回生電流を流すための回生ブレーキ抵抗と、
    前記電源装置の動作を終了させる際に、前記コンデンサを放電させて前記コンデンサの電力を前記回生ブレーキ抵抗に供給する放電制御部と、を備える電源装置。
  3. 請求項1または2に記載の電源装置において、
    前記ロータの回転数が所定値以下になったか否かを判断する検出部をさらに備え、
    前記ロータの回転数が所定値以下になったと判断された際に、前記放電制御部が、前記コンデンサを放電させる電源装置。
  4. 請求項3に記載の電源装置において、
    外部からの電力供給が停止した場合に、前記ロータの回転エネルギーを回生させる回生制御部をさらに備え、
    前記放電制御部は、前記回生制御部による回生制御時に、前記ロータの回転数が所定値以下になったと判断された際に、前記コンデンサを放電する、電源装置。
  5. 排気動作部が形成されたロータと、前記ロータを回転駆動するモータと、を有する真空ポンプと、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の電源装置と、を備える真空ポンプ装置。


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