JP2016060926A - 金属の分離方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 有価金属と不純金属とを分離する金属の分離方法であって、鉄等の不純金属を十分に分離でき、なおかつコバルト、ニッケル、マンガン及びリチウムのいずれの有価金属に対しても効率のよい回収を可能とする金属の分離方法を提供すること。【解決手段】 有価金属と不純金属とを分離する金属の分離方法は、有価金属として、コバルト、ニッケル、マンガン及びリチウムのうちの少なくとも一種を含み、不純金属として少なくとも鉄が含まれる有価金属含有溶液を、pHが1.0〜4.0の条件下で、下記一般式(1)で表される有機ホスフィン酸を含む金属抽出剤が含まれる非水溶性有機相と接触混合して、不純金属を非水溶性有機相に抽出する抽出工程を備える。[一般式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立に、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基、又は炭素数7〜30のアラルキル基を表す。]【選択図】 なし

Description

本発明は、金属の分離方法に関し、より詳細には、コバルト、ニッケル、マンガン、及びリチウム等の有価金属と鉄等の不純金属とを分離する方法に関する。
コバルト、ニッケル、マンガン、及びリチウム等の有価金属は、様々な分野で利用されている。例えば、コバルトは主に合金として、ニッケルは主にめっき、その他ステンレス鋼や硬貨の原料として、マンガンは主にマンガン乾電池及びアルカリ乾電池の正極として、リチウムは主に陶器やガラスの添加剤、光学ガラス、リチウムイオン電池の正極、耐熱グリースや連続鋳造のフラックスとして利用されている。
その中でも、リチウムを使ったリチウムイオン電池は、ノートパソコン、携帯電話、デジタルカメラ・ビデオ、携帯用音楽プレイヤーをはじめ様々な電子・電気機器に搭載されている。近年では、電気自動車やハイブリッド自動車等の動力源として実用化が急速に進んでおり、更に電力の平準化やスマートグリッドのための大型蓄電装置としても活発な研究が行われているなど、リチウムイオン電池の需要が将来増加していくものと予測される。
また、リチウムイオン電池の用途拡大、及び求められる性能の多様化に伴い正極活物質の組成も多様化しており、希少価値の高いコバルト、ニッケル及びマンガンといった有価金属が混在する正極活物質も使用されはじめたことから、これらの有価金属の需要も将来増加していくものと予測される。
その一方で、有価金属資源の産出国における資源ナショナリズム、資源の枯渇、廃製品埋め立てによる環境破壊の懸念等を背景に、廃製品からの金属リサイクルに関する技術開発が急務となっている。そのため、将来的に廃棄量の増加が見込まれるリチウムイオン電池からの有価金属を回収する方法の確立が重要な課題となっている。
リチウムイオン電池から有価金属を回収する方法としては、リチウムイオン電池を焼却、破砕して物理的に選別して得られる有価金属含有電池滓に対して酸を用いて浸出を行い、得られた酸浸出液から溶媒抽出法によって有価金属を抽出分離する方法が知られている。しかし、実際のリチウムイオン電池由来の有価金属含有電池滓中には、有価金属のほかに鉄、アルミニウム、亜鉛、銅等が不純金属として含有していることが多い。そのため、有価金属含有電池滓を酸性水溶液で浸出することによって得られる浸出液中にもこれらの不純金属が混入し、有価金属であるコバルト、ニッケル、マンガン及びリチウムの品位を低下させる問題がある。
これまでにも有価金属と不純金属とを分離する方法は検討されており、例えば、特許文献1には、コバルト、ニッケル及びリチウムの少なくとも1種からなる金属群Aと、銅、亜鉛、マンガン、カルシウム、アルミニウム及び鉄の少なくとも1種からなる金属群Bとを含有する金属混合水溶液に対して、燐酸エステル系抽出剤とオキシム系抽出剤とを含有する混合抽出剤を使用して溶媒抽出し、当該金属混合溶液から金属群Bを分離することを含む金属混合溶液中の金属の分離方法が提案されている。また、特許文献2には、コバルト、ニッケル、及びリチウムの少なくとも1種からなる金属群Aと、銅、亜鉛、アルミニウム及び鉄の少なくとも1種からなる金属群Bとを含有する金属混合水溶液に対して、ホスホン酸エステル系抽出剤とオキシム系抽出剤とを含有する混合抽出剤を使用して溶媒抽出し、当該金属混合溶液から金属群Bを分離することを含む金属混合溶液の分離方法が提案されている。
特開2013−139593号公報 特開2013−181203号公報
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載の方法では、溶媒抽出によって、有価金属、特にマンガンが抽出されてしまい、これらの有価金属を回収するために洗浄工程が必要になるという問題があった。
本発明は、有価金属と不純金属とを分離する金属の分離方法であって、鉄等の不純金属を十分に分離でき、なおかつコバルト、ニッケル、マンガン及びリチウムのいずれの有価金属に対しても効率のよい回収を可能とする金属の分離方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の有機ホスフィン酸を特定のpH範囲で使用することにより、不純金属を含む有価金属含有溶液から鉄等の不純金属を溶媒抽出法によって効率よく非水溶性有機相へ抽出分離できる方法を見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
本発明は、有価金属と不純金属とを分離する金属の分離方法であって、有価金属として、コバルト、ニッケル、マンガン及びリチウムのうちの少なくとも一種を含み、不純金属として少なくとも鉄が含まれる有価金属含有溶液を、pHが1.0〜4.0の条件下で、下記一般式(1)で表される有機ホスフィン酸を含む金属抽出剤が含まれる非水溶性有機相と接触混合して、不純金属を非水溶性有機相に抽出する抽出工程を備える金属の分離方法を提供する。
Figure 2016060926


[一般式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基、又は炭素数7〜30のアラルキル基を表す。]
本発明の金属の分離方法によれば、コバルト、ニッケル、マンガン及びリチウムのいずれの有価金属であっても有価金属含有溶液に残しつつ、鉄等の不純金属を非水溶性有機相に十分抽出することができる。したがって、本発明によれば、有価金属及び不純金属が含まれる溶液から鉄等の不純金属を十分に分離でき、なおかつコバルト、ニッケル、マンガン及びリチウムのいずれの有価金属に対しても効率のよい回収が可能となる。
ところで、本発明者らの検討によると、上記特許文献1及び2に記載の方法は、金属混合水溶液に鉄が含まれている場合、溶媒抽出後の混合抽出剤は洗浄工程及び逆抽出工程を経ても鉄が大量に残存するという問題があることが判明した。すなわち、上記従来の方法は、洗浄工程及び逆抽出工程後の混合抽出剤から鉄を除去するために、強力な酸性水溶液を大量に使用するスカベンジング等を実施する必要があり、経済的に不利であるという問題を有している。
これに対し、本発明者らは、上記本発明に係る抽出工程で得られる抽出後の非水溶性有機相から、スカベンジング等の煩雑な工程を必要とせず、簡便な逆抽出によって不純金属を取り除くことが可能となる方法を見出した。
本発明の金属の分離方法は、上記不純金属が含まれる上記非水溶性有機相を酸性水溶液と接触混合して、不純金属を酸性水溶液に逆抽出する逆抽出工程を更に備えることができる。この場合、スカベンジング等の煩雑な工程を必要とせず、簡便な逆抽出によって非水溶性有機相から不純金属を取り除くことができ、逆抽出工程を経た非水溶性有機相を別の抽出工程に再利用することが可能となる。これにより、有価金属の回収におけるコストを低減することができる。
上記酸性水溶液が、0.018〜4.5モル/Lの硫酸水溶液であることが好ましい。
また、本発明の方法においては、上述したように、上記逆抽出工程を経た非水溶性有機相を、別の抽出工程に再利用することができる。
更に、本発明の方法において、上記非水溶性有機相が、有機ホスフィン酸を1〜45質量%含有することが好ましい。
また、不純金属の抽出効率、並びに金属抽出剤の取扱い性及び入手性の観点から、上記一般式(1)におけるR及びRの炭素数の和が12〜60であることが好ましい。
更に、有価金属と不純金属との分離効率、不純金属の逆抽出効率の観点から、上記一般式(1)で表される有機ホスフィン酸が、ビス(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィン酸、及び/又は、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸であることが好ましい。
上記の有機ホスフィン酸を用いる場合、上記抽出工程におけるpHは2.0〜3.0であることが好ましい。
本発明によれば、有価金属と不純金属とを分離する金属の分離方法であって、鉄等の不純金属を十分に分離でき、なおかつコバルト、ニッケル、マンガン及びリチウムのいずれの有価金属に対しても効率のよい回収を可能とする金属の分離方法を提供することができる。また、本発明で用いられる非水溶性有機相は、不純金属の抽出後、スカベンジングなどの煩雑な工程を必要とせず、簡便な逆抽出によって非水溶性有機相から不純金属を取り除くことができる。これにより、逆抽出工程を経た非水溶性有機相を再び別の溶媒抽出工程に利用することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施の形態に即して詳細に説明する。
本実施形態に係る有価金属と不純金属とを分離する金属の分離方法は、有価金属として、コバルト、ニッケル、マンガン及びリチウムのうちの少なくとも一種を含み、不純金属として少なくとも鉄が含まれる有価金属含有溶液を、pHが1.0〜4.0の条件下で、下記一般式(1)で表される有機ホスフィン酸を含む金属抽出剤が含まれる非水溶性有機相と接触混合して、不純金属を非水溶性有機相に抽出する抽出工程(以下、溶媒抽出工程という場合もある。)とを備える。
Figure 2016060926


[一般式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基、又は炭素数7〜30のアラルキル基を表す。]
本実施形態においては、上記不純金属が含まれる上記非水溶性有機相を酸性水溶液と接触混合して、不純金属を酸性水溶液に逆抽出する逆抽出工程を更に備えることができる。
ここで、非水溶性有機相の非水溶性とは、1気圧20℃の条件下で、同容量のイオン交換水との混合液が二つの相に分かれるものと定義することができる。
まず、有価金属含有溶液について説明する。有価金属含有溶液としては、有価金属としてコバルト、ニッケル、マンガン、及びリチウムのうち少なくとも一種と、不純金属として少なくとも鉄を含む限り特に限定はないが、例えば、リチウムイオン電池の正極活物質を含む有価金属含有電池滓を酸性水溶液で浸出することによって得られる浸出液、有価金属を含有する鉱石を破砕後、酸性水溶液で浸出することによって得られる浸出液、金属メッキ加工後の廃液等が挙げられる。ここで、有価金属含有溶液中の有価金属及び不純金属はイオンの状態であることが好ましい。
次に、溶媒抽出工程について説明する。溶媒抽出工程は、有価金属含有溶液から不純金属を分離するために、金属抽出剤を含む非水溶性有機相と有価金属含有溶液とを接触混合する工程である。接触混合は、pHは1.0〜4.0の条件下で行われる。すなわち、溶媒抽出工程における非水溶性有機相と混合されたときであって、二相分離前の有価金属含有溶液のpHが1.0〜4.0である。
上記一般式(1)で表される有機ホスフィン酸として、ビス(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィン酸、及び/又は、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸を用いる場合は、鉄を含む不純金属の抽出率向上、有価金属の抽出抑制という観点から、pHが2.0〜3.0の条件下で接触混合を行うことが好ましい。
pHの調整方法としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ、又は酸を添加する方法が挙げられる。アルカリとしては、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、及びそれらの水溶液等が挙げられるが、経済性の観点から水酸化ナトリウム、水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、及びそれらの水溶液等が挙げられるが、設備への腐食性の観点から硫酸、硫酸水溶液が好ましい。
溶媒抽出工程における温度は、特に限定されないが、非水溶性有機相の粘度、抽出効率、経済性の観点から10〜80℃が好ましく、20〜60℃がより好ましい。
溶媒抽出工程における非水溶性有機相(O)と有価金属含有溶液(A1)との体積比(O/A1比)は、特に限定されないが、抽出効率、経済性の観点から、0.1〜20が好ましい。
次に、金属抽出剤について説明する。金属抽出剤は、上記一般式(1)で表される有機ホスフィン酸を含むものである。当該有機ホスフィン酸は、1種を単独で又は2以上を組み合わせて含有させることができる。
上記一般式(1)で表される有機ホスフィン酸において、RおよびRはそれぞれ独立に、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基、又は炭素数7〜30のアラルキル基であるが、R及びRの炭素数の和は、12〜60であることが好ましく、R及びRの炭素数の和が12〜40であることがより好ましい。R及びRの炭素数の和が12未満では、有機ホスフィン酸の水溶性が向上し、有価金属含有溶液に移行して不純金属の抽出効率が低下する傾向にあり、R及びRの炭素数の和が60を越えると、取り扱い性、及び入手性が困難になる傾向にある。
炭素数1〜30のアルキル基としては、直鎖、又は分岐のアルキル基が挙げられ、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャリブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、イソヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、デシル基、イソデシル基、ドデシル基、ステアリル基、イソステアリル基、シクロヘキシル基、及び3−メチル−シクロペンチル基等が挙げられる。炭素数2〜30のアルケニル基としては、直鎖、又は分岐のアルケニル基が挙げられ、例えば、エテニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、イソペンテニル基、ヘキセニル基、イソヘキセニル基、ヘプテニル基、イソヘプテニル基、オクテニル基、イソオクテニル基、2,4,4−トリメチルペンテニル基、ドデセニル基、及びオレイル基等が挙げられる。炭素数6〜30のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、及びナフチル基等が挙げられる。炭素数7〜30のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、及びフェネチル基等が挙げられる。
これらの中でも、有価金属と不純金属との分離効率、不純金属の逆抽出効率の観点から、分岐のあるアルキル基が好ましく、炭素数6〜14であることがより好ましく、2−エチルヘキシル基、2,4,4−トリメチルペンチル基がさらにより好ましく、2,4,4−トリメチルペンチル基が特に好ましい。
一般式(1)で表される有機ホスフィン酸としては、有価金属と不純金属との分離効率、不純金属の逆抽出効率の観点から、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸、及び/又は、ビス(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィン酸がより好ましく、ビス(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィン酸がさらにより好ましい。
また、金属抽出剤は、上記一般式(1)で表される有機ホスフィン酸とともに、ヒドロオキシム系抽出剤、カルボン酸系抽出剤等のその他の金属抽出剤を配合することができる。ヒドロオキシム系抽出剤やカルボン酸系抽出剤が配合すると、銅の抽出率を向上させることができる。ヒドロオキシム系抽出剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−5−ノニルアセトフェノンオキシム、5−ドデシル−2−ヒドロキシベンズアルデヒドオキシム、及び5−ノニルサリチルアルドキシム等が挙げられる。カルボン酸系抽出剤としては、例えば、ナフテン酸、及び9,9−ジメチルデカン酸等が挙げられる。
金属抽出剤は、上記一般式(1)で表される有機ホスフィン酸を60質量%以上含有することが好ましく、80質量%以上含有することがより好ましく、90質量%以上含有することがさらにより好ましい。上記一般式(1)で表される有機ホスフィン酸の含有量が60質量%未満の場合、有価金属含有溶液から不純金属を効率よく抽出できない傾向にある。
非水溶性有機相に含まれる上記一般式(1)で表される有機ホスフィン酸の含有量は、非水溶性有機相全量を基準として、1〜45質量%が好ましく、3〜40質量%がより好ましく、5〜30質量%がさらにより好ましい。有機ホスフィン酸の含有量が1質量%未満の場合、有価金属含有溶液から不純金属を効率よく抽出できない傾向にあり、45質量%を超える場合は、操作性が悪くなる傾向にある。
非水溶性有機相は、非水溶性有機相の粘度、操作性、溶媒抽出の際の非水溶性有機相と有価金属含有溶液の分離性の観点から非水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。
非水溶性有機溶剤としては、例えば、芳香族炭化水素系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤、脂環式炭化水素系溶剤、石油系溶剤等が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶剤としては、炭素数6〜20の芳香族炭化水素系溶剤が挙げられ、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン、メシチレン、クメン、インデン等が挙げられる。
脂肪族炭化水素系溶剤としては、炭素数5〜18の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられ、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、2,4−ヘプタジエン等が挙げられる。
脂環式炭化水素系溶剤としては、炭素数6〜20の脂環式炭化水素系溶剤(ナフテン系飽和炭化水素)が挙げられ、例えば、シクロヘキサン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、シクロオクタン、シクロデカン等が挙げられる。
石油系溶剤としては、ミネラルスピリット、ガソリン、コールタールナフサ、石油エーテル、石油ナフサ、石油ベンジン、テレピン油等が挙げられる。
さらに、非水溶性有機相は、非水溶性有機相と有価金属含有溶液との相分離性、及び非水溶性有機相と酸性水溶液との相分離性を向上させる目的で、中性リン化合物、高級アルコール等を配合することができる。
中性リン化合物としては、例えば、リン酸トリブチル、ブチルホスホン酸ジブチル及びトリオクチルホスフィンオキシド等が挙げられる。高級アルコールとしては、例えば、デカノール、イソデカノール等が挙げられる。中性リン化合物、高級アルコール等の配合量は、相分離性の観点から、非水溶性有機相全量を基準として、10質量%以下が好ましい。
本実施形態においては、溶媒抽出工程後、非水溶性有機相と有価金属含有溶液を分離するため分相分離工程を行うことができる。分相分離工程は、溶媒抽出工程を経た非水溶性有機相と有価金属含有溶液の比重差を利用して分相すればよい。
分相分離工程における温度は、特に限定されないが、取り扱い性、経済性の観点から、10〜80℃が好ましく、20〜60℃がより好ましい。
次に、逆抽出工程について説明する。逆抽出工程では、上記分相分離工程を経て得られた非水溶性有機相を酸性水溶液と接触混合することにより非水溶性有機相中の不純金属を酸性水溶液に逆抽出して取り除くことができる。
逆抽出工程に使用する酸性水溶液としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、及びそれらの水溶液が挙げられるが、酸性水溶液のpHは3.0以下が好ましく、操作性、設備への腐食性の観点から硫酸水溶液が好ましい。
硫酸水溶液を用いる場合、操作性、設備への腐食性の観点から0.018〜4.5モル/Lの硫酸水溶液が好ましく、0.18〜4.0モル/Lの硫酸水溶液がより好ましい。
逆抽出工程は、非水溶性有機相から特定の金属だけを酸性水溶液に回収する目的で、酸性度の低い酸性水溶液から順次複数回の逆抽出を行ってもよい。
逆抽出工程における温度は、特に限定されないが、非水溶性有機相の粘度、逆抽出効率、経済性の観点から、10〜80℃が好ましく、20〜60℃がより好ましい。
逆抽出工程において、接触混合させる非水溶性有機相(O)と酸性水溶液(A2)との体積比(O/A2比)は、特に限定されないが、逆抽出効率、経済性の観点から、0.1〜20が好ましい。
なお、上記逆抽出工程によれば、非水溶性有機相から鉄等の不純金属を容易に逆抽出し除去が可能となるため、6規定以上の塩酸等を大量に接触混合するスカベンジング等を実施する必要がなくなる。
本実施形態において、上記の逆抽出工程後に得られる非水溶性有機相は、逆抽出工程によって不純金属が取り除かれるため、再び別の溶媒抽出工程に利用することができる。
また、本実施形態において、不純金属を非水溶性有機相に抽出した後の有価金属含有溶液は、公知の方法に基づき、各金属の抽出分離及び濃縮ができる。
溶媒抽出工程における非水溶性有機相と有価金属含有溶液の接触混合、及び逆抽出工程における非水溶性有機相と酸性水溶液の接触混合を行う方法としては、特に限定されないが、バッチ法、連続バッチ法、バッチ回流法及び向流連続多段接触法(ミキサーセトラー等)等の公知の方法が適用できる。
上述した本実施形態に係る溶媒抽出工程は、従来の方法に比べてマンガンと鉄との分離能に優れていることから、特に有価金属含有溶液がマンガンを含む場合のマンガンの回収方法として利用することができる。
また、上述した本実施形態に係る逆抽出工程は、鉄が含まれる非水溶性有機相から鉄を分離する金属の分離方法として利用することができ、具体的には、鉄が含まれる非水溶性有機相を、上記一般式(1)で表される有機ホスフィン酸の存在下、上記酸性水溶液と接触混合して、鉄を酸性水溶液に抽出する方法とすることができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
<有価金属含有溶液の調製>
各金属の塩の試薬(関東化学社製)を用いて、抽出操作の対象である、不純金属(鉄、亜鉛)と有価金属(コバルト、ニッケル、マンガン、リチウム)とを含有する有価金属含有溶液(以下、「試験液」という)を調整した。
具体的には、塩化鉄(III)6水和物2.43g、硫酸亜鉛(II)7水和物2.20g、硫酸コバルト(II)7水和物23.85g、硫酸ニッケル(II)6水和物22.42g、硫酸マンガン(II)5水和物21.94g、硫酸リチウム1水和物4.61gをそれぞれ量りとり、蒸留水で希釈溶解させ500mlの溶液に調製した。調製した溶液のpHは1.8であった。
試験液に含有する各種金属の濃度を誘導結合プラズマ発光分光分析装置(以下、「ICP−AES」という パーキンエルマー社製 Optima 5300 DV)で測定した結果を表1に示す。
Figure 2016060926

金属抽出剤としてビス(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィン酸〔IONQUEST290(ソルベイ社製);ビス(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィン酸 95質量%含有〕を用い、金属抽出剤が25体積%〔非水溶性有機相におけるビス(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィン酸の含有量は26.3質量%〕となるように脂肪族炭化水素系溶剤〔D70(ジャパンケムテック社製)〕で希釈し、これを非水溶性有機相とした。
溶媒抽出工程は、O/A1比=1.0となるように、試験液50mlと非水溶性有機相50mlを混合し、25質量%水酸化ナトリウム水溶液を用いて混合溶液のpHを2.5に調整した後、25℃で、分液漏斗中で15分間振盪することにより行った。
溶媒抽出後、分液漏斗中で混合溶液を15分間静置し分相させた後、溶媒抽出後の非水溶性有機相と試験液(以下、「抽出後試験液」という)とを分離した。抽出後試験液の体積は49ml、pHは2.4であった。
ICP−AESで測定した抽出後試験液中の各種金属の濃度、及び各種金属の非水溶性有機相への抽出率を表2に示す。ここで抽出率は下記式(2)によって算出したものである。
抽出率(%)=[(試験液中の金属量A)−(抽出後試験液中の金属量B)]×100/(試験液中の金属量A) …(2)
[式(2)中、試験液中の金属量Aは、試験液中の濃度(mg/ml)×試験液量(ml)から求められ、抽出後試験液中の金属量Bは、抽出後試験液中の濃度(mg/ml)×抽出後試験液量(ml)から求められる。]
Figure 2016060926

表2の結果より、試験液中に含有していた鉄、亜鉛が非水溶性有機相側へ抽出されており、特に鉄はその全てが、亜鉛はその大部分が抽出されていることが分かった。一方で、有価金属であるコバルト、ニッケル、マンガン、リチウムはほとんど抽出されず、抽出後試験液に残留していることが分かった。
次に、溶媒抽出後の非水溶性有機相からの金属の逆抽出を行った。逆抽出工程は溶媒抽出後の非水溶性有機相(50ml)と1.8モル/Lの硫酸水溶液50mlを混合し、25℃で、分液漏斗中で15分間振盪することにより行った。
逆抽出後、分液漏斗中で混合溶液を15分間静置し分相させた後、非水溶性有機相と硫酸水溶液(以下、「逆抽出液」という)とを分離した。逆抽出液の体積は51ml、pHは0.2であった。
ICP−AESで測定した逆抽出液中の各種金属の濃度、及び各種金属の逆抽出液への逆抽出率を表3に示す。ここで逆抽出率は下記式(3)によって算出したものである。

逆抽出率(%)=(逆抽出液中の金属量C)×100/[(試験液中の金属量A)−(抽出後試験液中の金属量B)] …(3)
[式(3)中、逆抽出液中の金属量Cは、逆抽出液中の濃度(mg/ml)×逆抽出液量(ml)から求められ、試験液中の金属量Aは、試験液中の濃度(mg/ml)×試験液量(ml)から求められ、抽出後試験液中の金属量Bは、抽出後試験液中の濃度(mg/ml)×抽出後試験液量(ml)から求められる。]
Figure 2016060926

表3の結果より、非水溶性有機相へ抽出された亜鉛はほぼ全てが逆抽出液へ逆抽出され、また、鉄に関しても約93%と高い比率で逆抽出されていることが分かった。また、高速クロマトグラフィー分析により、非水溶性有機相中のビス(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィン酸の含有量は26.1質量%であることが確認された。逆抽出後の非水溶性有機相は、不純金属の大半が取り除かれていることから、より強力な酸性水溶液を大量に使用するスカベンジング工程を経ずに、また、ビス(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィン酸のほとんどが残存していることから、別の溶媒抽出工程に再利用することができる。
(実施例2)
逆抽出工程における酸性水溶液に3.6モル/Lの硫酸水溶液100mlを用いた以外は実施例1と同様の方法により、試験液からの溶媒抽出及び逆抽出を行った。
逆抽出液の体積は102ml、pHは0.2であった。
ICP−AESで測定した逆抽出液中の各種金属の濃度、及び各種金属の逆抽出液への逆抽出率を表4に示す。ここで逆抽出率は上記式(3)によって算出したものである。
Figure 2016060926

表4の結果より、非水溶性有機相へ抽出された亜鉛のほぼ全てが逆抽出液へ逆抽出されていることが分かった。また、鉄に関しても約98%と高い比率で逆抽出されていることが分かった。また、高速クロマトグラフィー分析により、非水溶性有機相中のビス(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィン酸の含有量は26.0質量%であることが確認された。逆抽出後の非水溶性有機相は、不純金属の大半が取り除かれていることから、より強力な酸性水溶液を大量に使用するスカベンジング工程を経ずに、また、ビス(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィン酸のほとんどが残存していることから、別の溶媒抽出工程に再利用することができる。
(比較例1)
金属抽出剤としてリン酸エステル系金属抽出剤であるビス(2−エチルヘキシル)リン酸〔DEHPA(ソルベイ社製);ビス(2−エチルヘキシル)リン酸 95質量%含有〕を25体積%〔ビス(2−エチルヘキシル)リン酸 27.3質量%/非水溶性有機相〕、アルドキシム型有機抽出剤である5−ノニルサリチルアルドキシム〔LIX860N−IC(Cognis社製);5−ノニルサリチルアルドキシム 85重量%含有〕を2体積%となるように脂肪族炭化水素系溶剤〔D70(ジャパンケムテック社製)〕で希釈し、これを非水溶性有機相とした以外は実施例1と同様の方法により、試験液からの溶媒抽出及び逆抽出を行った。
抽出後試験液の体積は50ml、pHは2.5であった。
ICP−AESで測定した抽出後試験液中の各種金属の濃度、及び各種金属の非水溶性有機相への抽出率を表5に示す。ここで抽出率は上記式(2)によって算出したものである。
Figure 2016060926

表5の結果より、試験液中に含有していた有価金属のうち約26%のマンガンが非水溶性有機相側へ抽出され、マンガンの回収率が低下することが分かった。
次に逆抽出を実施した。逆抽出液の体積は51ml、pHは0.2であった。
ICP−AESで測定した逆抽出液中の各種金属の濃度、及び各種金属の逆抽出液への逆抽出率を表6に示す。ここで逆抽出率は上記式(3)によって算出したものである。
Figure 2016060926

表6の結果より、非水溶性有機相へ抽出された鉄以外の金属についてはほぼ全てが逆抽出液へ逆抽出されたが、鉄は全く逆抽出されなかった。よって、この場合は逆抽出後の非水溶性有機相を溶媒抽出工程に再利用することを繰り返すと、非水溶性有機相中に鉄が蓄積していき、抽出効率の低下をまねく可能性がある。非水溶性有機相中に残留した鉄を除去するには、より強力な酸性水溶液を大量に使用するスカベンジングを行うことが必要である。
(比較例2)
逆抽出工程における酸性水溶液に3.6モル/Lの硫酸水溶液100mlを用いた以外は比較例1と同様の方法により、試験液からの溶媒抽出および逆抽出を行った。
逆抽出液の体積は102ml、pHは0.1であった。
ICP−AESで測定した逆抽出液中の各種金属の濃度、及び各種金属の逆抽出液への逆抽出率を表7に示す。ここで逆抽出率は上記式(3)によって算出したものである。
Figure 2016060926

表7の結果より、非水溶性有機相へ抽出された鉄以外の金属についてはほぼ全てが逆抽出液へ逆抽出されたが、鉄は全く逆抽出されなかった。よって、この場合も逆抽出後の非水溶性有機相を溶媒抽出工程に再利用することを繰り返すと、非水溶性有機相中に鉄が蓄積していき、抽出効率の低下をまねく可能性がある。非水溶性有機相中に残留した鉄を除去するには、より強力な酸性水溶液を大量に使用するスカベンジングを行うことが必要である。
(比較例3)
金属抽出剤としてホスホン酸エステル系金属抽出剤である2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル〔IONQUEST801(ソルベイ社製);2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル 95質量%含有〕を25体積%〔2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル 26.7質量%/非水溶性有機相〕、アルドキシム型有機抽出剤である5−ノニルサリチルアルドキシム〔LIX860N−IC(Cognis社製);5−ノニルサリチルアルドキシム 85重量%含有〕を2体積%となるように脂肪族炭化水素系溶剤〔D70(ジャパンケムテック社製)〕で希釈し、これを非水溶性有機相とした以外は実施例1と同様の方法により、試験液からの溶媒抽出および逆抽出を行った。
抽出後試験液の体積は50ml、pHは2.5であった。
ICP−AESで測定した抽出後試験液中の各種金属の濃度、及び各種金属の非水溶性有機相への抽出率を表8に示す。ここで抽出率は上記式(2)によって算出したものである。
Figure 2016060926

表8の結果より、試験液中に含有していた有価金属のうち約7%のマンガンが非水溶性有機相側へ抽出され、マンガンの回収率が低下することが分かった。
次に逆抽出を実施した。逆抽出液の体積は50ml、pHは0.1であった。
ICP−AESで測定した逆抽出液中の各種金属の濃度、及び各種金属の逆抽出液への逆抽出率を表9に示す。ここで逆抽出率は上記式(3)によって算出したものである。
Figure 2016060926

表9の結果より、非水溶性有機相へ抽出された亜鉛はほぼ全てが逆抽出液へ逆抽出されたが、鉄の逆抽出率は5%と非常に低い値を示した。よって、この場合も逆抽出後の非水溶性有機相を溶媒抽出工程に再利用することを繰り返すと、非水溶性有機相中に鉄が蓄積していき、抽出効率の低下をまねく可能性がある。非水溶性有機相中に残留した鉄を除去するには、より強力な酸性水溶液を大量に使用するスカベンジングを行うことが必要である。
(比較例4)
逆抽出工程における酸性水溶液に3.6モル/Lの硫酸水溶液100mlを用いた以外は比較例3と同様の方法により、試験液からの溶媒抽出および逆抽出を行った。
逆抽出液の体積は100ml、pHは0.1であった。
ICP−AESで測定した逆抽出液中の各種金属の濃度、及び各種金属の逆抽出液への逆抽出率を表10に示す。ここで逆抽出率は数式2によって算出したものである。
Figure 2016060926

表10の結果より、非水溶性有機相へ抽出された亜鉛はほぼ全てが逆抽出液へ逆抽出されたが、鉄の逆抽出率は約17%と低い値を示した。よって、この場合も逆抽出後の非水溶性有機相を溶媒抽出工程に再利用することを繰り返すと、抽出溶媒中に鉄が蓄積していき、抽出効率の低下をまねく可能性がある。非水溶性有機相中に残留した鉄を除去するには、より強力な酸性水溶液を大量に使用するスカベンジングを行うことが必要である。
本発明の金属の分離方法によれば、リチウムイオン電池の正極活物質を含む有価金属含有電池滓の酸浸出液、有価金属を含有する鉱石の酸浸出液、金属メッキ加工後の廃液等から、有価金属であるコバルト、ニッケル、マンガン及びリチウムを効率よく抽出分離し、さらに簡便な逆抽出工程を行うだけで金属抽出に使用した非水溶性有機相を別の抽出工程に繰り返し利用することができる。本発明の方法は、従来の方法と比較して、特にマンガンの回収効率及び非水溶性有機相の再利用の点で優れている。

Claims (7)

  1. 有価金属と不純金属とを分離する金属の分離方法であって、
    前記有価金属として、コバルト、ニッケル、マンガン及びリチウムのうちの少なくとも一種を含み、前記不純金属として少なくとも鉄が含まれる有価金属含有溶液を、pHが1.0〜4.0の条件下で、下記一般式(1)で表される有機ホスフィン酸を含む金属抽出剤が含まれる非水溶性有機相と接触混合して、前記不純金属を前記非水溶性有機相に抽出する抽出工程を備える、金属の分離方法。
    Figure 2016060926


    [一般式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基、又は炭素数7〜30のアラルキル基を表す。]
  2. 前記不純金属が含まれる前記非水溶性有機相を酸性水溶液と接触混合して、前記不純金属を前記酸性水溶液に逆抽出する逆抽出工程を更に備える、請求項1に記載の金属の分離方法。
  3. 前記酸性水溶液が、0.018〜4.5モル/Lの硫酸水溶液である、請求項2に記載の金属の分離方法。
  4. 前記逆抽出工程を経た前記非水溶性有機相を、別の抽出工程に再利用する、請求項2又は3に記載の金属の分離方法。
  5. 前記非水溶性有機相が、前記一般式(1)で表される有機ホスフィン酸を1〜45質量%含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の金属の分離方法。
  6. 前記一般式(1)におけるR及びRの炭素数の和が12〜60である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の金属の分離方法。
  7. 前記一般式(1)で表される有機ホスフィン酸が、ビス(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィン酸、及び/又は、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の金属の分離方法。
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