JP2016059313A - 組換え細胞、並びに、イソプレン又は環式イソプレノイドの生産方法 - Google Patents

組換え細胞、並びに、イソプレン又は環式イソプレノイドの生産方法 Download PDF

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典秀 西山
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一史 川端
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Abstract

【課題】組換え体を用いたイソプレン又はイソプレノイドの生産に関する新たな技術を提供する。【解決手段】宿主細胞に外来遺伝子として、原核生物由来のチオラーゼをコードする遺伝子と、放線菌由来のメバロン酸キナーゼをコードする遺伝子、放線菌由来のDPMVAデカルボキシラーゼをコードする遺伝子、放線菌由来のPMVAキナーゼをコードする遺伝子、HMG−CoAリダクターゼをコードする遺伝子、及び放線菌由来のHMG−CoAシンターゼをコードする遺伝子からなる遺伝子群と、が導入されてなり、前記外来遺伝子が発現することによりイソペンテニル二リン酸を生成し、厳密な嫌気条件下で、一酸化炭素及び二酸化炭素からなる群より選ばれた少なくとも1つを主要炭素源として生育可能である組換え細胞が提供される。【選択図】図3

Description

本発明は、組換え細胞、並びに、イソプレン又は環式イソプレノイドの生産方法に関し、さらに詳細には、アセチルCoAからイソペンテニル二リン酸及びその異性体に至る新しい合成経路遺伝子が導入された組換え細胞、並びに、該組換え細胞を用いたイソプレン又は環式イソプレノイドの生産方法に関する。
イソプレンは合成ポリイソプレンのモノマー原料であり、特にタイヤ業界において重要な素材である。近年、石油に依存した基幹化学品の生産プロセスから、植物資源等の再生可能資源からの生産プロセスへの転換技術の開発と実用化が、着実に進んでいる。
イソプレン、並びに、イソプレンを基本骨格とする化合物群であるイソプレノイドの生産に関して、組換え体を用いた生産技術が研究されている(例えば、特許文献1〜3、非特許文献1,2)。これら従来技術においては、イソプレンや、イソプレノイドの前駆体であるイソペンテニル二リン酸(IPP)の、アセチルCoAからの合成を促進するために、各種生物由来のメバロン酸経路酵素やチオラーゼの使用が検討されている。しかしながら、十分な検討が行われているとは言えず、より効率的な酵素種の組み合わせを検討することが望まれている。
一般的に、原核細胞宿主で外来酵素を機能させるには、外来酵素として原核細胞由来のものが好まれるが、アセチルCoAからIPPに至る酵素群に全て原核細胞由来のものを使用した例は殆どない。特許文献1では、原核生物由来の酵素のみで構成された酵素群を検討しているものの、イソプレノイド生産への効果は見出されていない。
国際公開第2013/180584号 国際公開第2013/181647号 国際公開第2014/065271号
Alonso-Gutierrez, J. et al., Metabolic engineering 2013, 19, 33-41 Whited GM, et al., Industrial Biotechnology 2010, 6 (3), 152-163
上記のように、組換え体を用いたイソプレン又はイソプレノイドの生産について、生産効率を高めるべく、さらなる技術開発が望まれている。そこで本発明は、組換え体を用いたイソプレン又はイソプレノイドの生産に関する新たな技術を提供することを目的とする。
本発明者らは、アセチルCoAからIPP合成にいたる原核生物由来酵素種の構成に関して鋭意検討し、チオラーゼをコードする遺伝子とメバロン酸経路で作用する酵素群をコードする各遺伝子とを導入した組換え体を新たに作製した。そして、該組換え体を用いることにより、上記課題を解決できることを見出した。
本発明の1つの様相は、宿主細胞に外来遺伝子として、原核生物由来のチオラーゼをコードする遺伝子と、放線菌由来のメバロン酸キナーゼをコードする遺伝子、放線菌由来のDPMVAデカルボキシラーゼをコードする遺伝子、放線菌由来のPMVAキナーゼをコードする遺伝子、HMG−CoAリダクターゼをコードする遺伝子、及び放線菌由来のHMG−CoAシンターゼをコードする遺伝子からなる遺伝子群と、が導入されてなり、前記外来遺伝子が発現することによりイソペンテニル二リン酸を生成し、厳密な嫌気条件下で、一酸化炭素及び二酸化炭素からなる群より選ばれた少なくとも1つを主要炭素源として生育可能である組換え細胞である。
本様相は組換え細胞に係るものである。本様相の組換え細胞は、外来遺伝子として、チオラーゼをコードする遺伝子と、メバロン酸経路で作用する酵素をコードする遺伝子群とが導入されており、該外来遺伝子が発現することによりイソペンテニル二リン酸(IPP)を生成する。さらに本様相の組換え細胞は、厳密な嫌気条件下で、一酸化炭素及び二酸化炭素からなる群より選ばれた少なくとも1つを主要炭素源として生育可能である。本様相の組換え細胞は、イソプレン又はイソプレノイドの前駆体となるIPPを合成することができる。そのため、該組換え体を基礎として、イソプレン又はイソプレノイドを生産可能な種々の組換え体を作製することができる。
一般に、IPPの合成経路はメバロン酸経路(MVA経路ともいう)と非メバロン酸経路(MEP経路ともいう)に大別される。本様相の組換え体は、メバロン酸経路で作用する酵素であるメバロン酸キナーゼ、DPMVAデカルボキシラーゼ、PMVAキナーゼ、HMG−CoAリダクターゼ、及びHMG−CoAシンターゼをコードする各遺伝子が導入されている。
厳密な嫌気条件とは、分子状酸素(O2)が実質的に存在しない条件をいう。
好ましくは、前記HMG−CoAリダクターゼは、放線菌由来のものである。
好ましくは、前記HMG−CoAリダクターゼは、mvaAに属するものである。
好ましくは、前記外来遺伝子として、イソペンテニル二リン酸イソメラーゼをコードする遺伝子がさらに導入されている。
かかる構成により、イソペンテニル二リン酸(IPP)の異性体であるジメチルアリル二リン酸(DMAPP)が合成される。
好ましくは、前記イソペンテニル二リン酸イソメラーゼは、放線菌由来のものである。
好ましくは、前記外来遺伝子の発現が、細菌由来のプロモーターによって制御されている。
好ましくは、前記プロモーターが、Clostridium属細菌、Moorella属細菌、又はBacillus属細菌由来のプロモーターである。
好ましくは、前記外来遺伝子の発現が、一酸化炭素、二酸化炭素、又は水素によって活性化されるプロモーターによって制御されている。
好ましくは、前記外来遺伝子の発現が、adhE、CODH、acsA、フェレドキシン、Rnf複合体、ヒドロゲナーゼ、又はATP合成酵素のプロモーターによって制御されている。
好ましくは、前記プロモーターが、Clostridium属細菌又はMoorella属細菌由来のプロモーターである。
好ましくは、宿主細胞が、Clostridium属細菌又はMoorella属細菌である。
好ましくは、宿主細胞が、Clostridium ljungdahlii、Clostridium autoethanogenum、Clostridium carboxidivorans、Clostridium ragsdalei、Clostridium kluyveri、又はMoorella thermoaceticaである。
好ましくは、宿主細胞が、Clostridium属細菌又はMoorella属細菌であり、前記HMG−CoAリダクターゼは、放線菌由来のものであり、前記プロモーターが、Clostridium属細菌又はMoorella属細菌由来のプロモーターである。
好ましくは、宿主細胞が、Clostridium属細菌又はMoorella属細菌であり、前記HMG−CoAリダクターゼは、mvaAに属するものであり、前記プロモーターが、Clostridium属細菌又はMoorella属細菌由来のプロモーターである。
好ましくは、前記外来遺伝子の発現が、一酸化炭素、二酸化炭素、又は水素によって活性化されるプロモーターによって制御されている。
好ましくは、前記外来遺伝子の発現が、adhE、CODH、acsA、フェレドキシン、Rnf複合体、ヒドロゲナーゼ、又はATP合成酵素のプロモーターによって制御されている。
好ましくは、前記外来遺伝子として、イソプレン合成酵素をコードする遺伝子がさらに導入されており、当該遺伝子が発現することにより、イソプレンを生産する。
かかる構成により、イソプレンを生産する組換え体が提供される。
好ましくは、前記外来遺伝子として、イソペンテニル二リン酸から環式イソプレノイドを生成させる酵素をコードする遺伝子がさらに導入されており、当該遺伝子が発現することにより、環式イソプレノイドを生産する。
かかる構成により、環式イソプレノイドを生産する組換え体が提供される。
本発明の他の様相は、宿主細胞に外来遺伝子として、原核生物由来のチオラーゼをコードする遺伝子と、放線菌由来のメバロン酸キナーゼをコードする遺伝子、放線菌由来のDPMVAデカルボキシラーゼをコードする遺伝子、放線菌由来のPMVAキナーゼをコードする遺伝子、HMG−CoAリダクターゼをコードする遺伝子、及び放線菌由来のHMG−CoAシンターゼをコードする遺伝子からなる遺伝子群と、イソプレン合成酵素をコードする遺伝子と、が導入されてなり、前記外来遺伝子が発現することによりイソプレンを生成する組換え細胞である。
本様相の組換え体は、外来遺伝子として、チオラーゼをコードする遺伝子と、メバロン酸経路で作用する酵素をコードする遺伝子群と、イソプレン合成酵素をコードする遺伝子とが導入されている。本様相によれば、イソプレンを生産する組換え細胞が提供される。
好ましくは、前記HMG−CoAリダクターゼは、放線菌由来のものである。
好ましくは、前記HMG−CoAリダクターゼは、mvaAに属するものである。
好ましくは、前記イソプレン合成酵素は、植物由来のものである。
好ましくは、前記イソプレン合成酵素は、原核細胞由来のものである。
好ましくは、前記外来遺伝子として、イソペンテニル二リン酸イソメラーゼをコードする遺伝子がさらに導入されている。
好ましくは、前記イソペンテニル二リン酸イソメラーゼは、放線菌由来のものである。
本発明の他の様相は、宿主細胞に外来遺伝子として、原核生物由来のチオラーゼをコードする遺伝子と、放線菌由来のメバロン酸キナーゼをコードする遺伝子、放線菌由来のDPMVAデカルボキシラーゼをコードする遺伝子、放線菌由来のPMVAキナーゼをコードする遺伝子、HMG−CoAリダクターゼをコードする遺伝子、及び放線菌由来のHMG−CoAシンターゼをコードする遺伝子からなる遺伝子群と、イソペンテニル二リン酸から環式イソプレノイドを生成させる酵素をコードする遺伝子と、が導入されてなり、前記外来遺伝子が発現することにより環式イソプレノイドを生成する組換え細胞である。
本様相の組換え細胞は、外来遺伝子として、チオラーゼをコードする遺伝子と、メバロン酸経路で作用する酵素をコードする遺伝子群と、イソペンテニル二リン酸から環式イソプレノイドを生成させる酵素をコードする遺伝子とが導入されている。本様相によれば、環式イソプレノイドを生産する組換え細胞が提供される。
好ましくは、前記HMG−CoAリダクターゼは、放線菌由来のものである。
好ましくは、前記HMG−CoAリダクターゼは、mvaAに属するものである。
好ましくは、前記外来遺伝子として、イソペンテニル二リン酸イソメラーゼをコードする遺伝子がさらに導入されている。
好ましくは、前記イソペンテニル二リン酸イソメラーゼは、放線菌由来のものである。
好ましくは、前記イソペンテニル二リン酸から環式イソプレノイドを生成させる酵素は、植物由来のものである。
好ましくは、前記外来遺伝子の発現が、細菌由来のプロモーターによって制御されている。
好ましくは、前記プロモーターが、Bacillus属細菌、Clostridium属細菌、Moorella属細菌、Methylophilus属細菌、Methylomonas属細菌、又はMethylobacterium属細菌由来のプロモーターである。
本発明の他の様相は、上記の組換え細胞を、一酸化炭素及び二酸化炭素からなる群より選ばれた少なくとも1つを炭素源として用いて培養し、当該組換え細胞にイソプレン又は環式イソプレノイドを生産させるイソプレン又は環式イソプレノイドの生産方法である。
本様相は、イソプレン又は環式イソプレノイドの生産方法に係るものである。本様相では、上記した組換え細胞を、一酸化炭素及び二酸化炭素からなる群より選ばれた少なくとも1つを炭素源として培養することにより、当該組換え細胞にイソプレン又は環式イソプレノイドを生産させる。本様相によれば、例えば、一酸化炭素や二酸化炭素を含む合成ガスからイソプレン又は環式イソプレノイドを生産することができる。
本発明の他の様相は、上記の組換え細胞を、糖質、メタノール、及びギ酸からなる群より選ばれた少なくとも1つを炭素源として用いて培養し、当該組換え細胞にイソプレン又は環式イソプレノイドを生産させるイソプレン又は環式イソプレノイドの生産方法である。
本様相は、上記した組換え細胞を、糖質、メタノール、及びギ酸からなる群より選ばれた少なくとも1つを炭素源として培養することにより、当該組換え細胞にイソプレン又は環式イソプレノイドを生産させるものである。
本発明の他の様相は、上記の組換え細胞に、一酸化炭素及び二酸化炭素からなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物を接触させ、当該組換え細胞に前記化合物からイソプレン又は環式イソプレノイドを生産させるイソプレン又は環式イソプレノイドの生産方法である。
本様相では、上記した組換え細胞に、一酸化炭素及び二酸化炭素からなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物を接触させ、当該化合物からイソプレン又は環式イソプレノイドを生産させる。本様相によっても、例えば、一酸化炭素や二酸化炭素を含む合成ガスからイソプレン又は環式イソプレノイドを生産することができる。
本発明の他の様相は、上記の組換え細胞に、糖質、メタノール、及びギ酸からなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物を接触させ、当該組換え細胞に前記化合物からイソプレン又は環式イソプレノイドを生産させるイソプレン又は環式イソプレノイドの生産方法である。
本様相は、上記した組換え細胞に、糖質、メタノール、及びギ酸からなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物を接触させ、当該組換え細胞に前記化合物からイソプレン又は環式イソプレノイドを生産させるものである。
本発明によれば、組換え体によるイソプレン又は環式イソプレノイドの生産を、効率的に行うことができる。
アセチルCoA経路とメタノール経路を表す説明図である。 実施例及び比較例で用いたpSK1ベクターの構成を表す説明図である。 実施例で用いた遺伝子クラスターの構成を表す説明図である。 比較例で用いた遺伝子クラスターの構成を表す説明図である。 比較例で用いた別の遺伝子クラスターの構成を表す説明図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明において「遺伝子」という用語は、全て「核酸」あるいは「DNA」という用語に置き換えることができる。
本発明の組換え体は、外来遺伝子として、チオラーゼをコードする遺伝子と、メバロン酸経路で作用する酵素をコードする遺伝子群とが導入されていることを特徴とするものである。
チオラーゼ(Thiolase)は、アセチルCoAアセチルトランスフェラーゼ(acetyl CoA acetyltransferase)(EC 2.3.1.9: 2acetyl-CoA →acetoacetyl-CoA + CoA)活性を保有する酵素であり、アセチルCoAからアセトアセチルCoAと1分子のCoAを生成させる酵素である。チオラーゼは、アセチルCoAとマロニルCoAからアセトアセチルCoAを生成させるアセトアセチルCoA合成酵素(EC 2.3.1.194: acetyl-CoA + maronyl-CoA→acetoacetyl-CoA + CoA + CO2)とは区別される。本発明では原核細胞由来のチオラーゼを用いる。
本発明で使用できるチオラーゼの例としては、Pseudomonas putida由来 AtoB (E4RAE9)、Helicobactor acinonychis由来 AtoB (Q17X95)、Streptococcus pyogenes由来 AtoB (H8HBT3)、Escherichia coli由来 atoB (P76461)、Pseudomonas aeruginosa由来 atoB (Q9I2A8)、Lactobacillus casei由来 atoB2 (F2MGH5)、Clostridium perfringens由来 atoB (Q8XIC6)、Clostridium acetobutylicum由来 thlA (P45359)、Clostridium difficile由来 thi (P45362)、Moorella thermoacetica由来 Moth_1260 (Q2RJ15)、及びClostridium ljungdahlii由来CLJU_c23630 (D8GL62)、等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記したように、イソペンテニル二リン酸(IPP)の合成経路はメバロン酸経路と非メバロン酸経路に大別される。本発明の組換え体は、メバロン酸経路で作用する酵素であるメバロン酸キナーゼ(MVK)、DPMVAデカルボキシラーゼ(5−ジホスホメバロン酸デカルボキシラーゼ;MVD)、PMVAキナーゼ(5−ホスホメバロン酸キナーゼ;PMK)、HMG−CoAリダクターゼ(HMGR)、及びHMG−CoAシンターゼ(HMGS)をコードする各遺伝子が導入されている。これらの酵素の由来としては、放線菌が好ましい。当該放線菌の例としては、Streptomyces sp. Strain CL190 (Takagi M. et al., J. Bacteriol. 2000, 182 (15), 4153-7)、Streptomyces griseolosporeus MF730-N6 (Hamano Y. et al., Biosci. Biotechnol. Biochem. 2001, 65(7), 1627-35)が挙げられる。
一般に、放線菌ではメバロン経路酵素群の遺伝子が1つの遺伝子クラスター上に存在している。そして、当該遺伝子クラスター上に、メバロン酸キナーゼ(MVK)、DPMVAデカルボキシラーゼ(MVD)、PMVAキナーゼ(PMK)、イソペンテニル二リン酸イソメラーゼ(IDI)、HMG−CoAリダクターゼ(HMGR)、及びHMG−CoAシンターゼ(HMGS)の各遺伝子が存在している。
本発明では、アセチルCoAからIPPに至る経路で作用する、メバロン酸キナーゼ(MVK)、DPMVAデカルボキシラーゼ(MVD)、PMVAキナーゼ(PMK)、HMG−CoAリダクターゼ(HMGR)、及びHMG−CoAシンターゼ(HMGS)の遺伝子発現が、同一オペロン内で制御されていることが好ましい。なお、イソペンテニル二リン酸イソメラーゼ(IDI)については後述する。
これらの酵素については、天然に存在するものの他、各酵素の改変体でもよい。例えば、各酵素のアミノ酸置換変異体や、各酵素の部分断片であって同様の酵素活性を有するポリペプチドでもよい。これらの核酸についても、宿主細胞で転写されやすいコドンに改変したものを採用することができる。
なお、HMG−CoAリダクターゼには、NADPH依存性(EC1.1.1.34)とNADH依存性(EC1.1.1.88)の2種が存在する。放線菌のHMG−CoAリダクターゼはNADPH依存性ではあるが、本発明では目的に応じてNADH依存性のものも使用できる。NADH依存性のHMG−CoAリダクターゼとしては、mvaAに属するものが挙げられ、具体例としては、Pseudomonas mevalonii由来mvaA (P13702)、Methanocella conradii由来hmgA-1Mtc_0274(H8I942)、Lactococcus lactis subsp. lactis (strain KF147)由来mvaA LLKF_1694(D2BKK7)、Streptococcus sanguinis (strain SK36)由来mvaA SSA_0337 (A3CKT9)、等が挙げられる。
本発明の組換え細胞における宿主細胞としては、種々のものが使用できる。好ましくは、原核細胞である大腸菌、枯草菌、コリネ菌、乳酸菌、メタノール資化性細菌、メタン資化性細菌、合成ガス資化性細菌、等である。より好ましくは、合成ガス資化性細菌である。
合成ガス(Synthesis gas, Syngas)は、廃棄物、天然ガス、及び石炭から高温・高圧下で金属触媒の作用によって効率よく得られる、一酸化炭素、二酸化炭素、及び水素を主成分とする混合ガスである。合成ガス資化性細菌は、メチルテトラヒドロ葉酸、一酸化炭素、及びCoAからアセチルCoAを合成する機能を有する微生物であり、一酸化炭素、二酸化炭素、ギ酸、及びメタノールからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物を主要炭素源として生育可能である。合成ガス資化性細菌としては、図1に示すアセチルCoA経路(Wood-Ljungdahl pathway)及びメタノール経路(Methanol pathway)を有する嫌気性微生物が例示される。
ここでアセチルCoA経路とメタノール経路について説明すると、図1に示すように、アセチルCoA経路では、二酸化炭素(CO2)が2つの経路で別々に、一酸化炭素(CO)とメチルカチオン源に還元される。そして、これら2つの炭素源を基質としてCoA(図1ではHSCoAと表記)のチオール基がアセチル化され、1分子のアセチルCoAが合成される。アセチルCoA経路では、アセチルCoAシンターゼ(Acetyl-CoA synthase、ACS)、メチルトランスフェラーゼ(Methyltransferase)、一酸化炭素脱水素酵素(CODH)、ギ酸デヒドロゲナーゼ(Formate dehydrogenase、FDH)、等の酵素が作用している。なお、ホルミルテトラヒドロ葉酸([CHO]−THF)から[CH3]−THFに至る経路は、メチルブランチ(Methyl branch)と呼ばれる。
一方、メタノール経路は、メタノールをホルムアルデヒド(HCHO)、さらにギ酸(HCOOH)に変換する経路と、メタノールから[CH3]−THFを誘導する経路を含んでいる。
すなわち、メチルテトラヒドロ葉酸([CH3]−THF)、一酸化炭素(CO)、及びCoAからアセチルCoAを合成する経路は、アセチルCoA経路とメタノール経路とで共通している。
アセチルCoA経路及びメタノール経路を有する嫌気性微生物としては、Clostridium属細菌、Moorella属細菌が挙げられる。すなわち本発明においては、Clostridium属細菌又はMoorella属細菌を宿主細胞として用いることが好ましい。Clostridium属細菌とMoorella属細菌の具体例としては、Clostridium ljungdahlii、Clostridium autoethanogenumn、Clostridium carboxidivorans、Clostridium ragsdalei(Kopke M. et al., Appl. Environ. Microbiol. 2011, 77(15), 5467-5475)、Clostridium kluyveri、Moorella thermoacetica(Clostridium thermoaceticumと同じ) (Pierce EG. Et al., Environ. Microbiol. 2008, 10, 2550-2573)、等が挙げられる。特に、Clostridium属細菌は、宿主−ベクター系や培養方法が確立しており、本発明における宿主細胞として好適である。
Clostridium属細菌、Moorella属細菌以外では、Carboxydocella sporoducens sp. Nov. (Slepova TV. et al., Inter. J. Sys. Evol. Microbiol. 2006, 56, 797-800)、Rhodopseudomonas gelatinosa(Uffen RL, J. Bacteriol. 1983, 155(3), 956-965)、Eubacterium limosum (Roh H. et al., J. Bacteriol. 2011, 193(1), 307-308),Butyribacterium methylotrophicum (Lynd, LH. Et al., J. Bacteriol. 1983, 153(3), 1415-1423)等の細菌を宿主細胞として用いることができる。
また宿主細胞は、一酸化炭素脱水素酵素(CODH)を有するものであってもよい。詳細には、主に一酸化炭素代謝、すなわち一酸化炭素脱水素酵素の働きにより、一酸化炭素と水から二酸化炭素とプロトンを発生する機能によって生育する細胞が好ましい。前記したアセチルCoA経路とメタノール経路を有する嫌気性微生物は、一酸化炭素脱水素酵素(CODH)を有している。
なお、上記した細菌の増殖及びCODH活性は全て酸素感受性であるが、酸素非感受性のCODHも知られている。例えば、Oligotropha carboxidovorans (Schubel, U. et al., J. Bacteriol., 1995, 2197-2203)、Bradyrhizobium japonicum (Lorite MJ. Et al., Appl. Environ. Microbiol., 2000, 66(5), 1871-1876)を始め、その他のバクテリア種には酸素非感受性のCODHが存在する(King GM et al., Appl. Environ. Microbiol. 2003, 69 (12), 7257-7265)。好気性水素酸化細菌であるRalsotonia属菌にも酸素非感受性のCODHが存在する (NCBI Gene ID: 4249199, 8019399)。
このように、CODHを有する細菌は広く存在しており、その中から本発明で用いる宿主細胞を適宜選択することができる。例えば、CO、CO/H2(COとH2を主成分とするガス)、もしくはCO/CO2/H2(COとCO2とH2を主成分とするガス)を唯一の炭素源かつエネルギー源とした選択培地を用い、嫌気、微好気、もしくは好気的条件で、宿主細胞として利用できるCODHを有する細菌を分離することができる。
本発明の組換え細胞における外来遺伝子の発現を制御するプロモーターとしては、種々のものを使用することができるが、細菌のプロモーターが好ましい。さらに、Bacillus属細菌、Clostridium属細菌、Moorella属細菌、Methylophilus属細菌、Methylomonas属細菌、又はMethylobacterium属細菌のプロモーターが好ましく、Clostridium属細菌又はMoorella属細菌のプロモーターが特に好ましい。
Clostridium属細菌由来のプロモーターとしては、例えばthl (thiolase)プロモーター(Perret S et al., J. Bacteriol. 2004, 186(1), 253-257)、Dha (glycerol dehydratase)プロモーター(Raynaud C. et al., PNAS 2003, 100(9), 5010-5015)、ptb (phosphotransbutyrylase)プロモーター (Desai RP et al., Appl. Environ. Microbiol. 1999, 65(3), 936-945)、adc (acetoacetate decarboxylase)プロモーター(Lee J et al., Appl. Environ. Microbiol. 2012, 78 (5), 1416-1423)等がある。ただし、本発明ではこれらに限定されることなく、宿主細胞等に見出される様々な代謝系のオペロンに使用されているプロモーター領域の配列が使用可能である。
その他、pta (phosphate acetyltransferase)、adhE (aldehyde/alcohol dehydrogenase)、CODH (carbon monoxide dehydrogenase)、acsA (acetyl-coA synthase α subunit) 、フェレドキシン、Rnf複合体、ヒドロゲナーゼ、GroE、ATP合成酵素等のプロモーターが使用可能である。また合成ガス発酵を行う場合には、一酸化炭素、二酸化炭素、又は水素によって活性化されるプロモーターも適している。
特に好ましい組み合わせとして、宿主細胞がClostridium属細菌又はMoorella属細菌であり、メバロン酸キナーゼ、DPMVAデカルボキシラーゼ、PMVAキナーゼ、HMG−CoAリダクターゼ、及びHMG−CoAシンターゼが全て放線菌由来であり、かつプロモーターがClostridium属細菌又はMoorella属細菌由来である構成が挙げられる。これらの構成に加えて、当該プロモーターが一酸化炭素、二酸化炭素、又は水素によって活性化されるプロモーターであることがさらに好ましい。また、当該プロモーターがadhE、CODH、acsA、フェレドキシン、Rnf複合体、ヒドロゲナーゼ、又はATP合成酵素のプロモーターであることがさらに好ましい。
本発明の組換え体は、外来遺伝子としてチオラーゼ遺伝子とメバロン酸経路で作用する酵素の遺伝子群とが導入されたものであるが、他の遺伝子をさらに含むことができる。
1つの実施形態では、イソペンテニル二リン酸イソメラーゼ(IPPイソメラーゼ;IDI)がさらに導入されている。これにより、IPPの異性体であるジメチルアリル二リン酸(DMAPP)が合成される。IPPとDMAPPは、イソプレノイド合成の前駆体となる。イソペンテニル二リン酸イソメラーゼの由来については、放線菌由来のものが好ましい。
別の実施形態では、イソプレン合成酵素をコードする遺伝子がさらに導入されている。イソプレン合成酵素遺伝子を導入することにより、イソプレンを生成する組換え細胞を提供することができる。イソプレン合成酵素としては、組換え細胞内でその酵素活性を発揮できるものであれば特に限定はない。イソプレン合成酵素をコードする遺伝子についても同様であり、組換え細胞内で正常に転写・翻訳されるものであれば特に限定はない。また、イソプレン合成酵素をコードする遺伝子は、宿主細胞で転写されやすいコドンに改変したものであってもよい。例えば、宿主細胞がClostridium属細菌であれば、Clostridium属細菌のコドン使用頻度の情報を基に、導入する核酸のコドンを改変することができる。
イソプレン合成酵素は、多くの植物で見出されている。イソプレン合成酵素の具体例としては、ポプラ(Populus nigra)由来のもの(GenBank Accession No.: AM410988.1)が挙げられる。その他、Bacillus subtilis由来のもの(Sivy TL. et al., Biochem. Biophys. Res. Commu. 2002, 294(1), 71-5)が挙げられる。
配列番号1に上記ポプラ由来イソプレン合成酵素をコードする遺伝子(DNA)の塩基配列と対応のアミノ酸配列、配列番号2にアミノ酸配列のみを示す。配列番号1で表される塩基配列を有するDNAは、イソプレン合成酵素をコードする遺伝子の一例となる。
さらに、イソプレン合成酵素をコードする遺伝子には、少なくとも、下記(a)、(b)又は(c)のタンパク質をコードする核酸が含まれる。
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、
(b)配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1〜20個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつイソプレン合成酵素の活性を有するタンパク質、
(c)配列番号2で表されるアミノ酸配列と60%以上の相同性を示すアミノ酸配列を有し、かつイソプレン合成酵素の活性を有するタンパク質。
なお(c)におけるアミノ酸配列の相同性については、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上である。
別の実施形態では、「イソペンテニル二リン酸から環式イソプレノイドを生成させる酵素」(以下、「環式イソプレノイド合成関連酵素」と称することがある)をコードする遺伝子がさらに導入されている。例えば、イソペンテニル二リン酸イソメラーゼ(IDI)遺伝子と環式イソプレノイド合成関連酵素をコードする遺伝子とを導入することにより、環式イソプレノイドを効率的に生成する組換え細胞を提供することができる。
イソペンテニル二リン酸から環式イソプレノイドを生成させる酵素(環式イソプレノイド合成関連酵素)は、単一の酵素であってもよいし、複数の酵素から構成されていてもよい。環式イソプレノイド合成関連酵素を構成する酵素の例としては、ゲラニル二リン酸合成酵素(GPP合成酵素)及び/又はネリル二リン酸合成酵素(NPP合成酵素)、並びに、環式モノテルペン合成酵素が挙げられる。この場合、GPP合成酵素とNPP合成酵素については、いずれか一方のみを採用してもよいし、両方を採用してもよい。
GPP合成酵素としては、組換え細胞内でその酵素活性を発揮できるものであれば特に限定はない。GPP合成酵素をコードする遺伝子についても同様であり、組換え細胞内で正常に転写・翻訳されるものであれば特に限定はない。
NPP合成酵素、環式モノテルペン合成酵素、及びこれらをコードする遺伝子についても同様である。
GPP合成酵素の具体例としては、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)由来のもの(GenBank Accession No.: Y17376/At2g34630; Bouvier, F., et al., Plant J,. 2000, 24, 241-52.)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)由来のもの(GenBank Accession No.: NP_215504; Mann, F. M., et al., FEBS Lett., 2011, 585, 549-54.)、等が挙げられる。
配列番号3に上記シロイヌナズナ由来GPP合成酵素をコードする遺伝子(DNA)の塩基配列と対応のアミノ酸配列、配列番号4にアミノ酸配列のみを示す。配列番号3で表される塩基配列を有するDNAは、GPP合成酵素をコードする遺伝子の一例となる。
さらに、GPP合成酵素をコードする遺伝子には、少なくとも、下記(a)、(b)又は(c)のタンパク質をコードする核酸が含まれる。
(a)配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、
(b)配列番号4で表されるアミノ酸配列において、1〜20個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつゲラニル二リン酸合成酵素の活性を有するタンパク質、
(c)配列番号4で表されるアミノ酸配列と60%以上の相同性を示すアミノ酸配列を有し、かつゲラニル二リン酸合成酵素の活性を有するタンパク質。
なお(c)におけるアミノ酸配列の相同性については、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上である。
NPP合成酵素の具体例としては、トマト(Solanum lycopersicum)由来のもの(GenBank Accession No.: FJ797956)、等が挙げられる。
配列番号5に上記トマト由来NPP合成酵素をコードする遺伝子(DNA)の塩基配列と対応のアミノ酸配列、配列番号6にアミノ酸配列のみを示す。配列番号5で表される塩基配列を有するDNAは、NPP合成酵素をコードする遺伝子の一例となる。
さらに、NPP合成酵素をコードする遺伝子には、少なくとも、下記(d)、(e)又は(f)のタンパク質をコードする核酸が含まれる。
(d)配列番号6で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、
(e)配列番号6で表されるアミノ酸配列において、1〜20個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつネリル二リン酸合成酵素の活性を有するタンパク質、
(f)配列番号6で表されるアミノ酸配列と60%以上の相同性を示すアミノ酸配列を有し、かつネリル二リン酸合成酵素の活性を有するタンパク質。
なお(f)におけるアミノ酸配列の相同性については、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上である。
環式モノテルペン合成酵素の例としては、β−フェランドレン合成酵素が挙げられる。β−フェランドレン合成酵素の作用により、GPP及び/又はNPPからβ−フェランドレンが合成される。また、副産物として4−カレンやリモネンも合成され得る。
β−フェランドレン合成酵素及びそれをコードする遺伝子の具体例としては、トマト(Solanum lycopersicum)由来のもの(GenBank Accession No.: FJ797957; Schilmiller, A. L., et al., Proc Natl Acad Sci U S A., 2009, 106, 10865-70.)、ラベンダー(Lavandula angustifolia)由来のもの(GenBank Accession No.: HQ404305; Demissie, Z. A., et al., Planta, 2011,. 233, 685-96)、等が挙げられる。
配列番号7に上記トマト由来β−フェランドレン合成酵素をコードする遺伝子(DNA)の塩基配列と対応のアミノ酸配列、配列番号8にアミノ酸配列のみを示す。
配列番号9に上記ラベンダー由来のβ−フェランドレン合成酵素をコードする遺伝子(DNA)の塩基配列と対応のアミノ酸配列、配列番号10にアミノ酸配列のみを示す。
配列番号7又は配列番号9で表される塩基配列を有するDNAは、β−フェランドレン合成酵素をコードする遺伝子の一例となる。
さらに、β−フェランドレン合成酵素をコードする遺伝子には、少なくとも、下記(g)、(h)又は(i)のタンパク質をコードする核酸が含まれる。
(g)配列番号8又は10で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、
(h)配列番号8又は10で表されるアミノ酸配列において、1〜20個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつβ−フェランドレン合成酵素の活性を有するタンパク質、
(i)配列番号8又は10で表されるアミノ酸配列と60%以上の相同性を示すアミノ酸配列を有し、かつβ−フェランドレン合成酵素の活性を有するタンパク質。
なお(i)におけるアミノ酸配列の相同性については、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上である。
導入された外来遺伝子は、宿主細胞のゲノムに組み込まれてもよいし、プラスミドに組み込まれた状態でゲノム外に存在していてもよい。
宿主細胞に遺伝子を導入する方法としては特に限定はなく、宿主細胞の種類等によって適宜選択すればよい。例えば、宿主細胞に導入可能でかつ組み込まれた遺伝子を発現可能なベクターを用いることができる。
例えば、宿主細胞が細菌等の原核生物の場合には、当該ベクターとして、宿主細胞において自立複製可能ないしは染色体中への組み込みが可能で、挿入された上記遺伝子(DNA)を転写できる位置にプロモーターを含有しているものを用いることができる。例えば、当該ベクターを用いて、プロモーター、リボソーム結合配列、上記遺伝子(DNA)、および転写終結配列からなる一連の構成を宿主細胞内で構築することが好ましい。
宿主細胞がClostridium属細菌(Moorella属細菌のような近縁種を含む)の場合には、Clostridium属細菌と大腸菌とのシャトルベクターpIMP1(Mermelstein LD et al., Bio/technology 1992, 10, 190-195)を用いることができる。本シャトルベクターは、pUC9 (ATCC 37252)とBacillus subtilisから分離されたpIM13 (Projan SJ et al., J. Bacteriol. 1987, 169 (11), 5131-5139)との融合ベクターであり、Clostridium属細菌内でも安定的に保持される。Clostridium属細菌と大腸菌とのシャトルベクターの他の例としては、pSOS95(GenBank: AY187686.1)が挙げられる。
なお、Clostridium属細菌への遺伝子導入には、通常、エレクトロポレーション法が使用されるが、遺伝子導入直後の導入された外来プラスミドは制限酵素Cac824I等による分解を受けやすく極めて不安定である。そのため、Bacillus subtilis ファージΦ3T1由来メチルトランスフェラーゼ遺伝子が保持されたpAN1 (Mermelstein LD et al., Apply. Environ. Microbiol. 1993, 59(4), 1077-1081)を保有する大腸菌、例えばER2275株等で、pIMP1に由来するベクターを一旦増幅し、メチル化処理を行ってから、これを大腸菌から回収しエレクトロポレーションによる形質転換に使用することが好ましい。なお最近では、Cac824I遺伝子が欠損したClostridium acetobuthylicumが開発されており、メチル化処理されていないベクターも安定的に存在可能である(Dong H. et al., PLoS ONE 2010, 5 (2), e9038)。また、大腸菌BL21株の改良株であるNEB expressを用いてベクターを増幅して、ベクターを効率よく導入する手法が知られている(Leang C. et al.,Appl Environ Microbiol. 2013 79(4), 1102-9)。
また本発明では、チオラーゼ遺伝子やメバロン酸経路を発現させる各遺伝子等の複数種の外来遺伝子を導入するが、ベクターを用いる場合には、各遺伝子を1つのベクターに組み込んでもよいし、別々のベクターに組み込んでもよい。さらに1つのベクターに複数の遺伝子を組み込む場合には、各遺伝子を共通のプロモーターの下で発現させてもよいし、別々のプロモーターの下で発現させてもよい。
以上のように、本発明で使用できる既知のベクターを示したが、プロモーター、ターミネーター等の転写制御、複製領域等に関わる領域を、目的に応じて改変することができる。改変方法としては各宿主細胞、もしくはその近縁種における天然の他の遺伝子配列に変更してもよく、また人工の遺伝子配列に変更してもよい。
本発明の組換え細胞を培養する方法としては特に限定はなく、宿主細胞の種類等に応じて適宜行うことができる。組換え細胞がClostridium属細菌(偏性嫌気性、絶対嫌気性)の場合には、厳密な嫌気条件下で培養する。例えば、生育に必要な無機塩類及び、合成ガスからなる栄養条件で培養する。好ましくは0.2〜0.3MPa(絶対圧)程度の加圧状態で培養する。さらには、初期増殖及び到達細胞密度を良好にするためには、ビタミン、酵母エキス、コーンスティープリカー、バクトトリプトン等の有機物を少量加えてよい。
なお、組換え細胞が好気性や通性嫌気性の場合には、例えば、液体培地を用いた通気・撹拌培養を行うことができる。
本発明のイソプレン又は環式イソプレノイドの生産方法の1つの様相では、イソプレン合成酵素遺伝子又は環式イソプレノイド合成関連酵素をコードする遺伝子がさらに導入された上記の組換え細胞を、一酸化炭素及び二酸化炭素からなる群より選ばれた少なくとも1つを炭素源として用いて培養し、当該組換え細胞にイソプレン又は環式イソプレノイドを生産させる。炭素原として用いる一酸化炭素と二酸化炭素については、1つのみを用いてもよいし、両方を組み合わせて用いてもよい。また、一酸化炭素と二酸化炭素は、主たる炭素原として用いることが好ましく、唯一の炭素原であることがより好ましい。
また、エネルギー源として水素(H2)を同時に提供することが好ましい。
また別の様相では、イソプレン合成酵素遺伝子又は環式イソプレノイド合成関連酵素をコードする遺伝子がさらに導入された上記の組換え細胞を、糖質、メタノール、及びギ酸からなる群より選ばれた少なくとも1つを炭素源として用いて培養し、当該組換え細胞にイソプレン又は環式イソプレノイドを生産させる。炭素原として用いる糖質、メタノール、及びギ酸については、1つのみを用いてもよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のイソプレン又は環式イソプレノイドの生産方法の他の様相では、イソプレン合成酵素遺伝子又は環式イソプレノイド合成関連酵素をコードする遺伝子がさらに導入された上記の組換え細胞に、一酸化炭素及び二酸化炭素からなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物を接触させ、当該組換え細胞に前記化合物からイソプレン又は環式イソプレノイドを生産させる。すなわち、細胞分裂(細胞増殖)を伴うか否かにかかわらず、組換え細胞に一酸化炭素や二酸化炭素を接触させて、イソプレン又は環式イソプレノイドを生産させることができる。例えば、固定化した組換え細胞に一酸化炭素や二酸化炭素を連続的に供給し、イソプレン又は環式イソプレノイドを連続的に生産させることができる。本様相においても、一酸化炭素と二酸化炭素については、1つのみを用いてもよいし、両方を組み合わせて用いてもよい。また、エネルギー源として水素(H2)を同時に接触させることが好ましい。
好ましい実施形態では、一酸化炭素を主成分とするガス、一酸化炭素と水素とを主成分とするガス、二酸化炭素と水素とを主成分とするガス、又は一酸化炭素と二酸化炭素と水素とを主成分とするガスを、前記組換え細胞に提供する。すなわち、これらのガスを炭素源として用いて組換え細胞を培養したり、あるいは、これらのガスを組換え細胞に接触させて、ガス中の一酸化炭素又は二酸化炭素からイソプレン又は環式イソプレノイドを生産させる。この場合も、水素はエネルギー源として使用される。
一酸化炭素と二酸化炭素に加えて、さらにギ酸又はメタノールを前記組換え細胞に提供してもよい。すなわち、ギ酸又はメタノールとこれらのガスとを炭素源として用いて組換え細胞を培養したり、あるいは、ギ酸又はメタノールとこれらのガスとを組換え細胞に接触させる。ギ酸又はメタノールを添加することにより、培養効率及びイソプレン又は環式イソプレノイドの生産の効率化が図られる。提供の態様としては、例えば、組換え細胞に対して、ギ酸又はメタノールとこれらのガスを同時に提供することが挙げられる。
また別の様相では、イソプレン合成酵素遺伝子又は環式イソプレノイド合成関連酵素をコードする遺伝子がさらに導入された上記の組換え細胞に、糖質、メタノール、及びギ酸からなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物を接触させ、当該組換え細胞に前記化合物からイソプレン又は環式イソプレノイドを生産させる。本様相においても、糖質、メタノール、及びギ酸については、1つのみを用いてもよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
環式イソプレノイド合成関連酵素が、ゲラニル二リン酸合成酵素及び/又はネリル二リン酸合成酵素、並びに、環式モノテルペン合成酵素である態様によれば、環式モノテルペンを生産することができる。さらに、環式モノテルペン合成酵素がβ−フェランドレン合成酵素である態様によれば、環式モノテルペンとしてβ−フェランドレン、4−カレン、又はリモネンをすることができる。
生産されたイソプレン又は環式イソプレノイドは、細胞内に蓄積されるか、細胞外に放出される。例えば、上述したClostridium属細菌又はMoorella属細菌を宿主細胞とした組換え細胞を用い、細胞外に放出されたイソプレン又は環式イソプレノイドを回収し、蒸留等によって単離精製することにより、純化されたイソプレン又は環式イソプレノイドを取得することができる。
組換え細胞の培養物からイソプレン又は環式イソプレノイドを単離・精製する方法は特に限定されない。例えば、培養液(培養上清)をペンタン等の適切な溶媒で抽出し、さらに逆相クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー等のクロマトグラフィーによって高純度に精製することできる。細胞外に放出されたイソプレン又は環式イソプレノイドの多くは、気相にも蒸発するため、コールドトラップ等でこれらを液化し、回収することも可能である。
なお、二酸化炭素に代えて重炭酸塩を用いることができる場合がある。すなわち、Clostridium属細菌及びその近縁種は、炭酸脱水素酵素(Carbonic anhydrase, CA)(EC 4.2.1.1: H2O+CO2 ⇔ HCO3 -+H+)を有することが知られており(Braus-Stromeyer SA et al., J. Bacteriol. 1997, 179(22), 7197-7200)、CO2源として、HCO3 -源となるNaHCO3等の重炭酸塩を用いることができる。
ここで、宿主細胞がアセチルCoA経路とメタノール経路(図1)を有している場合において、組換え細胞に提供され得る一酸化炭素、二酸化炭素、ギ酸、及びメタノールの組み合わせについて説明する。
アセチルCoA経路によるアセチルCoA合成では、メチルトランスフェラーゼ(Methyltransferase)、コリノイド鉄−硫黄タンパク質(Corrinoid iron-sulfur protein、CoFeS−P)、アセチルCoAシンターゼ(Acetyl-CoA synthase、ACS)、及びCODHの作用による、CoA、メチルテトラヒドロ葉酸(methyltetrahydrofolate、[CH3]−THF)、及びCOからのアセチルCoAの合成過程が必須である(Ragsdale SW et al., B.B.R.C. 2008, 1784(12), 1873-1898)。
一方、Butyribacterium methylotrophicumの培養において、炭素源としてCOやCO2以外にギ酸やメタノールを添加することは、CO代謝すなわち、アセチルCoA経路のメチルブランチ(Methyl branch)におけるテトラヒドロ葉酸(tetrahydrofolate、THF)含量、及び、CO代謝で必要とされるCODH、ギ酸デヒドロゲナーゼ(formate dehydrogenase、FDH)及びヒドロゲナーゼ(hydrogenase)の活性を増大させることが知られている(Kerby R. et al., J. Bacteriol. 1987, 169(12), 5605-5609)。Eubacterium limosum等においても、嫌気条件下CO2及びメタノールを炭素源とした場合でも、高い増殖を得ることが示されている(Genthner BRS. et al., Appl. Environ. Microbiol., 1987, 53(3), 471-476)。
これらのメタノールの合成ガス資化性微生物へ影響、及びMoorella thermoacetica(Clostridium thermoaceticum)及びClostridium ljungdahlii等のゲノム解析(Pierce E. et al., Environ. Microbiol. 2008, 10(10), 2550-2573; Durre P. et al., PNAS 2010, 107(29), 13087-13092)の結果から、これらの微生物種では、図1に示されるようなメタノール経路(methanol pathway)がアセチルCoA経路(Wood-Ljungdahl pathway)にメチル基のドナーとして関与することが説明できる。
また実際に、いくつかのClostridium属菌ではギ酸デヒドロゲナーゼ(FDH)(EC 1.2.1.2/1.2.1.43:Formate+NAD(P)+ ⇔ CO2+NAD(P)H)の正方向の活性(FormateからのCO2形成)が確認されている(Liu CL et al., J. Bacteriol. 1984, 159(1), 375-380; Keamy JJ et al., J. Bacteriol. 1972, 109(1), 152-161)。このことから、これらの株ではCO2やCOが欠乏状態にある場合、部分的にメタノール(CH3OH)やギ酸(HCOOH)からCO2の生成方向の反応が働くことができる(図1)。このことは、前述したCH3OHを加えることによる、ギ酸ヒドロゲナーゼ(formatede hydrogenase)活性、及びCODHの活性増大の現象 (Kerby R et al., J. Bateriol. 1987, 169(12), 5605-5609)からも説明できる。すなわち、ギ酸(HCOOH)もしくはメタノール(CH3OH)を唯一の炭素源としても増殖可能である。
宿主細胞が、元々、ギ酸デヒドロゲナーゼの正方向の活性を有しない株であっても、変異導入、外来遺伝子導入、もしくはゲノムシャッフリングのような遺伝子改変によって、正方向の活性を付与させればよい。
以上のことから、宿主細胞がアセチルCoA経路とメタノール経路を有している場合には、以下のガスや液体を用いて、前記有機化合物を生産することができる。
・CO
・CO2
・CO/H2
・CO2/H2
・CO/CO2/H2
・CO/HCOOH
・CO2/HCOOH
・CO/CH3OH
・CO2/CH3OH
・CO/H2/HCOOH
・CO2/H2/HCOOH
・CO/H2/CH3OH
・CO2/H2/CH3OH
・CO/CO2/H2/HCOOH
・CO/CO2/H2/CH3OH
・CH3OH/H2
・HCOOH/H2
・CH3OH
・HCOOH
以下、実施例をもって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
原核生物由来メバロン酸経路が導入された遺伝子組換え合成ガス資化菌によるイソプレンの生産
〔実施例〕
図2に示す構成および配列番号11に示す配列を有するpSK1ベクターのTspMIサイト及びBspEIサイトに、配列番号12に示す配列を有する遺伝子クラスター導入し、pSK1:TMVIPSを作製した。配列番号12の遺伝子クラスターは、図3に示されるようにPopulus nigra由来イソプレン合成酵素(IspS: CAL69918.1)、放線菌Streptomyces sp. CL190 イソペンテニル二リン酸イソメラーゼ(IDI: Q9KWG2.1)、C. acetobutylicum由来チオラーゼ(Thl: P45359)、Streptomyces sp. CL190由来メバロン酸キナーゼ(MVK: BAB07790.1)、Streptomyces sp. CL190由来ホスホメバロン酸デカルボキシラーゼ(MVD: BAB07791.1)、Streptomyces sp. CL190由来ホスホメバロン酸キナーゼ(PMV: Q9KWG3.1)、Pseudomonas mevalonii由来のヒドロキシメチルグルタリルCoAリダクターゼ(mvaA: P13702)、及びStreptomyces sp. CL190由来ヒドロキシメチルグルタリルCoA合成酵素(HMGS: BAB07795.1)、及び、Streptococcus pneumoniae由来クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT:B6ZCC8)をコードする。また、これらの酵素遺伝子はC. ljungdahlii(DSM13528/ATCC55383)由来のホスホトランスアセチラーゼプロモーター(Ppta)によって発現がコントロールされる。詳細には、1つのPptaの下流にIsps、IDI、及びThlが配置され、その下流にターミネーター(T)が配置されている。さらに別のPptaの下流にMVK、MVD、PMV、mvaA、及びHMGSが配置され、その下流にターミネーター(T)が配置されている。catは最下流に配置されている(図3)。
上記pSK1:TMVIPSを Leang C. et al.,Appl Environ Microbiol. 2013 79(4), 1102-9で推奨の手法を用いてC. ljungdahlii(DSM13528/ATCC55383)に導入し、10μg/mL クロラムフェニコールを含むATCC1754寒天培地(1.5% Agar)で選抜し、CLTMVIS1株を構築した。CLTMVIS1株を37℃、嫌気条件下で培養した。10μg/mL クロラムフェニコール入りATCC1754培地(ただし、フルクトース非含有)5mLに植菌し、CO/CO2/H2=33/33/34%(体積比)の混合ガスを27mL容の密閉可能なヘッドスペースバイアル容器に仕込み、0.25MPa(絶対圧)のガス圧で充填し、アルミキャップで密封した後、振とう培養した。増殖が認められたものにつき、OD600が1.0に到達した時点で培養を終了し、気相をGCMS(島津GCMS-QP2010 Ultra)にて分析した。
CLTMVIS1株のイソプレン生産性は、3.6mg/乾燥菌体(g)であった。
〔比較例〕
図4に示す構成および配列番号13に示す配列を有する遺伝子クラスターをpSK1に導入し、pSK1:MVIPSを作製した。図4に示すように、該遺伝子クラスターは、チオラーゼ(Thl)を含まず、メバロン酸経路のみをコードする。
さらに、図5に示す構成および配列番号14に示す配列を有する遺伝子クラスターをpSK1に導入し、pSK1:IPSを作製した。図5に示すように、該遺伝子クラスターは、Populus nigra由来イソプレン合成酵素(IspS: CAL69918.1)、及び放線菌Streptomyces sp. CL190 イソペンテニル二リン酸イソメラーゼ(IDI: Q9KWG2.1)のみをコードする。
上記pSK1:MVIP、及びpSK1:IPSを、実施例と同様の方法でクローン選抜し、CLMVIS1株及びCLIS1株を構築した。CLMVIS1株、及びCLIS1株をそれぞれ実施例と同様の条件で培養し、気相をGCMS分析した。
CLMVIS1株、及びCLIS1株のイソプレン生産性はそれぞれ0.93mg/乾燥菌体(g)、27μg/乾燥菌体(g)であった。
以上の結果から、使用されたメバロン酸経路酵素遺伝子は、原核細胞であるC. ljungdahliiで効率的に機能し(比較例)、またさらにメバロン酸経路酵素遺伝子に加えて原核細胞由来のチオラーゼ遺伝子を発現させる(実施例)ことによってイソプレンの生産性が向上することがわかった。

Claims (37)

  1. 宿主細胞に外来遺伝子として、
    原核生物由来のチオラーゼをコードする遺伝子と、
    放線菌由来のメバロン酸キナーゼをコードする遺伝子、放線菌由来のDPMVAデカルボキシラーゼをコードする遺伝子、放線菌由来のPMVAキナーゼをコードする遺伝子、HMG−CoAリダクターゼをコードする遺伝子、及び放線菌由来のHMG−CoAシンターゼをコードする遺伝子からなる遺伝子群と、
    が導入されてなり、
    前記外来遺伝子が発現することによりイソペンテニル二リン酸を生成し、
    厳密な嫌気条件下で、一酸化炭素及び二酸化炭素からなる群より選ばれた少なくとも1つを主要炭素源として生育可能である組換え細胞。
  2. 前記HMG−CoAリダクターゼは、放線菌由来のものである請求項1に記載の組換え細胞。
  3. 前記HMG−CoAリダクターゼは、mvaAに属するものである請求項1に記載の組換え細胞。
  4. 前記外来遺伝子として、イソペンテニル二リン酸イソメラーゼをコードする遺伝子がさらに導入されている請求項1〜3のいずれかに記載の組換え細胞。
  5. 前記イソペンテニル二リン酸イソメラーゼは、放線菌由来のものである請求項4に記載の組換え細胞。
  6. 前記外来遺伝子の発現が、細菌由来のプロモーターによって制御されている請求項1〜5のいずれかに記載の組換え細胞。
  7. 前記プロモーターが、Clostridium属細菌、Moorella属細菌、又はBacillus属細菌由来のプロモーターである請求項6に記載の組換え細胞。
  8. 前記外来遺伝子の発現が、一酸化炭素、二酸化炭素、又は水素によって活性化されるプロモーターによって制御されている請求項1〜7のいずれかに記載の組換え細胞。
  9. 前記外来遺伝子の発現が、adhE、CODH、acsA、フェレドキシン、Rnf複合体、ヒドロゲナーゼ、又はATP合成酵素のプロモーターによって制御されている請求項1〜8のいずれかに記載の組換え細胞。
  10. 前記プロモーターが、Clostridium属細菌又はMoorella属細菌由来のプロモーターである請求項8又は9に記載の組換え細胞。
  11. 宿主細胞が、Clostridium属細菌又はMoorella属細菌である請求項1〜10のいずれかに記載の組換え細胞。
  12. 宿主細胞が、Clostridium ljungdahlii、Clostridium autoethanogenum、Clostridium carboxidivorans、Clostridium ragsdalei、Clostridium kluyveri、又はMoorella thermoaceticaである請求項1〜10のいずれかに記載の組換え細胞。
  13. 宿主細胞が、Clostridium属細菌又はMoorella属細菌であり、
    前記HMG−CoAリダクターゼは、放線菌由来のものであり、
    前記プロモーターが、Clostridium属細菌又はMoorella属細菌由来のプロモーターである請求項6に記載の組換え細胞。
  14. 宿主細胞が、Clostridium属細菌又はMoorella属細菌であり、
    前記HMG−CoAリダクターゼは、mvaAに属するものであり、
    前記プロモーターが、Clostridium属細菌又はMoorella属細菌由来のプロモーターである請求項6に記載の組換え細胞。
  15. 前記外来遺伝子の発現が、一酸化炭素、二酸化炭素、又は水素によって活性化されるプロモーターによって制御されている請求項13又は14に記載の組換え細胞。
  16. 前記外来遺伝子の発現が、adhE、CODH、acsA、フェレドキシン、Rnf複合体、ヒドロゲナーゼ、又はATP合成酵素のプロモーターによって制御されている請求項13又は14に記載の組換え細胞。
  17. 前記外来遺伝子として、イソプレン合成酵素をコードする遺伝子がさらに導入されており、当該遺伝子が発現することにより、イソプレンを生産する請求項1〜16のいずれかに記載の組換え細胞。
  18. 前記外来遺伝子として、イソペンテニル二リン酸から環式イソプレノイドを生成させる酵素をコードする遺伝子がさらに導入されており、当該遺伝子が発現することにより、環式イソプレノイドを生産する請求項1〜16のいずれかに記載の組換え細胞。
  19. 宿主細胞に外来遺伝子として、
    原核生物由来のチオラーゼをコードする遺伝子と、
    放線菌由来のメバロン酸キナーゼをコードする遺伝子、放線菌由来のDPMVAデカルボキシラーゼをコードする遺伝子、放線菌由来のPMVAキナーゼをコードする遺伝子、HMG−CoAリダクターゼをコードする遺伝子、及び放線菌由来のHMG−CoAシンターゼをコードする遺伝子からなる遺伝子群と、
    イソプレン合成酵素をコードする遺伝子と、
    が導入されてなり、
    前記外来遺伝子が発現することによりイソプレンを生成する組換え細胞。
  20. 前記HMG−CoAリダクターゼは、放線菌由来のものである請求項19に記載の組換え細胞。
  21. 前記HMG−CoAリダクターゼは、mvaAに属するものである請求項19に記載の組換え細胞。
  22. 前記イソプレン合成酵素は、植物由来のものである請求項19〜21のいずれかに記載の組換え細胞。
  23. 前記イソプレン合成酵素は、原核細胞由来のものである請求項19〜21のいずれかに記載の組換え細胞。
  24. 前記外来遺伝子として、イソペンテニル二リン酸イソメラーゼをコードする遺伝子がさらに導入されている請求項19〜23のいずれかに記載の組換え細胞。
  25. 前記イソペンテニル二リン酸イソメラーゼは、放線菌由来のものである請求項24に記載の組換え細胞。
  26. 宿主細胞に外来遺伝子として、
    原核生物由来のチオラーゼをコードする遺伝子と、
    放線菌由来のメバロン酸キナーゼをコードする遺伝子、放線菌由来のDPMVAデカルボキシラーゼをコードする遺伝子、放線菌由来のPMVAキナーゼをコードする遺伝子、HMG−CoAリダクターゼをコードする遺伝子、及び放線菌由来のHMG−CoAシンターゼをコードする遺伝子からなる遺伝子群と、
    イソペンテニル二リン酸から環式イソプレノイドを生成させる酵素をコードする遺伝子と、
    が導入されてなり、
    前記外来遺伝子が発現することにより環式イソプレノイドを生成する組換え細胞。
  27. 前記HMG−CoAリダクターゼは、放線菌由来のものである請求項26に記載の組換え細胞。
  28. 前記HMG−CoAリダクターゼは、mvaAに属するものである請求項26に記載の
    組換え細胞。
  29. 前記外来遺伝子として、イソペンテニル二リン酸イソメラーゼをコードする遺伝子がさらに導入されている請求項26〜28のいずれかに記載の組換え細胞。
  30. 前記イソペンテニル二リン酸イソメラーゼは、放線菌由来のものである請求項29に記載の組換え細胞。
  31. 前記イソペンテニル二リン酸から環式イソプレノイドを生成させる酵素は、植物由来のものである請求項26〜30のいずれかに記載の組換え細胞。
  32. 前記外来遺伝子の発現が、細菌由来のプロモーターによって制御されている請求項19〜31のいずれかに記載の組換え細胞。
  33. 前記プロモーターが、Bacillus属細菌、Clostridium属細菌、Moorella属細菌、Methylophilus属細菌、Methylomonas属細菌、又はMethylobacterium属細菌由来のプロモーターである請求項32に記載の組換え細胞。
  34. 請求項17〜33のいずれかに記載の組換え細胞を、一酸化炭素及び二酸化炭素からなる群より選ばれた少なくとも1つを炭素源として用いて培養し、当該組換え細胞にイソプレン又は環式イソプレノイドを生産させるイソプレン又は環式イソプレノイドの生産方法。
  35. 請求項17〜33のいずれかに記載の組換え細胞を、糖質、メタノール、及びギ酸からなる群より選ばれた少なくとも1つを炭素源として用いて培養し、当該組換え細胞にイソプレン又は環式イソプレノイドを生産させるイソプレン又は環式イソプレノイドの生産方法。
  36. 請求項17〜33のいずれかに記載の組換え細胞に、一酸化炭素及び二酸化炭素からなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物を接触させ、当該組換え細胞に前記化合物からイソプレン又は環式イソプレノイドを生産させるイソプレン又は環式イソプレノイドの生産方法。
  37. 請求項17〜33のいずれかに記載の組換え細胞に、糖質、メタノール、及びギ酸からなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物を接触させ、当該組換え細胞に前記化合物からイソプレン又は環式イソプレノイドを生産させるイソプレン又は環式イソプレノイドの生産方法。
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