前記課題を解決するためになされた本発明は、
固定電話網に接続されたコードレス親機を備えたコードレス電話装置であって、
前記コードレス親機は、
コードレス子機と無線接続する第1の無線通信部と、
携帯情報端末と無線接続する第2の無線通信部と、
前記携帯情報端末を宅外/宅内のどちらで使用するかの設定情報を記憶する記憶部と、
固定電話網から着信があった場合に、
前記コードレス子機と前記携帯情報端末とを着信鳴動させ、
所定時間経過後に、留守応答を開始するとともに前記宅外で使用すると設定された携帯情報端末を除く着信鳴動を停止させ、前記留守応答中は前記宅外で使用すると設定された携帯情報端末の着信鳴動を継続するように制御する制御部と、を備えたことを特徴とするコードレス電話装置である。
これによって、携帯情報端末を宅外においてもコードレス電話機の子機として使い勝手良く使用することが可能なコードレス電話装置を提供できる。特に、固定電話網からの着信に対して、コードレス電話機の親機が留守電応答中であっても、宅外に持ち出した携帯情報端末は留守電応答が終了するまでは着信鳴動を継続するため、利用者は応答機会を失うことなく着信に応答することができる。
また、本発明は、
前記制御部は、前記着信鳴動の継続中は前記宅外で使用すると設定された携帯情報端末に対して親機が留守応答中である旨の表示を行うように制御するものである。
これによって、着信鳴動中の宅外の携帯情報端末には親機が留守応答中である旨の表示がされるため、利用者は親機が留守応答中であることを把握しつつ着信に応答することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
<コードレス電話システムの概要>
図1は、第1実施形態におけるコードレス電話システムの概要を示す模式図である。以下、図1を用いて、コードレス電話システムの構成について説明する。なお、以下の説明において、携帯情報端末の一例としてスマートホン(スマホ)を含む携帯電話機を挙げるが、本発明はこれに限定するものではない。
図1では、宅内にコードレス電話親機10が設けられ、コードレス電話親機10は、無線LANルータ機能を備えたアクセスポイント20を介して、インターネットに接続しており、一方で、固定電話網に接続している。また、宅内には、コードレス電話親機10と接続するコードレス電話子機30と、アクセスポイント20及び携帯電話網に接続する携帯電話機40−1、40−2が存在するものとする。なお、特定の携帯電話機を区別しない場合には、携帯電話機40と総称する。
コードレス電話子機30は、コードレス電話親機10を介して、固定電話網に接続可能であり、コードレス電話親機10及びアクセスポイント20を介して、携帯電話機40−1と接続可能である。携帯電話機40−1は、アクセスポイント20を介して、コードレス電話親機10と無線LANにて接続する。また、携帯電話機40−1が、アクセスポイント20及びコードレス電話親機10を介して、コードレス電話子機30、固定電話網に接続可能である。
携帯電話機40が宅外において動作する場合、即ち図1における携帯電話機40−2は、携帯電話網あるいはインターネット上の(図示しない)外部のアクセスポイントを介してインターネットに接続され、上述のインターネットに接続されたコードレス電話親機10と接続可能に構成される。
なお、図1では、携帯電話機40が、アクセスポイント20を介して、コードレス電話親機10と接続する場合を示しているが、コードレス電話親機10に無線LANリピータ機能を設け、携帯電話機40が、コードレス電話親機10とダイレクトに接続し、コードレス電話親機10からアクセスポイント20を介してインターネットに接続することもできる。
また、コードレス電話子機30とコードレス電話親機10とはDECT(Digital Enhanced Cordless Telecommunications)による無線通信方式を採用した例を示すが、本発明はこれに限定するものではない。
<コードレス電話親機の構成>
図2は、第1実施形態におけるコードレス電話システムの親機ブロック図である。以下、図2を用いて、コードレス電話親機10の構成について説明する。
NCU及びモデム部101は、発信時の公衆回線との接続および公衆回線からの着信検出などの電話回線の制御を行う回線制御回路(NCU(Network Control
Unit))と、着信時に公衆回線からの発信者番号情報を受信するモデム部である。
TAM部102は、TAM(Telephone Answering Machine)であって、留守番電話メッセージを記憶し、メッセージの録音及び再生を行う。
記憶部103は、コードレス電話装置の各種設定データ、電話帳データ、発着信履歴情報、SMSメッセージ等の子機の通信履歴を含む子機付加情報を記憶する。
また、記憶部103は、子機情報を記憶する。子機情報は、各々のコードレス電話子機30と、各々のコードレス電話子機30の接続状態、子機名、子機番号(子機内線番号またはポート番号)、着信音メモリ情報(メモリ容量、または再生時間)、使用CODEC等で構成され、子機名および子機番号は、子機を識別するための子機識別情報として用いられる。
更に、子機情報は、コードレス電話子機30に関する情報の他に携帯電話機40に関する情報も記憶、管理している。特に、携帯電話機40を携帯電話機40−1として宅内で使用するのか、あるいは、携帯電話機40−2として宅外で使用するのかの設定情報も記憶、管理している。例えば、宅外に発信する為の情報(電話番号や外部サーバー情報)もその設定情報となる。
音声入出力部104は、マイク、スピーカとCODECから構成され、着信音の出力、通話音声の入力出力を行う。
操作部105は、ユーザが操作を行うダイヤル、各種機能ボタンから構成され、LCD部106は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示部であって、各種情報を表示する。
コードレス電話子機無線I/F部107は、コードレス電話子機30との無線データ送受信回路であり、無線信号の周波数変換を行うRF/IF部、変調及び復調を行う変復調部、TDMA信号処理等を行うデジタル信号処理回路から構成される。
コードレス電話子機制御部108は、コードレス電話子機30との間で制御データを送受信し、コードレス電話子機30との間の制御プロトコル(例えば、DECTプロトコル方式、PHSプロトコル方式等)に従った発呼、着呼等のプロトコル制御を行う。なお、以下の説明では、コードレス電話子機30との間の制御プロトコルにDECT方式を採用するものとする。
無線LAN I/F部109は、IEEE802.11(Wi−Fi(登録商標))、の無線LANプロトコル制御を行い、携帯電話機40との無線データの送受信を行う。なお、無線LAN I/F部109は、Bluetooth(登録商標)やZigBee(登録商標)等の近距離無線通信技術を用いても良い。
親機制御部110は、コードレス電話親機10全体を制御する。具体的には、親機制御部110は、親機制御部110周辺の各部から発生したイベント、メッセージを受信及び解析し、発着信呼の状態及び呼接続を制御し、各部に指示する。
例えば、NCU及びモデム部101及びコードレス電話子機制御部108から受信したイベント、及び、各種メッセージを処理する。特に、固定電話網からNCU及びモデム部101に着信が有った場合、固定電話網から受信したメッセージに付帯する発信者番号を利用した各種サービスのための制御を行う。
また、例えば、(図示しない)タイマのタイムアウトのイベント発生により、TAM部102を制御して留守番電話メッセージの録音・再生を行う。
また、例えば、記憶部103に記憶された携帯電話機40を宅内で使用するのか、あるいは、宅外で使用するのかの設定情報を参照して、着信鳴動の停止/継続を制御する。この携帯電話機40を宅内で使用するのか、あるいは、宅外で使用するのかの設定情報は、(図示しない)「外で通話」ボタンをコードレス電話親機10に設けて、このボタンを利用者が外出時に押下することにより設定してもよい。
また、例えば、無線LAN I/F部109を介して、携帯電話機40へ着信鳴動の停止のメッセージを送信する制御を行う。
<コードレス電話子機の構成>
図3は、第1実施形態におけるコードレス電話システムの子機ブロック図である。以下、図3を用いて、コードレス電話子機30の構成について説明する。
記憶部131は、例えば電話帳データ等のコードレス電話子機30で使用する各種データを所定の記憶エリアに記憶する。
音声入出力部132は、マイク、スピーカとCODECから構成され、着信音の出力、通話音声の入力出力を行う。
操作部133は、ユーザが操作を行うダイヤル、および、各種機能ボタンから構成され、LCD部134は、各種情報を表示する。
コードレス電話親機無線I/F部135は、コードレス電話親機10との無線データ送受信回路であり、無線信号の周波数変換を行うRF/IF部、変調及び復調を行う変復調部、TDMA信号処理等を行うデジタル信号処理回路から構成される。
コードレス電話親機制御部136は、コードレス電話親機10との間で制御データを送受信し、コードレス電話親機10との間の制御プロトコル(例えば、DECTプロトコル方式、PHSプロトコル方式等)に従った発呼、着呼等のプロトコル制御を行う。
子機制御部137は、コードレス電話子機30全体を制御する。具体的には、子機制御部137は、子機制御部137周辺の各部から発生したイベント、メッセージを受信及び解析し、発着信呼の状態及び呼接続を制御し、各部に指示する。
例えば、固定電話網への着信時に、コードレス電話親機10から発信者番号を利用したサービス情報を含む着信メッセージを受信すると、所定の着信音を鳴動させ、着信メッセージに付与されているサービス情報を抽出し、必要に応じて記憶部131の所定の記憶エリアにサービス情報を記憶させたり、LCD部134に着信中の表示画面としてサービス情報を表示させたりする等の制御を行う。
<携帯情報端末の構成>
図4は、第1実施形態におけるコードレス電話システムの携帯情報端末ブロック図である。以下、図4を用いて、携帯電話機40の構成について説明する。
セルラー無線I/F部141は、携帯電話用アンテナを介して携帯電話基地局との無線データ送受信を行う。
セルラー制御部142は、携帯電話基地局との間で制御データを送受信し、制御プロトコル(例えば、広く知られた3GPP規格準拠の携帯電話プロトコル等)に従った発呼、着呼等のプロトコル制御を行う。
記憶部143は、携帯電話機40の各種設定データ、電話帳データ、発着信履歴情報、SMSメッセージ、各種画像データ、音楽データ(着信音データを含む)等の情報を記憶する。
音声入出力部144は、マイク、スピーカから構成され、着信音の出力、通話音声の入力出力を行う。
操作部145は、ユーザが操作を行うダイヤル、および、各種機能ボタンから構成され、LCD部146は、各種情報を表示する。なお、携帯電話機40がスマートホンの場合はタッチパネルが操作部145とLCD部146の機能を兼ね備える。
無線LAN I/F部147は、IEEE802.11の無線LANプロトコル制御を行い、コードレス電話親機10との無線データの送受信を行う。なお、コードレス電話親機10側に合わせてBluetooth(登録商標)やZigBee(登録商標)等の近距離無線通信技術を用いても良い。
端末制御部148は、携帯電話機40全体を制御する。具体的には、端末制御部148は、端末制御部148周辺の各部から発生したイベント、メッセージを受信及び解析し、発着信呼の状態及び呼接続を制御し、各部に指示する。
例えば、セルラー無線I/F部141を介して携帯電話基地局から受信した呼制御メッセージを処理する。また、無線LAN I/F部147を介してコードレス電話親機10から受信した呼制御メッセージを処理する。
<着信呼出〜留守応答まで>
図5は、第1実施形態におけるコードレス電話システムの着信呼出シーケンス図である。
固定電話網からコードレス電話親機10に着信が有った場合(ステップ201)、コードレス電話親機10のNCU及びモデム部101が、例えば広く知られたQ.931仕様に準拠したSetupメッセージを受信する。親機制御部110は、記憶部103を参照して着信すべき子機を確認する。
ここでは、記憶部103に、着信を転送すべき子機としてコードレス電話子機30、携帯電話機40−1、携帯電話機40−2が登録されているものとして説明する。また、図1において説明したように携帯電話機40−2は携帯電話機40が宅外にある場合を示している。
親機制御部110は、コードレス電話親機10自身を着信状態に遷移させるとともに、コードレス電話子機30、携帯電話機40−1、携帯電話機40−2に対して着信処理を行う(ステップ202)。
コードレス電話子機30への着信処理は、例えば上記Q.931仕様に準拠したSetupメッセージ相当の着信メッセージを送信することにより行う。また、携帯電話機40への着信は、例えばSIP(Session Initiation Protocol)に準拠してINVITEメッセージによる着信メッセージを送信することにより行う。
携帯電話機40へ送信するINVITEメッセージには、宅内の携帯電話機40、即ち携帯電話機40−1の場合は内部ネットワーク(LAN)の宛先が含まれ、宅外の携帯電話機40、即ち携帯電話機40−2の場合は外部ネットワーク(WAN)の宛先が含まれる。
着信メッセージを受信したコードレス電話子機30、携帯電話機40−1、携帯電話機40−2は、それぞれのプロトコルに準拠した応答を行い呼出中の状態に遷移する(ステップ203)。呼出中の状態とは、具体的にはLCDに発信者番号を表示して着信鳴動を行っている等の状態である。
コードレス電話子機30、携帯電話機40−1、携帯電話機40−2のそれぞれから着信メッセージに対する応答を受信したコードレス電話親機10は、呼出中の状態に遷移する(ステップ204)。
図6は、第1実施形態におけるコードレス電話システムの留守応答シーケンス図である。
呼出中の状態に遷移したコードレス電話親機10は、所定の時間が経過してもコードレス電話子機30、携帯電話機40−1、携帯電話機40−2およびコードレス電話親機10自身での利用者による応答操作がなかった場合(ステップ205)、以下に示す留守番電話メッセージによる留守応答を行う。
コードレス電話親機10は、留守応答に先立ち先ずコードレス電話親機10自身の着信鳴動を停止するとともに、コードレス電話子機30と携帯電話機40−1に対して着信鳴動の停止処理を行う(ステップ206)。
コードレス電話子機30への着信鳴動の停止処理は、例えば内部メッセージ、あるいは、上記Q.931仕様に準拠したInfoメッセージ相当のメッセージに着信鳴動の停止を示す情報要素を含めて送信することにより行う。また、携帯電話機40−1への着信鳴動の停止処理は、例えばSIPに準拠してCANCELメッセージを送信することにより行う。
ここで、第1実施形態におけるコードレス電話システムにおいて特徴的なことは、留守応答を行う場合に、宅外の携帯電話機40、即ち携帯電話機40−2に対しては着信鳴動の停止処理は行わないことである。詳細は後述する。
コードレス電話親機10は、次に宅内の携帯電話機40、即ち携帯電話機40−1に対して留守応答中を表示する処理を行う(ステップ207)。
携帯電話機40−1への留守応答中を表示する処理は、例えばSIPに準拠してNOTIFYメッセージに留守応答中表示を示す情報要素を含めて送信することにより行う。
コードレス電話親機10は、最後に、TAM部102を制御して留守番電話メッセージの録音・再生動作を開始させるとともに、TAM部102と、コードレス電話親機10自身、固定電話網およびコードレス電話子機30との間の音声パスを接続して留守番電話メッセージを聴取可能に制御する(ステップ208)。そして呼出停止中で留守番電話メッセージ聴取中の状態に遷移する。
図7は、第1実施形態におけるコードレス電話システムの親機の留守応答動作を示すフローチャートである。
図7では、図6において説明したコードレス電話システムの留守応答動作の中でもコードレス電話親機10の留守応答動作について更に詳しく説明する。
呼出中の状態に遷移したコードレス電話親機10は、所定の時間が経過したか否かを判断する(ステップ301)。ここで所定の時間が経過とは、(図示しない)タイマのタイムアウトだけに限定されず、例えば着信鳴動を4回繰り返すといった条件であれば4回繰り返したか否かの判断も含む。これらの条件は、記憶部103に予め装置の初期値として設定しても良いし、利用者が操作部105等によりパラメータとして設定しても良い。
ステップ301において、所定の時間が経過していなければ所定の時間が経過するまで待つ(ステップ301:No)。所定の時間が経過していれば(ステップ301:Yes)、先ず音声入出力部104から発しているコードレス電話親機10自身の着信鳴動を停止する(ステップ302)。
コードレス電話親機10は、次に記憶部103に記憶されている登録子機(子機として登録されている携帯電話機と、更にその携帯電話機についての宅外/宅内の情報を含む)と登録子機の現在の状態を参照する(ステップ303)。
ステップ303において、呼出中(着信鳴動中)の状態の宅外の携帯電話機があれば(ステップ303:No)、その宅外の携帯電話機の状態は変えずに、即ち着信鳴動をさせたままで、ステップ307に移行する。
ステップ303において、呼出中(着信鳴動中)の状態の子機や宅内の携帯電話機があれば(ステップ303:Yes)、着信鳴動を停止するためのメッセージをコードレス電話子機無線I/F部107や無線LAN I/F部109を介して送信し、その子機や携帯電話機の着信鳴動を停止する(ステップ304)。
そして、着信鳴動を停止させた登録子機が宅内の携帯電話機か否かを判断し(ステップ305)、宅内の携帯電話機であれば(ステップ305:Yes)、その宅内の携帯電話機に留守応答中である旨の表示をさせるためのメッセージを無線LAN I/F部109を介して送信し、留守応答中である旨の表示をさせる処理を行う(ステップ306)。
最後に、コードレス電話親機10は、TAM部102に留守番電話メッセージの録音・再生動作を開始させるとともに、TAM部102とコードレス電話親機10自身、TAM部102とコードレス電話子機30およびTAM部102と固定電話網との間の音声パスを接続する(ステップ307)。
留守番電話メッセージは、例えば、発信者に聞かせる「ただいま電話に出ることができません」という応答メッセージであり、OGM(Outgoing Message)とも言われる。また、そのOGM再生メッセージを聞いた発信者が残すメッセージはICM(Incoming Message)とも言われる。
TAM部102とコードレス電話親機10自身との間の音声パスが接続されるとTAM部102からのOGM再生メッセージが音声入出力部104から発せられる。TAM部102とコードレス電話子機30の間の音声パスが接続されるとTAM部102からのOGM再生メッセージがコードレス電話子機無線I/F部107を介してコードレス電話子機30に送信される。
TAM部102と固定電話網との間の音声パスが接続されるとTAM部102からのOGM再生メッセージがNCU及びモデム部101を介して公衆回線につながる発信者に向けて送信される。また、NCU及びモデム部101を介して受信する発信者からのICM録音メッセージがTAM部102に録音される。
そして、コードレス電話親機10自身は呼出停止中(留守番電話メッセージ聴取中)の状態に遷移する。
このように、留守応答を行う場合に、コードレス電話子機30や宅内の携帯電話機40−1に対しては着信鳴動の停止処理を行うが、宅外の携帯電話機40、即ち携帯電話機40−2に対しては着信鳴動の停止処理は行わないのである。
なお、上記では、呼出中の状態のコードレス電話親機10が呼出停止中(留守番電話メッセージ聴取中)の状態に遷移する過程で、所定の時間が経過後に、先ずコードレス電話親機10自身の着信鳴動を停止するように説明したが、その着信鳴動の停止や留守応答中である旨の表示を行う順序はこれに限定されるものではない。例えば、コードレス電話親機10自身の着信鳴動を停止する前に、子機や宅内の携帯電話機の着信鳴動を停止しても良い。
<留守応答〜宅外携帯情報端末の応答まで>
図8は、第1実施形態におけるコードレス電話システムの留守応答時の宅外携帯情報端末の応答シーケンス図である。
呼出中(着信鳴動中)の状態の宅外の携帯電話機40、即ち携帯電話機40−2において、利用者がオフフックして呼出に応答するとコードレス電話親機10に応答メッセージ「200 OK」を送信する(ステップ401)。
応答メッセージ「200 OK」を受信したコードレス電話親機10は固定電話網に対して着信応答処理を行う(ステップ402)とともに、呼出停止中で留守番電話メッセージ聴取中の状態にある携帯電話機40−1とコードレス電話子機30に対して解放処理を行う(ステップ403)。
着信応答処理は、コードレス電話親機10が固定電話網に向けて着信に対する応答を示す、例えば、Connectメッセージを送信することにより行う。
解放処理は、コードレス電話親機10が携帯電話機40−1に向けて、例えば、BYEメッセージを送信することにより行う。同様にコードレス電話子機30に向けて、例えば、Relメッセージを送信することにより行う。
以上により、携帯電話機40−2は固定電話網との通話中状態となり、携帯電話機40−1とコードレス電話子機30は待機中状態に遷移する。更にコードレス電話親機10自身も待機中状態に遷移する。
<留守応答時の時間経過による対応>
図9は、第1実施形態におけるコードレス電話システムの留守応答時の対応を示す図である。
図9において、着信からOGM再生等の時間経過とともに携帯電話機40−1等が対応可能な動作の一例を示す。
符号501に示すコードレス電話親機10およびコードレス電話子機30は、符号504に示すベル着信の期間は、ベル鳴動をデフォルトで4回繰り返す。この期間中に着信に対する応答が無ければ、ベル鳴動を停止し、符号505に示すOGM再生の期間に移る。
符号505に示すOGM再生の期間は、OGM再生の音声をモニタし、コードレス電話親機10またはコードレス電話子機30においてオフフックによって着信に対する応答があれば着信可能である。この期間中に着信に対する応答が無ければ、符号506に示すICM録音の期間に移る。
符号506に示すICM録音の期間は、ICM録音の音声をモニタし、コードレス電話親機10またはコードレス電話子機30においてオフフックによる応答があれば着信可能である。この期間中に着信に対する応答が無ければ、着信は切断される。
符号502に示す宅内の携帯電話機40−1は、符号504に示すベル着信の期間は、ベル鳴動を所定時間(ここではコードレス電話親機10およびコードレス電話子機30がベル鳴動する期間に合わせる)繰り返す。この期間中に着信に対する応答が無ければ、ベル鳴動を停止し、符号505に示すOGM再生の期間に移る。
符号505に示すOGM再生の期間は、「留守電応答中」を表示し、携帯電話機40−1においてオフフックによって着信に対する応答があれば着信可能である。この期間中に着信に対する応答が無ければ、符号506に示すICM録音の期間に移る。
符号506に示すICM録音の期間は、「留守電応答中」を表示し、携帯電話機40−1においてオフフックによる応答があれば着信可能である。この期間中に着信に対する応答が無ければ、着信は切断される。
符号503に示す宅外の携帯電話機40−2は、符号504に示すベル着信の期間は、ベル鳴動を所定時間(ここではコードレス電話親機10およびコードレス電話子機30がベル鳴動する期間)繰り返す。この期間中に着信に対する応答が無ければ、ベル鳴動を停止することなく、符号505に示すOGM再生の期間に移る。
符号505に示すOGM再生の期間は、ベル鳴動は継続し、携帯電話機40−2においてオフフックによって着信に対する応答があれば着信可能である。この期間中に着信に対する応答が無ければ、符号506に示すICM録音の期間に移る。
符号506に示すICM録音の期間は、ベル鳴動は継続し、携帯電話機40−2においてオフフックによる応答があれば着信可能である。この期間中に着信に対する応答が無ければ、着信は切断される。
以上、説明したように、コードレス電話装置によれば、固定電話網からの着信に対して、コードレス電話装置の親機が留守電応答中であっても、宅外に持ち出した携帯情報端末は留守電応答が終了するまでは着信鳴動を継続するため、利用者は応答機会を失うことなく着信に応答することができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、第1の実施形態において説明したコードレス電話システムの留守応答時の動作の変形例について説明する。
<留守応答時の動作の変形例>
図10は、第2実施形態におけるコードレス電話システムの留守応答シーケンス図である。以下、図10のシーケンス図に従って、留守応答時の動作について説明する。なお、着信呼出に至るまでの動作については図5と同様であるため説明を省略し、留守応答時の動作を説明した図6と重複する部分については説明を簡略化する。
呼出中の状態に遷移したコードレス電話親機10は、所定の時間が経過してもコードレス電話子機30、携帯電話機40−1、携帯電話機40−2およびコードレス電話親機10自身での利用者による応答操作がなかった場合(ステップ601)、以下に示す留守番電話メッセージによる留守応答を行う。
コードレス電話親機10は、留守応答に先立ち先ずコードレス電話親機10自身の着信鳴動を停止するとともに、コードレス電話子機30と携帯電話機40−1に対して着信鳴動の停止処理を行う(ステップ602)。
ここで、第2実施形態におけるコードレス電話システムにおいて第1に特徴的なことは、第1実施形態で説明したものと同様に、留守応答を行う場合に、宅外の携帯電話機40、即ち携帯電話機40−2に対しては着信鳴動の停止処理は行っていないことである。
コードレス電話親機10は、次に、携帯電話機40−1の他に携帯電話機40−2およびコードレス電話子機30に対して留守応答中を表示する処理を行う(ステップ603)。
ここで、第2実施形態におけるコードレス電話システムにおいて第2に特徴的なことは、留守応答を行う場合に、宅外の携帯電話機40、即ち携帯電話機40−2に対しては着信鳴動を継続させたままで、留守応答中である旨を携帯電話機40−2上に表示することである。
携帯電話機40−2への留守応答中を表示する処理も、第1実施形態で説明したものと同様に、例えばSIPに準拠してNOTIFYメッセージに留守応答中表示を示す情報要素を含めて送信することにより行う。コードレス電話子機30への留守応答中を表示する処理は、例えば内部メッセージ、あるいは、上記Q.931仕様に準拠したInfoメッセージ相当のメッセージに留守応答中表示を示す情報要素を含めて送信することにより行う。
コードレス電話親機10は、最後に、TAM部102を制御して留守番電話メッセージの録音・再生動作を開始させるとともに、TAM部102と、コードレス電話親機10自身、固定電話網およびコードレス電話子機30との間の音声パスを接続して留守番電話メッセージを聴取可能に制御する(ステップ604)。そして呼出停止中で留守番電話メッセージ聴取中の状態に遷移する。
図11は、第2実施形態におけるコードレス電話システムの親機の留守応答動作を示すフローチャートである。
図11では、図10において説明したコードレス電話システムの留守応答動作の中でもコードレス電話親機10の留守応答動作について更に詳しく説明する。なお、図7と重複する部分については説明を簡略化する。
呼出中の状態に遷移したコードレス電話親機10は、所定の時間が経過したか否かを判断する(ステップ701)。
ステップ701において、所定の時間が経過していなければ所定の時間が経過するまで待つ(ステップ701:No)。所定の時間が経過していれば(ステップ701:Yes)、コードレス電話親機10自身の着信鳴動を停止する(ステップ702)。
コードレス電話親機10は、次に記憶部103に記憶されている登録子機(子機として登録されている携帯電話機と、更にその携帯電話機についての宅外/宅内の情報を含む)と登録子機の現在の状態を参照する(ステップ703)。
ステップ703において、呼出中(着信鳴動中)の状態の宅外の携帯電話機があれば(ステップ703:No)、留守応答中である旨の表示をさせるためのメッセージを無線LAN I/F部109を介して送信し、その携帯電話機の状態は変えずに、即ち着信鳴動をさせたままで、留守応答中である旨の表示をさせる(ステップ704)。
ステップ703において、呼出中(着信鳴動中)の状態の子機や宅内の携帯電話機があれば(ステップ703:Yes)、着信鳴動を停止するためのメッセージをコードレス電話子機無線I/F部107や無線LAN I/F部109を介して送信し、その子機や携帯電話機の着信鳴動を停止する(ステップ705)。
そして、その子機や携帯電話機に留守応答中である旨の表示をさせるためのメッセージをコードレス電話子機無線I/F部107や無線LAN I/F部109を介して送信し、留守応答中である旨の表示をさせる処理を行う(ステップ706)。
最後に、コードレス電話親機10は、TAM部102に留守番電話メッセージの録音・再生動作を開始させるとともに、TAM部102とコードレス電話親機10自身、TAM部102とコードレス電話子機30およびTAM部102と固定電話網との間の音声パスを接続する(ステップ707)。
そして、コードレス電話親機10自身は呼出停止中(留守番電話メッセージ聴取中)の状態に遷移する。
このように、留守応答を行う場合に、コードレス電話子機30や宅内の携帯電話機40−1に対しては着信鳴動の停止処理を行うが、宅外の携帯電話機40−2に対しては着信鳴動の停止処理は行わないのである。
また、留守応答を行う場合に、宅外の携帯電話機40−2に対しては着信鳴動を継続させたままで、留守応答中である旨を携帯電話機40−2上に表示するのである。
以降、留守応答時の宅外の携帯電話機40−2の着信への応答動作については、図8の応答シーケンス図の説明と同様であるため説明を省略する。
<変形例における留守応答時の時間経過による対応>
図12は、第2実施形態におけるコードレス電話システムの留守応答時の対応を示す図である。なお、留守応答時の対応を説明した図9と重複する部分については説明を簡略化する。
図12において、符号801に示すコードレス電話親機10およびコードレス電話子機30、符号802に示す宅内の携帯電話機40−1、符号803に示す宅外の携帯電話機40−2のそれぞれが、着信からOGM再生等の時間経過とともに対応可能な動作の一例を示す。
符号801に示すコードレス電話親機10およびコードレス電話子機30は、符号804に示すベル着信の期間は、ベル鳴動を繰り返す。この期間中に着信に対する応答が無ければ、ベル鳴動を停止し、符号805に示すOGM再生の期間に移る。
なお、図12に明示していないが、符号804に示すベル着信の期間は、着信に対する応答が可能である(符号802に示す宅内の携帯電話機40−1、符号803に示す宅外の携帯電話機40−2の場合も同様に着信に対する応答が可能)。
符号805に示すOGM再生の期間は、OGM再生の音声をモニタし、コードレス電話親機10またはコードレス電話子機30においてオフフックによって着信に対する応答があれば着信可能である。この期間中に着信に対する応答が無ければ、符号806に示すICM録音の期間に移る。
符号806に示すICM録音の期間は、ICM録音の音声をモニタし、コードレス電話親機10またはコードレス電話子機30においてオフフックによる応答があれば着信可能である。この期間中に着信に対する応答が無ければ、着信は切断される。
なお、OGM再生およびICM録音の期間は、無音中でも留守電応答中であることがわかるように「留守電応答中」を表示するようにしても構わない。表示はLED(Light Emitting Diode)の点滅等による単純なものでも構わない。
符号802に示す宅内の携帯電話機40−1は、符号804に示すベル着信の期間は、ベル鳴動を所定時間繰り返す。この期間中に着信に対する応答が無ければ、ベル鳴動を停止し、符号805に示すOGM再生の期間に移る。
符号805に示すOGM再生の期間は、「留守電応答中」を表示し、携帯電話機40−1においてオフフックによって着信に対する応答があれば着信可能である。この期間中に着信に対する応答が無ければ、符号806に示すICM録音の期間に移る。
符号806に示すICM録音の期間は、「留守電応答中」を表示し、携帯電話機40−1においてオフフックによる応答があれば着信可能である。この期間中に着信に対する応答が無ければ、着信は切断される。
なお、OGM再生およびICM録音の期間は、「留守電応答中」を表示中でも留守電応答中であることがわかるようにコードレス電話親機10から携帯電話機40−1にOGM再生およびICM録音の音声データを逐次送信して携帯電話機40−1から出力するようにしても構わない。
符号803に示す宅外の携帯電話機40−2は、符号804に示すベル着信の期間は、ベル鳴動を所定時間繰り返す。この期間中に着信に対する応答が無ければ、ベル鳴動を停止することなく、符号805に示すOGM再生の期間に移る。
符号805に示すOGM再生の期間は、「留守電応答中」を表示し、ベル鳴動は継続し、携帯電話機40−2においてオフフックによって着信に対する応答があれば着信可能である。この期間中に着信に対する応答が無ければ、符号806に示すICM録音の期間に移る。
符号806に示すICM録音の期間は、「留守電応答中」を表示し、ベル鳴動は継続し、携帯電話機40−2においてオフフックによる応答があれば着信可能である。この期間中に着信に対する応答が無ければ、着信は切断される。
なお、OGM再生およびICM録音の期間でも音声モニタが可能なように、設定により、1度目のオフフックで音声モニタを行い、2度目のオフフックにより応答するようにしても構わない。
以上、説明したように、コードレス電話装置によれば、固定電話網からの着信に対して、コードレス電話装置の親機が留守電応答中であっても、宅外に持ち出した携帯情報端末は留守電応答が終了するまでは着信鳴動を継続するため、利用者は応答機会を失うことなく着信に応答することができる。
また、着信鳴動中の宅外の携帯情報端末には、着信鳴動中であっても親機が留守応答中である旨の表示がされるため、利用者は親機が留守応答中であることを把握しつつ着信に応答することができる。