JP2016059008A - 車両ネットワークシステム - Google Patents

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【課題】故障診断ツールから電子制御ユニットへ送信される要求メッセージが増加した場合であっても、その電子制御ユニットにおいて、その故障診断ツールとの間の通信以外の処理時間を確保する。【解決手段】1又は複数の電子制御ユニット200と、故障診断ツール400と1又は複数の電子制御ユニットとの間に接続され、且つ故障診断ツールと1又は複数の電子制御ユニットとの間の通信を中継するゲートウェイ100とを備える車両ネットワークシステムにおいて、1又は複数の電子制御ユニットは、ゲートウェイを介して、故障診断ツールから送信される要求メッセージを受信し、要求メッセージに対する応答メッセージを作成し、ゲートウェイを介して故障診断ツールに応答メッセージを送信し、ゲートウェイは、応答メッセージを受信し、応答メッセージを所定の時間経過後に故障診断ツールへ送信する。【選択図】図1

Description

本発明は、車両ネットワークシステムに関する。
車両には、複数の電子制御ユニット(ECU: Electronic Control Unit)が搭載され、複数の電子制御ユニットによってCAN(Controller Area Network)等の車載ネットワークが構成される。車両の点検、整備等のメンテナンスの際には、故障診断ツールが車両に接続され、故障診断ツールは、各電子制御ユニットとダイアグ通信を行うことによって、故障診断に必要なデータを取得する。具体的には、故障診断ツールは車両の故障診断に必要なデータを要求する要求メッセージを電子制御ユニットに送信する。電子制御ユニットは故障診断ツールから送信される要求メッセージを受信すると、該要求メッセージで要求されている故障診断に必要なデータを付帯した応答メッセージを返信する。故障診断ツールは電子制御ユニットから送信される応答メッセージを受信する。
電子制御ユニットが接続されたネットワークと、診断装置が接続されるネットワークとの間にゲートウェイ装置を備えた車載ネットワークシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2013−52833号公報
故障診断ツールによっては、要求メッセージに対する応答メッセージを受信した直後に、該応答メッセージを送信した電子制御ユニットに新たな要求メッセージを送信するものがある。この場合、電子制御ユニットは、故障診断ツールから送信される要求メッセージで要求される故障診断に必要なデータに関する処理に時間の大部分を使うことになる。つまり、電子制御ユニットは、応答メッセージを送信した後に新たな要求メッセージを即座に受信し、応答メッセージを作成するため、故障診断ツールとの間の通信以外の処理等を行うことができる時間(以下、「アイドル期間」という)が短くなる。この結果、電子制御ユニットは、他の電子制御ユニット等との間で通信ができなかったり、電子制御ユニット自体の制御に支障をきたしたりする場合がある。
特に、故障診断ツールが、車両を攻撃することを目的として、悪意のある者によって接続された場合には、その故障診断ツールから送信される要求メッセージがさらに増加することが想定され、要求メッセージを受信する電子制御ユニットにおけるアイドル期間がさらに短くなる。
しかし、電子制御ユニットは、故障診断ツールから送信される要求メッセージに対して、必ず応答メッセージを送信するようにダイアグに関する規格で義務づけられている。つまり、電子制御ユニットは、故障診断ツールから高い頻度で送信される要求メッセージを受信したとしても、各要求メッセージに対する応答メッセージを送信しないで無視することはできない。このため、故障診断ツールから送信される要求メッセージの増加にともなって、通信処理の負荷が増大し、アイドル期間を確保することが困難になり、電子制御ユニット自体の制御に影響を受ける。
本発明の目的は、故障診断ツールから電子制御ユニットへ送信される要求メッセージが増加した場合であっても、その電子制御ユニットにおいて、その故障診断ツールとの間の通信以外の処理時間を確保することである。
開示の一実施例の車両ネットワークシステムは、
1又は複数の電子制御ユニットと、故障診断ツールと前記1又は複数の電子制御ユニットとの間に接続され、且つ前記故障診断ツールと前記1又は複数の電子制御ユニットとの間の通信を中継するゲートウェイとを備える車両ネットワークシステムにおいて、
前記1又は電子制御ユニットは、
前記ゲートウェイを介して、前記故障診断ツールから送信される要求メッセージを受信する第1の受信部と、
該要求メッセージに対する応答メッセージを作成する応答メッセージ作成部と、
前記ゲートウェイを介して、前記故障診断ツールに該応答メッセージを送信する第1の送信部とを有し、
前記ゲートウェイは、
該応答メッセージを受信する第2の受信部と、
該応答メッセージを所定の時間経過後に前記故障診断ツールへ送信するように制御する通信制御部と、
前記通信制御部による制御にしたがって、前記故障診断ツールへ前記応答メッセージを送信する第2の送信部と
を有する。
開示の実施例によれば、故障診断ツールから電子制御ユニットへ送信される要求メッセージが増加した場合であっても、その電子制御ユニットにおいて、その故障診断ツールとの間の通信以外の処理時間を確保できる。
車両ネットワークシステムの一実施例を示す図である。 第2の電子制御ユニットでの処理を示す図である。 車両ネットワークシステムの動作の一実施例を示す図である。 車両ネットワークシステムの一変形例を示す図である。
次に、本発明を実施するための形態を、以下の実施例に基づき図面を参照しつつ説明する。以下で説明する実施例は一例に過ぎず、本発明が適用される実施の形態は、以下の実施例に限られない。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
<実施例>
<車両ネットワークシステム>
図1は、車両ネットワークシステムの一実施例を示す。
車両ネットワークシステムは、第1の電子制御ユニット100と、第2の電子制御ユニット200とを備える。第1の電子制御ユニット100、及び第2の電子制御ユニット200は、第1の通信バス10によって有線接続される。さらに、第1の電子制御ユニット100は、第2の通信バス20によってダイアグコネクタ300が接続される。車両ネットワークシステムは、例えば車両等の移動体に搭載され、CAN、LIN(Local Interconnect Network)等のLANが適用される。車両ネットワークシステムは、FlexRay(登録商標)に従って通信を行うように構成することもできる。
第1の電子制御ユニット100、及び第2の電子制御ユニット200は、エンジン制御、ブレーキ制御、エアサスペンション制御等の車両制御を行う。第1の電子制御ユニット100と、第2の電子制御ユニット200に、センサ、アクチュエータ等を実装することもできる。
ダイアグコネクタ300は故障診断ツール400等の様々なツールを接続するためのコネクタであり、ダイアグコネクタ300には車両の外部からケーブル30を介して故障診断ツール400が接続される。故障診断ツール400は、ダイアグコネクタ300を介して第2の電子制御ユニット200にアクセスし、データを送受信することにより、第2の電子制御ユニット200の故障診断に必要なデータを取得する。
第1の通信バス10、及び第2の通信バス20の一実施例はCANバスであり、車両内の各電子制御ユニットを接続することにより多重通信網を構成し、各電子制御ユニット間でデータを中継する。多重通信網は車両に複数存在する場合もある。第1の通信バス10、及び第2の通信バス20は、ツイストペアの形態を有する2本の通信線(CANバス)からなる。CANバスのツイストペア線は一方がCAN High、他方がCAN Lowと呼ばれる母線である。第1の通信バス10、及び第2の通信バス20の両端には終端抵抗(図示なし)が接続される。図1では、1本の実線でCAN High、CAN Lowを表す。
第1の電子制御ユニット100は、第2の電子制御ユニット200とダイアグコネクタ300との間に介在し、第1の通信バス10に接続された電子制御ユニット(図1では、第2の電子制御ユニット200)と、ダイアグコネクタ300との間の通信を中継するゲートウェイとして機能する。
図1では、2個の電子制御ユニットによって車両ネットワークシステムが構成されるが、3個以上の電子制御ユニットによって構成することもできる。3個以上の電子制御ユニットによって構成する場合に、複数の電子制御ユニットを第1の通信バス10に接続することによって、その複数の電子制御ユニットの各々の故障診断を行うことができる。
本実施例では、複数の電子制御ユニットの一つである第2の電子制御ユニット200の故障診断を行う例について説明する。複数の電子制御ユニットの各々の故障診断を行う場合についても適用できる。この場合、複数の電子制御ユニットの各々は、後述する要求メッセージ等のダイアグ通信メッセージに付帯されるID等の識別情報によって識別される。故障診断ツール400は、第1の電子制御ユニット100を介して、第2の電子制御ユニット200に故障診断に必要なデータを要求する要求メッセージ等のダイアグ通信メッセージを送信する。第1の電子制御ユニット100は、要求メッセージを受信すると、その要求メッセージを記録するとともに、時間のカウントを開始し、第2の電子制御ユニット200へ中継(転送)する。例えば、第1の電子制御ユニット100は、要求メッセージの識別情報を記録することができる。
第2の電子制御ユニット200は、第1の電子制御ユニット100から中継された要求メッセージを受信する。第2の電子制御ユニット200は、受信した要求メッセージで要求されているデータを付帯した応答メッセージ等のダイアグ通信メッセージを作成し、返信する。
第1の電子制御ユニット100は、第2の電子制御ユニット200から送信された応答メッセージを受信すると、記録した要求メッセージに基づいて、該要求メッセージに対する応答メッセージである場合に該応答メッセージを保留(保持)する。そして、第1の電子制御ユニット100は、時間のカウントを開始してから50ms等の第1の所定時間が経過した場合に故障診断ツール400へ中継(転送)する。ここで、第1の所定時間は予め設定することができる。例えば、第1の所定時間は、ダイアグに関する規格に規定されている期間に基づいて、例えば故障診断ツール400から要求メッセージを受信してから該要求メッセージに対する応答メッセージを送信するまでの時間等を決定することによって設定できる。
仮に、第1の電子制御ユニット100が応答メッセージを保留することなく故障診断ツール400に送信した場合、故障診断ツール400から新たな要求メッセージが即座に送信されるおそれがある。この場合、第2の電子制御ユニット200は、新たな要求メッセージで要求されているデータを応答メッセージに付帯して送信しなければならず、アイドル期間が短くなる。
本実施例では、故障診断ツール400が応答メッセージを受信する時間を遅らせることによって、故障診断ツール400から新たな要求メッセージが送信される時間を遅らせることができる。これによって、第1の電子制御ユニット100が応答メッセージを保留している期間、第2の電子制御ユニット200は、アイドル期間を確保できるため、故障診断ツール400との間の通信処理以外の処理を行うことができる。
<第1の電子制御ユニット100>
第1の電子制御ユニット100のハードウェア構成について説明する。第1の電子制御ユニット100は、第1の通信トランシーバ(図示無し)と、第1の通信回路(図示無し)と、第1のCPU(図示無し)とを有する。
第1の通信トランシーバは、第1の通信バス10、及び第2の通信バス20に接続される。第1の通信トランシーバは、第1の通信ドライバによる制御にしたがって第1の通信回路からのデータを第1の通信バス10、及び第2の通信バス20に送信するとともに、第1の通信バス10、及び第2の通信バス20からのデータを受信し、第1の通信回路に入力する。第1の通信トランシーバは、データを送信する場合には、CAN HighとCAN Lowに反転信号を送出する。第1の通信トランシーバは、データを受信する場合には、CAN HighとCAN Lowとの間の電圧差から、第1の通信バス10、及び第2の通信バス20上のデータが"1"であるか"0"であるかを判定する。
第1の通信回路は、第1の通信トランシーバと接続され、第1の通信バス10、及び第2の通信バス20を介して、他の電子通信ユニットや、ダイアグコネクタ300に接続される故障診断ツール400との間でシリアル通信を行う。第1の通信回路は、第1のCPUからの送信データを第1の通信トランシーバから送信するとともに、第1の通信トランシーバからの受信データを第1のCPUに入力する。
第1のCPUは、第1の通信回路と接続され、第1の通信回路によって実行される通信処理や、第1の電子制御ユニット100を制御する処理を実行する。
<第1の電子制御ユニット100の機能>
第1の電子制御ユニット100の機能について説明する。第1の電子制御ユニット100は、第1の送受信部(図示無し)と、要求メッセージ中継制御部(図示無し)と、応答メッセージ中継制御部(図示無し)と、カウンタ部(図示無し)として機能する。これら各部は、第1の電子制御ユニット100の各構成要素のいずれかが、HD(図示なし)からRAM(図示なし)上に展開された第1の電子制御ユニット用のプログラムに従った第1のCPUからの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。第1の電子制御ユニット用のプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルによって、ネットワークを介して又はコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて、流通される。上記記録媒体の他の例として、CD-R(Compact Disc Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)、ブルーレイディスク等が挙げられる。
第1の送受信部は、第1の通信トランシーバ、及び第1の通信回路によって実現され、故障診断ツール400から送信される要求メッセージを受信し、第2の電子制御ユニット200へ送信する。また、第1の送受信部は、第2の電子制御ユニット200から送信される応答メッセージを受信し、故障診断ツール400へ送信する。
カウンタ部は、第1のCPUによって実現され、第1の送受信部によって要求メッセージが受信されてから、その要求メッセージに対する応答メッセージを送信するまでの時間をカウントする。
要求メッセージ中継制御部は、第1の通信回路、及び第1のCPUによって実現され、第1の送受信部によって要求メッセージが受信されたのを契機としてカウンタ部に時間のカウントを開始させる。要求メッセージ中継制御部は、第1の送受信部によって受信した要求メッセージを記録するとともに、第2の電子制御ユニット200へ中継する制御を行う。
応答メッセージ中継制御部は、第1の通信回路、及び第1のCPUによって実現され、第1の送受信部によって受信した応答メッセージを故障診断ツール400へ中継する制御を行う。応答メッセージ中継制御部は、カウンタ部の時間のカウント値を参照し、第1の所定時間が経過した場合に、応答メッセージを故障診断ツール400へ中継する。
<第2の電子制御ユニット200>
第2の電子制御ユニット200のハードウェア構成について説明する。第2の電子制御ユニット200は、第2の通信トランシーバ(図示無し)と、第2の通信回路(図示無し)と、第2のCPU(図示無し)とを有する。
第2の通信トランシーバは、第1の通信バス10に接続され、第2の通信ドライバによる制御にしたがって第2の通信回路からのデータを第1の通信バス10に送信するとともに、第1の通信バス10からのデータを受信し、第2の通信回路に入力する。第2の通信トランシーバは、データを送信する場合には、CAN HighとCAN Lowに反転信号を送出する。第2の通信トランシーバは、データを受信する場合には、CAN HighとCAN Lowとの間の電圧差から、第1の通信バス10上のデータが"1"であるか"0"であるかを判定する。
第2の通信回路は、第2の通信トランシーバと接続され、第1の通信バス10を介して、他の電子制御ユニットとシリアル通信を行う。第2の通信回路は、第2のCPUからのデータを第2の通信トランシーバから送信するとともに、第2の通信トランシーバからのデータを第2のCPUに入力する。
第2のCPUは、第2の通信回路と接続され、第2の通信回路により実行される通信処理や、第2の電子制御ユニット200を制御する処理を実行する。
<第2の電子制御ユニット200の機能>
第2の電子制御ユニット200の機能について説明する。第2の電子制御ユニット200は、第2の送受信部(図示無し)と、応答メッセージ作成部(図示無し)として機能する。これら各部は、第2の電子制御ユニット200の各構成要素のいずれかが、HD(図示なし)からRAM(図示なし)上に展開された第2の電子制御ユニット用のプログラムに従った第2のCPUからの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。第2の電子制御ユニット用のプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルによって、ネットワークを介して又はコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて、流通される。上記記録媒体の他の例として、CD-R、DVD、ブルーレイディスク等が挙げられる。
第2の送受信部は、第2の通信トランシーバ、及び第2の通信回路によって実現され、第1の電子制御ユニット100から中継される要求メッセージを受信し、応答メッセージ作成部へ入力する。また、第2の送受信部は、第1の電子制御ユニット100へ応答メッセージを送信する。
応答メッセージ作成部は、第2のCPUによって実現され、第2の送受信部から入力される要求メッセージによって要求されるデータを付帯した応答メッセージを作成し、第2の送受信部へ入力する。
図2は、主に、第2の電子制御ユニット200の処理を示し、上側はダイアグ通信メッセージの処理期間を表し、下側は応答メッセージ作成部の処理を示す。
ステップS202では、故障診断ツール400は要求メッセージ(1)を作成し、第1の電子制御ユニット100を経由して第2の電子制御ユニット200へ送信する。第1の電子制御ユニット100は、要求メッセージ(1)を中継する際に時間のカウントを開始する。
ステップS204では、第2の電子制御ユニット200の第2の送受信部は、要求メッセージ(1)を受け付ける。ステップS206では、第2の電子制御ユニット200の応答メッセージ作成部は、要求メッセージ(1)よって要求されているデータを付帯した応答メッセージ(1)を作成することによって応答準備を行う。ステップS208では、第2の電子制御ユニット200の第2の送受信部は、第1の電子制御ユニット100に応答メッセージ(1)を送信する。また、第1の電子制御ユニット100は、その応答メッセージ(1)の中継をステップS202で時間のカウントを開始してから第1の所定時間が経過した後に、故障診断ツール400へ送信する。この応答メッセージ(1)の中継が保留される期間の間、第2の電子制御ユニット200はアイドル期間を確保できる。
ステップS210では、故障診断ツール400は応答メッセージ(1)を受信すると、新たに要求メッセージ(2)を作成し、第1の電子制御ユニット100を経由して第2の電子制御ユニット200へ送信する。第1の電子制御ユニット100は、要求メッセージ(2)を中継する際に時間のカウントを開始する。
ステップS212では、第2の電子制御ユニット200の第2の送受信部は、要求メッセージ(2)を受け付ける。ステップS214では、第2の電子制御ユニット200の応答メッセージ作成部は、要求メッセージ(2)よって要求されているデータを付帯した応答メッセージ(2)を作成することによって応答準備を行う。
ステップS216では、第2の電子制御ユニット200の第2の送受信部は、第1の電子制御ユニット100に応答メッセージ(2)を送信する。また、第1の電子制御ユニット100は、その応答メッセージ(2)の中継をステップS210で時間のカウントを開始してから第1の所定時間が経過した後に、故障診断ツール400へ送信する。この応答メッセージ(2)の中継が保留される期間の間、第2の電子制御ユニット200はアイドル期間を確保できる。
<車両ネットワークシステムの動作>
図3は、車両ネットワークシステムの動作の一実施例を示し、併せて第2の電子制御ユニット200の動作についても示す。
ステップS302では、故障診断ツール400は、故障診断に必要なデータの最初の要求を行うために、第2の電子制御ユニット200に要求メッセージ(1)を送信する。
ステップS304では、第1の電子制御ユニット100の第1の送受信部は、故障診断ツール400から送信される要求メッセージ(1)を受信する。第1の電子制御ユニット100の要求メッセージ中継制御部は、要求メッセージ(1)を記録するとともに、時間のカウントを開始する。第1の電子制御ユニット100の第1の送受信部は、第2の電子制御ユニット200へその要求メッセージ(1)を中継(転送)する。
ステップS306では、第2の電子制御ユニット200の第2の送受信部は、第1の電子制御ユニット100によって中継された要求メッセージ(1)を受信する。第2の電子制御ユニット200の応答メッセージ作成部は、受信した要求メッセージ(1)で要求されているデータを付帯した応答メッセージ(1)等のダイアグ通信メッセージを作成し、第2の送受信部から送信する。
ステップS308では、第1の電子制御ユニット100の第1の送受信部は、第2の電子制御ユニット200から送信される応答メッセージ(1)を受信する。第1の電子制御ユニット100の応答メッセージ中継制御部は、その応答メッセージ(1)の中継を保留する。ステップS310では、第1の電子制御ユニット100のカウント部は、時間のカウントを継続する。ステップS312では、第1の電子制御ユニット100の応答メッセージ中継制御部は、時間のカウント値が上昇し、第1の所定時間が経過したと判断する。
ステップS314では、第1の電子制御ユニット100の応答メッセージ中継制御部は、応答メッセージ(1)を中継する。ステップS316では、故障診断ツール400は、第1の電子制御ユニット100から送信される応答メッセージ(1)を受信すると、次の要求を行うために、第2の電子制御ユニット200に新たな要求メッセージ(2)を即座に送信する。その後の処理は、上述したステップS304−S314を適用できる。
第2の電子制御ユニット200の動作について説明する。ステップS302の間、第2の電子制御ユニット200は、要求メッセージを受信する等の要求を処理する(A)。ステップS304−S306の間、第2の電子制御ユニット200は、応答の準備を行うとともに、該応答を付帯した応答メッセージを送信することによって応答する(B)。ステップS308−S314の間、第2の電子制御ユニット200は、アイドル状態となり、故障診断ツール400との間の通信処理から解放される(C)。ステップS316の間、第2の電子制御ユニット200は、要求メッセージを受信する等の要求を処理する(D)。
車両ネットワークシステムの一実施例によれば、第1の電子制御ユニットでダイアグ通信メッセージを一時的に保留できるため、ダイアグに関する規格を遵守しつつ、ダイアグ通信のトラヒックを低減できる。このため、複数の電子制御ユニットの各々がアイドル期間を確保できるとともに負荷を低減できる。
仮に、ゲートウェイの一例としての第1の電子制御ユニットを備えず、複数の電子制御ユニットの各々がダイアグ通信メッセージを一時的に保留するようにした場合について考える。この場合には、各電子制御ユニットに時間をカウントする負荷が新たに生じるとともに、時間をカウントし、保留している時間の間は他の電子制御ユニットとの間で通信ができない。また、全ての電子制御ユニットにダイアグ通信メッセージを一時的に保留する機能を組み込む必要があるため現実的ではない。
一方、故障診断ツールと電子制御ユニットとに間にセキュリティを目的として、ゲートウェイとしての電子制御ユニットを設けることが行われている。そこで、本実施例では、ゲートウェイとしての電子制御ユニットにダイアグ通信メッセージを一時的に保留する機能を組み込むことによって全ての電子制御ユニットにダイアグ通信メッセージを一時的に保留する機能を組み込むことなく、ダイアグ通信メッセージを一時的に保留することができる。
<変形例>
車両ネットワークシステムの一変形例は、図1を適用でき、第1の電子制御ユニット100のハードウェア構成、第2の電子制御ユニット200のハードウェア構成、及び機能は上述した実施例を適用できる。つまり、第1の電子制御ユニット100の機能が上述した実施例と異なる。
<第1の電子制御ユニット100の機能>
第1の電子制御ユニット100の機能について説明する。第1の電子制御ユニット100は、第1の送受信部(図示無し)と、要求メッセージ中継制御部(図示無し)と、応答メッセージ中継制御部(図示無し)と、カウンタ部(図示無し)と、応答メッセージ保留判断部(図示無し)として機能する。これら各部は、第1の電子制御ユニット100の各構成要素のいずれかが、HD(図示なし)からRAM(図示なし)上に展開された第1の電子制御ユニット用のプログラムに従った第1のCPUからの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。第1の電子制御ユニット用のプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルによって、ネットワークを介して又はコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて、流通される。上記記録媒体の他の例として、CD-R(Compact Disc Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)、ブルーレイディスク等が挙げられる。
上述した実施例と応答メッセージ保留判断部が追加された点で異なるため、主に、応答メッセージ保留判断部について説明する。応答メッセージ保留判断部は、第1のCPUによって実現され、応答メッセージ中継制御部による制御によって第1の送受信部から応答メッセージが送信されてから、第1の送受信部によって次の要求メッセージが受信されるまでの経過時間をカウント部に計測させる。応答メッセージ保留判定部は、応答メッセージが送信されてから、次の要求メッセージが受信されるまでの経過時間が予め設定される25ms等の第2の所定時間未満である場合、故障診断ツール400から高い頻度で要求メッセージが送信されていると判定する。ここで、第2の所定時間は、第1の所定時間よりも短い時間とすることができる。また、応答メッセージ保留判定部は、応答メッセージが送信されてから、次の要求メッセージが受信されるまでの経過時間が予め設定される第2の所定時間以上である場合、故障診断ツール400から高い頻度で要求メッセージが送信されていないと判定する。応答メッセージ保留判定部は、高い頻度で要求メッセージが送信されていると判定した場合、応答メッセージ中継制御部に応答メッセージを保留するように指示する。応答メッセージ中継制御部は、応答メッセージ保留判定部から応答メッセージを保留する指示が入力された場合に、応答メッセージを保留する。応答メッセージを保留する処理は、上述した実施例を適用できる。
また、応答メッセージ保留判断部は、高い頻度で要求メッセージが送信されていると判定した場合、そのことを通知することもできる。これによって、要求メッセージを高頻度で繰り返し送信する故障診断ツールを特定でき、故障診断ツールが故障しているか否かを判定できる。
車両ネットワークシステムの一変形例では、故障診断ツール400から高い頻度で要求メッセージが送信されている場合に応答メッセージを保留する処理が実行される。換言すれば、故障診断ツール400から高い頻度で要求メッセージが送信されていない場合には応答メッセージを保留する処理が行われないため、応答メッセージを保留するための処理負荷を低減できる。
以上、本発明は特定の実施例及び変形例を参照しながら説明されてきたが、各実施例及び変形例は単なる例示に過ぎず、当業者は様々な変形例、修正例、代替例、置換例等を理解するであろう。説明の便宜上、本発明の実施例に従った装置は機能的なブロック図を用いて説明されたが、そのような装置はハードウェアで、ソフトウェアで又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。本発明は上記実施例に限定されず、本発明の精神から逸脱することなく、様々な変形例、修正例、代替例、置換例等が包含される。
10 第1の通信バス
20 第2の通信バス
30 ケーブル
100 第1の電子制御ユニット
200 第2の電子制御ユニット
300 ダイアグコネクタ
400 故障診断ツール

Claims (1)

  1. 1又は複数の電子制御ユニットと、故障診断ツールと前記1又は複数の電子制御ユニットとの間に接続され、且つ前記故障診断ツールと前記1又は複数の電子制御ユニットとの間の通信を中継するゲートウェイとを備える車両ネットワークシステムにおいて、
    前記1又は複数の電子制御ユニットは、
    前記ゲートウェイを介して、前記故障診断ツールから送信される要求メッセージを受信する第1の受信部と、
    該要求メッセージに対する応答メッセージを作成する応答メッセージ作成部と、
    前記ゲートウェイを介して、前記故障診断ツールに該応答メッセージを送信する第1の送信部とを有し、
    前記ゲートウェイは、
    該応答メッセージを受信する第2の受信部と、
    該応答メッセージを所定の時間経過後に前記故障診断ツールへ送信するように制御する通信制御部と、
    前記通信制御部による制御にしたがって、前記故障診断ツールへ前記応答メッセージを送信する第2の送信部と
    を有する、車両ネットワークシステム。
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