JP2016057629A - 光ファイバ - Google Patents
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Abstract
【課題】苛酷な環境下での使用に適する光ファイバを提供する。【解決手段】光ファイバは、(i)Alドープシリカを含むが、ErまたはYbは実質的に含まない、第1の屈折率n1を有するコア12、(ii)コア12を囲む、n1>n2であるような、第2の屈折率n2を有する、少なくとも1つのFドープシリカ系クラッド層14であって、実質的にSiO2及び0.25〜5重量%のFを含むクラッド層14、(iii)クラッド層14を囲む気密炭素系コーティング16であって、厚さが30〜50nmである気密炭素系コーティング16、及び(iv)気密炭素系コーティングを囲む第2のコーティング18であって、厚さが5μmから80μmである第2のコーティング18、を有する。【選択図】図1
Description
本出願は、2010年1月26日に出願された米国仮特許出願第61/298324号の優先権の恩典を主張する。
本発明は全般的に、苛酷な環境におけるセンシング用途での使用に適する光ファイバに関する。
光ファイバは、その高い伝送容量及び電気雑音不感性により、遠距離通信に好んで用いられる媒体となっている。過去10年間にわたり、光ファイバは単点センシング及び/または分布センシングの用途にも用いられている。ファイバは石油及びガス事業において石油探査、鑿井及び生産に不可欠な情報を得るために用いられている。これらの石油/ガス井戸において、光ファイバは地球物理学的井戸の深さに沿う温度、圧力及び流量の情報をモニタ/計測するための分布センサとして用いられる。しかし、苛酷な坑井内環境のため厳しい信頼性問題に直面する。代表的な坑井内環境において、光ファイバには、(300℃までの)高温、(1000気圧(1.013×108Pa)までの)高圧及び湿気がかかり、水素や、CO2及びH2Sのような、その他の有害な化学種が作用する。
そのような苛酷な環境において用いられる光ファイバを保護するために、特殊なファイバコーティング構造が開発されている。例えば、非晶質炭素系コーティング(いわゆる「気密コーティング」)及び金属コーティングが用いられている。しかし、フッ素ドープクラッド層を有する純シリカコアファイバまたは、さらに一般的には、Geドープシリカからなるコアを有するファイバを用いる以外に、ファイバの石英ガラスの組成の領域において重立ったことはなされていない。
気密コーティングは、ファイバの石英ガラス内への水分子または水素分子の侵入を防止する、保護層を提供する。気密コーティングは小コイル径の下でファイバの極めて信頼性が高い布設も可能にする。気密コーティングの存在は機械的一体性が改善された光ファイバを提供する。Geドープファイバは可視波長及び近IR波長に吸収ピークを有する。さらに、発明者等の最近の研究により、GeO2ドープファイバ上に気密コーティングを施すと、150℃までの温度についてH2の侵入は完全に妨げられるが、170℃をこえるとそうはならないことが明らかになった。例えば、1240nm及び1381nmにおける高い減衰ピーク並びに背景損失の全体的増大が見られる。これは、170℃をこえる温度ではもはや気密層が真に気密ではないことを示す。
本発明の範囲は添付される特許請求の範囲によって定められる。
本発明の一例にしたがえば、光ファイバは、(i)第1の屈折率n1を有する、Alドープシリカを含むコア、(ii)コアを囲む、n1>n2であるような、第2の屈折率n2を有する、少なくとも1つのシリカ系クラッド層、及び(iii)クラッド層を囲む、厚さが5μmから80μmの、コーティングを有する。クラッド層とクラッド層を囲む被覆の間に気密コーティングがあることが好ましい。いくつかの実施形態において、光ファイバは単一モードコアを有する。他のいくつかの実施形態において、光ファイバは多モードコアを有する。多モードコアを有するファイバにおいては、コアの少なくとも一部が分布屈折率を有することが好ましい。少なくともいくつかの実施形態において、クラッド層に対するコアの相対屈折率Δは0.5%と2.05%の間(例えば0.8〜1.2%)であり、シリカに対するコアの相対屈折率Δは≦0.8である。いくつかの実施形態において、クラッド層は、0.2〜5重量%のF,例えば1.4〜5重量%のFを含む。いくつかの実施形態において、クラッド層内のFの量は0.7〜3重量%である。いくつかの実施形態において、コアは5.5〜10重量%のAl2O3を含む。
本明細書に開示される光ファイバの利点のいくつかは、170℃をこえる温度における高信頼性である。これらのファイバは、Geドープファイバまたは純シリカコアファイバがセンシング用途に利用されている、その他の苛酷な環境においても用いることができる。本発明の実施形態にしたがう光ファイバの利点の1つは、1064nm近傍の波長におけるH2老化がかなり小さいことである。1064nmの波長範囲は、ガス/石油センシング用途に対する温度分布センシング(DTS)応用における主動作ウインドウであることに注意されたい。
本発明のさらなる特徴及び利点は、以下の詳細な説明に述べられ、ある程度は、当業者にはその説明から明らかであろうし、あるいは、以下の詳細な説明特許請求の範囲を含み、また添付図面も含む、本明細書に説明されるように本発明を実施することによって認められるであろう。
上述の全般的説明及び以下の詳細な説明がいずれも本発明の実施形態を提示し、特許請求されるような本発明の本質及び特質の理解のための概要または枠組みの提供が目的とされていることは当然である。添付図面は本発明のさらに深い理解を提供するために含められ、本明細書に組み入れられて本明細書の一部をなす。図面は本発明の様々な実施形態を示し、記述とともに本発明の原理及び動作の説明に役立つ。
それらの例が添付図面に示される、本発明の現在好ましい実施形態をここで詳細に参照する。可能であれば必ず、同じ参照数字が図面を通して同じかまたは同様の要素を指して用いられる。本発明にしたがう光ファイバの一実施形態が図1に簡略に示され、全体として参照数字10で指定される。図1に示される光ファイバ10は、第1の屈折率n1を有するシリカ系Alドープコア12,コアを囲む、n1>n2であるような第2の屈折率n2を有する少なくとも1つのクラッド層14,クラッド層14を囲む気密コーティング16(例えば炭素コーティング)、及び気密コーティング16を囲む第2のまたは外装のコーティング18を有する。第2のまたは外装のコーティング18は用途及び使用温度に依存して、例えば、金属材(例えば、CuまたはAuのコーティング)、アクリル材、シリコーン材またはポリイミド材で作製することができる。第2のまたは外装のコーティング18の厚さは5μmから80μm(例えば、10μm厚,15μm厚,20μm厚,30μm厚,40μm厚,50μm厚,50μm厚または70μm厚)とすることができる。例えば、アクリルコーティングは約120℃までの温度において、シリコーンコーティングは約175℃までの温度において、ポリイミドコーティングは約500℃までの温度において、Cu及びAuは約1000℃までの温度において、十分よくはたらく。すなわち、説明される二重コーティング構造はH2エージング及び高温に対して特に優れた保護を提供する。気密コーティングの存在は好ましいが、いくつかの応用では必ずしも必要ではないことに注意されたい。そのような用途において、ファイバは、コア12,クラッド層14及びコーティング18を有することになろう。
これらの実施形態において、シリカ系コア12はAlドープシリカからなる。コアは、ErまたはYbのような活性ドーパント(すなわち希土類ドーパント)を実質的に全く、例えば重量で<1ppmしか、含んでいない。光ファイバコア12は円形または楕円形(図示せず)とすることができる。クラッド層14に囲まれるコアは(クラッド層に対して)約0.2%Δから約2.05%Δまでの相対屈折率Δを有することが好ましい。コアの開口数NAは(n1 2−n2 2)1/2と定義される。コアの開口数NAは0.09と0.30の間であることが好ましく、0.12と0.2の間であることがさらに好ましい。
コア12は単一モードコアまたは多モードコアとすることができる。コア12は約4〜約24重量%のAl2O3を含有する(残りはシリカである)ことが好ましく、クラッド層は純シリカまたは、クラッド層のF含有量が0重量%と5重量%の間、例えば、0.7重量%と3重量%または0.7重量%と2.2重量%の間であるような、Fドープシリカからなることが好ましい。クラッド層を囲む気密炭素系コーティング16の厚さは200〜1000Å(20〜100nm)、例えば300〜1000Åまたは30〜50nmであることが好ましく、気密コーティングを囲む第2のコーティング18の厚さは5μmから80μmであることが好ましい。フッ素(F)が用いられる場合、1重量%より多くのFを有することが好ましく、2重量%より多くのFを有することがさらに好ましい。
本発明は以下の実施例によってさらに明解になるであろう。
実施例1
図2は本発明の光ファイバの第1の例の屈折率プロファイル(コア及びクラッド層)を示す。この光ファイバは図1に示される断面を有する。さらに詳しくは、図2はこの光ファイバの(クラッド層の屈折率に対する)屈折率%Δ対コア中心から測った距離(半径)を示す。屈折率%Δは(n1 2−n2 2)/2n2 2と定義される。
図2は本発明の光ファイバの第1の例の屈折率プロファイル(コア及びクラッド層)を示す。この光ファイバは図1に示される断面を有する。さらに詳しくは、図2はこの光ファイバの(クラッド層の屈折率に対する)屈折率%Δ対コア中心から測った距離(半径)を示す。屈折率%Δは(n1 2−n2 2)/2n2 2と定義される。
このモデル化された光ファイバは、Alドープコア12及びシリカクラッド層14を有する。本実施例のAlドープコア12は、Alはクラッド層内に全くまたは極めて僅かしか拡散しないから、非常に明確に定められたステップインデックスを有する。すなわち、石英ガラス内のAlイオンの易動度が低いことから、Geドープ光ファイバに比較して、Alは屈折率プロファイル制御に対する優れたドーパントになる。図2は、コア12の相対屈折率差(%Δ)が約0.38であり、コアNAが約0.13であることを示す。本例において、Al(5重量%のAl2O3)ドープファイバコア12は約1290nmの波長に対して単一モードである。単一モードコアは直径が5μmから12μmであることが好ましく、本例では8μmである。コアNAが高ければ(例えば0.20であれば)、単一モードとするためにはコア直径を小さく(例えば約5μmに)しなければならないであろう。コアNAが小さくなるほど、コア直径を大きくしてもコア12は単一モードのままでいることが可能になる。
図2のファイバは外付け(OVD)プロセスで作製することができる。OVDプロセスは、ファイバスートプリフォームを作製するための、火炎内で酸素と反応する(シリカ及び所望のドーパントを含む)所望の蒸気成分からスート粒子を形成してベイトロッド上に堆積させることによる、光ファイバ作製の一方法である。スートプリフォームは次いで、ベイトロッドが取り外された後に、高温炉内で固結されて中実透明ガラスにされる。スートプリフォーム形成プロセスにおいてそれぞれの層に対し異なる蒸気成分を用いることにより、コア/クラッド層組成が達成される。初めにコア/クラッド層スートプリフォームが形成され、次いで固結されて最終プリフォームになる。最終プリフォームは次いで既知のファイバ線引き方法によって線引きされて光ファイバ10になる。
第1の例の光ファイバに対する組成仕様は、
コア12:5重量%のAl2O3を含むSiO2,
クラッド層14:純シリカ,
気密コーティング16:炭素,
第2コーティング:ポリイミド,
である。
コア12:5重量%のAl2O3を含むSiO2,
クラッド層14:純シリカ,
気密コーティング16:炭素,
第2コーティング:ポリイミド,
である。
実施例2
図3Aは本発明の光ファイバの第2の例の屈折率プロファイル(コア及びクラッド層)を示す。この光ファイバは図1に示される断面を有する。図3Aはこの光ファイバの(クラッド層の屈折率に対する)屈折率%Δ対コア中心から測った距離を示す。このモデル化された光ファイバはAlドープ多モードコア12及びシリカクラッド層14を有する。異なるコア位置における精確なAlドーパント量はGeドープファイバにおけるGe量より制御が容易であることに注意されたい。すなわち、石英ガラス内のAlイオンの易動度が低いことから、Geドープ光ファイバに比較して、Alは屈折率プロファイル制御に対する優れたドーパントになる。純シリカコアファイバはステップインデックスファイバとしてしか作製できないが、Alドーパントの添加により分布屈折率多モードプロファイルが可能になることに注意されたい。分布屈折率プロファイルは多モードファイバの広帯域幅化に不可欠であり得る。また、分布屈折率プロファイルにより長距離/高分解能測定が可能になる。
図3Aは本発明の光ファイバの第2の例の屈折率プロファイル(コア及びクラッド層)を示す。この光ファイバは図1に示される断面を有する。図3Aはこの光ファイバの(クラッド層の屈折率に対する)屈折率%Δ対コア中心から測った距離を示す。このモデル化された光ファイバはAlドープ多モードコア12及びシリカクラッド層14を有する。異なるコア位置における精確なAlドーパント量はGeドープファイバにおけるGe量より制御が容易であることに注意されたい。すなわち、石英ガラス内のAlイオンの易動度が低いことから、Geドープ光ファイバに比較して、Alは屈折率プロファイル制御に対する優れたドーパントになる。純シリカコアファイバはステップインデックスファイバとしてしか作製できないが、Alドーパントの添加により分布屈折率多モードプロファイルが可能になることに注意されたい。分布屈折率プロファイルは多モードファイバの広帯域幅化に不可欠であり得る。また、分布屈折率プロファイルにより長距離/高分解能測定が可能になる。
図3Aはコア12の相対屈折率差(%Δ)が約1.0であることを示す。本例において、Al(12重量%のAl2O3)ドープファイバコア12は多モードである。多モードコアの直径は35μmから65μmであることが好ましく、本例では50μmであり、クラッド層の外径は125μmである。
図3Aのファイバ(ファイバ実施例#2)も外付け(OVD)プロセスで作製することができる。OVDプロセスは、ファイバスートプリフォームを作製するための、火炎内で酸素と反応する(シリカ及び所望のドーパントを含む)所望の蒸気成分からスート粒子を形成してベイトロッド上に堆積させることによる、光ファイバ作製の一方法である。スートプリフォームは次いで、ベイトロッドが取り外された後に、高温炉内で固結されて中実透明ガラスにされる。スートプリフォーム形成プロセスにおいてそれぞれの層に対し異なる蒸気成分を用いることにより、コア/クラッド層組成が達成される。初めにコア/クラッド層スートプリフォームが形成され、次いで固結されて最終プリフォームになる。最終プリフォームは次いで既知のファイバ線引き方法によって線引きされて光ファイバ10になる。
第2の例の光ファイバに対する組成仕様は、
コア12:12重量%のAl2O3を含むSiO2,
クラッド層14:純シリカ,
気密コーティング16:炭素,
第2コーティング:ポリイミド,
である。
コア12:12重量%のAl2O3を含むSiO2,
クラッド層14:純シリカ,
気密コーティング16:炭素,
第2コーティング:ポリイミド,
である。
温度分布センシング(DTS)は、光ファイバ線に沿う温度分布を測定するための手法を提供する技術である。光ファイバ長は約30kmまでのいかなる長さにもすることができる。光ファイバは電気火花が大火災の元になり得る環境における使用に対して本質的に安全である。したがって、DTSは石油/ガス環境に適用されるモニタリング手法として他に例を見ないほど適している。DTSには分布屈折率Geドープファイバ(50μm径コア及び125μm径クラッド層)が(小コア径、小受入角及び単一モードファイバの極小後方散乱エネルギー(単一モードファイバはDTSには一般に用いられないが、他の用途には用いることができる)により)現在最も普通に用いられている。DTSシステムにおける温度評価には一般にラマン信号が用いられる。ラマン信号は十分に強く、一意的な温度依存性を有する。ラマン信号は「ストークス」バンド及び「反ストークス」バンドを含む。長波長側(赤方遷移)ストークスバンドは僅かな温度変化に対して安定である。短波長側(青方遷移)反ストークスバンドは感温性を示し、バンド内のエネルギーが高くなるほど温度が高い。ストークスバンドのエネルギーまたは面積に対する反ストークスバンドのエネルギーまたは面積の比を、その信号が発生した深さにおける光ファイバ線の温度に関係付けることができる。1064nmレーザがDTSシステムにおける光源として広く用いられている。この場合、ラマン後方散乱信号は、1024nm及び1104nmのような、1064nmを中心とするスペクトル範囲(約±40nm)内に入るであろう。したがって、DTSシステムの信頼性を高めるには、光ファイバはこの波長範囲においてH2エージングに対し頑健であるべきである。本発明の実施形態にしたがう多モードAlドープコアファイバは、注目する波長範囲(すなわち、1000nmから1200nm)においてGeドープファイバより頑健であるから、DTSシステムにおける使用に他に例を見ないほど適している。
実施例3及び4
図3B及び3Cは本発明の光ファイバの第3及び第4の例(ファイバ#3及び#4)の、実施例2の光ファイバの屈折率プロファイルと同様の、屈折率プロファイル(コア及びクラッド層)を示す。これらの2つの光ファイバ(ファイバ#3及び#4)は図1に示される断面を有する。多モードコア12は10重量%未満のアルミナを含むことが好ましい。これらの実施形態において、コア12は5.5〜10重量%のAl2O3を含む。
図3B及び3Cは本発明の光ファイバの第3及び第4の例(ファイバ#3及び#4)の、実施例2の光ファイバの屈折率プロファイルと同様の、屈折率プロファイル(コア及びクラッド層)を示す。これらの2つの光ファイバ(ファイバ#3及び#4)は図1に示される断面を有する。多モードコア12は10重量%未満のアルミナを含むことが好ましい。これらの実施形態において、コア12は5.5〜10重量%のAl2O3を含む。
図3B及び3Cは(クラッド層の屈折率に対する)屈折率%Δ対コア中心から測った距離を示す。このモデル化された光ファイバはAlドープ多モードコア12及びフッ素ドープシリカ系クラッド層14を有する。本実施例のAlドープ多モードコアは分布屈折率を有する。さらに、実施例2の光ファイバに比較して、コアのドーパントとしてのAl2O3の量が減じられていることにより、図3B及び3Cのファイバの背景減衰が低められている。出願人等は、ドーパントとしてのAl2O3を10重量%以下まで減じるとファイバの背景減衰による損失は低くなるであろうが、ファイバが純シリカクラッド層を有している場合、Al2O3濃度の低下はファイバのNAも変化させ、結合損失に強い影響を与えることを見いだした。さらに、石油及びガスの探査では、温度センサとして布設されるファイバを、DTS計測器に用いられる結合損失または挿入損失が低いファイバ(一般に、1%Δ,50μmMMF)との結合を可能にしたいと要求されることが多い。したがって、総合(クラッド層対コア)Δを1%に維持することが望ましい。これは、シリカ系クラッド層により多くのFを添加し、同時にAl2O3濃度を所望の大きさまで低めることで達成することができる。そのような分布屈折率ファイバのさらなる利点は、非常に長い距離にわたり高分解能測定を可能にする、ステップインデックスファイバより広い全モード励振(OFL)帯域幅を示すことである。
図3B及び3Cは、ファイバ実施例3及び4においてはコア12のFドープクラッド層14に対する相対屈折率差(%Δ)が約1.0%であるが、純シリカに対しては約0.6であることを示す(純シリカは0.0の線に相当する)。本実施例において、Al(7.1重量%のAl2O3)ドープファイバコアは多モードである。これらのファイバ(ファイバ#3及び#4)の多モードコア12の直径は35μmから65μmであることが好ましく、本実施例では50μmであり、クラッド層の外径は125μmである。実施例3及び4の光ファイバは、例えば、石油探査、鑿井及び生産に不可欠な情報を提供するために石油及びガスシステムにおいて用いることができ、及び/または同様の開口数及び同様の(例えばクラッド層に対して約1%の)コアΔを有する他の多モードコアファイザに容易に結合させることができる。例えば、本明細書に説明される光ファイバは地球物理学的井戸の深さに沿う温度、圧力及び流量の情報をモニタ/計測するための分布センサとして用いることができる。別の注目する属性は、(純シリカSiO2の屈折率に対する)屈折率%Δが0.8%より、さらに好ましくは0.7%小さいか、またはそれほど有利ではないがOFL帯域幅が非常に大きい、アルミナドープ多モードコアをもつファイバでは、さらに長い距離にわたる高分解能測定が可能になり、同時にコア内のアルミナ量がさらに多いファイバより総合減衰が低くなることである。
図3Cのファイバプロファイルは外付け(OVD)プロセスによって形成することができる。実施例3の光ファイバ(図3Bを見よ)は実施例4の光ファイバ(図3Cを見よ)よりも広い帯域幅を有するであろう。しかし、与えられた現行のOVDプロセス手法(固結におけるFのフラッドドーピング)によって図3Bのファイバプロファイルを達成するためにゼロから−0.4%までの分布屈折率にわたって微調整を施すことは一層困難であり得る。実施例4の光ファイバ(図3Cを見よ)において、αプロファイルはゼロΔ線(純シリカ)で途切れて、フッ素ドープクラッド層まで一気に低下するステップをなす。この構造は、作製は一層容易であるが、ファイバのαプロファイルがそれほど最適ではないことから、図3Bのファイバプロファイルをもつファイバの帯域幅より狭い帯域幅を示すであろう。
第3及び第4の実施例の光ファイバに対する組成仕様は、
コア12:7.1重量%のAl2O3を含むSiO2,
クラッド層14:Fドープ純シリカ,
気密コーティング16:炭素,
第2コーティング:ポリイミド,
である。
コア12:7.1重量%のAl2O3を含むSiO2,
クラッド層14:Fドープ純シリカ,
気密コーティング16:炭素,
第2コーティング:ポリイミド,
である。
その他の実施例
図3Dは、ファイバの他の2つの実施形態(表2のファイバ#7及び#10)の屈折率Δプロファイルを示し、ファイバ#2(実施例2のファイバ)及びファイバ#4の屈折率プロファイルも示す。これらのファイバは相異なるピーク屈折率(純シリカに対する相異なるコアΔ)を有するが、クラッド層に対しては同じコアΔ(1%)を有する。これらのファイバは、相異なる大きさの損失改善を提供し、帯域幅との間の損失改善のトレードオフを有する。損失及び帯域幅はいずれも、ファイバ#2→ファイバ#7→ファイバ#4→ファイバ#10と移るにしたがって減少すると考えられる。ファイバ損失が減少するにつれて、それにわたってDTSが正確に測定する距離は長くなる。OFL帯域幅が減少するにつれて、分解能対距離は減少する。これらの相反する傾向があるから、目標とするOFL帯域幅対損失に対する最適バランスをつくるには、総多重反射損失及びラマン利得の対OFL帯域幅を計算することが好ましく、ファイバが水素エージングに掛けられた後にこの最適バランスを計算することがさらに好ましい。
図3Dは、ファイバの他の2つの実施形態(表2のファイバ#7及び#10)の屈折率Δプロファイルを示し、ファイバ#2(実施例2のファイバ)及びファイバ#4の屈折率プロファイルも示す。これらのファイバは相異なるピーク屈折率(純シリカに対する相異なるコアΔ)を有するが、クラッド層に対しては同じコアΔ(1%)を有する。これらのファイバは、相異なる大きさの損失改善を提供し、帯域幅との間の損失改善のトレードオフを有する。損失及び帯域幅はいずれも、ファイバ#2→ファイバ#7→ファイバ#4→ファイバ#10と移るにしたがって減少すると考えられる。ファイバ損失が減少するにつれて、それにわたってDTSが正確に測定する距離は長くなる。OFL帯域幅が減少するにつれて、分解能対距離は減少する。これらの相反する傾向があるから、目標とするOFL帯域幅対損失に対する最適バランスをつくるには、総多重反射損失及びラマン利得の対OFL帯域幅を計算することが好ましく、ファイバが水素エージングに掛けられた後にこの最適バランスを計算することがさらに好ましい。
図面の全てはαが2の公称分布屈折率を有するが、プロファイルのαは、特定の波長において最善の帯域幅を与えるために最適化することができる−最適性能に期待される範囲は1.8と2.2の間である−ことが当業者には明白なはずである。同様に、これらの実施形態例においてクラッド層に対するコアΔは約1%であるが、その他のクラッド層に対するコアΔも用いることができる。同様に、全ての実施例においてコア半径は25μmとして示されるが、コア半径は15〜35μmとすることができる。下の表1はこれらのファイバのコア及びクラッド層内のAl2O3及びFの概算濃度及びそれぞれの純シリカに対するコアΔへの寄与を示す。
下の表2はファイバのいくつかの例と、それぞれのファイバのコア及びクラッド層内のAl2O3及びFの概算濃度を示す。
解析
図4及び5は既製GeドープSM(単一モード)ファイバ(図4)及びAlドープSMファイバ(図5)に対するH2/高温エージングの前及び後に測定されたスペクトル減衰を示す。全てのファイバはアクリル樹脂コーティングだけで被覆されている(気密コーティングが施されていない)ことに注意すべきである。このコーティング構造は、コーティングによるのではなく、ガラス組成によるH2エージング効果を明瞭に示す。全てのファイバを100%1気圧(1.013×105Pa)H2内150℃で170時間エージング(処理)した。全てのファイバにおいて1200nm近傍にある大きなバンプは高次モードカットオフに対応することに注意すべきである。
図4及び5は既製GeドープSM(単一モード)ファイバ(図4)及びAlドープSMファイバ(図5)に対するH2/高温エージングの前及び後に測定されたスペクトル減衰を示す。全てのファイバはアクリル樹脂コーティングだけで被覆されている(気密コーティングが施されていない)ことに注意すべきである。このコーティング構造は、コーティングによるのではなく、ガラス組成によるH2エージング効果を明瞭に示す。全てのファイバを100%1気圧(1.013×105Pa)H2内150℃で170時間エージング(処理)した。全てのファイバにおいて1200nm近傍にある大きなバンプは高次モードカットオフに対応することに注意すべきである。
図4は、Geドープコアをもつ既製単一モード光ファイバのスペクトル減衰を示す(処理前の結果は実線で示され、処理後(すなわちエージング後)の結果は破線で示される)。図4は、Geドープファイバが可逆的及び非可逆的なH2エージング特徴のいずれをも有することを示す。格子間H2分子の倍音吸収の徴証が1240nmに表れ、IR損失端のかなりの増大が見られる。OH基形成のような、ガラス網状組織内のH2反応の非可逆的プロセスが、1381nm(Si-OH結合)及び1410nm(Ge-OH結合)に見られ、またUV領域にかなりの吸収テール(Ge-H結合)が見られる。
図5は、図2に示される屈折率プロファイルと同様の屈折率プロファイルを有するAlドープコアをもつ既製単一モード光ファイバのスペクトル減衰を示す(処理前の結果は実線で示され、処理後の結果は破線で示される)。図5はこの既製単一モードAlドープファイバにも1240nm及び1380nmにかなり大きいピークがあることを示す。しかし、図4のGeドープファイバに比較して、このAlドープファイバの1064nm近傍のH2エージング効果は非常に小さい。これは、Alドープ単一モードファイバの、DTS用途に用いる場合における、有利な特徴である。
図6は、Geドープコアをもつ既製多モード光ファイバのスペクトル減衰を示す(処理前の結果は実線で示され、処理後(すなわちエージング後)の結果は破線で示される)。図6は、この既製Geドープ多モードファイバが、800nmから1400nmの波長において減衰を高める、可逆的及び非可逆的なH2エージング特徴のいずれをも有することを示す。
図7は、図3に示される屈折率プロファイルと同様の屈折率プロファイルを有するAlドープコアをもつ既製多モード光ファイバのスペクトル減衰を示す(処理前の結果は実線で示され、処理後(すなわちエージング後)の結果は破線で示される)。図7は、図3に示される屈折率プロファイルと同様の屈折率プロファイルを有するAlドープ多モードファイバにも同様に1240nm,1280nm及び1380nmにかなりの大きさのピークがあることを示す。しかし、図6に示されるGeドープ多モードファイバに比較すると、1064nm近傍のH2エージング効果は非常に小さい。すなわち、DTS用途にはAlドープ多モードファイバを用いることが有利である。
本発明の精神及び範囲を逸脱することなく本発明に様々な改変及び変形がなされ得ることが当業者には明らかであろう。したがって、本発明の改変及び変形が添付される特許請求項及びそれらの等価形態の範囲内に入れば、本発明はそのような改変及び変形を包含するとされる。
10 光ファイバ
12 Alドープコア
14 シリカ系クラッド層
16 気密コーティング
18 第2(外装)コーティング
12 Alドープコア
14 シリカ系クラッド層
16 気密コーティング
18 第2(外装)コーティング
Claims (4)
- 光ファイバにおいて、
(i) Alドープシリカを含むが、ErまたはYbは実質的に含まない、コアであって、第1の屈折率n1を有するコア、
(ii) 前記コアを囲む、n1>n2であるような、第2の屈折率n2を有する、少なくとも1つのFドープシリカ系クラッド層であって、SiO2及び0.25〜5重量%のFを実質的に含むクラッド層、
(iii)前記クラッド層を囲む気密炭素系コーティング、
−前記気密炭素系コーティングの厚さは30〜50nmである、
及び
(iv) 前記気密炭素系コーティングを囲む第2のコーティングであって、厚さが5μmから80μmである第2のコーティング、
を有することを特徴とする光ファイバ。 - 前記コアの少なくとも一部が5.5〜10重量%のAl2O3を含むことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ。
- 光ファイバにおいて、
(i) Alドープシリカを含むが、ErまたはYbは実質的に含まない、コアであって、第1の屈折率n1を有するコア、
(ii) 前記コアを囲む、n1>n2であるような、第2の屈折率n2を有する、少なくとも1つのFドープシリカ系クラッド層であって、SiO2及び0.25〜5重量%のFを実質的に含むクラッド層、
(iii)前記シリカ系クラッド層を囲む少なくとも1つの気密コーティングであって、厚さは30〜50nmである気密コーティング、及び
(iv) 前記気密コーティングを囲む第2のコーティングであって、厚さが5μmから80μmである第2のコーティング、
を有することを特徴とする光ファイバ。 - 前記コアが、前記クラッド層に対する相対屈折率Δが0.5%と2.05%の間にあり、シリカに対する相対屈折率Δが≦0.8であり、コア径が35〜65μmである、多モードコアであることを特徴とする請求項1から3いずれか1項に記載の光ファイバ。
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