JP2016056714A - ハニカムフィルタ及びハニカム焼成体 - Google Patents

ハニカムフィルタ及びハニカム焼成体 Download PDF

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弘平 太田
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Abstract

【課題】PMが堆積していない初期の状態での圧力損失が充分に低く、強度が充分に強く、熱容量の低下を抑制することができるハニカム焼成体を提供すること。
【解決手段】ガソリンエンジンからの排ガスを浄化するために用いられ、複数ハニカム焼成体10が接着され形成されるハニカムフィルタ1であって、SiCからなるハニカム焼成体10は、一方の端部が封止されており排ガスの流路となる複数のセル20と、多孔質のセル隔壁30とを備え、最外周部12に配置された外周セルと、内側に配置された内部セル22を含み、各内部セルの長手方向に垂直方向の断面形状は、矩形であり、外周セルのセル隔壁30は、外周壁32に向かって壁厚が徐々に増す厚壁領域31を有し、断面形状は、矩形から2つの角部が面取りされた形状であり、セル隔壁30の厚さが0.210mm以下であり、断面の面積が、内部セルの60〜80%であることを特徴とするハニカムフィルタ。
【選択図】図3

Description

本発明は、ハニカムフィルタ及びハニカム焼成体に関する。
ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排ガス中には、すす等のパティキュレート(以下、PMもしくはすすともいう)が含まれており、近年、このPMが環境又は人体に害を及ぼすことが問題となっている。また、排ガス中には、CO、HC又はNOx等の有害なガス成分も含まれていることから、この有害なガス成分が環境又は人体に及ぼす影響についても懸念されている。
そこで、内燃機関と連結されることにより排ガス中のPMを捕集したり、排ガスに含まれるCO、HC又はNOx等の排ガス中の有害なガス成分を浄化したりする排ガス浄化装置として、コージェライトやSiC(炭化ケイ素)等の多孔質セラミックからなるハニカム構造のフィルタ(ハニカムフィルタ)が種々提案されている。
また、内燃機関の燃費を改善し、圧力損失の上昇に起因する運転時のトラブル等をなくすために、初期の圧力損失が低いハニカムフィルタや、所定量のPMが堆積した際に圧力損失の上昇割合が低いハニカムフィルタが求められている。
圧力損失を低くするためには、開口率を高くすることが有効な手段である。しかし、開口率を高くしようとすると、セル隔壁の厚さを薄くせざるを得ず、その結果、ハニカム焼成体の強度を確保することが困難となる。
ハニカム焼成体において、圧力損失を低く抑えることと、強度を確保することとは相反する特性であり、これらの特性を同時に確保することは困難であった。
このような問題を解決するために、特許文献1には、セル構造を改良したハニカムフィルタが開示されている。
すなわち、特許文献1には、複数のセルがセル隔壁を隔てて長手方向に並設され、その外縁に外縁壁を有する多孔質セラミック部材が、接着材層を介して複数個接着されたハニカム構造体であって、上記多孔質セラミック部材の上記外縁壁の厚さは、上記セル隔壁の厚さよりも厚く、上記多孔質セラミック部材の最外周に位置するセルの少なくとも1つには、当該セルの角部の少なくとも1箇所に、当該角部を充填する充填体が設けられていることを特徴とするハニカム構造体が開示されている。
図9は、特許文献1に開示されたハニカム構造体を構成する多孔質セラミック部材の長手方向に垂直な断面図である。この断面において最外周に位置し、かつ、多孔質セラミック部材120の外縁壁123aと垂直に交わるセル隔壁により隔てられた方形のセル121aの角部に直角三角形状の充填物が設けられている。
特許文献1では、セル構造をこのようにすることで、多孔質セラミック部材の強度を確保しつつ、開口率を確保して圧力損失を低く保ち、クラック等の破損の発生を回避している。
国際公開第2007/058006号パンフレット
ガソリンエンジンは、ディーゼルエンジンに比べて排ガス温度が高く、PMの排出量が少ないという長所がある。
一方、ガソリンエンジンは、ディーゼルエンジンに比べて燃費が劣るという欠点がある。そのため、ガソリンエンジンから排出される排ガスを浄化することを考えた場合、排ガスを浄化するためのフィルタには、圧力損失が低いことが求められる。また、フィルタの温度が上がりすぎると機械的な強度が低下し破壊されやすくなるので、フィルタの温度が上がりすぎないように、充分な熱容量が求められる。
特許文献1に開示されたハニカム構造体を、ガソリンエンジンのような排ガス温度が高く、PMの排出量が少ない環境で使用すると、PMが堆積していない初期の状態での圧力損失が充分に低くなりにくい。この初期の圧力損失を低くするためには、セル隔壁の厚さをより薄くすることが考えられるが、セル隔壁の厚さを薄くすると多孔質セラミック部材(ハニカム焼成体)の強度が低下し、破損しやすくなると考えられる。また、熱容量が小さくなり、排ガスが流入した際に多孔質セラミック部材(ハニカム焼成体)の温度が必要以上に高くなると考えられる。多孔質セラミック部材(ハニカム焼成体)の温度が必要以上に高くなると、多孔質セラミック部材(ハニカム焼成体)自身が熱により破損したり、担持された触媒が失活することになる。
すなわち、特許文献1に開示されたハニカム構造体はガソリンエンジン用のハニカムフィルタとして充分な性能を有しているとはいえなかった。
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、PMが堆積していない初期の状態での圧力損失が充分に低く、強度が充分に強く、熱容量の低下を抑制することができるハニカムフィルタ及び該ハニカムフィルタに用いるハニカム焼成体を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体のセル隔壁を薄くし、ハニカム焼成体の最外周部に配置された外周セルの形状を所定の形状とすることで、PMが堆積していない初期の状態での圧力損失を充分に低く、強度を充分に強くすることができ、熱容量の低下を抑制できることを見出し本発明を完成させた。
すなわち、本発明のハニカムフィルタは、ガソリンエンジンからの排ガスを浄化するために用いられ、複数ハニカム焼成体が接着材層を介して接着されることにより形成されるハニカムフィルタであって、上記ハニカム焼成体は、一方の端部が封止されており排ガスの流路となる複数のセルと、上記セルを区画形成する多孔質のセル隔壁とを備えており、上記ハニカム焼成体の構成材料はSiCであり、上記複数のセルは、上記ハニカム焼成体の最外周部に配置された外周セルと、上記外周セルより内側に配置された内部セルを含み、上記各内部セルの長手方向に垂直方向の断面形状は、同一の矩形であり、上記外周セルは、上記セル隔壁及び上記ハニカム焼成体の外周を形成する外周壁から区画形成され、上記外周壁と接続する上記セル隔壁は、上記外周壁に向かって壁厚が徐々に増す厚壁領域を有し、上記外周セルの長手方向に垂直方向の断面形状は、上記内部セルの断面形状である矩形から2つの角部が面取りされた形状であり、上記セル隔壁の厚さが0.210mm以下であり、上記外周セルの長手方向に垂直方向の断面の面積が、上記内部セルの長手方向に垂直方向の断面の面積の60〜80%であることを特徴とする。
本発明のハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体では、構成材料がSiCである。SiCは、耐熱性に優れた材料である。このため、本発明のハニカムフィルタは、耐熱性に優れたハニカムフィルタとなる。
本発明のハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体では、上記各内部セルの長手方向に垂直方向の断面形状は、同一の矩形であり、上記外周壁と接続する上記セル隔壁は、上記外周壁に向かって壁厚が徐々に増す厚壁領域を有し、上記外周セルの長手方向に垂直方向の断面形状は、上記内部セルの断面形状である矩形から2つの角部が面取りされた形状である。
上記外周セルの長手方向に垂直方向の断面形状が上記のような形状であると、ハニカム焼成体の外周壁近傍の体積が大きくなる。
そのため、本発明のハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体は、後述するようにセル隔壁が薄いにもかかわらず、外周壁近傍の体積が充分に大きいので、外部からの衝撃等に対し充分に高い強度を有する。また、外周壁近傍の体積が大きいので、本発明のハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体では熱容量の低下を抑制することができる。そのため、本発明のハニカムフィルタが急激に加熱されたとしても外周壁により熱を受け止めることができ、クラックの発生を抑制できる。
このことは以下のようにも説明できる。
ハニカム焼成体のSiCが存在している部分とSiCが存在していないセルの空間部分とを含む領域において、ハニカム焼成体を所定範囲で切り取り、上記所定範囲に含まれるハニカム焼成体の重量を、上記所定範囲の体積で割った値を、「見かけ密度」とすると、本発明のハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体では、ハニカム焼成体の最外周部の方が、ハニカム焼成体の内側部分よりも「見かけ密度」の値が大きくなる。
そのため、本発明のハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体では、ハニカム焼成体の最外周部の熱容量が相対的に高い。従って、外部から急激に熱が加えられても最外周部で熱を受け止めることができ、クラックの発生を防ぐことができる。
また、ハニカム焼成体の最外周部の「見かけ密度」が高いと、後述するようにセル隔壁が薄いにもかかわらず、外枠が機械的に頑丈な構造となるので外部からの衝撃等に対し充分に高い強度を有する。
なお、本明細書において、「矩形から角部が面取りされた形状」とは、矩形から、矩形の角部を直線又は曲線で切り取った形状のことを意味する。
本発明のハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体では、上記セル隔壁の厚さが0.210mm以下である。セル隔壁の厚さが上記範囲内であると、セル隔壁の厚さが充分に薄いのでPMが堆積していない初期の状態での圧力損失が充分に低くなる。また、PMが堆積した際も圧力損失の上昇を抑えることができる。
セル隔壁の厚さが、0.210mmを超えると、セル隔壁の厚さが厚すぎるので、排ガスがセル隔壁を通過する際の抵抗が大きくなり、その結果圧力損失が大きくなる。
本発明のハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体では、上記外周セルの長手方向に垂直方向の断面の面積が、上記内部セルの長手方向に垂直方向の断面の面積の60〜80%である。
通常、セルの長手方向に垂直方向の断面の面積が小さくなると、圧力損失が大きくなると考えられるが、上記構成のハニカム焼成体では圧力損失の増加が抑制されている。
その原因は以下の機構によるものと考えられる。
本発明のハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体の周囲には接着材層が配置される。排ガスがハニカム焼成体に流入する際には、接着材層に衝突する排ガスも生じる。このような排ガスは接着材層により流れが偏向され近くのセルに流入することになる。このように流れが偏向された排ガスは、ハニカム焼成体の最外周部に配置されている外周セルよりも、外周セルの内側に配置されているセルにより多く流入することになると考えられる。すなわち、ハニカム焼成体の最外周部に配置された外周セルには、もともと排ガスが流入しにくいので、ハニカム焼成体の最外周部に配置された外周セルの長手方向に垂直方向の断面の面積がある程度小さくてもあまり圧力損失に影響しないと考えられる。
このような理由から、本発明のハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体のように、外周セルの長手方向に垂直方向の断面の面積が、上記内部セルの長手方向に垂直方向の断面の面積の60〜80%であったとしてもガス通過抵抗には殆ど影響しない。そのため、圧力損失が増加しにくいと考えられる。
また、上記面積の割合が60%未満であると、外周セルの開口部の面積が小さくなり排ガスの流路が狭くなり、排ガスがセル隔壁を通過する際のガス通過抵抗が大きくなるので、圧力損失が大きくなる。
また、上記面積の割合が80%を超えると、ハニカム焼成体の最外周部の見かけ密度の値が低くなるので、上記のハニカム焼成体の外周壁が厚くなっていることの効果が得られにくい。
このように、本発明のハニカムフィルタは、PMが堆積していない初期の状態での圧力損失が充分に低く、強度が充分に強く、熱容量の低下が抑制されている。そのため、本発明のハニカムフィルタは、ガソリンエンジンからの排ガスを浄化するために好適に用いることができる。
本発明のハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体では、上記外周壁の厚さの最小値は、上記セル隔壁の厚さの1.5〜3倍であることが望ましい。
外周壁の厚さの最小値が、セル隔壁の厚さの1.5〜3倍であると、上記のようにセル隔壁が薄いにもかかわらず、外周壁が充分な厚さを有しているので、外部からの衝撃等に対し充分に高い強度を有する。また、ハニカム焼成体の外周壁が厚いので、セル隔壁を薄くすることに伴う熱容量の低下を抑制することができる。
本発明のハニカム焼成体は、上記本発明のハニカムフィルタに用いられるハニカム焼成体であって、一方の端部が封止されており排ガスの流路となる複数のセルと、前記セルを区画形成する多孔質のセル隔壁とを備えており、上記ハニカム焼成体の構成材料はSiCであり、上記複数のセルは、上記ハニカム焼成体の最外周部に配置された外周セルと、上記外周セルより内側に配置された内部セルを含み、上記各内部セルの長手方向に垂直方向の断面形状は、同一の矩形であり、上記外周セルは、上記セル隔壁及び上記ハニカム焼成体の外周を形成する外周壁から区画形成され、上記外周壁と接続する上記セル隔壁は、上記外周壁に向かって壁厚が徐々に増す厚壁領域を有し、上記外周セルの長手方向に垂直方向の断面形状は、上記内部セルの断面形状である矩形から2つの角部が面取りされた形状であり、上記セル隔壁の厚さが0.210mm以下であり、上記外周セルの長手方向に垂直方向の断面の面積が、上記内部セルの長手方向に垂直方向の断面の面積の60〜80%であることを特徴とする。
本発明のハニカム焼成体を用いることにより、上記効果を奏する本発明のハニカムフィルタを製造することができる。
本発明のハニカム焼成体では、上記外周壁の厚さの最小値は、上記セル隔壁の厚さの1.5〜3倍であることが望ましい。
外周壁の厚さの最小値が、セル隔壁の厚さの1.5〜3倍であると、上記のようにセル隔壁が薄いにもかかわらず、外周壁が充分な厚さを有しているので、外部からの衝撃等に対し充分に高い強度を有する。また、ハニカム焼成体の外周壁が厚いので、セル隔壁を薄くすることに伴う熱容量の低下を抑制することができる。
図1は、本発明のハニカムフィルタの一例を模式的に示す斜視図である。 図2(a)は、本発明のハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図である。図2(b)は、図2(a)のA−A線断面図である。 図3は、図2に示す本発明のハニカム焼成体の長手方向に垂直方向の断面の一例を模式的に示す断面図である。 図4(a)〜(e)は、本発明のハニカム焼成体における外周セルの長手方向に垂直方向の断面形状の一例を模式的に示す断面図である。 図5は、本発明のハニカム焼成体では、外周セルの長手方向に垂直方向の断面の面積が、内部セルの長手方向に垂直方向の断面の面積よりも小さいにも関わらず、圧力損失の増加が抑制されている原因となる機構を模式的に示す模式図である。 図6(a)〜(d)は、本発明のハニカム焼成体における角部セルの長手方向に垂直方向の断面形状の一例を模式的に示す断面図である。 図7は、本発明のハニカムフィルタが設置された排ガス浄化装置の一例を模式的に示す断面図である。 図8は、外周セル開口面積と内部セル開口面積との比とハニカム焼成体の相対強度補正値との関係を示す相関図である。 図9は、特許文献1に開示されたハニカム構造体を構成する多孔質セラミック部材の長手方向に垂直な断面図である。
以下、本発明のハニカムフィルタ及びハニカム焼成体について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の記載に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
本発明のハニカムフィルタについて図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明のハニカムフィルタの一例を模式的に示す斜視図である。
図1に示すように、本発明のハニカムフィルタの一例であるハニカムフィルタ1は、複数のハニカム焼成体10が接着材層14を介して接着されることにより形成されている円柱状のハニカムフィルタである。
ハニカムフィルタ1では、接着材層14は、無機バインダと無機粒子とを含む接着材ペーストを塗布、乾燥させたものである。上記接着材ペーストは、さらに無機繊維及び/又はウィスカを含んでいてもよい。
接着材層14の厚さは、0.5〜2.0mmであることが望ましい。
ハニカムフィルタ1の外周には、必要に応じて排ガスの漏れを防止するための外周コート層15が形成されていてもよい。外周コート層15の材料は、接着材ペーストの材料と同じであることが望ましい。
外周コート層15の厚さは、0.1〜3.0mmであることが望ましい。
次に、本発明のハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体、すなわち、本発明のハニカム焼成体について図面を参照しながら説明する。
図2(a)は、本発明のハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図である。図2(b)は、図2(a)のA−A線断面図である。
図2(a)に示すように、本発明のハニカム焼成体の一例であるハニカム焼成体10は、一方の端部が封止材11により封止されており排ガスの流路となる複数のセル20と、上記セルを区画形成する多孔質のセル隔壁30とを備えている。
複数のセル20は、ハニカム焼成体10の最外周部に配置された外周セル21と、外周セル21より内側に配置された内部セル22を含んでいる。
各内部セル22の長手方向に垂直方向の断面形状は同一の矩形であり、外周セル21の長手方向に垂直方向の断面形状は、内部セル22の断面形状である矩形から2つの角部が面取りされた形状である。外周セル21及び内部セル22の断面形状については詳しくは後述する。
また、図2(a)及び(b)に示すように、ハニカム焼成体10は、長手方向(図2(a)中、両矢印の方向)に垂直方向の断面が正方形である直方体である。
ハニカム焼成体10の長手方向に垂直方向の断面は一辺が30〜60mmである正方形であることが望ましい。
ハニカム焼成体10の構成材料はSiCである。SiCは、耐熱性に優れた材料である。このため、ハニカム焼成体10は、耐熱性に優れたハニカム焼成体となる。
ハニカム焼成体10では、セル密度が、15.5〜62個/cm(100〜400cpsi)の範囲であることが望ましく、31〜46.5個/cm(200〜300cpsi)の範囲であることがより望ましい。
上記の構成を有するハニカム焼成体10を排ガスが通過する場合について、図2(b)を参照して以下に説明する。
図2(b)に示すように、内燃機関から排出され、ハニカム焼成体10に流入した排ガス(図2(b)中、排ガスをGで示し、排ガスの流れを矢印で示す)は、ハニカム焼成体10の排ガス流入側端面10aに開口した一のセル20に流入し、セル20を隔てるセル隔壁30を通過する。この際、排ガス中のPMがセル隔壁30で捕集され、排ガスが浄化されることとなる。浄化された排ガスは、排ガス流出側端面10bに開口した他のセル20から流出し、外部に排出される。
次に、ハニカム焼成体10におけるセル20の形状、配置等について図面を用いて説明する。
図3は、図2に示す本発明のハニカム焼成体の長手方向に垂直方向の断面の一例を模式的に示す断面図である。
図3に示すように、複数のセル20は、ハニカム焼成体10の最外周部12に配置された外周セル21と、外周セル21より内側に配置された内部セル22を含んでいる。
さらに、複数のセル20は、ハニカム焼成体10の角部13に配置された角部セル23を含んでいる。
なお、本明細書において、「外方ハニカム焼成体の角部」は、「外方ハニカム焼成体の最外周部」に含まれない。すなわち、外周セル21に角部セル23は含まれない。
内部セル22はセル隔壁30により区画形成されており、外周セル21はセル隔壁30及びハニカム焼成体10の外周を形成する外周壁32によりそれぞれ区画形成されている。
ハニカム焼成体10では、セル隔壁30の厚さは0.210mm以下である。また、セル隔壁30の厚さは0.075〜0.160mmであることが望ましい。なお、セル隔壁30の厚さとは、セル20同士の間の最小の距離のことであり、図3中、Tで示す厚さのことである。
セル隔壁30の厚さが0.210mm以下であると、セル隔壁30の厚さが充分に薄いのでPMが堆積していない初期の状態での圧力損失が充分に低くなる。また、PMが堆積した際も圧力損失の上昇を抑えることができる。
セル隔壁30の厚さが、0.210mmを超えると、セル隔壁30の厚さが厚すぎるので、排ガスがセル隔壁30を通過する際の抵抗が大きくなり、その結果圧力損失が大きくなる。
ハニカム焼成体10では、セル隔壁30の気孔率は、40〜65%であることが望ましい。
セル隔壁30の気孔率が40〜65%である場合、セル隔壁30は、排ガス中のPMを良好に捕集することができ、かつ、セル隔壁30に起因する圧力損失の上昇を抑制することができる。従って、初期の圧力損失が低く、PMを堆積しても圧力損失が上昇しにくいハニカム焼成体10となる。
セル隔壁30の気孔率が40%未満では、セル隔壁30の気孔の割合が小さすぎるため、排ガスがセル隔壁30を通過しにくくなり、排ガスがセル隔壁30を通過する際の圧力損失が大きくなる。一方、セル隔壁30の気孔率が65%を超えると、セル隔壁30の機械的強度が低くなり、再生時等において、クラックが発生し易くなる。
ハニカム焼成体10では、セル隔壁30に含まれる気孔の平均気孔径は、8〜25μmであることが望ましい。
上記構成のハニカムフィルタでは、圧力損失の増加を抑制しながら、高い捕集効率でPMを捕集することができる。
セル隔壁30に含まれる気孔の平均気孔径が8μm未満であると、気孔が小さすぎるため、排ガスがセル隔壁30を透過する際の圧力損失が大きくなる。一方、セル隔壁30に含まれる気孔の平均気孔径が25μmを超えると、気孔径が大きくなりすぎるので、PMの捕集効率が低下してしまう。
なお、気孔率及び平均気孔径は、走査型電子顕微鏡(SEM)による従来公知の方法により測定することができる。
ハニカム焼成体10では、外周壁32の厚さは特に限定されないが、外周壁32の厚さの最小値は、セル隔壁30の厚さの1.5〜3倍であることが望ましく、2〜3倍であることがより望ましい。なお、外周壁32の厚さの最小値とは、ハニカム焼成体10の輪郭から外周セル21までの最小の厚さの値であり、図3中、Tで示す厚さのことである。
外周壁32の厚さの最小値が、セル隔壁30の厚さの1.5〜3倍であると、セル隔壁30が薄いにもかかわらず、外周壁32が充分な厚さを有しているので、外部からの衝撃等に対し充分に高い強度を有する。また、ハニカム焼成体10の外周壁32が厚いので、セル隔壁30を薄くすることに伴う熱容量の低下を抑制することができる。
ハニカム焼成体10では、外周壁32の気孔率は、40〜65%であることが望ましい。
外周壁32の気孔率が上記範囲であることが望ましい理由は、セル隔壁30の気孔率が上記範囲であると望ましい理由と同じである。
ハニカム焼成体10では、外周壁32に含まれる気孔の平均気孔径は、8〜25μmであることが望ましい。
外周壁32に含まれる気孔の平均気孔径が上記範囲であることが望ましい理由は、セル隔壁30に含まれる気孔の平均気孔径が上記範囲であると望ましい理由と同じである。
各内部セル22の長手方向に垂直方向の断面形状は、同一の矩形αである。
外周セル21の長手方向に垂直方向の断面形状は、内部セル22の断面形状である矩形αから2つの角部が面取りされた形状である。
また、外周壁32と接続するセル隔壁30は、外周壁32に向かって壁厚が徐々に増す厚壁領域31を有している。
すなわち、外周セル21の長手方向に垂直方向の断面形状において、矩形αから2つの角部が面取りされた部分には、厚壁領域31が形成されている。
なお、「矩形から角部が面取りされた形状」とは、矩形から、矩形の角部を直線又は曲線で切り取った形状のことを意味する。
ハニカム焼成体10では、矩形αは正方形であることが望ましい。
外周セル21の長手方向に垂直方向の断面形状は、図4(a)〜(e)に示すような形状であってもよい。
図4(a)〜(e)は、本発明のハニカム焼成体における外周セルの長手方向に垂直方向の断面形状の一例を模式的に示す断面図である。
図4(a)は、矩形αの隣り合う2つの角部が2つの線分A及びBにより、それぞれ切り取られた6角形である外周セル21aの断面形状を示している。線分A及びBは直接接しておらず、線分A及びBを延長すると矩形αの外側でこれらが交わることになる。また、切り取られた2つの角部の間にある矩形αの辺の一部は、上記6角形の一辺を形成している。
図4(b)は、矩形αの隣り合う2つの角部が2つの線分C及びDにより、それぞれ切り取られた5角形である外周セル21bの断面形状を示している。線分Cと線分Dとは矩形αを形成する辺において交差している。なお、線分Cと線分Dとは矩形αの内部で交差していてもよい。すなわち、切り取られる2つの角部の間には、上記5角形を構成する辺が存在していない。
図4(c)は、矩形αの隣り合う2つの角部のうち一方の角部が線分E及びFにより切り取られ、もう一方の角部が線分G及びHにより切り取られた8角形である外周セル21cの断面形状を示している。線分Eと線分Fとは、矩形αの内部で互い交差している。さらに、線分Gと線分Hとも、矩形αの内部で互い交差している。また、切り取られた2つの角部の間にある矩形αの辺の一部は、上記8角形の一辺を形成している。
図4(d)は、矩形αの隣り合う2つの角部が2つの曲線A´及びB´により、それぞれ切り取られた外周セル21dの断面形状を示している。曲線A´及びB´は、矩形αの角部がR面取りされるように線分A及びBを折り曲げた曲線である。切り取られた2つの角部の間にある矩形αの辺の一部は、外周セル21dの断面形状の輪郭を形成している。
図4(e)は、矩形αの隣り合う2つの角部が2つの曲線C´及びD´により、それぞれ切り取られた外周セル21eの断面形状を示している。曲線C´及びD´は、矩形αの角部がR面取りされるように線分C及びDを折り曲げた曲線である。曲線C´と曲線D´とは矩形αを形成する辺において交差している。なお、曲線C´と曲線D´とは、矩形αの内部で交差していてもよい。
ハニカム焼成体10では、図4(a)〜(e)において矩形αの角部が切り取られた部分(すなわち、α´を示す破線と実線で囲まれた部分)には、厚壁領域31が形成されている。
なお、外周セル21の長手方向に垂直方向の断面形状は上記形状に限られず、矩形αから2つの角部が面取りされた別の形状であってもよい。
また、外周セル21a〜21eにおいて角部が切り取られた部分の面積(すなわち厚壁領域31の面積)は、矩形αの20〜40%である。
外周セル21の長手方向に垂直方向の断面形状が上記のような形状であり、厚壁領域31が形成されていると、ハニカム焼成体10の外周壁32近傍の体積が大きくなる。
そのため、ハニカム焼成体10は、セル隔壁30が薄いにもかかわらず、外周壁32近傍の体積が充分に大きいので、外部からの衝撃等に対し充分に高い強度を有する。また、外周壁32近傍の体積が大きいので、ハニカム焼成体10では熱容量の低下を抑制することができる。そのため、ハニカム焼成体10が急激に加熱されたとしても外周壁32により熱を受け止めることができ、クラックの発生を抑制できる。
このことは以下のようにも説明できる。
ハニカム焼成体10のSiCが存在している部分とSiCが存在していないセルの空間部分とを含む領域において、ハニカム焼成体10を所定範囲で切り取り、所定範囲に含まれるハニカム焼成体10の重量を、所定範囲の体積で割った値を、「見かけ密度」とすると、ハニカム焼成体10では、ハニカム焼成体10の最外周部12の方が、ハニカム焼成体10の内側部分よりも「見かけ密度」の値が大きくなる。
そのため、ハニカム焼成体10では、ハニカム焼成体10の最外周部12の熱容量が相対的に高い。従って、外部から急激に熱が加えられても最外周部12で熱を受け止めることができ、クラックの発生を防ぐことができる。
また、ハニカム焼成体10の最外周部12の「見かけ密度」が高いと、セル隔壁30が薄いにもかかわらず、外枠が機械的に頑丈な構造となるので外部からの衝撃等に対し充分に高い強度を有する。
ハニカム焼成体10では、外周セル21の長手方向に垂直方向の断面の面積が、内部セル22の長手方向に垂直方向の断面の面積の60〜80%である。
通常、セルの長手方向に垂直方向の断面の面積が小さくなると、圧力損失が大きくなると考えられるが、上記構成のハニカム焼成体10では圧力損失の増加が抑制されている。
その原因を以下に図面を用いて説明する。
図5は、本発明のハニカム焼成体では、外周セルの長手方向に垂直方向の断面の面積が、内部セルの長手方向に垂直方向の断面の面積よりも小さいにも関わらず、圧力損失の増加が抑制されている原因となる機構を模式的に示す模式図である。
図5に示すように、通常、ハニカム焼成体10の周囲には接着材層14が配置されることになる。排ガスがハニカム焼成体10に流入する際には、接着材層14に衝突する排ガスも生じる。このような排ガスは接着材層14によりせき止められ、流れに対してほぼ垂直方向に進むことになる。(図5中、排ガスをGで示し、排ガスの流れを矢印で示す)。このように流れの方向が変更された排ガスは、他の排ガスに押されハニカム焼成体10の最外周部12に配置されている外周セル21又は外周セル21の内側に配置されている内部セル22に流入することになるが、流れの方向が変更された排ガスにもある程度勢いがあるので、外周セル21を飛び越え内部セル22に流入する排ガスも多く発生する。そうすると、外周セル21に流入する排ガスよりも、内部セル22に流入する排ガスの方が多いと考えられる。すなわち、ハニカム焼成体10の最外周部12に配置された外周セル21には、もともと排ガスが流入しにくいので、ハニカム焼成体10の最外周部12に配置された外周セル21の長手方向に垂直方向の断面の面積がある程度小さくてもあまり圧力損失に影響しないと考えられる。
このような理由から、ハニカム焼成体10のように、外周セル21の長手方向に垂直方向の断面の面積が、内部セル22の長手方向に垂直方向の断面の面積の60〜80%であったとしてもガス通過抵抗には殆ど影響しない。そのため、圧力損失が増加しにくいと考えられる。
また、上記面積の割合が60%未満であると、外周セル21の開口部の面積が小さくなり排ガスの流路が狭くなり、排ガスがセル隔壁30を通過する際のガス通過抵抗が大きくなるので、圧力損失が大きくなる。
また、上記面積の割合が80%を超えると、ハニカム焼成体10の最外周部の見かけ密度の値が低くなるので、ハニカム焼成体10の外周壁32が厚くなっていることの効果が得られにくい。
なお、外周セル21の長手方向に垂直方向の断面の面積及び内部セル22の長手方向に垂直方向の断面の面積は以下の方法により求めることができる。
まず、ハニカム焼成体10を長手方向に垂直方向に切断する。次に、ハニカム焼成体10の長手方向に垂直方向の断面のSEM画像を撮影する。
撮影したSEM画像を2値化してセル隔壁30、外周壁32等の骨格部分と、外周セル21、内部セル22等の空間部分とを識別する。そして、SEM画像において各セルの空間部分と識別された部分の面積を各セルの面積とする。
また、内部セル22の長手方向に垂直方向の断面の面積とは、上記方法により求められた全ての内部セル22の長手方向に垂直方向の断面の面積の平均値のことである。
次に、ハニカム焼成体10の角部13に配置される角部セル23の形状について説明する。
角部セル23の長手方向に垂直方向の断面形状は、特に限定されないが、内部セル22の断面形状である矩形αから少なくとも1つの角部が面取りされた形状であることが望ましい。
角部セル23の形状がこのような形状であると、ハニカム焼成体10の外周壁32近傍の体積が大きくなる。
そのため、ハニカム焼成体10は、セル隔壁30が薄いにもかかわらず、外周壁32近傍の体積が充分に大きいので、外部からの衝撃等に対し充分に高い強度を有する。また、外周壁32近傍の体積が大きいので、ハニカム焼成体10では熱容量の低下を抑制することができる。そのため、ハニカム焼成体10が急激に加熱されたとしても外周壁32により熱を受け止めることができ、クラックの発生を抑制できる。
また、角部セル23の形状は、矩形αから全ての角部が直線又は曲線で面取りされた形状であってもよく、外部セル21と同様の形状であってもよく、図6(a)〜(d)に示す形状であってもよい。
図6(a)〜(d)は、本発明のハニカム焼成体における角部セルの長手方向に垂直方向の断面形状の一例を模式的に示す断面図である。
図6(a)は、矩形αの角部のうち最もハニカム焼成体10の内側になる角部を除いて、3つの角部が線分I、J及びKによりそれぞれ切り取られた7角形である角部セル23aの断面形状を示している。線分I及びJは直接接しておらず、線分I及びJを延長すると矩形αの外側でこれらが交わることになる。また、線分I及びKは直接接しておらず、線分I及びKを延長すると矩形αの外側でこれらが交わることになる。切り取られた3つの角部の間にそれぞれある矩形αの辺の一部は、角部セル23aの断面形状である7角形の一辺をそれぞれ形成している。
図6(b)は、矩形αの角部のうち最もハニカム焼成体10の内側になる角部が線分Lにより切り取られた5角形である角部セル23bの断面形状を示している。
図6(c)は、矩形αの角部のうち最もハニカム焼成体10の内側になる角部を除いて、3つの角部が曲線I´、J´及びK´によりそれぞれ切り取られた角部セル23cの断面形状を示している。曲線I´、J´及びK´は、矩形αの角部がR面取りされるように線分I、J及びKを折り曲げた曲線である。切り取られた3つの角部の間にそれぞれある矩形αの辺の一部は、角部セル23cの断面形状の輪郭を形成している。
図6(d)は、矩形αの角部のうち最もハニカム焼成体10の内側になる角部が曲線L´により切り取られた角部セル23dの断面形状を示している。曲線L´は、矩形αの角部がR面取りされるように線分Lを折り曲げた曲線である。
特に、角部セル23の形状が図6(b)又は図6(d)に示す形状であると、ハニカム焼成体10の構造上、圧縮応力がかかりにくくなる。そのため、外部からの衝撃等に対し充分に高い強度を有する。
ハニカム焼成体10には、排ガスを浄化するための触媒を担持させてもよく、担持させる触媒としては、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属が望ましく、この中では、白金がより望ましい。また、その他の触媒として、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属、バリウム等のアルカリ土類金属を用いることもできる。これらの触媒は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
これら触媒が担持されていると、PMを燃焼除去しやすくなり、有毒な排ガスの浄化も可能になる。
ハニカムフィルタ1は上記効果を奏するハニカム焼成体10により構成されるので、PMが堆積していない初期の状態での圧力損失が充分に低く、強度が充分に強く、熱容量の低下が抑制されている。そのため、ハニカムフィルタ1は、ガソリンエンジンからの排ガスを浄化するために好適に用いることができる。
このようなハニカムフィルタ1が用いられた排ガス浄化装置について図面を用いて説明する。
図7は、本発明のハニカムフィルタが設置された排ガス浄化装置の一例を模式的に示す断面図である。
図7に示す排ガス浄化装置50は、ハニカムフィルタ1と、ハニカムフィルタ1の外方を覆う金属ケーシング51と、ハニカムフィルタ1と金属ケーシング51との間に配置された保持シール材52とから構成されており、金属ケーシング51の排ガスが導入される側の端部には、エンジン等の内燃機関に連結された導入管53が接続されており、金属ケーシング51の他端部には、外部に連結された排出管54が接続されている。
内燃機関から排出され、排ガス浄化装置50に流入した排ガス(図7中、排ガスをGで示し、排ガスの流れを矢印で示す)は、ハニカムフィルタ1を構成するハニカム焼成体10に到達し、ハニカム焼成体10により浄化される。排ガスがハニカム焼成体10により浄化される機構は既に述べているのでここでの説明は省略する。浄化された排ガスは、ハニカム焼成体10から流出し外部に排出される。
排ガス浄化装置50において、保持シール材52は、無機繊維からなるマットであることが望ましく、そのマットは、ニードリング処理を施して得られるニードルマットであることが望ましい。
また、無機繊維としてはアルミナ繊維、アルミナ−シリカ繊維、シリカ繊維、及び、生体溶解性繊維を用いることができる。
なお、ニードリング処理とは、ニードル等の繊維交絡手段を素地マットに対して抜き差しすることをいう。保持シール材52では、比較的平均繊維長の長い無機繊維がニードリング処理により3次元的に交絡していることが望ましい。
なお、交絡構造を呈するために、無機繊維はある程度の平均繊維長を有しており、例えば、無機繊維の平均繊維長は、50μm〜100mm程度であることが望ましい。
保持シール材52を構成するマットの無機繊維の平均繊維径は、1〜20μmであることが望ましく、3〜10μmであることがより望ましい。
無機繊維の平均繊維径が1〜20μmであると、無機繊維の強度及び柔軟性が充分に高くなり、保持シール材52のせん断強度を向上させることができる。
無機繊維の平均繊維径が1μm未満であると、無機繊維が細く切れやすいので、無機繊維の引っ張り強度が不充分となる。一方、無機繊維の平均繊維径が20μmを超えると、無機繊維が曲がりにくいため、柔軟性が不充分となる。
保持シール材52を構成するマットの目付量(単位面積あたりの重量)は、特に限定されないが、200〜4000g/mであることが望ましく、1000〜3000g/mであることがより望ましい。マットの目付量が200g/m未満であると、保持力が充分ではなく、このようなマットにより構成される保持シール材52を用いて排ガス浄化装置1を製造する場合、ハニカムフィルタ1が脱落しやすくなる。
また、マットの目付量が4000g/mを超えると、マットの嵩が低くなりにくい。
また、保持シール材52を構成するマットの嵩密度(巻き付ける前の保持シール材の嵩密度)については、特に限定されないが、0.10〜0.30g/cmであることが望ましい。マットの嵩密度が0.10g/cm未満であると、無機繊維の絡み合いが弱く、無機繊維が剥離しやすいため、マットの形状を所定の形状に保ちにくくなる。
また、各マットの嵩密度が0.30g/cmを超えると、保持シール材52を構成するマットが硬くなり、保持シール材52のハニカムフィルタ1への巻き付け性が低下し、保持シール材52が割れやすくなる。
保持シール材52を構成するマットには、嵩高さを抑えたり、排ガス浄化装置1の組み立て前の作業性を高めたりするために、さらに有機バインダ等のバインダが含まれていてもよい。
また、保持シール材52を構成するマットの厚さは1.5〜15mmであることが望ましい。
排ガス浄化装置50において、金属ケーシング51は、主にステンレス等の金属からなることが望ましい。
次に、本発明のハニカム焼成体の製造方法及び本発明のハニカムフィルタの製造方法の一例を説明する。
(1)ハニカム焼成体の製造方法
(1−1)セラミック原料準備工程
まず、ハニカム焼成体の原料となるセラミック原料を準備する。セラミック原料は炭化ケイ素粉末と、有機バインダと、可塑剤と、潤滑剤と、水とを混合することにより準備することができる。
上記セラミック原料には、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等の造孔剤を添加してもよい。
バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等が挙げられる。これらの中では、アルミナバルーンが望ましい。
(1−2)押出成形工程
次に、上記セラミック原料準備工程で準備したセラミック原料を押出成形し、所定の長さで切断することにより、ハニカム成形体を作製する。この際、図4(a)〜(e)、図6(a)〜(d)に示すセル構造(セルの形状およびセルの配置)を有する断面形状が形成されるような金型を用いてハニカム成形体を作製する。
なお、セル隔壁の厚さ、外周壁の厚さ、外周セルの長手方向に垂直方向の断面の面積と内部セルの長手方向に垂直方向の断面の面積との面積比は金型の形状を調整することによりすることができる。
特に、外周セルの長手方向に垂直方向の断面の面積と内部セルの長手方向に垂直方向の断面の面積との面積比を調整する場合には、面取りする範囲(角度、位置)を調節することによりすることができる。
(1−3)乾燥工程
次に、上記押出成形工程で得られたハニカム成形体を、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、又は、凍結乾燥機等を用いて乾燥させる。ハニカム成形体の乾燥では、マイクロ波乾燥機と熱風乾燥機とを併用するか、又は、マイクロ波乾燥機を用いてハニカム成形体をある程度の水分となるまで乾燥させた後、熱風乾燥機を用いてハニカム成形体中の水分を完全に除去してもよい。
(1−4)封止工程
上記乾燥工程後のハニカム成形体の所定のセルに封止材となる封止材ペーストを充填して上記セルを封止する封止工程を行う。
ここで、封止材ペーストとしては、上記セラミック原料を用いることができる。
(1−5)脱脂工程
次に、上記封止工程後のハニカム成形体を300〜650℃で、0.5〜3時間加熱することによりハニカム成形体中の有機物を除去し、ハニカム脱脂体を作製する。
(1−6)焼成工程
上記脱脂工程で得られたハニカム脱脂体を窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気下で、1800〜2200℃、0.5〜4時間焼成する。
なお、セルの端部に充填された封止材ペーストは、加熱により焼成され、封止材となる。
以上の工程を経て本発明のハニカム焼成体を製造することができる。
次に、本発明のハニカムフィルタの製造方法を説明する。
(2)ハニカムフィルタの製造方法
(2−1)接着材ペースト準備工程
まず、ハニカム焼成体を接着させるための接着材ペーストを作製する。
接着材ペーストとしては、例えば、無機バインダと有機バインダと無機粒子とからなるものを使用する。また、上記接着材ペーストは、さらに無機繊維及び/又はウィスカを含んでいてもよい。
接着材ペーストに含まれる無機粒子としては、例えば、炭化物粒子、窒化物粒子等が挙げられる。具体的には、炭化ケイ素粒子、窒化ケイ素粒子、窒化ホウ素粒子等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機粒子の中では、熱伝導性に優れる炭化ケイ素粒子が望ましい。
上記接着材ペーストに含まれる無機繊維及び/又はウィスカとしては、例えば、シリカ−アルミナ、ムライト、アルミナ、シリカ等からなる無機繊維及び/又はウィスカ等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機繊維の中では、アルミナファイバが望ましい。また、無機繊維は、生体溶解性ファイバであってもよい。
さらに、上記接着材ペーストには、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等を添加してもよい。バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等が挙げられる。
(2−2)集合工程
上記工程で準備した接着材ペーストをハニカム焼成体の側面に塗り、複数のハニカム焼成体を集合する。
その後、集合されたハニカム焼成体を加熱することにより接着材ペーストを加熱固化して接着材層とし、ハニカム焼成体の集合体を作製する。
次に、ダイヤモンドカッター等を用い、ハニカム焼成体の集合体に切削加工を施し、円柱状とする。
(2−3)外周コート層形成工程
次に、上記集合工程により得られたハニカム焼成体の集合体の外周に外周コート材ペーストを塗布し、乾燥固化して外周コート層を形成する。
ここで、外周コート材ペーストとしては、上記接着材ペーストを使用することができる。また、外周コート材ペーストとして、上記接着材ペーストと異なる組成のペーストを使用してもよい。
なお、外周コート層は必ずしも設ける必要はなく、必要に応じて設ければよい。
以上の工程を経て本発明のハニカムフィルタを製造することができる。
(実施例)
以下に、本発明を実施するための形態をより具体的に開示した実施例を示すが、本発明を実施するための形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1−1)
(1)ハニカム焼成体の製造
(1−1)セラミック原料準備工程
平均粒子径22μmを有する炭化ケイ素の粗粉末52.8重量%と、平均粒子径0.5μmの炭化ケイ素の微粉末22.6重量%とを混合し、得られた混合物に対して、有機バインダ(メチルセルロース)4.6重量%、潤滑剤(日油社製 ユニルーブ)0.8重量%、グリセリン1.3重量%、造孔材(アクリル樹脂)1.9重量%、オレイン酸2.8重量%、及び、水13.2重量%を加えて混合してセラミック原料を準備した。
(1−2)押出成形工程
次に、上記セラミック原料準備工程で準備したセラミック原料を押出成形し、長手方向に垂直方向の断面形状が正方形である直方体のハニカム成形体を作製した。
なお、本工程では、外周セルの形状が図4(a)に示す形状となり、角部セルの形状が図6(a)に示す形状となるように押出成形を行った。
(1−3)乾燥工程
次いで、マイクロ波乾燥機を用いて上記生のハニカム成形体を乾燥させることにより、ハニカム成形体の乾燥体を作製した。
(1−4)封止工程
その後、ハニカム成形体の乾燥体の所定のセルに封止材ペーストを充填してセルの封止を行った。
具体的には、排ガス入口側の端部及び排ガス出口側の端部が図2(a)に示す位置で封止されるようにセルの封止を行った。
(1−5)脱脂工程
続いて、セルの封止を行ったハニカム成形体の乾燥体を400℃で脱脂する脱脂処理を行いハニカム脱脂体を作製した。
(1−6)焼成工程
さらに、ハニカム脱脂体を常圧のアルゴン雰囲気下2200℃、3時間の条件で焼成処理を行った。
以上の工程を経て、実施例1−1に係るハニカム焼成体を作製した。
作製したハニカム焼成体では、気孔率が45%、平均気孔径が15μm、大きさが34.3mm×34.3mm×150mm、セル密度が31個/cm(200cpsi)、セル隔壁の厚さが0.203mm、外周壁の厚さの最小値が0.322mmであった。
また、内部セルの長手方向に垂直方向の断面形状は一辺が1.7mmの正方形であった。
外周セルの長手方向に垂直方向の断面の面積は、内部セルの長手方向に垂直方向の断面の面積の80%であった。
(実施例1−2)
外周セルの長手方向に垂直方向の断面の面積を、内部セルの長手方向に垂直方向の断面の面積の75%とした以外は実施例1−1と同様に実施例1−2に係るハニカム焼成体を作製した。
(実施例1−3)
外周セルの長手方向に垂直方向の断面の面積を、内部セルの長手方向に垂直方向の断面の面積の60%とした以外は実施例1−1と同様に実施例1−3に係るハニカム焼成体を作製した。
(実施例2−1)
押出成形工程において、外周セルの形状が図4(d)に示す形状となり、角部セルが図6(c)に示す形状となるようにした以外は、実施例1−1と同様に実施例2−1に係るハニカム焼成体を作製した。
なお、外周セルの長手方向に垂直方向の断面の面積は、内部セルの長手方向に垂直方向の断面の面積の80%とした。
(実施例2−2)
外周セルの長手方向に垂直方向の断面の面積を、内部セルの長手方向に垂直方向の断面の面積の75%とした以外は実施例2−1と同様に実施例2−2に係るハニカム焼成体を作製した。
(実施例2−3)
外周セルの長手方向に垂直方向の断面の面積を、内部セルの長手方向に垂直方向の断面の面積の60%とした以外は実施例2−1と同様に実施例2−3に係るハニカム焼成体を作製した。
(比較例1−1)
外周セルの長手方向に垂直方向の断面の面積を、内部セルの長手方向に垂直方向の断面の面積の93%とした以外は実施例1−1と同様に比較例1−1に係るハニカム焼成体を作製した。
(比較例1−2)
外周セルの長手方向に垂直方向の断面の面積を、内部セルの長手方向に垂直方向の断面の面積の84%とした以外は実施例1−1と同様に比較例1−2に係るハニカム焼成体を作製した。
(比較例1−3)
外周セルの長手方向に垂直方向の断面の面積を、内部セルの長手方向に垂直方向の断面の面積の50%とした以外は実施例1−1と同様に比較例1−3に係るハニカム焼成体を作製した。
(比較例1−4)
外周セルの長手方向に垂直方向の断面の面積を、内部セルの長手方向に垂直方向の断面の面積の25%とした以外は実施例1−1と同様に比較例1−4に係るハニカム焼成体を作製した。
(比較例2−1)
外周セルの長手方向に垂直方向の断面の面積を、内部セルの長手方向に垂直方向の断面の面積の84%とした以外は実施例2−1と同様に比較例2−1に係るハニカム焼成体を作製した。
(比較例2−2)
外周セルの長手方向に垂直方向の断面の面積を、内部セルの長手方向に垂直方向の断面の面積の50%とした以外は実施例2−1と同様に比較例2−2に係るハニカム焼成体を作製した。
(比較例3−1)
押出成形工程において、外周セルの断面形状を内部セルの断面形状と同じにした以外は、実施例1−1と同様に比較例3−1に係るハニカム焼成体を作製した。
(比較例3−2)
押出成形工程において、外周セルの断面形状が比較例3−1の外周セルと相似になるように、かつ、外周セルの長手方向に垂直方向の断面の面積が、内部セルの長手方向に垂直方向の断面の面積の93%となるように、外周セルの断面形状を縮小した以外は、比較例3−1と同様に比較例3−2に係るハニカム焼成体を作製した。
(比較例3−3)
押出成形工程において、外周セルの断面形状が比較例3−1の外周セルと相似になるように、かつ、外周セルの長手方向に垂直方向の断面の面積が、内部セルの長手方向に垂直方向の断面の面積の84%となるように、外周セルの断面形状を縮小した以外は、比較例3−1と同様に比較例3−3に係るハニカム焼成体を作製した。
(比較例3−4)
押出成形工程において、外周セルの断面形状が比較例3−1の外周セルと相似になるように、かつ、外周セルの長手方向に垂直方向の断面の面積が、内部セルの長手方向に垂直方向の断面の面積の80%となるように、外周セルの断面形状を縮小した以外は、比較例3−1と同様に比較例3−4に係るハニカム焼成体を作製した。
(比較例3−5)
押出成形工程において、外周セルの断面形状が比較例3−1の外周セルと相似になるように、かつ、外周セルの長手方向に垂直方向の断面の面積が、内部セルの長手方向に垂直方向の断面の面積の75%となるように、外周セルの断面形状を縮小した以外は、比較例3−1と同様に比較例3−5に係るハニカム焼成体を作製した。
(比較例3−6)
押出成形工程において、外周セルの断面形状が比較例3−1の外周セルと相似になるように、かつ、外周セルの長手方向に垂直方向の断面の面積が、内部セルの長手方向に垂直方向の断面の面積の60%となるように、外周セルの断面形状を縮小した以外は、比較例3−1と同様に比較例3−6に係るハニカム焼成体を作製した。
(比較例3−7)
押出成形工程において、外周セルの断面形状が比較例3−1の外周セルと相似になるように、かつ、外周セルの長手方向に垂直方向の断面の面積が、内部セルの長手方向に垂直方向の断面の面積の50%となるように、外周セルの断面形状を縮小した以外は、比較例3−1と同様に比較例3−7に係るハニカム焼成体を作製した。
(比較例3−8)
押出成形工程において、外周セルの断面形状が比較例3−1の外周セルと相似になるように、かつ、外周セルの長手方向に垂直方向の断面の面積が、内部セルの長手方向に垂直方向の断面の面積の25%となるように、外周セルの断面形状を縮小した以外は、比較例3−1と同様に比較例3−8に係るハニカム焼成体を作製した。
以下、実施例1−1〜実施例1−3及び比較例1−1〜比較例1−4に係るハニカム焼成体を合わせて「直線面取り外周セルを有するハニカム焼成体」とも呼ぶ。
また、実施例2−1〜実施例2−3、比較例2−1及び比較例2−2に係るハニカム焼成体を合わせて「曲線面取り外周セルを有するハニカム焼成体」とも呼ぶ。
(圧縮応力評価)
(1)圧縮応力のシミュレーション
各実施例及び各比較例に係るハニカム焼成体について、周囲から圧力をかけた場合のハニカム焼成体内部に生じる最大の圧縮応力をシミュレーションにより算出した。
シミュレーションの条件は以下の通りとした。
・使用ソフト:ANSYS Mechanical APDL version 14.0
・計算モデル:2D平面、1/8対称モデル
・物質特性
SiC基材(ヤング率:15.12Gpa、ポアソン比:0.33)
接着材層(ヤング率:0.40Gpa、ポアソン比:0.20)
・圧力荷重値:1.5MPa(等分布荷重)
(2)相対強度の算出
次に、上記シミュレーションにおいて比較例3−1に係るハニカム焼成体の最大圧縮応力
を1.00とした場合の各実施例及び各比較例の相対強度を算出した。
相対強度は以下の式1により求めることができる。
相対強度=各実施例又は各比較例の最大圧縮応力/比較例3−1の最大圧縮応力
・・・式1
各実施例又は各比較例の相対強度の値を表1〜表3に示す。
また、直線面取り外周セルを有するハニカム焼成体、及び、曲線面取り外周セルを有するハニカム焼成体の相対強度から、外周セル開口面積と内部セル開口面積との比が一致する比較例3−2〜3−8の相対強度をそれぞれ引いた値を、各実施例及び各比較例の相対強度補正値とした。
各実施例又は各比較例の補正相対強度の値を表1及び表2に示す。
また、外周セル開口面積と内部セル開口面積との比と、相対強度補正値との相間関係を図8に示す。
図8は、外周セル開口面積と内部セル開口面積との比とハニカム焼成体の相対強度補正値との関係を示す相関図である。
Figure 2016056714
Figure 2016056714
Figure 2016056714
表1及び2並びに図8に示すように、実施例1−1〜実施例1−3及び実施例2−1〜実施例2−3では、ハニカム焼成体の圧縮応力に対する強度が向上していた。
特に、断面形状が矩形から角部が曲線により面取りされた形状である実施例2−1〜実施例2−3では、相対強度がより向上していた。
(実施例3)
以下の方法によりハニカムフィルタを作製した。
(1)ハニカム焼成体の準備
ハニカムフィルタに用いるハニカム焼成体として、実施例1−1のハニカム焼成体を準備した。
(2)ハニカムフィルタの製造
(2−1)接着材ペースト準備工程
平均繊維長20μmのアルミナファイバ30重量%、平均粒子径0.6μmの炭化ケイ素粒子21重量%、シリカゾル15重量%、カルボキシメチルセルロース5.6重量%、及び、水28.4重量%を混合し耐熱性の接着材ペーストを準備した。
(2−2)集合工程
接着材ペーストを準備した各ハニカム焼成体の側面に塗り、各ハニカム焼成体を集合した。
その後、集合されたハニカム焼成体を120℃加熱することにより接着材ペーストを加熱固化して接着材層とし、ハニカム焼成体の集合体を作製した。
次に、ダイヤモンドカッターを用い、ハニカム焼成体の集合体に切削加工を施し、円柱状とした。
(2−3)外周コート層形成工程
次に、接着材ペーストと同様の組成からなる外周コート材ペーストをハニカム焼成体集合体の外周面に塗布し、外周コート材ペーストを120℃で乾燥固化させて外周コート層を形成することにより、ハニカムフィルタを製造した。
以上の工程を経て実施例3に係るハニカムフィルタを作製した。
1 ハニカムフィルタ
10 ハニカム焼成体
11 封止材
12 最外周部
13 角部
14 接着材層
15 外周コート層
20 セル
21、21a、21b、21c、21d、21e 外周セル
22 内部セル
23、23a、23b、23c 角部セル
30 セル隔壁
31 厚壁領域
32 外周壁
50 排ガス浄化装置
51 金属ケーシング
52 保持シール材

Claims (4)

  1. ガソリンエンジンからの排ガスを浄化するために用いられ、複数ハニカム焼成体が接着材層を介して接着されることにより形成されるハニカムフィルタであって、
    前記ハニカム焼成体は、一方の端部が封止されており排ガスの流路となる複数のセルと、前記セルを区画形成する多孔質のセル隔壁とを備えており、
    前記ハニカム焼成体の構成材料はSiCであり、
    前記複数のセルは、前記ハニカム焼成体の最外周部に配置された外周セルと、前記外周セルより内側に配置された内部セルを含み、
    前記各内部セルの長手方向に垂直方向の断面形状は、同一の矩形であり、
    前記外周セルは、前記セル隔壁及び前記ハニカム焼成体の外周を形成する外周壁から区画形成され、
    前記外周壁と接続する前記セル隔壁は、前記外周壁に向かって壁厚が徐々に増す厚壁領域を有し、前記外周セルの長手方向に垂直方向の断面形状は、前記内部セルの断面形状である矩形から2つの角部が面取りされた形状であり、
    前記セル隔壁の厚さが0.210mm以下であり、
    前記外周セルの長手方向に垂直方向の断面の面積が、前記内部セルの長手方向に垂直方向の断面の面積の60〜80%であることを特徴とするハニカムフィルタ。
  2. 前記外周壁の厚さの最小値は、前記セル隔壁の厚さの1.5〜3倍である請求項1に記載のハニカムフィルタ。
  3. 請求項1又は2に記載のハニカムフィルタに用いられるハニカム焼成体であって、
    一方の端部が封止されており排ガスの流路となる複数のセルと、前記セルを区画形成する多孔質のセル隔壁とを備えており、
    前記ハニカム焼成体の構成材料はSiCであり、
    前記複数のセルは、前記ハニカム焼成体の最外周部に配置された外周セルと、前記外周セルより内側に配置された内部セルを含み、
    前記各内部セルの長手方向に垂直方向の断面形状は、同一の矩形であり、
    前記外周セルは、前記セル隔壁及び前記ハニカム焼成体の外周を形成する外周壁から区画形成され、
    前記外周壁と接続する前記セル隔壁は、前記外周壁に向かって壁厚が徐々に増す厚壁領域を有し、前記外周セルの長手方向に垂直方向の断面形状は、前記内部セルの断面形状である矩形から2つの角部が面取りされた形状であり、
    前記セル隔壁の厚さが0.210mm以下であり、
    前記外周セルの長手方向に垂直方向の断面の面積が、前記内部セルの長手方向に垂直方向の断面の面積の60〜80%であることを特徴とするハニカム焼成体。
  4. 前記外周壁の厚さの最小値は、前記セル隔壁の厚さの1.5〜3倍である請求項3に記載のハニカム焼成体。
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