JP2016056320A - ポリエステル、ポリオレフィン、及び相溶化剤から得られるフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリエステル、及びポリオレフィンの極性の異なる樹脂同士から得られるフィルムであるにも関わらず、機械特性に優れ、かつ軽量化されたフィルムを提供する。【解決手段】ポリエステルA、ポリオレフィンB、及び相溶化剤Cを含む組成物から得られるフィルムであって、相溶化剤Cが、ポリエステルと変性水添共役ジエンとのブロック共重合体であって、見かけ比重が1.1g/cm3以下であることを特徴とする、フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステル及びポリオレフィンという極性の異なる樹脂同士から得られるフィルムであるにも関わらず、機械特性に優れ、かつ軽量化されたフィルムに関するものである。
近年、極性の異なる樹脂同士を混合することによる樹脂の改質が検討されており、特に機械特性に優れるポリエステルと安価かつ成形加工性に優れるポリオレフィンの組み合わせについては多岐にわたる開発がなされている。しかしながら、ポリエステルとポリオレフィンの組み合わせは極性が異なるといった理由で相分離してしまうことから、相容化剤と組み合わせて用いられることが多い。例えば、ポリエステルとポリオレフィンと相容化剤とのポリマーアロイでは、特許文献1にその方法が開示されている。
さらに現在では、これらの改質された樹脂を用いて商業的に売れる費用効果の高い製品を製造可能とするために、単体のフィルムとしてより高い機能性が要求されている。例えば、フィルムとして用いるために必要となる機械特性を兼ね備え、かつ環境負荷低減の観点から、より軽量化されたフィルムが望まれている。
特開2014−019745号公報
しかしながら、前述の特許文献1に記載の技術では、ポリエステルとポリオレフィンの非極性樹脂との相溶化による樹脂の改質の効果はみられるものの、機械特性に優れ、かつ軽量化されたフィルムの発明は、未だに達成されていなかった。
そこで本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、ポリエステル及びポリオレフィンという極性の異なる樹脂同士から得られるフィルムであるにも関わらず、機械特性に優れ、かつ軽量化されたフィルムを提供せんとするものである。
本発明は、上記課題を解決するため、次の構成を有する。すなわち、以下である。
(1)
ポリエステルA、ポリオレフィンB、及び相溶化剤Cを含む組成物から得られるフィルムであって、
相溶化剤Cが、ポリエステルと変性水添共役ジエンとのブロック共重合体であって、
見かけ比重が1.1g/cm以下であることを特徴とする、フィルム。
本発明のフィルムを用いることにより、主に機械特性、軽量化を必要とする用途において高品質のフィルムを提供することができる。本発明のフィルムは、具体的には、マルチフィルムなどの農業用材料、薫蒸シートなどの林業用材料、紙おむつ、ナプキン、ライナーなどの衛生材料、レジ袋、ゴミ袋、食品用、工業製品用などの各種包装材料、などに好ましく用いることができる。
本発明のフィルムは、ポリエステルA、ポリオレフィンB、及び相溶化剤Cを含む組成物から得られるフィルムであって、相溶化剤Cが、ポリエステルと変性水添共役ジエンとのブロック共重合体であって、見かけ比重が1.1g/cm以下であることが重要である。
(ポリエステルA)
ポリエステルAは、(相溶化剤Cには該当しない)ポリエステルであれば特に限定されず、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート等のポリヒドロキシアルカン酸、ポリカプロラクトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体、ポリプロピレンテレフタレート/イソフタレート共重合体、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体、ポリヘキサメチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体、ポリシクロヘキサン−1,4−ジメチロールテレフタレート/イソフタレート共重合体などが挙げられる。
これらの中でもポリエステルAとしては、ポリ乳酸、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネートが好ましく、入手性の観点からポリエチレンテレフタレートが特に好ましく、環境負荷低減の観点からはバイオマス由来樹脂であるポリ乳酸が特に好ましい。
ポリエステルAは、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて使用できる。

本発明のフィルムを得るために用いる組成物中のポリエステルAの含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、本発明のフィルムを構成する組成物の全成分を100質量%とした時に、フィルムを作製する際の製膜性、フィルムに延伸を施す際の延伸性、得られるフィルムの機械特性、さらにフィルムに所望の比重を付与するために、ポリエステルAの含有量は10質量%以上85質量%以下であることが好ましい。フィルムを作製する際の製膜性、フィルムに延伸を施す際の延伸性、得られるフィルムの機械特性、さらにフィルムに所望の比重を付与するためのさらなる改良の観点から、本発明のフィルムを得るために用いる組成物中の全成分を100質量%とした時に、ポリエステルAの含有量は、より好ましくは15質量%以上75質量%以下、さらに好ましくは20質量%以上65質量%以下である。
本発明のポリエステルAがポリ乳酸である場合は、結晶性ポリ乳酸及び非晶性ポリ乳酸を含むことが好ましい。結晶性ポリ乳酸及び非晶性ポリ乳酸を含むことにより、結晶性、非晶性、それぞれのポリ乳酸の利点を両立できるからである。
またポリ乳酸とは、L−乳酸ユニットおよび/またはD−乳酸ユニットから選ばれる単量体ユニットを主たる構成成分とする重合体である。ここで主たる構成成分とは、重合体の構成単位中において乳酸ユニットの質量割合が最大であることを意味する。乳酸ユニットの質量割合は、好ましくは重合体100質量%中において、乳酸ユニットが70質量%〜100質量%である。
ポリ乳酸としては、ポリL−乳酸、ポリD−乳酸などが好ましく用いられる。本発明でいうポリL−乳酸とは、重合体中の全乳酸ユニット100mol%中において、L−乳酸ユニットの含有割合が50mol%を超え100mol%以下のものをいう。一方、本発明でいうポリD−乳酸とは、重合体中の全乳酸ユニット100mol%中において、D−乳酸ユニットの含有割合が50mol%を超え100mol%以下のものをいう。
ポリL−乳酸は、D−乳酸ユニットの含有割合によって、樹脂自体の結晶性が変化する。つまり、ポリL−乳酸中のD−乳酸ユニットの含有割合が多くなれば、ポリL−乳酸の結晶性は低くなり非晶に近づく。逆にポリL−乳酸中のD−乳酸ユニットの含有割合が少なくなれば、ポリL−乳酸の結晶性は高くなっていく。同様に、ポリD−乳酸は、L−乳酸ユニットの含有割合によって、樹脂自体の結晶性が変化する。つまり、ポリD−乳酸中のL−乳酸ユニットの含有割合が多くなれば、ポリD−乳酸の結晶性は低くなり非晶に近づく。逆にポリD−乳酸中のL−乳酸ユニットの含有割合が少なくなれば、ポリD−乳酸の結晶性は高くなっていく。
ポリ乳酸は、乳酸ユニット以外の他の単量体ユニットを共重合してもよい。他の単量体としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオ−ル、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノ−ルA、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリテトラメチレングリコールなどのグリコール化合物;シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マロン酸、グルタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4´−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸などのジカルボン酸;グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸;カプロラクトン、バレロラクトン、プロピオラクトン、ウンデカラクトン、1,5−オキセパン−2−オンなどのラクトン類を挙げることができる。上記の他の単量体ユニットの共重合量は、重合体中の単量体ユニット全体100mol%中において、0〜30mol%であることが好ましく、0〜10mol%であることがより好ましい。なお、上記した単量体ユニットの中でも、用途に応じて生分解性を有する成分を選択することが好ましい。
ポリ乳酸の質量平均分子量は、実用的な機械特性と耐水性、生分解性を満足させるため、5万〜50万であることが好ましく、8万〜40万であることがより好ましく、10万〜30万であることがさらに好ましい。

ここで結晶性ポリ乳酸とは、該ポリ乳酸を加熱下で十分に結晶化させた後に、適当な温度範囲で示差走査熱量計(DSC)にて測定を行った場合、ポリ乳酸成分に由来する融点が観測されるポリ乳酸のことをいう。
一方で非晶性ポリ乳酸とは、同様の測定を行った際に、明確な融点を示さないポリ乳酸のことをいう。DSCの測定方法は、実施例に記載した通りである。
フィルムを得るために用いる組成物が結晶性ポリ乳酸を含むことにより、フィルムの耐熱性、すべり性を向上させることができる。
また、フィルムを得るために用いる組成物が非晶性ポリ乳酸を含むことにより、フィルムの柔軟性を向上することができる。
本発明のフィルムに用いられる結晶性ポリ乳酸は、耐熱性、すべり性向上の観点から、ポリL−乳酸中のL−乳酸ユニットの含有割合、あるいは、ポリD−乳酸中のD−乳酸ユニットの含有割合が全乳酸ユニット100mol%中において96〜100mol%が好ましく、より好ましくは98〜100mol%である。
また、本発明のフィルムに用いられる非晶性ポリ乳酸は、柔軟性向上の観点から、ポリL−乳酸中のL−乳酸ユニットの含有割合、あるいは、ポリD−乳酸中のD−乳酸ユニットの含有割合が全乳酸ユニット100mol%中において85〜90mol%が好ましく、より好ましくは87〜89mol%である。
本発明のフィルムは、耐熱性、すべり性を付与するために、結晶性ポリ乳酸の含有量が、非晶性ポリ乳酸の含有量よりも多く、1<結晶性ポリ乳酸の質量/非晶性ポリ乳酸の質量≦10を満たす関係であることが好ましい。結晶性ポリ乳酸の含有量が多いことにより結晶性が増し、耐熱性を向上させることができる。また、結晶化することにより、凹凸が形成されやすいことから、すべり性が向上し、後加工プロセスに優れたフィルムとすることができる。
(ポリオレフィンB)
ポリオレフィンBとしては特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、メチルペンテン等を挙げることができ、これらのうちの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ポリエチレンとしては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・オクテン共重合体等を挙げることができる。また、ポリプロピレンとしては、例えば、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、プロピレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・ブテン共重合体、プロピレン・エチレン・ブテン共重合体等を挙げることができる。これらの中でもポリオレフィンBとしては、低密度ポリエチレン又はホモポリプロピレンを用いることが好ましい。
本発明のフィルムを得るために用いる組成物中のポリオレフィンBの含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、本発明のフィルムを得るために用いる組成物中の全成分を100質量%とした時に、フィルムを作製する際の製膜性、フィルムに延伸を施す際の延伸性、得られるフィルムの機械特性、さらにフィルムに所望の比重を付与するために、ポリオレフィンBの含有量は10質量%以上90質量%以下とすることが好ましい。フィルムを作製する際の製膜性、フィルムに延伸を施す際の延伸性、得られるフィルムの機械特性、さらにフィルムに所望の比重を付与するためのさらなる改良の観点から、本発明のフィルムを得るために用いる組成物中の全成分を100質量%とした時に、ポリエステルBの含有量は、より好ましくは15質量%以上80質量%以下、さらに好ましくは20質量%以上70質量%以下である。
(相溶化剤C)
ポリエステルAとポリオレフィンBの相溶性向上のため、本発明のフィルムを得るために用いる組成物中には相溶化剤Cを含むことが重要である。ここで相溶化剤Cとは、ポリエステルと変性水添共役ジエンとのブロック共重合体である。相溶化剤Cを含むことによりポリエステルAとポリオレフィンBの相互作用が高まり、ポリエステルAとポリオレフィンBとの相溶性が向上する。
ここで相溶化剤Cに用いるポリエステルとしては、特に限定されず、前述のポリエステルAにて説明したものを用いることができ、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて使用できる。そして相溶化剤Cに用いるポリエステルとしては、ポリエステルAと同一のポリエステルを用いることも可能である。
相溶化剤Cに用いる変性水添共役ジエンとは、共役ジエン単位の二重結合の総数の80%以上が水素添加された重合体を意味する。そして変性水添共役ジエンにおける「変性」とは、後述するN原子含有極性基を有することを意味する。つまりN原子含有極性基を有する水添共役ジエンを、「変性水添共役ジエン」という。
なお、二重結合の数は、H−NMRを測定した際のプロトンのスペクトル面積から算出することができ、水素添加前後のプロトンのスペクトル面積を用いて、共役ジエン単位の二重結合の総数の80%以上が水素添加されたか否かを判断することができる。
また、共役ジエンは、共役ジエン由来の繰り返し単位を含む重合体である。共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−オクタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−シクロヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、ミルセン及びクロロプレン等を挙げることができる。本発明においては、入手容易性、また、耐衝撃性の観点から、1,3−ブタジエン又はイソプレン由来の繰り返し単位を含む共役ジエンを用いることが好ましい。
相溶化剤Cに用いる変性水添共役ジエンは、共役ジエン以外の繰り返し単位を含むものであってもよい。例えば、芳香族ビニル由来の繰り返し単位(芳香族ビニル単位)等を含むものであってもよい。
芳香族ビニルとしては、例えば、スチレン、tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン及びビニルピリジン等を挙げることができる。本発明においては、芳香族ビニルとしては、入手容易性、また、耐衝撃性の観点から、スチレン又はtert−ブチルスチレン由来の繰り返し単位を含むものであることが好ましい。
相溶化剤Cに用いる変性水添共役ジエン中に芳香族ビニルを含む場合は、芳香族ビニル単位及び共役ジエン単位の含有量の割合(芳香族ビニル単位/共役ジエン単位)は、質量比で1/99〜80/20が好ましく、3/97〜60/40がより好ましい。

また、相溶化剤Cに用いる変性水添共役ジエンのN原子含有極性基は、式(i)で表すことができる。なお、式(i)でいうRは、シリル基、アルキル基、アリール基、ポリエーテル基、水素原子が挙げられる。さらにポリエステルAとの反応性の観点から、より好ましくは式(i)のRの少なくとも1種はシリル基である。さらに好ましくは、式(i)が式(ii)〜(iv)のいずれかで表される官能基である。
Figure 2016056320
Figure 2016056320
式(ii)〜(iv)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又は炭素数1〜100のオルガノシロキシ基から選択され、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基である。ここで式(ii)や(iv)中には2つのRが存在するが、この2つのRは同一であっても異なってもよく、RやRについても同様である。
さらに同一の相溶化剤C中に式(ii)のN原子含有極性基と式(iii)のN原子含有極性基の両方が存在する態様や、式(ii)のN原子含有極性基を有する相溶化剤と式(iii)のN原子含有極性基を有する相溶化剤とを併用する態様も考えられるが、この場合、式(ii)のRと式(iii)のRとは同一であっても異なってもよく、RやRについても同様である。さらに式(ii)のN原子含有極性基と式(iv)のN原子含有極性基を含む場合、式(iii)のN原子含有極性基と式(iv)のN原子含有極性基を含む場合、式(ii)のN原子含有極性基と式(iii)のN原子含有極性基と式(iv)のN原子含有極性基とを含む場合についても同様である。
なお、式(ii)及び(iii)においては、−SiRが、全体で炭素数3〜18のトリアルキルシリル基である。また式(iii)、(iv)中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基から選択され、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基である。さらに式(iv)中、Rは、炭素数1〜12の2価の炭化水素基を示し、好ましくは炭素数1〜12のアルキレン基であり、特に好ましくはエチレン基である。

相溶化剤Cは、官能基Xを有するポリオレフィン及び官能基Xを有するアクリルからなる群より選ばれる少なくとも1種を有することが好ましい。
官能基X:カルボキシ基、酸無水物基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、アルコキシシリル基、ヒドロキシ基、イソシアネート基及びオキサゾリン基から選ばれる少なくとも1種。
相溶化剤Cが官能基Xを有するポリオレフィン及び官能基Xを有するアクリルからなる群より選ばれる少なくとも1種を有することにより、ポリエステルAのヒドロキシ末端基及びカルボキシ末端基と、相溶化剤C中の官能基Xとが反応することで、架橋点の働きを示し、ポリエステルAとポリオレフィンBの相互作用が高まり、ポリエステルAとポリオレフィンBとの相溶性向上させることができる。なお、官能基Xを有するポリオレフィン及び官能基Xを有するアクリルからなる群より選ばれる少なくとも1種を有する相溶化剤Cとは、具体的には、ポリエステル、変性水添共役ジエン、官能基Xを有するポリオレフィン、及び官能基Xを有するアクリルのブロック共重合体、ポリエステル、変性水添共役ジエン、及び官能基Xを有するポリオレフィンのブロック共重合体、ポリエステル、変性水添共役ジエン、及び官能基Xを有するアクリルのブロック共重合体を意味する。
官能基Xを有するポリオレフィンとは、ポリオレフィンをベースポリマーとし、このベースポリマーに1種又は2種以上の官能基Xが導入された重合体を意味する。
官能基Xを有するポリオレフィンの具体例としては、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体をNa、Zn、Mg等の金属イオンにより一部中和してなるアイオノマー、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体のけん化物、エチレン・(メタ)アクリロイル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル・無水マレイン酸共重合体、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体、エポキシ変性エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル・グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン・ビニルイソシアネート共重合体、ヒドロキシ変性ポリエチレン、ヒドロキシ変性ポリプロピレン、ヒドロキシ変性エチレン・プロピレン共重合体が挙げられる。
官能基Xを有するポリオレフィンの中でも、成形加工性、耐衝撃性、柔軟性改良効果が大きいという理由から、エポキシ基又は酸無水物基を有するポリオレフィンが好ましい。エポキシ基を有するポリオレフィンとしては、エチレン・グリシジルメタクリレート共重合体が好ましく、酸無水物基を有するポリオレフィンとしては無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレンがより好ましい。これらの中でも官能基Xを有するポリオレフィンとしてはエチレン・グリシジルメタクリレート共重合体がさらに好ましい。このようなエチレン・グリシジルメタクリレート共重合体としては、市販の原料、例えば商品名:「ボンドファーストE」(住友化学(株)製)を好ましく使用することができる。

官能基Xを有するアクリルとは、アクリルをベースポリマーとし、このベースポリマーに1種又は2種以上の官能基Xが導入された重合体を意味する。官能基Xとしてはエポキシ基が好ましく、具体的にはエポキシ変性アクリルが好ましい。このようなエポキシ変性アクリルとしては、市販の原料、例えば商品名:「パラロイドEXL−2314」(ローム・アンド・ハース(株)製)を好ましく使用することができる。

本発明のフィルムを得るために用いる組成物中の相溶化剤Cの含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、本発明のフィルムを得るために用いる組成物中の全成分を100質量%とした時に、ポリエステルAとポリオレフィンBとの相容性、フィルムを作製する際の製膜性、フィルムに延伸を施す際の延伸性、得られるフィルムの機械特性、さらにフィルムに所望の比重を付与するために、相溶化剤Cの含有量は0.5質量%以上40質量%以下とすることが好ましい。
ポリエステルAとポリオレフィンBとの相容性、フィルムを作製する際の製膜性、フィルムに延伸を施す際の延伸性、得られるフィルムの機械特性、さらにフィルムに所望の比重を付与するためのさらなる改良の観点から、本発明のフィルムを得るために用いる組成物中の全成分を100質量%とした時に、相溶化剤Cの含有量は、より好ましくは3質量%以上30質量%以下、さらに好ましくは5質量%以上20質量%以下である。

相溶化剤Cは、ポリエステルと変性水添共役ジエン、必要に応じて前記した官能基Xを有するポリオレフィン及び官能基Xを有するアクリルからなる群より選ばれる少なくとも1種を組み合わせて、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等の従来公知の混練機及びそれらを組み合わせてなる混練機を用いて製造することができる。
また、混練にあたり、各組成物を一括混練りする方法や、ある組成物を混練りした後、残りの組成物を添加して混練りする多段分割混練法を採用することができる。
このような相溶化剤Cとしては、ポリエステルAがポリ乳酸もしくはポリエチレンテレフタレートである場合は、官能基Xを有するポリオレフィンとしてはエチレン・グリシジルメタクリレート共重合体を有するものを用いることが好ましい。
(充填剤)
本発明のフィルムは、所望の機械特性の付与、透湿性の向上、低コスト化を目的として、充填剤を含むことが好ましい。ここで充填剤とは、諸性質を改善するために基材として加えられる物質、あるいはコスト低減などを目的として添加する不活性物質をいう。このような充填剤としては、無機充填剤および/または有機充填剤が使用できる。
本発明のフィルムを得るために用いる組成物中の充填剤の含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、本発明のフィルムを得るために用いる組成物中の全成分を100質量%とした時に、充填剤の分散性、フィルムを作製する際の製膜性、フィルムに延伸を施す際の延伸性、得られるフィルムの機械特性、さらにフィルムに所望の比重を付与するために、充填剤の含有量は10質量%以上60質量%以下とすることが好ましい。
充填剤の分散性、フィルムを作製する際の製膜性、フィルムに延伸を施す際の延伸性、得られるフィルムの機械特性、さらにフィルムに所望の比重を付与するためのさらなる改良の観点から、本発明のフィルムを得るために用いる組成物中の全成分を100質量%とした時に、充填剤の含有量は、より好ましくは15質量%以上57質量%以下、さらに好ましくは20質量%以上55質量%以下である。
フィルムへの所望の機械特性の付与、透湿性の向上、低コスト化の観点から、無機粒子が好ましく、その中でも炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、マイカ、タルク、カオリン、クレー、モンモリロナイトが好ましい。特に好ましいのは炭酸カルシウムである。

(破断点伸度)
本発明のフィルムは柔軟性、後加工時のハンドリング性の観点から、機械方向の破断点伸度が20%以上であることが好ましい。また、柔軟性、後加工時のハンドリング性に加え、引き裂き性を付与するために、機械方向の破断点伸度が20%以上であり、さらに幅方向の破断点伸度が30%以下であることが好ましい。引き裂き性が向上することにより、例えば本発明のフィルムの使用後に水流中のような応力がかかる環境下に廃棄した際に、機械方向の引き裂きが容易に起こり本発明のフィルムを容積が小さくなるように分解することが可能となる。
柔軟性、後加工時のハンドリング性、機械方向への引き裂き性をさらに改良するという観点から、幅方向の破断点伸度は5%以上30%以下であることが好ましく、5%以上25%以下であることがより好ましく、5%以上20%以下であることがさらに好ましい。
なお、機械方向の破断点伸度の上限は特に制限されるものではないが、現実的に製造可能な値として上限は400%以下である。
本発明のフィルムの機械方向の破断点伸度を20%以上として、幅方向の破断点伸度を30%以下とする方法は、本発明のフィルムの効果を損なわない限り特に限定されないが、本発明のフィルムを構成する組成物中のポリエステルA、ポリオレフィンB、相溶化剤C、充填剤をそれぞれ前述した好ましい種類、好ましい含有割合とし、機械方向に一軸延伸する方法が挙げられる。好ましい延伸方法・条件等については、後述する。

(見かけ比重)
本発明のフィルムの見かけ比重は1.1g/cm以下であることが重要である。さらなる軽量性を付与するという観点から、見かけ比重は0.5g/cm以上1.05g/cm以下であることがより好ましく、0.5g/cm以上0.85g/cm以下であることがさらに好ましく、0.5g/cm以上0.7g/cm以下であることが特に好ましい。
本発明のフィルムの見かけ比重を1.1g/cm以下とするためには、例えば、本発明のフィルムを得るために用いる組成物中のポリエステルA、ポリオレフィンB、相溶化剤C、充填剤をそれぞれ前述した好ましい種類、好ましい含有割合とし、さらに少なくとも一軸方向に延伸する方法が挙げられる。好ましい延伸方法・条件等については、後述する。

(空孔率)
本発明のフィルムは空孔を有し、空孔率が10%以上60%以下であることが好ましい。空孔率が10%以上60%以下であれば、軽量化され、かつ透湿性を求められる用途に使用される場合は、実用レベルの透湿性を付与することができ、さらに実用レベルのフィルム伸度を維持することができる。空孔率は、より好ましくは20%以上55%以下、さらに好ましくは30%以上55%以下である。
空孔率を10%以上60%以下とするための達成手段は、特に限定されないが、本発明のフィルムを得るために用いる組成物中のポリエステルA、ポリオレフィンB、相溶化剤C、充填剤をそれぞれ前述した好ましい種類、好ましい含有割合とし、少なくとも一軸方向に延伸する方法が挙げられる。好ましい延伸方法・条件等については、後述する。

(厚み)
本発明のフィルムは、厚みが5〜550μmであることが好ましい。厚みを5μm以上とすることで、フィルムとした際のコシが強くなり、取り扱い性に優れ、また、ロール巻姿や巻出し性が良好となる。厚みを550μm以下とすることで柔軟性および透湿性に優れるものとなり、また、特にインフレーション製膜法においては、自重によりバブルが安定化する。本発明のフィルムの厚みは、7〜150μmがより好ましく、10〜100μmがさらに好ましく、12〜50μmがさらにより好ましい。

(添加剤)
本発明のフィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で前述した以外の成分を含有してもよい。例えば、酸化防止剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、抗菌剤、消臭剤、耐候剤、抗酸化剤、イオン交換剤、粘着性付与剤、消泡剤、着色顔料、染料などが使用できる。

(製造方法)
次に、本発明のフィルムを製造する方法について具体的に説明するが、本発明のフィルムの製造方法はこれに限定されるものではない。
本発明のフィルムを得るために用いる組成物、つまり、ポリエステルA、ポリオレフィンB、相溶化剤C、充填剤などを含有する組成物を得るにあたっては、各成分を溶融混練することにより組成物を製造する溶融混練法が好ましい。溶融混練方法については、特に制限はなく、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサー、単軸または二軸押出機等の公知の混合機を用いることができる。中でも生産性の観点から、単軸または二軸押出機の使用が好ましい。
本発明のフィルムは、例えば上記した方法により得られた組成物を用いて、公知のインフレーション法、チューブラー法、Tダイキャスト法などの既存のフィルムの製造法により得ることができる。
さらに、軽量化、透湿性向上を目的として、上述の方法で得られたフィルムを一軸又は二軸延伸して、フィルムに空孔を生じさせ多孔質化し、前述の通り見かけ比重を1.1g/cm以下として、さらに空孔率を10%以上60%以下とすることが好ましい。
延伸にはロール法やテンター法などが用いられる。原反フィルムの延伸は、少なくとも一軸方向に、1.1倍以上に延伸することが好ましく、1.5倍以上8倍以下に延伸することがより好ましい。引き裂き性の付与のためには、二軸方向ではなく、機械方向のみに1.1倍以上に一軸延伸することが好ましく、1.5倍以上8倍以下に一軸延伸することがより好ましい。
フィルムに成形した後に、印刷性、ラミネート適性、コーティング適性などを向上させる目的で各種の表面処理を施しても良い。表面処理の方法としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、酸処理などが挙げられる。いずれの方法をも用いることができるが、連続処理が可能であり、既存の製膜設備への装置設置が容易な点や処理の簡便さからコロナ放電処理が最も好ましいものとして例示できる。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるものではない。
[測定および評価方法]
実施例中に示す測定や評価は次に示すような条件で行った。
(1)厚み
ダイヤルゲージ式厚み計(JIS B7503(1997)、PEACOCK製UPRIGHT DIAL GAUGE(0.001×2mm)、No.25、測定子5mmφ平型)を用いて、フィルムの機械方向および幅方向に10cm間隔で10点ずつ測定し、その平均値を当該フィルムの厚み(μm)とした。
(2)見かけ比重(g/cm
高精度電子比重計SD−120L(ミラージュ貿易(株)製)を用いて、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気にて、40mm×50mm(機械方向×幅方向)にサンプリングしたフィルムを、水中置換法により10点測定し、その平均値を当該フィルムの見かけ比重(g/cm)とした。
(3)破断点伸度(%)
恒温槽を備えたオリエンテック社製TENSILON UCT−100を用いて、23℃における応力−歪み測定を行い、23℃における機械方向と幅方向の破断点伸度を測定した。
具体的には、機械方向および幅方向に長さ150mm、幅10mmの短冊状にサンプルを切り出し、23℃に調整された恒温槽の中で、初期引張チャック間距離50mm、引張速度200mm/分で、JIS K−7127(1999)に規定された方法にしたがって測定を行い、10回の測定の平均の破断点伸度(%)を、機械方向と幅方向について求めた。
(4)柔軟性
任意に選定した10人に触手試験を実施してもらい、やわらかいと回答した人数により、以下のように判定を行った。実用的にはA以上であれば問題無く使用できる。
S:やわらかいと回答した人が10人
A:やわらかいと回答した人が5人以上9人以下
B:やわらかいと回答した人が4人以下
(5)質量平均分子量、数平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した標準ポリメチルメタクリレート換算の値である。GPCの測定は、検出器にWATERS社示差屈折計WATERS410を用い、ポンプにWATERS社MODEL510高速液体クロマトグラフィーを用い、カラムにShodexGPC HFIP−806MとShodexGPC HFIP−LGを直列に接続したものを用いて行った。測定条件は、流速0.5mL/minとし、溶媒にヘキサフルオロイソプロパノールを用い、試料濃度1mg/mLの溶液を0.1mL注入した。
(6)DSC測定(融点)
ポリ乳酸の融点は、ポリ乳酸を100℃の熱風オーブン中で24時間加熱させた後に、セイコーインスツル社製示差走査熱量計RDC220を用い、試料5mgをアルミニウム製受皿にセットし、25℃から昇温速度20℃/分で250℃まで昇温した際の結晶融解ピークのピーク温度とした。
またポリ乳酸が結晶性であるか非晶性であるかについては、次の通りに判断した。つまり結晶性ポリ乳酸とは、上記測定にて、結晶融解ピークが観測されるポリ乳酸とした。一方で非晶性ポリ乳酸とは、同様の測定を行った際に、結晶融解ピークが観測されないポリ乳酸とした。
(7)耐熱性
枠内サイズが150mm角であるアルミ製フレーム枠に、評価用のフィルムをシワがないように緊張状態で貼り付け、文房具用のダブルクリップを複数用いてフィルムをフレームに固定し、庫内を一定温度に保った熱風式オーブンに5分間放置した後に取り出してフィルムの状態を観察した。熱風式オーブンの設定温度を160℃から5℃刻みで変更して試験を繰り返し、フィルムに穴が開いたり、フィルムがフレームに融着したりするなどの変化が認められなかった最も高い温度を耐熱温度(℃)として求めた。その耐熱温度の値を用いて、以下の基準に従って評価した。実用的にはA以上であれば問題無く使用できる。
S:160℃以上
A:130℃以上155℃以下
B:125℃以下
(8)水解性
2000mlのビーカーに水800ml入れ、5cm×5cmに切った試験片を4枚入れて、マグネチックスターラーで23℃、500rpmの回転速度で48hr攪拌後のフィルムをビーカーから取り出し、撹拌後の試験片の枚数を観察した。
撹拌後の試験片の数を用いて、以下の基準にて評価を行った。実用的にはB以上であれば問題無く使用できる。
S:17枚以上
A:11枚以上16枚以下
B:5枚以上10枚以下
C:4枚のままで分解していない。
(9)空孔率(%)
フィルムを30mm×40mmの大きさに切取り試料とした。電子比重計(ミラージュ貿易(株)製SD−120L)を用いて、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気にて前記試料の比重を測定した。測定を3回行い、平均値をそのフィルムの比重ρとした。
次に、測定したフィルムを280℃、5MPaで熱プレスを行い、その後、25℃の水で急冷して無孔シート状物を作成した。この無孔シート状物の比重を、上記した方法で同様に測定し、平均値を樹脂の比重(d)とした。フィルムの比重(ρ)と樹脂の比重(d)から、以下の式により空孔率を算出した。
空孔率(%)=〔(d−ρ)/d〕×100

[ポリエステルA]
(A1)
ポリ乳酸(NatureWorks製、商品名“IngeoTMbiopolymer4032D”)、結晶性ポリL−乳酸樹脂、質量平均分子量=200,000、D−乳酸含有量=1.4mol%、融点=166℃
(A2)
ポリ乳酸(NatureWorks製、商品名“IngeoTMbiopolymer4060D”)、非晶性ポリL−乳酸樹脂、質量平均分子量=200,000、D−乳酸含有量=12.0mol%、融点=無し
(A3)
ポリエチレンテレフタレート:商品名「RT523C」日本ユニペット社製
[ポリオレフィンB]
(B1)
ポリプロピレン:商品名「BC06C」日本ポリプロ製
(B2)
ポリエチレン:商品名「モアテック0168」、プライムポリマー社製
[相溶化剤(C)]
(C1)
ポリエステルと変性水添共役ジエンとのブロック共重合体であって、官能基Xを有するポリオレフィン又は官能基Xを有するアクリルを有する、JSR(株)製の相溶化剤 商品名:「BIOLLOY(登録商標)PM130NP」。使用前には回転式真空乾燥機にて90℃で5時間乾燥した。
(C2)
ポリエステルと変性水添共役ジエンとのブロック共重合体であって、官能基Xを有するポリオレフィン又は官能基Xを有するアクリルを有する、JSR(株)製の相溶化剤 商品名:「BIOLLOY(登録商標)PM001」。使用前には回転式真空乾燥機にて90℃で5時間乾燥した。
(C3)
ポリエステルと変性水添共役ジエンとのブロック共重合体であって、官能基Xを有するポリオレフィン又は官能基Xを有するアクリルを有する、JSR(株)製の相溶化剤 商品名:「BIOLLOY(登録商標)PL030」。使用前には回転式真空乾燥機にて90℃で5時間乾燥した。
[充填剤(D)]
(D1)
炭酸カルシウム(三共精粉社製、商品名“トップフローH200”(登録商標)、平均粒子径1.7μm)
[フィルムの作製]
(実施例1)
A1、A2、B1、C1を表記載の含有量でシリンダー温度230℃のスクリュー径44mmの真空ベント付二軸押出機に供給し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練し、均質化した後にペレット化して組成物を得た。
この組成物のペレットを、回転式ドラム型真空乾燥機を用いて、温度95℃で5時間真空乾燥した。
この組成物のペレットをインフレーション法により、シリンダー温度200℃で、スクリュー径60mmの単軸押出機に供給し、直径250mm、リップクリアランス1.0mm、温度を180℃に設定した環状ダイスにより、ブロー比2.0にてバブル状に上向きに押出し、冷却リングにより空冷し、ダイス上方のニップロールで折りたたみながら、引き取りしてロール状に巻き取った。引き取り速度の調整により、140μmの未延伸フィルムを得た。
得られた未延伸フィルムをロール式延伸機にて機械方向に、フィルム温度85℃で5.5倍に延伸した。続いて定長下、加熱ロール上で、フィルム温度95℃で1秒間熱処理後、冷却ロール上で冷却し、厚さ25μmのフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表に示した。
(実施例2、3)
表記載の通りに樹脂の種類、含有量を変更し、シリンダー温度275℃のスクリュー径44mmの真空ベント付二軸押出機に供給し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練し、均質化した後にペレット化して組成物を得た。
この組成物のペレットを、回転式ドラム型真空乾燥機を用いて、温度130℃で5時間真空乾燥した。
この組成物のペレットをインフレーション法により、シリンダー温度275℃で、スクリュー径60mmの単軸押出機に供給し、直径250mm、リップクリアランス1.0mm、温度を260℃に設定した環状ダイスにより、ブロー比2.0にてバブル状に上向きに押出し、冷却リングにより空冷し、ダイス上方のニップロールで折りたたみながら、引き取りしてロール状に巻き取った。引き取り速度の調整により、140μmの未延伸フィルムを得た。
得られた未延伸フィルムをロール式延伸機にて機械方向に、フィルム温度85℃で5.5倍に延伸した。続いて定長下、加熱ロール上で、フィルム温度95℃で1秒間熱処理後、冷却ロール上で冷却し、厚さ25μmのフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表に示した。
(実施例4、5)
表記載の通りに樹脂及び充填剤の種類、含有量を変更した以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表に示した。
(実施例6)
表記載の通りに樹脂及び充填剤の種類、含有量を変更し、ロール式延伸機にて機械方向に、フィルム温度85℃で7.5倍に延伸して延伸倍率を変更した以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表に示した。
(実施例7)
A1、A2、B1、C1、D1を表記載の含有量でシリンダー温度230℃のスクリュー径44mmの真空ベント付二軸押出機に供給し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練し、均質化した後にペレット化して組成物を得た。
この組成物のペレットを、回転式ドラム型真空乾燥機を用いて、温度95℃で5時間真空乾燥した。
この組成物のペレットをインフレーション法により、シリンダー温度200℃で、スクリュー径60mmの単軸押出機に供給し、直径250mm、リップクリアランス1.0mm、温度を180℃に設定した環状ダイスにより、ブロー比2.0にてバブル状に上向きに押出し、冷却リングにより空冷し、ダイス上方のニップロールで折りたたみながら、引き取りしてロール状に巻き取った。引き取り速度の調整により、140μmの未延伸フィルムを得た。
得られた未延伸フィルムを、ロール延伸機にて85℃で機械方向に3倍に延伸し、直ちに室温に冷却した。次いで、得られた一軸延伸フィルムを、テンターに導入し、両エッジをクリップで把持しながら、85℃で幅方向に3倍延伸した。次いで、熱処理ゾーンを2区間に分け、1区間目は120℃で熱処理を行い、引き続き2区間目は横方向に5%の弛緩を与えながら140℃で熱処理をし、冷却ロール上で冷却し、厚さ25μmのフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表に示した。
(比較例1)
表記載の通りに樹脂の種類、含有量を変更した以外は実施例1と同様にしてフィルムを得ようとしたが、相溶化剤を含有していないため相溶化効果が不足しており、未延伸フィルムを作製することができなかった。
(比較例2)
表記載の通りに樹脂の種類、含有量を変更した以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表に示した。
(比較例3、4)
表記載の樹脂の種類、含有量を変更した以外は実施例2、3と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表に示した。
(比較例5)
表記載の通りにA1、A2、B1、C1、D1を表記載の含有量でシリンダー温度230℃のスクリュー径44mmの真空ベント付二軸押出機に供給し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練し、均質化した後にペレット化して組成物を得た。
この組成物のペレットを、回転式ドラム型真空乾燥機を用いて、温度95℃で5時間真空乾燥した。
この組成物のペレットをインフレーション法により、シリンダー温度200℃で、スクリュー径60mmの単軸押出機に供給し、直径250mm、リップクリアランス1.0mm、温度を180℃に設定した環状ダイスにより、ブロー比2.0にてバブル状に上向きに押出し、冷却リングにより空冷し、ダイス上方のニップロールで折りたたみながら、引き取りしてロール状に巻き取った。引き取り速度の調整により、25μmの未延伸フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表に示した。
Figure 2016056320
Figure 2016056320
本発明のフィルムを用いることにより主に機械特性、軽量化を必要とする用途において高品質のフィルム提供することができる。本発明のフィルムは具体的には、マルチフィルムなどの農業用材料、薫蒸シートなどの林業用材料、紙おむつ、ナプキン、ライナーなどの衛生材料、レジ袋、ゴミ袋、食品用、工業製品用などの各種包装材料、などに好ましく用いることができる。

Claims (7)

  1. ポリエステルA、ポリオレフィンB、及び相溶化剤Cを含む組成物から得られるフィルムであって、
    相溶化剤Cが、ポリエステルと変性水添共役ジエンとのブロック共重合体であって、
    見かけ比重が1.1g/cm以下であることを特徴とする、フィルム。
  2. 前記相溶化剤Cが、官能基Xを有するポリオレフィン及び官能基Xを有するアクリルからなる群より選ばれる少なくとも1種を有する、請求項1に記載のフィルム。
    官能基X:カルボキシ基、酸無水物基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、アルコキシシリル基、ヒドロキシ基、イソシアネート基及びオキサゾリン基から選ばれる少なくとも1種。
  3. 前記ポリエステルAが、ポリ乳酸であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のフィルム。
  4. 前記ポリ乳酸が、結晶性ポリ乳酸及び非晶性ポリ乳酸であることを特徴とする、請求項3に記載のフィルム。
  5. 充填剤を含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のフィルム。
  6. 空孔率が10%以上60%以下であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のフィルム。
  7. 機械方向の破断点伸度が20%以上であり、幅方向の破断点伸度が30%以下であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のフィルム。
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