JP2016056223A - 樹脂組成物、硬化膜、硬化膜の製造方法およびアルキル化アニリン樹脂 - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、本発明は、硬度および耐溶剤性にバランス良く優れる硬化物を得ることのできる樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明の構成例は以下のとおりである。
[5] 前記アニリン系化合物1モルに対する前記ホルムアルデヒドの使用量が1.1〜3.0モルであり、かつ、前記炭素数1〜8のアルコールの使用量が0.1〜5.0モルである、[4]に記載の樹脂組成物。
[10] [1]〜[8]のいずれかに記載の樹脂組成物を80〜120℃の温度で硬化させる工程を含む、[9]に記載の硬化膜の製造方法。
本発明の樹脂組成物は、アニリン樹脂(A)と、水酸基およびイソシアネート基から選ばれる基を少なくとも1つ有する樹脂(B)とを含む。
本発明の樹脂組成物は、このように、特定の樹脂(A)と樹脂(B)を含むため、貯蔵安定性および硬化性に優れる組成物であり、前記効果を奏する硬化物を容易に形成することができる。
また、本発明の樹脂組成物は低温(120℃以下)で硬化しやすいため、本発明の樹脂組成物は、塗料として好適に用いることができ、樹脂製等の耐熱性に劣る基材に対しても好適に使用可能であると考えられる。
前記アニリン樹脂(A)としては、特に制限されず、アニリン類を原料として用いて得られる樹脂が挙げられる。
本発明では、特定の樹脂(B)とともに、アニリン樹脂(A)を用いることで、硬度、耐水性および耐溶剤性にバランスよく優れる硬化物を低温で形成することができる。
重量平均分子量が前記範囲にあることで、適度な粘性を有する樹脂組成物を得ることができ、機械特性、平滑性、外観などに優れる硬化物を得ることができる。
なお、前記重量平均分子量は、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定することができる。
アニリン樹脂(A)の含有量が前記範囲にあることで、より貯蔵安定性に優れる樹脂組成物が得られ、より、外観(白濁なく透明、表面が平滑)、鋼板などの基材に対する密着性、耐水性、硬度およびキシレンなどの溶剤に対する耐性にバランスよく優れる硬化物を容易に、低温で得ることができる。
本発明の樹脂組成物には、前記アニリン樹脂(A)を1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
アニリン類1モルに対するアルデヒド類の使用割合は、好ましくは0.5〜4.0モル程度である。
nは0〜5の整数を表し、好ましくは0である。
なお、nが2以上の場合、2つ以上存在するRは、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
前記アニリン系化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
なお、トリオキサンやパラホルムアルデヒドなどのホルムアルデヒドの縮合体は、ホルムアルデヒドを用いて得られるため、例えば、パラホルムアルデヒドを用いて得られる樹脂は、ホルムアルデヒドを含む原料を用いて得られる樹脂である。
前記ホルムアルデヒドは、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記炭素数1〜8のアルコールは、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記酸触媒としては有機酸および無機酸のいずれも用いることができ、有機酸としては蟻酸、蓚酸、パラトルエンスルホン酸などが挙げられ、無機酸としては燐酸、塩酸、硫酸、硝酸などが挙げられる。これらの中でも、有機酸が好ましく、パラトルエンスルホン酸がより好ましい。
無機塩基としては、例えばアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられ、有機塩基としては、例えばモノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等を始めとするアルカノールアミン類、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のアルキルアミン類、アミンモルホリン等のその他のアミン類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらの中でも、有機塩基が好ましく、特にアルカノールアミン類が好ましい。
本発明の樹脂組成物は、水酸基およびイソシアネート基から選ばれる基を少なくとも1つ有する樹脂(B)を含有する。
前記アニリン樹脂(A)とともに、樹脂(B)を用いることで、硬度と耐溶剤性とにバランス良く優れる硬化物を得ることができる。
前記樹脂(B)としては、アニリン樹脂(A)と架橋反応する熱硬化型樹脂であることが好ましく、これらの中でも、より硬度と耐溶剤性とにバランス良く優れる硬化物が得られる等の点から、水酸基を有する樹脂がより好ましい。
前記水酸基を有する樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記イソシアネート基を有する樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
本発明の樹脂組成物は、所望の用途に応じ、本発明の効果を損なわない範囲で、溶媒や分散媒などの希釈剤、顔料、染料、レベリング剤、安定性向上剤、発泡抑制剤、耐候性向上剤、ワキ防止剤および酸化防止剤などのその他の成分を配合したものであってもよい。
このような希釈剤を含む樹脂組成物は、溶剤系の組成物であってもよく、水性組成物であってもよい。
本発明の樹脂組成物は、前記樹脂(A)、樹脂(B)および必要により前記その他の成分や公知の塗料用樹脂を混合することで調製することができる。
本発明の硬化膜は、前記樹脂組成物を硬化させることで形成される。
本発明の硬化膜は、硬度および耐溶剤性にバランス良く優れ、さらに、耐溶剤性、耐水性、基材との密着性、耐候性、機械特性などにも優れる。
このような方法で得られた硬化膜は、基材から剥離して用いてもよいし、基材によっては、基材から剥離せず、そのまま基材と硬化膜との積層体として用いてもよい。
前記樹脂組成物は、低温でも比較的硬化させやすいため、耐熱性に劣る樹脂製基板などを基材として用いて、比較的低温で加熱して硬化させて塗膜を得ることもできるが、本発明の効果をより発揮できることなどから、前記基材としては、金属基板が好ましい。
前記樹脂組成物は、低温で硬化可能であるため、耐熱性に劣る基材を用いることができるなど、所望の用途に応じて、様々な基材を選択することができる。
前記加熱の条件は、基材や樹脂(B)に応じて適宜決めればよく、例えば加熱温度は90〜180℃であることが好ましいが、本発明の樹脂組成物が有する効果をより発揮でき、経済性や基材選択性等の点から、加熱温度は、より好ましくは80〜120℃であり、さらに好ましくは90〜100℃である。加熱時間としては、20〜30分であることが好ましい。
なお、加熱は二段階以上で行ってもよい。
さらに、前記硬化は、減圧下で行ってもよく、不活性ガス雰囲気下等で行ってもよい。
前記鉛筆硬度は、以下の実施例に記載の方法で測定することができる。
下記製造例1および2で得られた樹脂溶液を目視により観察することで、該樹脂溶液の外観を評価した。結果を表1に示す。
下記製造例1および2で得られた樹脂溶液中の不揮発分は、JIS K5601−1−2に基づいて測定した。結果を表1に示す。
下記製造例1および2で得られた樹脂溶液の粘度(気泡粘度)は、JIS K5600−2−2に基づいて測定した。結果を表1に示す。
下記製造例1および2で得られた樹脂の重量平均分子量は、GPCにより以下の条件で測定した。結果を表1に示す。
装置: 昭和電工(株)製、Shodex GPC−101
検出器: RI−71S
カラム: 昭和電工(株)製、GPC KF804L(Φ8.0mm×300mm)×3本
測定温度: 40℃
溶離液: THF(テトラヒドロフラン)
流速: 1.0ml/min
アニリン樹脂溶液1の製造
撹拌機、温度計、還流コンデンサーおよび窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、ホルマリン濃度が92%のパラホルムアルデヒド58.7g(1.8モル)およびキシレン120gを仕込み、90℃まで昇温した。1時間メチロール化反応を行った後、パラトルエンスルホン酸0.75gを加え、還流状態にてアニリン94.0g(1モル)を1時間かけて滴下し、脱水縮合反応を5時間行った。その後、トリエタノールアミン1gを加え、減圧下で生成水を留去した後、不揮発分が60重量%となるまでキシレンで希釈することで、アニリン樹脂溶液1を得た。
アニリン樹脂溶液2の製造
92%のパラホルムアルデヒドの使用量を71.7gに変更し、キシレン120gの代わりにメタノール150gを用い、不揮発分が70重量%となるまでキシレンで希釈した以外は、製造例1と同じ方法でアニリン樹脂溶液2を得た。
下記実施例1〜8および比較例1〜3で得られた硬化膜を目視により観察することで、硬化膜の外観を評価した。結果を表2に示す。
なお、硬化膜が、白濁なく透明であり、表面が平滑である場合を「○」とした。
下記実施例1〜8および比較例1〜3で得られた硬化膜付試験板を用い、JIS K5600−5−6に基づいて、テープ剥離後の密着部位の個数で鋼板と硬化膜との密着性を評価した。結果を表2に示す。
なお、100マス中、剥離した部分が全くない場合を100/100と記載し、全てが剥離した場合を0/100と記載する。
下記実施例1〜8および比較例1〜3で得られた硬化膜付試験板を60℃の水中に1週間浸漬した後の硬化膜の変化を目視により観察した。結果を表2に示す。
なお、水中に浸漬前の硬化膜の状態と同じで、白濁なく透明であり、表面が平滑である場合を「○」とし、水中に浸漬前の硬化膜の状態から変化し、白濁したり、表面状態が変化した場合を「×」とした。
下記実施例1〜8および比較例1〜3で得られた硬化膜の鉛筆硬度をJIS K5600−5−4に基づいて測定した。結果を表2に示す。
下記実施例1〜8および比較例1〜3で得られた硬化膜表面を、ガーゼにキシレン(Xy)を浸したものでこすり、50回往復させたときの硬化膜の変化を目視により観察した。結果を表2に示す。
なお、硬化膜が変化しなかった場合を「○」とし、硬化膜が若干艶引けした場合を「△」とし、硬化膜が変化し、白濁したり、表面状態が変化したり、硬化膜が削れた場合を「×」とした。
下記実施例1〜8および比較例1〜3で得られた樹脂組成物を50mlのガラス管に30g量り取り、40℃で60時間放置後の外観変化を目視により評価した。結果を表2に示す。
なお、樹脂組成物の外観が変化しなかった場合を「○」とし、樹脂組成物の外観が変化し、白濁したり、沈殿が生じた場合を「×」とした。
54部の前記製造例1で得られた樹脂溶液1、108部の水酸基を有するポリエステル樹脂アルマテックスP646(商品名、不揮発分60%、三井化学(株)製)、および、希釈溶剤(キシレン/イソプロピルアルコール/酢酸ブチル=4/1/5)を混合し、樹脂組成物1を調製した。
得られた樹脂組成物1をリン酸亜鉛処理鋼板(150mm×70mm×0.8mm厚さ)に、硬化乾燥膜厚が15μmになるようにバーコーターを用いて塗装した後、該組成物を90℃で30分の条件で硬化させることで硬化膜付試験板を作成した。
実施例1において、樹脂溶液1(54部)の代わりに、製造例2で得られた樹脂溶液2を50部用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物2を調製した。
得られた樹脂組成物2を用いた以外は、実施例1と同様にして、硬化膜付試験板を作成した。
実施例1において、アルマテックスP646(108部)の代わりに、水酸基を有するアクリル樹脂であるアルマテックス784(商品名、不揮発分50%、三井化学(株)製)を130部用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物3を調製した。
得られた樹脂組成物3を用いた以外は、実施例1と同様にして、硬化膜付試験板を作成した。
実施例1において、アルマテックスP646(108部)の代わりに、水酸基を有するエポキシ樹脂であるエポキー813(商品名、不揮発分45%、三井化学(株)製)を144部用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物4を調製した。
得られた樹脂組成物4を用いた以外は、実施例1と同様にして、硬化膜付試験板を作成した。
実施例1において、硬化温度を表2に記載のように変更した以外は、実施例1と同様にして、硬化膜付試験板を作成した。
実施例1において、樹脂溶液1(54部)の代わりに、メチル化メラミン樹脂溶液(商品名、サイメル325:日本サイテックインダストリーズ(株)製、不揮発分80wt%)を38部用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物を調製した。
得られた樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、硬化膜付試験板を作成した。
実施例1において、樹脂溶液1(54部)の代わりに、ブチル化メラミン樹脂溶液(商品名、ユーバン20SE60:三井化学(株)製、不揮発分60%)を58部用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物を調製した。
得られた樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、硬化膜付試験板を作成した。
実施例1において、樹脂溶液1(54部)の代わりに、ブチル化尿素樹脂溶液(商品名、ユーバン10S60:三井化学(株)製、不揮発分60%)を58部用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物を調製した。
得られた樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、硬化膜付試験板を作成した。
Claims (11)
- アニリン樹脂(A)と、水酸基およびイソシアネート基から選ばれる基を少なくとも1つ有する樹脂(B)とを含む樹脂組成物。
- 前記アニリン系化合物1モルに対する前記ホルムアルデヒドの使用量が1.1〜3.0モルである、請求項2に記載の樹脂組成物。
- 前記アニリン樹脂(A)の原料に、さらに炭素数1〜8のアルコールが含まれる、請求項2または3に記載の樹脂組成物。
- 前記アニリン系化合物1モルに対する前記ホルムアルデヒドの使用量が1.1〜3.0モルであり、かつ、前記炭素数1〜8のアルコールの使用量が0.1〜5.0モルである、請求項4に記載の樹脂組成物。
- 前記アニリン樹脂(A)のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量が200〜10000である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記樹脂(B)が、水酸基を有するアクリル樹脂、水酸基を有するポリエステル樹脂、水酸基を有するエポキシ樹脂、水酸基を有するウレタン樹脂およびポリビニルアルコールからなる群より選ばれる1種以上の樹脂である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 塗料用である請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化膜。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物を80〜120℃の温度で硬化させる工程を含む、請求項9に記載の硬化膜の製造方法。
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