JP2016056004A - エレベーター装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】整流カバーに開口部を設け、整流カバー内の機器の性能を維持するために必要な分だけの気流を整流カバー内に取り込み、かつ、乗りかごへの振動及び騒音を抑制することが可能なエレベーター装置を提供する。【解決手段】本発明に係るエレベーター装置は、かご室と、巻上機と、釣合おもりと、前記巻上機に巻きかけられ、前記かご室と前記釣合おもりとを連結する主ロープと、を備えたエレベーター装置において、前記かご室の上部には、整流部が設置され、前記整流部は、平板部と、傾斜部と、を有し、前記傾斜部には、開口部が設けられ、前記開口部には、前記整流部の内部に流入する気流の量を制限する気流調整部材が設けられていることを特徴とする。【選択図】図3
Description
本発明は、エレベーター装置に関し、特に乗りかごに整流部(整流カバー)を備えたエレベーター装置に関する。
一般に、ロープに接続されたかご及び釣合おもりが昇降路内で垂下されて構成されるエレベーター装置において、かごが昇降路内を走行する際、昇降路内に生じる気流によって、かご内で騒音や振動(揺れ)が発生する場合がある。特に、近年は昇降の高速化が進んでいることもあり、この騒音や振動の問題が顕著になっている。
エレベーターにおいて、その昇降路の限られた断面寸法の中で、乗りかごが走行する際に、乗りかごに走行振動及び騒音が発生することは公知である。その走行振動と騒音を低減するために、高速エレベーターの乗りかごには、その上下に整流構造を有するカバー(以下、整風カバー又は整流カバーとも称する)が設置されているものがある。この整流カバーは、昇降路内に発生する風(気流)の乱れ及び渦流を低減することを目的として流線型の構成としており、昇降路内の気流の乱れを抑えて整流し(整流を維持する構成とし)、乗りかごへの振動及び騒音を低減することができる。
整風カバーを設けた乗りかごを有するエレベーター装置として、特許文献1がある。特許文献1には、整風カバーの開口に平板部を形成して、風が整風カバーの内側(内部)に向かって引退する構成の流入部と流出部を設けた整風カバーを有するエレベーターのかご装置が開示されている。特許文献1によれば、整風カバー内に気流を取り込むことで、昇降路内面とかごの出入口の間へ流入する空気量を少なくし、かごの戸と出入り口との隙間からかご室へ伝わる騒音を防止することができるとされている。
エレベーターの乗りかごの上部には、空調装置、気圧調整装置、位置検出器及び制御用部品等の設備部品を設置する必要がある。このため、整風カバーを乗りかごに設ける場合、整風カバーの内部に上記設備部品を設置する。設備部品の1つである位置検出器は、昇降路に設けられた機器との間で情報を授受することと、上記設備部品の過度な温度上昇を防ぐ(機器の設置環境条件を守る)ために、整風カバーには開口部を設ける必要がある。しかしながら、整風カバーに開口部を設ける場合、該開口部から風が流入することにより、かご室への騒音及び振動増大に繋がる問題があった。
上記特許文献1の整風カバーの構造では、昇降路内面とかごの出入口の間へ流入する空気量を低減することはできても、整風カバー内に流入した気流が、整風カバー内に配置された電気部品、空調装置及びかご枠構造品等の凹凸部にあたって、気流の乱れが発生して、乗りかごへの騒音及び振動増大に繋がる問題があった。すなわち、特許文献1においては、整風カバー内に空気が流入することによって生じる振動及び騒音については、何ら対策が講じられていなかった。
本発明は、上記事情に鑑み、整流カバーに開口部を設け、整流カバー内の機器の性能(環境性能)を維持するために必要な分だけの気流を整流カバー内に取り込み、かつ、乗りかごへの振動及び騒音を抑制することが可能なエレベーター装置を提供することにある。
本発明に係るエレベーター装置は、上記目的を達成するため、かご室と、巻上機と、釣合おもりと、巻上機に巻きかけられ、かご室と釣合おもりとを連結する主ロープと、を備えたエレベーター装置において、かご室の上部には、整流部が設置され、整流部は、平板部と、傾斜部と、を有し、傾斜部には、開口部が設けられ、開口部には、整流部の内部に流入する気流の量を制限する気流調整部材が設けられていることを特徴とするエレベーター装置を提供する。
本発明によれば、整流カバーに開口部を設け、整流カバー内の機器の性能を維持するために必要な分だけの気流を取り込み、かつ、機器の性能を阻害する気流の流れ込みを防ぐことができ、乗りかごへの振動及び騒音を抑制することが可能なエレベーター装置を提供することができる。
以下、本発明に係るエレベーター装置の実施形態を図面に基づいて説明する。ただし、本発明はここで取り上げた実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲において変更又は改良を加えることが可能である。
図1は本発明に係るエレベーター装置の一例を示す模式図である。図1に示すように、エレベーター装置100は、乗客を安全に乗せるかご室1と、かご室1を支持するかご枠31と、巻上機34と、釣合おもり33と、巻上機34に巻きかけられ、かご室1と釣合おもり33とを連結する主ロープ30とで構成される。図1には図示しないが、昇降路2にはさらに乗りかご1を案内するためのガイドレールが設けられ、かご枠31に設けられたガイドローラ(後述する図3を参照)を介して、主ロープ30の昇降によって、かご枠31とかご室1がともにガイドレールに沿って昇降路2内を昇降する。乗りかごの上部及び下部のそれぞれに、整流カバー10及び11を設けている。
図2は、図1のかご室1及びかご枠31を模式的に示す斜視図である。図2に示すように、かご枠31は、垂直な昇降路2に対して水平な一対の上梁3及び一対の下梁4と、これら上梁3及び下梁4の両端部同士を連結する左右一対のたて枠5とを口字状に組んで構成される。下梁4の上に床枠6(後述する図3参照)及び防振体8(後述する図3参照)をこの順で設置し、防振体8の上にかご床9(かご室1の床)9を載置している。床枠6とかご床9との間に防振体8を設けることにより、床枠6(かご枠31)からかご床9への振動が絶縁されている。
かご室1は、かご床9と、天井42と、前壁40と、後壁43と、一対の側壁44とを有し、前壁40に出入り口(ドア)41を有する。
図3は、本発明に係る第1の実施形態を模式的に示す側面図(図3の矢印方向から見た図で、主にかご室1、整流カバー10、11及びその周辺の構造)である。図3に示すように、かご室1の上部には、天井42と対向して、出入口部機器及びかご上の装置品(空調装置12及び制御用部品13等)を配置するための取付台7を設置している。取付台7は、かご枠31(たて枠5)に固定されている。
また、取付台7には、取付台7の全面を覆うように、風力外乱を低減できる整流部(整流カバー10)が設置され、エレベーター走行時にかご室1とかご枠31の廻りに発生する風の流れ(気流)16を滑らかにして、その風の乱れに伴って発生するかご室1への走行騒音及び振動を小さくしている。整流カバー10は、取付台7の端部に立設された平板部51と、取付台7を覆うように取付台7と平板部51に固定された傾斜部52とを有する。
整流カバー10内に収める機器類には、かご室1の位置を検出する位置検出器も含まれる。位置検出器は、昇降路の壁面に設けられた機器との間で信号の授受を行う必要がある。また、整流カバー10内に収められた機器の温度上昇を防ぎ、機器の設置環境を守るために、整流カバー10には、昇降路2から気流を取り込むための開口部15が設けられる。本実施形態では、整流カバー10の傾斜部52において、乗りかご1の後壁43側に開口部15が設けられる。そして、開口部15には、整流カバー10の内部に流入する気流の量を制限する気流調整部材17が設けられている。
図4は、第1の実施形態(開口部及び気流調整部材)を模式的に示す斜視図である。図4に示すように、本実施形態では、気流流調整部材17aは、開口部15aの上端から昇降路2の斜め下方に向かって傾斜する板状部材(庇板)で構成される。この板状部材17aは、斜め上方に向かって凸をなすような形状(流線型)であることが好ましい。開口部15に、このような形状の板状部材17aを設けることで、乗りかご(かご室1)の上昇時に昇降路内に発生する気流の流れ16を滑らかにして、整流カバー10の内部に流入する気流を低減することができる。この結果、上昇時のかご室1への騒音及び振動を小さくすることができる。
一方、乗りかご(かご室1)の下降時には、気流16の向きが逆(図3の下方から上方へ向かう方向)になり、整流カバー10内に気流16を取り込み、整流カバー10内に設置した空調装置12及び制御用部品13等の温度上昇を抑えることができる特徴がある。
近年の高速エレベーター装置では、かごが上昇する定格速度を、下降する定格速度よりも速くなるように設定していることが多い。例えば上昇する定格速度は1000m/分に設定され、一方で下降する定格速度は500m/分程度に設定される。このような場合には、乗りかごが上昇するときに発生する騒音や振動を低減する必要があるが、下降するときの速度は比較的小さいため、上昇するときに比べて、騒音低減の必要性が小さい。
上述したように、上記傾斜板17aは、上昇する方向に対して流線型をなしているが、その一方で、下降する方向に対しては、整流カバー10内に気流16の流れを取り込みやすい形状をなしており、整流カバー10内に設置した空調装置12及び制御用部品13等の温度上昇を抑えることができる特徴がある。したがって、整流カバー10の開口部15aに傾斜板17aを設けることで、かご室1の上昇時には、整流カバー10への気流の流入量を低減し、かご室1への振動及び騒音を抑制し、かつ、かご室1の下降時には、整流カバー10内に設置された機器の性能を維持するために必要な分だけの気流を取り込むことが可能となる。
また、上記傾斜板17aは、整流カバー10(傾斜部52)に開口部15aを設け、該開口の上端(傾斜部52の一部)を斜め上方に向かって凸にするよう曲げ加工することで製造できるため、傾斜部52と一体にして設けることができ、容易に加工製造できる特徴がある。
図5は、本発明に係る第2の実施形態(整流カバー)を模式的に示す斜視図である。図5は、図1に示した開口部15を、かご室1の側壁44側に設置した実施形態を示す。一般的に、かご室の側壁側には、位置検出装置を設置することがある。その場合においても、上記したように、開口部15bの上端に傾斜板17bを設けることで、整流カバー10内に設置された機器の性能を維持するために必要な分だけの気流を取り込み、かつ、乗りかごへの振動及び騒音を抑制することが可能となる。また、かご室の側壁側は、前壁側に対して気流の流れが小さく、気流を乱さないで整流カバー10の騒音低減の効果を得られる。開口部及び気流調整部材は、複数設けられていても良い(15b,c及び17b,c)。また、第1の実施形態に係る開口部15a及び気流調整部材17a(かご室1の後壁43側)と、本実施形態の開口部15b,c及び気流調整部材17b,c(かご室1の側壁44側)とを組み合わせたものであってもよい。
図6は、本発明に係る第3の実施形態(整流カバー)を模式的に示す斜視図であり、図7及び8は本発明に係る第3の実施形態(整流カバー)を模式的に示す側面図である。図6〜8は以下の同じ形状の気流調整部材を有するものであるが、図6は傾斜部52に設けられる開口部及び気流調整部材を、かご室1の側壁44側に設けた態様を示し、図7及び8は気流調整部材をかご室1の後壁43側に設けた態様を示している。
図6〜8に示すように、本実施形態に係る気流調整部材は、複数の板状部材で形成された鎧戸とし、鎧戸を自動で開閉する制御装置70を備えている。このような構成とすることで、かご室1が上昇する際には、図7に示すように開口部を閉じ、整流カバー全体の整流構造を維持するが、下降時には、図8に示すように開口部を開いて気流を取り込む構成としてもよい。また、板状部材の傾斜の角度を調整することによって、開口の大きさを変化させることができる。
図9は、本発明に係る第4の実施形態(開口部及び気流調整部材)を模式的に示す側面図である。図9に示すように、本実施形態に係る気流調整部材は、開口部15全面を覆う板状部材91と、開口部15の上端で整流カバーの傾斜部52と板状部材91とを接続するヒンジ92と、板状部材91を回転させる開閉装置95と、開閉装置95を制御する制御装置96とを有する。開閉装置95は、ボールねじ93とボールねじ93を駆動する駆動装置94からなる。
図9は、図4に示した傾斜板17aを上下方向に大きくして、自動で開閉できるようにした一実施例である。整流カバー10に開口部15を設けて、その上部でヒンジ92で接続された板状部材91の下部にて、板状部材91は制御装置96と結線された駆動装置94とボールねじ93で接続されていて、板状部材91を自動で開閉できるようにしている。本実施形態によれば、第3の実施形態と同様に、かご室1の上昇時には開口部15を閉じ、整流カバー10全体の整流構造を維持するが、下降時には開口部15を開いて気流を取り込むことで、整流カバー10内に気流を取り込み、整流カバー10内の温度上昇を抑制する効果がある。
以上説明したように、本発明によれば、整流カバーに開口部を設け、整流カバー内の機器の性能を維持するために必要な分だけの気流を取り込み、かつ、乗りかごへの振動及び騒音を抑制することが可能なエレベーター装置を提供することができることが示された。
なお、上記した実施例は、本発明の理解を助けるために具体的に説明したものであり、本発明は、説明した全ての構成を備えることに限定されるものではない。例えば、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。さらに、各実施例の構成の一部について、削除・他の構成に置換・他の構成の追加をすることが可能である。
1…かご室、2…昇降路、3…上梁、4…下梁、5…たて枠、6…床枠、7…取付台、8…防振体、9…かご床、10…整流材(上部整流カバー)、11…整流材(下部整流カバー)、12…空調装置、13…制御用部品、14…ローラガイド、15a,b,c,d…開口部、16…気流、17a,b,c,d…気流調整材、30…主ロープ、31…かご枠、33…つり合いおもり、34…巻上機、40…かご室の前壁、41…出入り口、42…かご室の天井、43…かご室の後壁、44…かご室の側壁、51…平板部、52…傾斜部、70,96…制御装置、91…板状部材、92…ヒンジ、93…ボールねじ、94…駆動装置、95…開閉装置、100…エレベーター装置。
Claims (8)
- かご室と、巻上機と、釣合おもりと、前記巻上機に巻きかけられ、前記かご室と前記釣合おもりとを連結する主ロープと、を備えたエレベーター装置において、
前記かご室の上部には、整流部が設置され、
前記整流部は、平板部と、傾斜部と、を有し、
前記傾斜部には、開口部が設けられ、
前記開口部には、前記整流部の内部に流入する気流の量を制限する気流調整部材が設けられていることを特徴とするエレベーター装置。 - 前記気流調整部材は、前記開口部の上端から前記昇降路の斜め下方に向かって傾斜する板状部材であることを特徴とする請求項1記載のエレベーター装置。
- 前記気流調整部材は、前記開口部の上端から前記昇降路の斜め下方に向かって、上方に向かって凸を描きながら傾斜する部材であることを特徴とする請求項1記載のエレベーター装置。
- 前記気流調整部材は、複数の板状部材で構成された鎧戸であることを特徴とする請求項1記載のエレベーター装置。
- さらに、前記鎧戸の開閉を制御する制御装置を有することを特徴とする請求項4記載のエレベーター装置。
- 前記気流調整部材は、前記開口部の全面を覆う板状部材と、前記開口部の上端で前記傾斜部に対して前記板状部材を回転可能に接続するヒンジと、前記板状部材を回転させる開閉装置と、前記開閉装置を制御する制御装置と、を有することを特徴とする請求項1記載のエレベーター装置。
- 前記開閉装置は、ボールねじ及び前記ボールねじを駆動する駆動装置からなることを特徴とする請求項6記載のエレベーター装置。
- 前記制御装置は、前記かご室の上昇時に前記開口部を閉じ、前記かご室の下降時に前記開口部を開くように前記気流調整部材の開閉を制御することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載のエレベーター装置。
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