JP2016050951A - 凹型フレネルレンズ及び凹型フレネルレンズの制御方法 - Google Patents

凹型フレネルレンズ及び凹型フレネルレンズの制御方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016050951A
JP2016050951A JP2014174128A JP2014174128A JP2016050951A JP 2016050951 A JP2016050951 A JP 2016050951A JP 2014174128 A JP2014174128 A JP 2014174128A JP 2014174128 A JP2014174128 A JP 2014174128A JP 2016050951 A JP2016050951 A JP 2016050951A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode
liquid
unit lens
fresnel lens
concave fresnel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014174128A
Other languages
English (en)
Inventor
石川 貴之
Takayuki Ishikawa
貴之 石川
篤志 表
Atsushi Omote
篤志 表
健司 田頭
Kenji Tagashira
健司 田頭
正人 石野
Masato Ishino
正人 石野
美濃 規央
Norihisa Mino
規央 美濃
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Original Assignee
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd filed Critical Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority to JP2014174128A priority Critical patent/JP2016050951A/ja
Publication of JP2016050951A publication Critical patent/JP2016050951A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Mechanical Light Control Or Optical Switches (AREA)

Abstract

【課題】優れた光学特性を有する凹型フレネルレンズを提供する。
【解決手段】複数の単位レンズ構造201〜207およびドライバーを備え、各単位レンズ構造は、第1側面103a、第2側面103b、および底面とによって規定されるセルと、第1側面103a側に、撥水層および誘電体層を含む第1電極構造と、第2側面103b側に、撥水層および誘電体層を含む第2電極構造と、セルの内部に配置され、非極性液体である第1液体と、第1液体と混和せず、第1液体との間で凹型フレネルレンズの光軸方向と交差する方向に界面126を形成可能であり、第1液体より小さい屈折率の極性液体である第2液体と、底面に設けられた基準電極構造とを備え、ドライバーは、各単位レンズ構造に、第1液体と第2液体との界面126が、第2側面103b側で低く、第1側面103a側で高い傾斜を形成するように、第1電極および第2電極に電圧を印加するよう構成されている。
【選択図】図1B

Description

本願は、エレクトロウェッティングを用い、焦点距離を変化させることができる凹型フレネルレンズに関する。
エレクトロウェッティング(Electrowetting)は、疎水性の誘電体膜が設けられた電極と、誘電体膜上に配置される液滴との間に電位差を与えることにより、液滴の接触角が減少する現象である。エレクトロウェッティングによる液滴制御により、焦点距離を変化させることができる可変焦点レンズの開発が進められている。
特許文献1、非特許文献1、2は、エレクトロウェッティングを用いた可変焦点レンズを開示している。セル内に極性溶媒と、極性溶媒とは混和しない非極性溶媒とを封入すると、セル内には極性溶媒と非極性溶媒との界面が生じる。この界面はレンズの屈折面として利用できるため、エレクトロウェッティングによって、界面の制御を行えば、レンズとしての集光位置を制御できる。よって、可変焦点レンズが実現できる。特許文献1は、このようなセルを複数並列的に並べることにより構成された凸型フレネルレンズを開示している。
特表2007−519025号公報
Jiangtao Cheng and Chung-Lung Chen, "Adaptive beam tracking and steering via electrowetting-controlled liquid prism", Applied Physics Letters, 2011, Vol. 99, 191108 Jiangtao Cheng, Sungyong Park, Chung-Lung Chen, "Optofluidic solar concentrators using electrowetting tracking: Concept, desing, and characterization", Solar Energy, 2013, Vol. 89, 152-161
エレクトロウェッティングを用いた可変焦点レンズでは、光学特性のさらなる向上が求められていた。本願に開示された例示的なある実施形態は、優れた光学特性を有する凹型フレネルレンズを提供する。
本開示の一実施形態に係る凹型フレネルレンズは、複数の単位レンズ構造およびドライバーを備え、正の屈折力を有する凹型フレネルレンズであって、各単位レンズ構造は、第1側面、前記第1側面に対向して位置する第2側面、前記第1側面と前記第2側面とを接続する底面、および、前記第1側面と前記第2側面と前記底面とによって規定される内部空間を有するセルと、第1電極、撥水層、および、前記第1電極と前記撥水層との間に位置する誘電体層を含み、前記第1電極が前記第1側面側に位置するように前記第1側面に設けられた第1電極構造と、第2電極、撥水層、および、前記第2電極と前記撥水層との間に位置する誘電体層を含み、前記第2電極が前記第2側面側に位置するように前記第2側面に設けられた第2電極構造と、前記セルの内部空間に配置され、第1屈折率を有する非極性液体である第1液体と、前記セルの内部空間に配置され、前記第1液体と混和せず、前記第1液体との間で前記凹型フレネルレンズの光軸方向と交差する方向に界面を形成可能であり、前記第1屈折率より小さい第2屈折率を有し、極性液体である第2液体と、基準電極および誘電体層を含み、前記基準電極が前記底面側に位置するように前記底面に設けられた基準電極構造とを備え、前記複数の単位レンズ構造のそれぞれは、前記第2側面が前記第1側面より前記凹型フレネルレンズの光軸側に位置し、かつ、前記第1側面が隣接する単位レンズ構造の第2側面と隣接するように配置され、前記複数の単位レンズ構造は、前記光軸上に位置しておらず、前記ドライバーは、各単位レンズ構造に、前記第1液体と前記第2液体との界面が、前記第2側面側で低く、前記第1側面側で高い傾斜を形成するように、前記第1電極および前記第2電極に電圧を印加するよう構成されている。
本開示の凹型フレネルレンズによれば、光学特性をより向上させることができる。
本実施形態の凹型フレネルレンズの模式的な上面図である。 本実施形態の凹型フレネルレンズの模式的な断面図である。 本実施形態の凹型フレネルレンズのドライバーの構成を示すブロック図である。 本実施形態の凹型フレネルレンズの各単位レンズ構造における、電圧を印加しない場合の2つの液体の界面を示す図である。 本実施形態の凹型フレネルレンズの各単位レンズ構造における、電圧を印加した場合の2つの液体の界面を示す図である。 本実施形態の凹型フレネルレンズの各単位レンズ構造における、電圧を印加した場合の2つの液体の界面を示す図である。 本実施形態の凹型フレネルレンズの各単位レンズ構造における、電圧を印加した場合の2つの液体の界面を示す図である。 本実施形態の他の例による凹型フレネルレンズの模式的な上面図である。 本実施形態の他の例による凹型フレネルレンズの模式的な上面図である。 本実施形態の他の例による凹型フレネルレンズの模式的な上面図である。 本実施形態の他の例による凹型フレネルレンズの模式的な上面図である。 実施例1に係るレンズセルの構成図を示す模式図である。 実施例1に係るレンズセルの断面を示す図である。 実施例2に係る凹型フレネルレンズの構成を示す模式図である。 実施例2に係る凹型フレネルレンズの断面を示す図である。 比較例に係る凸型フレネルレンズの断面を示す図である。 実施例3に係るセル幅検証用のレンズセルの構成を示す模式図である。 実施例3に係るセル幅検証用のレンズセルにおける2つの液体の界面の状態を示す図である。 実施例3に係るセル幅検証用のレンズセルにおける2つの液体の界面の状態を示す図である。 実施例3に係るセル幅検証用のレンズセルにおける2つの液体の界面の状態を示す図である。 実施例3に係るセル幅検証用のレンズセルにおける2つの液体の界面の状態を示す図である。
(本発明に至った知見)
特許文献1は、エレクトロウェッティングによる複数のレンズセルを環状に形成し、同心円状に配置した可変焦点レンズを開示している。この可変焦点レンズでは、非極性溶媒が上部に位置し、極性溶媒が下部位置する。また、各レンズセルにおける極性溶媒の液面形状は凸型フレネルレンズと同様の構造をとっている。この可変焦点レンズで、太陽光に代表される平行光を上部から入射させ、非極性溶媒と極性溶媒との界面で入射光を屈折させ一点に集光させるためには、(1)非極性溶媒の屈折率より極性溶媒の屈折率が大きく、(2)非極性溶媒の密度より極性溶媒の密度が大きく、かつ(3)極性溶媒と非極性溶媒が混ざらないような材料選択をする必要がある。
以下の表1に代表的な非極性溶媒の屈折率および密度を示す。表2にエレクトロウェッティングによる濡れ制御が可能な極性溶媒の屈折率および密度を示す。
Figure 2016050951
Figure 2016050951
一般的に極性溶媒に比べて非極性溶媒の屈折率は大きいため、上述の(1)から(3)の関係を満たす非極性溶媒および極性溶媒は、X−24−9246(シリコーンオイル)とホルムアミドといった組み合わせに限られており、材料の選択肢が少ないという課題がある。
また、(1)から(3)の関係を満たす非極性溶媒および極性溶媒における屈折率の差は小さく、得られる屈折角も非常に小さい。このため、焦点距離が非常に長くなり、可変させる範囲も狭くなり、可変焦点レンズとしての光学特性が低いという課題がある。
また、それぞれのレンズセルにおいて、レンズセルの幅が大きすぎると、電極付近の液面のみにエレクトロウェッティングによる濡れ性変化の効果が発現し、電極から離れたレンズセル中心部の液面形状を制御できない。また、レンズセルの幅が狭すぎると、メニスカス力の効果が強くなり、液面形状を制御が困難となる。特許文献1は、これらの点についてなんら示唆をしていない。
本願発明者はこのような課題に鑑み新規な構造を有する凹型フレネルレンズを想到した。本願に開示された凹型フレネルレンズおよびその制御方法の概要は以下の通りである。
本開示の一実施形態に係る凹型フレネルレンズは、複数の単位レンズ構造およびドライバーを備え、正の屈折力を有する凹型フレネルレンズであって、各単位レンズ構造は、第1側面、前記第1側面に対向して位置する第2側面、前記第1側面と前記第2側面とを接続する底面、および、前記第1側面と前記第2側面と前記底面とによって規定される内部空間を有するセルと、第1電極、撥水層、および、前記第1電極と前記撥水層との間に位置する誘電体層を含み、前記第1電極が前記第1側面側に位置するように前記第1側面に設けられた第1電極構造と、第2電極、撥水層、および、前記第2電極と前記撥水層との間に位置する誘電体層を含み、前記第2電極が前記第2側面側に位置するように前記第2側面に設けられた第2電極構造と、前記セルの内部空間に配置され、第1屈折率を有する非極性液体である第1液体と、前記セルの内部空間に配置され、前記第1液体と混和せず、前記第1液体との間で前記凹型フレネルレンズの光軸方向と交差する方向に界面を形成可能であり、前記第1屈折率より小さい第2屈折率を有し、極性液体である第2液体と、基準電極および誘電体層を含み、前記基準電極が前記底面側に位置するように前記底面に設けられた基準電極構造とを備え、前記複数の単位レンズ構造のそれぞれは、前記第2側面が前記第1側面より前記凹型フレネルレンズの光軸側に位置し、かつ、前記第1側面が隣接する単位レンズ構造の第2側面と隣接するように配置され、前記複数の単位レンズ構造は、前記光軸上に位置しておらず、前記ドライバーは、各単位レンズ構造に、前記第1液体と前記第2液体との界面が、前記第2側面側で低く、前記第1側面側で高い傾斜を形成するように、前記第1電極および前記第2電極に電圧を印加するよう構成されている。
前記ドライバーは、前記光軸上に位置する単位レンズ構造を除く単位レンズ構造のうち、前記光軸から外側に位置する単位レンズ構造における前記第1液体と前記第2液体との界面ほど、前記光軸に垂直な方向に対して大きく傾斜するように、各単位レンズ構造の前記第1電極および前記第2電極に電圧を印加するように構成されていてもよい。
前記凹型フレネルレンズは、前記複数の単位レンズ構造と同じ構造を備え、前記光軸上に位置する中央単位レンズ構造をさらに含み、前記ドライバーは、前記中央単位レンズ構造の前記第1電極および前記第2電極に、前記第1液体と前記第2液体との界面が前記光軸に対して垂直となるように電圧を印加するよう構成されていてもよい。
各単位レンズ構造の前記底面は環形状を備え、かつ、互いに異なる大きさを有し、前記複数の単位レンズ構造は、前記底面の中心が前記凹型フレネルレンズの光軸と一致するように同心状に配置されていてもよい。
前記凹型フレネルレンズは、底面、前記底面の外周に位置する筒状側面、および前記筒状側面及び前記底面によって規定される内部空間を有するセルと、筒状電極、撥水層、および、前記筒状電極と前記撥水層との間に位置する誘電体層を含み、前記筒状電極が前記筒状側面側に位置するように前記筒状側面に設けられた筒状電極構造と、前記セルの内部空間に配置された前記第1液体と、前記セルの内部空間に配置された前記第2液体と、基準電極、および誘電体層を含み、前記基準電極が前記底面側に位置するように前記底面に設けられた基準電極構造とを有する中央単位レンズ構造をさらに含み、前記中央単位レンズ構造は前記凹型フレネルレンズの前記光軸状に位置しており、前記ドライバーは、前記中央単位レンズ構造の前記筒状電極に、前記第1液体と前記第2液体との界面が前記光軸に対して垂直となるように電圧を印加するよう構成されていてもよい。
前記環状底面は、円形状、四角形状または六角形状を有していてもよい。
前記第1液体は、前記第2液体より小さい密度を有していてもよい。
前記第1液体はKF−56であり、前記第2液体は純水であってもよい。
前記第1側面と前記第2側面との間隔は5mm以上10mm以下であってもよい。
本開示の一実施形態に係る凹型フレネルレンズの制御方法は、複数の単位レンズ構造を備え、正の屈折率を有する凹型フレネルレンズの制御方法であって、各単位レンズ構造は、第1側面、前記第1側面に対向して位置する第2側面、前記第1側面と前記第2側面とを接続する底面、および、前記第1側面と前記第2側面と前記底面とによって規定される内部空間を有するセルと、第1電極、撥水層、および、前記第1電極と前記撥水層との間に位置する誘電体層を含み、前記第1電極が前記第1側面側に位置するように前記第1側面に設けられた第1電極構造と、第2電極、撥水層、および、前記第2電極と前記撥水層との間に位置する誘電体層を含み、前記電極が前記第2側面側に位置するように前記第2側面に設けられた第2電極構造と、前記セルの内部空間に配置され、第1屈折率を有する非極性液体である第1液体と、前記セルの内部空間に配置され、前記第1液体と混和せず、前記第1液体との間で前記凹型フレネルレンズの光軸方向と交差する方向に界面を形成可能であり、前記第1屈折率より小さい第2屈折率を有し、極性液体である第2液体と、基準電極および誘電体層を含み、前記電極が前記面側に位置するように前記底面に設けられた基準電極構造とを備え、前記複数の単位レンズ構造のそれぞれは、前記第2側面が前記第1側面より前記凹型フレネルレンズの光軸に位置し、かつ、前記第1側面が隣接する単位レンズ構造の第2側面と隣接するように配置され、前記複数の単位レンズ構造は、前記光軸上に位置しておらず、各単位レンズ構造に、前記第1液体と前記第2液体との界面が、前記第2側面側で低く、前記第1側面側で高い傾斜を形成するように、前記第1電極および前記第2電極に電圧を印加する。
以下、図面を参照しながら本実施形態の凹型フレネルレンズの実施形態を詳細に説明する。
本実施形態の凹型フレネルレンズは、エレクトロウェッティングによって焦点を変化させることのできるレンズ部と、レンズ部を駆動するドライバーとを備える。図1Aは、本実施形態の凹型フレネルレンズ11のレンズ部の模式的な上面図であり、図1Bは図1Aに示す破線部分における模式的な断面である。図1Cはレンズ部を駆動するドライバー50のブロック図である。
図1Aに示すように、凹型フレネルレンズ11のレンズ部は、単位レンズ構造201−207を備える。本実施形態では、単位レンズ構造202−207のそれぞれは、円環形状を有している。また、凹型フレネルレンズ11の光軸OA上に位置する単位レンズ構造(中央単位レンズ構造)201は柱形状を有している。単位レンズ構造202−207の底面の大きさは互いに異なっている。また、単位レンズ構造202−207は、底面の中心が凹型フレネルレンズの光軸OAと一致するように同心状に配置されている。
本実施形態では、凹型フレネルレンズ11は7つの単位レンズ構造を備えているが、単位レンズ構造の数は7に限られない。単位レンズ構造の数が多いほど、より細かく屈折面の制御が可能になり、より高いエネルギー密度を得ることができる。また、本実施形態では、凹型フレネルレンズ11は、光軸OA上に位置する単位レンズ構造201を備えているが、単位レンズ構造201はなくてもよい。
図2Aは、各単位レンズ構造の断面構造を示している。単位レンズ構造202−207は、環状底面102c、第1側面103a、第2側面103bを有するセル120を有する。第1側面103aと第2側面103bとは対向して位置し、環状底面102cは、
第1側面103aと第2側面103bとを接続している。セル120の各面を構成する部材は、ガラス基板によって構成されていることが好ましい。特に基板表面が平滑であり、透過性の高いものが適している。
本実施形態では、環状底面102c、第1側面103a、第2側面103bは、それぞれ、下部ガラス基板102および2つの側面ガラス基板103によって構成される。環状底面102cは、円環形状を有しており、第1側面103aは、円環形状の外側に位置している。また、第2側面103bは円環形状の内側に位置している。このため、単位レンズ構造202−207のそれぞれは、第2側面103bが第1側面103aより光軸OA側に位置し、かつ、第1側面103aが隣接する単位レンズ構造の第2側面103bと隣接するように配置される。
第1側面103a、第2側面103bおよび環状底面102cによって内部空間124が規定される。内部空間124に配置される極性溶媒および非極性溶媒の蒸発を抑制するために、単位レンズ構造の開口をふさぐ上部ガラス基板101がさらに設けられている。上部ガラス基板101および下部ガラス基板102は凹型フレネルレンズ11における光路となる。このため、所望の光の波長(たとえば可視光、紫外線領域等)に対して透過性を有している。
各単位レンズ構造は、第1側面103a、第2側面103bおよび環状底面102cにそれぞれ位置する第1電極構造122a、第2電極構造122bおよび基準電極構造122cを含む。
第1電極構造122aは、第1電極105、撥水層108、および、第1電極105と撥水層108との間に位置する誘電体層107を含み、第1電極105が第1側面103a側に位置している。同様に、第2電極構造122bは、第2電極106、撥水層108、および、第2電極106と撥水層108との間に位置する誘電体層107を含み、第2電極106が第2側面103b側に位置している。基準電極構造122cは、基準電極104および誘電体層107を含み、基準電極104が環状底面102c側に位置している。
以下において説明するように、第1電極構造122aが設けられる第1側面103aと第2電極構造122bが設けられる第2側面103bとの間隔は5mm以上10mm以下が好ましい。この間隔に設定することにより、内部空間124に配置する2つの液体の界面全体を第1電極105および第2電極106に印加した電圧によって制御することが可能である。
基準電極104、第1電極105および第2電極106として、Au、Pt、Cu、Al、Agなど、各種金属材料を用いて形成することができる。また透過性が必要な場合には、ITOやZnOなどの透明導電材料を用いることができる。ガラス基板や、誘電体層との高い密着性が必要な場合には、CrやTiなどの金属材料からなる層と、上述の材料からなる層とを積層することによって電極を構成してもよい。各電極は蒸着法、スパッタ法などの形成方法を用いることができる。電極の厚さが大きい場合、基板との段差が生じ、誘電体層および撥水層の形成に悪影響が生じ得る。電極の厚さが小さい場合、十分な導電性が得られず、抵抗が高くなる。このため、電極に電圧を印加した場合、配線抵抗により電圧をロスし、電極構造に接触する電極に所望の電圧が印加できなくなる。したがって、電極の厚さは、0.1μm以上、1μm以下が好ましい。
誘電体層107は絶縁体によって形成される。パリレンに代表される種々の高分子化合物や、SiO2に代表される無機化合物の各種酸化物、複合酸化物、窒化物、などの絶縁材料を誘電体層107に用いることができる。エレクトロウェッティングによる駆動に必要な電圧を下げるためには誘電体層107の静電容量が大きいことが好ましい。このため、薄膜に形成が可能な誘電体材料や、高い比誘電率を有する材料が好ましく用いることができる。高分子化合物を誘電体層107に用いる場合、ディッピング法、スプレーコート法、スピンコート法などの方法を用い、塗布によって形成することができる。無機化合物を誘電体層107に用いる場合、スパッタ法、スプレーコート法、スピンコート法などの方法を用いることができる。
撥水層108は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、AF1600(デュポン社製)など、フルオロアルキル鎖を有し、一般に高い撥水性能を有する化合物を用いることができる。フルオロアルキル鎖を有する化合物のうち、シランカップリング剤を置換基として有する化合物は、カップリング反応により、誘電体層107と共有結合を形成するため、剥離が抑制され得る。シランカップリングが可能なフルオロアルキル鎖を有する化合物として、例えば、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルトリメトキシシラン、パーフルオロデシルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルトリクロロシラン、パーフルオロデシルトリクロロシラン、CYTOP(旭硝子(株)製)、オプツール(ダイキン工業製)を用いことができる。撥水層108は、第2液体109に対する固液界面の摩擦力が弱いほうが好ましく、具体的には第2液体109に対して滑落角(膜上で10μlの純水が滑り出す角度)が30°以下である撥水材料を用いることが好ましい。また、エレクトロウェッティングによる駆動に必要な電圧を下げるためには、撥水層108の厚さは小さいことが好ましいが、小さすぎると厚さムラ、絶縁破壊等の問題が生じ得る。このため、撥水層108の厚さは、0.1μm以上、2μm以下が好ましい。
セル120の内部空間124には、第1液体110および第2液体109が配置されている。第1液体は非極性液体であり、第1屈折率を有する。第2液体109は、極性液体であり、第2屈折率を有する。第1屈折率は第2屈折率より大きい。また、凹型フレネルレンズ11の光軸OAと交差する方向に界面を形成し得る。つまり、第1液体110および第2液体109は互いに混和せず、第1液体110および第2液体109の密度は互いに異なっている。本実施形態では、第1液体110の密度は、第2液体109の密度よりも小さい。
第1液体110には、四塩化炭素や炭化水素系の非極性溶媒を用いることができる。化学構造上、極性が小さく、かつ多くの極性溶媒に対して混ざらないシリコーンオイル等を好適に用いることができる。本実施形態では、このような非極性溶媒のうち、第2液体109よりも大きな屈折率および小さい密度を有する非極性溶媒を用いる。
第2液体109には、水、アミド、グリコール、グリセリン、アミノアルコール、ヒドロキシアミンおよび多価アルコールからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む溶媒を用いる。これにより、エレクトロウェッティングによる液滴動作が可能になる。特に純水のように、極性の高い溶媒を用いることによって、エレクトロウェッティングの液滴動作が安定する。また、ホルムアミドは極性力成分が大きく、沸点が高いため、エレクトロウェッティングによる液滴動作が安定しており、好適に用いることができる。
光軸OA上に位置している単位レンズ構造201は、円柱形状を有している。底面102Cは円形状を有する。第1側面および第2側面の区別はなく、単位レンズ構造201は、底面の外周に位置する筒状側面103a’を有する。筒状側面103a’には、筒状電極105’が設けられる。これは、光軸OA上に位置する単位レンズ構造201の界面は光軸OAに垂直な方向に対して傾斜させる必要がなく、第1液体110と第2液体109の界面の外周から、同じ電圧を印加すればよいからである。しかし、筒状側面103a’に第1電極および第2電極を設け、常に同じ電圧を印加してもよい。
図1Cは、単位レンズ構造202−207の第1電極105および第2電極106に印加するドライバー50のブロック図である。ドライバー50は、第1電圧発生器52A−57A、第2電圧発生器52B−57B、制御器58および入力装置59を含む。第1電圧発生器52Aおよび第2電圧発生器52Bの高電位側の出力端子T2A、T2Bは単位レンズ構造202の第1電極105、第2電極106にそれぞれ接続されている。また、低電位側の基準電位端子TCは、単位レンズ構造201の基準電極104に接続されている。単位レンズ構造203−207の電極にも同様に第1電圧発生器53A−57A、第2電圧発生器53B−57Bの端子が接続されている。
第1電圧発生器52A−57Aおよび第2電圧発生器52B−57Bは直流出力電圧を変化させることが可能であり、制御器58からの制御信号に基づき、各単位レンズ構造の第1電極105、第2電極106に印加する電圧を発生させる。制御器58は、入力装置59から入力される指令に基づき制御信号を生成する。制御器58は、入力装置59から各単位レンズ構造の第1電極105、第2電極106に印加する電圧の値を受け取り、制御信号を生成してもよい。あるいは、凹型フレネルレンズ11の焦点距離を受け取り、焦点距離に基づき、各単位レンズ構造201の第1電極105、第2電極106に印加する電圧を決定し、制御信号を生成してもよい。
凹型フレネルレンズ11が、光軸OA上に位置する単位レンズ構造201を備える場合、筒状電極105’に電圧を印加するための電圧発生器51A’をさらに備える。電圧発生器51A’が生成する電圧は制御器58によって制御可能である。電圧発生器51A’の端子T1A’が筒状電極105’に電気的に接続されている。
次に、図2Aから図2Dを参照して、単位レンズ構造の第1電極105および第2電極106に印加する電圧と、第1溶媒と第2溶媒との界面状態との関係を説明する。
図2Aに示すように、第1電極105および第2電極106に印加する電圧によって、撥水層108と、第2液体109と第1液体110との三相界面125a、125bにおいて、第2液体109に対する撥水層108の濡れが変化する。
図2Aに示すように、第1電極105および第2電極106に電圧を印加しない場合、撥水層108の撥水性により、第2液体109の撥水層108に対する接触角θa、θbは大きくなる。このため、図2Aに示すように、第1液体110と第2液体109の界面126は、上に凸の形状をとる。
基準電極104を基準端子Tcに接続し、第1電極105および第2電極106に同じ電圧を印加すると、第1側面103aの撥水層108と第2側面103bの撥水層108は第2液体109に対して同じ程度で濡れ性が大きくなる。その結果、図2Bに示すように、第1側面103aおよび第2側面103bにおける接触角θa、θbはそれぞれ90°になり、界面126は光軸OAに対して垂直になる。
図2Cに示すように、第1電極105に第2電極106より高い電圧を印加すると、第1側面103aの撥水層108の濡れ性が、第2側面103bの撥水層108の濡れ性よりもよくなる。このため、θaがθbより小さくなる。つまり、第1側面103a側で界面が高く第2側面103b側で界面が低くなるように光軸OAに対して界面126が傾斜する。
図2Dに示すように、第2電極106に第1電極105より高い電圧を印加すると、第2側面103bの撥水層108の濡れ性が、第1側面103aの撥水層108の濡れ性よりもよくなる。このため、θbがθaより小さくなる。つまり、第2側面103b側で界面が高く第1側面103a側で界面が低くなるように光軸OAに対して界面126が傾斜する。
このように、単位レンズ構造202−207の第1電極105および第2電極106に印加する電圧を異ならせることによって、第1液体110と第2液体209の界面126の光軸OAと垂直な方向に対する傾きを変化させることができる。界面の傾きは、高電圧側の印加電圧を大きくすることにより、調整することが可能である。ただし、エレクトロウェッティングによる接触角の変化は一定電圧を超えると飽和する。例えば、200Vより大きい電圧を第1電極105および第2電極106に印加しても、接触角はほとんど変化しなくなる。
図1Bに本実施形態の凹型フレネルレンズ11において、各単位レンズ構造の第1電極105、第2電極106にドライバー50から所定の電圧を印加し、第1液体110と第2液体109との界面126を傾斜させた状態示す。
ドライバー50は、光軸OA上に位置する単位レンズ構造201の筒状電極105’に、第1液体と第2液体との界面が光軸OAに対して垂直となるように電圧を印加する。また、単位レンズ構造202−207のそれぞれの第1電極105および第2電極106に、第1液体110と第2液体109との界面126が、第2側面103b側(光軸OA側)で低く、第1側面103a側(外側)で高い傾斜となるように電圧を印加する。つまり、中心の単位レンズ構造201を除き、単位レンズ構造202−207の第1電極105に印加される電圧は第2電極106印加される電圧よりも高くなるように、ドライバー50は電圧を発生させる。
図2Cに示すように、上部ガラス基板101から単位レンズ構造に光127が光軸OAに平行に入射した場合、第1液体110の屈折率の方が第2液体109の屈折率が大きいため、界面126の垂線(破線)から遠ざかる方向に光は屈折し、光128が出射する。第2側面103bは円環形状の内側の側面であるから、屈折により光は集光される。よって、凹型フレネルレンズであっても、入射光を集光することができる。つまり、本実施形態の凹型フレネルレンズは、正の屈折力を有する。ここで、本明細書において屈折力とは、レンズの屈折度合いを意味し、焦点距離の逆数に等しい値である。つまり、一般的な空気中におけるガラス製の凹型フレネルレンズは、焦点距離が負となるため、屈折力も負となる。
好ましくは、ドライバー50は、単位レンズ構造202−207のうち、光軸OAから外側に位置する単位レンズ構造における界面126ほど、光軸OAに垂直な方向に対して大きく傾斜するように、第1電極105および第2電極106に印加する電圧を発生させる。この構成によって、外側に位置する単位レンズ構造を透過する光ほど、大きく光軸OA側に屈折させられるため、より効率的に光を集光することができる。通常の凹型フレネルレンズ(例えば、ガラスで構成される凹型フレネルレンズ)は、入射した光を発散させる。これは、空気の屈折率がガラスの屈折率よりも小さいからである。
また、第1電極105および第2電極106に印加する電圧を変化させることによって、界面の傾きを調整できるため、凹型フレネルレンズの焦点の位置を変化させることができる。具体的には、ドライバー50で発生させる電圧を高くすることによって、界面126の傾斜が大きくなるため、透過光の屈折角が大きくなり、焦点距離が短くなる。逆に電圧を低くすることにより、焦点距離を長くすることができる。
このように、従来技術によれば、屈折率の小さい非極性溶媒と屈折率の大きい極性溶媒とを用いていたのに対し、本実施形態によれば、凹型フレネルレンズとなるよう、第1液体と第2液体との界面を制御することにより、屈折率の大きい非極性溶媒と屈折率の小さい極性溶媒との組み合わせを用いることができる。この組み合わせは、逆の組み合わせよりも多い。このため、非極性溶媒および極性溶媒の選択肢が大幅に増加する。また材料の選択肢が増えることにより、より大きな屈折率差を有する極性溶媒と非極性溶媒との組み合わせを利用することができる。よって、従来よりも短焦点の可変焦点レンズあるいは、従来よりも焦点距離の可変範囲が広い、実用的な可変焦点レンズが実現可能となる。
例えば、従来技術で用いる屈折率の小さい非極性溶媒と屈折率の大きい極性溶媒として表1、2から選択できる組み合わせのうち、最も屈折率差が大きくなるのは、X−24−9246とホルムアミドとの組み合わせであり、屈折率差は0.04である。これに対し、本実施形態による組み合わせとして、水およびKF−56を選択すると、屈折率差は0.17である。したがって、従来に比べて4/17(0.23倍)の焦点距離を有する可変焦点レンズを実現することができる。
本実施形態の凹型フレネルレンズは、上述したように、焦点を変化させることができる。「焦点を変化させる」とは、異なる2以上の焦点距離を有するように各単位レンズ構造の第1電極および第2電極に電圧を印加し、2つの液体の界面を変化させることを意味する。焦点距離は無限大であってもよい。つまり、本実施形態の凹型フレネルレンズは、ある所定の焦点位置に光を集光させる第1の状態と、光を集光させない第2の状態とをとり得る可変焦点レンズであってもよい。
本実施形態では、凹型フレネルレンズの各単位レンズ構造は円環柱形状を有していた。つまり、単位レンズ構造の底面は円環形状を有していた。このほか、図3Aおよび図3Bに示すように、各単位レンズ構造の底面は、四角環形状を有していてもよいし、六角環形状を有していてもよい。
また、図3Cおよび図3Dに示すように、各単位レンズ構造の底面が矩形であり、1次元に配列された凹型フレネルレンズであってもよい。この場合、凹型フレネルレンズの光軸OAに対する単位レンズ構造の配置には2通りが考えられる。
図3Cに示す凹型フレネルレンズは、光軸OA上に位置する単位レンズ構造201と、光軸OA以外の位置に配置される単位レンズ構造202−205および単位レンズ構造202’−205’と含む。単位レンズ構造201は光軸上に配置されるため、図1Aに示す凹型フレネルレンズ11の単位レンズ構造201と同様に制御される。光軸OA上に位置する単位レンズ構造201を除く単位レンズ構造202−205および単位レンズ構造202’−205’のそれぞれは、第1側面103aが隣接する単位レンズ構造の第2側面103bと隣接し、第2側面103bが第1側面103aより光軸OA側に位置するように配置される。
図3Dに示す凹型フレネルレンズは、いずれもが光軸OA上に位置しない単位レンズ構造202−206および単位レンズ構造202’−206’を含む。単位レンズ構造202−206および単位レンズ構造202’−206’のそれぞれは、第1側面103aが隣接する単位レンズ構造の第2側面103bと隣接し、第2側面103bが第1側面103aより光軸OA側に位置するように配置される。この場合、単位レンズ構造202、202’の界面126は、図2Bに示すように、光軸OAに垂直なるように第1電極105、第2電極106に同じ電圧を制御してもよいし、光軸側に界面126が傾斜するように第1電極105に印加する電圧を第2電極106に印加する電圧より高くしてもよい。
以下、本実施形態の凹型フレネルレンズを実現するために実験した結果を詳細に説明する。
(実施例1)
試作したレンズセルの構成を図4Aに示す。また、図4Bに断面構造を示す。底面基板401、側面基板402、前後基板403にはガラス基板(EAGLE XG、コーニング製)を用いた。
底面基板401に、基準電極404として100nmの厚さのITO膜をスパッタ法により蒸着した。電極取り出し部分を残し、誘電層407として500nmの厚さのSiO2膜をスパッタ法により蒸着した。その後、撥水層408として2μmの厚さのCYTOP(旭硝子(株)製)をスピンコートにより塗布し、200℃で1時間硬化させた。
側面基板402に第1電極405および第2電極406として100nmの厚さのITO膜を蒸着し、前後基板403と紫外線線硬化樹脂により貼り合わせ、レンズセルを形成した。撥水層408として1μmの厚さのCYTOP(旭硝子(株)製)を、ディップコートにより塗布し、200℃で時間硬化させた。側面基板402の上部5mmには、電極の取り出し部分として使用するため、CYTOPは塗布しなかった。セルのサイズは、幅5mm×奥行20mm×高さ20mmである。
レンズセルを底面基板401の電極面側に乗せ、極性溶媒409として純水を注入し、非極性溶媒410としてKF−56を注入した。図4Aに示すように、直流ドライバー接続し、第2電極406に10Vステップで150Vまで印加した。第2電極2406側の界面の接触角θbと印加電圧とを表3に示す。接触角は滑落角計DM−501(協和界面科学(株)製)を用い、画像処理により測定した。
Figure 2016050951
表3より、純水の接触角を62.6°まで変化させることが可能であり、この時の界面の傾斜角度φは27.4°となる。界面の傾斜角度を27.4°にした状態で上からレーザを照射し、光の屈折方向を確認した。
(比較例1)
実施例1で作成したレンズセル内に、極性溶媒409としてホルムアミドを用い、非極性溶媒410としてシリコーンオイル(X−24−9246)を用いた。界面が最も傾斜するように電圧を印加した状態で上部からレーザを照射し、光の屈折方向を確認した。
図4Bに実施例1および比較例1におけるレーザ光の屈折の様子を示す。90°から接触角θbを差し引いた値が、界面の傾斜角度φである。実施例1の場合、レーザ光は、矢印414で示す方向出射し、比較例1の場合、矢印415で示す方向に出射した。
この結果から、実施例1のように、非極性溶媒410の屈折率の方が極性溶媒409の屈折率より大きい場合、凸型フレネルレンズの形状では集光させることはできないことが分かった。また、凹型フレネルレンズ構造を有するように界面を制御すれば集光が可能であり、可変焦点レンズとして機能することが分かった。
(実施例2)
実施形態の凹型フレネルレンズの検証のため、実施例1に示した幅5mmのレンズセルを複数結合し、図3Cと同様の構造を備える可変焦点レンズを作成した。図5Aに示すように、側面基板514にはガラス基板EAGLE XG(コーニング製)を用い、電極として両面に100nmの厚さのITO膜を蒸着した。前後基板515としてのガラス基板と貼り合わせ、5mm幅の区画を13個有するレンズセルを作成した。撥水膜は実施例1同様にディップコートにより成膜した。底面基板401は実施例1と同様のものを用意し、レンズセルを上に載せて使用した。
実施例2の各セル内に極性溶媒516として純水を用い、非極性溶媒517としてKF−56を用いた。実施例1の実験より、一番外側のレンズセル507、513にける界面の傾斜角度が27.4°の時、この構造における焦点距離は最も短くなる。
レンズセル502(502’)、503(503’)、504(504’)、505(505’)、506(506’)の傾斜角度が、それぞれ5°、10°、15°、19°、23°となるよう、各側面基板514の電極に電圧を印加し界面を制御することで、焦距離を最も短くすることができる。図5Bに示すように、極性溶媒516の液面が凹型フレネルレンズ構造をとるよう、レンズセル502〜507、502’〜507’の第1電極(光軸OAに対して外側の電極)に第2電極(光軸OA側の電極)よりも高い電圧を印加し、傾斜角度を調節した。上部から平行光を入射し、セル下部に設置したフォトダイオードをセルに対して上下させ、電流が最大値を示した点を焦点距離として測定した。
(比較例2)
実施例2のセル内に極性溶媒516としてホルムアミドを用い、非極性溶媒517としてシリコーンオイルを用いた。図5Cに示すように、極性溶媒516の液面が凸型フレネルレンズ構造をとるよう、第2電極に第1電極よりも高い電圧を印加し、傾斜角度を調節して焦点を合わせた。上部から平行光を入射し、セル下部に設置したフォトダイオードをセルに対して上下させ、電流が最大値を示した点を焦点距離として測定した。
実験から、実施例2にける焦点距離は0.3mであり、比較例2における焦点距離は1.4mであった。凹型フレネルレンズ構造を採用することにより、焦点距離を従来よりも短くできることが分かった。
(実施例3)
セル幅の影響をみるために、図6に示す構造のセルを作製した。側面基板514として、20mm四方のガラス基板を用い、基板両面に電極として100nmの厚さのITO膜
を蒸着した。基板間隔をそれぞれ2mm、5mm、10mm、15mm、20mmとなるよう側面基板514を6枚配置し、前後基板515として幅52mm、縦20mmのガラス基板を配置した。撥水膜は実施例1同様にディップコートにより成膜した。底面基板401は実施例1と同様のものを用意し、作成したセルを上にのせ、使用区画のセル内部に極性溶媒409として純水を10mmの高さまで注いだ。2つの直流ドライバーの−電極と底面基板401を配線し、使用区画の両側面基板514にそれぞれの+電極を配線し、電圧を印加することによって液面の変化を観察した。
実験結果を表4に示す。また、150Vの電圧を印加した場合の界面の位置を図6B、図6C、図6D、図6Eに示す。図6B、図6C、図6D、図6Eは、それぞれ基板間隔が、2mm、5mm、10mm、15mmの区画における界面を示している。
Figure 2016050951
図6B、図6C、図6D、図6Eから分かるように、基板間隔が5mm及び10mmの区画では、基板間隔が2mm及び15mmの区画の場合と比較して、液面がより直線上に傾斜していることが分かる。ここで、表4において、二重丸(◎)は極めて良いことを意味し、一重丸(○)は良いことを意味する。
このことから、基板間隔は5mm以上10mm以下であることがより好ましいことが分かる。
本願に開示された凹型フレネルレンズは、太陽光の集光や、各種光学系へ好適に用いることができる。
11 凹型フレネルレンズ
50 ドライバー
51A’ 電圧発生器
52A−57A 第1電圧発生器
52B−57B 第2電圧発生器
58 制御器
59 入力装置
101 上部ガラス基板
102 下部ガラス基板
102C 底面
103 側面ガラス基板
103a 第1側面
103a’ 筒状側面
103b 第2側面
104 基準電極
105 第1電極
105’ 筒状電極
106 第2電極
107 誘電体層
108 撥水層
109 第2液体
110 第1液体
120 セル
122a 第1電極構造
122b 第2電極構造
122c 基準電極構造
124 内部空間
125a 三相界面
125b 三相界面
126 界面
127 光
128 光
201−207 単位レンズ構造

Claims (10)

  1. 複数の単位レンズ構造およびドライバーを備え、正の屈折力を有する凹型フレネルレンズであって、
    各単位レンズ構造は、
    第1側面、前記第1側面に対向して位置する第2側面、前記第1側面と前記第2側面とを接続する底面、および、前記第1側面と前記第2側面と前記底面とによって規定される内部空間を有するセルと、
    第1電極、撥水層、および、前記第1電極と前記撥水層との間に位置する誘電体層を含み、前記第1電極が前記第1側面側に位置するように前記第1側面に設けられた第1電極構造と、
    第2電極、撥水層、および、前記第2電極と前記撥水層との間に位置する誘電体層を含み、前記第2電極が前記第2側面側に位置するように前記第2側面に設けられた第2電極構造と、
    前記セルの内部空間に配置され、第1屈折率を有する非極性液体である第1液体と、
    前記セルの内部空間に配置され、前記第1液体と混和せず、前記第1液体との間で前記凹型フレネルレンズの光軸方向と交差する方向に界面を形成可能であり、前記第1屈折率より小さい第2屈折率を有し、極性液体である第2液体と、
    基準電極および誘電体層を含み、前記基準電極が前記底面側に位置するように前記底面に設けられた基準電極構造と、
    を備え、
    前記複数の単位レンズ構造のそれぞれは、前記第2側面が前記第1側面より前記凹型フレネルレンズの光軸側に位置し、かつ、前記第1側面が隣接する単位レンズ構造の第2側面と隣接するように配置され、
    前記複数の単位レンズ構造は、前記光軸上に位置しておらず、
    前記ドライバーは、各単位レンズ構造に、前記第1液体と前記第2液体との界面が、前記第2側面側で低く、前記第1側面側で高い傾斜を形成するように、前記第1電極および前記第2電極に電圧を印加するよう構成されている、
    凹型フレネルレンズ。
  2. 前記ドライバーは、
    前記光軸上に位置する単位レンズ構造を除く単位レンズ構造のうち、前記光軸から外側に位置する単位レンズ構造における前記第1液体と前記第2液体との界面ほど、前記光軸に垂直な方向に対して大きく傾斜するように、各単位レンズ構造の前記第1電極および前記第2電極に電圧を印加するように構成されている、請求項1に記載の凹型フレネルレンズ。
  3. 前記複数の単位レンズ構造と同じ構造を備え、前記光軸上に位置する中央単位レンズ構造をさらに含み、
    前記ドライバーは、前記中央単位レンズ構造の前記第1電極および前記第2電極に、前記第1液体と前記第2液体との界面が前記光軸に対して垂直となるように電圧を印加するよう構成されている、
    請求項1に記載の凹型フレネルレンズ。
  4. 各単位レンズ構造の前記底面は環形状を備え、かつ、互いに異なる大きさを有し、
    前記複数の単位レンズ構造は、前記底面の中心が前記凹型フレネルレンズの光軸と一致するように同心状に配置されている
    請求項1に記載の凹型フレネルレンズ。
  5. 底面、前記底面の外周に位置する筒状側面、および前記筒状側面及び前記底面によって規定される内部空間を有するセルと、
    筒状電極、撥水層、および、前記筒状電極と前記撥水層との間に位置する誘電体層を含み、前記筒状電極が前記筒状側面側に位置するように前記筒状側面に設けられた筒状電極構造と、
    前記セルの内部空間に配置された前記第1液体と、
    前記セルの内部空間に配置された前記第2液体と、
    基準電極、および誘電体層を含み、前記基準電極が前記底面側に位置するように前記底面に設けられた基準電極構造と、
    を有する中央単位レンズ構造をさらに含み、
    前記中央単位レンズ構造は前記凹型フレネルレンズの前記光軸状に位置しており、
    前記ドライバーは、前記中央単位レンズ構造の前記筒状電極に、前記第1液体と前記第2液体との界面が前記光軸に対して垂直となるように電圧を印加するよう構成されている、
    請求項1に記載の凹型フレネルレンズ。
  6. 前記環状底面は、円形状、四角形状または六角形状を有する請求項1から4のいずれかに記載の凹型フレネルレンズ。
  7. 前記第1液体は、前記第2液体より小さい密度を有する請求項1に記載の凹型フレネルレンズ。
  8. 前記第1液体はKF−56であり、前記第2液体は純水である請求項1から3のいずれかに記載の凹型フレネルレンズ。
  9. 前記第1側面と前記第2側面との間隔は5mm以上10mm以下である請求項1から3のいずれかに記載の凹型フレネルレンズ。
  10. 複数の単位レンズ構造を備え、正の屈折率を有する凹型フレネルレンズの制御方法であって、
    各単位レンズ構造は、
    第1側面、前記第1側面に対向して位置する第2側面、前記第1側面と前記第2側面とを接続する底面、および、前記第1側面と前記第2側面と前記底面とによって規定される内部空間を有するセルと、
    第1電極、撥水層、および、前記第1電極と前記撥水層との間に位置する誘電体層を含み、前記第1電極が前記第1側面側に位置するように前記第1側面に設けられた第1電極構造と、
    第2電極、撥水層、および、前記第2電極と前記撥水層との間に位置する誘電体層を含み、前記電極が前記第2側面側に位置するように前記第2側面に設けられた第2電極構造と、
    前記セルの内部空間に配置され、第1屈折率を有する非極性液体である第1液体と、
    前記セルの内部空間に配置され、前記第1液体と混和せず、前記第1液体との間で前記凹型フレネルレンズの光軸方向と交差する方向に界面を形成可能であり、前記第1屈折率より小さい第2屈折率を有し、極性液体である第2液体と、
    基準電極および誘電体層を含み、前記電極が前記面側に位置するように前記底面に設けられた基準電極構造と、
    を備え、
    前記複数の単位レンズ構造のそれぞれは、前記第2側面が前記第1側面より前記凹型フレネルレンズの光軸に位置し、かつ、前記第1側面が隣接する単位レンズ構造の第2側面と隣接するように配置され、
    前記複数の単位レンズ構造は、前記光軸上に位置しておらず、
    各単位レンズ構造に、前記第1液体と前記第2液体との界面が、前記第2側面側で低く、前記第1側面側で高い傾斜を形成するように、前記第1電極および前記第2電極に電圧を印加する、凹型フレネルレンズの制御方法。
JP2014174128A 2014-08-28 2014-08-28 凹型フレネルレンズ及び凹型フレネルレンズの制御方法 Pending JP2016050951A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014174128A JP2016050951A (ja) 2014-08-28 2014-08-28 凹型フレネルレンズ及び凹型フレネルレンズの制御方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014174128A JP2016050951A (ja) 2014-08-28 2014-08-28 凹型フレネルレンズ及び凹型フレネルレンズの制御方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016050951A true JP2016050951A (ja) 2016-04-11

Family

ID=55658523

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014174128A Pending JP2016050951A (ja) 2014-08-28 2014-08-28 凹型フレネルレンズ及び凹型フレネルレンズの制御方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016050951A (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107623184A (zh) * 2017-09-29 2018-01-23 西安电子科技大学 一种实现边射和端射功能的多层介质天线
CN108241186A (zh) * 2018-04-12 2018-07-03 北京中和锦程科技有限公司 基于菲涅尔透镜的可变焦液体透镜
JP2018198146A (ja) * 2017-05-23 2018-12-13 東京コスモス電機株式会社 発熱装置
CN109188575A (zh) * 2018-11-02 2019-01-11 上海酷聚科技有限公司 一种菲涅尔液体透镜及焦距控制方法
WO2021236198A1 (en) * 2020-05-20 2021-11-25 Hrl Laboratories, Llc Solid state electrically variable-focal length lens
US11788183B2 (en) 2020-05-20 2023-10-17 Hrl Laboratories, Llc Method for growing crystalline optical films on Si substrates which may optionally have an extremely small optical loss in the infra-red spectrum with hydrogenation of the crystalline optical films
WO2024080378A1 (ja) * 2022-10-14 2024-04-18 大日本印刷株式会社 光学積層体、転写シート、光学部材、及び移動体
US11988907B1 (en) 2020-05-20 2024-05-21 Hrl Laboratories, Llc Electric field-tunable IR devices with very large modulation of refractive index and methods to fabricate them

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018198146A (ja) * 2017-05-23 2018-12-13 東京コスモス電機株式会社 発熱装置
CN107623184A (zh) * 2017-09-29 2018-01-23 西安电子科技大学 一种实现边射和端射功能的多层介质天线
CN108241186A (zh) * 2018-04-12 2018-07-03 北京中和锦程科技有限公司 基于菲涅尔透镜的可变焦液体透镜
CN109188575A (zh) * 2018-11-02 2019-01-11 上海酷聚科技有限公司 一种菲涅尔液体透镜及焦距控制方法
WO2021236198A1 (en) * 2020-05-20 2021-11-25 Hrl Laboratories, Llc Solid state electrically variable-focal length lens
US11493824B2 (en) 2020-05-20 2022-11-08 Hrl Laboratories, Llc Solid state electrically variable-focal length lens
US11788183B2 (en) 2020-05-20 2023-10-17 Hrl Laboratories, Llc Method for growing crystalline optical films on Si substrates which may optionally have an extremely small optical loss in the infra-red spectrum with hydrogenation of the crystalline optical films
US11953801B2 (en) 2020-05-20 2024-04-09 Hrl Laboratories, Llc Solid-state tip-tilt-phased array
US11988907B1 (en) 2020-05-20 2024-05-21 Hrl Laboratories, Llc Electric field-tunable IR devices with very large modulation of refractive index and methods to fabricate them
WO2024080378A1 (ja) * 2022-10-14 2024-04-18 大日本印刷株式会社 光学積層体、転写シート、光学部材、及び移動体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2016050951A (ja) 凹型フレネルレンズ及び凹型フレネルレンズの制御方法
KR101158706B1 (ko) 전기습윤장치
JP4310704B2 (ja) 光学素子
JP4897680B2 (ja) 可変焦点マイクロレンズ
KR101866873B1 (ko) 곡률 조절 소자 및 방법
KR20040084902A (ko) 가변 포커스 렌즈
US9134568B2 (en) Varifocal lens
US20070127102A1 (en) Liquid lens
JP4770510B2 (ja) 光学素子及びその製造方法
KR101871296B1 (ko) 미소전기유체 소자 및 이의 구동방법
JP2009518676A (ja) 流体フォーカスレンズにおける溶液流の防止
JP2006250974A (ja) 光学素子
JP2007086451A (ja) 光学素子
JP2007057807A (ja) 光学素子
JP2007057843A (ja) 光学素子
KR101951320B1 (ko) 가변 초점 렌즈
US8861092B2 (en) Device and method for controlling curvature
KR101239151B1 (ko) 가변 초점 유체렌즈
US20090122417A1 (en) Tunable-Shape Prism
JP4997945B2 (ja) 液体レンズアレイ
KR101175929B1 (ko) 가변 초점 유체렌즈
KR20130060599A (ko) 투명전극의 저항 구배에 의한 전자젖음 현상을 이용한 액체렌즈
CN110888231B (zh) 一种基于介电润湿液体棱镜阵列的光束调整器
JP2018021981A (ja) 液体光学材料及び光学素子
JP4931019B2 (ja) 可変焦点レンズ