JP2016050653A - 水中ポンプ用メカニカルシール - Google Patents

水中ポンプ用メカニカルシール Download PDF

Info

Publication number
JP2016050653A
JP2016050653A JP2014177450A JP2014177450A JP2016050653A JP 2016050653 A JP2016050653 A JP 2016050653A JP 2014177450 A JP2014177450 A JP 2014177450A JP 2014177450 A JP2014177450 A JP 2014177450A JP 2016050653 A JP2016050653 A JP 2016050653A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ring
seal
stationary
sealing
rings
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014177450A
Other languages
English (en)
Inventor
藤永 繁行
Shigeyuki Fujinaga
繁行 藤永
崇人 福本
Takahito Fukumoto
崇人 福本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Pillar Packing Co Ltd
Original Assignee
Nippon Pillar Packing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Pillar Packing Co Ltd filed Critical Nippon Pillar Packing Co Ltd
Priority to JP2014177450A priority Critical patent/JP2016050653A/ja
Publication of JP2016050653A publication Critical patent/JP2016050653A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Structures Of Non-Positive Displacement Pumps (AREA)
  • Mechanical Sealing (AREA)

Abstract

【課題】密封端面間に潤滑油膜を安定した状態で形成、維持して、ポンプ室と油室との間を良好にシールする。
【解決手段】隔壁3に保持した金属製の静止側保持環12と、静止側保持環12にOリング18,19を介在した非接触状態で嵌合固定したセラミックス製の静止密封環13と、インペラ軸6に固定した金属製の回転側保持環14と、回転側保持環14にOリング23,24を介在した非接触状態で嵌合固定したセラミックス製の回転密封環15と、静止密封環13を回転密封環15に押圧附勢するスプリング部材とを具備して、両密封環13,15の相対回転摺接部分Sの外周側領域であるポンプ室1とその内周側領域である油室5とをシールする。両密封環13,15の内径は同一であり、その先端部分13b,15bの内周面は密封端面13a,15aの内周縁から漸次縮径するテーパ面13g,15gに形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、水中ポンプのポンプ室と油室との間をシールするための水中ポンプ用メカニカルシールに関するものである。
水中ポンプにあっては、特許文献1の図1に開示される如く、ポンプ室とモータ室との間に油室を形成して、ポンプ室と油室との間をメカニカルシールでシールしている。而して、かかるメカニカルシールとしては、例えば特許文献1の図2に開示される如く、ポンプ室と油室とを仕切る隔壁に設けた静止密封環とこの隔壁を貫通してモータ室からポンプ室へと延びるインペラ軸に設けた回転密封環との対向端面である密封端面の相対回転摺接作用によりポンプ室と油室との間を遮蔽シールするように構成された端面接触形のものが周知である。
このような端面接触形のメカニカルシールは、密封環の構成材上、両密封環の一方をSiC等のセラミックスや超硬合金等の硬質材で構成すると共に他方をカーボン等の軟質材で構成したもの(以下「硬質材/軟質材シール」という)と、両密封環を上記した硬質材で構成したもの(以下「硬質材/硬質材シール」という)とに大別されるが、水中ポンプにあっては、泥水等の固形成分を含むスラリ液を扱うことが多いため、硬質材/軟質材シールを使用した場合には、密封端面がスラリ液により摩耗、損傷し易く耐久性に問題があり、長期に亘って良好なシール機能を発揮できない。したがって、水中ポンプのように泥水等のスラリ液を扱うことの多い回転機器においては、一般に、硬質材/軟質材シールは使用されず、両密封環を耐摩耗性に優れるセラミックスや超硬合金等の硬質材で構成した硬質材/硬質材シールが使用されている。
特開平8−334098号公報 特開2014−1758号公報 実公平1−21251号公報
しかし、セラミックスや超硬合金等の硬質材はカーボン等のような自己潤滑性を有しないものであり、摩擦係数が高いものであることから、硬質材/硬質材シールにあっては、相手密封環との摺接による発熱や摩耗が激しく、長期に亘って良好なシール機能を発揮できない。また、密封端面間には油室に貯留された油により潤滑油膜が形成されるが、セラミックス等の硬質材は親油性に乏しいため、密封端面間に安定した潤滑油膜を形成、維持しておくことができず、相手密封環との摺接による発熱をさほど抑制することができない。そして、かかる発熱により油室の油温が上昇して油の粘度が低下し、密封端面全体に潤滑油膜が形成されなくなり、所謂油切れの半ドライ状態となって、密封端面の摩耗や密封端面間からの漏れを生じる虞れがある。さらには、密封端面間に高温による油の分解物が堆積して、漏れを増大させる虞れがある。かかる問題は、食品衛生上や環境汚染上から油室に封入する油として潤滑性に乏しい流動パラフィン等を使用せざるを得ない場合や油室が小さく貯留油量が少ない場合には、更に顕著に生じることになる。
ところで、硬質材/硬質材シールでは、セラミックス等の硬質材が加工上単純形状にせざるを得ないところから、密封環を金属製の保持環に連結して、保持環を隔壁やインペラ軸に固定ないし保持するように工夫している。而して、密封環を保持環に連結する手段として、一般には焼嵌めが採用されており、特許文献2の段落番号[0028]又は特許文献3の第1図に記載されるように、密封環を保持環に形成した凹部に焼嵌めにより嵌合一体化している。
しかし、密封環を保持環に焼嵌めにより一体化させた場合、密封環の外周に作用する圧縮応力により密封端面に経時歪が生じ、両密封端面が適正に接触せず、密封端面の相対回転摺接作用によるシール機能が低下する虞れがあった。
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、両密封環を硬質材で構成する場合にも、上記した問題を生ずることがなく、密封端面間に適正な潤滑油膜を安定した状態で形成、維持することができ、相手密封環との摺接による発熱や摩耗を可及的に抑制し得て、ポンプ室と油室との間を長期に亘って良好にシールすることができる水中ポンプ用メカニカルシールを提供することを目的とするものである。
本発明は、ポンプ室と油室とを仕切る隔壁とこの隔壁を貫通してモータ室から油室を経てポンプ室へと延びるインペラ軸との間に装填された水中ポンプ用メカニカルシールにおいて、上記の目的を達成すべく、特に、前記隔壁にOリングを介して軸線方向移動可能に保持された金属製の静止側保持環と、静止側保持環に固定された硬質材製の静止密封環と、インペラ軸に固定された金属製の回転側保持環と、回転側保持環に固定された硬質材製の回転密封環と、静止密封環を回転密封環へと押圧接触させるべく附勢するスプリング部材とを具備して、両密封環の先端面たる密封端面の相対回転摺接作用によりその相対回転摺接部分の外周側領域であるポンプ室とその内周側領域である油室とを遮蔽シールするように構成されており、静止密封環の基端部分が、静止側保持環の先端部に形成した凹部に、当該凹部内における静止密封環と静止側保持環との対向周面間及び対向端面間に夫々Oリングを介在した状態で嵌合固定されており、回転密封環の基端部分が、回転側保持環の先端部に形成した凹部に、当該凹部内における回転密封環と回転側保持環との対向周面間及び対向端面間に夫々Oリングを介在した状態で嵌合固定されており、両密封環の密封端面の内径を同一とすると共に、各密封環の先端部分の内周面を、その密封端面の内周縁から当該密封環の基端方向へと漸次縮径するテーパ面に形成しておくことを提案するものである。
かかる水中ポンプ用メカニカルシールの好ましい実施の形態にあっては、バランス径D0が前記相対回転摺接部分の内外径D1,D2に対してD1≦D0≦D2となるように設定されたバランス型メカニカルシールに構成されており、両密封環がセラミックス又は超硬合金で構成されている。また、両密封環を、その断面を前記相対回転摺接部分に対して対称形状をなすものに構成し、両密封環の密封端面の内外径が前記相対回転摺接部分の内外径に一致していることが好ましい。
本発明の水中ポンプ用メカニカルシールにあっては、両密封環の先端部分の内周面が逆方向に漸次縮径するテーパ面に形成されているから、油室の油が遠心力によりインペラ軸の外周面から回転密封環のテーパ面に沿って相対回転摺接部分へと流動され、更に油が相対回転摺接部分で反転して静止密封環のテーパ面に沿ってインペラ軸の外周面へと流動され、相対回転摺接部分の内周側において油が強制的に循環されることになる。このような油の循環によって相対回転摺接部分が継続して潤滑、冷却されることになり、密封端面間に安定した潤滑油膜が形成、維持されると共に相手密封端面との摺接による発熱が可及的に抑制される。
また、本発明の水中ポンプ用メカニカルシールにあっては、各密封環がOリングを介して保持環の凹部に嵌合固定されているから、硬質材/硬質材シールにあっても、密封環を焼嵌めにより保持環に連結させた場合のように密封端面に経時的歪が生じることがなく、両密封端面を適正に接触させておくことができる。さらに、密封環に過度の軸方向推力が作用した場合や密封環と保持環とが熱膨張係数の異なる異質材で構成されていることによって両環間に熱変形量差(熱膨張量差又は熱収縮量差)が生じた場合にも、密封環に作用する負荷をこれと保持環との間に介在させたOリングの弾性変形によるクッション作用により吸収、緩和することができ、密封端面に歪が生じたりすることがない。
したがって、本発明の水中ポンプ用メカニカルシールによれば、冒頭で述べたような問題を生じることなく、長期に亘って良好なシール機能を発揮させることができる。
図1は本発明に係る水中ポンプ用メカニカルシールの一例を示す断面図である。 図2は図1の要部を拡大して示す詳細図である。 図3は本発明に係る水中ポンプ用メカニカルシールの変形例を示す図2相当の要部の断面図である。 図4は本発明に係る水中ポンプ用メカニカルシールの他の変形例を示す図2相当の要部の断面図である。 図5は本発明に係る水中ポンプ用メカニカルシールの更に他の変形例を示す図2相当の要部の断面図である。 図6は水中ポンプの一般的構成を示す概略断面図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図6は水中ポンプの一般的構成を概略断面図であるが、水中ポンプは、一般に、図6に示す如く、ポンプ室1とモータ室2との間に、ポンプ室1及びモータ室2との間が夫々隔壁3,4により仕切られた油室5を形成して、隔壁3,4を貫通してモータ室1からポンプ室2へと延びるインペラ軸6と隔壁3,4との間に夫々メカニカルシール7,8を配設してなる。なお、モータ室2には、インペラ軸6を回転駆動するためのモータ9及びインペラ軸6の軸受(図示せず)が配置されており、ポンプ室1には、インペラ軸6に取付けたインペラ10が配置されると共に吸込口1a及び吐出口1bが形成されている。
而して、図1は本発明に係る水中ポンプ用メカニカルシールの一例を示す断面図であり、図2は図1の要部を拡大して示す詳細図であり、ポンプ室1と油室5との間をシールする上記メカニカルシール7は、図1及び図2に示す如く、本発明に従って次のように構成されている。なお、以下の説明において、上下とは図1及び図2における上下を意味するものとする。
すなわち、本発明に係る水中ポンプ用メカニカルシール7は、図1に示す如く、ポンプ室1と油室5とを仕切る隔壁3とこれを貫通するインペラ軸6との間に装填されており、隔壁3にOリング11を介して軸線方向移動可能に保持された金属製の静止側保持環12と、静止側保持環12に固定された硬質材製の静止密封環13と、インペラ軸6に固定された金属製の回転側保持環14と、回転側保持環14に固定された硬質材製の回転密封環15と、静止密封環13を回転密封環15へと押圧接触させるべく附勢するスプリング部材16とを具備して、両密封環13,15の先端面たる密封端面13a,15aの相対回転摺接作用によりその相対回転摺接部分Sの外周側領域であるポンプ室1とその内周側領域である油室5とを遮蔽シールするように構成された端面接触形の硬質材/硬質材シールである。この例では、ポンプ室1の流体(被密封流体)が泥水等のスラリ液であり、油室5は加圧されておらず、油が貯留されている。なお、密封端面13a,15aの相対回転摺接部分Sとは、図2に示す如く、両密封端面13a,15aが接触している部分であり、その内径D1は両密封端面13a,15aの内径のうち大きなものであり、その外径D2は両密封端面13a,15aの外径のうち小さなものである。
隔壁3は、図1に示す如く、インペラ軸6の貫通孔を形成した板状のもので、厚み方向におけるポンプ室側部分(下側部分)3aに形成される貫通孔部分を油室側部分(上側部分)3bに形成される貫通孔部分より大径としている。
静止側保持環12は、図1に示す如く、円筒状の本体部12aとその先端外周面(下端外周面)から外方に突出する円環状の鍔部12bとその外周部から本体部12aと逆方向(下方向)に突出する円筒状の保持部12cとからなる回転体形状にステンレス鋼等の金属材で一体構成されたものである。この例では、静止側保持環12はステンレス鋼で構成されている。
而して、静止側保持環12は、図1に示す如く、その本体部12aを隔壁3のポンプ室側部分3aにOリング11を介して軸線方向(上下方向)に移動可能に嵌合保持させることにより、隔壁3にこれとの間がOリング11でシール(二次シール)された状態で軸線方向移動可能に保持されている。Oリング11は、図1に示す如く、静止側保持環12の本体部12aの外周面に圧接した状態で隔壁3のポンプ室側部分3aの貫通孔部分の内周部に形成したOリング溝3cに係合保持されている。静止側保持環12の本体部12aの先端面(下端面)と鍔部12bの先端面(下端面)とは、図1及び図2に示す如く、面一に連なっており、軸線に直交する円環状平面である受け止め面12dに形成されている。静止側密封環12の保持部12cの内周面は、図1及び図2に示す如く、軸線に平行する円柱面であって受け止め面12dに直交する保持面12eに形成されている。静止側保持環12は、図1に示す如く、その基端面(上端面)から突出するドライブピン17を隔壁3の油室側部分3bに形成した係合孔3dに係合させることにより、軸線方向移動が所定範囲で許容されつつ隔壁3に対する相対回転を阻止されている。
静止密封環13は、図1及び図2に示す如く、先端面(下端面)を軸線に直交する平滑な環状平面である密封端面13aに構成した断面台形状の先端部分13bと断面方形状の基端部分13cとからなる断面台形状の円環状体であり、静止側保持環12の先端部に形成された凹部12fにOリング18,19を介して嵌合固定されている。すなわち、静止側保持環12の先端部には受け止め面12dと保持面12eとで囲繞された凹部12fが形成されており、静止密封環13が、当該凹部12f内における両環12,13の対向端面間つまり静止密封環13の基端面13dと静止側保持環12の受け止め面12dとの間にOリング18を挟圧させると共に当該凹部12f内における両環12,13の対向周面間つまり静止密封環13の外周面13eと静止側保持環12の保持面12eとの間にOリング19を挟圧させた状態で、凹部12fに非接触状態で嵌合固定されている。なお、Oリング18は、静止側保持環12の受け止め面12dに形成したOリング溝に静止密封環13の基端面13dに圧接した状態で係合保持されており、Oリング19は静止側保持環12の保持面12eに形成したOリング溝に静止密封環13の外周面13eに圧接した状態で係合保持されている。
ところで、静止密封環13は静止側保持環12の凹部12fにOリング18,19を介在させた状態で圧入させることによって、静止側保持環12に嵌合固定されるものであり、両環12,13の相対回転はOリング18,19との摩擦係合力により阻止されるが、この例では、両環12,13の相対回転をより確実に阻止するために、図1に示す如く、静止側保持環12の受け止め面12dから突出するドライブピン20を静止密封環13の本体部13bに形成した係合凹部13fに係合させてある。
静止密封環13の先端部分13bの内周面13gは、図2に示す如く、密封端面13aの内周縁から当該密封環13の基端方向(上方向)へと漸次縮径するテーパ面(截頭円錐面)とされている。このテーパ面13gの密封端面13aに対する傾斜角は15°〜75°の範囲で適宜に設定されている。静止密封環13はセラミックス、超硬合金等の硬質材で構成されており、この例ではセラミックス(例えば炭化珪素焼結材)で構成されている。
回転側保持環14は、図1に示す如く、静止密封環13よりインペラ10側(下側)に配置されており、円筒状の本体部14aとその先端面外周部(上端面外周部)から静止密封環方向(上方向)に突出する円環状の保持部14bと本体部14bの先端面内周部(上端面内周部)から保持部14bと平行に突出する円環状の固定部14cからなる回転体形状にステンレス鋼等の金属材(この例ではステンレス鋼)で一体構成されたものであり、固定部14cとインペラ軸6との間にOリング21を介在した状態で本体部14aに螺合させたセットスクリュー22をインペラ軸6に締め付けることにより、インペラ軸6に嵌合固定されている。回転側保持環14の本体部14aの先端面(上端面)は軸線に直交する受け止め面14dに構成されると共に、保持部14bの内周面は軸線に平行して受け止め面14dに直交する保持面14eに構成されていて、回転側保持環14の先端部には、図2に示す如く、受け止め面14dと保持面14eと保持面14eに平行する固定部14cの外周面とで囲繞された環状の凹部14fが形成されている。なお、保持部14b及び固定部14cの本体部14aからの突出量は同一又は略同一とされている。
回転密封環15は、図1及び図2に示す如く、先端面(上端面)を軸線に直交する平滑な環状平面である密封端面15aに構成した断面台形状の先端部分15bと断面方形状の基端部分15cとからなる断面台形状の円環状体であり、回転側保持環14の先端部に形成された凹部14fにOリング23,24を介して嵌合固定されている。すなわち、回転密封環15は、当該凹部14f内における両環14,15の対向端面間つまり回転密封環15の基端面(下端面)15dと回転側保持環14の受け止め面14dとの間にOリング23を挟圧させると共に当該凹部14f内における両環14,15の対向周面間つまり回転密封環15の外周面15eと回転側保持環14の保持面14eとの間にOリング24を挟圧させた状態で、凹部14fに非接触状態で嵌合固定されている。なお、Oリング23は、回転側保持環14の受け止め面14dに形成したOリング溝に回転密封環15の基端面15dに圧接した状態で係合保持されており、Oリング24は回転側保持環14の保持面14eに形成したOリング溝に回転密封環15の外周面15eに圧接した状態で係合保持されている。
ところで、回転密封環15は回転側保持環14の凹部14fにOリング23,24を介在させた状態で圧入させることによって、回転側保持環14に嵌合固定されるものであり、両環14,15の相対回転はOリング23,24との摩擦係合力により阻止されるが、この例では、両環14,15の相対回転をより確実に阻止するために、図1及び図2に示す如く、回転側保持環14の受け止め面14dから突出するドライブピン25を回転密封環15の本体部15bに形成した係合凹部15fに係合させてある。
回転密封環15の先端部分15bの内周面15gは、図2に示す如く、密封端面15aの内周縁から当該密封環15の基端方向(下方向)へと漸次縮径するテーパ面(截頭円錐面)とされている。このテーパ面15gの密封端面15aに対する傾斜角は15°〜75°としておくことが好ましく、この範囲で適宜に設定される。回転密封環15はセラミックス、超硬合金等の硬質材で構成されており、この例では静止密封環13と同質のセラミックスで構成されている。なお、回転側保持環14における回転密封環15より内周側の部分(固定部14c)の先端面(上端面)は、軸線方向において、回転密封環15のテーパ面15gの基端(テーパ面15gと回転密封環15の基端部分15cの内周面との境界部分)と同一位置又は当該基端より密封端面15a寄りの位置に位置されている。この例では、図2に示す如く、固定部14cの基端は軸線方向においてテーパ面15gの略中間位置に対応する位置に位置されている。
この例では、両密封環13,15が、図2に示す如く、その断面を相対回転摺接部分Sに対して対称形状(上下対称)をなすもの、つまり同材質の同一形状をなす共通部材とされており、両密封環13,15の密封端面13a,15aの内外径は相対回転摺接部分Sの内外径D1,D2に一致している。
スプリング部材16は、図1に示す如く、静止側保持環12の本体部12aと隔壁3の油室側部分3bとの間に周方向に等間隔を隔てて装填された複数のコイルスプリングで構成されており、静止密封環13を静止側保持環12を介して回転密封環15に押圧接触させるべく軸線方向に附勢する。
また、静止側保持環12におけるOリング11の接触面(静止側保持環12の本体部12aの外周面)の径つまりバランス径D0は、図2に示す如く、密封端面13a,15aの相対回転摺接部分Sの内外径D1,D2に対してD1≦D0≦D2(最適にはD0=(D1+D2)/2)となるように設定されている。すなわち、メカニカルシール7は、バランス比κが1以下となるように設定されていて、静止密封環13(つまりこれを固定する静止側保持環12)にポンプ室5の流体(被密封流体たるスラリ液)の圧力(背圧)による軸線方向推力が可及的に作用しないバランス型メカニカルシールに構成されている。なお、モータ室2と油室5とをシールする第2メカニカルシール8としては、周知のメカニカルシール(例えば、特許文献1〜3に開示されるメカニカルシール)が使用されることから、その詳細は省略する。
以上のように構成された本発明に係る水中ポンプ用メカニカルシール7にあっては、両密封環13,15の先端部分13b,15bの内周面が密封端面13a,15aの内周縁から逆方向に漸次縮径するテーパ面(截頭円錐面)13g,15gとされていることから、油室5の油が密封端面13a,15aの相対回転摺接部分Sへと積極的に導かれると共に相対回転摺接部分Sの周辺で循環流動することになり、両密封環13,15がセラミックスや超硬合金等のような自己潤滑性を有さず且つ摩擦係数の高い硬質材で構成された硬質材/硬質材シールである場合にも、相対回転摺接部分Sの潤滑及び冷却を継続して効果的に行うことでき、良好なシール機能(メカニカルシール機能)が発揮される。
すなわち、油は粘度が高いため、回転部材(インペラ軸6、回転側保持環14及び回転密封環15)における油との接触部分においては油が当該回転部材6,14,15と共に層をなして回転せしめられる。所謂、油層の供回り現象である。そして回転部材6,14,15と供回りする油層には、その回転に伴って遠心力が作用し、その遠心力は外周方向に漸次大きくなる。
したがって、相対回転摺接部分Sの内周側領域においては、図2に矢印Pで示す如く、油は遠心力によりインペラ軸6から回転側保持環14における回転密封環15より内周側の部分(固定部14c)の表面上を外方に流動される。さらに、遠心力により、図2に矢印Qで示す如く、油は回転密封環15のテーパ面15g上を当該密封環15の密封端面15aの内径部分つまり相対回転摺接部分Sの内径部分へと向かって流動され、当該部分Sの潤滑を行う。
そして、両密封端面13a,15aの内径が同一であり、両密封環13,15の先端部分13b,15bの内周面が密封端面13a,15aの内周縁から逆方向に傾斜するテーパ面13g,15gとなっていることから、回転するテーパ面15g上を相対回転摺接部分Sの内径部分に達した油は、図2に矢印Rで示す如く、当該内径部分で反転して静止密封環13のテーパ面13gへと押し出される。このテーパ面13gは静止しており、遠心力が作用していないことから、油が継続して前記内径部分からテーパ面13gへと押し出されることによって、油は、図2に矢印Tで示す如く、テーパ面13gに沿ってインペラ軸6の外周面方向へと流動せしめられる。
このように、両密封環13,15の内周側においては、図2に矢印Q,R,Tで示すような油の循環流がテーパ面13g,15gに沿って発生し、この循環流によって密封端面13a,15aつまり相対回転摺接部分Sの潤滑、冷却が継続して効果的に行われることになる。。
したがって、相対回転摺接部分Sには潤滑油膜が安定して形成、維持されると共に密封端面13a,15aの接触(摺接)による発熱が可及的に抑制されることになり、長期に亘って良好なシール機能が発揮される。
また、静止密封環13及び回転密封環15が静止側保持環12及び回転側保持環14にOリング18,19及び23,24を介して非接触状態で嵌合固定されているから、密封環を保持環に焼嵌めにより固定した場合のように、密封環13,15の外周部に圧縮応力が作用して密封環13,15ないし密封端面13a,15aに経時歪が生じることがない。また、密封環13,15と保持環12,14とは熱膨張係数の異なる異質材で構成されているが、密封環13,15と保持環12,14との間に熱変形量差(熱膨張量差ないし熱収縮量差)が生じるような温度条件下においても、かかる熱変形量差がOリング19,24によって吸収されて、密封環13,15ないし密封端面13a,15aに歪を生じることがない。また、密封環13,15に過度の軸線方向圧縮力が作用した場合、すなわち静止密封環13を回転密封環15へと押し付ける軸方向推力が必要以上に高くなった場合、Oリング18,23の弾性変形により当該軸線方向圧縮力が吸収、緩和される。さらに、上記した構成のメカニカルシール7では、バランス径D0を相対回転摺接部分Sの内外径D1,D2に対してD1≦D0≦D2としてバランス比κが1以下となるバランス型メカニカルシールに構成されているから、静止密封環13の回転密封環16への接触圧がポンプ室1の圧力(背圧)によって加重されることがない。したがって、ポンプ室1の圧力が高い場合にも、密封端面13a,15aの接触圧が過大とならず、密封端面13a,15aの接触による発熱や摩耗が可及的に抑制される。
これらのことから、本発明に係る水中ポンプ用メカニカルシール7によれば、密封端面13a,15aの発熱、摩耗、歪の発生を可及的に防止して、ポンプ室1を長期に亘って良好にシールすることができる。
なお、本発明に係る水中ポンプ用メカニカルシールの構成は上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の基本原理を逸脱しない範囲において適宜に改良、変更することができる。
例えば、回転側保持環14における回転密封環15より内周側の部分(固定部14c)の先端面は、図3に示す如く、軸線方向において、回転密封環15のテーパ面15gの基端(テーパ面15gと回転密封環15の基端部分15cの内周面との境界部分)と同一位置又は略同一位置に位置させておくことができる。この場合、図2に示す場合と同様に、図3に矢印P,Q,R,Tで示すような油の循環流が生じる。また、回転側保持環14を、図4に示す如く、固定部14cを有しないものに構成しておくことができる。この場合、油は、図4に矢印Uで示す如く、インペラ軸6の外周面から回転密封環15のテーパ面15gへと流動し、その後は、図4に矢印Q,R,Tで示すように流動し相対回転摺接部分Sの内周側に図2に示す場合と同様の循環流が発生する。矢印Uで示す油の流動が効果的に行われるためには、図4に示す如く、回転密封環15の基端部分15cの内周面をインペラ軸6の外周面に可及的に近接させておくことが好ましい。また、隔壁3と静止側保持環12との間をシールするOリング11は、図5に示す如く、静止側保持環12の本体部12aの外周部に形成したOリング溝13hに係合保持させるようにしてもよい。この場合、バランス径D0は、図5に示す如く、隔壁3におけるOリング11の外周面が接触する面の径であり、上記同様に、D1≦D0≦D2(最適にはD0=(D1+D2)/2)となるように設定されている。なお、図3〜図5に示すものは、上記した点を除いて図1及び図2に示すメカニカルシール7と同一構造をなすものであるから、これと同一部分については図3〜図5に図1及び図2に示す符号と同一符号を付すことによってその詳細は省略する。
1 ポンプ室
2 モータ室
3 隔壁
3a ポンプ室側部分
3b 油室側部分
3c Oリング溝
3d 係合孔
4 隔壁
5 油室
6 インペラ軸
7 メカニカルシール(水中ポンプ用メカニカルシール)
8 メカニカルシール
9 モータ
10 インペラ
11 Oリング
12 静止側保持環
12a 本体部
12b 鍔部
12c 保持部
12d 受け止め面
12e 保持面
12f 凹部
13 静止密封環
13a 密封端面
13b 先端部分
13c 基端部分
13d 基端面
13e 外周面
13f 係合凹部
13g テーパ面
13h Oリング溝
14 回転側保持環
14a 本体部
14b 保持部
14c 固定部
14d 受け止め面
14e 保持面
14f 凹部
15 回転密封環
15a 密封端面
15b 先端部分
15c 基端部分
15d 基端面
15e 外周面
15f 係合凹部
15g テーパ面
16 スプリング部材
17 ドライブピン
18 Oリング
19 Oリング
20 ドライブピン
21 Oリング
22 セットスクリュー
23 Oリング
24 Oリング
25 ドライブピン
D0 バランス
D1 相対回転摺接部分の内径
D2 相対回転摺接部分の外径
S 相対回転摺接部分

Claims (4)

  1. ポンプ室と油室とを仕切る隔壁とこの隔壁を貫通してモータ室から油室を経てポンプ室へと延びるインペラ軸との間に装填された水中ポンプ用メカニカルシールにおいて、
    前記隔壁にOリングを介して軸線方向移動可能に保持された金属製の静止側保持環と、静止側保持環に固定された硬質材製の静止密封環と、インペラ軸に固定された金属製の回転側保持環と、回転側保持環に固定された硬質材製の回転密封環と、静止密封環を回転密封環へと押圧接触させるべく附勢するスプリング部材とを具備して、両密封環の先端面たる密封端面の相対回転摺接作用によりその相対回転摺接部分の外周側領域であるポンプ室とその内周側領域である油室とを遮蔽シールするように構成されており、
    静止密封環の基端部分が、静止側保持環の先端部に形成した凹部に、当該凹部内における静止密封環と静止側保持環との対向周面間及び対向端面間に夫々Oリングを介在した状態で嵌合固定されており、
    回転密封環の基端部分が、回転側保持環の先端部に形成した凹部に、当該凹部内における回転密封環と回転側保持環との対向周面間及び対向端面間に夫々Oリングを介在した状態で嵌合固定されており、
    両密封環の密封端面の内径を同一とすると共に、各密封環の先端部分の内周面を、その密封端面の内周縁から当該密封環の基端方向へと漸次縮径するテーパ面に形成してあることを特徴とする水中ポンプ用メカニカルシール。
  2. バランス径D0が前記相対回転摺接部分の内外径D1,D2に対してD1≦D0≦D2となるように設定されたバランス型メカニカルシールに構成されていることを特徴とする、請求項1に記載する水中ポンプ用メカニカルシール。
  3. 両密封環がセラミックス又は超硬合金で構成されていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載する水中ポンプ用メカニカルシール。
  4. 両密封環が、その断面を前記相対回転摺接部分に対して対称形状をなすものに構成されており、両密封環の密封端面の内外径が前記相対回転摺接部分の内外径に一致していることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載する水中ポンプ用メカニカルシール。
JP2014177450A 2014-09-01 2014-09-01 水中ポンプ用メカニカルシール Pending JP2016050653A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014177450A JP2016050653A (ja) 2014-09-01 2014-09-01 水中ポンプ用メカニカルシール

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014177450A JP2016050653A (ja) 2014-09-01 2014-09-01 水中ポンプ用メカニカルシール

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016050653A true JP2016050653A (ja) 2016-04-11

Family

ID=55658305

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014177450A Pending JP2016050653A (ja) 2014-09-01 2014-09-01 水中ポンプ用メカニカルシール

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016050653A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017207147A (ja) * 2016-05-19 2017-11-24 日本ピラー工業株式会社 メカニカルシール
CN107795693A (zh) * 2017-11-02 2018-03-13 中国航空工业集团公司金城南京机电液压工程研究中心 一种膜片弹簧补偿式机械密封装置
JP2018100685A (ja) * 2016-12-19 2018-06-28 イーグル工業株式会社 回り止め機構
CN109372992A (zh) * 2018-09-28 2019-02-22 安徽安密机械密封有限公司 一种弹簧机械密封补偿环组件及其加工工艺
JP2020029922A (ja) * 2018-08-23 2020-02-27 イーグル工業株式会社 軸封装置
CN113551037A (zh) * 2021-08-19 2021-10-26 江苏金鹰流体机械有限公司 一种水滴型微凹坑织构端面机械密封结构
CN114215919A (zh) * 2021-12-17 2022-03-22 中密控股股份有限公司 一种能显著提高稳定性的新型核主泵静压轴封结构

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08334098A (ja) * 1995-06-07 1996-12-17 Ebara Corp 水中ポンプ装置
JP2012117432A (ja) * 2010-11-30 2012-06-21 Nippon Pillar Packing Co Ltd 水中ポンプ用軸封装置

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08334098A (ja) * 1995-06-07 1996-12-17 Ebara Corp 水中ポンプ装置
JP2012117432A (ja) * 2010-11-30 2012-06-21 Nippon Pillar Packing Co Ltd 水中ポンプ用軸封装置

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017207147A (ja) * 2016-05-19 2017-11-24 日本ピラー工業株式会社 メカニカルシール
JP2018100685A (ja) * 2016-12-19 2018-06-28 イーグル工業株式会社 回り止め機構
CN107795693A (zh) * 2017-11-02 2018-03-13 中国航空工业集团公司金城南京机电液压工程研究中心 一种膜片弹簧补偿式机械密封装置
CN107795693B (zh) * 2017-11-02 2019-08-23 中国航空工业集团公司金城南京机电液压工程研究中心 一种膜片弹簧补偿式机械密封装置
JP2020029922A (ja) * 2018-08-23 2020-02-27 イーグル工業株式会社 軸封装置
JP6991947B2 (ja) 2018-08-23 2022-01-13 イーグル工業株式会社 軸封装置
CN109372992A (zh) * 2018-09-28 2019-02-22 安徽安密机械密封有限公司 一种弹簧机械密封补偿环组件及其加工工艺
CN113551037A (zh) * 2021-08-19 2021-10-26 江苏金鹰流体机械有限公司 一种水滴型微凹坑织构端面机械密封结构
CN113551037B (zh) * 2021-08-19 2024-05-17 江苏金鹰流体机械有限公司 一种水滴型微凹坑织构端面机械密封结构
CN114215919A (zh) * 2021-12-17 2022-03-22 中密控股股份有限公司 一种能显著提高稳定性的新型核主泵静压轴封结构
CN114215919B (zh) * 2021-12-17 2022-12-13 中密控股股份有限公司 一种能显著提高稳定性的新型核主泵静压轴封结构

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2016050653A (ja) 水中ポンプ用メカニカルシール
JP6861730B2 (ja) しゅう動部品
US11603934B2 (en) Sliding component
JP7210566B2 (ja) シールリング
JP7242658B2 (ja) シールリング
US11125335B2 (en) Sliding component
US8474826B2 (en) Hydrodynamic magnetic seal
US20180128377A1 (en) Slide component
AU2015281104B2 (en) Sliding component
US10655736B2 (en) Sliding component
US9410572B2 (en) Five-axial groove cylindrical journal bearing with pressure dams for bi-directional rotation
JP7210565B2 (ja) シールリング
WO2013176009A1 (ja) 摺動部品
US6293555B1 (en) Secondary seal for non-contacting face seals
AU2015281105B2 (en) Sliding component
US9488280B2 (en) Seal assembly
US9927033B2 (en) Split circumferential lift-off seal segment
CN204201082U (zh) 水中泵用机械密封件
US11300208B2 (en) Seal assembly with anti-rotation and stability features

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170407

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170815

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20180227