JP2016050260A - 硬化性組成物、硬化膜、半導体素子、表示素子及び潜在性塩基触媒 - Google Patents

硬化性組成物、硬化膜、半導体素子、表示素子及び潜在性塩基触媒 Download PDF

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Abstract

【課題】貯蔵安定性が良好であり、かつ基板に対する密着性が良好な硬化膜を得ることができる硬化性組成物を提供する。
【解決手段】下記式(1)で表される化合物(A)と、塩基反応性化合物とを硬化性組成物に含有させる。
Figure 2016050260

(Rは1価の芳香族環基又は複素環基であり、環に結合する水素原子の少なくとも1個が置換されていてもよい。Rは水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。Rは水酸基を有さない1価の有機基である。Xは酸素原子又は硫黄原子である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性組成物、硬化膜、半導体素子、表示素子及び潜在性塩基触媒に関する。
硬化性組成物は、簡便な塗布プロセスによって硬化膜を大量かつ容易に形成可能であることから、液晶デバイスや半導体デバイス等の各種部品の材料として、あるいは塗料や接着剤等の材料として広く用いられている。このような硬化性組成物としては、従来、熱や光などの外部刺激によって塩基を生成する潜在性硬化剤と、塩基によって反応が促進される塩基反応性化合物とを含有するものが知られている(例えば、特許文献1や特許文献2参照)。特許文献1には、ウレア構造を有する塩基発生剤を含有するエポキシ系硬化性組成物が開示されている。また、特許文献2には、アミド構造を有する塩基発生剤を含有するエポキシ系硬化性組成物が開示されている。
また従来、塩基発生剤としては、[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン等のニトロベンジルカーバメート系の光塩基発生剤が広く用いられている(特許文献3及び特許文献4参照)。また、熱により塩基を発生する熱塩基発生剤として、N−アリル−N’,N’−ジアルキルウレアや、N−フェニルイミダゾールカルボキサミド等が提案されている(非特許文献1及び非特許文献2参照)。
特開2013−68681号公報 特開2013−241548号公報 特開2006−189591号公報 特開平7−140663号公報
Journal of Polymer Science,Part A,Polymer Chemistry,Vol.48,5298−5305,2010. Journal of Applied Polymer Science,Vol.104,3292−3300,2007.
潜在性硬化剤は、外部刺激を与える前の段階では高い安定性を示し、外部刺激を与えることによって塩基反応性化合物の反応を促進可能なことが望ましい。また、半導体デバイスや表示デバイス等では、硬化膜は一般に基板上に形成されるが、その際、硬化性組成物を用いて形成された硬化膜が基板に対して良好な密着性を示すことが求められる。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、貯蔵安定性が良好であり、かつ基板に対する密着性が良好な硬化膜を得ることができる硬化性組成物を提供することを一つの目的とする。
本発明者らは、上記のような従来技術の課題を達成するべく鋭意検討し、優れた特性を有する潜在性塩基触媒を見出すに至った。具体的には、本発明により以下の硬化性組成物、硬化膜、半導体素子、表示素子及び潜在性塩基触媒が提供される。
本発明は、一つの側面において、下記式(1)で表される化合物(A)と、塩基反応性化合物とを含有する硬化性組成物を提供する。
Figure 2016050260
(式(1)中、Rは1価の芳香族環基又は複素環基であり、環に結合する水素原子の少なくとも1個が置換基で置換されていてもよい。Rは水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。Rは水酸基を有さない1価の有機基である。Xは酸素原子又は硫黄原子である。)
本発明は、別の一つの側面において、上記硬化性組成物を用いて形成された硬化膜、並びに該硬化膜を備える表示素子及び半導体素子を提供する。また、別の一つの側面において、上記式(1)で表される潜在性塩基触媒を提供する。
上記式(1)で表される化合物及び塩基反応性化合物を含有する組成物は、塩基反応性化合物との混合物の状態において、加熱前では貯蔵安定性に優れており、加熱することで塩基反応性化合物の反応を促進させることができる。また、上記組成物により形成された硬化膜は、基板に対する密着性に優れており、したがって半導体素子や表示素子の膜形成材料として好適である。
本発明に係る硬化性組成物は、潜在性塩基触媒としての化合物(A)と塩基反応性化合物とを含有する。以下、本発明に係る硬化性組成物に含まれる各成分について説明する。
<化合物(A)>
化合物(A)は、下記式(1)で表される化合物である。
Figure 2016050260
(式(1)中、Rは1価の芳香族環基又は複素環基であり、環に結合する水素原子の少なくとも1個が置換基で置換されていてもよい。Rは水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。Rは水酸基を有さない1価の有機基である。Xは酸素原子又は硫黄原子である。)
上記式(1)のRについて、1価の芳香族環基としては、例えばベンゼン、ナフタレン、アントラセン等の芳香族炭化水素の環部分から1個の水素原子を取り除いた基などが挙げられる。Rの1価の複素環基は、窒素含有複素環や硫黄含有複素環、酸素含有複素環から1個の水素原子を取り除いた基などが挙げられる。それらの具体例としては、例えばピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、インドール、ベンゾイミダゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、ナフチリジン、キノキサリン、フタラジン、トリアジン、チアゾール、イソチアゾール、ベンゾチアゾール、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、ヘキサメチレンイミン、デカヒドロキノリンなどの窒素含有複素環から1個の水素原子を取り除いた基;チオラン、チオフェンなどの硫黄含有複素環から1個の水素原子を取り除いた基;フラン、ピラン等の酸素含有複素環から1個の水素原子を取り除いた基;などが挙げられる。
なお、Rの1価の芳香族環基及び複素環基において、環部分には置換基が導入されていてもよい。当該置換基の具体例としては、例えばハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数5〜12のアリール基(フェニル基、トリル基等)、ニトロ基、アミノ基、メルカプト基、ニトロソ基、シリル基、シラノール基、スルフィノ基、ホスフィノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、シアノ基、スルホ基、アシル基などが挙げられる。
としては、上記の中でも反応活性種の塩基性が高い点で1価の窒素含有複素環基であることが好ましく、イミダゾール環、ピリジン環、ピペラジン環、ピラジン環、ピラゾール環又はピリダジン環を有する1価の基であることがより好ましく、ピリジン環又はイミダゾール環を有する1価の基であることがさらに好ましい。
の1価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜10の鎖状炭化水素基、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基、炭素数5〜10の芳香族炭化水素基などが挙げられる。
ここで、本明細書において「炭化水素基」とは、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基を含む意味である。「鎖状炭化水素基」とは、主鎖に環状構造を含まず、鎖状構造のみで構成された直鎖状炭化水素基及び分岐状炭化水素基を意味する。ただし、飽和でも不飽和でもよい。「脂環式炭化水素基」とは、環構造としては脂環式炭化水素の構造のみを含み、芳香環構造を含まない炭化水素基を意味する。ただし、脂環式炭化水素の構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造を有するものも含む。「芳香族炭化水素基」とは、環構造として芳香環構造を含む炭化水素基を意味する。ただし、芳香環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造や脂環式炭化水素の構造を含んでいてもよい。
の具体例としては、鎖状炭化水素基として、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられ、これらは直鎖状でも分岐状でもよい。また、Rの脂環式炭化水素基としては、例えばシクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基等を;芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、トリル基、ベンジル基等を、それぞれ挙げることができる。Rは、中でも水素原子又は炭素数1〜6の1価の炭化水素基であることが好ましい。
の1価の有機基としては、例えば炭素数1〜30の1価の炭化水素基;当該炭化水素基のメチレン基を−O−、−S−、−CO−、−COO−、−COS−、−NR−、−CO−NR−、−NR−CO−NR−、−OCO−NR−(ただし、Rは炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。)、−N=N−、−SO−等の2価の官能基で置き換えた基;炭素数1〜30の1価の炭化水素基が有する水素原子の少なくとも1個を置換基で置換した基;複素環を有する1価の基、などが挙げられる。ここで、1価の炭化水素基が有していてもよい置換基は水酸基以外であればよく、ニトロ基、3級アミノ基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、ホスフィノ基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、スルホ基などが好ましい。
は、化合物の合成しやすさの観点から酸素原子であることが好ましい。
化合物(A)としては、下記式(2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2016050260
(式(2)中、Rは(n+1)価の炭化水素基である。R、R及びXは上記式(1)と同義である。ただし、分子内の複数のR、R及びXは互いに同じでも異なってもよい。nは0〜3の整数である。)
の(n+1)価の炭化水素基としては、例えば鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基が挙げられる。具体的には、鎖状炭化水素基としては、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、エテン、プロペン、アセチレン等の鎖状炭化水素から(n+1)個の水素原子を取り除いた基;脂環式炭化水素基としては、例えばシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の環部分又は鎖状構造から(n+1)個の水素原子を取り除いた基;芳香族炭化水素基としては、例えばベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、トルエン、キシレン等の環部分又は鎖状構造から(n+1)個の水素原子を取り除いた基、などが挙げられる。Rの炭素数は特に制限はないが、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましい。
nは0又は1であることが好ましい。
化合物(A)の具体例としては、例えば下記式(A−1)〜式(A−4)のそれぞれで表される化合物等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。化合物(A)は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
Figure 2016050260
(化合物(A)の合成)
化合物(A)は、有機化学の定法を適宜組み合わせることによって合成することができる。その一例を挙げると、例えばハロゲン化アシルと、1級アミン又は2級アミンとを反応させる方法などが挙げられる。化合物(A)は、例えば下記スキーム(I)又はスキーム(II)に従って合成することができる。
Figure 2016050260
(スキーム(I)及び(II)中、R,R,R及びXは上記式(1)と同義である。Rは炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。)
化合物(A)の合成の具体例としては、例えばベンゾイルクロライドとアミノピリジンとを反応させる、トリメチルアセチルクロライドとアミノピリジンとを反応させる等によって合成することができる。同様に、上記式(1)で表される他の化合物についても上記合成方法に準じて、又は上記の一部を変更して合成することができる。
<塩基反応性化合物>
塩基反応性化合物は、塩基によって、例えば重合反応や架橋反応、付加反応、分子内閉環反応などの反応が促進される化合物であれば特に限定されない。塩基反応性化合物の具体例としては、例えばエポキシ基(オキシラニル基)、オキセタニル基、エピスルフィド基、アルコキシシリル基、シラノール基及びイソ(チオ)シアネート基などの反応性基を有する化合物、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール前駆体などが挙げられる。なお、「イソ(チオ)シアネート」は、イソシアネート及びイソチオシアネートを含む意味である。
塩基反応性化合物において、塩基によって促進される反応の具体的な態様としては、例えばエポキシ基を有する化合物(以下、「エポキシ基含有化合物」とも称する。)、オキセタニル基を有する化合物、アルコキシシリル基を有するケイ素化合物(以下、「アルコキシシリル基含有化合物」とも称する。)、シラノール基を有する化合物及びエピスルフィド基を有する化合物では、自己重合の促進のために使用することができる。あるいは、エポキシ基含有化合物、オキセタニル基を有する化合物又はエピスルフィド基を有する化合物と共に、チオール基を有する化合物を本組成物中に配合し、エポキシ基含有化合物等とチオール基を有する化合物との付加反応を促進させるために使用することもできる。エポキシ基含有化合物等が重合体の場合には、化合物(A)の加熱により生成した塩基の作用によって分子間架橋反応を促進させるために使用することも可能である。
アルコキシシリル基含有化合物が重合体(例えばポリシロキサン)である場合には、例えば分子間架橋反応を促進させるために使用することができる。
イソ(チオ)シアネート基を有する化合物(以下、「イソ(チオ)シアネート基含有化合物」とも称する。)については、例えばイソ(チオ)シアネート基含有化合物とアルコール又は1級アミンとの付加反応を促進させたり、あるいは重合体の分子間架橋反応を促進させたりする目的で使用することができる。
使用する塩基反応性化合物としては、上記の中でも特に、エポキシ基含有化合物、アルコキシシリル基含有化合物及びイソ(チオ)シアネート基含有化合物よりなり群から選ばれる少なくとも一種とすることが好ましく、エポキシ基含有化合物及びアルコキシシリル基含有化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種とすることがより好ましい。なお、塩基反応性化合物は、1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
[エポキシ基含有化合物]
塩基反応性化合物としてのエポキシ基含有化合物は、1分子内に少なくとも1個のエポキシ基を有していれば特に制限されない。具体的には、1分子内に1個のエポキシ基を有する化合物として、例えば(メタ)アクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシブチル、α−エチルアクリル酸3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸6,7−エポキシヘプチル、α−エチルアクリル酸6,7−エポキシヘプチル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジエトキシシラン等を;
1分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物として、例えばビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールADジグリシジルエーテルなどのビスフェノール型ジグリシジルエーテル類;1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルなどの多価アルコールのポリグリシジルエーテル類;のほか、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂肪族多価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等)に1種又は2種以上のアルキレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル類、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ポリフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル類、高級脂肪酸のグリシジルエステル類、脂肪族ポリグリシジルエーテル類、環状脂肪族エポキシ樹脂、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ基含有アクリルモノマーを含む原料組成を重合して得られるエポキシ基含有アクリル系重合体等を、
それぞれ挙げることができる。なお、エポキシ基含有化合物は、これらの1種を単独で使用してもよいし、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、使用するエポキシ基含有化合物は合成品でも市販品でもよい。エポキシ基含有化合物の合成は公知の方法に従って行うことができる。
エポキシ基含有化合物として重合体を使用する場合、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が300〜80,000の範囲にあることが好ましく、500〜30,000の範囲にあることがより好ましい。エポキシ基含有化合物の重量平均分子量を上記範囲とすることにより、本組成物を用いて硬化膜を製造する際に取り扱いやすく、また得られた硬化膜は十分な材料強度及び特性を有するものとなる。
[アルコキシシリル基含有化合物]
塩基反応性化合物としてのアルコキシシリル基含有化合物は、1分子内に少なくとも1個のアルコキシシリル基を有するものであれば特に限定されない。アルコキシシリル基含有化合物の具体例としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等の(アルキル)アルコキシシラン化合物;
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(3−シクロヘキシルアミノ)プロピルトリメトキシシラン等の窒素・硫黄含有アルコキシシラン化合物;
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有アルコキシシラン化合物;トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物等の酸無水物基含有アルコキシシラン化合物;
3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン等の不飽和結合含有アルコキシシラン化合物;
アルコキシシリル基を有するポリシロキサン;などを挙げることができる。
本発明に係る硬化性組成物に含有させるアルコキシシリル基含有化合物としては、これらの中でもポリシロキサンであることが好ましい。なお、アルコキシシリル基含有化合物は、これらのうちの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。「(メタ)アクリロキシ」は、「アクリロキシ」及び「メタクリロキシ」を含む意味である。
ポリシロキサンは、塩基の作用によって反応する塩基反応性化合物であればよく、その構造は特に限定されるものでないが、例えば加水分解性のシラン化合物を加水分解・縮合させて得られる化合物等が挙げられる。
ポリシロキサンの合成に使用する加水分解性のシラン化合物としては、例えば上記の(アルキル)アルコキシシラン化合物、窒素・硫黄含有アルコキシシラン化合物、エポキシ基含有アルコキシシラン化合物、酸無水物基含有アルコキシシラン化合物、不飽和結合含有アルコキシシラン化合物などが挙げられる。なお、加水分解性のシラン化合物は1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記の加水分解・縮合反応は、上記の如きシラン化合物の1種又は2種以上と水とを、好ましくは適当な触媒及び有機溶媒の存在下で反応させることにより行うことができる。加水分解・縮合反応に際し、水の使用割合は、シラン化合物(合計量)1モルに対して、好ましくは0.5〜100モルであり、より好ましくは1〜30モルである。
加水分解・縮合反応の際に使用する触媒としては、例えば酸、アルカリ金属化合物、有機塩基、チタン化合物、ジルコニウム化合物などを挙げることができる。触媒の使用量は、触媒の種類、温度などの反応条件などにより異なり適宜に設定されるべきであるが、例えばシラン化合物の合計量に対して、好ましくは0.01〜3倍モルであり、より好ましくは0.05〜1倍モルである。
上記の加水分解・縮合反応の際に使用する有機溶媒としては、例えば炭化水素、ケトン、エステル、エーテル、アルコールなどを挙げることができる。中でも、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート又は3−メトキシプロピオン酸メチルを好ましく使用することができる。有機溶媒の使用割合は、反応に使用するシラン化合物の合計100重量部に対して、好ましくは10〜10,000重量部であり、より好ましくは50〜1,000重量部である。
上記の加水分解・縮合反応は、例えば油浴などにより加熱して実施することが好ましい。加水分解・縮合反応時には、加熱温度を130℃以下とすることが好ましく、40〜100℃とすることがより好ましい。加熱時間は、0.5〜12時間とすることが好ましく、1〜8時間とすることがより好ましい。加熱中は、混合液を撹拌してもよいし、還流下に置いてもよい。なお、加水分解・縮合反応の後には脱水剤を加え、次いでエバポレーションを行うことで、水及び生成したアルコールを系外に除去することができる。
ポリシロキサンは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が300〜50,000の範囲にあることが好ましく、500〜10,000の範囲にあることがより好ましい。ポリシロキサンの重量平均分子量を上記範囲とすることにより、本組成物を用いて硬化膜を製造する際に取り扱いやすく、また得られた硬化膜は半導体デバイスや液晶デバイスに適用する硬化膜として十分な材料強度及び特性を有するものとなる。
[イソ(チオ)シアネート基含有化合物]
イソ(チオ)シアネート基含有化合物としては、1分子内に2個以上のイソ(チオ)シアネート基を有する化合物であればよく、その余の構造は特に制限されない。イソ(チオ)シアネート基含有化合物の具体例としては、例えばフェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、側鎖又は末端にイソ(チオ)シアネート基を有する多官能オリゴマー及び多官能ポリマーなどが挙げられる。イソ(チオ)シアネート基含有化合物は、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本組成物における化合物(A)の配合割合は、使用する塩基反応性化合物の種類や硬化膜の用途に応じて適宜選択することができるが、好ましくは、塩基反応性化合物100重量部に対して0.1〜40重量部である。化合物(A)の配合割合を0.1重量部未満とすると、塩基反応性化合物の反応を促進する効果を十分に得ることができず、硬化性や密着性等の特性が低下するおそれがある。また、40重量部よりも多くすると、化合物(A)及び塩基反応性化合物の溶媒に対する溶解性が低下し、組成物中に不溶物が存在するおそれがある。化合物(A)の配合割合は、より好ましくは塩基反応性化合物100重量部に対して0.5〜40重量部であり、さらに好ましくは1〜30重量部であり、特に好ましくは1〜20重量部である。
なお、本発明を拘束するものではないが、上記式(1)で表される化合物は、外部刺激が付与された際に、脱離を伴わずに塩基として機能するものと推測される。そのため、化合物(A)を含む硬化性組成物によれば、脱離基が揮発成分となってプロセスに影響を与えるリスク(例えば、乾燥炉への付着など)を抑制しつつ硬化膜を形成できるものと考えられる。また、上記式(1)で表される化合物によれば、基板への密着性が良好な硬化膜を得ることができる。その理由は定かではないが、想定される一つの要因としては、化合物(A)を用いることにより、塩基反応性化合物の硬化をマイルドに進行させることができ、硬化収縮が小さくなることで密着性が良好になったことが挙げられる。
<その他の成分>
本組成物は、上記の如き化合物(A)及び塩基反応性化合物を含有するが、必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。かかるその他の成分としては、例えば化合物(A)以外のその他の潜在性硬化剤、2個以上の官能基を有する多官能化合物、ラジカル発生剤等が挙げられる。
[その他の潜在性硬化剤]
その他の潜在性硬化剤としては、例えば塩基発生剤などを使用できる。塩基発生剤としては、熱又は光によって塩基を発生する化合物として公知の化合物の中から適宜選択して使用することができる。具体的には、例えばイミダゾール系熱塩基発生剤;オルトニトロベンジルカルバメート系、α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルカルバメート系、アシルオキシイミノ系の光塩基発生剤などを用いることができる。
その他の潜在性硬化剤を配合する場合、その配合割合は、硬化性組成物に含有させる潜在性硬化剤の合計量に対して、50重量%以下とすることが好ましく、20重量%以下とすることがより好ましい。
[多官能化合物]
多官能化合物は、硬化性組成物により形成される硬化膜の強度や特性を改善すること等を目的として使用される。こうした多官能化合物としては、例えば2個以上のエチレン性不飽和基を有する多官能不飽和化合物、2個以上のチオール基を有する多官能チオール化合物等が挙げられる。これらの具体例としては、多官能不飽和化合物として、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等を;
多官能チオール化合物として、例えば1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、2,5−ヘキサンジチオール、1,8−オクタンジチオール、3,7−ジチア−1,9−ノナンジチオール、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジメルカプトベンゼン、ジ(メルカプトメチル)ベンゼン、イソシアヌル酸、2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート、チオール基を有する多官能性ポリマー(例えば、商品名で「チオコールLP」、「ポリチオール」(以上、東レ・ファインケミカル(株)製))等を;それぞれ挙げることができる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
多官能化合物を配合する場合、その配合割合は、塩基反応性化合物100重量部に対して、200重量部以下とすることが好ましく、5〜100重量部とすることがより好ましい。
[ラジカル発生剤]
ラジカル発生剤は、エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物を配合させた際の熱又は光に対する感度を高めるために使用することができる。ラジカル発生剤としては、例えば熱ラジカル発生剤、光ラジカル発生剤等が挙げられる。これらの具体例としては、熱ラジカル発生剤として、例えばt−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ペルオキシ酢酸t−ブチル等の過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)等のアゾ化合物;加硫酸塩と酸性亜硫酸ナトリウムと硫酸第一鉄との組み合わせ等のレドックス系開始剤;などが挙げられる。
光ラジカル発生剤としては、例えばアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1,4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)等が挙げられる。
ラジカル発生剤の配合割合は、塩基反応性化合物100重量部に対して、50重量部以下とすることが好ましく、20重量部以下とすることがより好ましい。
なお、本組成物には、本発明の目的及び効果を妨げない範囲内において、上記以外のその他の添加剤を適宜配合してもよい。その他の添加剤としては、例えば界面活性剤、充填剤、顔料、消泡剤、増感剤、分散剤、酸化防止剤、密着助剤、帯電防止剤、レベリング剤、抗菌剤等が挙げられる。
<溶剤>
本組成物は、化合物(A)、塩基反応性化合物、及び必要に応じて使用されるその他の成分が、好ましくは適当な有機溶媒に分散又は溶解してなる液状の組成物として調製される。使用する有機溶媒としては、化合物(A)、塩基反応性化合物、及び必要に応じて使用されるその他の成分を均一に溶解でき、かつ各成分と反応しない化合物が好ましい。
このような溶媒のうち、各成分の溶解性、各成分との非反応性及び塗布性の観点から、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、シクロヘキサノールアセテート、ベンジルアルコール、3−メトキシブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを好ましく使用することができる。これらの溶媒は、1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本組成物における固形分濃度(硬化性組成物の溶媒以外の成分の合計重量が硬化性組成物の全重量に占める割合)は、粘性、揮発性、使用目的、基板等に塗布する際に用いる方法などを考慮して適宜に選択されるが、好ましくは5〜50重量%の範囲である。固形分濃度が5重量%未満である場合には、塗膜の膜厚が過小となって良好な硬化膜が得にくくなる。一方、固形分濃度が50重量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な硬化膜が得にくい。また、硬化性組成物の粘性が増大して塗布性が低下しやすい。
硬化性組成物を調製する際の温度は、好ましくは10〜100℃であり、より好ましくは20〜80℃である。硬化性組成物が液状の場合には、例えば孔径0.1〜1.0μm程度のフィルター等を用いてろ過した後、硬化膜の形成に供してもよい。
<硬化膜及びその製造方法>
上記の如くして調製した硬化性組成物を用いて硬化膜を得るには、例えば下記の工程(1)及び工程(2)を含む方法により行うことができる。
(1)上記の硬化性組成物を用いて基板上に塗膜を形成する工程。
(2)基板上に形成された塗膜を加熱する工程。
[工程(1):塗膜の形成]
基板としては、特に限定されず、例えば透明基板、金属基板等が挙げられる。透明基板としては、例えばガラス基板、樹脂基板等が挙げられ、その具体例としては、ソーダライムガラス、無アルカリガラス等のガラス基板;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド等のプラスチックからなる樹脂基板を挙げることができる。
基板上に本組成物を塗布した後、塗布面を加熱(プリベーク)することによって塗膜を形成することが好ましい。基板上に本組成物を塗布する方法は特に制限されず、例えばスプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法、インクジェット塗布法等の方法を採用することができる。これらの中でも、特にスピンコート法又はスリットダイ塗布法が好ましい。加熱温度は、好ましくは50〜120℃である。加熱時間は、好ましくは1〜15分である。加熱後の塗膜の膜厚は、好ましくは0.01〜20μmであり、より好ましくは0.02〜5μmである。
[工程(2):塩基の発生]
続いて、形成された塗膜の少なくとも一部に対して加熱処理を施すことにより塩基を発生させ、塩基反応性化合物を硬化させる。このとき、加熱温度は、70〜250℃とすることが好ましく、80〜230℃とすることがより好ましく、100〜200℃とすることがさらに好ましい。加熱時間は、好ましくは1分〜2時間であり、より好ましくは10分〜1時間である。こうして硬化膜が得られる。
なお、本組成物が感光性樹脂を含む場合、上記工程(1)で形成した塗膜に対してパターン露光を行い、次いで現像処理を施し、その後上記工程(2)の加熱処理を行うことで、所望のパターンが形成された硬化膜を得ることができる。感光性樹脂としては公知のものを使用することができる。
以上詳述した硬化性組成物は、化合物(A)の加熱により塩基反応性化合物の反応が促進される。この化合物(A)は、例えば室温の条件下では安定性が高く、塩基反応性化合物との混合物の状態において、加熱前では塩基反応性化合物の反応が進行しないか、又は反応の進行が抑制される。このように、上記硬化性組成物は硬化性と貯蔵安定性とを兼ね備えており、種々の用途に有用である。
本発明の硬化性組成物及び硬化膜は、高い表面硬度や透明性を有する技術用途に有効に適用することができ、中でも、表示素子又は半導体素子が備える硬化膜に好ましく適用することができる。具体的には、例えば保護膜、スペーサー膜、層間絶縁膜、反射防止膜、配線被覆膜等といった、表示素子又は半導体素子が備える種々の硬化膜に適用することができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
以下の合成例において、各物性は以下の方法により測定した。
(重量平均分子量)
重合体の重量平均分子量Mwは、以下の条件におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算値である。
装置:GPC−101(昭和電工製)
カラム:GPC−KF−801、GPC−KF−802、GPC−KF−803及びGPC−KF−804を結合
移動相:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
流速:1.0mL/分
試料濃度:1.0重量%
試料注入量:100μL
検出器:示差屈折計
H−NMR)
H−NMRは、核磁気共鳴装置(商品名「JNM−ECX400」、日本電子社製)を用いて測定した。
なお、以下では「式(X)で表される化合物」を「化合物(X)」と記すことがある。
<潜在性塩基触媒の合成>
[実施例1−1:化合物(A−1)の合成]
下記スキーム1に従って化合物(A−1)を合成した。
Figure 2016050260
100mLのナス型フラスコにベンゾイルクロライドを2.5g(18.0mmol)入れ、10mLのアセトニトリルに溶解させた。さらに30mLのアセトニトリルに溶解させた4−アミノピリジン1.4g(15.0mmol)及びトリエチルアミン3mLを加え、45℃にて5時間撹拌した。薄層クロマトグラフィー(TLC)により目的物の生成を確認し、溶媒留去した後、クロロホルム/重曹水にて分液洗浄を行った。さらにアセトニトリルでの再結晶により化合物(A−1)1.9gを得た。化合物(A−1)のH−NMR測定の結果を下記に示す。
H−NMR(DMSO−d);δ7.54(t,2H),7.62(d,1H),7.78(d、2H),7.95(d,2H),8.46(d,2H),10.58(s,1H).
[実施例1−2:化合物(A−2)の合成]
ベンゾイルクロライドの代わりにトリメチルアセチルクロライドを出発物質として用いた以外は、実施例1−1と同様の操作により化合物(A−2)を得た。化合物(A−2)のH−NMR測定の結果を下記に示す。
H−NMR(DMSO−d);δ1.23(s,9H),8.41(d,2H),8.56(d,2H),9.19(s,1H).
Figure 2016050260
[実施例1−3:化合物(A−3)の合成]
ベンゾイルクロライドの代わりにテレフタロイルジクロライドを出発物質として用いた以外は、実施例1−1と同様の操作により化合物(A−3)を得た。化合物(A−3)のH−NMR測定の結果を下記に示す。
H−NMR(DMSO−d);δ7.36(d,4H),8.18(d,4H),8.46(d,4H),10.22(s,2H).
Figure 2016050260
[実施例1−4:化合物(A−4)の合成]
ベンゾイルクロライドの代わりに2−アミノイミダゾールを出発物質として用いた以外は、実施例1−1と同様の操作により化合物(A−4)を得た。化合物(A−4)のH−NMR測定の結果を下記に示す。
H−NMR(DMSO−d);δ7.02(d,2H),7.54(dd,2H),7.62(d,1H),7.96(d,2H),11.08(s,1H),13.00(s,1H).
Figure 2016050260
<塩基反応性化合物の合成>
撹拌機及び温度計を備えた反応容器に、シラン化合物としてメチルトリメトキシシラン60重量部及びテトラエトキシシラン40重量部、並びにプロピレングリコールモノメチルエーテル50重量部、及びテトラ−i−プロポキシアルミニウム0.2重量部を仕込み、溶液温度が60℃になるまで加熱した。次いで、水(シラン化合物の合計100重量部に対して40重量部)を仕込み、75℃になるまで加熱し、3時間保持した。次いで、脱水剤としてオルト酢酸メチル60重量部を加え、1時間撹拌した。さらに溶液温度を40℃にし、温度を保ちながらエバポレーションすることで水及びメタノールを留去した。これにより重合体(PS−1)を得た。得られた重合体(PS−1)の重量平均分子量(Mw)は3,000であった。
[合成例2〜4]
使用する加水分解性シラン化合物の種類及び量を下記表1に記載の通り変更した以外は合成例1と同様に操作し、重合体(PS−2)〜重合体(PS−4)をそれぞれ得た。
Figure 2016050260
表1中、加水分解性シラン化合物の数値は、重合体の合成に使用したモノマーの合計量に対する各化合物の使用割合(重量%)を示す。表1中の「−」は、該当する成分を使用しなかったことを示す。加水分解性シラン化合物の略称の意味は以下の通りである。
m−1:メチルトリメトキシシラン
m−2:テトラエトキシシラン
m−3:3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン
m−4:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
m−5:3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン
[合成例5:重合体(PAc−1)の合成]
冷却管及び撹拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル5重量部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート250重量部を仕込み、続いてグリシジルメタクリレート70重量部及びスチレン30重量部を仕込んで窒素置換した。次いで、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を80℃に上昇させ、この温度を5時間保持して重合することにより、固形分濃度30%の重合体(PAc−1)溶液を得た。得られた重合体(PAc−1)のMwは10,000であった。
<硬化性組成物の調製及び評価>
[実施例2−1]
(1)硬化性組成物の調製
塩基反応性化合物として上記合成例1で得た重合体(PS−1)を100重量部、潜在性塩基触媒として上記実施例1−1で得た化合物(A−1)を0.1重量部、及び溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)を混合し、固形分濃度25重量%の溶液とした。この溶液を孔径0.2μmのフィルターを用いてろ過して硬化性組成物を調製した。
(2)耐擦傷性の評価(スチールウール耐性テスト)
無アルカリガラス基板上に、上記で調製した硬化性組成物をスピンナーにより塗布した後、90℃のホットプレート上で3分間プレベークすることにより塗膜(膜厚3.0μm)を形成した。次いで、塗膜を200℃のクリーンオーブン中で1時間加熱した。得られた硬化膜、及びスチールウール(ボンスターNo.0000、日本スチールウール株式会社製)を学振型摩擦堅牢度試験機(AB−301、テスター産業株式会社製)に取り付け、硬化膜の表面を荷重200gの条件で10回繰り返し擦過し、硬化膜の表面における傷の発生の有無を以下のA〜Dの基準により目視で確認した。この実施例の熱硬化膜は「C」の評価であった。
A:硬化膜に傷が発生しない。
B:硬化膜にわずかな細い傷が認められる。
C:硬化膜に複数の筋状の傷が認められる。
D:硬化膜に剥離が生じる。
(3)密着性の評価
上記の(2)と同様の操作によって基板上に硬化膜(熱硬化膜)を形成し、この硬化膜が形成された基板を用いてJIS D0202−1998に準拠して基板目剥離テープ試験を実施した。具体的には、硬化膜が形成された面にセロハンテープ(ニチバン株式会社製CT−18)を貼り付けた後、セロハンテープを剥離し、1cm×1cmの範囲内に設けた10個×10個の基盤目のうち、硬化膜が剥離しなかった基盤目の数で密着性を評価した。このとき、基板から硬化膜が剥離しなかった場合を「優良(◎)」、剥離しなかった基盤目の数が80個以上99個以下であった場合を「良好(○)」、剥離しなかった基盤目の数が1個以上79個以下であった場合を「可(△)」、100個全ての基盤目で剥離が生じた場合を「不可(×)」と評価した。その結果、この実施例では「可」の評価であった。
(4)貯蔵安定性の評価
上記(1)で調製した硬化性組成物を40℃で保管し、増粘率が200%になるまでに要した日数により貯蔵安定性を評価した。硬化性組成物の溶液粘度(mPa・s)は、E型回転粘度計を用いて40℃で測定した。増粘率が200%になるまでに要した日数が30日以上であった場合を貯蔵安定性「優良」、20日以上30日未満であった場合を「良好」、10日以上20日未満であった場合を「可」、10日未満であった場合を「不良」と評価した。その結果、この実施例では貯蔵安定性「優良」の評価であった。
[実施例2−2〜実施例2−18及び比較例1〜7]
硬化性組成物の組成を下記表2及び表3に示す通りに変更した点以外は実施例2−1と同様の操作により硬化性組成物を調製した。また、得られた硬化性組成物を用いて実施例2−1と同様の評価を行った。それらの結果を下記表2及び表3に示した。
Figure 2016050260
Figure 2016050260
表2及び表3中の化合物の略称は以下の通りである。
(塩基反応性化合物)
PE−1:フェノールノボラック型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製、エピコート152)
(塩基発生剤)
G−1:イミダゾール系塩基発生剤(商品名「TBG−01」、日本合成化学工業株式会社製)
G−2:2−ニトロベンジルシクロヘキシルカーバメート(商品名「NBC−101」、みどり化学株式会社製)
(その他の成分)
H−1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
H−2:ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)
H−3:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
H−4:トリエチルアミン
(溶剤)
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
MEK:メチルエチルケトン
なお、表2及び表3における各組成の数値は、硬化性組成物の調製に使用した塩基反応性化合物の合計100重量部に対する各化合物の配合割合(重量部)を示す。
表2及び表3に示すように、化合物(A)を含む実施例2−1〜実施例2−18の硬化性組成物では、化合物(A)を含まない比較例の硬化性組成物よりも、貯蔵安定性及び密着性の両特性をバランス良く兼ね備えていた。

Claims (8)

  1. 下記式(1)で表される化合物(A)と、塩基反応性化合物とを含有する硬化性組成物。
    Figure 2016050260
    (式(1)中、Rは1価の芳香族環基又は複素環基であり、環に結合する水素原子の少なくとも1個が置換されていてもよい。Rは水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。Rは水酸基を有さない1価の有機基である。Xは酸素原子又は硫黄原子である。)
  2. 前記化合物(A)は、下記式(2)で表される化合物である、請求項1に記載の硬化性組成物。
    Figure 2016050260
    (式(2)中、Rは(n+1)価の炭化水素基である。R、R及びXは上記式(1)と同義である。ただし、分子内の複数のR、R及びXは互いに同じでも異なってもよい。nは0〜3の整数である。)
  3. 前記Rは1価の窒素含有複素環基である、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
  4. 前記塩基反応性化合物が、エポキシ基を有する化合物及びポリシロキサンよりなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性組成物を用いて形成された硬化膜。
  6. 請求項5に記載の硬化膜を備える半導体素子。
  7. 請求項5に記載の硬化膜を備える表示素子。
  8. 下記式(1)で表される潜在性塩基触媒。
    Figure 2016050260
    (式(1)中、Rは1価の芳香族環基又は複素環基であり、環に結合する水素原子の少なくとも1個が置換されていてもよい。Rは水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。Rは水酸基を有さない1価の有機基である。Xは酸素原子又は硫黄原子である。)
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