JP2016048990A - 電源システム - Google Patents

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Abstract

【課題】2つ数の直流電源を備えた電源システムにおいて、センサやスイッチング素子の特性等に起因する昇圧比のずれを補正学習することにより一方側の直流電源が過電力となるのを抑制する。
【解決手段】電源システムは、負荷と、負荷に接続された電力線と、負荷に電力を供給可能な第1および第2の直流電源と、第1および第2の直流電源と電力線との間に接続された電力変換器と、電力変換器の動作を制御するための制御装置40とを備える。制御装置40は、第1および第2の直流電源の両方から電力線を介して負荷に電力供給する場合であって第1および第2の直流電源の各出力電力がそれぞれ所定値α以上であるとき、第1および第2の直流電源間の電力分配比が所定の要求範囲内に収まるように、第1の直流電源の電圧についての電力変換器による昇圧比Saを補正学習しながら制御する。
【選択図】図25

Description

本発明は、複数の直流電源と共通の電力線との間に接続された電力変換器とを含んで構成される電源システムに関する。
従来、特開2011−97693号公報(以下、特許文献1という)には、2つの直流電源がそれぞれコンバータ(電力変換器)を介して電力線に並列接続されている車両の電源システムが開示されている。この電源システムでは、一方の直流電源を電圧制御し、他方の直流電源をフィードバック制御により電力制御することで、負荷であるモータの要求電力を2つの直流電源が協働して供給することが記載されている。そして、この電源システムでは、上記他方の直流電源について電力分配比にしたがって設定される電力目標値を、この直流電源に要求される電力指令値と実際に入出力される実電力値とのずれ量に基づいて修正することにより、実際の電力と電力指令値とのずれによる影響(例えば、過放電や過充電など)を解消して安定的なパワーマネージメントを可能にすると記載されている。
特開2011−97693号公報
上記特許文献1の車両の電源システムでは、各直流電源の状態(例えば、SOC、温度等)と負荷要求等に基づいて、各直流電源に適切に使用できるように電力分配比が決められている。
このような電源システムにおいて、電力分配比に基づく狙いの電力目標値に対して、一方の直流電源の電力負担が他方に比べて高くなることがある。例えば、第1の直流電源の電力分配比が高くなると、負荷要求電力を満たすよう電力変換器による昇圧比(すなわちシステム電圧)が高くなる。すると、システム電圧と第2の直流電源の電圧との差が大きくなり、第2の直流電源が過充電となる場合がある。一方で、第1の直流電源の電力分配比が低くなると、第2の直流電源からの電力持ち出しが増加して過放電となる場合がある。したがって、このように第1および第2の直流電源の両方から電力を供給して負荷要求電力を満たす場合に、各直流電源についての入出力電力を適切に調整するよう電力分配比を設定する必要がある。
このように各直流電源の入出力電力を調整して各直流電源が過度な充放電状態とならないように制御するには、電力変換器による第1の直流電源の昇圧後の電圧と、電力変換器による第2の直流電源の昇圧後の電圧とを揃えることが重要である。これは、電力線に対して並列に接続される第1および第2の直流電源の両方から出力電力をバランス良く供給するためである。しかし、各直流電源の電圧や電流を検出するセンサの特性や、電力変換器を構成するスイッチング素子の特性等によって、両方の昇圧後の電圧にずれが生じることが起こり得る。そうすると、電力分配比を適切に調整したとしても、上記のような過剰な充放電が発生する場合がある。
本発明の目的は、第1および第2の直流電源間での電力分配を適切に行うとともに、センサやスイッチング素子の特性等に起因する昇圧比のずれを補正学習することにより、各直流電源が過電力(すなわち過放電または過充電)となるのを抑制できる電源システムを提供することである。
本発明に係る電源システムは、負荷と、前記負荷に接続された電力線と、前記負荷に電力を供給可能な第1および第2の直流電源と、前記第1および第2の直流電源と前記電力線との間の少なくとも一方に接続された電力変換器と、前記電力変換器の動作を制御するための制御装置と、を備え、前記第1および第2の直流電源が前記電力線に対して並列関係に接続された際に、前記第1の直流電源が前記電力線に対する電力制御の電源として動作する一方で、前記第2の直流電源が前記電力線に対する電圧制御用の電源として動作し得る、電源システムであって、前記制御装置は、前記第1および第2の直流電源の両方から前記電力線を介して前記負荷に電力供給する場合であって前記第1および第2の直流電源の各出力電力がそれぞれ所定値以上であるとき、前記第1および第2の直流電源間の電力分配比が所定の要求範囲内に収まるように、前記第1の直流電源の電圧についての前記電力変換器による昇圧比を補正学習しながら制御するものである。
本発明に係る電源システムによれば、第1および第2の直流電源間の電力分配比が所定の要求範囲内に収まるように、前記第1の直流電源の電圧についての前記電力変換器による昇圧比を補正学習しながら制御する。これにより、センサやスイッチング素子の特性等に起因する第1および第2の直流電源間での昇圧電圧のずれを解消することができる。その結果、第1および第2直流電源間での電力分配を所定の要求範囲に維持することができ、電力制御側の直流電源が過電力となるのを抑制することができる。
本発明の一実施形態である電源システムの構成を示す図である。 図1に示した負荷の構成例を示す概略図である。 図1に示した電力変換器が有する複数の異なる種類の動作モードを説明するための図表である。 PBモードにおける第1の直流電源に対するDC/DC変換(昇圧動作)を説明する回路図である。 PBモードにおける第2の直流電源に対するDC/DC変換(昇圧動作)を説明する回路図である。 PBモードにおける電力変換器のスイッチング素子の制御動作例を示す波形図である。 PBモードにおける各スイッチング素子の制御信号を設定するための論理演算式を説明するための図表である。 SBモードにおけるDC/DC変換(昇圧動作)を説明する回路図である。 SBモードにおける各スイッチング素子の制御動作例を示す波形図である。 SBモードにおける各スイッチング素子の制御動作を設定するための論理演算式を説明するための図表である。 PBDモードにおける第1の直流電源に対するDC/DC変換と第2の直流電源の直結接続状態を説明する回路図である。 PBDモードにおける各スイッチング信号の制御動作例を示す波形図である。 PBDモードにおける各スイッチング素子の制御動作を設定するための論理演算式を説明するための図表である。 図3に示した各動作モードにおける直流電源間での電力分配比の制御可否および出力電圧の設定可能範囲を比較するための図表である。 負荷要求電圧の電圧範囲の定義を説明するための概念図である。 図15の各電圧範囲での動作モードの選択を説明するための図表である。 本実施形態における電力変換器制御の基本的な概念を説明する概念図である。 本実施形態における電力変換器制御を説明するためのブロック図である。 本実施形態における電力変換器制御を説明するための別のブロック図である。 PBモードにおいて第1の直流電源のデューティ比と電力分配比との関係を示すグラフである。 制御装置の過電力回避制御部の機能ブロック図である。 制御装置において実行される過電力回避制御の処理手順を示すフローチャートである。 過電力回避制御が実行されたときの、(a)第1の直流電源についての電力指令値および実電力と(b)昇圧比、ならびに、(c)第2の直流電源についての電力指令値および実電力の変化を示す図である。 制御装置の昇圧比補正学習処理部の機能ブロック図である。 図24の昇圧比補正学習処理部により実行される処理手順を示すフローチャートである。 電源システムの別の例の構成を示す図である。
以下に、本発明に係る実施形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。この説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等にあわせて適宜変更することができる。また、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて用いることは当初から想定されている。
図1は、本発明の一実施形態である電源システムの構成を示す回路図である。電源システム1は、第1の直流電源10aおよび第2の直流電源10bと、負荷30と、制御装置40と、電力変換器50とを備える。
本実施形態において、各直流電源10a,10bは、リチウムイオン電池やニッケル水素電池のような二次電池、または、電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタ等の出力特性に優れた直流電源要素により構成される。
直流電源10a,10bは、同種および同容量の直流電源によって構成することも可能であり、特性および/容量が異なる直流電源によって構成することも可能である。
電力変換器50は、直流電源10a,10bと、電力線20との間に接続されている。電力変換器50は、負荷30と接続された電力線20上の直流電圧(以下、システム電圧VHとも称する)を電圧指令値VH*に従って制御する。すなわち、電力線20は、直流電源10a,10bに対して共通に設けられる。
負荷30は、電力変換器50の出力電圧であるシステム電圧VHを受けて動作する。電圧指令値VH*は、負荷30の動作に適した電圧に設定される。電圧指令値VH*は、負荷30の動作状態(例えば、トルク、回転数等)に応じて可変に設定される。また、負荷30は、回生発電等によって、直流電源10a,10bの充電電力を発生可能に構成されてもよい。
電力変換器50は、スイッチング素子S1〜S4と、リアクトルL1,L2とを含む。本実施形態において、スイッチング素子S1〜S4としては、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等を用いることができる。スイッチング素子S1〜S4には、ダイオードD1〜D4が逆並列に接続されている。
スイッチング素子S1〜S4は、制御信号SG1〜SG4にそれぞれ応答して、オンオフを制御することが可能である。すなわち、スイッチング素子S1〜S4は、制御信号SG1〜SG4がハイレベル(以下、Hレベル)のときオンする一方で、ローレベル(以下、Lレベル)のときにオフする。
スイッチング素子S1は、電力線20とノードN1との間に電気的に接続されている。リアクトルL2は、ノードN1と直流電源10bの正極端子との間に接続される。リアクトルL2を流れる電流ILbは、電流センサ12bにより検出されて、制御装置40へ入力される。スイッチング素子S2は、ノードN1およびノードN2の間に電気的に接続されている。リアクトルL1はノードN2と直流電源10aの正極端子との間に接続される。リアクトルL1に流れる電流ILaは、電流センサ12aによって検出されて、制御装置40へ入力される。
スイッチング素子S3は、ノードN2およびN3の間に電気的に接続されている。ノードN3は、直流電源10bの負極端子と電気的に接続される。スイッチング素子S4は、ノードN3および接地配線21の間に電気的に接続されている。接地配線21は、負荷30と、直流電源10aの負極端子とに電気的に接続されている。
図1から理解されるように、電力変換器50は、直流電源10aおよび直流電源10bの各々に対応して昇圧チョッパ回路を備えた構成となっている。すなわち、直流電源10aに対しては、スイッチング素子S1,S2を上アーム素子とする一方で、スイッチング素子S3,S4を下アーム素子とする直流双方向の第1の昇圧チョッパ回路が構成される。同様に、直流電源10bに対しては、スイッチング素子S1,S4を上アーム素子とする一方で、スイッチング素子S2,S3を下アーム素子とする電流双方向の第2の昇圧チョッパ回路が構成される。
そして、第1の昇圧チョッパ回路によって、直流電源10aおよび電力線20の間に形成される電力変換経路と、第2の昇圧チョッパ回路によって、直流電源10bおよび電力線20の間に形成される電力変換経路との両方に、スイッチング素子S1〜S4が含まれる。
制御装置40は、負荷30へのシステム電圧VHを制御するために、スイッチング素子S1〜S4のオンオフを制御する制御信号SG1〜SG4を生成する。制御装置40には、電圧センサ11aによって検出される直流電源10aの電圧Va、図示しない電流センサによって検出される直流電源10aを流れる電流Ia、電圧センサ11bによって検出される直流電源10bの電圧Vb、図示しない電流センサによって検出される直流電源10bの電流Ibが入力される。また、制御装置40には、図示しない温度センサによってそれぞれ検出される直流電源10a,10bの温度Ta,Tbも入力される。さらに、制御装置40には、電圧センサ11c(図2参照)によって検出される電力変換器50のシステム電圧VHも入力される。
なお、直流電源10aとリアクトルL1との間で補機類への電力分配線が接続されていない場合、リアクトルL1を流れる電流ILaは直流電源10aの電流Iaに等しいとみなせる。同様に、直流電源10bとリアクトルL2との間で補機類への電力分配線が接続されていない場合には、リアクトルL2を流れる電流ILbは直流電源10bの電流Ibに等しいとみなせる。
図2は、負荷30の構成例を示す概略図である。負荷30は、例えば電動車両の走行用電動機を含むように構成される。負荷30は、平滑コンデンサCHと、インバータ32と、モータジェネレータ35と、動力伝達ギヤ36と、駆動輪37とを含む。
モータジェネレータ35は、車両駆動力を発生させるための走行用電動機であり、例えば、複数相の永久磁石型同期電動機で構成される。モータジェネレータ35の出力トルクは、減速機や動力分割機構によって構成される動力伝達ギヤ36を経由して、駆動輪37へ伝達される。駆動輪37に伝達されたトルクにより電動車両が走行する。また、モータジェネレータ35は、電動車両の回生制動時には、駆動輪37の回転力によって発電する。この発電電力は、インバータ32によって交流電力から直流電力に変換され、電源システム1に含まれる直流電源10a,10bの充電電力として用いることができる。
モータジェネレータの他にエンジン(図示せず)を搭載したハイブリッド自動車では、エンジンおよびモータジェネレータ35を協調的に動作させることによって、電動車両に必要な車両駆動力が発生される。この際にも、エンジンの回転による発電電力を用いて直流電源10a,10bを充電することが可能である。
このように、電動車両は、走行用電動機を搭載する車両を包括的に示すものであり、エンジンおよび電動機により車両駆動力を発生するハイブリッド自動車と、エンジンを搭載しない電気自動車および燃料電池自動車の両方を含むものである。また、電動車両には、駆動力源または発電機として用いられる複数基のモータジェネレータが搭載されてもよい。
(電力変換器の動作モード)
電力変換器50は、直流電源10a,10bと電力線20との間での直流電力変換の態様が異なる複数の動作モードを有する。
図3には、電力変換器50が有する複数の動作モードが示される。図3に示すように、動作モードは、スイッチング素子S1〜S4の周期的なオンオフ制御に伴って直流電源10aおよび/または10bの出力電圧を昇圧する「昇圧モード(B)」と、スイッチング素子S1〜S4のオンオフを固定して直流電源10aおよび/または10bを電力線20に電気的に直結で接続する「直結モード(D)」とに大別される。
昇圧モードには、直流電源10aおよび10bと電力線20との間で並列なDC/DC変換を行う「パラレル昇圧モード(以下、PBモード)」と、直列接続された直流電源10aおよび10bと電力線20との間でDC/DC変換を行う「シリーズ昇圧モード(以下、SBモード)」と、直流電源10aおよび10bの一方と電力線20との間でDC/DC変換を行うとともに直流電源10aおよび10bの他方と電力線20との間を一方の直流電源に対して並列にかつ電力線20へ直結接続する「パラレル昇圧直結モード(以下、PBDモード)」が含まれる。なお、以下においてPBDモードは、一方の直流電源に対する昇圧動作を伴う動作モードであるため、「昇圧モード(B)」に大別されるものとして説明する。
昇圧モードには、さらに、直流電源10aのみを用いて電力線20との間でDC/DC変換を行う「直流電源10aによる単独モード(以下、aBモード)」と、直流電源10bのみを用いて電力線20との間でDC/DC変換を行う「直流電源10bによる単独モード(以下、bBモード)」とが含まれる。aBモードでは、直流電源10bは、システム電圧VHが直流電源10bの電圧よりも高く制御されている限りにおいて、電力線20と電気的に切り離された状態を維持されて不使用とされる。同様に、bBモードでは、直流電源10aは、システム電圧VHが直流電源10aの電圧よりも高く制御されている限りにおいて、電力線20と電気的に切り離された状態を維持されて不使用とされる。
昇圧モードに含まれるPBモード、SBモード、aBモードおよびbBモードの各々では、電力線20のシステム電圧VHは、電圧指令値VH*に従って制御される。これに対し、PBDモードでは、直流電源10bが電力線20に直結接続されるため、電力線20の出力電圧VHは直流電源10bの電圧Vbとなる。これらの各モードにおけるスイッチング素子S1〜S4の制御については後述する。
直結モードには、直流電源10aおよび10bを電力線20に対して並列に接続した状態を維持する「パラレル直結モード(以下、PDモード)」と、直流電源10aおよび10bを電力線20に対して直列に接続した状態を維持する「シリーズ直結モード(以下、SDモード)」とが含まれる。
PDモードは、スイッチング素子S1,S2,S4がオンに固定される一方で、スイッチング素子S3がオフに固定される。これにより、システム電圧VHは、直流電源10a,10bの出力電圧Va,Vb(厳密にはVa,Vbのうちの高い方)と同等になる。Va,Vb間の電圧差は直流電源10a,10b間に短絡電流を生じさせるので、当該電圧差が小さいときに限定してPDモードを適用することができる。
SDモードでは、スイッチング素子S2,S4がオフに固定される一方で、スイッチング素子S1,S3がオンに固定される。これにより、システム電圧VHは、直流電源10a,10bの出力電圧Va,Vbの和と同等になる(VH=Va+Vb)。
また、直結モードには、直流電源10aのみを電力線20と電気的に接続する「直流電源10aの直結モード(以下、aDモード)」と、直流電源10bのみを電力線20と電気的に接続する「直流電源10bの直結モード(以下、bDモード)」とが含まれる。
aDモードでは、スイッチング素子S1,S2がオンに固定される一方で、スイッチング素子S3,S4がオフに固定される。これにより、直流電源10bは電力線20から切り離された状態となり、システム電圧VHは、直流電源10aの電圧Vaと同等になる(VH=Va)。aDモードでは、直流電源10bは、電力線20と電気的に切り離された状態を維持されて不使用とされる。なお、Vb>Vaの状態でaDモードを適用すると、スイッチング素子S2を介して直流電源10bから10aに短絡電流が生じることになる。そのため、aDモードの適用には、Va>Vbが必要条件となる。
同様に、bDモードでは、スイッチング素子S1,S4がオンに固定される一方で、スイッチング素子S2,S3がオフに固定される。これにより、直流電源10aは電力線20から切り離された状態となり、システム電圧VHは、直流電源10bの電圧Vbと同等になる(VH=Vb)。bDモードでは、直流電源10aは、電力線20と電気的に切り離された状態に維持されて不使用とされる。なお、Va>Vbの状態でbDモードを適用すると、ダイオードD2を介して直流電源10aから10bに短絡電流が流れることになる。そのため、bDモードの適用には、Vb>Vaが必要条件となる。
直結モードに含まれるPDモード、SDモード、aDモードおよびbDモードの各々では、電力線20のシステム電圧VHは、直流電源10a,10bの電圧Va,Vbに依存して決まるため、直接制御することができなくなる。そのため、直結モードに含まれる各モードでは、システム電圧VHが負荷30の動作に適した電圧に設定できなくなることにより、負荷30での電力損失が増加する可能性がある。
一方で、直結モードでは、スイッチング素子S1〜S4がオンオフされないため、電力変換器50の電力損失が大幅に抑制される。したがって、負荷30の動作状態によっては、直結モードの適用によって、負荷30の電力損失増加よりも電力変換器50での電力損失減少量が多くなることにより、電源システム1全体での電力損失を抑制できる可能性がある。
このような点は本実施形態における特有の動作モードであるPBDモードについても同様である。すなわち、PBDモードでは、一方の直流電源10aまたは10bが電力線20に対して他方の直流電源10bまたは10aと並列にかつ直結接続されるため、システム電圧VHが直流電源10aまたは10bの電源VaまたはVbとなって直接制御することができない。しかし、スイッチング素子S1〜S4のうちの直結接続される直流電源に対応する2つのスイッチング素子がオンオフされないため、電力変換器50の電力損失が大幅に抑制され、負荷30の動作状態によってはPBDモードの適用により電源システム1全体での電力損失を抑制できる可能性がある。
本実施形態の電源システム1では、例えば、直流電源10aを高出力型の電源で構成する一方、直流電源10bを高容量型の電源で構成するのが好ましい。これにより、電動車両において例えばユーザのアクセル操作によって急加速が要求された場合には高出力型の直流電源10aからの出力で対応し、他方、電動車両において継続的な高速定常走行等の比較的低パワーが長時間要求されるときは高容量型の直流電源10bからの出力によって対応することができる。このような電動車両では、高容量型の直流電源10bに蓄積されたエネルギーを長時間にわたって使用することによって、電気エネルギーによる走行距離を延ばすことができるとともに、ユーザのアクセル操作に対応した加速性能を速やかに確保することができる。
しかし、直流電源がバッテリによって構成される場合、低温時に出力特性が低下する可能性や、高温時に劣化進行を抑制するために充放電が制限される可能性がある。したがって、電源システム1では、各直流電源10a,10bの充放電が制限される状態において、制限値を超える過剰な充放電が生じないように負荷30の要求電力に対応する電力線20の出力電力PHを制限する処理を実行する。その詳細については、後述する。
(PB動作モードでの昇圧動作)
次に、図4及び図5を参照してPB動作モードでの昇圧動作について詳細に説明する。図4には、PBモードにおける直流電源10aに対するDC/DC変換(昇圧動作)が示される。図4(a)に示すように、スイッチング素子S3,S4のペアをオンし、スイッチング素子S1,S2のペアをオフすることによって、リアクトルL1にエネルギーを蓄積するための電流経路80が形成される。これにより、昇圧チョッパ回路の下アーム素子がオンした状態が形成される。
これに対し、図4(b)に示すように、スイッチング素子S3,S4のペアをオフするとともに、スイッチング素子S1,S2のペアをオンすることによって、リアクトルL1の蓄積エネルギーを直流電源10aのエネルギーとともに出力するための電流経路81が形成される。これにより、昇圧チョッパ回路の上アーム素子がオンした状態が形成される。このとき、電流経路81ではダイオードD1,D2を通って電流が流れるため、スイッチング素子S1,S2は負荷30からの回生電力を直流電源10aに充電する電流経路を形成するスイッチとして機能する。
上記のようにスイッチング素子S3,S4のペアがオンされる一方で、スイッチング素子S1,S2の少なくとも一方がオフされている第1の期間と、スイッチング素子S1,S2のペアがオンされる一方でスイッチング素子S3,S4のペアの少なくとも一方がオフされている第2の期間とを交互に繰り返すことにより、直流電源10aに対する昇圧チョッパ回路が構成される。ここで、図4に示されるDC/DC変換動作では、直流電源10bへの電流流通経路がないため、直流電源10a,10bは互いに非干渉である。すなわち、直流電源10a,10bに対する電力の入出力を独立に制御することができる。
このようなDC/DC変換において、直流電源10aの電圧Vaと、電力線20のシステム電圧VHとの間には、下記(1)式に示す関係が成立する。(1)式では、スイッチング素子S3,S4のペアがオンされる期間のデューティ比をDaとする。
VH=1/(1−Da)・Va (1)
図5には、PBモードにおける直流電源10bに対するDC/DC変換(昇圧動作)が示される。図5(a)に示すように、スイッチング素子S2,S3のペアをオンし、スイッチング素子S1,S4のペアをオフすることによって、リアクトルL2にエネルギーを蓄積するための電流経路82が形成される。これにより、昇圧チョッパ回路の下アーム素子がオンした状態が形成される。
これに対し、図5(b)に示すように、スイッチング素子S2,S3のペアをオフするとともに、スイッチング素子S1,S4のペアをオンすることによって、リアクトルL2の蓄積エネルギーを直流電源10bのエネルギーとともに出力するための電流経路83が形成される。これにより、昇圧チョッパ回路の上アーム素子をオンした状態が形成される。このとき、電流経路83ではダイオードD1を通って電流が流れるため、スイッチング素子S1は負荷30からの回生電力を直流電源10bに充電する電流経路を形成するスイッチとして機能する。
スイッチング素子S2,S3のペアがオンされる一方でスイッチング素子S1,S4の少なくとも一方がオフされている第1の期間と、スイッチング素子S1,S4のペアがオンされる一方でスイッチング素子S2,S3の少なくとも一方がオフされている第2の期間とが交互に繰り返されることにより、直流電源10bに対する昇圧チョッパ回路が構成される。ここで、図5に示されるDC/DC変換動作では、直流電源10aへの電流流通経路がないため、直流電源10a,10bは互いに非干渉である。すなわち、直流電源10a,10bに対する電力の入出力を独立に制御することができる。
このようなDC/DC変換において、直流電源10bの電圧Vbと、電力線20のシステム電圧VHとの間には、下記(2)式に示す関係が成立する。(2)式では、スイッチング素子S2,S3がオンされる期間のデューティ比をDbとする。
VH=1/(1−Db)・Vb (2)
図6には、PBモードにおけるスイッチング素子の制御動作例を説明するための波形図が示される。図6には、直流電源10aのPWM(Pulse Width Modulation)制御に用いられるキャリア波CWaと、直流電源10bのPWM制御に用いられるキャリア波CWbとは、同一周波数かつ同一位相であるときの例が示される。
図6を参照すると、例えば、PBモードでは、直流電源10a,10bの一方の出力を、システム電圧VHの電圧偏差ΔVH(ΔVH=VH*−VH)を補償するように制御(電圧制御)するとともに、直流電源10a,10bの他方の出力を、電流Ia,Ibの電流偏差を補償するように制御するように制御(電流制御)することができる。この際、電流制御の電流指令値(Ia*またはIb*)は、当該電源の出力電力を制御するように設定することができる。
一例として、直流電源10bの出力を電圧制御する一方で、直流電源10aの出力を電流制御するようにすると、デューティ比Daは電流偏差ΔIa(ΔIa=Ia*−Ia)に基づいて演算される一方で、デューティ比Dbは電圧偏差ΔVHに基づいて演算される。
直流電源10aの出力を制御するためのデューティ比Daと、キャリア波CWaとの電圧比較に基づいて、制御パルス信号SDaが生成される。同時に、直流電源10bの出力を制御するためのデューティ比Dbとキャリア波CWbとの比較に基づいて、制御パルス信号SDbが生成される。制御パルス信号/SDa,/SDbは、制御パルス信号SDa,SDbの反転信号である。
図7に示すように、制御信号SG1〜SG4は、制御パルス信号SDa(/SDa)およびSDb(/SDb)の論理演算に基づいて設定される。具体的には、スイッチング素子S1は、図4および図5の昇圧チョッパ回路の各々で上アーム素子を構成する。したがって、スイッチング素子S1のオンオフを制御する制御信号SG1は、制御パルス信号/SDaおよび/SDbの論理和によって生成される。
スイッチング素子S2は、図4の昇圧チョッパ回路では上アーム素子を構成し、図5の昇圧チョッパ回路では下アーム素子を構成する。したがって、スイッチング素子S2のオンオフを制御する制御信号SG2は、制御パルス信号/SDaおよびSDbの論理和によって生成される。
スイッチング素子S3は、図4および図5の昇圧チョッパ回路の各々で下アーム素子を構成する。したがって、スイッチング素子S3のオンオフを制御する制御信号SG3は、制御パルス信号SDaおよびSDbの論理和によって生成される。
スイッチング素子S4は、図4の昇圧チョッパ回路では下アーム素子を構成し、図5の昇圧チョッパ回路では上アーム素子を構成する。したがって、スイッチング素子S4のオンオフを制御する制御信号SG4は、制御パルス信号SDaおよび/SDbの論理和によって生成される。
図6および図7から理解されるように、PBモードでは、制御信号SG2およびSG4が相補のレベルに設定されているので、スイッチング素子S2およびS4は相補的にオンオフされる。また、制御信号SG1およびSG3は相補のレベルに設定されるので、スイッチング素子S1およびS3は相補的にオンオフされる。これにより、直流電源10a,10bについて、デューティ比Da,Dbに従った直流変換動作が実行できる。
図6を再び参照すると、制御信号SG1〜SG4に従ってスイッチング素子S1〜S4をオンオフすることによって、リアクトルL1を流れる電流ILaおよびリアクトルL2に流れる電流ILbが制御される。本実施形態では、電流ILaは、直流電源10aの電流Iaに相当し、電流ILbは直流電源10bの電流Ibに相当する。
このように、PBモードでは、直流電源10a,10bと電力線20との間で並列に直流電力を入出力するDC/DC変換を実行したうえで、システム電圧VHを電圧指令値VH*に制御することができる。また、電流制御(電力制御)の対象になる直流電源の電流指令値に応じて、当該直流電源の入出力電力を制御することができる。
PBモードでは、負荷30の入出力電力(以下、負荷電力PLとも称する)に対する、電流制御される直流電源からの出力電力の不足分が、電圧制御される直流電源から出力されることになる。このため、電流制御での電流指令値の設定によって、直流電源間での電力分配比を間接的に制御することが可能になる。その結果、PBモードでは、直流電源10a,10b全体が電力線20に対して入出力する総電力PH(PH=Pa+Pb)のうち、直流電源10a,10bの電力分配を制御することができる。また、電流指令値の設定によって、一方の直流電源からの出力電力により他方の直流電源を充電する動作も可能になる。なお、以下では、出力電力Pa,Pb、総電力PHおよび負荷電力PLは、各直流電源10a,10bの放電時および負荷30の力行動作時の電力値を正値で表し、各直流電源10a,10bの充電時および負荷30の回生動作時の電力値を負値で表すこととする。
(aBモードおよびbBモードにおける昇圧動作)
aBモードでは、上記PBモードにおいて説明した直流電源10aの昇圧動作と同様である。すなわち、図4(a),(b)に示すスイッチング動作をデューティ比Daに従って交互に繰り返すことによって、直流電源10aと電力線20との間で双方向のDC/DC変換(昇圧動作)が実行される。aBモードが適用されるとき、電力線20への出力電圧VH(すなわち電圧指令値VH*)を直流電源10bの電圧Vbとほぼ同等に設定することによって、直流電源10bに対する入出力を抑制して不使用とすることができる。
他方、bBモードでは、上記PBモードにおいて説明した直流電源10bの昇圧動作と同様である。すなわち、bBモードでは、図5(a),(b)に示すスイッチング動作をデューティ比Dbに従って交互に繰り返すことによって、直流電源10bと電力線20との間で双方向のDC/DC変換(昇圧動作)が実行される。bBモードが適用されるとき、電力線20のシステム電圧VH(すなわち電圧指令値VH*)を直流電源10aの電圧Vaとほぼ同等に設定することによって、直流電源10aに対する入出力を抑制して不使用とすることができる。
(SBモードにおける昇圧動作)
次に、図8を参照して、SBモードにおける昇圧動作について説明する。SBモードでは、図8(a)に示すように、直流電源10a,10bを直列接続するためにスイッチング素子S3がオン固定される一方で、スイッチング素子S2,S4のペアがオンし、スイッチング素子S1がオフされる。これにより、リアクトルL1,L2にエネルギーが蓄積するための電流経路84,85が形成される。その結果、直列接続された直流電源10a,10bに対して、昇圧チョッパ回路の下アーム素子をオンした状態となる。
これに対し、図8(b)に示すように、スイッチング素子S3をオン固定したままで、図8(a)とは反対に、スイッチング素子S2,S4のペアがオフし、スイッチング素子S1がオンされる。これにより、直接接続された直流電源10a,10bに対して、昇圧チョッパ回路の上アーム素子をオンした状態となる。その結果、電流経路86を介して、直列接続された直流電源10a,10bからのエネルギーと、リアクトルL1,L2に蓄積されたエネルギーとの和が電力線20へ出力される。
スイッチング素子S3がオン固定された下で、スイッチング素子S2,S4のペアがオンされる一方でスイッチング素子S1がオンされている第1の期間と、スイッチング素子S1がオンされる一方でスイッチング素子S2,S4がオフされている第2の期間とを交互に繰り返すことによって、図8(a)の電流経路84,85と図8(b)の電流経路86とが交互に形成される。
SBモードのDC/DC変換では、直流電源10aの電圧Va、直流電源10bの電圧Vb、および、電力線20のシステム電圧VHの間には、下記(3)式に示す関係が成立する。(3)式では、スイッチング素子S2,S4のペアがオンされる第1の期間のデューティ比をDcとする。
VH=1/(1−Dc)・(Va+Vb) (3)
図9には、SBモードにおけるスイッチング素子の制御動作例を説明するための波形図が示される。SBモードでは、電圧指令値VH*に対するシステム電圧VHの電圧偏差ΔVH(ΔVH=VH*−VH)を補償するように、(3)式のデューティ比Dcが演算される。そして、キャリア波CWcとデューティ比Dcとの電圧比較に基づいて、制御パルス信号SDcが生成される。制御パルス信号/SDcは、制御パルス信号SDcの反転信号である。SBモードでは、直流電圧(Va+Vb)と、システム電圧VHとの間のDC/DC変換が図8に示された昇圧チョッパ回路によって実行される。
図10に示すように、制御信号SG3は、上述したようにスイッチング素子S3をオン固定するためにHレベルに固定される。これに対し、制御信号SG1,SG2,SG4は、制御パルス信号SDc(/SDc)の論理和に基づいて設定することができる。制御パルス信号SDcは、昇圧チョッパ回路の下アーム素子を構成するスイッチング素子S2,S4のペアの制御信号SG2,SG4とされる。同様に、昇圧チョッパ回路の上アーム素子を構成するスイッチング素子S1の制御信号SG1は、制御パルス信号/SDcによって得られる。その結果、下アーム素子を構成するスイッチング素子S2,S4のペアがオンされる期間と、上アーム素子を構成するスイッチング素子S1がオンされる期間とが反転関係で設けられる。
SBモードでは、直流電源10a,10bが直列接続された状態で、電力線20との間で双方向のDC/DC変換が実行される。したがって、直流電源10aの出力電力Paおよび直流電源10bの出力電力Pbを直接制御することができない。すなわち、直流電源10a,10bの出力電力Pa,Pbの比は、電圧Va,Vbの比によって、下記(4)式に従って自動的に決まる。なお、直流電源10a,10bからの出力電力の和(Pa+Pb)が負荷30へ入出力されることは、PBモードと同様である。
Pa/Pb=Va/Vb (4)
(PBDモードの昇圧動作)
次に、図11及び図12を参照してPBD動作モードでの昇圧動作について詳細に説明する。図11には、PBDモードにおける直流電源10aに対するDC/DC変換(昇圧動作)と、電力線20に対して直流電源10aと並列に直流電源10bが直結接続される様子が示される。
PBDモードでは、図11(a),(b)に示すように、スイッチング素子S1およびS4の各々がオン状態に固定される。これにより、直流電源10bが電力線20に直結接続される。その結果、直流電源10bからリアクトルL2、ダイオードD1およびスイッチング素子S1、電力線20、負荷30、接地配線21、ならびに、ダイオードD4およびスイッチング素子S4を電流が流れて直流電源10bに戻る電流経路87が形成される。
電流経路87ではダイオードD1,D4を通って電流が流れることができる。そのため、PBDモードでは、スイッチング素子S1,S4をオン固定しなくても、直流電源10bが電力線20に直結接続されて電流経路87が形成される。したがって、直流電源10bの出力動作だけを見れば、スイッチング素子S1,S4は、下記する直流電源10aの昇圧動作時に他のスイッチング素子S2,S3と同様にオンオフ制御されもよい。ただし、スイッチング素子S1,S4がオフされているとき、負荷30からの回生電力を直流電源10bに充電する電流経路が形成されないことになる。そのため、本実施形態ではスイッチング素子S1,S4をオン固定して、直流電源10bに対する回生電力の充電経路を確保している。
このようにPBDモードでは、直流電源10bが電力線20に直結接続されるため、直流電源10bの電圧VbがDC/DC変換(直流電圧変換)されずに電力線20に出力される。これにより、電力線20のシステム電圧VHは直流電源10bの電圧Vbとほぼ等しくなる。そのため、電力線20のシステム電圧VHを制御することができない。したがって、PBDモードは、負荷30の要求電力に応じて決まる電力線20のシステム電圧VHの電圧指令値VH*が直流電源10bの電圧Vb以下の場合に適用することができる動作モードである。なお、直流電源10aの電圧Vaが直流電源10bの電圧Vbよりも大きい場合(Va>Vb)には、直流電源10aを電力線20に対して直結接続する一方、直流電源10bに対して昇圧動作を行うことで、PBDモードを実行してもよい。
一方、直流電源10aと電力線20との間では、図4〜図6を参照して上述したPBモードとほぼ同様の昇圧動作が実行される。図11(a)に示すように、スイッチング素子S3をオンし、スイッチング素子S2をオフすることによって、リアクトルL1にエネルギーを蓄積するための電流経路88が形成される。これにより、昇圧チョッパ回路の下アーム素子がオンした状態が形成される。
これに対し、図11(b)に示すように、スイッチング素子S3をオフするとともに、スイッチング素子S2をオンすることによって、リアクトルL1の蓄積エネルギーを直流電源10aのエネルギーとともに出力するための電流経路89が形成される。これにより、昇圧チョッパ回路の上アーム素子がオンした状態が形成される。
上記のようにスイッチング素子S3がオンされる一方で、スイッチング素子S2がオフされている第1の期間と、スイッチング素子S2がオンされる一方でスイッチング素子S3がオフされている第2の期間とを交互に繰り返すことにより、直流電源10aに対する昇圧チョッパ回路が構成される。
ここで、図11に示されるDC/DC変換動作は、昇圧後の電圧が直流電源10bの電圧Vb(すなわち電力線20のシステム電圧VH)と等しいとみなせる電圧範囲内に制御される。ここで「等しいとみなせる電圧範囲」とは、昇圧後の電圧が直流電源10bの電圧Vbより若干高い場合と若干低い場合も含む意である。直流電源10aの昇圧後の電圧を直流電源10bの電圧Vbより若干高く設定することで、直流電源10bから流れる電流Ibが減るものの直流電源10aから流れる電流Ibが増えることで、電力線20に流れる総電流(Ia+Ib)は増加する。その結果、負荷30に供給される総電力PHが増加することになる。
反対に、直流電源10aの昇圧後の電圧を直流電源10bの電圧Vbより若干低く設定することで、直流電源10aから流れる電流Iaが直流電源10bからの電流増加量以上に減ることによって、電力線20に流れる総電流(Ia+Ib)は減少する。その結果、負荷30に供給される総電力PHが減少することになる。
PBDモードにおける直流電源10aに対する昇圧後の電圧は、昇圧チョッパ回路の下アーム素子を構成するスイッチング素子S3がオンされる期間のデューティ比Daを調整することによって制御できる。すなわち、スイッチング素子S3のデューティ比を調整することによって、直流電源10aから電力線20に供給される出力電力Paを制御できるとともに、直流電源10a,10b間での電力分配比も所定範囲で制御することができる。ここで、PBDモードにおける直流電源10aの電圧Vaと電力線20のシステム電圧VHとの間には、デューティ比Daを含む上記(1)式に示す関係が成立することはPBモードの場合と同様である。
図12には、PBDモードにおけるスイッチング素子の制御動作例を説明するための波形図が示される。図12を参照すると、本実施形態におけるPBDモードでは、直流電源10bの出力をシステム電圧VHとするとともに、直流電源10aの出力を電流Iaの電流偏差を補償するように制御するように電流制御(電力制御)することができる。この際、電流制御の指令値(Ia*)は、直流電源10aの出力電力を制御するように設定することができる。この場合、デューティ比Daは、電流偏差ΔIa(ΔIa=Ia*−Ia)に基づいて演算される。
直流電源10aの出力を制御するためのデューティ比Daと、キャリア波CWaとの電圧比較に基づいて、制御パルス信号SDaが生成される。制御パルス信号/SDaは、制御パルス信号SDaの反転信号である。これに対し、スイッチング素子S1,S4は、オン状態に維持されるため、上アーム素子に相当するスイッチング素子S1,S4のデューティ比Dbは零で一定に設定される。その結果、図13に示すように制御信号SG1,SG4の各々はHレベルに固定され、いわゆる「上アームオン」の状態となる。
図12および図13から理解されるように、PBDモードでは、制御信号SG2およびSG3が反転関係にあるため、スイッチング素子S2およびS3は反対にオンオフされる。また、制御信号SG1およびSG4はオン状態に維持される。これにより、直流電源10aについて、デューティ比Daに従った直流変換動作を実行できる。
PBDモードでは、負荷電力PLに対する、電流制御される直流電源10aからの出力電力の不足分が、直結接続される直流電源10bから出力されることになる。このため、電流制御での電流指令値の設定によって、直流電源10a,10b間での電力分配比を間接的に制御することが可能になる。その結果、PBDモードでは、直流電源10a,10b全体が電力線20に対して入出力する総電力PH(PH=Pa+Pb)のうち、直流電源10a,10bの電力分配を制御することができる。また、電流指令値の設定によって、一方の直流電源からの出力電力により他方の直流電源を充電する動作も可能になる。
(動作モードの選択処理)
次に、本実施形態における電力変換器制御における動作モードの選択処理について説明する。図14には、図3に示した各動作モードにおける直流電源10a,10b間での電力分配比kの制御可否、および、システム電圧VHの設定可能範囲が示される。
図14を参照すると、PBモードでは、電流制御対象となる直流電源での電流指令値の設定により、直流電源10a,10b間の電力分配比kを制御することができる。ここで、電力分配比kは、総電力PH(PH=Pa+Pb)に対する直流電源10aの出力電力Paの比で定義される(k=Pa/PH)。すなわち、PBモードでは、0〜1.0の範囲内で任意の値に、電力分配比kを設定することができる。なお、PBモードでは、システム電圧VHは、電圧VaおよびVbの最大値であるmax(Va,Vb)から、システム電圧VHの制御上限値である上限電圧VHmaxまでの範囲内で制御することができる。この場合、Va>Vbのときはmax(Va,Vb)=Vaであり、Vb>Vaのときはmax(Va,Vb)=Vbである。また、上限電圧VHmaxは、部品の耐圧等を考慮して定められる上限値である。
これに対し、PBDモードでも、電流制御対象となる直流電源10aでの電流指令値Ia*の設定により、直流電源10a,10b間の電力分配比kを制御することができる。ただし、PBDモードは、各直流電源10a,10bに対する各デューティ比を独立に制御可能なPBモードとは異なり、直流電源10aに対する昇圧後の電圧が電力線20に対する直流電源10bの出力電圧Vbとほぼ同等にするという制約がある。そのため、電力分配比kの設定範囲は、PBモードよりも狭い範囲に制限される。また、PBDモードでは、電力線20のシステム電圧VHは、直結接続されている直流電源10bの電圧Vbに一意に決まる。
なお、他の動作モードのうち、一方の直流電源のみを使用するaBモード、bBモード、aDモードおよびbDモードでは電力分配比kは1または0である。また、SBモードおよびSDモードでは、各直流電源10a,10bの電圧Va,Vbの比によって電力分配比kが一意に決まるため、電力分配制御は行えない。さらに、PDモードでは、並列に直結接続された各直流電源10a,10bの内部抵抗Ra,Rbの比によって電力分配比kが一意に決まるため、この場合にも電力分配制御は行えない。
電源システム1において、負荷30へ供給されるシステム電圧VHは、負荷30の動作状態(例えば、トルクおよび回転数)に応じて設定される。図2に例示するように、負荷30が、電動車両に駆動力発生源として搭載されたモータジェネレータ35である場合、車速やアクセル開度等に基づいてモータジェネレータ35の負荷要求電圧VHrqが設定される。負荷30への供給電圧となる電力線20のシステム電圧VHは、少なくとも負荷要求電圧VHrq以上に設定する必要がある。そのため、負荷30の動作状態に応じて設定された負荷要求電圧VHrqの範囲に依存して、電力変換器50における適用可能な動作モードが異なってくる。
図15には、負荷要求電圧VHrqの電圧範囲VR1〜VR3の定義が示される。図16は、各電圧範囲における動作モードの選択を説明するための図表である。
図15を参照すると、負荷要求電圧VHrqは、電圧範囲VR1(VHrq≦max(Va,Vb))、VR2(max(Va,Vb)<VHrq≦Va+Vb)およびVR3(Va+Vb<VHrq≦VHmax)のいずれかに設定される。
電力変換器50は、max(Va,Vb)よりも低い電圧を出力することができないため、負荷要求電圧VHrqが電圧範囲VR1内であるときには、システム電圧VHを負荷要求電圧VHrqに一致させることができない。したがって、図16に示すように、電圧範囲VR1では、VH≧VHrqの範囲でなるべくVHをVHrqに近づけるため、aDモード、bDモード、PDモードおよびPBDモードが、適用可能な動作モード群として選択される。
PBDモードを除く昇圧モードに属するaBモード、bDモードおよびPBモードでは、システム電圧VHは、max(Va,Vb)〜VHmaxの範囲内であれば、電圧指令値VH*に従って制御することができる。一方、SBモードでは、システム電圧VHを(Va+Vb)より低く制御することができない。すなわち、システム電圧VHは、(Va+Vb)〜VHmaxの範囲内であれば、電圧指令値VH*に従って制御することができる。
電圧範囲VR2では、上述した各動作モードでのシステム電圧VHの制御可能範囲に照らして、aBモード、bBモードおよびPBモードが、適用可能な動作モード群として選択される。これらの動作モードの適用時には、VH*=VHrqとすることにより、システム電圧VHを負荷要求電圧VHrqに一致させることが可能である。一方、aDモード、bDモード、PDモードおよびPBDモードは、電圧不足により適用することができない。
また、SDモードは、VH≧VHrqの条件を満たすため、電圧範囲VR2において適用可能である。SDモードでは、システム電圧VH(VH=Va+Vb)を負荷要求電圧VHrqに一致させることはできないが、スイッチングしないので電力変換器50での損失が大幅に抑制される。このため、電源システム1全体の損失については、aBモード、bBモードおよびPBモードの適用時よりも抑制できる可能性がある。したがって、SDモードについても、電圧範囲VR2で適用可能な動作モード群に含めることができる。逆に言うと、SBモードでは、システム電圧VHと負荷要求電圧VHrqとの差、および、電力変換器50での損失がSDモードよりも大きくなるため、電圧範囲VR2で適用可能な動作モード群からSBモードは除かれている。
電圧範囲VR3は、上述した動作モードでのシステム電圧VHの制御可能範囲に照らして、PBモード、SBモード、aBモードおよびbBモードが、適用可能な動作モード群として選択される。これらの動作モードの適用時には、VH*=VHrqとすることにより、システム電圧VHと負荷要求電圧VHrqとを一致させることが可能である。一方で、各直結モード(aDモード、bDモード、PDモード、およびSDモード)ならびにPBDモードは、電圧不足により適用することができない。
図16を参照すると、各電圧範囲VR1,VR2,VR3には、複数の動作モードがそれぞれ含まれる。制御装置40では、このうちの1つの動作モードを選択して適用する。この際、制御装置40は、負荷30の動作状態に応じて求められた負荷要求電圧VHrqと、直流電源10a,10bの電源状態(例えば、SOCや充放電制限)とに基づいて、電源システム1全体の損失を最小とするための動作モードを1つ選択することができる。電源状態には、例えば、電圧Va,Vb、電流Ia,Ib、温度Ta,Tb等を含む。また、総電力PHおよび電力分配比kから、直流電源10a,10bの出力電力Pa,Pbを求めることができる。
制御装置40が電源システム1全体の損失を考慮して複数の動作モード群から1つの動作モードを選択する一例について具体的に説明する。まず、電源システム1の損失には、電力変換器50において発生するコンバータ損失Plcv、負荷30において発生する負荷損失Plld、直流電源10a,10bの内部抵抗Ra,Rbによって発生する電源損失Plpsなどが含まれる。
コンバータ損失Plcvには、スイッチング素子S1〜S4のオンオフ制御によるスイッチング損失と、リアクトルL1,L2の鉄損とが含まる。ただし、aDモード、bDモード、SDモードおよびPDモードの直結モードでは、スイッチング素子S1〜S4がオンまたはオフの状態に固定されることからスイッチング損失は発生しない。したがって、この場合、コンバータ損失Plcvは電力変換器50の通過電流に比例することになる。
コンバータ損失Plcvは、負荷要求電圧VHrq(またはシステム電圧VH)、ならびに、直流電源10a,10bの電圧Va,Vbおよび出力電力Pa,Pbの関数として、予め設定されたマップまたは演算式に従って、適用可能な動作モード毎に推定することができる。ここで、出力電力Pa,Pbは、総電力PH(PH=Pa+Pb)および電力分配比kから求めることができる。具体的には、Pa=PH×k、Pb=PH×(1−k)により算出できる。この際の電力分配比kは、例えば、直流電源10a,10bの状態(例えば、SOCのバランスおよび充放電制限のバランス)、あるいは、出力電力レベル(PH)等に基づいて、予め作成されたマップの参照等によって決めることができる。なお、上記のマップまたは演算式は、実験結果またはシミュレーション結果等に基づいて、予め求めることができる。このことは、以下においても同様である。
負荷損失Plldは、負荷要求電圧VHrq(またはシステム電圧VH)、トルク、回転数等を含む負荷30の動作状態の関数として予め設定されたマップまたは演算式に従って、適用可能な動作モード毎に推定することができる。
電源損失Plpsは、直流電源10a,10bの内部抵抗Ra,Rbと電圧Va,Vbおよび総電力PHの関数として、予め設定されたマップまたは演算式に従って、適用可能な動作モード毎に推定することができる。直流電源10a,10bの内部抵抗Ra,Rbは、直流電源10a,10bの状態(例えば、温度Ta,Tb、SOCa,SOCbなど)に応じて変化するから、現在の電源状態からマップまたは演算式に従って内部抵抗Ra,Rbを推定する。
制御装置40は、上記のようにして推定されたコンバータ損失Plcv、負荷損失Plldおよび電源損失Plpsの和を、適用可能な動作モード毎に算出して比較する。そして、制御装置40は、その和が最小となる1つの動作モードを複数の適用可能な動作モード群から選択する。このように選択された動作モードを適用して電力変換器50を制御することで、電源システム1全体の損失を最小にして効率向上を図ることができる。
(制御装置による電力変換器制御)
図17は、本実施形態の電源システムにおける電力変換器制御の基本的な概念を説明する図である。図17を参照すると、システム電圧VHは、総電力PHが負荷電力PLよりも大きい状態(PH>PL)では上昇する一方で、PH<PLの状態では低下する。したがって、本実施形態における電力変換器制御では、システム電圧VHの電圧指令値VH*に対する電圧偏差ΔVHに応じて総電力PHの指令値を設定する。また、総電力PHを出力電力PaおよびPbに分配することにより、各直流電源10a,10bの出力を電力制御する。
図18および図19は、本実施形態における電力変換器制御を説明するためのブロック図である。図18には、各直流電源の電力指令値を設定する制御演算のための構成が示されるとともに、図19には、設定された電力指令値に従って各直流電源の出力を制御する制御演算のための構成が示される。以下では、まずPBモードの制御構成について説明し、続いて他の昇圧モードの制御動作について説明する。
図18を参照すると、制御装置40は、パワー管理部100と、電力制御部200とを含む。
パワー管理部100は、直流電源10a,10bおよび/または負荷30の動作状態に基づいて、総電力PHに関する電力上限値PHmaxおよび電力下限値PHminと、直流電源10aの放電制限値Paoutおよび充電制限値Painと、直流電源10bの放電制限値Pboutおよび充電制限値Pbinと、直流電源10aおよび10bの間の電力分配比kとを設定する。ここで、総電力PHの電力上限値PHmaxは直流電源10a,10bの放電制限値Paout,Pboutの和(PHmax=Paout+Pbout)として設定することができる。また、総電力PHの電力下限値Pminは、直流電源10a,10bの充電制限値Pain,Pbinの和(PHmin=Pain+Pbin)として設定することができる。
また、パワー管理部100は、電力分配比kを設定することができる。上述したように、PBモードでは、0≦k≦1.0の任意の値に電力分配比kを設定でき、PBDモードではこれよりも狭い所定の範囲で電力分配比kを設定することができる。
さらに、パワー管理部100は、直流電源10a,10bの間で充放電を行うための循環電力値Prを設定することができる。循環電力値Prは、直流電源10bを充電するための直流電源10aからの出力電力に相当する。例えば、力行動作時には、k=1とした上でPr>0に設定すると、直流電源10aの出力電力によって、総電力PHを電力線20に対して供給しつつ、直流電源10bを充電することができる。反対に、k=0とした上でPr<0に設定すると、直流電源10bの出力によって、総電力PHを電力線20に対して供給しつつ、直流電源10aを充電することができる。
また、回生動作時(PH<0)には、k=0とした上でPr>0に設定すると、負荷30からの回生電力と、直流電源10aからの出力電力の両方によって、直流電源10bを充電することができる。反対に、k=1とした上でPr<0に設定すると、負荷30からの回生電力と、直流電源10bからの出力電力との両方によって、直流電源10aを充電することができる。
これに対し、循環電力値Prが設定されないとき(Pr=0)、直流電源10a,10bの間で充放電はされない。パワー管理部100は、例えば、直流電源10a,10bのSOCが不均衡である場合に、低SOC側の直流電源の充電を促進するように循環電力値Prを設定することができる。
電力制御部200は、システム電圧VHの電圧偏差に基づいて、直流電源10a,10bの電力指令値Pa*,Pb*を設定する。電力制御部200は、偏差演算部210と、制御演算部220と、第1のリミッタ230と、電力分配部240と、循環電力加算部250と、第2のリミッタ260と、減算部270とを有する。
偏差演算部210は、電圧指令値VH*およびシステム電圧VHの検出値の差である電圧偏差ΔVH(ΔVH=VH*−VH)を算出する。制御演算部220は、電圧偏差ΔVHに基づいて、電圧制御のために要求される総電力PHrを算出する。例えば、制御演算部220は、PI演算によって下記の(5)式に従ってPHrを設定する。
PHr=Kp・ΔVH+Σ(Ki・ΔVH) (5)
式(5)中のKpは比例制御ゲインであり、Kiは積分制御ゲインである。これらの制御ゲインには、平滑コンデンサCHの容量値も反映される。式(5)に従って総電力PHrを設定することにより、電圧偏差ΔVHを低減するためのフィードバック制御を実現できる。
第1のリミッタ230は、パワー管理部100によって設定されたPHmax〜PHminの範囲内となるように、総電力指令値PH*を制限する。もし、PHr>PHmaxのときは、第1のリミッタ230によって、PH*=PHmaxに設定される。同様に、PHr<PHminのときには、第1のリミッタ230は、PH*=PHminに設定する。また、PHmax≧PHr≧PHminのときには、そのままPH*=PHrに設定される。これにより、総電力指令値PH*が確定する。
電力分配部240は、総電力指令値PH*および電力分配比kに基づいて、直流電源10aが分担すべき出力電力k・PH*を算出する。循環電力加算部250は、電力分配部240によって算出されたk・PH*と、パワー管理部100によって設定された循環電力値Prとを加算することによって、直流電源10aが要求される電力Parを算出する(Par=k・PH*+Pr)。
第2のリミッタ260は、パワー管理部100によって設定されたPaout〜Painの範囲内となるように、直流電源10aの電力指令値Pa*を制限する。もし、Par>Paoutのときには、第2のリミッタ260によりPa*=Paoutに修正される。同様に、Par<Painのときには、第2のリミッタ260は、Pa*=Painに修正する。また、Paout≧Par≧Painのときには、そのままPa*=Parとされる。これにより、直流電源10aの電力指令値Pa*が確定する。
減算部270は、総電力指令値PH*から電力指令値Pa*を減算することによって、直流電源10bの電力指令値Pb*を設定する(Pb*=PH*−Pa*)。
図19に示すように、制御装置40は、電力指令値Pa*,Pb*に従って直流電源10a,10bからの出力を制御するための、電流制御部300,310、PWM制御部400およびキャリア波発生部410を含む。電流制御部300は、電流制御によって直流電源10aの出力を制御する。電流制御部310は、電流制御によって直流電源10bの出力を制御する。
電流制御部300は、電流指令生成部302と、偏差演算部304と、制御演算部306と、FF加算部308とを有する。
電流指令生成部302は、電力指令値Pa*と、電圧Vaの検出値とに基づいて、直流電源10aの電流指令値Ia*を設定する(Ia*=Pa*/Va)。偏差演算部304は、電流指令値Ia*および電流Iaの検出値の差である電流偏差ΔIa(ΔIa=Ia*−Ia)を算出する。制御演算部306は、電流偏差ΔIaに基づいて、電流フィードバック制御の制御量Dfbaを算出する。例えば、制御演算部306は、PI演算によって、下記(6)式によりDfbaを算出する。
Dfba=Kp・ΔIa+Σ(Ki・ΔIa) (6)
式(6)中のKpは比例制御ゲインであり、Kiは積分制御ゲインである。これらの制御ゲインは、上記の式(5)とは別個に設定される。
一方で、電圧フィードフォワード制御のFF制御量Dffaは、式(1)をDaについて解くことで得られるDa=(VH−Va)/VHに沿って、式(7)により設定される。
Dffa=(VH*−Va)/VH* (7)
FF加算部308は、FB制御量DfbaおよびFF制御量Dffaを加算することによって、直流電源10aの出力制御に関するデューティ比Daを算出する。デューティ比Daは、式(1)と同様に、直流電源10aの電圧Vaとシステム電圧VHとの間でDC/DC変換を行う際の、昇圧チョッパ回路(図4)の下アーム素子(スイッチング素子S3,S4)がオンされる期間のデューティ比に相当する。
電流制御部310は、電流指令生成部312と、偏差演算部314と、制御演算部316と、FF加算部318とを有する。
電流指令生成部312は、電力指令値Pb*と、電圧Vbの検出値とに基づいて、直流電源10bの電流指令値Ib*を設定する(Ib*=Pb*/Vb)。偏差演算部314は、電流指令値Ib*および電流Ibの検出値の差である電流偏差ΔIb(ΔIb=Ib*−Ib)を算出する。制御演算部316は、電流偏差ΔIbに基づいて、電流フィードバック制御の制御量Dfbbを算出する。例えば、制御演算部316は、PI演算によって、下記(8)式によりDfbbを算出する。
Dfbb=Kp・ΔIb+Σ(Ki・ΔIb) (8)
式(8)中のKpは比例制御ゲインであり、Kiは積分制御ゲインである。これらの制御ゲインは、上記の式(5)および(6)とは別個に設定される。
一方で、電圧フィードフォワード制御のFF制御量Dffbは、式(2)をDbについて解くことで得られるDb=(VH−Vb)/VHに沿って、式(9)により設定される。
Dffb=(VH*−Vb)/VH* (9)
FF加算部318は、FB制御量DfbbおよびFF制御量Dffbを加算することによって、直流電源10bの出力制御に関するデューティ比Dbを算出する。デューティ比Dbは、式(2)と同様に、直流電源10bの電圧Vbとシステム電圧VHとの間でDC/DC変換を行う際の、昇圧チョッパ回路(図5)の下アーム素子(スイッチング素子S2,S3)がオンされる期間のデューティ比に相当する。
PWM制御部400は、電流制御部300,310によって設定されたデューティ比Da,Db、ならびに、キャリア波発生部410からのキャリア波CWa,CWbに基づくパルス幅変調制御によって、スイッチング素子S1〜S4の制御信号SG1〜SG4を生成する。PWM制御部400によるパルス幅変調制御および制御信号SG1〜SG4の生成は、図6および図7で説明したのと同様に実行されるので、詳細な説明は繰り返さない。
次に、PBモード以外の昇圧モード、すなわち、aBモード、bBモード、SBモード、および、PBDモードの電圧変換器制御について説明する。
まず、aBモードにおいても、PBモードと同様に、偏差演算部210、制御演算部220および第1のリミッタ230によって総電力指令値PH*が設定される。この場合、直流電源10bは不使用とされるので、第1のリミッタ230に与えられる電力上限値PHmaxおよび電力下限値PHminは、直流電源10aの放電制限値Paoutおよび充電制限値Painと同等に設定することができる。
aBモードでは、直流電源10aのみが出力電力を供給するため電力分配比k=1に設定される。また、直流電源10bは非使用(充放電回避)とされるので、循環電力値Pr=0に固定される。なお、第2のリミッタ260によってもPa*(=PH*)が放電制限値Paoutおよび充電制限値Painに制限されるので、この場合の第1および第2のリミッタのうち一方を非作動とすることもできる。
さらに、図19の構成において、電流フィードバック制御は、直流電源10aに対してのみ実行される。すなわち、電流制御部300は、PBモードと同様に作動してデューティ比Daを生成する。これに対し、aBモードでは、直流電源10bに対する昇圧動作は不要であるため、電流制御部310の動作は停止することができる。すなわち、デューティ比Dbの演算は行わない。
続いて、bBモードの制御について説明する。bBモードでは、上述したaBモードの制御と反対の制御が実行される。すなわち、bBモードでは、直流電源10aは不使用とされるので、第1のリミッタ230に与えられる電力上限値PHmaxおよび電力下限値PHminは、直流電源10bの放電制限値Pboutおよび充電制限値Pbinと同等に設定することができる。これにより、総電力指令値PH*(=Pb*)は、Pbin≦PH*≦Pboutに制限される。
bBモードでは、直流電源10bのみが出力電力を供給するため電力分配比k=0に設定される。また、直流電源10aは非使用(充放電回避)とされるので、循環電力値Pr=0に固定される。さらに、図19の構成において、電流フィードバック制御は、直流電源10bに対してのみ実行される。すなわち、電流制御部310は、PBモードと同様に作動してデューティ比Dbを生成する。これに対し、bBモードでは、直流電源10aに対する昇圧動作は不要であるため、電流制御部300の動作は停止することができる。すなわち、デューティ比Daの演算は行わない。
続いて、SBモードの制御について説明する。SBモードは、上述したように、直流電源10a,10bが直列接続された状態で、電力線20との間で双方向のDC/DC変換が実行される。したがって、直流電源10a,10bを流れる電流は共通になる(Ia=Ib)。このため、直流電源10aの出力電力Paおよび直流電源10bの出力電力Pbを直接制御することができず、各出力電力Pa,Pbの比は電圧Va,Vbの比によって上記(4)式に従って自動的に決まる(Pa/Pb=Va/Vb)。
また、SBモードでは、電力分配比kは、式(4)に沿って求められる下記の式(10)に従って、直流電源10a,10bの電圧Va,Vbの検出値に基づいて設定される。
k=Va/(Va+Vb) (10)
さらに、SBモードでは、直流電源10a,10b間での充放電はできないので、循環電力値Pr=0に設定される。
これらにより、図18の構成において、PBモードの同様に、システム電圧VHの電圧偏差ΔVHに基づいて総電力指令値PH*が設定され、第1のリミッタ230によって総電力指令値PH*がPHmax〜PHminの範囲内に設定される。さらに、式(10)により算出される電力分配比に従って、総電力指令値PH*が電力指令値Pa*およびPb*に分配される(Pa*=k・PH*、Pb*=PH*−Pa*)。
SBモードでは、Ia=Ibのため電流フィードバック制御は、直流電源10a,10bの一方のみで実行される。例えば、第2のリミッタ260によって電力指令値Pa*を直接制限することができる直流電源10aに対して電流制御部300により電力フィードバック制御が実行される。
これに対し、電流制御部310では、制御演算部316における制御ゲイン、具体的には上記式(8)中のKp,Kiを零にすることによって、電流フィードバック制御が非実行とされる。したがって、電流制御部310では、電圧Vbに基づくフィードフォワード制御のみによって、デューティ比Dbを算出する(Db=Dffb)。
次に、PBDモードの制御について説明する。PBDモードにおいても、PBモードの場合と同様に、電圧指令値VH*およびシステム電圧VHに基づいて、偏差演算部210、制御演算部220および第1のリミッタ230によって、総電力指令値PH*が生成される。
ただし、PBDモードの場合、直流電源10bが電力線20に直結接続されていることから、総電力指令値PH*を任意の電力分配比k(0≦k≦1)で電力分配することはできない。すなわち、電力線20のシステム電圧VHが直流電源10bの電圧Vbに等しいとみなせる電圧範囲でしか制御できないため、直流電源10bから供給される出力電力もまたPb(すなわちPb*)=Ib・Vbでほぼ一定となる。
したがって、PBDモードを適用する際、制御装置40のパワー管理部100は電力分配部240に対し、PBモードのような任意の電力分配比kではなく、総電力指令値PH*から直流電源10bの出力可能な電力指令値Pb*を減算した電力値を直流電源10aの電力指令値Pa*とするように、電力分配比kを与えることになる。このような制約から、PBDモードにおける電力分配比kは、PBモードに比べて狭い範囲に限定されることは上述したとおりである。
なお、PBDモードにおいても、第1のリミッタ230によってPHmin≦総電力指令値PH*≦PHmaxに制限されること、循環電力加算部250によって循環電力Prが総電力指令値PH*に加算されること、および、第2のリミッタ260によってPain≦Pa*≦Paoutに制限されることは、PBモードの場合と同様である。
上記のようにして生成された各直流電源10a,10bの電力指令値Pa*,Pb*は、図19に示す制御構成に与えられる。
電流制御部300では、電力指令値Pa*に応じた出力電力Paを直流電源10aから出力するようにPBモードの場合と同様に電流フィードバック制御が実行される。一方、直流電源10bについては、電力変換器50のスイッチング素子S1,S4がオン固定されて電力線20に直結接続された状態に維持される。そのため、図19中の電流制御部310の作動は停止され、直流電源10bのDC/DC変換は実行されない。
このように、本実施形態における電力変換器制御によれば、図1に示した電力変換器50の制御動作について、システム電圧VHを電圧指令値VH*に制御する昇圧モードに属する各動作モード間で、図18および図19に示した制御構成を共通化できる。したがって、複数の動作モードを選択的に適用する電力変換器50の制御における制御演算負荷を軽減することができる。また、動作モードの切り替えが円滑に行えるので、制御性を向上することができる。
(過電力回避制御)
次に、図20ないし図23を参照して、本実施形態の電源システム1における過電力回避制御について説明する。
図20は、PBモードにおいて直流電源10aのデューティ比と電力分配比との関係を示すグラフである。このグラフにおいて、横軸は直流電源10aに対する電力変換器50の上アーム素子を構成するスイッチング素子S1,S2のオン期間のデューティ比を示す。この場合、デューティ比が1.0に向かって大きくなるほど、直流電源10aの電圧Vaを昇圧した後の電圧が低くなり、デューティ比=1の場合はスイッチング素子S1、S2がオン固定された「上アームオン状態」に相当する。また、このことはデューティ比が0から1に向かって大きくなるのに比例して、昇圧比(=Va/VH)が1(すなわちVa=VH)になることが直線91によって示されている。
一方、図20のグラフにおいて、縦軸は直流電源10の電力分配比kを示す。電力分配比kが1のとき、負荷電力PLとして必要とされる総電力PHが直流電源10aのみから出力されていることを示す。逆に、電力分配比kが0のとき、総電力PHが直流電源10bのみから出力されていることを示す。
電源システム1をPBモードで動作させる場合、一方の直流電源からの出力電力が他方の直流電源の出力電力に対して過大となることで、その直流電源が過放電や過充電等の過電力状態とならないように制御する必要がある。そのためには、各直流電源10a,10bについて入出力電力を所定範囲内に維持することが望ましい。図20に示される直流電源10aについて見た場合、昇圧動作におけるデューティ比をデューティ制御幅Drangの範囲内で制御するのが望ましい。
なお、図20中の実線90で示されるように電力分配比kの変化率は、直線91で示される昇圧比の変化率に比べてかなり急になっているため、適用可能なデューティ制御幅Drangは狭い範囲となる。また、電力分配比kは、直流電源10bの電圧Vbが変動することによっても矢印92で示す範囲内で変化するため、これに伴って適用可能デューティ制御幅Drangも変動することになる。したがって、上記のようにPBモードにおいて両方の直流電源10a,10bを電力線20に接続して運転する場合に、上述したように各直流電源10a,10bの入出力電力を所定範囲内に維持することによって、負荷電力PLが急変した場合(例えば、車両における急加速)等にも直流電源10a,10bの過電力を確実に抑制または防止することが望ましい。
そこで、本実施形態では、下記の過電力回避制御を実行することによって、直流電源10a,10bの過電力を抑制または防止することとしている。
図21は、制御装置40に備えられる過電力回避制御部110を示す機能ブロック図である。過電力回避制御部110は、電力指令取得部120、電力比較部130、電力指令変更部140およびフィードバック制御切替部150を含む。
電力指令取得部120は、制御装置40の電力制御部200によって各直流電源10a,10bに分配された電力指令値Pa*,Pb*を取得する機能を有する。
電力比較部130は、各直流電源10a,10bの電力指令値Pa*,Pb*を電力閾値αまたは実電力Pa_act,Pb_actと比較する機能、および、各直流電源10a,10bの実電力Pa_act,Pb_actを電力閾値βと比較する機能を有する。ここで、電力閾値αは、一方の直流電源だけから電力供給している動作モードから両方の直流電源を用いて電力供給する動作モードに移行するときに、他方の直流電源から出力させる下限値に相当する。また、上述したように放電制限値Paout,Pboutは、直流電源10a,10bの出力電力の上限値に相当する。
上記電力閾値α,βは、それぞれ、直流電源10a,10bに固有の一定値としてもよいし、あるいは、例えばSOCや温度等に応じて変化する値としてもよい。電力閾値α,βは、実験結果またはシミュレーション結果に基づいて求めたものを制御装置40の記憶部(図示せず)に記憶させておくことができる。
また、電力閾値αは、電力制御部200(図18)において生成される総電力指令値PH*と電力分配比kの上限値kuplimに基づいて下記の(11)式に従って算出されてもよい。ここで、「kuplim」はPBモードにおける直流電源10aの電力分配比kの上限値である。
α=(1−kuplim)・PH* (11)
具体的には、電力分配比kの上限値kuplimが例えば0.9に設定される場合、総電力指令値PH*の90%が直流電源10aから出力され、直流電源10bからは残りの10%が出力されることになる。したがって、この場合の直流電源10bの下限電力に相当する電力閾値αは総電力指令値PH*の10%の値となる。
他方、PBモードにおける直流電源10aの電力分配比kの下限値klwlimが例えば0.1に設定される場合、直流電源10bから総電力指令値PH*の90%が出力され、直流電源10aからは残りの10%が出力されることになる。したがって、この場合の直流電源10aの下限電力に相当する電力閾値αは総電力指令値PH*の10%の値となる。
なお、ここでは直流電源10a,10bの各下限電力が同じ値(α)である場合について説明したが、勿論これに限定されるものではなく、電源の種類や仕様等が異なるのに応じて直流電源10aの下限電力α1と直流電源10bの下限電力α2とが異なってもよい。
電力比較部130において用いられる電力分配比kの上限値kuplimおよび下限値klwlimは、実験やシミュレーション等によって求めた値を制御装置40の記憶部(図示せず)に予め記憶させておくことができる。
電力指令変更部140は、電力比較部130の比較結果に基づいて各直流電源10a,10bの電力指令値Pa*,Pb*を変更する機能を有する。具体的には、各直流電源10a,10bの電力指令値Pa*,Pb*が下限電力α未満にならないように設定する。そして、電力指令変更部140は、電力指令値Pa*,Pb*が下限電力α未満である場合に、Pa*(またはPb*)を下限電力αに変更して電力指令修正値Pa*_mdy(またはPb*_mdy)として出力する。
フィードバック制御切替部150は、制御装置40の電流制御部300,310(図19)において実行されるフィードバック制御の比例項および積分項の値を切り替えることによって、電力増加側のフィードバック制御を禁止または許可する機能を有する。具体的には、直流電源10a,10bの実電力Pa_act,Pb_actが電力閾値β以上になるまでは、比例項値を前回値以下とするとともに積分項値を前回値に設定することによって電力増加側のフィードバック制御を禁止することができる。また、上記所定の電力閾値βは、上記式(11)に従って総電力指令値PH*および電力分配比kの下限値klwlimから算出される電力閾値αと同じであってもよいし、あるいは、異なってもよい。
図22は、図21の過電力回避制御部110によって実行される過電力回避制御の一例を示すフローチャートである。この制御は、直流電源10a,10b間で電力分配を行う動作モード(例えば、PBモード等)が選択されたときに、所定時間ごとに制御装置40の記憶部から読み出されて実行される。また、この制御は、ソフトウェア処理によって実行できるが、その一部をハードウェア構成(例えば電子回路等)によって実現してもよい。
また、図22に示す制御では、直流電源10aだけの出力を昇圧して負荷電力PLとして供給するaBモードから、両方の直流電源10a,10bの出力を昇圧して負荷電力PLとして供給するPBモードに移行した場合の例が示される。
図22を参照すると、まず、制御装置40は、ステップS10により、各直流電源10a,10bの電力指令値Pa*,Pb*を取得する。この処理は、図21中の電力指令取得部120の機能として実行される。
続いて、制御装置40は、ステップS12により、各直流電源10a,10bの電力指令値Pa*,Pb*が所定の電力閾値α未満であるか否かをそれぞれ判定する。この処理は、図21中の電力比較部130の機能として実行される。なお、図22のステップS12では、直流電源10bの電力指令値Pb*が0<Pb*<αだけが示されるが、直流電源10aについても同様に0<Pa*<αであるか否かを判定してもよい。
そして、上記ステップS12により直流電源10bの電力指令値Pb*が電力閾値α未満であると判定された場合(ステップS12でYES)、続くステップS14により、直流電源10bの電力指令値Pb*=αに設定され、直流電源10aの電力指令値Pa*=PH*−αに設定される。この処理は、図21中の電力指令変更部140の機能として実行される。これにより、直流電源10bの出力の下限電力αが設定されることになる。他方、直流電源10bの出力の上限電力は、上記第1のリミッタ230(図18)によって直流電源10bの放電制限値Pboutとすることができる。したがって、直流電源10bの出力電力Pbは、α≦Pb≦Pboutの電力範囲内に維持されることになる。このように直流電源10bの出力電力Pbが所定の電力範囲内に維持されることで直流電源10a,10b間の電力分配が適切に行われることになり、その結果、直流電源10bが過放電となるのを抑制または防止することができる。
他方、上記ステップS12により直流電源10bの電力指令値Pb*がα以上である場合(ステップS12でNO)、ステップS16の処理に進む。
制御装置40は、ステップS16により、直流電源10aの実電力Pa_actが電力指令値Pa*未満であるか否かを判定する。上記実電力Pa_actはPa_act=Ia(またはILa)×Vaにより算出できる。この処理は、図21中の電力比較部130の機能として実行される。そして、肯定判定の場合には次のステップS18に進み、他方、否定判定の場合には過電力回避制御の処理を終了する。
上記ステップS16により直流電源10aの実電力Pa_actが電力指令値Pa*未満であると判定されたとき(ステップS16でYES)、制御装置40は、続くステップS18により、直流電源10bの実電力Pb_actが電力閾値β以上であるか否かを判定する。この処理もまた、図21中の電力比較部130の機能として実行される。上記実電力Pb_actはPb_act=Ib(またはILb)×Vbにより算出できる。そして、直流電源10bの実電力Pb_actが電力閾値β以上である場合(ステップS18でYES)、続くステップS20により電力増加側のフィードバック制御が許可される。これに対し、直流電源10bの実電力Pb_actが電力閾値β未満である場合(ステップS18でNO)、続くステップS22により電力増加側のフィードバック制御が禁止される。この場合には、直流電源10aについての電流増加側のフィードバック制御が禁止されることになる。
このように直流電源10aについての電力増加側のフィードバック制御が禁止されることで、直流電源10bについて電力変換器50によりDC/DC変換(昇圧動作)を行って実電力Pb_actが電力閾値β以上になるまで直流電源10aの実電力Pa_actが現在値以下に制御される。これによって、直流電源10bについての電力変換器50の応答遅れの間に直流電源10bの出力不足分の電力を直流電源10aから出力するように電力指令値Pa*(=PH*−α)を増加させる制御を行わないようにすることができる。したがって、直流電源10aの電力分配比kが上限値kuplimを超えて増加するのを回避することができ、その結果、直流電源10aが過放電となるのを効果的に抑制することができる。
なお、上記においては直流電源10aだけの出力を昇圧して負荷電力PLを賄うaBモードからPBモードに移行したときの例を説明したが、これとは反対の場合、すなわち、直流電源10bだけの出力を昇圧して負荷電力PLを賄うbBモードからPBモードに移行したときにも同様に上記過電力回避制御によって直流電源10bが過電力となるのを抑制することができる。
また、上記においては直流電源10a,10bから電力を出力する場合について述べたが、これに限定されるものではなく、回生電力が負荷30側から直流電源10a,10bに入力される場合における直流電源10a,10bの過充電を回避するのにも適用可能である。
図23は、図22を参照して説明した過電力回避制御が実行されたときの、(a)直流電源10aについての電力指令値Pa*および実電力Pa_actと(b)昇圧比、ならびに、(c)直流電源10bについての電力指令値Pb*および実電力Pb_actの変化を示す図である。ここでも図22と同様に直流電源10aだけの出力を昇圧して負荷電力PLを供給するaBモードから、両方の直流電源10a,10bの出力を昇圧して負荷電力PLとして供給するPBモードに移行した場合の例が示される。
図23(a)を参照すると、この例では、電源システム1において時間t1までaBモードが適用されており、電圧指令値Pa*の増加にほぼ沿って実電力Pa_actが増加する。
そして、時間t1において、直流電源10aから出力される実電力Pa_actがパワー管理部100(図18)によって設定された放電制限値Paoutに達すると、それ以上の電力を直流電源10aのみから出力できなくなる。そのため、制御装置40は、直流電源10a,10bの両方を用いて総電力PHを出力するために、電力分配を行って直流電源10bからも出力させる。
このとき、図23(a),(c)に示すように、直流電源10aの電力指令値Paが総電力指令値PH*−αに設定され、直流電源10bの電力指令値Pb*が下限電力αに設定される(図22中のステップS14)。
このように両方の直流電源10a,10bに電力分配されて直流電源10bからも電力供給が開始されたとき、直流電源10aから出力される実電力Pa_actは減少する一方で、直流電源10bから出力される実電力Pb_actは増加する。しかし、電力変換器50における昇圧動作の応答遅れ等があるために、直流電源10bから出力される実電力Pb_actが電力指令値Pb*になるまでにはある程度時間(例えば数百ミリ秒程度)を要する。その間に直流電源10aについての電力フィードバック制御が実行されると、直流電源10a,10bから供給される実電力の和(Pa_act+Pb_act)が総電力指令値PH*に対して足りないため、その電力不足分を直流電源10aから供給しようとする制御が働くことになる。そうすると、直流電源10aについて放電制限値Paoutを超えて電力が持ち出されて過放電となる可能性がある。
そこで、本実施形態においては上述したように直流電源10bの実電力Pb_actが電力閾値βに達することとなる時間t2までは、直流電源10aの出力電力が増加する側のフィードバック制御を禁止する(図22中のステップS22)。これにより、直流電源10aが過放電となるのを抑制または防止できる。時間t2以降は、直流電源10aについて電力増加側のフィードバック制御が許可され(図22中のステップS20)、通常のフィードバック制御が実行される。
上述したように本実施形態の電源システム1によれば、直流電源10aの出力電力Paをα≦Pa≦Paoutの範囲内に維持することができる。また、上記の例とは逆に、直流電源10bだけの出力を昇圧して負荷30に供給するbBモードから直流電源10a,10bの両方で電力供給するPBモードに移行した場合にも、直流電源10bの出力電力Pbをα≦Pb≦Pboutの範囲内に維持することができる。これらによって、電力分配比kもklwlim≦k≦kuplimに間接的に制御されることになる。さらに、この制御は直流電源10a,10bに電力が充填される場合にも適用可能である。したがって、本実施形態によれば、直流電源10a,10b間での電力分配を適切に行うことで、直流電源10,10bが過電力(過放電および過充電)となるのを効果的に抑制することができる。
(昇圧比補正学習制御)
次に、図24および図25を参照して、本実施形態における昇圧比補正学習処理について説明する。図24は、制御装置40の昇圧比補正学習処理部41の機能ブロック図である。図25は、図24の昇圧比補正学習処理部41により実行される処理手順を示すフローチャートである。
図24に示すように、制御装置40は、昇圧比補正学習処理部41を備える。昇圧比補正学習処理部41は、第1および第2の直流電源10a,10b間の電力分配比kが所定の両電源使用時要求範囲(図20参照)内に収まるように、第1の直流電源10aの電圧Vaについての電力変換器50による昇圧比Sa(すなわち昇圧比指令値Sa*)を補正学習しながら制御する機能を有する。
昇圧比補正学習処理部41は、電源状態監視部42、昇圧比算出部43、昇圧電圧平均処理部44、モニター時間カウンタ45、昇圧比補正学習部46、昇圧比基準値設定部47、昇圧比上下限値設定部48、および昇圧比指令値補正部49を含む。
電源状態監視部42は、第1および第2の直流電源10a,10bからそれぞれ出力される出力電力Pa,Pbを監視する機能を有する。より詳しくは、第1および第2の直流電源10a,10bの出力電力Pa,Pbを電力閾値αとそれぞれ比較して、両方の電源から電力閾値α以上の電力が出力されているか否かを判定する。ここで、電力閾値αは、図22のステップS12を参照して説明したように、第1および第2の直流電源10a,10bの両方で電力線20に対して電力供給する際に各直流電源10a,10bから出力させる下限電力値に相当する。
昇圧比算出部43は、第1の直流電源10aおよび第2の直流電源10bのそれぞれについての電力変換器50による昇圧比指令値Sa*,Sb*を算出する機能を有する。具体的には、第1の直流電源10aについての昇圧比指令値Sa*は、下記の式(12)に示すように、制御装置40に入力されるシステム電圧VHの電圧指令値VH*を、電圧センサ11a(図1参照)によって検出される第1の直流電源10aの電圧Vaで除算することより算出できる。また、第2の直流電源10bについての昇圧比指令値Sb*は、下記の式(13)に示すように、上記システム電圧VHの電圧指令値VH*を、電圧センサ11b(図1参照)によって検出される第2の直流電源10bの電圧Vbで除算することによって算出できる。なお、下記(12),(13)式に示すように、各昇圧比指令値Sa*,Sb*は、電流制御部300,310によって生成されるデューティ比Da,Dbを用いて算出されてもよい。
Sa*=VH*/Va=1/(1−Da) (12)
Sb*=VH*/Vb=1/(1−Db) (13)
昇圧電圧平均処理部44は、第1および第2の直流電源10a,10bについての電力変換器50による各昇圧電圧VHa,VHbを導出して平均化処理する機能を有する。具体的には、昇圧電圧平均処理部44は、後述するモニター時間カウンタ45によってカウントされるモニター所定時間内において昇圧比補正学習処理の処理周期毎に、上記昇圧比算出部43で得られた昇圧比指令値Sa*,Sb*と電圧センサ11a,11b(図1参照)の検出値である電圧Va,Vbとを用いて、下記の式(14),(15)により各昇圧電圧VHa,VHbを算出して制御装置40の記憶部(図示せず)に記憶する。
VHa=Va×Sa* (14)
VHb=Vb×Sb* (15)
そして、昇圧電圧平均処理部44は、モニター所定時間内に算出および記憶された各昇圧電圧VHa,VHbをそれぞれ平均して昇圧電圧平均値VHa_mean,VHb_meanを導出する。
モニター時間カウンタ45は、昇圧比補正学習処理が実行される間の時間をカウントして、後述する昇圧比補正学習部46によって実行される昇圧比補正学習値の更新タイミングを計測する機能を有する。
昇圧比補正学習部46は、昇圧比補正学習値Gを更新する機能を有する。この昇圧比補正学習値Gは、電圧センサ11a,11b,11cの特性や電力変換器50を構成するスイッチング素子S1〜S4の特性等のばらつきに起因して生じる上記各直流電源10a,10bについての昇圧電圧VHa,VHbのずれを修正するための値である。昇圧比補正学習値Gは、初期値が1に設定され、第1の直流電源10aの昇圧電圧VHaと第2の直流電源10bの昇圧電圧VHbの比(=VHa/VHb)に近づくように更新される。
より詳しく説明すると、電力線20に対して第1および第2の直流電源10a,10bが並列に接続されて各昇圧電圧VHa,VHbを供給するPBモードでは、理論上は、各昇圧電圧VHa,VHbがシステム電圧VHと等しいとみなせる値になる(VH*≒VHa≒VHb)。しかし、電圧センサ11a,11b,11cやスイッチング素子S1〜S4の各特性のばらつきに起因して、VHaとVHbとにずれが生じることがある。そうすると、上述した過電力回避制御によって直流電源10a,10b間での電力分配を適切に行うようにしても、特に、一方の直流電源の単独昇圧モード(aBモードまたはbBモード)からPBモードに移行した直後やスリップ等の外乱が生じた場合などの制御が不安定なときに、直流電源10,10bが過電力状態になる可能性がある。そこで、本実施形態では、昇圧比補正学習値Gを用いて昇圧比指令値Sa*,Sb*を補正することによって、電力センサやスイッチング素子の特性により生じるずれを吸収し、第1および第2直流電源10a,10b間での電力分配を所定の要求範囲に維持するようにしたものである。
昇圧比補正学習値Gの更新は、例えば、下記(16)式にしたがって行うことができる。下記(16)式において、Gpresentは今回昇圧比補正学習値を表し、Gpastは前回昇圧比補正学習値を表す。また、更新ゲインは、学習値Gの急激な変化を抑制するために適宜に設定されるものである。
Gpresnt=Gpast+更新ゲイン×((VHa_mean/VHb_mean)−Gpast) (16)
昇圧比基準値設定部47は、上記昇圧比補正学習部46で得られた昇圧比補正学習値Gを用いて第1の直流電源10aについての昇圧比基準値Sa_refを設定する機能を有する。具体的には、昇圧比基準値設定部47は、昇圧比補正学習値Gと、電圧センサ11bによって検出される第2の直流電源10bの電圧Vbと、第2の直流電源10bについての昇圧比指令値Sb*とを用いて、下記(17)式にしたがって昇圧比基準値Sa_refを算出する。なお、Sb*は上記式(13)により算出されたものを用いることができる。
Sa_ref=G×VH/Va=G×Vb×Sb*/Va (17)
昇圧比上下限値設定部48は、上記昇圧比基準設定部47により得られた昇圧比基準値Sa_refに上限値および下限値を設定する機能を有する。具体的には、昇圧比基準値Sa_refに所定値γを加算することにより上限値Sa_uplimを設定し、昇圧比基準値Sa_refに所定値γを減算することにより下限値Sa_lwlimを設定する。上記所定値γは、実験やシミュレーション等によって得られた値として制御装置40の記憶部に予め記憶させておくことができる。
昇圧比指令値補正部49は、上記昇圧比基準設定部47により得られた昇圧比基準値Sa_refにフィードバック補正値(以下、F/B補正値と記す)ΔSaを加算することによって、第1の直流電源10aについての昇圧比指令値Sa*を補正して出力する機能を有する。ここでのF/B補正値ΔSaは、周知の比例積分(PI)演算によって算出したものを用いることができる。
また、昇圧比指令値補正部49では、上記昇圧比上下限値設定部48により設定された上限値Sa_uplimおよび下限値Sa_lwlimの範囲内となるように昇圧比指令値Sa*を設定する。具体的には、補正後の昇圧比指令値Sa*が下限値Sa_lwlimより小さい場合にはSa*=Sa_lwlimに設定し、補正後の昇圧比指令値Sa*が上限値Sa_uplimにより大きい場合にはSa*=Sa_uplimに設定し、Sa_lwlim≦Sa*≦Sa_uplimの場合には補正後の昇圧指令値Sa*をそのまま確定させる。
このようにして補正された昇圧比指令値Sa*から第1の直流電源10aについてのデューティ比Daが、上記(12)式を変形した下記(18)式によって算出することができる。そして、(18)式によって算出されたデューティ比Daにしたがって電力変換器50のスイッチング素子S3,S4のペアのオン期間が制御されることにより、第1の直流電源10aについての昇圧電圧VHaが第2の直流電源10bの昇圧電圧VHbに等しいとみなせる状態に修正されることになる(VH≒VHa≒VHb)。
Da=1−1/Sa* (18)
続いて、上述した構成を有する昇圧比補正学習処理部41によって実行される処理手順を図25を参照して説明する。この処理は、所定時間ごとに制御装置40の記憶部から読み出されて実行される。
まず、制御装置40は、ステップS30により、第1の直流電源10aからの出力電力Paが電力閾値α以上であり且つ第2の直流電源10bからの出力電力Pbが電力閾値α以上であるか否かを判定する。この判定は、上記電源状態監視部42の機能として実行される。この判定によって、第1および第2の直流電源10a,10bについてバランス良く電力分配された状態で運転されているか否かを確認できる。このような状態で昇圧比補正学習を実行することで、補正学習の精度を向上させることができる。このステップS30において否定判定された場合にはそのまま処理を終了し、他方、肯定判定された場合には次のステップS32に進む。
制御装置40は、ステップS32により、第1の直流電源10aの昇圧電圧平均値VHa_meanと、第2の直流電源10bの昇圧電圧平均値VHb_meanを算出する。この処理は、上記昇圧比算出部43および上記昇圧電圧平均処理部44の各機能として実行される。また、制御装置40は、ステップS32により、モニター時間カウンタを加算する。すなわち、昇圧比補正学習値の更新タイミングであるモニター所定時間を計測する。この処理は、上記モニター時間カウンタ45の機能として実行される。
次に、制御装置40は、ステップS34により、モニター時間といて予め設定された所定時間が経過したか否かを判定する。このステップS34において否定判定された場合(ステップS34でNO)、ステップS40およびS42に進む。この場合、昇圧比補正学習値Gの更新は行なわれず、ステップS40およびS42の処理では昇圧比学習値Gの初期値(=1)または前回学習値(Gpast)が用いられることになる。
一方、上記ステップS34において肯定判定された場合(ステップS34でYES)、続くステップS36により昇圧比補正学習値Gが更新される。そして、続くステップS38によって、各直流電源10a,10bの昇圧電圧平均値VHa_mean,VHb_mean、および、モニター時間カウンタ45がリセットされる。これらの処理は、上記昇圧比補正学習部46および上記モニター時間カウンタ45の各機能として実行される。昇圧比補正学習値Gの更新プロセスは図24の昇圧比補正学習部46について上述したので、ここでの説明は行なわない。
次に、制御装置40は、続くステップS40により、昇圧比補正学習値Gに基づいて昇圧比基準値Sa_refを算出するともに、この昇圧比基準値Sa_refについての下限値Sa_lwlimおよび上限値Sa_pulimを設定する。これらの処理は、上記昇圧比基準値設定部47および上記昇圧比上下限値設定部48の各機能として実行される。これらの処理内容は、図24の昇圧比基準値設定部47および昇圧比上下限値設定部48について上述したので、ここでの説明は省略する。
次に、制御装置40は、続くステップS42により、昇圧比基準値Sa_refをF/B制御の中心値として上限値Sa_pulimおよび下限値Sa_lwlimの範囲内で昇圧比指令値Sa*を補正する。この処理は上記昇圧比指令値補正部49の機能として実行され、その処理内容は上述したとおりである。
そして、制御装置40は、補正された昇圧比指令値Sa*から導出されるデューティ比Daにしたがって電力変換器50を制御する。これにより、第1の直流電源10aについての昇圧電圧VHaが第2の直流電源10bの昇圧電圧VHbに等しいとみなせる状態に制御される(VH≒VHa≒VHb)。
上述したように本実施形態の電源システム1によれば、電圧センサ11a,11b,11cやスイッチング素子S1〜S4の特性ばらつき等に起因する第1および第2の直流電源10a,10b間での昇圧電圧VHa,VHbのずれを解消することができる。その結果、第1および第2直流電源10a,10b間での電力分配を図20に示される所定の両電源使用時要求範囲に維持することができ、PBモードにおいて電力制御用として動作する第1の直流電源10aが過電力となるのを抑制することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態およびその変形例の構成に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項およびその均等な範囲内において種々の変更や改良が可能である。
例えば、上記の電源システム1では、スイッチング素子S1〜S4のオンオフ状態を制御することによって2つの直流電源10a,10bを電力線20に対して直列または並列に接続切替可能な構成について説明したが、これに限定されるものではない。図26に示すように、直流電源10a,10bの各々に、独立して制御可能な電力変換器50a,50bが設けられており、電力線20に対して直流電源10a,10bが電力変換器50a,50bを介して並列接続されている電源システム1Aに適用されてもよい。
図26に示すように、直流電源10a用の電力変換器50aは、直流電源10aの正極端子に一端が接続されたリアクトルL1と、リアクトルL1の他端に接続されたノードN5と電力線20との間に接続された上アーム素子としてのスイッチング素子S5と、ノードN5と接地配線21との間に接続された下アーム素子としてのスイッチング素子S6とを備える。そして、各スイッチング素子S5,S6には、ダイオードD5,D6が逆並列に接続されている。
一方、直流電源10b用の電力変換器50bは、直流電源10bの正極端子に一端が接続されたリアクトルL2と、リアクトルL2の他端に接続されたノードN7と電力線22との間に接続された上アーム素子としてのスイッチング素子S7と、ノードN7と接地配線23との間に接続された下アーム素子としてのスイッチング素子S8とを備える。そして、各スイッチング素子S7,S8には、ダイオードD7,D8が逆並列に接続され、電力線22が直流電源10a側の電力線20に、接地配線23が直流電源10a側の接地配線21にそれぞれ接続されている。なお、電源システム1Aの他の構成は上記実施形態と同様である。
図26に示す電源システム1Aでは、直流電源10aおよび10bを直列接続状態に切り換えることはできない。したがって、上記実施形態における図3に示す各動作モードのうちSBモードおよびSDモードを実行することはできないが、それ以外の動作モードは適用可能であり、上記実施形態と同様に電力変換器制御および過電力回避制御を実行することができる。
1,1A 電源システム、10a,10b 直流電源、11a,11b,11c 電圧センサ、12a,12b 電流センサ、20,22 電力線、21,23 接地配線、30 負荷、32 インバータ、35 モータジェネレータ、36 動力伝達ギヤ、37 駆動輪、40 制御装置、41 昇圧比補正学習処理部、42 電源状態監視部、43 昇圧比算出部、44 昇圧電圧平均処理部、45 モニター時間カウンタ、46 昇圧比補正学習部、47 昇圧比基準値設定部、48 昇圧比上下限値設定部、49 昇圧比指令値補正部、50,50a,50b 電力変換器、80−89 電流経路、90 実線、91 直線、100 パワー管理部、110 過電力回避制御部、120 電力指令取得部、130 電力比較部、140 電力指令変更部、150 フィードバック制御切替部、200 電力制御部、210 偏差演算部、220 制御演算部、230 第1のリミッタ、240 電力分配部、250 循環電力加算部、260 第2のリミッタ、270 減算部、300,310 電流制御部、302,312 電流指令生成部、304,314 偏差演算部、306,316 制御演算部、308,318 FF加算部、400 PWM制御部、410 キャリア波発生部、CH 平滑コンデンサ、CWa,CWb キャリア波、D1−D8 ダイオード、Da,Db,Dc デューティ比、Drang デューティ制御幅、G 昇圧比補正学習値、Ia,Ib,ILa,ILb 電流、Ia*,Ib* 電流指令値、k 電力分配比、klwlim 電力分配比下限値、kuplim 電力分配比上限値、L1,L2 リアクトル、N1,N2,N3,N5,N7 ノード、Pa,Pb 出力電力、Pa*,Pb* 電力指令値、Pa_act,Pb_act 実電力、Pain,Pbin 充電制限値、Paout,Pbout 放電制限値、Par 電力、PH,PHr 総電力、PH* 総電力指令値、PHmax 電力上限値または最大値、PHmin 電力下限値、PL 負荷電力、Plcv コンバータ損失、Plld 負荷損失、Plps 電源損失、Pr 循環電力または循環電力値、Ra,Rb 内部抵抗、S1−S8 スイッチング素子、Sa 昇圧比、Sa_lwlim 下限値、Sa_ref 昇圧比基準値、Sa_uplim 上限値、Sa*,Sb* 昇圧比指令値、SDa,SDb,SDc 制御パルス信号、SG1−SG4 制御信号、t1,t2 時間、Ta,Tb 温度、Va,Vb 電圧、VH 出力電圧またはシステム電圧、VHa,VHb 昇圧電圧、VHa_mean,VHb_mean 昇圧電圧平均値、VH* 電圧指令値、VHmax 上限電圧、VHrq 負荷要求電圧、VR1−VR3 電圧範囲、ΔSa フィードバック補正値、ΔIa,ΔIb 電流偏差、ΔVH 電圧偏差、α,β 電力閾値、γ 所定値。

Claims (1)

  1. 負荷と、
    前記負荷に接続された電力線と、
    前記負荷に電力を供給可能な第1および第2の直流電源と、
    前記第1および第2の直流電源と前記電力線との間の少なくとも一方に接続された電力変換器と、
    前記電力変換器の動作を制御するための制御装置と、を備え、
    前記第1および第2の直流電源が前記電力線に対して並列関係に接続された際に、前記第1の直流電源が前記電力線に対する電力制御の電源として動作する一方で、前記第2の直流電源が前記電力線に対する電圧制御用の電源として動作し得る、電源システムであって、
    前記制御装置は、前記第1および第2の直流電源の両方から前記電力線を介して前記負荷に電力供給する場合であって前記第1および第2の直流電源の各出力電力がそれぞれ所定値以上であるとき、前記第1および第2の直流電源間の電力分配比が所定の要求範囲内に収まるように、前記第1の直流電源の電圧についての前記電力変換器による昇圧比を補正学習しながら制御する、
    電源システム。
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