JP2016048987A - 車輪独立駆動式車両の駆動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 前後輪のうちの少なくとも一方の左右の駆動輪2を個別のモータ6で独立して駆動可能な車両における駆動制御装置20に適用する。モータ6およびその駆動のための検出系,電力供給系,配線系のいずれかに過熱または失陥である異常が発生したことを検出する異常検出手段34を設ける。この手段34により異常が検出された場合に、現在の車速がいずれの速度領域にあるかに応じ、速度領域毎に定められたトルクの出力制限を前記いずれかのモータ6に対して行う異常対応トルク配分変更手段35を設ける。
【選択図】 図3
Description
また、異常が検出された場合に、その異常が検出された駆動輪のモータについては出力制限し、他の正常な駆動輪のモータの出力を増大させて出力低下を補うことが提案されている(例えば、特許文献2,3)。
前記駆動輪2毎に設けられて、前記モータ6およびこのモータ6を駆動するための検出系,電力供給系,配線系のいずれかである異常判断対象に過熱または失陥である異常が発生したことを検出する異常検出手段34と、
この異常検出手段34により異常の発生が検出された場合に、現在の車速がいずれの速度領域にあるかに応じ、前記速度領域毎に定められたトルクの出力制限を前記いずれかのモータ6につき行う異常対応トルク配分変更手段35と、
を設けたことを特徴とする。
なお、上記の「トルクの出力制限」にはトルクの停止を含む。また、上記の「トルクの出力制限」は、結果としてトルクが制限されれば良く、トルク値ではなく出力値で制限を行うようにしても良い。
高速走行中に、過熱または失陥により左右の片輪だけトルクが落ちると車両の走行が不安定となる。しかし、この構成の場合、高速で走行しているときは、異常発生側のモータ6のトルクの出力制限の値と同じ値のトルクの出力制限を、反対側の駆動輪2のモータ6に対して掛ける。すなわち、左右両輪に同じトルクの出力制限を掛ける。そのため、左右のトルクのバランスが得られ、高速走行中であっても、車両の不安定挙動をより確実に無くすことができる。
低速走行中は、左右のトルクがアンバランスであっても、スピンなどの不安定挙動を生じる恐れがない。この場合は、正常な駆動輪2は制限を掛けずに通常制御することで、異常側のモータ6が駆動不能状態であっても、路肩、修理工場までの退避走行が可能となる。
中速走行中は、異常発生やその異常発生側のモータ6に制限を掛けた場合の挙動が、上記の高速走行中と低速走行中との間の様子となり、車速が速くなるに従って高速走行の場合の挙動に近く、車速が遅くなるに従って低速走行の場合の挙動に近くなる。そのため、正常側のモータ6の制限の程度を、前記低速と中速とを判別する閾値V1では出力制限零とし、前記中速と高速とを判別する閾値V2では異常検出された駆動輪2のモータ6と同じ値の制限値とすることで、車両の不安定挙動の防止と、安全な範囲での走行速度の維持との両両方がバランス良く行える。
また、中速走行中に、トルクの出力制限値が急激に変わると意図しない加速、減速となるため、上記のように車速に応じて滑らかに切り替えることが好ましい。
低速走行中は、左右のトルクがアンバランスであっても、スピンなどの不安定挙動を生じる恐れがない。この場合は、左右の各駆動輪2のモータ6毎に、異常の種類および程度に応じたトルクの出力制限を行うことで、不安定挙動の問題を生じることなく、できるだけ退避走行の走行速度を確保することができる。
中速走行中は、異常発生やその異常発生側のモータ6に制限を掛けた場合の挙動が、上記の高速走行中と低速走行中との間の様子となり、車速が速くなるに従って高速走行の場合の挙動に近く、車速が遅くなるに従って低速走行の場合の挙動に近くなる。そのため、制限を異常の種類および程度に応じて行うが、前記中速と高速とを判別する閾値V2では前記トルク値で示す制限値を左右のうちの低い方の値に合わせ、前記低速と中速とを判別する閾値V1では、左右の各駆動輪2のモータ6毎に、完全に独立して異常の種類および程度に応じたトルクの出力制限を行うように、車速に応じて左右のモータ6の制限の関連の程度を異ならせることで、車両の不安定挙動の防止と、安全な範囲での走行速度の維持との両方がバランス良く行える。
このようなインホイールモータ駆動装置IWMを備えた車両の場合に、この発明の各効果が効果的に得られる。
図1に示すように、車体1には、ECU21と、複数(この例では2つ)のインバータ装置22とを含む駆動制御装置20が搭載されている。ECU21は、自動車全般の統括制御や協調制御を行い、各インバータ装置22に指令を与える上位制御手段である。各インバータ装置22は、ECU21の指令に従って各走行用のモータ6の制御をそれぞれ行う。ECU21は、マイクロコンピュータ等のコンピュータとこれに実行されるプログラム、並びに各種の電子回路等で構成される。ECU21と各インバータ装置22とは、CAN(コントロール・エリア・ネットワーク)等の車内通信網で接続されている。
異常対応トルク配分変更手段35は、異常検出手段34により、過熱または失陥による異常があるか否かを常時監視する(ステップS1)。このとき、左右の片輪のみに異常があるのか、または両輪とも異常があるかについても監視する。
片輪のみの異常が検知された場合は、ステップS2に進み、現在の車速が高速(V2以上)、中速(V2〜V1)、低速(V1以下)のいずれの速度領域であるかを判断する。高速の場合はステップS4、中速の場合はステップS5、低速の場合はステップS6の制限を行う。これらの制限の例を説明する。
高速領域の場合は、片側のみの異常が検出されると、異常検出された駆動輪2のモータ6のトルクに出力制限を掛けると共に、この制限の値と同じ値のトルクの出力制限を、左右の反対側の駆動輪2のモータ6に対して掛ける。
高速走行中に、過熱または失陥により左右の片輪だけトルクが落ちると車両の走行が不安定となる。しかし、上記のように、高速で走行しているときは、異常発生側のモータ6のトルクの出力制限の値と同じ値のトルクの出力制限を、反対側の駆動輪2のモータ6に対して掛ける。すなわち、左右両輪に同じトルクの出力制限を掛ける。これにより、左右のトルクのバランスが得られ、高速走行中であっても、車両の不安定挙動をより確実に無くすことができる。
車速が低速の速度領域であるときに左右いずれか一方の駆動輪2の異常が検出されると、異常検出された駆動輪2のモータ6のみにトルクの出力制限を掛け、正常な駆動輪2のモータ6には出力制限を掛けないようにする。
低速走行中は、左右のトルクがアンバランスであっても、スピンなどの不安定挙動を生じる恐れがない。この場合は、正常な駆動輪2は制限を掛けずに通常制御することで、異常側のモータ6が駆動不能状態であっても、路肩、修理工場までの退避走行が可能となる。
車速が中速の速度領域であるときに左右いずれか一方の駆動輪2の異常が検出されると、異常検出された駆動輪2のモータ6についてはトルクの出力制限を掛け、正常な駆動輪2のモータ6については、車速が速くなるに従って制限が強くなるように車速に応じてトルクの出力制限を掛け、このトルクの出力制限の程度を、前記低速と中速とを判別する閾値V1では出力制限零とし、前記中速と高速とを判別する閾値V2では異常検出された駆動輪2のモータ6と同じ値の制限値とする。
また、中速走行中に、トルクの出力制限値が急激に変わると意図しない加速、減速となるため、上記のように車速に応じて滑らかに切り替えることが好ましい。
両輪とも異常が検知された場合は、ステップS3に進み、現在の車速が高速(V2以上)、中速(V2〜V1)、低速(V1以下)のいずれの速度領域であるかを判断する。高速の場合はステップS7、中速の場合はステップS8、低速の場合はステップS9の制限を行う。これらの制限の例を説明する。
車速が高速の速度領域であるときに左右両方の駆動輪2の異常が検出されると、両駆動輪2のモータ6のトルクの出力制限を掛け、かつこの制限を異常の種類および程度に応じて行い、左右のモータ6のトルクの出力制限値は、左右のうちのトルク値で示す制限値が低い方の値に両輪の制限値を合わせるようにする。
車速が低速の速度領域であるときに左右両方の駆動輪2の前記異常検出手段34が異常を検出すると、左右の各駆動輪2のモータ6毎に、異常の種類および程度に応じたトルクの出力制限を行う。
低速走行中は、左右のトルクがアンバランスであっても、スピンなどの不安定挙動を生じる恐れがない。この場合は、左右の各駆動輪2のモータ6毎に、異常の種類および程度に応じたトルクの出力制限を行うことで、不安定挙動の問題を生じることなく、できるだけ退避走行の走行速度を確保することができる。
車速が中速の速度領域であるときに左右両方の駆動輪2の異常が検出されると、両駆動輪2のモータ6のトルクの出力制限を掛け、かつこの制限を異常の種類および程度に応じて行うが、中速と高速とを判別する閾値V2では前記トルク値で示す制限値を左右のうちの低い方の値に合わせ、前記低速と中速とを判別する閾値V1では、左右の各駆動輪2のモータ6毎に、完全に独立して異常の種類および程度に応じたトルクの出力制限を行うように、車速に応じて低速になるに従い左右のモータ6の制限の関連の程度を低くする。
同図(B)のように、右側駆動輪2は、低速でも出力制限値が0Nm(出力停止)であるため、中速領域、および高速領域であっても、出力制限値が0Nm(出力停止)とされる。
同図(B)のように、右側駆動輪2は、低速でも出力制限値が100Nmであるため、中速領域、および高速領域であっても、出力制限値が100Nmとされる。
インホイールモータ駆動装置IWMにおいては、サイクロイド式の減速機、遊星減速機、2軸並行減速機、その他の減速機を適用可能であり、また、減速機を採用しない、所謂ダイレクトモータタイプであってもよい。
4…車輪用軸受
6…モータ
7…減速機
20…駆動制御装置
21…ECU
28…パワー回路部
29…モータコントロール部
33…回転角度検出手段
34…異常検出手段
35…異常対応トルク配分変更手段
36,37…温度検出手段
38…電流センサ
48…トルク配分手段
IWM…インホイールモータ駆動装置
Claims (8)
- 前後輪のうちの少なくとも一方の左右の駆動輪を個別のモータで独立して駆動可能な車輪独立駆動式車両の駆動制御装置であって、
前記駆動輪毎に設けられて、前記モータおよびこのモータを駆動するための検出系,電力供給系,配線系のいずれかである異常判断対象に過熱または失陥である異常が発生したことを検出する異常検出手段と、
この異常検出手段により異常の発生が検出された場合に、現在の車速がいずれの速度領域にあるかに応じ、前記速度領域毎に定められたトルクの出力制限を前記いずれかのモータにつき行う異常対応トルク配分変更手段と、
を設けたことを特徴とする車輪独立駆動式車両の駆動制御装置。 - 請求項1に記載の車輪独立駆動式車両の駆動制御装置において、前記異常対応トルク配分変更手段は、車速が低速,中速,高速に区分したうちの高速の速度領域であるときに左右いずれか一方の駆動輪の前記異常検出手段が異常を検出すると、異常検出された駆動輪のモータにトルクの出力制限を掛けると共に、この制限の値と同じ値のトルクの出力制限を、左右の反対側の駆動輪のモータに対して掛ける車輪独立駆動式車両の駆動制御装置。
- 請求項1または請求項2に記載の車輪独立駆動式車両の駆動制御装置において、前記異常対応トルク配分変更手段は、車速が低速,中速,高速に区分したうちの低速の速度領域であるときに左右いずれか一方の駆動輪の前記異常検出手段が異常を検出すると、異常検出された駆動輪のモータのみにトルクの出力制限を掛け、正常な駆動輪のモータには出力制限を掛けない車輪独立駆動式車両の駆動制御装置。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車輪独立駆動式車両の駆動制御装置において、前記異常対応トルク配分変更手段は、車速が低速,中速,高速に区分したうち中速の速度領域であるときに左右いずれか一方の駆動輪の前記異常検出手段が異常を検出すると、異常検出された駆動輪のモータについてはトルクの出力制限を掛け、正常な駆動輪のモータについては、車速が速くなるに従って制限が強くなるように車速に応じてトルクの出力制限を掛け、このトルクの出力制限の程度を、前記低速と中速とを判別する閾値V1では出力制限零とし、前記中速と高速とを判別する閾値V2では異常検出された駆動輪のモータと同じ値の制限値とする車輪独立駆動式車両の駆動制御装置。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車輪独立駆動式車両の駆動制御装置において、前記異常対応トルク配分変更手段は、車速が低速,中速,高速に区分したうちの高速の速度領域であるときに左右両方の駆動輪の前記異常検出手段が異常を検出すると、両駆動輪のモータにトルクの出力制限を掛け、かつこの制限を異常の種類および程度に応じて行い、左右のモータのトルクの出力制限値は、左右のうちのトルク値で示す制限値が低い方の値に両輪の制限値を合わせる車輪独立駆動式車両の駆動制御装置。
- 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の車輪独立駆動式車両の駆動制御装置において、前記異常対応トルク配分変更手段は、車速が低速,中速,高速に区分したうちの低速の速度領域であるときに左右両方の駆動輪の前記異常検出手段が異常を検出すると、左右の各駆動輪のモータ毎に、異常の種類および程度に応じたトルクの出力制限を行う車輪独立駆動式車両の駆動制御装置。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の車輪独立駆動式車両の駆動制御装置において、前記異常対応トルク配分変更手段は、車速が低速,中速,高速に区分したうちの中速の速度領域であるときに左右両方の駆動輪の前記異常検出手段が異常を検出すると、両駆動輪のモータにトルクの出力制限を掛け、かつこの制限を異常の種類および程度に応じて行うが、前記中速と高速とを判別する閾値V2では前記トルク値で示す制限値を左右のうちの低い方の値に合わせ、前記低速と中速とを判別する閾値V1では、左右の各駆動輪のモータ毎に、完全に独立して異常の種類および程度に応じたトルクの出力制限を行うように、車速に応じて低速であるほど左右のモータの制限の関連の程度を弱める車輪独立駆動式車両の駆動制御装置。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の車輪独立駆動式車両の駆動制御装置において、前記モータは、このモータと、前記駆動輪を支持する車輪用軸受と、前記モータの回転を減速して前記車輪用軸受に伝える減速機とを含むインホイールモータ駆動装置を構成する車輪独立駆動式車両の駆動制御装置。
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