JP2016046748A - 遅延時間測定装置、遅延時間測定システム及びプログラム - Google Patents

遅延時間測定装置、遅延時間測定システム及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】伝送路に制御線を布設する必要がなく、かつ放送方式に依存しない簡易な手法にて、送信機から伝送路を介して受信機までの間の信号伝搬の遅延時間を測定する。
【解決手段】遅延時間測定装置1の校正処理部10は、内部処理時間を測定し、PRBSデータ生成部11は、所定の信号速度にてTSパケットを出力するためのクロック速度を設定してPRBSデータを生成し、バッファ15に格納する。送信処理部14は、PRBSデータを含むTSパケットを送信機2へ出力する。受信処理部16は、送信処理部14により出力されたTSパケットを、送信機2、伝送路3及び受信機4を介して入力し、TSパケットからPRBSデータを抽出し、バッファ17に格納する。遅延時間測定部18は、バッファ15,17に格納されたPRBSデータを比較し、同期するタイミングから時間差を算出し、時間差から内部処理時間を減算して遅延時間を求める。
【選択図】図2

Description

本発明は、送信機から伝送路を介して受信機へデジタル信号が伝送される際の信号伝搬の遅延時間を測定する遅延時間測定装置、遅延時間測定システム及びプログラムに関する。
従来、ハイビジョン(登録商標)の16倍の画素数を持つ8Kスーパーハイビジョン(SHV)の超高精細映像サービスは、2016年に衛星による試験放送の開始を目指して、その研究開発が進められている(非特許文献1を参照)。
また、超高精細映像サービスの研究開発が進展する中で、情報通信審議会において、「超高精細度テレビジョン放送システムに関する技術的条件」のうち「衛星基幹放送及び衛星一般放送に関する技術的条件」が一部答申され、約100Mbps相当のSHV信号を配信するための衛星放送の伝送方式が2014年3月に策定された後、7月には電波法施行規則の一部を改正するための前記の技術的条件に係る省令・告示が改正された(非特許文献2を参照)。
SHV信号をケーブルテレビで再放送するためには、大容量のデータを伝送する必要がある。大容量のデータを伝送する方式として、既存のケーブルテレビ伝送方式を拡張し、大容量のMPEG−2 TS信号を複数の搬送波で伝送する方式が提案されている(非特許文献3,4を参照)。
また、超高精細映像サービスが衛星による試験放送として2016年に開始されることを想定し、ケーブルテレビにおいても、同等のサービスを提供することを可能とするための伝送方式の高度化、大容量化に対応するために、伝送方式の規格化を目的とした標準化活動が行われている。JCTEA(一般社団法人日本CATV技術協会)では、提案方式の実証実験が2014年度内に予定されている。
超高精細映像サービスを実現するために、新たな放送方式(スーパーハイビジョン放送のケーブルテレビ伝送方式)を導入する際には、伝送路符号化パラメータ(インターリーブの深さ、FEC符号化率等)に応じて、送信機から伝送路を介して受信機までの間の信号伝搬の遅延時間を実際に測定する必要がある。これは、衛星放送をパラボラアンテナにて直接受信した場合と、ケーブルテレビで再放送(再送信)する場合(ケーブルテレビ局が介在する再送信システムにて再送信する場合)とで、信号伝搬の遅延時間の差が大きくなると、時刻情報に基づく同報サービス等を実現する際に支障が生じることから、遅延時間を事前に測定しておき、その遅延時間を吸収する措置を講ずるためである。
例えば、生放送等のサービスにおいて、遅延時間の差が大きくなると、中継現場とスタジオとの間で掛け合いが困難になることがあり得る。そこで、遅延時間を測定することにより、支障のない範囲で、伝送路符号化パラメータを選定し、実際の運用規定に反映させる必要がある。
従来、送信機から伝送路を介して受信機へデジタル信号が伝送される際の信号伝搬の遅延時間を測定するために、様々な手法が開示されている。例えば、時刻データを送信信号に埋め込む手法(第1の手法)が知られている。この手法は、送信側及び受信側の時刻を同期させた状態で、送信側にて送信時刻をパケットに埋め込み、受信側にてパケットに埋め込まれた送信時刻とパケットの到着時刻との間の差を算出し、信号伝搬の遅延時間を測定するものである。
また、放送局スタジオから各送信所までの間の信号伝搬の遅延時間を、制御線を用いて測定する手法(第2の手法)が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この手法は、放送局スタジオと各送信所とが制御線で接続され、放送局スタジオから送信された信号が制御線を介して返信される時間を、信号伝搬の遅延時間として測定するものである。
また、各送信所においてOFDM信号の遅延プロファイルを求めることで、信号伝搬の遅延時間を測定する手法(第3の手法)が知られている(例えば、特許文献2を参照)。この手法は、OFDM信号に含まれるSP(スキャッタードパイロット)の理想配置と実際に受信したSPの配置との間の差分を解析し、周波数特性の逆フーリエ変換を行い時間軸上の遅延プロファイルを算出することで、異なる経路間の相対的な遅延時間を測定するものである。
特許第4416905号公報 特許第4212403号公報
E.Nakasu, "Super Hi-vision on the Horizon", IEEE Consumer Electronics Magazine, 1,2,pp.36-42(Apr.2012) 超高精細度テレビジョン放送システムに関する技術的条件、[online]、総務省公表、平成24年3月、[平成26年7月16日検索]、インターネット<URL:http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu08_02000095.html> Y.Hakamada, N.Nakamura, T.Kurakake, T.Kusakabe,and K.Oyamada, "UHDTV(8K)Distribution Technology and Field Trial on Cable Television Networks", ITE Trans.on MTA,2,1,pp.2-7(Jan.2014) Y.Hakamada, N.Nakamura, K.Oyamada, T.Kurakake,and T.Kusakabe, "An UHDTV Cable Television Distribution in Combinations of Multiple 64 and 256 QAM Channels", IEEE ICCE2013,2,pp.488-489(Jan.2013)
しかしながら、時刻データを送信信号に埋め込む第1の手法では、伝送路特性が悪化しBER(Bit Error Ratio:ビットエラー率)が劣化した場合に、時刻データに誤りが生じて遅延時間の測定が困難になるという問題があった。
また、制御線を用いる第2の手法では、放送局スタジオと各送信所との間に制御線が接続されている必要がある。この第2の手法は、制御線が布設されていることが前提であり、制御線が布設されていない場合は、新たな工事が必要になる等、遅延時間の測定を容易に実現することができないという問題があった。
また、OFDM信号の遅延プロファイルを求める第3の手法では、遅延時間を測定するための放送方式(変調方式)が限定され、複雑な構成が必要になり信号処理負荷が高いという問題があった。
そこで、本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、伝送路に制御線を布設する必要がなく、かつ放送方式に依存しない簡易な手法にて、送信機から伝送路を介して受信機までの間の信号伝搬の遅延時間を測定可能な遅延時間測定装置、遅延時間測定システム及びプログラムを提供することにある。
前記目的を達成するために、請求項1の遅延時間測定装置は、伝送対象のデータに所定の送信処理を施し、前記送信処理を施した信号を伝送路を介して送信する送信機、前記伝送路、及び前記伝送路を介して受信した信号のデータに所定の受信処理を施す受信機に対する信号伝搬の遅延時間を測定する遅延時間測定装置において、一定周期で繰り返される周期データを生成し、前記周期データを第1のバッファに格納する周期データ生成部と、前記周期データ生成部により生成された周期データを入力し、前記周期データを前記送信機へ出力する送信処理部と、前記送信処理部により出力された周期データを、前記送信機、前記伝送路及び前記受信機を介して入力し、前記周期データを第2のバッファに格納する受信処理部と、前記第1のバッファに格納された周期データと、前記第2のバッファに格納された周期データとが同期するタイミングから時間差を算出し、前記時間差に基づいて、前記信号伝搬の遅延時間を測定する遅延時間測定部と、を備えたことを特徴とする。
また、請求項2の遅延時間測定装置は、請求項1に記載の遅延時間測定装置において、さらに、前記送信処理部が前記周期データを出力する出力端子と、前記受信処理部が前記周期データを入力する入力端子とを直接接続した場合に、前記遅延時間測定部により測定された遅延時間を内部処理時間として測定する内部処理時間測定部を備え、前記遅延時間測定部が、前記時間差から、前記内部処理時間測定部により測定された内部処理時間を減算し、前記減算した結果を前記信号伝搬の遅延時間として測定する、ことを特徴とする。
また、請求項3の遅延時間測定装置は、請求項1または2に記載の遅延時間測定装置において、送信側及び受信側の2台の当該遅延時間測定装置により、前記信号伝搬の遅延時間を測定する際に、前記送信側の遅延時間測定装置に備えた前記送信処理部が、前記送信側の遅延時間測定装置に備えた前記周期データ生成部により生成された周期データを入力して前記送信機へ出力し、前記受信側の遅延時間測定装置に備えた前記受信処理部が、前記送信側の遅延時間測定装置に備えた前記送信処理部により出力された周期データを、前記送信機、前記伝送路及び前記受信機を介して入力し、前記周期データを、前記受信側の遅延時間測定装置に備えた前記第2のバッファに格納し、前記受信側の遅延時間測定装置に備えた前記遅延時間測定部が、前記受信側の遅延時間測定装置に備えた前記第1のバッファに格納された周期データと、前記受信側の遅延時間測定装置に備えた前記第2のバッファに格納された周期データとが同期するタイミングから時間差を算出し、前記時間差に基づいて、前記信号伝搬の遅延時間を測定する、ことを特徴とする。
さらに、請求項4の遅延時間測定システムは、伝送対象のデータに所定の送信処理を施し、前記送信処理を施した信号を伝送路を介して送信する送信機、前記伝送路、及び前記伝送路を介して受信した信号のデータに所定の受信処理を施す受信機に対する信号伝搬の遅延時間を測定する遅延時間測定システムにおいて、一定周期で繰り返される周期データを生成し、前記周期データを前記送信機へ出力する第1の遅延時間測定装置と、前記第1の遅延時間測定装置により出力された周期データを、前記送信機、前記伝送路及び前記受信機を介して入力し、前記信号伝搬の遅延時間を測定する第2の遅延時間測定装置と、を備え、前記第1の遅延時間測定装置が、当該第1の遅延時間測定装置及び前記第2の遅延時間測定装置にて共通の時刻が設定される内部時計を有する第1の時計部と、前記信号伝搬の遅延時間の測定を開始する所定の測定開始時刻から、前記周期データを生成する第1の周期データ生成部と、前記第1の周期データ生成部により生成された周期データを入力し、前記送信機へ出力する送信処理部と、を備え、前記第2の遅延時間測定装置が、前記共通の時刻が設定される内部時計を有する第2の時計部と、前記所定の測定開始時刻から、前記周期データを生成し、前記周期データを第1のバッファに格納する第2の周期データ生成部と、前記第1の遅延時間測定装置の前記送信処理部により出力された周期データを、前記送信機、前記伝送路及び前記受信機を介して入力し、前記周期データを第2のバッファに格納する受信処理部と、前記第1のバッファに格納された周期データと、前記第2のバッファに格納された周期データとが同期するタイミングから時間差を算出し、前記時間差に基づいて、前記信号伝搬の遅延時間を測定する遅延時間測定部と、を備えたことを特徴とする。
また、請求項5の遅延時間測定システムは、請求項4に記載の遅延時間測定システムにおいて、前記第2の遅延時間測定装置に備えた遅延時間測定部が、前記第1の遅延時間測定装置に備えた前記送信処理部が前記周期データを前記第1の周期データ生成部から入力して前記送信機へ出力するまでの間の処理時間と、当該第2の遅延時間測定装置に備えた前記受信処理部が前記周期データを前記受信機から入力して前記第2のバッファに格納するまでの間の処理時間とを加算した時間に相当する内部処理時間が予め設定され、前記時間差から前記内部処理時間を減算し、前記減算した結果を前記信号伝搬の遅延時間として測定する、ことを特徴とする。
さらに、請求項6の遅延時間測定プログラムは、コンピュータを、請求項1から3までのいずれか一項に記載の遅延時間測定装置として機能させることを特徴とする。
また、請求項7の遅延時間測定プログラムは、伝送対象のデータに所定の送信処理を施し、前記送信処理を施した信号を伝送路を介して送信する送信機、前記伝送路、及び前記伝送路を介して受信した信号のデータに所定の受信処理を施す受信機に対する信号伝搬の遅延時間を測定するプログラムであって、一定周期で繰り返される周期データを生成し、前記送信機へ出力する第1の遅延時間測定装置と、前記第1の遅延時間測定装置により出力された周期データを、前記送信機、前記伝送路及び前記受信機を介して入力し、前記信号伝搬の遅延時間を測定する第2の遅延時間測定装置と、を備えた遅延時間測定システムによる遅延時間測定プログラムにおいて、前記第1の遅延時間測定装置が、当該第1の遅延時間測定装置及び前記第2の遅延時間測定装置にて共通の時刻が設定される内部時計を有する第1の時計部を備え、前記第2の遅延時間測定装置が、前記第1の遅延時間測定装置の内部時計による時刻と一致する内部時計を有する第2の時計部を備え、前記第1の遅延時間測定装置を構成するコンピュータに、前記信号伝搬の遅延時間の測定を開始する所定の測定開始時刻から、前記周期データを生成する第1のステップと、前記周期データを前記送信機へ出力する第2のステップと、を実行させ、前記第2の遅延時間測定装置を構成するコンピュータに、前記所定の測定開始時刻から、前記周期データを生成し、前記周期データを第1のバッファに格納する第3のステップと、前記第1のステップにて出力された周期データを、前記送信機、前記伝送路及び前記受信機を介して入力し、前記周期データを第2のバッファに格納する第4のステップと、前記第1のバッファに格納された周期データと、前記第2のバッファに格納された周期データとが同期するタイミングから時間差を算出する第5のステップと、前記時間差に基づいて、前記信号伝搬の遅延時間を測定する第6のステップと、を実行させることを特徴とする。
以上のように、本発明によれば、伝送路に制御線を布設する必要がなく、かつ放送方式に依存しない簡易な手法にて、送信機から伝送路を介して受信機までの間の信号伝搬の遅延時間を測定することができる。
実施例1の遅延時間測定装置を含む遅延時間測定システムの全体構成を示す概略図である。 実施例1の遅延時間測定装置の構成を示すブロック図である。 実施例1の遅延時間測定装置の処理を示すフローチャートである。 実施例1の遅延時間測定装置の処理を説明するタイムチャートである。 信号速度及び測定可能な遅延時間を説明する図である。 TSパケットのヘッダー構成を説明する図である。 実施例2の遅延時間測定装置を含む遅延時間測定システムの全体構成を示す概略図である。 実施例2における送信側の遅延時間測定装置の構成を示すブロック図である。 実施例2における送信側の遅延時間測定装置の処理を示すフローチャートである。 実施例2における受信側の遅延時間測定装置の構成を示すブロック図である。 実施例2における受信側の遅延時間測定装置の処理を示すフローチャートである。
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。第1の実施形態(実施例1)は、1台の遅延時間測定装置を用いるものである。遅延時間測定装置は、一定周期で繰り返される所定パターンの周期データを出力し、当該周期データを、送信機、伝送路及び受信機を介して入力する。そして、遅延時間測定装置は、出力した周期データと入力した周期データとの間のパターンマッチング及び演算処理により、送信機から伝送路を介して受信機までの間の信号伝搬の遅延時間を測定する。
また、第2の実施形態(実施例2)は、送信側及び受信側の2台の遅延時間測定装置を用いるものであり、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)時計により両装置の内部時計の時刻を予め同期させる。送信側の遅延時間測定装置は、同期した所定時刻を開始時刻として、一定周期で繰り返される所定パターンの周期データを生成して出力する。受信側の遅延時間測定装置は、同期した同じ所定時刻を開始時刻として周期データを生成し、送信側の遅延時間測定装置から出力された周期データを、送信機、伝送路及び受信機を介して入力する。そして、受信側の遅延時間測定装置は、生成した周期データと入力した周期データとの間のパターンマッチング及び演算処理により、送信機から伝送路を介して受信機までの間の信号伝搬の遅延時間を測定する。
本発明の実施形態において、遅延時間を測定するためのモードには、実施例1のスタンドアロンモードと実施例2のリモートモードとがある。スタンドアロンモードは、1台の遅延時間測定装置を用いて、送信機から伝送路を介して受信機までの測定対象機器(DUT:Device Under Test)を通過する信号に対し、その信号伝搬の遅延時間を測定するモードである。このモードは、送信機及び受信機が近距離に存在する場合の測定、例えば実験室内での測定に適用がある。一方、リモートモードは、離れた場所に設けられた2台の遅延時間測定装置を用いて、信号伝搬の遅延時間を測定するモードである。このモードは、送信機及び受信機が遠距離に存在する場合の測定に適用がある。
〔実施例1〕
まず、実施例1について説明する。前述のとおり、実施例1は、1台の遅延時間測定装置を用いて、スタンドアロンモードで遅延時間を測定するものである。
図1は、実施例1の遅延時間測定装置を含む遅延時間測定システムの全体構成を示す概略図である。この遅延時間測定システム9−1は、遅延時間測定装置1、送信機2、伝送路3及び受信機4により構成される。送信機2、伝送路3及び受信機4は、遅延時間測定装置1により遅延時間が測定される測定対象である。
遅延時間測定装置1は、一定周期で繰り返される所定パターンの周期データをMPEG−2 TSパケット(以下、TSパケットという。)に格納して送信機2へ出力し、周期データの初期値を生成して出力する時刻(測定開始時刻)に、同じ周期データを自走させる。
遅延時間測定装置1は、出力したTSパケットを、送信機2、伝送路3及び受信機4を介して入力し、入力したTSパケットから周期データを抽出し、抽出した周期データと自走させた周期データとの間のパターンマッチングにより遅延時間を測定し、測定した遅延時間を出力する。
遅延時間測定装置1において、送信機2へTSパケットを出力し、受信機4からTSパケットを入力する入出力インターフェースは、例えばDVB−SPI(Digital Video Broadcasting−Synchronous Parallel Interface:同期パラレルインターフェース)またはDVB−ASI(Digital Video Broadcasting−Asynchronous Serial Interface:非同期シリアルインターフェース)が用いられる。
また、TSパケットに格納される周期データとしては、例えば、PRBS23データ(Pseudo Random Bit Sequence23:23次M系列疑似ランダム信号(乱数ビットシーケンス信号))またはPRBS31データ(Pseudo Random Bit Sequence31:31次M系列疑似ランダム信号(乱数ビットシーケンス信号))が用いられる。PRBS23データは、23ビット毎にユニークな異なるデータにより構成されたパターンのデータであり、パターン長は223−1(8388607)ビットである。PRBS31データは、31ビット毎にユニークな異なるデータにより構成されたパターンの信号であり、パターン長は231−1(2147483647)ビットである。PRBS23データ及びPRBS31データは、一定周期で繰り返される所定パターンの周期データにより構成される。
尚、遅延時間測定装置1は、遅延時間のみを測定する単独の装置であってもよいし、デジタル信号のBERを測定する装置の一部として組み込まれるようにしてもよい。
送信機2は、伝送対象である映像音声信号等のデータに対し、所定の送信処理(誤り訂正符号化処理及び変調処理等)を施し、送信信号を、伝送路3を介して受信機4へ送信する装置である。受信機4は、送信機2により送信された送信信号を、伝送路3を介して受信し、受信したデータに対し、送信機2における送信処理(誤り訂正符号化処理及び変調処理等)に対応する所定の受信処理(復調処理及び誤り訂正復号処理等)を施し、元の映像音声信号等のデータに復元する装置である。
送信機2は、遅延時間測定装置1が遅延時間を測定する際に、遅延時間測定装置1からTSパケットを入力し、伝送対象のデータを送信するときと同じ送信処理(誤り訂正符号化処理及び変調処理等)を施し、送信信号を、伝送路3を介して受信機4へ送信する。受信機4は、送信機2により送信された送信信号を、伝送路3を介して受信し、受信したデータに対し、元のデータを復元するときと同じ受信処理(復調処理及び誤り訂正復号処理等)を施し、TSパケットを遅延時間測定装置1に出力する。
〔遅延時間測定装置1の構成/実施例1〕
次に、図1に示した遅延時間測定装置1について説明する。図2は、遅延時間測定装置1の構成を示すブロック図である。この遅延時間測定装置1は、校正処理部(内部処理時間測定部)10、PRBSデータ(周期データ)生成部11、送信部12及び受信部13を備えている。送信部12は、送信処理部(出力(送信)インターフェース)14を備え、受信部13は、バッファ15,17、受信処理部(入力(受信)インターフェース)16及び遅延時間測定部18を備えている。
校正処理部10は、遅延時間の測定に先立って、オペレータの操作により、遅延時間測定装置1の校正処理を行う。具体的には、校正処理部10は、送信部12の送信処理部14と受信部13の受信処理部16とが接続された状態において(図示しない入出力端子が接続された状態において)、後述する遅延時間測定部18により測定された遅延時間を内部処理時間として測定する。内部処理時間は、送信処理部14の処理時間に受信処理部16の処理時間を加算した時間である。そして、校正処理部10は、測定した内部処理時間を受信部13の遅延時間測定部18に出力する。入出力端子の接続は、遅延時間測定装置1を操作するオペレータにより行われる。
送信処理部14の処理時間は、PRBSデータ(PRBS23データまたはPRBS31データ)を入力してから、PRBSデータに送信処理を施し、TSパケットを送信機2へ出力するまでの間の時間である。受信処理部16の処理時間は、TSパケットを入力してから、TSパケットに受信処理を施し、PRBSデータをバッファ17に格納するまでの間の時間である。
PRBSデータ生成部11は、オペレータの操作により遅延時間の測定が開始されると、遅延時間の測定開始タイミングを示すリセット信号を入力し、PRBS23データまたはPRBS31データのいずれかを選択し、所定の信号速度にて送信処理部14からPRBSデータを出力するためのクロック速度を設定し、設定したクロック速度にてPRBSデータとして生成する。そして、PRBSデータ生成部11は、生成したPRBSデータを送信部12の送信処理部14に順次出力すると共に、受信部13のバッファ15に順次格納する。これにより、バッファ15には、PRBSデータ生成部11がPRBSデータの初期値を生成して送信処理部14が出力する時刻(測定開始時刻)から、PRBSデータが、自走させたデータとして格納される。PRBSデータ生成部11によりリセット信号が入力された時刻が、測定開始時刻となる。
尚、リセット信号は、オペレータの操作により遅延時間の測定が開始されるときに入力するようにしたが、所定の時刻のときに入力するようにしてもよいし、所定の周期のタイミングで断続的に入力するようにしてもよい。
送信部12の送信処理部14は、PRBSデータ生成部11からPRBSデータを入力し、PRBSデータをTSパケットのペイロードに格納し、所定の信号速度にて、PRBSデータを含むTSパケットを出力する。
受信部13の受信処理部16は、PRBSデータを含むTSパケットを入力し、TSパケットのペイロードからPRBSデータを抽出し、抽出したPRBSデータをバッファ17に順次格納する。
受信部13の遅延時間測定部18は、校正処理部10から内部処理時間を入力し、バッファ15に順次格納されたPRBSデータのパターンと、バッファ17に順次格納されたPRBSデータのパターンとを比較し、両PRBSデータが同期するまでの時間を算出する。つまり、遅延時間測定部18は、バッファ15に格納されているPRBSデータのパターンに対し、その後にバッファ17に格納されるPRBSデータのパターンが一致するまでの時間を算出する。そして、遅延時間測定部18は、算出した時間から入力した内部処理時間を減算して遅延時間を求め、遅延時間を出力する。
これにより、遅延時間測定装置1にて、送信機2、伝送路3及び受信機4の測定対象における信号伝搬の遅延時間が測定される。
〔遅延時間測定装置1の処理/実施例1〕
次に、図2に示した遅延時間測定装置1の処理について説明する。図3は、遅延時間測定装置1の処理を示すフローチャートであり、図4は、遅延時間測定装置1の処理を説明するタイムチャートである。
まず、遅延時間測定装置1の校正処理部10は、オペレータにより送信処理部14及び受信処理部16の入出力端子が接続された状態で、オペレータの操作により校正処理を行い、遅延時間測定装置1の内部処理時間を測定する(ステップS301)。具体的には、校正処理部10は、PRBSデータ生成部11、送信処理部14、受信処理部16及び遅延時間測定部18に対し、遅延時間を測定するときの処理と同じ処理を行わせ、遅延時間測定部18により測定された遅延時間を内部処理時間として測定する。内部処理時間は、送信処理部14の処理時間に受信処理部16の処理時間を加算した時間であり、送信処理部14及び受信処理部16の入出力端子を接続した状態の遅延時間である。
ここで、入出力端子が接続された状態とは、送信処理部14により出力されたTSパケットが、受信処理部16によりそのまま入力される状態をいう。また、PRBSデータ生成部11が使用するPRBSデータは、オペレータの操作により予め選択されており、内部処理時間を測定する際に使用するPRBSデータと、遅延時間を測定する際に使用するPRBSデータとは同じであるものとする。すなわち、内部処理時間を測定する際に使用するPRBSデータは、後述するステップS302にて選択されるPRBSデータと同じデータであるものとする。また、遅延時間測定部18は、校正処理部10が内部処理時間を測定する際に、バッファ15に格納されたPRBSデータのパターンと、バッファ17に格納されたPRBSデータのパターンとを比較し、両PRBSデータが同期するタイミングから時間差を算出し、この時間差を遅延時間として測定する。遅延時間測定部18により測定された遅延時間が、内部処理時間として扱われる。
PRBSデータ生成部11は、オペレータの操作により遅延時間の測定が開始されると、リセット信号を入力し、既にオペレータの操作に従って設定されているランダムデータであるPRBSデータ(PRBS23データまたはPRBS31データ)を選択する。そして、PRBSデータ生成部11は、所定の信号速度にて送信処理部14からTSパケットを出力するためのクロック速度を設定し、設定したクロック速度にてPRBSデータを生成する(ステップS302)。
図5は、信号速度及び測定可能な遅延時間を説明する図である。図5において、信号速度は、送信処理部14から出力されるTSパケットの速度を示し、周期は、信号速度の逆数を示す。TSパケットの信号速度及び周期の最小値は、それぞれ0.01Mbps及び0.1msecであり、最大値は、それぞれ210Mbps及び4.8nsecである。例えば、SHV信号のTSパケットを送信処理部14から出力するための信号速度は100Mbpsであり、周期は10nsecである。
データ系列は、使用するPRBSデータを示す。データ系列がPRBS23データの場合、1周期のビット長は8388607であり、データ系列がPRBS31データの場合、1周期のビット長は2147483647である。また、測定可能な遅延時間は、上段の信号速度に対応するPRBSデータの周期に相当する。これは、遅延時間測定部18において、1周期のPRBSデータの範囲内でマッチング処理により遅延時間が測定されるからである。
例えば、PRBSデータ生成部11が、ランダムデータとしてPRBS23データを選択し、0.01Mbpsの信号速度にて送信処理部14からTSパケットを出力するためのクロック速度を設定した場合、遅延時間測定部18により測定可能な遅延時間は、838.861sec(838860.7msec)である。この838.861secは、0.01Mbpsの信号速度にてTSパケットが出力される際に、周期的に繰り返されるPRBS23データの周期に相当する。
同様に、PRBSデータ生成部11が、PRBS23データを選択し、210Mbpsの信号速度にてTSパケットを出力するためのクロック速度を設定した場合、遅延時間測定部18により測定可能な遅延時間は、0.040sec(39.9msec)である。また、PRBSデータ生成部11が、PRBS31データを選択し、それぞれ0.01Mbps,210Mbpsの信号速度にてTSパケットを出力するためのクロック速度を設定した場合、遅延時間測定部18により測定可能な遅延時間は、それぞれ214748sec(214748364.7msec),10sec(10226.1msec)である。
さらに、送信処理部14からSHV信号のTSパケットを出力する場合、PRBSデータ生成部11が、それぞれPRBS23データ、PRBS31データを選択し、100Mbpsの信号速度にてTSパケットを出力するためのクロック速度を設定したとき、遅延時間測定部18により測定可能な遅延時間は、それぞれ0.084sec(83.9msec),21sec(21474.8msec)である。
このように、図5から、送信処理部14からSHV信号のTSパケットを出力する場合、すなわち100Mbpsの信号速度にてTSパケットを出力する場合には、PRBS23データを用いると、0.084sec以下の遅延時間を測定できるが、0.084secを超える遅延時間を測定できないことがわかる。そこで、遅延時間が0.084secを超えるときは、PRBS31データを用いる必要がある。
図3及び図4に戻って、PRBSデータ生成部11は、ステップS302にて生成したPRBSデータを、送信部12の送信処理部14に出力すると共に、受信部13のバッファ15に送信PRBSデータとして格納する(ステップS303)。バッファ15に格納される送信PRBSデータは、当該遅延時間測定装置1が自走させたデータとして扱われ、後述するバッファ17に格納される受信PRBSデータと共に、遅延時間を算出するために用いられる。
図4を参照して、送信PRBSデータは、測定開始時刻から、1周期毎の周期的なデータとしてバッファ15に格納される。
遅延時間測定部18は、PRBSデータ生成部11にリセット信号が入力され、送信PRBSデータがバッファ15に格納され始める測定開始時刻から、カウンタを起動する(ステップS304)。このカウンタのカウント値は、バッファ15に格納される送信PRBSデータの量に応じて増加し、測定開始時刻からの経過時間に対応した値であり、送信処理部14から出力されるPRBSデータの量に応じて増加する値でもある。図5に示したとおり、例えば、PRBS23データが選択され、100Mbpsの信号速度にてSHV信号のTSパケットを出力するためのクロック速度が設定された場合には、1周期のPRBS23データがバッファ15に格納される毎に、0.084sec相当のカウント値が増加する。
図4を参照して、カウント値は、測定開始時刻に0にリセットされて増加し、所定値に達すると0にリセットされる。カウント値は、0から所定値まで、バッファ15に格納される送信PRBSデータの量に応じて増加する。
送信処理部14は、PRBSデータを識別するためのデータをプログラムID(PID)に設定する等して、TSパケットのヘッダー情報を生成する。そして、送信処理部14は、ヘッダー情報をTSパケットのヘッダーに格納すると共に、PRBSデータ生成部11により生成されたPRBSデータをTSパケットのペイロードに格納することで、TSパケットを生成し、TSパケットを出力する(ステップS305)。これにより、PRBSデータを含むTSパケットは、送信機2へ出力され、伝送路3及び受信機4を介して受信処理部16へ入力される。
ここで、MPEG−2 TSパケット(TSパケット)のヘッダーのサイズは4バイトであり、ペイロードのサイズは184バイトである。したがって、TSパケットのサイズは188バイトである。
図6は、TSパケットのヘッダー構成を説明する図である。TSパケットのヘッダーは、同期ワード(sync)、トランスポートエラーインジケータ(transport error indicator)、ペイロードユニットスタートインジケータ(payload unit start indicator)、トランスポート優先度(transport priority)、プログラムID(PID)、トランスポートスクランブルコントロール(transport scrambling control)及びアダプテーションフィールドコントロール(adaptation field control)の領域から構成される。これらのヘッダー情報のデータ及びビット長は、図6に示すとおりである。プログラムIDは、外部により指定される任意のデータが設定される。本実施例1では、送信処理部14により、PRBSデータの種類を示すデータ(PRBS23データまたはPRBS31データを識別するためのデータ)が、プログラムIDの領域に格納される。
図3及び図4に戻って、受信処理部16は、送信処理部14により出力されたTSパケットを、送信機2、伝送路3及び受信機4を介して入力し、TSパケットからPRBSデータを抽出する(ステップS306)。具体的には、受信処理部16は、TSパケットのヘッダーに格納されたプログラムIDを抽出し、プログラムIDが現在使用しているPRBSデータの種類を示している場合、TSパケットのペイロードからPRBSデータを抽出する。
このように、TSパケットのヘッダーに格納されたプログラムIDにより、PRBSデータをフィルタリングすることができ、PRBSデータが格納されたTSパケットが特定され、TSパケットからPRBSデータを抽出することができる。
受信処理部16は、TSパケットから抽出したPRBSデータを、バッファ17に受信PRBSデータとして格納する(ステップS307)。図4を参照して、受信PRBSデータは、測定開始時刻から遅延時間(図4のα)分遅れて、送信PRBSデータに対応した1周期毎の周期的なデータとしてバッファ17に格納される。
遅延時間測定部18は、バッファ15から自走させた送信PRBSデータを読み出すと共に、バッファ17から受信PRBSデータを読み出し、送信PRBSデータのパターンと受信PRBSデータのパターンとを比較し、送信PRBSデータのパターンと受信PRBSデータとをマッチング判定する(ステップS308)。そして、遅延時間測定部18は、マッチング判定によりマッチングしたと判定した場合(送信PRBSデータのパターンと受信PRBSデータとが同期したと判定した場合)、そのときのカウント値に基づいて時間差を算出する(ステップS309)。
例えば、PRBSデータがPRBS23データである場合、遅延時間測定部18は、送信PRBSデータにおける最初の23ビットのデータ(図4において、送信PRBSデータの斜線部)がバッファ15に格納されたタイミングにおいて、そのときのカウント値(図4のc1)を記憶しておく。そして、遅延時間測定部18は、受信PRBSデータにおける最初の23ビットのデータ(図4において、受信PRBSデータの斜線部)がバッファ17に格納されたタイミングにおいて、そのときのカウント値(図4のc2)と既に記憶したカウント値(図4のc1)との間の差に基づいて、時間差を算出する。
これにより、送信PRBSデータにおける最初の23ビットのデータと、遅延時間分遅れた受信PRBSデータにおける最初の23ビットのデータとがマッチング判定され、時間差が算出される。23ビットのデータをマッチング判定の対象としたのは、PRBS23データは、23ビット毎にユニークで異なるデータにより構成されているからである。
尚、マッチング判定の対象は、必ずしも送信PRBSデータ及び受信PRBSデータにおける最初の23ビットのデータである必要はなく、周期的に繰り返される送信PRBSデータ及び受信PRBSデータにおける任意の同じ位置のデータであって、かつ23ビットのデータであればよい。また、PRBSデータがPRBS31データである場合は、送信PRBSデータ及び受信PRBSデータにおける最初の31ビットのデータ、または任意の同じ位置のデータであって、かつ31ビットのデータがマッチング判定の対象となる。マッチング判定の対象は、1周期のデータであってもよい。
また、カウント値がバッファ15に格納された送信PRBSデータのビット数を示している場合、遅延時間測定部18は、マッチング判定によりマッチングしたと判定したときに、カウント値の差を算出し、そのカウント値の差を、ステップS302にて設定したクロック速度に対応する信号速度で除算し、除算結果を求めるようにしてもよい。
遅延時間測定部18は、ステップS309にて算出した時間差から、ステップS301にて校正処理部10により測定された内部処理時間を減算し、減算結果を、送信機2、伝送路3及び受信機4の測定対象における信号伝搬の遅延時間として求める(ステップS310)。そして、遅延時間測定部18は、遅延時間を出力する(ステップS311)。
そして、遅延時間測定装置1により測定された遅延時間は、画面表示され、メモリに格納される。この場合、遅延時間測定装置1は、遅延時間を画面表示する際に、その最大値、最小値及び平均値を算出して画面表示する。また、遅延時間測定装置1により測定された遅延時間は、当該遅延時間測定装置1以外の他の装置を用いて、オフライン解析される。例えば、他の装置は、遅延時間測定装置1によりメモリに格納された所定数の遅延時間を、CSVファイル形式またはTXTファイル形式にて読み出し、オフライン解析する。
以上のように、実施例1の遅延時間測定装置1によれば、校正処理部10は、校正処理により、送信処理部14及びバッファ15の処理時間である内部処理時間を測定し、PRBSデータ生成部11は、所定の信号速度にて送信処理部14からTSパケットを出力するためのクロック速度を設定し、設定したクロック速度にてPRBSデータを生成し、PRBSデータを送信PRBSデータとして受信部13のバッファ15に格納するようにした。そして、送信処理部14は、PRBSデータをTSパケットに格納し、PRBSデータを含むTSパケットを送信機2へ出力するようにした。
そして、受信処理部16は、送信処理部14により出力されたTSパケットを、送信機2、伝送路3及び受信機4を介して入力し、TSパケットからPRBSデータを抽出し、抽出したPRBSデータを受信PRBSデータとしてバッファ17に格納するようにした。そして、遅延時間測定部18は、バッファ15に格納された送信PRBSデータのパターンと、バッファ17に格納された受信PRBSデータのパターンとを比較し、両データが同期するタイミングから時間差を算出し、時間差から内部処理時間を減算して遅延時間を求めるようにした。
これにより、送信機2、伝送路3及び受信機4の測定対象における信号伝搬の遅延時間が、伝送路3に制御線を布設することなく、またTSパケットに時刻情報を格納することなく測定される。また、遅延時間は、バッファ15に格納された送信PRBSデータのパターンと、バッファ17に格納された受信PRBSデータのパターンとを比較することにより測定されるから、この遅延時間の測定手法は、あらゆる放送方式に適用がある。つまり、OFDM方式、QAM変調方式等の放送方式に依存することなく、簡易な構成及び処理にて遅延時間を測定することができる。
また、実施例1の遅延時間測定装置1によれば、一定周期にて繰り返される送信PRBSデータ及び受信PRBSデータの同期を確立させればよいから、時刻データを送信信号に埋め込む前述の第1の手法に比べ、伝送路3の特性が悪化しBERが劣化した場合であっても、遅延時間を測定することができる。
また、実施例1の遅延時間測定装置1によれば、送信PRBSデータと受信PRBSデータとが同期するタイミングから時間差を算出し、時間差から、校正処理部10により構成処理にて測定された内部処理時間を減算して遅延時間を求めるようにした。これにより、遅延時間測定装置1毎の送信処理部14及び受信処理部16の入出力インターフェースによる処理時間の違いを吸収することができ、精度の高い遅延時間を測定することができる。
〔実施例2〕
次に、実施例2について説明する。前述のとおり、実施例2は、2台の遅延時間測定装置を用いて、リモートモードで遅延時間を測定するものである。
図7は、実施例2の遅延時間測定装置を含む遅延時間測定システムの全体構成を示す概略図である。この遅延時間測定システム9−2は、遅延時間測定装置1−1,1−2、送信機2、伝送路3、受信機4、GPS衛星5及びGPS受信機6−1,6−2により構成される。送信機2、伝送路3及び受信機4は、遅延時間測定装置1−1,1−2により遅延時間が測定される測定対象である。例えば、ケーブルテレビで再放送(再送信)する再送信システムにおいて、遅延時間測定装置1−1,1−2により遅延時間が測定される。
遅延時間測定装置1−1は、GPS受信機6−1から時刻情報を入力して内部時計を設定し、内部時計による所定の測定開始時刻にて、一定周期で繰り返される所定パターンの周期データをTSパケットに格納して送信機2へ出力する。
遅延時間測定装置1−2は、GPS受信機6−2から、遅延時間測定装置1−1が入力した時刻情報と同じ時刻情報を入力し、内部時計を設定し、内部時計の所定の測定開始時刻にて、遅延時間測定装置1−1と同じ周期データを自走させておく。そして、遅延時間測定装置1−2は、入力したTSパケットから周期データを抽出し、抽出した周期データと自走させた周期データとの間のパターンマッチングにより、両周期データを同期させ遅延時間を測定する。
送信機2、伝送路3及び受信機4は、図1に示した実施例1と同様であるから、ここでは説明を省略する。
GPS衛星5は、GPS時刻及び軌道情報を送信する。GPS受信機6−1は、GPS衛星5からGPS時刻及び軌道情報を受信し、GPS時刻の時刻情報を遅延時間測定装置1−1へ出力する。GPS受信機6−2は、GPS受信機6−1と同様に、GPS衛星5からGPS時刻及び軌道情報を受信し、GPS時刻の時刻情報を遅延時間測定装置1−2へ出力する。これにより、遅延時間測定装置1−1,1−2は、GPS受信機6−1,6−2から同じGPS時刻の時刻情報を入力することができ、それぞれの内部時計は、同じ時刻に設定される。
〔遅延時間測定装置1−1の構成/実施例2〕
次に、図7に示した遅延時間測定装置1−1について説明する。図8は、遅延時間測定装置1−1の構成を示すブロック図である。この遅延時間測定装置1−1は、校正処理部10、PRBSデータ生成部11、送信部12、受信部13及び時計部19を備えている。送信部12は、送信処理部14を備え、受信部13は、バッファ15,17、受信処理部16及び遅延時間測定部18を備えている。
遅延時間測定装置1−1は、これらの構成部のうち、受信部13を用いることなく、校正処理部10、PRBSデータ生成部11、送信部12及び時計部19を用いて、校正処理、PRBSデータ生成処理、TSパケット出力処理、及びGPS時刻の時刻情報を入力して時刻を設定する処理を行う。遅延時間測定装置1−1は、受信部13によるTSパケット入力処理及び遅延時間測定処理を行わない。
図2に示した実施例1の遅延時間測定装置1と図8に示す実施例2の遅延時間測定装置1−1とを構成の観点で比較すると、遅延時間測定装置1,1−1は、校正処理部10、PRBSデータ生成部11、送信部12及び受信部13を備えている点で同一であるが、実施例2の遅延時間測定装置1−1は、さらに時計部19を備えている点で、実施例1の遅延時間測定装置1と相違する。
また、処理の観点で比較すると、遅延時間測定装置1,1−1は、校正処理、PRBSデータ作成処理及びTSパケット出力処理を行う点で同一であるが、実施例2の遅延時間測定装置1−1は、GPS時刻の時刻情報を入力して時刻を設定する処理を行うが、TSパケット入力処理及び遅延時間測定処理を行わない点で、実施例1の遅延時間測定装置1と相違する。
図8において、校正処理部10、PRBSデータ生成部11、及び送信部12の送信処理部14は、図1に示した実施例1の遅延時間測定装置1の構成部と同様であるから、ここでは説明を省略する。
時計部19は、GPS受信機6−1からGPS時刻の時刻情報を入力し、遅延時間測定装置1−1の内部時計(時計部19に備えた内部時計)の時刻をGPS時刻に設定する。これにより、遅延時間測定装置1−1の内部時計は、GPS衛星5から取得されたGPS時刻に設定され、当該時刻は、基準時刻として用いられる。後述する遅延時間測定装置1−2の内部時計も同様に、GPS衛星5から取得されたGPS時刻に設定されるから、遅延時間測定装置1−1,1−2の内部時計の時刻は一致し、共通の基準時刻として用いられる。
時計部19は、内部時計の時刻が予め設定された時刻になると、遅延時間の測定を開始するために、リセット信号をPRBSデータ生成部11に出力する。後述する遅延時間測定装置1−2の時計部19も同様に、内部時計は遅延時間測定装置1−1,1−2において一致しているから、遅延時間測定装置1−1と同じ時刻にリセット信号をPRBSデータ生成部11に出力する。
PRBSデータ生成部11は、時計部19からリセット信号を入力し、所定の信号速度にて送信処理部14からPRBSデータを出力するためのクロック速度を設定し、設定したクロック速度にてPRBSデータを生成し、PRBSデータを送信部12の送信処理部14に出力すると共に、受信部13のバッファ15に格納する。この場合、バッファ15に格納されたPRBSデータは使用されない。
送信部12の送信処理部14は、PRBSデータ生成部11からPRBSデータを入力し、PRBSデータをTSパケットに格納して出力する。
〔遅延時間測定装置1−1の処理/実施例2〕
次に、図8に示した遅延時間測定装置1−1の処理について説明する。図9は、遅延時間測定装置1−1の処理を示すフローチャートである。図9に示すステップS901〜ステップS904の処理は、図3に示した実施例1のステップS301〜ステップS303,ステップS305の処理に対応する。
まず、遅延時間測定装置1−1の校正処理部10は、オペレータにより遅延時間測定装置1−1の入出力端子が接続された状態で、オペレータの操作により、校正処理を行い、遅延時間測定装置1−1の内部処理時間を測定する。また、時計部19は、GPS受信機6−1から入力したGPS時刻の時刻情報を用いて、内部時計の時刻をGPS時刻に設定する(ステップS901)。
具体的には、校正処理部10は、校正処理の際に、PRBSデータ生成部11、送信処理部14及び受信処理部16に対し、遅延時間を測定するときの処理と同じ処理を行わせ、送信処理部14及び受信処理部16の処理時間を内部処理時間として測定する。そして、時計部19は、内部時計の時刻が予め設定された時刻になると、遅延時間の測定を開始するためのリセット信号をPRBSデータ生成部11に出力する。
尚、遅延時間測定装置1−1の校正処理部10による校正処理は、必ずしも必要ではない。遅延時間測定装置1−1の校正処理部10により測定された内部処理時間は、遅延時間を測定するために用いられないからである。
PRBSデータ生成部11は、時計部19からリセット信号を入力し、既にオペレータの操作に従って設定されているPRBSデータ(PRBS23データまたはPRBS31データ)を選択する。そして、PRBSデータ生成部11は、所定の信号速度にて送信処理部14からTSパケットを出力するためのクロック速度を設定し、設定したクロック速度にてPRBSデータを生成する(ステップS902)。
PRBSデータ生成部11は、ステップS902にて生成したPRBSデータを、送信部12の送信処理部14に出力すると共に、受信部13のバッファ15に送信PRBSデータとして格納する(ステップS903)。この場合、バッファ15に格納されたPRBSデータは使用されない。
送信処理部14は、PRBSデータを識別するためのデータをプログラムID(PID)に設定する等して、TSパケットのヘッダー情報を生成する。そして、送信処理部14は、ヘッダー情報をTSパケットのヘッダーに格納すると共に、PRBSデータ生成部11により生成されたPRBSデータをTSパケットのペイロードに格納することで、TSパケットを生成し、TSパケットを出力する(ステップS904)。これにより、PRBSデータを含むTSパケットは、送信機2へ出力され、伝送路3及び受信機4を介して遅延時間測定装置1−2へ入力される。
このように、遅延時間測定装置1−1において、遅延時間測定装置1−2と同様に、GPS時刻が内部時計に設定され、内部時計に基づいて、所定時刻に遅延時間の測定が開始される。これにより、遅延時間測定装置1−1,1−2は、遅延時間の測定を同時刻に開始することができる。
〔遅延時間測定装置1−2の構成/実施例2〕
次に、図7に示した遅延時間測定装置1−2について説明する。図10は、遅延時間測定装置1−2の構成を示すブロック図である。この遅延時間測定装置1−2は、遅延時間測定装置1−1と同様に、校正処理部10、PRBSデータ生成部11、送信部12、受信部13及び時計部19を備えている。送信部12は、送信処理部14を備え、受信部13は、バッファ15,17、受信処理部16及び遅延時間測定部18を備えている。
遅延時間測定装置1−2は、これらの構成部のうち、送信部12を用いることなく、校正処理部10、PRBSデータ生成部11、受信部13及び時計部19を用いて、校正処理、PRBSデータ作成処理、TSパケット入力処理、遅延時間測定処理、及びGPS時刻の時刻情報を入力して時刻を設定する処理を行う。遅延時間測定装置1−2は、送信部12によるTSパケット出力処理を行わない。
図2に示した実施例1の遅延時間測定装置1と図10に示す実施例2の遅延時間測定装置1−2とを構成の観点で比較すると、遅延時間測定装置1,1−2は、校正処理部10、PRBSデータ生成部11、送信部12及び受信部13を備えている点で同一であるが、実施例2の遅延時間測定装置1−2は、さらに時計部19を備えている点で、実施例1の遅延時間測定装置1と相違する。
また、処理の観点で比較すると、遅延時間測定装置1,1−2は、校正処理、PRBSデータ作成処理、TSパケット入力処理及び遅延時間測定処理を行う点で同一であるが、実施例2の遅延時間測定装置1−2は、GPS時刻の時刻情報を入力して時刻を設定する処理を行うが、送信処理部14からのTSパケット出力処理を行わない点で、実施例1の遅延時間測定装置1と相違する。
図10において、校正処理部10、PRBSデータ生成部11、及び受信部13のバッファ15,17、受信処理部16及び遅延時間測定部18は、図1に示した実施例1の遅延時間測定装置1の構成部と同様であるから、ここでは説明を省略する。時計部19は、図8に示した時計部19と同様であるから、ここでは説明を省略する。
時計部19により、遅延時間測定装置1−2の内部時計は、GPS衛星5から取得されたGPS時刻に設定され、当該時刻は、基準時刻として用いられる。前述の遅延時間測定装置1−1の内部時計も同様に、GPS衛星5から取得されたGPS時刻に設定されるから、遅延時間測定装置1−1,1−2の内部時計の時刻は一致し、共通の基準時刻として用いられる。したがって、遅延時間測定装置1−1,1−2の時計部19は、同じ時刻にリセット信号をPRBSデータ生成部11に出力する。
PRBSデータ生成部11は、時計部19からリセット信号を入力し、遅延時間測定装置1−1と同様に、所定の信号速度にて送信処理部14からPRBSデータを出力するためのクロック速度を設定し、設定したクロック速度にてPRBSデータを生成し、PRBSデータを送信部12の送信処理部14に出力すると共に、受信部13のバッファ15に格納する。この場合、送信処理部14に出力されたPRBSデータは使用されない。
これにより、バッファ15には、遅延時間測定装置1−1のPRBSデータ生成部11がPRBSデータの初期値を生成して遅延時間測定装置1−1の送信処理部14が出力する時刻(測定開始時刻)から、PRBSデータが、自走させたデータとして格納される。遅延時間測定装置1−1,1−2のPRBSデータ生成部11によりリセット信号が入力された時刻が、測定開始時刻となる。
〔遅延時間測定装置1−2の処理/実施例2〕
次に、図10に示した遅延時間測定装置1−2の処理について説明する。図11は、遅延時間測定装置1−2の処理を示すフローチャートである。図11に示すステップS1101〜ステップS1104の処理は、図3に示した実施例1のステップS301〜ステップS304の処理に対応し、図11に示すステップS1105〜ステップS1110の処理は、図3に示した実施例1のステップS306〜ステップS311の処理に対応する。
まず、遅延時間測定装置1−2の校正処理部10は、オペレータにより遅延時間測定装置1−2の入出力端子が接続された状態で、オペレータの操作により校正処理を行い、遅延時間測定装置1−2の内部処理時間を測定する。また、時計部19は、GPS受信機6−2から入力したGPS時刻の時刻情報を用いて、内部時計の時刻をGPS時刻に設定する(ステップS1101)。遅延時間測定装置1−2の校正処理部10及び時計部19の処理は、遅延時間測定装置1−1の校正処理部10及び時計部19の処理と同様である。時計部19は、内部時計の時刻が予め設定された時刻になると、遅延時間の測定を開始するためのリセット信号をPRBSデータ生成部11に出力する。
尚、遅延時間測定装置1−2の校正処理部10により測定された内部処理時間は、遅延時間測定部18による遅延時間を測定する際に用いられる。この内部処理時間は、遅延時間測定装置1−2に備えた送信処理部14及び受信処理部16における各処理時間を加算した時間であるが、遅延時間を測定する際に用いる内部処理時間は、本来的に、遅延時間測定装置1−1に備えた送信処理部14及び遅延時間測定装置1−2に備えた受信処理部16の各処理時間を加算した時間とすべきである。そこで、遅延時間測定装置1−1及び遅延時間測定装置1−2の仕様が等しい場合、遅延時間測定装置1−2に備えた送信処理部14の処理時間と、遅延時間測定装置1−1に備えた送信処理部14の処理時間とが同等であるものとして、遅延時間測定装置1−2の校正処理部10により測定された内部処理時間を、遅延時間を測定する際に用いるものとする。
PRBSデータ生成部11は、時計部19からリセット信号を入力し、既にオペレータの操作に従って設定されているPRBSデータ(PRBS23データまたはPRBS31データ)を選択する。そして、PRBSデータ生成部11は、所定の信号速度にて送信処理部14からTSパケットを出力するためのクロック速度を設定し、設定したクロック速度にてPRBSデータを生成する(ステップS1102)。
PRBSデータ生成部11は、ステップS1102にて生成したPRBSデータを、送信部12の送信処理部14に出力すると共に、受信部13のバッファ15に送信PRBSデータとして格納する(ステップS1103)。この場合、送信処理部14に出力されたPRBSデータは使用されない。バッファ15に格納される送信PRBSデータは、当該遅延時間測定装置1−2が自走させたデータとして扱われ、後述するバッファ17に格納される受信PRBSデータと共に、遅延時間を算出するために用いられる。
このように、遅延時間測定装置1−2において、遅延時間測定装置1−1と同様に、GPS時刻が内部時計に設定され、内部時計に基づいて、所定時刻に遅延時間の測定が開始される。これにより、遅延時間測定装置1−1,1−2は、遅延時間の測定を同時刻に開始することができる。
遅延時間測定部18は、PRBSデータ生成部11にリセット信号が入力され、送信PRBSデータがバッファ15に格納され始める測定開始時刻から、カウンタを起動する(ステップS1104)。
受信処理部16は、遅延時間測定装置1−1の送信処理部14により出力されたTSパケットを、送信機2、伝送路3及び受信機4を介して入力し、TSパケットのヘッダーに格納されたプログラムIDを抽出し、プログラムIDが現在使用しているPRBSデータの種類を示している場合、TSパケットのペイロードからPRBSデータを抽出する(ステップS1105)。そして、受信処理部16は、TSパケットから抽出したPRBSデータを、バッファ17に受信PRBSデータとして格納する(ステップS1106)。
遅延時間測定部18は、バッファ15から自走させた送信PRBSデータを読み出すと共に、バッファ17から受信PRBSデータを読み出し、送信PRBSデータのパターンと受信PRBSデータとのパターンとを比較し、送信PRBSデータのパターンと受信PRBSデータとをマッチング判定する(ステップS1107)。そして、遅延時間測定部18は、マッチング判定によりマッチングしたと判定した場合(送信PRBSデータのパターンと受信PRBSデータとが同期したと判定した場合)、そのときのカウント値に基づいて時間差を算出する(ステップS1108)。
遅延時間測定部18は、ステップS1108にて算出した時間差から、ステップS1101にて校正処理部10により測定された内部処理時間を減算し、減算結果を、送信機2、伝送路3及び受信機4の測定対象における信号伝搬の遅延時間として求める(ステップS1109)。そして、遅延時間測定部18は、遅延時間を出力する(ステップS1110)。
以上のように、実施例2の遅延時間測定装置1−1によれば、校正処理部10は、校正処理により内部処理時間を測定し、時計部19は、内部時計の時刻をGPS時刻に設定するようにした。そして、PRBSデータ生成部11は、時計部19における内部時計の時刻が予め設定された時刻になると、遅延時間の測定を開始するために、所定の信号速度にて送信処理部14からTSパケットを出力するためのクロック速度を設定し、設定したクロック速度にてPRBSデータを生成し、送信処理部14は、PRBSデータをTSパケットに格納し、PRBSデータを含むTSパケットを送信機2へ出力するようにした。
また、実施例2の遅延時間測定装置1−2によれば、校正処理部10は、校正処理により内部処理時間を測定し、時計部19は、内部時計の時刻をGPS時刻に設定するようにした。そして、PRBSデータ生成部11は、時計部19における内部時計の時刻が予め設定された時刻(遅延時間測定装置1−1と同じ時刻)になると、遅延時間の測定を開始するために、所定の信号速度にて送信処理部14からTSパケットを出力するためのクロック速度を設定し、設定したクロック速度にてPRBSデータを生成し、PRBSデータを送信PRBSデータとして受信部13のバッファ15に格納するようにした。そして、受信処理部16は、遅延時間測定装置1−1の送信処理部14により出力されたTSパケットを、送信機2、伝送路3及び受信機4を介して入力し、TSパケットからPRBSデータを抽出し、抽出したPRBSデータを受信PRBSデータとしてバッファ17に格納するようにした。そして、遅延時間測定部18は、バッファ15に格納された送信PRBSデータのパターンと、バッファ17に格納された受信PRBSデータのパターンとを比較し、両データが同期するタイミングから時間差を算出し、時間差から内部処理時間を減算して遅延時間を求めるようにした。
これにより、離れた場所に設けられた2台の遅延時間測定装置1−1,1−2において、各時計部19の内部時計の時刻は一致するから、同じ時刻を測定開始時刻として、遅延時間の測定を同時に開始することができ、実施例1と同様の効果を奏する。したがって、送信機2と受信機4とが離れた場所に存在する場合であっても、伝送路3に制御線を布設する必要がなく、かつ放送方式に依存しない簡易な手法にて、送信機2から伝送路3を介して受信機4までの間の信号伝搬の遅延時間を測定することが可能となる。
尚、実施例1による遅延時間測定装置1及び実施例2による遅延時間測定装置1−1,1−2のハードウェア構成としては、通常のコンピュータを使用することができる。遅延時間測定装置1,1−1,1−2は、CPU、RAM等の揮発性の記憶媒体、ROM等の不揮発性の記憶媒体、及びインターフェース等を備えたコンピュータによって構成される。遅延時間測定装置1に備えた校正処理部10、PRBSデータ生成部11、送信部12の送信処理部14、並びに受信部13の受信処理部16及び遅延時間測定部18の各機能は、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。遅延時間測定装置1−1,1−2についても同様である。これらのプログラムは、前記記憶媒体に格納されており、CPUに読み出されて実行される。また、これらのプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記憶媒体に格納して頒布することもでき、ネットワークを介して送受信することもできる。
以上、実施例1,2を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施例1,2に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。前記実施例1,2では、ランダム信号の例としてPRBSデータ(PRBS23データまたはPRBS31データ)を挙げて説明したが、本発明は、ランダム信号をPRBSデータに限定するものではなく、一定周期で繰り返される所定パターンの周期データであればよい。
また、前記実施例1では、校正処理部10は、校正処理にて内部処理時間を測定し、遅延時間測定部18は、算出した時間差から、校正処理部10により測定された内部処理時間を減算し、遅延時間を求めるようにした。また、前記実施例2では、遅延時間測定装置1−2の校正処理部10は、校正処理にて内部処理時間を測定し、遅延時間測定装置1−2の遅延時間測定部18は、算出した時間差から、校正処理部10により測定された内部処理時間を減算し、遅延時間を求めるようにした。これに対し、遅延時間測定部18は、オペレータにより予め設定された内部処理時間を用いるようにしてもよい。つまり、遅延時間測定部18は、算出した時間差から、予め設定された内部処理時間を減算し、遅延時間を求める。この場合、遅延時間測定部18は、校正処理部10により測定された内部処理時間を、予め設定された内部処理時間として扱うようにしてもよい。実施例2の場合、予め設定される内部処理時間は、遅延時間測定装置1−1に備えた送信処理部14の内部処理時間と、遅延時間測定装置1−2に備えた受信処理部16の内部処理時間とを加算した時間に相当する。
また、実施例2では、遅延時間測定装置1−1,1−2の内部時計は、GPS衛星5から取得したGPS時刻により設定するようにしたが、本発明はこれに限定するものではない。例えば、標準電波送信所から送信された標準時刻を用いて内部時計の時刻を設定するようにしてもよいし、インターネットを介して標準時刻の情報を受信し、これを用いて内部時計の時刻を設定するようにしてもよい。
また、実施例1による遅延時間測定装置1及び実施例2による遅延時間測定装置1−1,1−2に備えた校正処理部10、PRBSデータ生成部11、送信部12の送信処理部14、並びに受信部13のバッファ15,17、受信処理部16及び遅延時間測定部18は、ICチップに、ハードウェアまたはソフトウェアとして実装するようにしてもよい。
1 遅延時間測定装置
2 送信機
3 伝送路
4 受信機
5 GPS衛星
6 GPS受信機
9 遅延時間測定システム
10 校正処理部
11 PRBSデータ生成部
12 送信部
13 受信部
14 送信処理部
15,17 バッファ
16 受信処理部
18 遅延時間測定部
19 時計部

Claims (7)

  1. 伝送対象のデータに所定の送信処理を施し、前記送信処理を施した信号を伝送路を介して送信する送信機、前記伝送路、及び前記伝送路を介して受信した信号のデータに所定の受信処理を施す受信機に対する信号伝搬の遅延時間を測定する遅延時間測定装置において、
    一定周期で繰り返される周期データを生成し、前記周期データを第1のバッファに格納する周期データ生成部と、
    前記周期データ生成部により生成された周期データを入力し、前記周期データを前記送信機へ出力する送信処理部と、
    前記送信処理部により出力された周期データを、前記送信機、前記伝送路及び前記受信機を介して入力し、前記周期データを第2のバッファに格納する受信処理部と、
    前記第1のバッファに格納された周期データと、前記第2のバッファに格納された周期データとが同期するタイミングから時間差を算出し、前記時間差に基づいて、前記信号伝搬の遅延時間を測定する遅延時間測定部と、
    を備えたことを特徴とする遅延時間測定装置。
  2. 請求項1に記載の遅延時間測定装置において、
    さらに、前記送信処理部が前記周期データを出力する出力端子と、前記受信処理部が前記周期データを入力する入力端子とを直接接続した場合に、前記遅延時間測定部により測定された遅延時間を内部処理時間として測定する内部処理時間測定部を備え、
    前記遅延時間測定部は、
    前記時間差から、前記内部処理時間測定部により測定された内部処理時間を減算し、前記減算した結果を前記信号伝搬の遅延時間として測定する、ことを特徴とする遅延時間測定装置。
  3. 請求項1または2に記載の遅延時間測定装置において、
    送信側及び受信側の2台の当該遅延時間測定装置により、前記信号伝搬の遅延時間を測定する際に、
    前記送信側の遅延時間測定装置に備えた前記送信処理部は、前記送信側の遅延時間測定装置に備えた前記周期データ生成部により生成された周期データを入力して前記送信機へ出力し、
    前記受信側の遅延時間測定装置に備えた前記受信処理部は、前記送信側の遅延時間測定装置に備えた前記送信処理部により出力された周期データを、前記送信機、前記伝送路及び前記受信機を介して入力し、前記周期データを、前記受信側の遅延時間測定装置に備えた前記第2のバッファに格納し、
    前記受信側の遅延時間測定装置に備えた前記遅延時間測定部は、前記受信側の遅延時間測定装置に備えた前記第1のバッファに格納された周期データと、前記受信側の遅延時間測定装置に備えた前記第2のバッファに格納された周期データとが同期するタイミングから時間差を算出し、前記時間差に基づいて、前記信号伝搬の遅延時間を測定する、ことを特徴とする遅延時間測定装置。
  4. 伝送対象のデータに所定の送信処理を施し、前記送信処理を施した信号を伝送路を介して送信する送信機、前記伝送路、及び前記伝送路を介して受信した信号のデータに所定の受信処理を施す受信機に対する信号伝搬の遅延時間を測定する遅延時間測定システムにおいて、
    一定周期で繰り返される周期データを生成し、前記周期データを前記送信機へ出力する第1の遅延時間測定装置と、
    前記第1の遅延時間測定装置により出力された周期データを、前記送信機、前記伝送路及び前記受信機を介して入力し、前記信号伝搬の遅延時間を測定する第2の遅延時間測定装置と、を備え、
    前記第1の遅延時間測定装置は、
    当該第1の遅延時間測定装置及び前記第2の遅延時間測定装置にて共通の時刻が設定される内部時計を有する第1の時計部と、
    前記信号伝搬の遅延時間の測定を開始する所定の測定開始時刻から、前記周期データを生成する第1の周期データ生成部と、
    前記第1の周期データ生成部により生成された周期データを入力し、前記送信機へ出力する送信処理部と、を備え、
    前記第2の遅延時間測定装置は、
    前記共通の時刻が設定される内部時計を有する第2の時計部と、
    前記所定の測定開始時刻から、前記周期データを生成し、前記周期データを第1のバッファに格納する第2の周期データ生成部と、
    前記第1の遅延時間測定装置の前記送信処理部により出力された周期データを、前記送信機、前記伝送路及び前記受信機を介して入力し、前記周期データを第2のバッファに格納する受信処理部と、
    前記第1のバッファに格納された周期データと、前記第2のバッファに格納された周期データとが同期するタイミングから時間差を算出し、前記時間差に基づいて、前記信号伝搬の遅延時間を測定する遅延時間測定部と、を備えたことを特徴とする遅延時間測定システム。
  5. 請求項4に記載の遅延時間測定システムにおいて、
    前記第2の遅延時間測定装置に備えた遅延時間測定部は、
    前記第1の遅延時間測定装置に備えた前記送信処理部が前記周期データを前記第1の周期データ生成部から入力して前記送信機へ出力するまでの間の処理時間と、当該第2の遅延時間測定装置に備えた前記受信処理部が前記周期データを前記受信機から入力して前記第2のバッファに格納するまでの間の処理時間とを加算した時間に相当する内部処理時間が予め設定され、
    前記時間差から前記内部処理時間を減算し、前記減算した結果を前記信号伝搬の遅延時間として測定する、ことを特徴とする遅延時間測定システム。
  6. コンピュータを、請求項1から3までのいずれか一項に記載の遅延時間測定装置として機能させるための遅延時間測定プログラム。
  7. 伝送対象のデータに所定の送信処理を施し、前記送信処理を施した信号を伝送路を介して送信する送信機、前記伝送路、及び前記伝送路を介して受信した信号のデータに所定の受信処理を施す受信機に対する信号伝搬の遅延時間を測定するプログラムであって、
    一定周期で繰り返される周期データを生成し、前記送信機へ出力する第1の遅延時間測定装置と、
    前記第1の遅延時間測定装置により出力された周期データを、前記送信機、前記伝送路及び前記受信機を介して入力し、前記信号伝搬の遅延時間を測定する第2の遅延時間測定装置と、を備えた遅延時間測定システムによる遅延時間測定プログラムにおいて、
    前記第1の遅延時間測定装置は、当該第1の遅延時間測定装置及び前記第2の遅延時間測定装置にて共通の時刻が設定される内部時計を有する第1の時計部を備え、
    前記第2の遅延時間測定装置は、前記第1の遅延時間測定装置の内部時計による時刻と一致する内部時計を有する第2の時計部を備え、
    前記第1の遅延時間測定装置を構成するコンピュータに、
    前記信号伝搬の遅延時間の測定を開始する所定の測定開始時刻から、前記周期データを生成する第1のステップと、
    前記周期データを前記送信機へ出力する第2のステップと、を実行させ、
    前記第2の遅延時間測定装置を構成するコンピュータに、
    前記所定の測定開始時刻から、前記周期データを生成し、前記周期データを第1のバッファに格納する第3のステップと、
    前記第1のステップにて出力された周期データを、前記送信機、前記伝送路及び前記受信機を介して入力し、前記周期データを第2のバッファに格納する第4のステップと、
    前記第1のバッファに格納された周期データと、前記第2のバッファに格納された周期データとが同期するタイミングから時間差を算出する第5のステップと、
    前記時間差に基づいて、前記信号伝搬の遅延時間を測定する第6のステップと、を実行させる遅延時間測定プログラム。
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